「かぜ」への抗菌薬処方、原則算定不可へ/社会保険診療報酬支払基金

提供元:ケアネット

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公開日:2025/09/10

 

 社会保険診療報酬支払基金は8月29日付けの「支払基金における審査の一般的な取扱い(医科)において、一般に「風邪」と表現される「感冒」や「感冒性胃腸炎」などへの内服の抗生物質製剤・合成抗菌薬を処方した場合の算定は、“原則認められない”とする方針を示した。

 支払基金・国保統一事例は以下のとおり。

取扱い

 次の傷病名に対する抗生物質製剤【内服薬】又は合成抗菌薬【内服薬】の算定は、原則として認められない。
※ペニシリン系、セフェム系、キノロン系、マクロライド系の内服薬で効能・効果に次の傷病名の記載がないものに限る。(後述参照)

(1)感冒
(2)小児のインフルエンザ
(3)小児の気管支喘息
(4)感冒性胃腸炎、感冒性腸炎
(5)慢性上気道炎、慢性咽喉頭炎

取扱いを作成した根拠等

 抗生物質製剤は細菌または真菌に由来する抗菌薬、合成抗菌薬は化学的に合成された抗菌薬で、共に細菌感染症の治療において重要な医薬品である。

 感冒やインフルエンザはウイルス性感染症、気管支喘息はアレルギーや環境要因に起因して気道の過敏や狭窄等をきたす疾患、また、慢性咽喉頭炎を含む慢性上気道炎は種々の原因で発生するが、細菌感染が原因となることは少ない疾患で、いずれも細菌感染症に該当しないことから、抗菌薬の臨床的有用性は低いと考えられる。

 以上のことから、上記傷病名に対する抗生物質製剤【内服薬】又は合成抗菌薬【内服薬】の算定は、原則として認められないと判断した。

<製品例>
ペニシリン系

アモキシシリン水和物(商品名:サワシリン、ワイドシリン ほか)
アモキシシリン水和物・クラブラン酸カリウム(同:オーグメンチン、クラバモックス ほか)
アンピシリン水和物(同:ビクシリン ほか)

セフェム系
セファレキシン(同:ケフレックス ほか)
セフジニル(同:セフゾン ほか)
セフカペンピボキシル塩酸塩水和物(同:フロモックス ほか)

キノロン系
レボフロキサシン水和物(同:クラビット ほか)
シタフロキサシン水和物(同:グレースビット ほか)
トスフロキサシントシル酸塩水和物(同:オゼックス ほか)
メシル酸ガレノキサシン水和物(同:ジェニナック)
ラスクフロキサシン塩酸塩(同:ラスビック)

マクロライド系
アジスロマイシン水和物(同:ジスロマック ほか)
クラリスロマイシン(同:クラリス、クラリシッド ほか)
エリスロマイシンステアリン酸塩(同:エリスロシン ほか)

(ケアネット 土井 舞子)