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医師の生命保険の年間払込額、3割は10万円以下/会員アンケート結果

 10月にCareNet.comにて医師の『生命保険の加入状況に関するアンケート』を実施した結果、9割超の医師が何らかの生命保険に加入し、医師の生命保険加入者の約3割の年間払込額が10万円以下であることが明らかになった。また、重粒子線治療などが支払い対象となる「先進医療1)特約」については医師の生命保険加入者の4割が申し込んでいた。医師の生命保険の年間払込総額5~10万円が17%で最多 生命保険文化センターが行った一般家庭における「2021年度生命保険に関する全国実態調査※(速報版)2)」によると、生命保険(個人年金保険を含む)の世帯加入率は89.8%、そのうち医療保険の加入率は93.6%だった。また、世帯の普通死亡保険金額は平均2,027万円、世帯年間払込保険料は平均37.1万円であることが明らかになった。※一般家庭における生命保険の加入実態および生命保険・生活保障に対する考え方を把握することを目的として、1965(昭和40)年以降3年ごとに実施している調査。 では、本会員医師はどうだろうか。今回は、自由記入を含む全6問のアンケートを実施。Q1「現在加入している生命保険の種類について」では、医師は死亡保険と医療・入院保険にそれぞれ3割が加入しており、意外にもがん保険への加入は1割に留まった。Q3「保険に加入または解約/減額したきっかけ(未加入者は加入しようと思うタイミングを回答)」については、“自分の意思”が最も多く、次いで“結婚や離婚”、“家族に言われて”の順で多かった。Q4「世帯全体の保険料の年間総額」では、医師の生命保険加入者の3割が一般家庭の平均を上回る保険料(個人年金含む額)を支払っていたが、10万円以下も3割だった。そのほか、Q5「どこの保険会社の商品に加入しているか」、Q6「生命保険について、気になることや疑問に感じること(自由記入)」について回答を得た。どの年代でも医師がどのくらいの生命保険の掛け金を支払っているのかなどに疑問を感じていた。<Q6:気になること、疑問に感じることの一例>・同世代の保険料・内容(20代/臨床研修医)・各保険会社のプランのお得な組み合わせについて(30代/脳神経外科)・医院開業時に加入すべき生命保険の情報を知りたい(40代/小児科)・年齢とともにどれくらいの掛金にするか、難しい(50代/産婦人科)・掛け過ぎたことを後悔している(60代/外科/乳腺外科) 保険には生命保険、損害保険、年金保険などさまざまな商品が存在する。医師の場合、患者から保険請求に必要な診断書の記述を求められるなど、“保険”という言葉に慣れ親しんでいる一方で、自身や家族の「保険」をどのくらい意識しているだろうかー。そんな疑問から、医療現場で活躍する医師がどんな保険商品にどのくらいの費用を投じているのかを調査した。そのため、今回は医師の生命保険に絞り込んだ調査であり、学資保険や年金保険、地震保険などに対する認識は明らかではないが、この機会に保険全般を見直してみるのはどうだろうか。アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。『医師の「生命保険」への加入状況は?』

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そして父になる(続編・その1)【英才教育で親がハマる「罠」とは?(教育虐待)】Part 1

今回のキーワード認知能力非認知能力(社会情動的スキル)自信と自尊心レジリエンス敏感期不登校皆さんは、自分の子どもに英才教育を受けさせたいと思いますか? それは、才能を伸ばすため? お受験のため? じゃあ、できるだけ長い時間やるほうが良いでしょうか? できるだけ小さい時からやるほうが良いのでしょうか? 逆に、そうすることのリスクはないでしょうか?これらの答えを探るために、今回は、映画「そして父になる」を再び取り上げます。この映画では、子どもの取り違え(新生児取り違え)に巻き込まれた 2組の夫婦の葛藤と自己成長が描かれています。すでに2021年7月号の記事で、親子の絆をテーマとして詳しく解説しました。今回の続編記事では、映画に登場する2組の家族による対照的な子育ての仕方の違いに焦点を当てます。そこから、英才教育によって特に高まるとされる認知能力とそれ以外の非認知能力の違いについて考えます。そして、その能力の違いから、英才教育で親がハマる、ある「罠」を明らかにします。なお、非認知能力は、2015年にOECD(経済協力開発機構)によって、社会情動的スキルという名で提唱されており、昨今注目されています。認知能力とは?野々宮家の父親は野々宮良多で、東京の大企業のエリートサラリーマン。母親はみどりで、専業主婦。そして、子どもは慶多で、6歳の一人息子。野々宮家は、慶多を有名私立小学校に受験させるため、お受験塾とピアノ教室に通わせます。そして、慶多の認知能力は高まります。ここから、その認知能力の特徴を大きく3つ挙げてみましょう。(1)言われたことを覚えている-記憶力受験での集団の行動観察ではビニールで「生き物作り」の課題が出されますが、慶多は創造的なおばけをつくります。実は、彼は、お受験塾で、似たような課題を繰り返しやっており、「創造的なおばけ」は、採点官に高評価が得られるように仕込まれたものでした。この事実は、映画のノベライズ版で明かされています。対照的に、琉晴は、慶多のようにお受験塾やピアノ教室に通うことはなく、ふざけていたずらばかりをしています。1つ目の認知能力は、言われたことを覚えている、記憶力です。これは、多くの知識や方法を知っていることでもあります。(2)言われた通りにやる-情報処理能力慶多は、家族揃っての面接の時、面接官から「今年の夏には何をしましたか?」と質問されて、「お父さんとキャンプに行って、凧揚げをしました」「(お父さんの凧揚げは)とても上手です」」とそつなく答えます。実は、慶多は父親と一度もキャンプに行ったことはなかったのですが、お受験塾で、聞かれたらそう言うように指導されていたのでした。対照的に、琉晴は、実際に父親と川遊びに行ってはいますが、正直に「お父さんの凧揚げは下手くそ。僕のほうがうまいよ」と言って、面接官から失笑を買いそうです。2つ目の認知能力は、言われた通りにやる、情報処理能力です。これは、質問に対して、望まれる正解を出すことでもあります。(3)言われたことに気を付ける-注意力慶多は、集団での行動観察の時に、あえて人数分用意されていない道具をほかの子と一緒に使い、自分だけで使うことはありません。面接の時は、常に背筋をしっかり伸ばし、はきはきと礼儀正しく質問に答えます。これも、お受験塾で繰り返し訓練されたものであることがノベライズ版で明かされています。対照的に、琉晴は、レストランで食事をするとき、ストローの先を噛んで潰す癖があり、食べこぼしでテーブルを汚しています。何かあると「オーマイガット!」と言う口癖もあります。3つ目の認知能力は、言われたことに気を付ける、注意力です。これは、普段の挨拶、テーブルマナー、落ち着き、立ち振る舞いなどの礼儀作法でもあります。非認知能力とは?斎木家の父親は斎木雄大で、地方(前橋)の町の小さな電気屋の主。母親はゆかりで、町のお弁当屋のパート店員。子どもは、6歳の長男の琉晴をはじめ3人。そして、ゆかりの父親、つまりおじいちゃんが同居しています。琉晴は、2人の妹と弟と一緒に、プールに行ったり家族で川遊びに行き、けんかしながらも仲良く遊び回っています。慶多と琉晴の取り違えが発覚してから、半ば強引に、慶多は斎木家に、琉晴は野々宮家で暮らすようになります。そして、琉晴の非認知能力が発揮されます。ここから、その非認知能力の特徴を大きく3つ挙げてみましょう。(1)自分で考えて行動する力-自発性琉晴は、ずっと野々宮家で暮らすことが分かると、良多に「なんで? パパちゃうやん? パパちゃうよ」と言います。良多から「なんででも」「そのうち分かるようになる」といくら言われても、「なんで」と食い下がります。そして、その数週間後に、みどりの隙を見て、東京から前橋の斎木家まで一人で新幹線に乗って勝手に帰ってしまうのです。対照的に、慶多は、良多から斎木家でずっと暮らすことは「ミッション」だと言われると、それ以上抵抗しません。斎木家で暮らすようになっても、不安そうにしながらも大人しく従っています。1つ目の非認知能力は、自分で考えて行動する力、自発性です。これは、好奇心や積極性であり、医学用語としては、実行機能やコミットメントとも言い換えられます。疑問を持つ、自己主張をする、やり抜くなど自分の力で問題を解決しようとすることでもあります。一方で、慶多は、言われた通りにやることはできますが、言い返したり、自分で考えて行動する様子は見受けられません。(2)自分を落ち着かせる力-セルフコントロール琉晴は一人で新幹線に乗って斎木家に帰りますが、6歳の子どもがすぐに思い付いてできるものではないでしょう。これを実行に移すためには、それまでみどりに悟られないように平然を装い、機をうかがっていたことが考えられます。また、言うことを聞かなかったことで良多から叱られても、顔をしかめるか無表情で毅然としています。対照的に、慶多は、これまで良多に叱られてすぐに泣いていました。斎木家でも、元気がなくなっていくばかりです。2つ目の非認知能力は、自分を落ち着かせる力、セルフコントロールです。これは、我慢強さであり、医学用語としては、抑制、シフティング(切り替え)とも言い換えられます。一方で、慶多は、一見我慢できているように思われますが、我慢強くはないです。なぜなら、元気がなくなっている点で、無理をしており(過剰適応)、その後に限界(適応障害)が来ることが予測されるからです。(3)心を通わせる力-共感性琉晴は、野々宮家で暮らす初日、良多が作った野々宮家のルールのリストを読まされます。「なんで?」とさんざん突っ込んだ直後に、歯磨き粉で洗面台の鏡にいたずら描きをして、お風呂の中で声を出して遊んでいます。さっそく、「お風呂は静かに一人で入る」というルールを破っただけでなく、それを上回ることをしでかしているのでした。家出から連れ戻されたあとも、おもちゃの拳銃で「バババババ!」とみどりと良多に打つまねをして、「拳銃ごっこ」を急に仕掛けています。対照的に、慶多は、お風呂で雄大からおふざけで口の中のお湯をかけられても、作り笑いを浮かべ戸惑うだけでやり返しません。3つ目の非認知能力は、心を通わせる力、共感性です。これは、仲良くなったりうまく人付き合いをしていくためのユーモアやコミュニケーション能力であり、医学用語としては社交性、向社会性とも言い換えられます。一方で、慶多は、礼儀作法などのコミュニケーションの体裁(形式)はかなり心得ていますが、その中身(内容)はあまり育まれていません。次のページへ >>

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そして父になる(続編・その1)【英才教育で親がハマる「罠」とは?(教育虐待)】Part 2

認知能力と非認知能力の違いとは?認知能力とは、主に記憶力、情報処理能力、注意力であることが分かりました。一方、非認知能力とは、主に自発性、セルフコントロール、共感性であることが分かりました。車に例えると、認知能力は、車の備品のそれぞれの細かい性能です。一方、非認知能力は、アクセル(自発性)、ブレーキ(セルフコントロール)、ハンドル(共感性)など運転手がどうしたいかという意思です。それでは、これらの本質的な違いはなんでしょうか? ここから、その違いを大きく3つに分けて考えてみましょう。(1)数値化できるかどうか-測りやすさ慶多が参加したお受験やピアノ演奏会では、合否や優劣をはっきりさせるために、その評価が点数化されたり順位付けされます。一方、慶多と琉晴がそれぞれの新しい家族と一緒に暮らす適応能力については、評価の基準が定まらず、点数化することは難しいです。1つ目の違いは、数値化できるかどうか、つまり測りやすさです。認知能力は、学力(学習能力)、IQ(知能指数)、楽器演奏の技術、工作や絵画の出来栄え、姿勢や立ち振る舞いなどです。つまり、望ましいとされる正解がある点で、点数化できて測りやすいです。一方、非認知能力は、何かを考えたり行動する楽しさや誰かと一緒にいる心地良さを感じる「能力」とも言えます。そこから、不確定な状況(標準化しにくい課題)への適応能力であったり、相手との相互作用から協力関係を築く能力が発揮されます。つまり、正解がなかったり、逆に正解がいくつもあり、必ずしも正解が決まっていない点で、点数化できず測りにくいです。先ほどの車に例えると、車の性能は測りやすいですが、運転手の意思は測りにくいと言えます。なお、お受験では、工作の課題で創造性(自発性)を見たり、集団での行動観察で相手への気配り(セルフコントロールや共感性)を見ており、非認知能力を評価しようとしているように見えます。しかし、すでにお受験対策でその課題のパターンが見抜かれており、望ましいとされる正解を受験生の子どもたちが訓練によって学習できる点で、結果的に非認知能力を評価することは難しいことが分かります。また、子ども同士が仲良くなるためにふざけることも非認知能力としては評価できることですが、面接官が望ましいとしている正解ではない点で、やはり非認知能力を評価することは難しいでしょう。面接でも非認知能力を評価しようとする質問がされていますが、そもそも面接の質問パターンへの模範解答がすでにお受験対策で叩き込まれており、あたかも非認知能力が育まれているように見せかけることができる点で、やはり非認知能力を評価することには限界があるでしょう。なお、測りやすさの視点で、認知能力と非認知能力は、それぞれ自信(自己効力感)と自尊心(特に自己肯定感)に関係が深いと思われます。その訳は、自信は、「自分はできる」という客観的な評価であるのに対して、自尊心は、「自分は大丈夫」という主観的な評価であるからです。つまり、自信は根拠がある(測れる)のに対して、自尊心は根拠がない(測れない)「自信」とも言い換えられます。これらの詳細については、関連記事1をご覧ください。(2)環境変化に適応できるかどうか-心の折れにくさ慶多は、お受験塾でのたゆまぬ訓練によって、見事志望校に合格しました。一方の琉晴は、いきなりお受験で合格することは難しいでしょう。しかし、その後、慶多と琉晴は、それぞれの新しい家族と一緒に暮らすようになってから、慶多は元気がなくなり、心が折れそうになっています。一方で、琉晴は、何とかうまくやって行こうとしており、心は折れていません。2つ目の違いは、環境変化に適応できるかどうか、つまり心の折れにくさです。認知能力は、環境が変化しない状況(標準化された課題)への処理能力と言い換えられます。逆に言えば、環境が変化する状況への適応能力ではないため、そのストレスへの弱さがあり、心が折れやすいと言えます。一方、非認知能力は、まさに環境が変化する状況への適応能力と言い換えられ、そのストレスへの強さがあり、心が折れにくいと言えます。先ほどの車に例えると、一般道(環境変化が少ない状況)では車の性能が発揮されますが、草原(環境変化が大きい状況)では車の性能は当てにできず、運転手の判断(意思)が重要になってくると言えます。さらに踏み込めば、慶多と同じく、実は良多の非認知能力も高くないことが分かります。良多は、子どもの取り違えが発覚(環境が変化)してから、ストレスを抱え込み、これまでのエリート街道から外れ、みどりと夫婦関係の危機に直面しているのでした。なお、心の折れにくさは、医学用語として、心のしなやかさ(レジリエンス)と言い換えられます。この詳細については、関連記事2をご覧ください。(3)癖になるかどうか-幼児期での敏感さ慶多は、ピアノの練習について良多から「1日休むと取り戻すのに3日かかる」とたびたびたしなめられています。慶多と同じように、良多もかつてピアノの習い事をしていましたが、小学生でやめてしまうと、その後は大して弾けなくなっていたのでした。お受験の対策も、受験が終わったら、ほとんど忘れているでしょう。一方、琉晴の行動力やふざける癖は、ストローを噛む癖や「オーマイガット!」の口癖と同じように、変わらず続いています。3つ目の違いは、癖になるかどうか、つまり幼児期での敏感さです。認知能力は、いったん身に付いても、やり続けていないとだんだん失われていく、つまりなかなか癖にならない特徴があります。一方、非認知能力は、なかなか失われにくい、つまり癖になる特徴があります。その原因は、敏感さです。特に幼児期においては、認知能力よりも非認知能力に敏感に反応することが分かっています。この時期は、敏感期、臨界期と呼ばれています。先ほどの車に例えると、まずは運転手が運転したいという意思があるからこそ、車の性能があるのです。運転手が運転したいと思わなければ、いくら車の性能があったとしても使われず、すぐに錆びれてしまうと言えます。幼児は、それほど単純であると言えます。実際に、ヘックマン(2000年にノーベル経済学賞を受賞)の研究において、経済的な貧困層(幼児教育などの子育てが適切に行われていないネグレクトの可能性が高い家庭)の幼児を対象に、幼児教育プログラムを受けた子どもと受けていない子どもが成人になった時の両者を比較した結果、受けた子どもグループは、収入、学歴が高く、犯罪率が低いことが判明しました。その一方で、IQ(知能指数)には明らかな差が出なかったことも判明しました。これは、このプログラムによって、認知能力ではなく、非認知能力が高められたことが考えられてます。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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そして父になる(続編・その1)【英才教育で親がハマる「罠」とは?(教育虐待)】Part 3

英才教育で親がハマる「罠」とは?認知能力と非認知能力の本質的な違いは、測りやすさ、心の折れにくさ、幼児期での敏感さであることが分かりました。この違いから、良多の関わり方を通して、英才教育のリスクを大きく3つ挙げてみましょう。そして、英才教育で親がハマる「罠」を明らかにしましょう。(1)測りやすい認知能力ばかりにとらわれる良多は、みどりに「今の時代、優し過ぎるのは損だからな」と説き、慶多にしつけを厳しくして、ピアノの練習を毎日必ずさせています。しかし、ピアノ演奏会で、慶多はうまく弾けず、うまく弾いているほかの子に「上手だね」と感心して言います。そんな慶多に、良多は「悔しくないのか? もっと上手に弾きたいと思わなければ続けてても意味ないぞ」と叱るのです。1つ目のリスクは、測りやすい認知能力ばかりにとらわれることです。良多は、社会は厳しいと言っていますが、それは彼の考え方が投影されています。つまり、彼自身が自分に厳しく、そして他人にも厳しいのでした。その厳しさとは、勝ち負けの結果や体裁を重んじることです。それが、彼が説く「意味」なのでした。だからこそ、良多は慶多を有名私立小学校に入学させ、ピアノ演奏会で悔しがることを強いるのです。すると、子どもも、その親の価値観がすり込まれて(内在化)、結果を出すことや体裁を気にするようになるでしょう。そして、自分も相手もそれでしか評価できなくなってしまいます。たとえば、聞かれてもいないのに自分の学歴や家柄をひけらかすことです。また、学歴、キャリア、家柄、見た目などで相手を値踏みすることです。さらには、すでにお受験対策で学習してしまったように嘘をついて体裁を取り繕ったり、結果を出すために無理をする生き方(過剰適応)をしてしまうリスクもあるでしょう。その測りやすさから、権威を振りかざし、権威にすがる生き方をしてしまうこともあるでしょう。(2)非認知能力が育まれずに心が折れやすくなる慶多は、自宅でのピアノの練習ではかなりうまく弾けていたのに、演奏会ではありえないミスを連発します。彼は、本番(いつもと違う状況)に弱いのでした。2つ目のリスクは、非認知能力が育まれずに心が折れやすくなることです。ピアノの演奏会における非認知能力とは、本番であっても心を落ち着かせて(セルフコントロール)、ピアノの演奏そのものを楽しみ(自発性)、その気持ちを一緒にいる人たちと共有することです(共感性)。慶多は、父親(良多)の顔色ばかりを伺い、自分の演奏をあまり楽しめていません。もちろん、斎木家でお試し外泊を繰り返している最中であることも、心を落ち着かせられない要因として考えられます。認知能力にとらわれるということは、裏を返せば、非認知能力を疎かにすること、つまり価値がない、無駄だと思ってしまうことです。たとえば、琉晴が野々宮家で暮らすようになってから、置かれているピアノの鍵盤をメチャクチャに(大胆に?)弾くシーンがあります。見かねた良多は、「うるさいぞ。静かにしろ」「やめろって言ってんだ!」と怒鳴ってしまいます。しかし、よくよく考えれば、琉晴なりに音感や演奏のヒントを探しているかもしれません。かつてバンド活動までしていた良多の血を引いていると考えれば、琉晴には音楽の素質があるかもしれません。良多は、やめさせるのではなく、音量を下げてそのまま好きにさせてあげたり、そのあとに琉晴に演奏の仕方の基本を教えてあげれば、演奏の楽しさ(自発性)を育むこともできたでしょう。もちろん、認知能力も非認知能力も両方高めていくことが理想です。しかし、子どもの時間とエネルギーは限られています。その時間とエネルギーを、認知能力のために使ってしまえば、その分、非認知能力のために使えなくなってしまいます。これは、トレードオフ(一得一失)の関係です。これが極端になれば、認知能力は、やればやるほど結果が出る、早くやればやるほど結果が出ると思い込みます。こうして、英才教育をやらせ過ぎたり、早くにやらせ過ぎてしまいます。そのために、「あれだめ!」「これして!」「早くして!」としつけが厳しくなってしまいます。すると、子どもが自由に遊んだり自分で考える時間(自発性)や友達と一緒に遊ぶ時間(共感性)がますます減るでしょう。また、友達とけんかをすることは、本来セルフコントロールを育むために必要です。しかし、その機会も、不要なこととされてしまい、先回りによって奪われてしまうでしょう。なお、世の中では、このような厳しいしつけは、セルフコントロールを育むために必要であると考えられています。しかし、これは大きな誤解です。実際の研究では、親が子どもの行動をコントロールし過ぎると、逆に子どもは自分で自分の行動をコントロールしなくなることが分かっています。その訳は、しつけが一方的な命令の場合、恐怖刺激によって言われた通りに行動する条件反射は形成されても、思考停止によって自分で自分の行動を決めることができなくなるからです。そして、受け身の指示待ち人間になってしまうのです。(3)その後に認知能力が伸び悩むピアノ演奏会で、良多の説教を慶多の横で聞いていたみどりは、「みんながあなたみたいに頑張れるわけじゃないわよね」と言います。良多は「頑張るのが悪いみたいな言い方だな」と言い返します。すると、みどりは「頑張りたくても頑張れない人もいるってこと」「慶多はきっと私に似たのよ(私がそうだったから)」と語気を荒くして言います。みどりは、練習を頑張っている慶多の姿をそばでずっと見てきており、自分と同じ、ある危うさをほのめかしています。3つ目のリスクは、その後に認知能力が伸び悩むことです。幼児期の認知能力は、すでにご説明した通り、その癖のなりにくさから、いったん高まっても、やり続けていないと、だんだん失われていきます。つまり、非認知能力が充分に育まれていなければ、その後にやり続けたいという気持ち(自発性)が芽生えず、結局その認知能力が維持できなくなってしまうということです。つまり、学ぶとは、「ただ学ぶ」(認知能力)のではなく、「学ぶ楽しさ」(非認知能力)も一緒に学ぶ必要があるということです。たとえば、知能指数(IQ)が分かりやすいです。英才教育によって、知能検査の類似問題を解く特訓をより長い時間やれば、そしてより小さい時からやれば、知能指数は確実に上がります。すると、親は喜びます。しかし、それがその後の学力が高くなることに直接結び付くわけではありません。ましてや大人になって仕事や人間関係でうまくやって行く能力とも結び付くわけではありません。よって、その後に子どもの認知能力が伸び悩んだら、親は焦ります。良多のように「頑張りが足りない」と言い出し、ますます本人の自由、つまり非認知能力を高める機会を奪うでしょう。これは、教育虐待と呼ばれます。教育虐待とは、勉強や習いごとなどの教育を子どもに過剰に強いる不適切な関わりです。子ども虐待の1つとして、昨今注目されています。これは、認知能力を重視するあまりに非認知能力が育まれない点でも、子どもの人権への侵害と言えます。非認知能力が育まれない危うさがある点で、先ほどのヘックマンの研究でご紹介した、もともと経済的な貧困層(ネグレクト)の子どもと、逆に認知能力を重視する良多のような富裕層の子どもが共通しているのが興味深いです。つまり、ネグレクトと教育虐待は、それぞれ教育をやらなさ過ぎとやり過ぎであり、一見すると真逆ですが、非認知能力が育まれないリスクがある点では同じであるということです。そして、非認知能力が育まれていない点で、もしも取り違えが発覚せずに野々宮家の英才教育がそのまま続いていたとしたら、慶多は不登校やひきこもりになるリスクが高まります。これが、英才教育で親がハマる「罠」なのです。<< 前のページへ■関連記事クレヨンしんちゃん【ユーモアのセンス】Part 1ショーシャンクの空に【心の抵抗力(レジリエンス)】[改訂版]

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子供へのマスクはどうするの?疑問に回答/成育医療研究センター

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は社会生活を混乱させただけでなく、子供たちの日常も奪った。12歳未満の子供にはCOVID-19ワクチンの接種も、現在わが国ではできないことから、今後の感染の増加について子供の保護者や学校関係者などは危惧をしている。また、この時期に妊娠した妊婦は情報が少ない中での生活に不安を抱えている。 こうした不安や心配の声に応えるべく国立成育医療研究センター(理事長:五十嵐 隆氏)は、11月5日に同センターのホームページに「コロナ禍の今、あらためて伝えたいお子さんと妊婦さんのためのQ&A」を公開し、COVID-19やそれ以外の感染症対策や症状、こころの問題について、情報発信を開始した。感染症、精神、耳鼻咽喉、産科のエキスパートが回答するQ&A このQ&Aでは、大きく4つの分野について、同センターの専門医が解説し、回答を行っている。 主な質問項目は次のとおり。【感染対策について】(感染症科)・コロナ禍になって2年。これまでのデータから分かるコロナウイルスについて教えてください(症状や感染対策、変異株、コロナ初期と変わったことなど)・マスクができない子どもへの感染症対策はどうすればいいですか?・医療的ケア児の感染対策で、特に気を付けた方がいいことはありますか?・子どものワクチン接種について教えてください(安全性や副反応、リスクについて、インフルエンザワクチンと一緒に打っていい?)・デルタ株で子どもの感染者も増えていましたが、子どもでも重症化するのでしょうか?【こころについて ~子どもとご家族~】(こころの診療部)・友達と話せなかったり、自由に外で遊べなかったり、コロナ禍のストレスは子どもの心に将来的にどんな影響を及ぼしますか?・フィジカルディスタンスやマスクを常につける生活で、子どもとのコミュニケーションがうまく取れないこともあります。どうしたらいいですか?・子どもが新型コロナウイルスをとても怖がっています。どうしたらいいですか?・子どもがコロナ太りを気にしてあまりご飯を食べてくれません。どうしたらいいですか?・保護者の不安やストレス解消法について教えてください【身体について】(眼科、耳鼻咽喉科)・オンライン授業になったり、また、ゲームをするためにスマホやタブレットばかり見ています。子どもの視力などに影響はありませんか?・子どもが部屋でゲームをするときなど、イヤホンを長時間使っています。聴力への影響はありますか?【妊婦さんについて】(妊娠と薬情報センター)・妊婦、また授乳中のワクチン接種について教えてください。・今、妊娠しても大丈夫でしょうか? なお、Q&Aの情報は2021年11月現在の情報で公開している。

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第77回 コロナ経口薬「molnupiravir」、世界初承認は英国

<先週の動き>1.コロナ経口薬「molnupiravir」、世界初承認は英国2.COVID-19後遺症でも労災認定/兵庫県3.2018年度公立病院の廃止は前年度より4件減少/総務省4.2021年の出生数は昨年に続き85万人以下が確実/厚労省5.コロナ対策予算、35%の22兆円が未執行/会計検査院6.早期がんの診断件数が1年で8,000件減少/対がん協会1.コロナ経口薬「molnupiravir」、世界初承認は英国英国の医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は4日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の経口治療薬「molnupiravir」を世界で初めて承認した。本剤は米・メルクによって開発された。軽症~中等症COVID-19の重症化リスク因子を有する成人患者を対象にした第III相MOVe-OUT試験の中間解析で、molnupiravirは発症後5日以内に投与した場合、入院または死亡リスクを約50%低減し、早期承認を目指して欧州で申請していた。これを受け、磯崎 仁彦官房副長官は5日の記者会見で、有効性や安全性を確認ののち、速やかに承認を進めるとコメントしている。また、米・ファイザー社が開発中の「パクスロビド(PAXLOVID)」は、発症後3日以内の患者に投与することで、投与していない群と比較して入院・死亡リスクが89%減ったことを発表しており、今後わが国での承認も目指す。(参考)米メルクのコロナ経口薬「モルヌピラビル」、英が飲み薬では世界初の承認(読売新聞)米ファイザーのコロナ飲み薬、入院・死亡リスク9割減(日経新聞)コロナ飲み薬「年内実用化へ全力」 官房副長官(日経新聞)2.COVID-19後遺症でも労災認定/兵庫県COVID-19の後遺症で労働災害が認められたことを、ひょうご労働安全衛生センターが明らかにした。今回、兵庫県内の特別養護老人ホームで働く理学療法士の男性が新型コロナウイルスに感染し、職場に復帰した後も強い倦怠感などが続いたため、約4ヵ月後に医師により「新型コロナウイルス感染後遺症」と診断され、労災と認められた。COVID-19に関する労災請求件数は、2021年9月30日時点で、全国1万8,637件、そのうち労災と認められたのは1万4,567件。78.1%と高い認定率だが、国内のCOVID-19患者総数は172万人以上に上っており、労災請求が進んでいない可能性もある。国は後遺症も労災の対象になるとして、労働基準監督署に相談するよう呼び掛けている。(参考)新型コロナ 後遺症でも労災認定 国が労基署への相談呼びかけ(NHK)新型コロナウイルス感染後遺症で労災申請 監督署が労災と認定(ひょうご労働安全衛生センター)3.2018年度公立病院の廃止は前年度より4件減少/総務省総務省は公営企業の経営改革について抜本的な改革を進めているが、2018年度に廃止となった公立病院が5件となり、前年度より4件減ったことを明らかにした。うち公立病院から公営企業型地方独立行政法人と指定管理者制度への移行がそれぞれ1件で、PFI(民間資金等活用事業)などの民間委託は0件だった。公立病院数および病床数は、ピーク時2012年の1,007病院(病床数:23万9,921床)から2020年度には853病院(同:20万3,882床)と大きく減少している。今年10月に立ち上げられた「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化に関する検討会」では、これまで進めてきた再編・ネットワーク化・地域医療構想による改革について、公立病院が新型コロナ感染症対応において果たしている役割を考慮に入れつつ、引き続き第8次医療計画の策定スケジュールを踏まえて、公立病院改革の次期ガイドラインの策定について議論していく。(参考)公立病院の事業廃止4件、民営化・民間譲渡は1件 20年度(CBnewsマネジメント)公営企業における更なる経営改革の取組状況(総務省)持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化に関する検討会(総務省)4.2021年の出生数は昨年に続き85万人以下が確実/厚労省厚生労働省は、2021年8月分の人口動態統計速報で今年の1~8月の出生数の合計は55万5,080人と、前年の同期間と比べ、2万8,138人(4.8%)下回っていることを明らかにした。昨年のコロナウイルス感染拡大により、今年の1月の出生数は前年同月比で14.6%の減少となった。その後出生数は回復傾向だが、このまま推移すると、前年の出生数84万832人に続いて85万人を下回ることが確実となる。一方、死亡者数は前年の1~8月に比べて5万1,572人多く、前年の137万2,648人よりも3.7%ほど上回り、自然減が加速している。(参考)2021年の出生数・死亡数の見通しー新型コロナの影響は限定的だが、一部に見過ごせない動きも(日本総研)2021年の出生数、85万人割り込む恐れ コロナ禍での受診控えが“子づくり”にも影響(CBnewsマネジメント)人口動態統計速報(令和3年8月分)(厚労省)5.コロナ対策予算、35%の22兆円が未執行/会計検査院会計検査院は5日に提出した決算検査報告により、新型コロナウイルス対策で政府が計上した総額65兆4,165億円のうち3割超の22.8兆円余りが未執行となり、このうち21兆7,796億円が翌年度に繰り越されたことを明らかにした。コロナウイルスに関する個別事業については妥当性が検証され、接触確認アプリ「COCOA」の不具合やアベノマスク約8,200万枚が未配布のため、2020年8月~21年3月で保管費用の約6億円などが指摘され、会計検査院は適切な予算執行と国民への十分な説明を国に求めている。(参考)コロナ対策費22.8兆円使われず…検査院、国民への説明求める報告書(読売新聞)巨額投じた国の新型コロナ対策 浮かび上がるずさんな予算執行(朝日新聞)令和2年度決算検査報告の概要(会計検査院)6.早期がんの診断件数が1年で8,000件減少/対がん協会日本対がん協会は4日に、日本癌学会、日本鴈治療学会、日本臨床腫瘍学会と共同で実施した調査結果を発表した。調査はアンケートにより実施され、全がん協会加盟施設、がん診療連携拠点病院、がん診療病院、大学病院など486施設を対象に、今年の7~8月に5種類のがん(胃、大腸、肺、乳、子宮頸)の診断数、臨床ステージ、手術数、内視鏡治療件数などについて聞き取った。その結果、去年の胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がんの診断件数は8万660件と、一昨年より8,000件余り(9.2%)減少しており、コロナによる受診控えや検診受診者数の減少によって、がんの診断件数が減った可能性が明らかとなった。今後、進行がんの発見が増える恐れもあり、早期受診やがん検診受診率の向上を求めている。(参考)2020年のがん診断数9%減 コロナ禍で 日本対がん協会調査(毎日新聞)がん診断が1割減…コロナ禍で受診控え影響、進行がん増加懸念(読売新聞)“新型コロナで受診控え” がん診断件数 約9%減少(NHK)2020年のがん診断件数 早期が減少 進行期の増加を懸念 日本対がん協会とがん関連3学会が初の全国調査(日本対がん協会)

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「サードキャリア」という医師の新しい働き方【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第29回

第29回 「サードキャリア」という医師の新しい働き方漫画・イラスト:かたぎりもとこ「サードキャリア」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?聞き慣れない言葉かもしれませんが、最近増えている医師の働き方です。これまでは、勤務医を経て開業(=セカンドキャリア)し、そのまま引退、という方が大半でしたが、開業した診療所を譲渡して、再度勤務医になって働く(=サードキャリア)という働き方を選択する方が増えているのです。弊社に医業承継をご相談いただいた開業医の方のうち、7割程度は「譲渡後はそのまま引退したい」と考えますが、残りの3割は「勤務医に戻って働きたい」と仰るのです。「勤務医に戻って働きたい」と希望する理由は、どういうものなのでしょうか。弊社でのリサーチによると下記のようなものが多いことがわかりました。(1)親の介護が始まり、開業医ほどには仕事に時間を割けなくなったため、実家付近で再度勤務医として働くことを希望する(2)開業医時代にしっかりと稼いだため、最後のキャリアでは無医村で働くなど、社会貢献することを希望する(3)スタッフマネジメントなど、開業医特有の業務で疲弊したため、診療に集中できる勤務医に戻ることを希望する「医業承継」というと、売り手側は医師としてのキャリアを終えて引退、といった寂しいイメージもありますが、実際には上記のように、開業医を辞めることと医師を引退することは別物であり、ポジティブにその先のキャリアに踏み出す方もいるのです。

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治療薬にソトロビマブを追加した診療の手引き6版/厚労省

 11月2日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第6版」を公開した。 第6版の主な改訂点は以下の通り。【1 病原体・疫学】・変異株について、VUM(監視下の変異株)を追加・感染経路・エアロゾル感染について更新・国内/海外発生状況を更新【2 臨床像】・重症化リスク因子に日本COVIREGI-JPの解析を追加(入院時酸素投与が必要である割合のリスクと入院中の死亡率が高い基礎疾患)・小児の重症度について、日本小児科学会のレジストリ調査を追加・妊婦例の特徴について、日本産婦人科学会の調査を追加・症状の遷延(いわゆる後遺症)について、国内の調査を追加【3 症例定義・診断・届出】・血清診断について国立医薬品食品衛生研究所の報告を追加・世界のインフルエンザ流行状況を追加【4 重症度分類とマネジメント】・CPAP使用時の感染対策についての注意喚起を追加【5 薬物療法】・ソトロビマブ(商品名:セビュディ)について追加(9月27日に特例承認)・妊婦に対する薬物療法を追加・国内で開発中の薬剤について整理【6 院内感染対策】・マスクのJIS規格を追加・職員の健康管理についてワクチンの効果を追加

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リサンキズマブ、重症喘息への有効性は?第IIa相試験/NEJM

 重症喘息の治療において、抗インターロイキン-23p19モノクローナル抗体リサンキズマブに有益性はなく、プラセボと比較して初回の喘息悪化までの期間が短く、喘息悪化の年間発生率が高いことが、英国・レスター大学のChristopher E. Brightling氏らの検討で示された。研究の詳細は、NEJM誌2021年10月28日号に掲載された。9ヵ国の第IIa相二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験 本研究は、重症喘息の成人患者におけるリサンキズマブの有効性と安全性の評価を目的とする24週間の第IIa相二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、9ヵ国48施設が参加し、2015年8月~2018年2月の期間に実施された(AbbVieとBoehringer Ingelheimの助成を受けた)。 対象は、年齢18~75歳、スクリーニングの少なくとも1年前に喘息と診断され、中~高用量の吸入コルチコステロイドと、1種以上の長期管理薬(controller)の投与を受けている患者であった。 被験者は、リサンキズマブ90mgを4週ごとに皮下投与する群またはプラセボ群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。治療期間は24週で、観察期間は16週であった。 主要エンドポイントは、24週の治療期間中における初回の喘息悪化までの期間とされた。喘息悪化は、(1)ベースラインから2日以上持続する悪化(朝の最大呼気流量[PEF]の30%以上の減少、または24時間におけるレスキュー薬の噴霧回数のベースラインから50%以上の増加[噴霧回数の4回以上の増加に相当])、(2)重度の喘息増悪、(3)5項目喘息コントロール質問票(ACQ-5)のスコア(0~6点、点数が高いほどコントロールが不良)の0.75点以上の増加のいずれかと定義された。初回喘息悪化までの期間:40日vs.86日 214例が登録され、リサンキズマブ群に105例(平均年齢[±SD]54±11歳、女性65.7%)、プラセボ群に109例(52±13歳、58.7%)が割り付けられた。 初回喘息悪化までの期間中央値は、リサンキズマブ群が40日と、プラセボ群の86日に比べ短かった(ハザード比[HR]:1.46、95%信頼区間[CI]:1.05~2.04、p=0.03)。 また、喘息悪化の年間発生の率比は1.49(95%CI:1.12~1.99)、重度急性増悪の年間発生の率比は1.13(0.75~1.70)であり、いずれもリサンキズマブ群のほうが不良であった。 喀痰を用いたトランスクリプトーム経路解析では、リサンキズマブによって、ナチュラルキラー細胞と細胞傷害性T細胞の活性化に関与する遺伝子、および1型ヘルパーT細胞と17型ヘルパーT細胞の転写因子の活性化に関与する遺伝子が、ダウンレギュレートされたことが示された。 リサンキズマブ療法に関連する安全性の懸念はなく、有害事象および重篤な有害事象の発生は両群で同程度であった。 著者は、「リサンキズマブは喀痰細胞数に影響を及ぼさなかったが、細胞傷害性T細胞やナチュラルキラー細胞を介する気道免疫に関連する遺伝子経路を減弱させた。これらの知見は、喘息治療の標的としてのインターロイキン-23/17型ヘルパーT細胞連関の役割を弱体化するものである」としている。

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第82回 今年のインフル流行危機は南半球ではなく南アジアから学べ!?その傾向と対策は

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の新規感染者報告数は減少し、すでに全国での1日の新規感染者報告数は10月末から300人を切る日が続いている。危機はほぼ去りつつあるのかどうかは、現時点ではまったくわからない。もっとも政府が新型コロナワクチンの2回接種完了者全員を3回目接種対象者としたことからもわかる通り、当面は国を挙げての新型コロナ警戒態勢が継続することは確実だ。そうした最中、11月に入り私は娘と共に今季のインフルエンザワクチン接種を済ませた。いつもワクチン接種でお世話になっているクリニックで接種したのだが、旧知の院長からは「よく予約取れたね」と言われた。このクリニックではインフルエンザワクチン接種予約はwebでできる。例年だと10月に入ってすぐ予約を入れるのだが、今年はクリニック側が予約を開始したのが10月半ば。しかも予約ページを覗くと、例年と比べ予約枠がきわめて少なく、油断していたら10月中はすべて埋まっていた。1週間前の朝8時から予約が入れられるシステムなので、10月最終週のとある日、朝8時前からクリニックのホームページを開きスタンバイして予約を入れた。予約完了確認メールがすぐ送られてきて、ほっとして再度ページを確認すると、私が予約した日の枠はすでに完全に埋まっていた。時計を見ると午前8時4分だった。そんなこんなで済ませたインフルエンザワクチンだが、新型コロナが流行し始めた昨年は、冬期シーズンを前に「新型コロナとインフルの同時流行はあるのか?」と騒がれた。結局、昨年1年間のインフルエンザ定点報告数は約56万人、一昨年の約188万人からは激減し、同時流行の懸念は杞憂に終わった。では今シーズンはどうなるだろうか? 日本感染症学会の「2021-2022年シーズンにおけるインフルエンザワクチン接種に関する考え方」が一番まとまっていてわかりやすい。端的に言えば、北半球の冬の流行予測の参考になる南半球の冬、すなわち北半球の夏の時期を見ると、インフルエンザ確定患者数はごく少数なため、北半球でも冬の流行の可能性は低いのではないかというのが大枠の見方だ。ただし、ここでは一つ不安要素を挙げている。それはアジアの亜熱帯地方、具体的には南アジアのインドやバングラデシュで夏季に流行が認められたこと。このことから今後の人流増加も加味すると、これら地域からのインフルエンザ「輸入」もありうるということだ。昨シーズンに流行がなかったことなどを加味すれば、日本国内は集団免疫が乏しいと考えられ、この観点からインフルエンザワクチンの接種を推奨している。さてここで気になるのがこの南アジアでのインフルエンザ流行状況だ。世界保健機関(WHO)によるインフルエンザのサーベイランス「FluNet」を参照すると、インドとネパールは今年の第25週あたりを機にインフルエンザの増加が見られ、第33週前後にピーク、それから徐々に減少している。当初はA(H1N1)pdm09が主流で、ピークを過ぎてからB(ビクトリア系統)が徐々に出現し、第37週以降はB(ビクトリア系統)が主流だ。一方、バングラデシュは今年の第20週あたりを境に増加し、第23週にピークを迎え、そこから徐々に減少して収束したかに見えたが、第35週を境に再び増加に転じ、第38週にピークを迎えて減少傾向となっているものの今も比較的高い水準の感染状況だ。こちらの流行株は当初、B(ビクトリア系統)が中心で第35週以降の第2波がA(H1N1)pdm09とインド、ネパールとは逆である。昨今の出入国管理統計の速報値を見ると、東京五輪関係の入国もあったとみられる7月と比較して、最新の9月時点はインドからの入国者が10%増(603人)、バングラデシュからは3.8倍(181人)、ネパールからは15倍(1,110人)と絶対数はまだまだ少ないものの明らかに増加傾向にある。感染症学会が指摘する「輸入」の危険は一定程度存在する。だが、それ以上に不気味なことがある。それはインフルエンザの流行動向がやや異なるインド・ネパールとバングラデシュ共に新型コロナの新規感染者報告数がピークを過ぎ、ほぼ収束に向かった時期にインフルエンザの流行が始まっているという共通点だ。新型コロナ収束の間隙を突いてインフルエンザが流行しやすいならば、まさに今の日本がその時期である。そしてその時期に前述のように流行地域からの人流は増加傾向にある。加えて日本国内では従来からインフルエンザワクチンの接種率は約3人に1人と決して高くない。さらに言えば、今年はワクチンの品薄の影響で高齢者でもまだ接種に至っていないケースは少なくない。かなり悪い条件が揃い過ぎていると言わざるを得ない。もっともインフルエンザに関しては、新型コロナに比べれば致死率も低く、流行地域などからの入国制限のような水際対策は非現実的である。結局、最終的な解決法としてはワクチン接種率をいかに上げるかに行き着かざるを得ない。まだまだ新型コロナの脅威が去ったわけではない今、致死率が低いとはいえ新型コロナと臨床診断で鑑別しにくいインフルエンザが流行すれば、医療現場はかなりの緊張と混乱を強いられる。昨年囁かれた「新型コロナ・インフルのダブルパンデミック」が現実とならなかったのは幸いだったが、その反作用として一般人からすると、私たちメディアも医療側も結果として「オオカミ少年」になってしまった。そうした雰囲気と「コロナ疲れ」がベースにある中で、一般人にいかにインフルエンザワクチン接種の重要性を認識してもらうか。私たちは昨年以上に心してかからねばならないだろうと思っている。

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ファイザー製ワクチン後、4ヵ月と6ヵ月で効果の差は?/NEJM

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のデルタ変異株に対する免疫は、2回目のワクチン接種から数ヵ月後には全年齢層において減弱したことが、イスラエル・Technion-Israel Institute of TechnologyのYair Goldberg氏らの研究で示された。イスラエルでは、2020年12月から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するBNT162b2ワクチン(Pfizer-BioNTech製)の集団接種キャンペーンが開始され、大流行が急激に抑制された。その後、SARS-CoV-2の感染例がほとんどない期間を経て、2021年6月中旬にCOVID-19の流行が再燃。その理由として、デルタ(B.1.617.2)変異株に対するワクチンの有効性の低下と、免疫の減弱が考えられたが、イスラエルにおけるデルタ変異株に対するBNT162b2ワクチン免疫の減弱の程度は不明であった。NEJM誌オンライン版2021年10月27日号掲載の報告。ワクチン接種完遂後の感染率と重症化率を接種時期別に比較 研究グループは、2021年6月以前にワクチン接種を完遂したすべてのイスラエル住民を対象として、全国データベースを用いて2021年7月11日~31日における、確認された感染および重症化に関するデータを収集した。 ポアソン回帰モデルを用いて、ワクチン接種時期別のSARS-CoV-2への感染と重症COVID-19の発生を、年齢で層別化し交絡因子を補正して比較検討した。ワクチン完遂が2ヵ月早い人の感染率は1.6~1.7倍 7月11日~31日における感染率は、60歳以上では、2021年1月(接種対象となった最初の時期)にワクチン接種を完遂した人のほうが、2ヵ月後の3月にワクチン接種を完遂した人より高率であった(率比:1.6、95%信頼区間[CI]:1.3~2.0)。 40~59歳でも、同年齢層の接種開始月である2月にワクチン接種を完遂した人のほうが、2ヵ月後の4月に接種した人より高率であった(率比:1.7、95%CI:1.4~2.1)。16~39歳でも、3月(同年齢層の接種開始月)にワクチン接種を完遂した人は、2ヵ月後の5月に接種した人と比較して感染率比が1.6(95%CI:1.3~2.0)であった。 重症COVID-19の発生率については同様の比較において、60歳以上では率比が1.8(95%CI:1.1~2.9)、40~59歳で2.2(0.6~7.7)であった。16~39歳では症例数が少なく率比を算出できなかった。

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第82回 新型コロナとインフルエンザ「同時流行」の可能性は?

先週末の総選挙では、自民党単独では公示前の議席を減少させたものの、国会を安定的に運営できる「絶対安定多数」は確保した。閣僚による不祥事などが起きない限り、今後は安定的に政権を運営でき、医療界では新たな医療体制の構築や次期診療報酬改定に向けた動きが期待されている。医療界にとっての懸念は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第6波の動向と共に、今冬のインフルエンザの行方だろう。早くも、インフルエンザワクチンが新型コロナの影響で足りないという。地域によっては、インフルエンザワクチンの接種予約がかなり困難な状況で、子どもの予約を取るために、いくつもの医療機関に50回近く電話をかけ続けたという母親も。Twitterには「インフルエンザの予約が取れない。子どもはコロナ打てないんだから、インフルくらい打たせて」といった親たちの切実な叫びが綴られている。コロナ対応のあおりでインフルワクチンは供給不足日本感染症学会は9月、今年はインフルエンザが大きな流行を起こす可能性もあるとのメッセージを発信した。例年のインフルエンザの感染者数は約1,000万人だが、昨シーズンは3密回避・手洗い・うがいの徹底などが奏功して約1万4,000人にまで減少した。しかし、それによってインフルエンザの免疫を持つ人が減少し、日本全体が感染しやすい状態になっているという。12歳以下の子どもの場合、インフルエンザワクチンは2回接種が必要だが、「2週間後ぐらいに2回目接種をしないと、ワクチンが足りなくなる可能性がある」と言う医師もいる。都内のあるクリニックでは、当初10月~12月までのインフルエンザワクチンの予約を受け付けていたが、10月分から予約を制限しており、11月分の新規予約は受け付けないという。なぜワクチン不足の状況になっているのか。厚生労働省によると、今年は10月第5週の時点では全体の65%の出荷量にとどまっており、11月~12月中旬頃まで継続的にワクチンが供給される見込みだ。厚労省は9月、各都道府県にインフルエンザワクチンの供給が遅れることを通達。世界的に原料が不足している上、ワクチン製造で使う部品が新型コロナ用に回され確保が難しくなっていることから、供給が遅れる見通しだという。今季の供給予定量は、2,567~2,792万本(1本:大人2回分)の見込みで、昨シーズンの8割程度だ。経済活動再開でインド・バングラのウイルス拡散もこのような状況下、果たして新型コロナとインフルエンザの同時流行はあるのだろうか。「同時流行はあり得る」と言い切るのは、感染症専門の大学教授だ。インフルエンザ流行の可能性について、日本感染症学会は以下の2つの理由を挙げる。まず前述の通り、前のシーズンにインフルエンザがほとんど流行しなかったため、集団免疫が形成されていない可能性があること。もう1つは海外の要因だ。今夏、インドおよびバングラデシュでインフルエンザが流行しており、国境を越えた人々の移動が再開されれば、世界中にウイルスが拡散される懸念があるという。新型コロナとインフルエンザ、各々の症状には発熱と咳という共通した症状があり、同時流行が起きた場合、にわかに区別が付きにくい。そのため、インフルエンザが流行すれば医療現場に双方の患者が混在し、混乱と逼迫を招く可能性がある。厚労省によると、新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンは原則、同時接種は不可だが、2週間空ければ他方のワクチンも接種可能となる。ただ、あまり双方にとらわれ過ぎると、子どもの場合、その他の疾患の早期発見に遅れを来す懸念もあるだろう。新型コロナワクチン接種率のさらなる向上や、効果の高い治療薬の登場により、感染症としての位置付けが現状のままなのか、インフルエンザ並みになっていくのかが、今後の医療体制の構築に重要なポイントになるだろう。

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HPVワクチンとCOVID-19ワクチンの優先順位【今、知っておきたいワクチンの話】特別編2

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の陽性者の増加も落ち着き、新しい日常が始まっている。COVID-19ワクチンについても成人の2回接種率が約7割を超える(11月1日現在)とともに、12歳以上のCOVID-19ワクチン接種も進んでいる。そんな環境の中でHPVワクチン接種も引き続き定期接種として行われており、徐々にではあるが増えてきている。そのためか、定期接種の最終年にあたる高校1年生についてCOVID-19ワクチンとHPVワクチンの接種時期が重複した場合のスケジュール調整や両ワクチンのリスクなどについて相談が寄せられているという。今回本稿では、こうしたケースでの被接種者や被接種者の保護者への説明に医療者が知っておきたい事項を本コーナーの監修であり、家庭医として活躍されている中山 久仁子氏にお聞きした。※このインタビューは2021年10月23日に行いました。掲載内容もインタビュー時点の情報です。臨床現場からみた両ワクチンの接種の注意点質問:COVID-19ワクチン、HPVワクチンについて臨床の現場から最近の知見などを教えてください回答:COVID-19ワクチンについては、現在満12歳以上で接種できるようになり、接種が進んでいます。私のいる自治体では10代の接種率も80%を超えました。COVID-19は、若年者の重症化リスクは低く、無症状で経過する場合が多いです。ですから、COVID-19ワクチンはまずは基礎疾患がある方、今後受験・進学などのイベント、集団での活動を予定している方などは接種していただきたいです。また、第5波では小児は家庭内感染の一因にもなっていたため、家族への感染予防という観点からも接種のメリットがあると考えます。未成年者にCOVID-19ワクチンを接種した場合、成人と同様に局所の副反応などがあります。そして、とくに注意したいのが「心筋炎」です。発生する確率は非常に低いですが、10~20歳代の男性に接種した場合、接種後1週間ほどは激しい運動を避けていただき、接種後4日程度の間に発症のリスクが高くなりますので胸痛、動悸、息切れ、浮腫などの症状がないかの観察が必要です。ファイザー社と武田/モデルナ社のワクチンのいずれでも心筋炎は起こりますが、ファイザー社のワクチンの方が発生頻度の報告頻度は少ないですが、直接の比較検討の報告はありません。また、新型コロナ感染による心筋炎のほうが、ワクチン後のリスクよりも高いと報告されています(参考資料:令和3年10月15日厚生科学審議会資料)。海外ではより低年齢の小児への接種が承認されました。今後、日本での接種年齢が12歳未満に引き下げられるかは、臨床試験の結果と感染者数の推移などにより厚生労働省が決定しますので現段階では不明です。ただ、接種するかしないかは、「ワクチンの効果」と「COVID-19に感染したときのデメリット(症状や後遺症など)とワクチン接種でのデメリット(副反応)の比較」を考慮して被接種者に考えていただくことが大切です。被接種者が迷ったとき、不安なときには、かかりつけ医に相談していただき、正確な情報を基に判断してもらうようにしてください。次にHPVワクチンについて、本ワクチンのメインターゲットの子宮頸がんなどのHPV関連がんの発症は、HPVに感染してから時間がかかります。ワクチンによるHPV感染の減少と前がん症状の減少の効果については以前より報告がありましたが、最近子宮頸がんの減少が海外・国内1,2)から報告されています。また、ワクチン接種後の「多様な症状」とHPVワクチンとの因果関係を示す根拠は報告されておらず、これらは機能性身体症状と考えられるとの見解が発表されています。名古屋スタディ3)でも「多様な症状」がHPVワクチン接種後に特有の症状ではないことが示され、海外でもワクチン接種と機能性身体症状の研究レポート4)などもでており、世界保健機関(WHO)も世界中の最新データを継続的に評価し、HPVワクチンの推奨を変更しなければならないような安全性の問題はみつかっていないと発表しています。わが国ではしばらく積極的勧奨が差し控えられていますが、今後は、HPVワクチンの接種機会が増えてくると思われます。その際、接種時に被接種者の不安や緊張感を減らすことが大切です。接種の際に、緊張させないため十分なコミュニケーションをとり、接種のメリットと起こりうる副反応についてあらかじめ説明して理解してもらい、納得した上で接種することが大切です。HPVワクチンのトピックスとして、9価ワクチン(商品名:シルガード9)が2020年に製造販売承認され、2021年2月24日に発売、使用できるようになりました。定期接種ではありませんが任意接種で使用できます。本ワクチンは世界的に主流となってきています。確認としてHPVワクチンの標準的なスケジュール(図1)と緊急の場合のスケジュール(図2)を示します。図1 HPVワクチン接種の標準スケジュール画像を拡大する図2 HPVワクチン接種 標準的な接種ができない場合のスケジュール画像を拡大する定期接種最終年であれば先にHPVワクチンを接種質問:COVID-19ワクチンとHPVワクチンが重複した場合の優先順位、スケジュールなど教えてください。回答:今問題になっているのは、11月中に高校1年生の女子学生がHPVワクチンの1回目接種をしないと3回目が定期接種の枠から外れてしまうことです。そのためHPVワクチンとCOVID-19ワクチンでは、どちらを先に接種した方がよいかという問題があります。結論から言いますと、定期接種の期間に接種するために「HPVワクチンを優先して接種した方がよい」と言えます。HPVワクチンと新型コロナワクチンの標準的なスケジュールは、4価ではHPVワクチンの初回の接種後にCOVID-19ワクチンを2回接種し、その後2回目のHPVワクチンを接種するスケジュールになります。2価は1回目と2回目の間が1ヵ月のため、1回目と2回目のHPVワクチンを接種してから、2回目の接種後2週間以降にCOVID-19の接種を開始します。期間が短くて標準的な接種ができない場合のモデルスケジュールを図3に示します。2価・4価ともに1回目と2回目の間が1ヵ月のため、HPVワクチンの1回目と2回目を接種して、2回目の接種後2週間以降にCOVID-19の接種を開始します。図3 HPVワクチンを標準的な接種ができない場合のスケジュールとCOVID-19ワクチン画像を拡大するなお、COVID-19ワクチンの接種の際に注意すべき点として、ワクチンを接種するとき前後2週間の間隔を空ける必要があります。これは、副反応などが起きた場合、どのワクチンとの関係があるかの確認のためです。また、COVID-19ワクチンの接種の際にHPVワクチンのスケジュールと情報提供を行うと、今後のスムーズな接種に役立ちます。被接種者に寄り添ったワクチン接種を最後にHPVワクチンの動向として、今後もさまざまなワクチンの効果などに関するエビデンスがでてきますので注目してほしいと思います。厚生労働省も2020年10月と21年1月に各自治体に対し「接種対象者に被接種者である旨のお知らせの送付について」事務連絡を行いました。この事務連絡により、自治体は被接種者に被接種者であることを通知できるようになりました。年間3千人もの方が子宮頸がんで亡くなっていることを考慮しますと、対象者に被接種者であるお知らせが届き、正確な情報が伝わることは大事なことです。同様に文部科学省では、2021年3月に「がん教育推進のための教材」が改訂され、がんの予防にワクチン接種による感染対策が有効であること追加されました。今後は自治体や学校など、地域においてワクチンで病気を予防することの教育や啓発を行っていっていただけると期待しています。HPVワクチンを接種する医療者は、ワクチンの効果と副反応の説明をしっかりと行い、副反応がでた場合には、その対処や必要時に紹介できる体制などをあらかじめ確認しておき、安心して接種できる環境にすることが望まれます。そして、日常診療やインフルエンザワクチンなどで接種対象者が外来などに受診した場合には、その方に必要で接種可能なワクチンについて情報提供することで、ワクチンで予防できる疾患の予防について、本人に伝えていっていただきたいと思います。参考となるサイトこどもとおとなのワクチンサイト(日本プライマリ・ケア連合学会)ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~(厚生労働省)1)Lei J, et al. N Engl J Med. 2020;14:1340-1348.

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第84回 COVID-19を防ぐ遺伝子変化を見つける国際研究が発足

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染して発症した人と接したにもかかわらず感染を免れたそれらの同居家族、とくに、感染者の非感染配偶者(serodiscordant spouse)や感染者と寝床が一緒の非感染者のゲノムやエクソームを解析して感染防御に大いに貢献している遺伝子変化を同定する試みが始まっています1,2)。感染を防ぐ遺伝子変化は他の病原体の研究で少ないながら3つほど見つかっています。1970年代に赤血球のDuffyという抗原の欠如がそれら細胞の三日熱マラリア原虫感染を阻止することが突き止められ、1990年代になってその欠如がGATA転写因子結合領域を妨害してDuffy遺伝子プロモーターの活性を損なわせる遺伝子変異によって引き起こされることが判明しました3)。同じく1990年代にはHIVの共受容体CCR5(別名:CKR5)の欠損がその感染を防ぐことが判明し4-6)、2000年代に入るとFUT2欠損がノロウイルスの胃腸感染を阻止することが明らかになります7)。Duffy遺伝子プロモーターと三日熱マラリア原虫のDuffy結合タンパク質、CCR5とHIVのgp120-gp41二量体の関係と同様にFUT2はノロウイルスのカプシドタンパク質VPgの結合相手です。それら3種の関連のどれをとっても病原体の細胞侵入を図らずも手助けする受容体や共受容体の完全な欠損が感染防御を担うことは単なる偶然ではなさそうであり、SARS-CoV-2感染でも同様の防御の仕組みが存在するらしいことがこれまでの研究で示唆されています。今年6月にmedrxivに発表された全ゲノム関連解析(GWAS)結果8)によるとSARS-CoV-2のスパイクタンパク質の受容体ACE2の遺伝子近くの変化がSARS-CoV-2感染を防ぐ役割を担い、どうやらその変化はACE2発現を減らすようです。7月に発表されたメタ解析9)ではSARS-CoV-2の感染しやすさと血液型が関連することが確実になりました。血液型O型のSARS-CoV-2感染防御の仕組みはまだはっきりしていませんが、血液型抗原は微生物の受容体や共受容体を担いうることがわかっており、SARS-CoV-2もそうなのかもしれません。血液型O型のSARS-CoV-2感染防御効果は微々たるものです。全世界の10の研究所からのチームが立ち上げた今回の取り組みはSARS-CoV-2感染を強力に防御する希少な遺伝子変化を明らかにすることを目標の一つとしています。そのような遺伝子変化は感染の仕組みの理解を助けることに加えて、CCR5欠損の同定とCCR5遮断薬マラビロック(maraviroc)がすでに証明している通り、SARS-CoV-2感染の予防や治療の開発にも役立つでしょう。マラビロックはHIV感染治療の一画を占める存在となっています。先月中旬にNature Immunology誌に掲載された試験の紹介によるとすでに被験者数は400人を超えており1)、その掲載から2週間と経たない間にロシアやインドなどの600人ほどから試験への参加を自薦する問い合わせがありました2)。試験は少なくとも千人を集めることを目指しており、世界中からの参加を歓迎すると研究者は言っています2)。参考1)Andreakos E,et al. Nat Immunol. 2021 Oct 18:1-6. [Epub ahead of print]2)The search for people who never get COVID / Nature3)Tournamille C,et al. Nat Genet. 1995 Jun;10:224-8. 4)Samson M,et al.Nature.1996 Aug 22;382:722-5.5)Liu R,et al.Cell . 1996 Aug 9;86:367-77.6)Dean M,et al.Science. 1996 Sep 27;273:1856-62.7)Lindesmith L,et al.Nat Med. 2003 May;9:548-53.8)Genome-wide analysis in 756,646 individuals provides first genetic evidence that ACE2 expression influences COVID-19 risk and yields genetic risk scores predictive of severe disease. medRxiv. June 10, 20219)COVID-19 Host Genetics Initiative. Nature 2021 Jul 8. [Epub ahead of print]

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第76回 過労自殺の半数はうつ病発症から6日以内/過労死等防止対策白書

<先週の動き>1.過労自殺の半数はうつ病発症から6日以内/過労死等防止対策白書2.12月開始の3回目ワクチン、接種対象者は限定せず/厚労省3.新型コロナワクチンの接種率、日本は人口の7割に到達4.制度にそぐわないDPC病院に是正か退出を/中医協5.研修医マッチング、昨年に続き6割以上が大学病院外で内定1.過労自殺の半数はうつ病発症から6日以内/過労死等防止対策白書政府は、「過労死等防止対策白書」を10月26日に閣議決定した。これは2014年に成立した過労死等防止対策推進法に基づいて国会に毎年報告を行っており、過労死等の概要や政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況を取りまとめたもの。今回の白書によれば、うつ病など精神障害で労災認定された過労自殺者は、発症から6日以内と短期間で亡くなる人が半数に上るとの調査結果が明らかとなっており、より一層の対策を求めている。(参考)コロナ影響の悩み、ストレスチェックで気付きを 厚労省が過労死等防止対策白書を公表(CBnewsマネジメント)過労自殺の半数、うつなど発症から6日以内 厚労省報告(日経新聞)資料 令和3年版過労死等防止対策白書の概要(厚労省)2.12月開始の3回目ワクチン、接種対象者は限定せず/厚労省厚生労働省は、10月28日に厚生科学審議会予防接種を開催し、新型コロナウイルスワクチンの追加接種(3回目)の対応方針をめぐって議論を行った。国内外の感染動向やワクチン効果の持続期間、諸外国の対応状況から、追加接種の必要があるとした。また、追加接種の時期は2回目接種完了からおおむね8ヵ月以上経過後に実施、使用するワクチンは、原則1・2回目に用いたワクチンと同一のものを用いることとされる。3回目接種の実施対象者は、高齢者や重症化リスクのある人に限定せず、2回目接種が完了したすべての人とする方針で一致した。(参考)“3回目接種”12月から順次開始へ 気になる副反応は(NHK)3回目ワクチン接種、対象者を限定せず 2回目終えた全員に、厚科審・分科会(CBnewsマネジメント)資料 新型コロナワクチンの接種について(厚労省)3.新型コロナワクチンの接種率、日本は人口の7割に到達政府は10月26日に、新型コロナウイルスワクチンの2回目接種を終えた人が、全人口の70.1%である8,879万人に到達したと発表した。アメリカは全人口の57%、フランス68%、イギリス67%、ドイツ66%であり、G7では2位のイタリア(71%)とほぼ肩を並べ、1位のカナダ74%に次ぐトップ水準となった。(参考)新型コロナワクチンについて(内閣府)ワクチン2回接種終えた人、人口の7割超える…海外より高水準(読売新聞)人口7割がワクチン完了 G7でトップ水準(産経新聞)Which countries are on track to reach global COVID-19 vaccination targets?(Our World in Data)4.制度にそぐわないDPC病院に是正か退出を/中医協厚労省は10月27日に中央社会保険医療協議会 診療報酬基本問題小委員会を開催し、2022年度診療報酬改定に向けて検討結果の取りまとめを行った。そこでDPC病院において、診療密度や在院日数が平均から外れている病院も認められ、DPC制度にそぐわない可能性があると指摘があったことから、調査報告について、支払い側の委員から「イエローカードを出し、それでも是正がなければレッドカードを出すべきだ」と意見が出された。今後、DPC制度にそぐわない病院をどのように対処するか仕組みの検討がなされるだろう。(参考)DPC外れ値病院、当面は「退出ルール」設定でなく、「診断群分類を分ける」等の対応検討しては―入院医療分科会(Gem Med)DPC外れ値病院へ、「是正なければレッドカードを」中医協・小委で支払側委員(CBnewsマネジメント)資料 第206回 中央社会保険医療協議会 診療報酬基本問題小委員会(厚労省)5.研修医マッチング、昨年に続き6割以上が大学病院外で内定厚労省は10月28日に、2021年度「医師臨床研修マッチング」の結果を発表した。新医師臨床研修制度が2004年4月に導入され、その翌年から大学病院以外の研修病院で研修を受ける医師が半数を超えている。今回、大学病院の内定割合36.7%(前年度38.1%)に対し、大学病院以外の臨床研修病院での内定割合は63.3%(前年度61.9%)と、大学病院以外での研修がさらに浸透してきていることが明らかとなった。(参考)2022年4月からの臨床研修医、都市部6都府県以外での研修が59.2%、大学病院以外での研修が63.3%に―厚労省(Gem Med)医師臨床研修の内定者数が増加 厚労省が2021年度のマッチング結果公表(CBnewsマネジメント)資料 令和3年度 研修医マッチングの結果(医師臨床研修マッチング協議会)資料 2021年度 研修プログラム別マッチング結果(同)

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コロナ禍で子供の神経性やせ症が増加/成育医療研究センター

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による外出自粛は社会経済上、多大な負の影響を及ぼした。また、子供たちはおいては学校に登校できない、当たり前にできていた運動会や修学旅行などの学校行事の中止や延期などでつらい時間を過ごしている。こうしたCOVID-19による社会変動は、子供たちにどのような影響を及ぼしているのであろう。 国立成育医療研究センター(理事長:五十嵐隆)は、子供の心の診療ネットワーク事業の一環で、「新型コロナウイルス感染症流行下の子供の心の実態調査」を実施。その結果を10月21日に発表した。 この調査は、全国26医療機関が参加したもので、コロナ流行前の2019年度と比較し、2020年度では神経性食欲不振(神経性やせ症:摂食障害の1つ。極端に食事制限をしたり、過剰な食事後に吐き出したり、過剰な運動を行うなどして、正常体重より明らかに低い状態になる疾患)の初診外来患者数が約1.6倍、新入院者数が約1.4倍に増加していたことが判明した。神経性やせ症が増加した一方で病床が足りない 本調査はコロナ禍の子供の心の実態調査を把握するため、2021年4月30日~6月30日に実施。子供の心の診療ネットワーク事業の全国26医療機関にアンケートを送付し、20歳未満の患者について回答を得たものを解析・集計した。 調査結果のポイントは下記の通り。・コロナ禍で、食事を食べられなくなる神経性やせ症が増加・子供の心の診療ネットワーク事業拠点病院から、コロナ禍で神経性痩せ症の患者が重症化し、入院期間が延びているとの報告があった・一方で、摂食障害の患者のための病床数が不足していることがわかった。摂食障害の病床充足率について回答があった5施設の内、4施設で病床使用率が増加し、充足率(現時点で摂食障害で入院している患者数/摂食障害の入院治療のために利用できる病床数×100)が200%を超える施設が2施設あった。摂食障害を治療できる医療機関が少ないこともあり、特定の施設に入院患者が集中していることが推測される。また、COVID-19感染者への病床数を増やしたため、摂食障害の患者の入院まで対応できなくなったことが影響している可能性も考えられる・神経性やせ症の患者増加の背景には、緊急事態宣言や学校の休校などの生活環境の変化によるストレス、子供たちが感染対策のために家に引きこもっていること、行事などのアクティビティが中止になったこと、友達に会えないこと、COVID-19感染症への不安などがあると推測される。当センターが実施した「コロナ×こどもアンケート」の第3回調査では、回答者(6〜18歳)全体の73%に、第5回調査では76%に、何らかのストレス反応がみられた・コロナ太り対策のダイエット特集の報道やSNSでの情報に、子供たちが影響された可能性も考えられる・「コロナ×こどもアンケート」の第4回調査では、「あまり食欲がない、または食べ過ぎる」と回答した子供(9~18歳)が、全体の約半数だった。また、同第5回調査では、いまの自分の体型について回答者(9~18歳)全体の38%が、「太りすぎ」「太りぎみ」と思っていると回答し、48%が痩せたいと思っていると回答した。さらに、痩せるために、回答者全体の4%が「食事の量を普段の3分の2以下に減らす」、2%が「食べたものを吐く」と回答していた。これらから、「コロナ禍の子供の心の実態調査」で判明した患者数以上に、摂食障害の潜在患者や予備軍の子供がいる可能性も推測される 以上の調査結果をうけ、「神経性やせ症患者が増加し、また入院日数も伸びていることから、入院病床数を確保することが必要であり、摂食障害を診察できる医療機関の拡充も求められる。神経性やせ症の場合、本人が病気を否認して医療機関での受診が遅れがちとなる。子供の食欲や体重の減少に家族や教育機関で気を配り、深刻な状態になる前に、まずは内科、小児科などのかかりつけの医を受診することが必要」とコメントしている。

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12~18歳のデルタ株への感染予防効果90%、ファイザー製ワクチン/NEJM

 デルタ変異株が流行しているイスラエルで、ファイザー製ワクチンの効果を12~18歳を対象とした観察コホート研究で調べたところ、2回目接種後7~21日の感染予防の有効率は90%、発症予防の有効率は93%だった。この結果から、ファイザー製ワクチンの接種完了後数週間は、デルタ株への感染とCOVID-19発症のどちらにも非常に有効であることが示唆された。米国・Boston Children's HospitalのBen Y. Reis氏らが、NEJM誌オンライン版2021年10月21日号のCORRESPONDENCEで報告した。 著者らは、デルタ変異株に対するファイザー製ワクチン(BNT162b2 mRNAワクチン)の有効性を推定するために、イスラエル最大の医療機関であるClalit Health Servicesのデータを使用し、2021年6月8日~9月14日にワクチン接種を受けていた新型コロナウイルス感染歴のない12~18歳を対象に観察コホート研究を実施した。ワクチンの有効率は、1からリスク比を引いた数字とした。 主な結果は以下のとおり。・ワクチン接種者18万4,905人のうち、13万464人が適格要件を満たし、このうち9万4,354人がワクチン未接種の対照9万4,354人と一致した。・PCR検査の頻度は、ワクチン接種群とワクチン未接種群で同様だった。・感染のカプランマイヤー曲線は、最初の数日間はワクチン接種群と未接種群で類似していたが、その後ワクチン接種群で上昇が遅れ始めた。・新型コロナウイルス感染に対する推定有効率は、初回接種後14~20日で59%(95%信頼区間[CI]:52~65)、初回接種後21~27日で66%(同:59~72)、2回目接種後7~21日で90%(同:88~92)だった。・COVID-19発症に対する推定有効率は、初回接種後14〜20日で57%(95%CI:39〜71)、初回接種後21〜27日で82%(同:73〜91)、2回目接種後7〜21日目で93%(同:88〜97)だった。

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6~12歳未満にコロナワクチン半量投与で強い抗体、第III相試験中間解析/モデルナ

 米国・モデルナ社は10月25日付のプレスリリースで、同社の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンについて、12歳未満の小児を対象にした第II/III相試験の中間解析のデータを公表した。公表したのは6歳~12歳未満のコホートで、良好な安全性プロファイルを有するmRNA-1273ワクチン50μg(通常100μgのところ、その半量)を2回投与したところ、強い中和抗体応答を示したという。モデルナは、本解析結果を近く米国食品医薬品局(FDA)をはじめ、海外諸国の規制当局に提出する。 モデルナが6ヵ月~12歳未満の小児を対象に実施している第II/III相試験(KidCOVE試験)では、6ヵ月~2歳未満、2~6歳未満、6歳~12歳未満の3つの年齢層に分け、mRNA-1273ワクチン50μgを2回接種した際の安全性、忍容性、反応原性および有効性を評価している。このうち6歳から12歳未満のコホートには4,753例が登録。第III相COVE試験(18歳以上対象、mRNA-1273ワクチン100μg×2回接種)で得られた若年成人と本コホートを比べたSARS-Cov-2血清中和抗体価の幾何平均比(GMR)は1.5(95%信頼区間[CI]:1.3~1.8)、血清反応率は99.3%だった。2回目接種の1ヵ月後に本コホートで強い免疫応答を示し、主要評価項目である第III相COVE試験を対照群として比較した免疫原性における非劣性を達成した。有害事象の大半は軽度または中等度で、最も一般的な誘発有害事象は、疲労、頭痛、発熱、注射部位の痛みだった。KidCOVE試験では、引き続き6ヵ月~6歳未満の小児の登録を継続し、研究が続いている。 COVID-19ワクチンを巡っては、米国・ファイザー社でも小児を対象とした臨床試験を進めている。同試験では、5~11歳の小児に対し、BNT162b2ワクチンの2回接種後7日以降の発症予防率が90.7%を示すデータが先ごろ公表され、FDAの諮問委員会は10月26日、ファイザー製ワクチンの緊急使用承認(EUA)の対象を5~11歳にも拡大するよう勧告した。

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小児における抗うつ薬の投与量の推移と向精神薬増強療法との関係

 米国・メリーランド大学のO' Mareen Spence氏らは、小児における抗うつ薬治療開始後最初の6ヵ月間の抗うつ薬の投与量を調査し、その投与量と他の向精神薬による増強との関連について評価を行った。Pharmacoepidemiology and Drug Safety誌オンライン版2021年9月16日号の報告。 対象は、米国の商業保険患者に関する包括的なデータベースであるIQVIA PharMetrics Plusを用いて特定された、2007年1月~2015年6月に新規で抗うつ薬治療を開始した3~18歳のうつ病患者5,655例。新規抗うつ薬使用の定義は、治療開始前1年以内での抗うつ薬使用がないこととした。抗うつ薬治療開始6ヵ月間における投与量の推移は、潜在クラス成長分析を用いて分類した。アウトカムは、レジメンの変更(他の向精神薬による増強療法、他の抗精神病薬への切り替えの有無にかかわらず抗うつ薬の中止)とした。抗うつ薬治療開始前6ヵ月間に測定したベースラインの共変量は、人口統計学的要因、精神医学的併存疾患、医療サービスの利用であった。抗うつ薬の投与量の推移とレジメン変更とのオッズ比(OR)の算出には、多項ロジスティック回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・抗うつ薬の投与量の推移は、以下の5つに分類された。 ●急激な減量:897例(16%) ●ゆっくりと減量:1,029例(18%) ●最小用量で安定:1,397例(25%) ●最大用量で安定:1,783例(32%) ●高用量への増量:549例(10%)・最小用量で安定した患者と比較し、急激な減量およびゆっくりと減量を行った患者では、抗うつ薬を中止する可能性が高かった。【他の向精神薬への切り替え】 ●急激な減量(OR:5.91、95%CI:3.23~10.80) ●ゆっくりと減量(OR:1.67、95%CI:1.04~2.68)【すべての向精神薬中止】 ●急激な減量(OR:6.64、95%CI:4.24~10.39) ●ゆっくりと減量(OR:1.62、95%CI:1.22~2.13)・最大用量で安定および高用量への増量を行った患者は、他の向精神薬への切り替えよりも、治療を中止する可能性が低かった。【どちらかの切り替え】 ●最大用量で安定(OR:0.38、95%CI:0.24~0.61) ●高用量への増量(OR:0.30、95%CI:0.16~0.59)【すべての向精神薬中止】 ●最大用量で安定(OR:0.15、95%CI:0.12~0.20) ●高用量への増量(OR:0.02、95%CI:0.01~0.03) 著者らは「抗うつ薬治療開始6ヵ月間の抗うつ薬の投与量の推移は、他の向精神薬による増強療法に影響を及ぼしていることが示唆された」としている。

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第83回 小児にCOVID-19抗体は生じ難い~ワクチンは有望で効果91%

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染した成人はほとんど(90%超)が抗体反応を示し、それらの抗体は少なくとも12ヵ月間は持続するようです1)。感染を経て抗体ができた成人の更なる感染は7~9割ほど少なくて済むようになることが示されています2,3)。一方、SARS-CoV-2感染(COVID-19)小児のどれほどが抗体を備えるかはわかっていませんでした。無症状や軽症の小児はなおさらそうです。そこでオーストラリアのMurdoch Children’s Research Instituteの感染/免疫研究者Paul Licciardi氏等は同国メルボルンの非入院の無症状か軽症のSARS-CoV-2感染患者108人を募って小児の抗体反応が成人とどう違うかを調べました4,5)。その結果、小児と成人のウイルス量は同程度だったにもかかわらずSARS-CoV-2への抗体ができていた小児の割合は成人のおよそ半分ほどでしかありませんでした。小児57人の年齢中央値は4歳で、それらのうち解析が可能だった54人のおよそ4割(37%;20/54人)にしかSARS-CoV-2への抗体ができていませんでした。成人は51人(年齢中央値37歳)のうち解析が可能だった42人の8割ほど(76%;32/42人)に抗体ができていました。抗体ができていた成人には細胞免疫も認められましたが、小児はそうなっておらず、小児が感染で確かな細胞免疫を確立することは難しいのかもしれません。SARS-CoV-2感染小児のほとんどは無症状か軽症で済んでいて入院を必要とすることはほとんどありません。しかしデルタ変異株をはじめとするSARS-CoV-2変異株の出現を受けて小児のSARS-CoV-2感染は2021年になって増えており、小児の免疫を危ぶむ声も上がっています。SARS-CoV-2に感染しても抗体ができなかった小児は再感染する恐れがあり、抗体ができ難い小児は長い目で見て成人に比べてSARS-CoV-2感染をより許してしまうのかもしれません。今回の結果によると小児をCOVID-19から守るためにワクチン接種を含む手立てを講じる必要があるようです5)。実際COVID-19ワクチンは成人や10代の若者と同様に幼い小児の感染予防の手立てとなりうることが今週開催される米国FDA諮問委員会に先立って先週末に公表された解析結果6,7)で示されています。第II/III相試験の第1集団2,268人の10月8日までのデータ解析の結果、Pfizer/BioNTechのmRNAワクチンBNT162b2は5~11歳小児のCOVID-19発症のほとんどを防ぎました。2,268人は2対1の割合でBNT162b2かプラセボに割り付けられ、BNT162b2投与群は1,518人、プラセボ群はその約半数の750人となりました。先立つ感染経験がない小児のCOVID-19発症数はBNT162b2投与群ではわずか3人でした。一方、プラセボ群はBNT162b2投与群より人数が少ないにもかかわらず16人がCOVID-19を発症し、BNT162b2は先立つ感染経験がない5~11歳小児のCOVID-19発症の90.7%を防ぎました。米国FDAの承認や疾病管理予防センター(CDC)の後押しが得られて事がすべてうまく運べば同国の5~11歳小児へのワクチン接種は来月11月の最初の週かその次の週には可能になるだろうと同国政府感染症対策のリーダーAnthony Fauci(アンソニー・ファウチ)氏は述べています8)。参考1)Feng C,et al. Nat Commun. 2021 Aug 17;12:4984.2)Rovida F,et al. Int J Infect Dis. 2021 Aug;109:199-202.3)Lumley SF, et al. N Engl J Med. 2021 Feb 11;384:533-540.4)Children with mild COVID-19 may lack antibodies afterward / Reuters5)Reduced seroconversion in children compared to adults with mild COVID-19. medRxiv. October 18, 20216)Pfizer Briefing Document / Vaccines and Related Biological Products Advisory Committee Meeting October 26, 20217)FDA Briefing Document / Vaccines and Related Biological Products Advisory Committee Meeting October 26, 20218)Wuhan research theory 'molecularly impossible': Fauci / abcNEWS

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