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第318回 女子医大プロポフォール事件、元准教授に有罪、元研修医に無罪の判決。「後知恵の意見で有罪とされているよう」と元准教授がコメント

事件発生から12年、業務上過失致死罪に問われた医師2人の判決は一人は有罪、もう一人が無罪こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。診療報酬が6月1日から改定されました。本体の改定率が30年ぶりに3%超えの3.09%(その大半は物価高や賃上げ対応に充てられましたが)となり、多くの医療機関はとりあえずはひと息つけそうです。今年度改定は2040年頃を見据えた「新たな地域医療構想」を先取りする形で急性期病院などの入院基本料が大きく変わりました。この改定で、地域の医療機関の再編統合や機能分担がこれからどれくらい進むのかが注目されます。そんな中、気になることがあります。国の財政運営の動きが今年は大きく遅れているのです。いつもは5月下旬に公表される財務省の財政制度等審議会の「春の建議」(昨年は5月27日公表でした)もまだ出ていません。来年度は社会保障改革、消費税減税に加え、いわゆる「戦略17分野」への予算措置も今年度に続き行わなければならず(17分野の官民投資ロードマップの公表も遅れています)、政府も財務省もお金がなさすぎて頭を抱えているのではないでしょうか。例年6月に公表される「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の公表も7月にずれ込むようです。今年の骨太方針は、経済・財政・社会保障を一体的に見直す内容になると言われています。医療を含めた社会保障には今まで以上に厳しい目が向けられそうです。まずは、「春の建議」(といってももう盛夏ですが)の公表を待ちたいと思います。さて、今回は事件発生から12年、東京女子医大プロポフォール事件で元准教授(66)に有罪判決が出ましたので、それについて書いてみたいと思います。業務上過失致死罪に問われた医師2人の判決は、1人は有罪、もう1人は無罪という対照的な結果となりました。書類送検されたのは麻酔科医6人、在宅起訴に至ったのはそのうち2人東京女子医大病院(東京都新宿区)で2014年2月、リンパ管腫で首の手術を受けた後に人工呼吸器を付けていた男児(当時2歳)が、鎮静剤プロポフォールの投与を受けた後に死亡した医療事故で、東京地裁は5月29日、当時、中央ICUの現場責任者で業務上過失致死罪に問われた麻酔科医の元准教授(66)に禁錮1年6ヵ月、執行猶予3年(求刑:禁錮1年6ヵ月)の判決を言い渡しました。一方、男児の容体の管理に関わった元後期研修医(44)に対しては無罪(求刑:禁錮1年)を言い渡しました。両被告とも投与と死亡に因果関係はないなどとして無罪を主張していました。2人は、2014年2月18~21日、首の腫瘍を取り除く手術を受け人工呼吸器を装着していた男児に対して鎮静剤プロポフォールを投与した際、心電図に異常がみられるなど容体に変化があったにもかかわらず投与を中止せず、男児を急性循環不全で死亡させたとして、2021年1月に起訴されました。この事件については、6年前の本連載「第30回 東京女子医大麻酔科医6人書類送検、特定機能病院の再承認にも影響か」、5年前の「第44回 女子医大プロポフォール事件、阪大・国循論文不正事件に新展開」でも詳しく取り上げました。事故当時、プロポフォールはICUで人工呼吸器を装着した子供への投与は添付文書上「禁忌」でしたが、厚生労働省は「禁忌はあくまで原則」との見解を示しており、警視庁はプロポフォールの投与自体は過失とはせず、安全管理を怠ったことに焦点を当て、2020年10月に書類送検に踏み切りました。この時、起訴を求める「厳重処分」の意見も全員に付けられました。書類送検されたのは麻酔科医6人でしたが、翌2021年に在宅起訴に至ったのは2人で、ほかの4人は関与の度合いなどを考慮した結果、起訴猶予となっています。その後、2021年6月には民事裁判で東京地裁が事故に関与した麻酔科医3人と小児を執刀した耳鼻咽喉科医2人の損害賠償義務を認定、起訴された2人の医師の刑事裁判は2023年12月からスタート、公判は実に計36回を数えました。薬剤を変更せず、漫然とプロポフォール投与を続ける判断をしたことについて「元准教授の注意義務違反の程度は非常に大きい」裁判では投与と死亡の因果関係や、容体の変化を認識した時点で投与中止などの処置をしていれば事故を回避できたかなどが争われました。エムスリー(5月29日付)や日本経済新聞(5月30日付)などの報道によれば、細谷 泰暢裁判長は判決理由で、男児の死因は急性循環不全であり、その原因として小児集中治療における人工呼吸管理の鎮静には禁忌のプロポフォールを高用量・長時間使用したことを挙げました。禁忌薬の投与それ自体が注意義務違反に当たるとはしませんでした。しかし、プロポフォール注入症候群(PRIS)の症状が生じた時点でも別の薬剤に変更せず、漫然と投与を続ける判断をしたことについて、「元准教授の注意義務違反の程度は非常に大きい」と結論付けました。一方、元後期研修医に対しては、当時は研修医で麻酔の専門知識がなく、鎮静剤の選択を日常的に行っていなかった点も踏まえると、死亡を具体的に予見できたとは認められない、としました。「個々の医師の経験や立場の違いによって求められる医療水準は異なる」という観点から、有罪無罪の判断も分かれたわけです。1998年発表の「Bray論文」に示された「4mg/kg/h以上・48時間以上」の目安裁判で大きなポイントとなったのが「プロポフォールの投与量の目安」でした。検察は男児の死亡はプロポフォール注入症候群による循環不全が死亡の原因であり、プロポフォールを高用量・長時間投与し続けたなどの過失があると主張。「4mg/kg/h以上・48時間以上」がその目安であるとし、男児に対しては計70時間15分、平均で「8.1mg/kg/h」投与されたと指摘しました。これに対し弁護側は、プロポフォールについて、検察が示すような目安は当時存在しなかったことなどから、過失はないと主張していました。「4mg/kg/h以上・48時間以上」は1998年に発表された、通称「Bray論文」1)で示されたPRIS発現の目安です。Bray論文はプロポフォールの長時間・高用量持続投与に関連して、代謝性アシドーシス、横紋筋融解、心不全、不整脈などを伴う重篤な病態が起こり得ることが整理され、PRISという概念が広く知られる契機になった論文とされています。「4mg/kg/h以上・48時間以上」は「当時の標準的な医療水準として求められるものであった」と認定判決では、このBray論文がPRISの事実上の診断基準としての役割を果たしているとしたうえで、「この(4mg/kg/hを48時間以上)数値を超えると、PRISの危険性が高まることを考慮した上で、プロポフォールの投与を開始あるいはその投与を継続するかを判断すべきものであったということが言える。このことは、当時の標準的な医療水準として求められるものであった」と認定しました。その上で、術後2日目午後の時点(8.1mg/kg/hを52時間以上にわたって持続投与されており、翌朝まで投与継続した場合には70時間前後になることが見込まれていた)で「直ちに代替薬剤を投与して、プロポフォールの投与を中止するなどの適切な対処をすべき注意義務があったのに、これを怠って、漫然とプロポフォールの投与を継続した過失があったと認められる」と判断しました。「判決の言う標準的な医療水準は、当時のプロポフォールについての医学的な知見や、当時のICUの現場の実情から、かけ離れたもの」と元准教授このBray論文がPRISの事実上の診断基準になっていたとする裁判所の判断について、有罪となった元准教授は判決後にコメントを発表し、「結果が分かったところからさかのぼった後知恵の意見で有罪とされているように感じています。判決の言うプロポフォールに関する標準的な医療水準については、当時のプロポフォールについての医学的な知見や、当時のICUの現場の実情から、かけ離れたものだと感じます」と反論しています。5月30日付の日経メディカルの記事によれば、判決後に行われた医師2人の弁護人による記者会見で、元准教授の弁護人、後藤 貞人弁護士も「プロポフォールによってPRISが発症することが、当時、医学界において定着していたかというとそうではない」とコメント、元研修医の弁護人である高野 隆弁護士も「(4mg/kg/h以上・48時間以上より)何倍も多い量のプロポフォールを投与してもPRISを発症していない症例がありながら、論文の記載(4mg/kg/h以上・48時間以上)だけが独り歩きをし、あたかも当時の医療水準のように考えて起訴したことが間違いだ」と話しています。さらに後藤弁護士は、医師が業務上過失致死罪で有罪判決が出たことについて、2008年の福島県立大野病院事件の無罪判決などを契機として医療への刑事介入が下火になっていた状況が、今回の有罪判決をきっかけとして再び活発化することに対しても危機感を示したとのことです。なお、元准教授は控訴の方針とのことです。事故から12年、東京女子医大プロポフォール事件の裁判はまだまだ続きそうです。同大はこの事件をきっかけとして2015年に特定機能病院の承認を取り消され、現在も継続中です。医療事故の裁判と特定機能病院の承認は別次元の問題ではあるものの、少なからぬ影響はありそうです。元理事長逮捕など、スキャンダルに事欠かない東京女子医大の経営状態も改めて気になるところです。 1) Bray BJ. Paediatr Anaesth. 1998;8:491-499.

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第315回 国内の麻疹流行、2025年と今年で決定的に違うこと

INDEX止まらない麻疹感染、流行地点はどこか推定感染地域に変化ワクチン接種を粘り強く唱えるのみ止まらない麻疹感染、流行地点はどこか麻疹の猛威が止まらない。2026年20週(5月11~17日)までの国内の麻疹患者報告累計(速報値)1)は498例。2025年52週(12月22~28日)までが265例だったので、あまり口にはしたくないが、今年は昨年の2倍以上の患者報告数になることは確実な情勢だ。現時点までの感染報告を見ていると、昨年と比べて特徴的なことがある。昨年の患者報告の地域分布を見ると、首都圏の1都3県からの報告割合は42%だったが、今年は途中経過とはいえ、その割合は72%。ちなみに首都圏外で現時点までの患者報告が最多は鹿児島県の34例となっている。愛知県の26例や大阪府の15例を超える数字にやや驚くが、これは3月に鹿児島市内の高校の卒業式で13例もの集団感染が発生したためである。そして、現在までに最も患者報告が多いのは、やはり東京都の244例で20週までの患者の過半数を占める。その意味で東京都の感染動向は、現在の日本の麻疹流行の縮図であるとも言えることから、これより東京都の詳細な感染動向を見ていきたい。推定感染地域に変化まず今までのところ、最も患者報告が多かったのは17週(4月20~26日)の53例で、同週を境にピークアウトしているようにも見える。ただし、麻疹は基本再生産数が高いため、収束しつつあるとはとても言えないのが実際である。10歳区切りの患者報告では20~29歳の89例がボリュームゾーン。これに次ぐのが30~39歳の54例、10~19歳の51例。これ以外に40代、50代でそれぞれ10例以上の患者報告があり、かつてのような「麻疹は子どもの病気」のイメージは、もはや過去のものとなっている。憂慮すべきは推定感染地域のデータである。2026年20週までの推定感染地域は国内が77.0%と圧倒的多数を占める。不明が17.2%あるものの、国外はわずか3.7%に過ぎない。2025年は国内が64.7%、国外が32.4%であり、仮に2026年の不明をすべて国外に分類したとしても、現在は国内感染の割合が高くなっていることになる。ちなみに、一部の症例の検査により判明している流行ウイルスの遺伝子型は、世界の流行主流となっているアフリカや中東が起源のB3型と南アジアや東南アジアに広く定着しているD8型である。昨年来から続いている麻疹流行のきっかけは、おそらく輸入例だと考えられるが、推定国内感染率が上昇傾向を示している今の状態は極めて不気味だ。ご存じのように、日本は世界保健機関(WHO)が定義する「適切なサーベイランス制度の下、土着性の感染伝播が36ヵ月以上継続して確認されないこと」を満たし、2015年に麻疹排除国の認定を受けて10年以上この状態を維持しつづけてきた。現時点で土着性の判断は極めて難しいと考えられるが、麻疹流行が2年目に入った現在は外形上、土着性が疑われる段階に差し掛かっているとの見方もできなくはない。ちなみに2026年1月にイギリス、スペイン、オーストリアなどが麻疹の排除国認定を喪失したことは記憶に新しい。この排除認定喪失には実際には前段階があり、12ヵ月以上の持続伝播状態を「地域流行の再成立」と位置付ける。今の日本はこの段階か否かという非常に微妙な地点にいる。ワクチン接種を粘り強く唱えるのみさて、前述の東京都の麻疹流行だが、20代、30代患者のワクチン接種歴は過半数が「なし」あるいは「不明」で占められる。もはや麻疹対策とは2回のワクチン接種の一択と言ってもいいことは医療者の中では共通認識だろうが、このことはこの東京都のデータからも明らかである。この件に関連してSNS上では、以前本連載(第310回)で取り上げた新宿区内の小学校での集団感染事例において、2回接種済み者でのブレークスルー感染が多かったことを挙げて、「ワクチンは無効」であるかのような言説も目に付く。しかし、クイーンズランド大学のグループがワクチン2回接種後の免疫獲得失敗症例からの2次感染に関する14研究を使ったシステマティックレビュー2)によると、ワクチン2回接種完了者の実行再生産数は0.063。麻疹の基本再生産数の12~18に比べると無視できると言ってよいほどの低値である。この点からもワクチンは有効と言える。もっとも、われわれ報道関係者も医療者も今は言葉でワクチン接種を粘り強く呼び掛けるしかないという点では、やや手詰まり感はある。少なくともいわゆる反ワクチンと言われる人ではなくとも、ワクチン接種は煩わしいものであり、身近で危険を感じるか、手軽に接種できる機会と経済的なインセンティブ(いわゆる無料接種)でもなければ、ワクチン接種に行こうとはならないのが現実だ。その意味では、東京都が5月18日からスタートさせた「麻疹ワクチンの緊急接種事業」は目を引く。これは72時間以内の麻疹患者と接触し、麻疹罹患歴がなく、さらに麻疹ワクチンの接種歴なし/不明、あるいは1回のみの都民に対し、都内8ヵ所の感染症指定医療機関で無料のワクチン接種を行うものだ。私個人の本音を言えば、何らかの形でもう少し対象を広げてほしいが、予算措置が必要な以上やむを得ない。一方で、東京都のみにとどめてしまうのは効果が限定的である。前述のように現時点の麻疹流行が1都3県に集中している現実を考えれば、埼玉、神奈川、千葉の3県でも必要なことだろう。とくに東京都の場合、昼間の人口が336万人も増加し、その9割以上がこの3県からの流入であることを考えれば、なおのことである。もちろん予算のことはあるが、この3県のトップには英断を期待したい。参考1)国立健康危機管理研究機構:感染症発生動向調査週報(IDWR)2)Tranter I, et al. Emerg Infect Dis. 2024;30:1747-1754.

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電子カルテ情報からAIが小児のADHD診断リスクを予測

 注意欠如・多動症(ADHD)は世界で数百万人もの小児に影響を及ぼしているが、多くは診断を受けないまま何年も過ごしており、早期支援の機会を逃している。こうした中、新たな研究で、人工知能(AI)が電子カルテを分析することで、一般にADHDと診断される時期よりも早い段階で、小児のADHDリスクを高い精度で推定できる可能性が示された。米デューク大学医学部のデータサイエンティストであるElliot Hill氏らによるこの研究は、「Nature Mental Health」に4月27日掲載された。 Hill氏は、「電子カルテの記録は非常に豊富な情報源となる。われわれは、そのデータに隠れたパターンを分析することで、通常よりかなり早い段階で、将来ADHDと診断される可能性のある小児を予測できるかを調べた」と述べている。 Hill氏らは今回、72万人超の患者の電子カルテデータを用いてAIモデルを事前学習させた。その後、14万人超のADHD児および非ADHD児の出生から幼少期までの電子カルテデータを用いて、ADHD診断に先行して現れることが多い、発達、行動、臨床上の特徴の組み合わせを認識できるように追加学習を行い、小児が将来的にADHDと診断されるリスクを推定するモデルを構築した。 その結果、このモデルは、5歳までの電子カルテデータを基に、その後4年以内に小児がADHDと診断されるかを高い精度で予測できることが示された(ROC曲線下面積〔AUC〕0.92)。この予測能は、性別、人種、民族、保険加入状況を問わず一貫していた。 ただし、このAIモデルはADHDの診断を行うためのものではなく、小児科のかかりつけ医による注意深い観察や、ADHD専門医による早期の検査紹介によって恩恵を受ける可能性がある小児を特定するためのものである。論文の上席著者であるデューク大学医学部のMatthew Engelhard氏も、「このモデルはAIによる診断ツールではない。臨床医が時間とリソースを重点的に配分できるよう支援するツールであり、支援を必要とする小児が見落とされたり、答えを得るまで何年も待たされたりしないようにすることが目的である」と強調している。 研究グループは、スクリーニングによるADHDの早期発見は、早期診断、ひいては早期支援につながり、それがADHD児の学業成績、社会生活、健康状態の改善と関係すると指摘している。ただし、こうしたツールを臨床現場で使用するために、さらなる研究が必要であるとの認識も示している。

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医師のランチ事情、ベテランは「時短」、若手は「節約」を優先/医師1,000人アンケート

 日々の外来や手術、急患対応などに追われる医師の勤務環境において、「昼食(ランチ)」は貴重な休息とエネルギー補給の時間である。しかし、急な呼び出しや処置の延長など、業務の都合に左右されやすい。今回、CareNet.comでは「医師のランチ事情」と題したアンケートを実施し、勤務日の昼食時間や内容、仕事による中断の頻度、ランチ選びの優先事項などを聞いた。対象はケアネット会員医師1,012人で、20代以上の各年代層から回答を得た。上の世代ほど短時間ランチ、外科系はさらにタイト Q1では「勤務日の昼食休憩(純粋に食事に充てられる時間)」を聞いた。全体では「15分〜30分未満」が36%で最多、次いで「5分〜15分未満」が30%、「30分~1時間未満」が20%と続く。「5分未満」と回答した医師は6%を占めていた。全体の約3分の1の医師が15分以内で昼食を取っていることがわかった。 興味深いのは、年代が上がるにつれて昼食時間がさらに短縮化する傾向が見られる点だ。15分未満(「5分未満」と「5〜15分未満」の合計)で昼食を済ませる割合は、20代で27%にとどまるのに対し、30代では35%、40代では38%、50代では36%、70代以上では38%へと上昇する。20代の若手医師においては「15分〜30分未満」が49%と約半数を占めており、上の世代に比べれば、一定の食事時間を確保できている。 また、診療科系統別では、外科系医師において「5分〜15分未満」が33%、「5分未満」が8%となり、内科系(それぞれ29%、5%)を上回った。診療科の特性が、休憩時間の逼迫、あるいは「早食い」の習慣化につながっている可能性が推察される。過半数の医師が定期的にランチを「中断」、30代は7割 Q2では「昼食中、仕事(呼び出しや相談)で『中断』される頻度」を聞いた。全体では「ほとんどない」が41%である一方、「ほぼ毎日」が7%、「週に2~3回程度」が21%、「週に1回程度」が28%となり、全体の56%と過半数の医師がランチを定期的に中断されていることがわかった。 この中断頻度は、年代や病床数によって差が見られる。「ほぼ毎日」「週に2~3回程度」「週に1回程度」の合計で見ると、年代別では、20代・30代・40代では6割を超える。とくに30代では70%に達した。また、50代では「ほぼ毎日」中断される人が10%であった。病床数別で見ると、20~99床の病院では「ほぼ毎日」「週に2~3回程度」「週に1回程度」の合計が66%、200床以上の大規模病院では65%と高くなっている。定番は「お弁当」と「院内食堂」、過半数が予算500円未満 Q3で「最も頻度が高い昼食内容」を尋ねたところ、最も多かったのは「自作・家族作の弁当」で33%、次いで「院内食堂」が26%、「コンビニ・スーパー・売店で購入」が23%と続いた。年代別では、20代と50代でお弁当の持参率が高く(それぞれ43%、41%)、院内食堂の利用率が低めであった(それぞれ16%、18%)。 予算(Q5)に関しては、「500〜1,000円未満」が37%で最多、次いで「500円未満」が32%、「0円(弁当持参、病院支給・検食など)」が24%となり、1,000円未満で収めている医師が9割を超えた。過半数が昼食の予算を500円未満に抑えていた。若手は「コスト」、ベテラン層は「栄養バランス」を最優先 Q4で「昼食を選ぶ際、最も優先していること」を聞いた。全体では「栄養バランス」が34%で最多、次いで「スピード」が27%、「コスト」が21%となった。 これを年代別で比較すると、明確な意識のグラデーションが見られる。20代では「コスト」を最優先する割合が46%と半数近くに達しているのに対し、年齢が上がるにつれてその割合は低下する。20代の昼食代の予算は0円が32%に上るなど、若手層の強い節約志向がお弁当持参という行動に直結していることが読み取れる。 対照的に、同じくお弁当持参率の高い50代では、昼食代を0円に抑えている割合が29%を占めるものの、優先事項で「コスト」を挙げる人は17%にとどまる。40代以上のベテラン層では「栄養バランス」を重視する割合は上昇し、70代以上では43%と全世代で最も高くなる。ベテラン層におけるお弁当の持参や低予算は、節約志向というよりも、健康への配慮や、自由回答にもみられた「お弁当を作ってくれるパートナーへの感謝」といった要因が背景にあると考えられる。若手のコスト重視と、ベテラン層の健康志向へのシフトが対照的に表れる結果となった。ランチに関する医師たちの本音 Q6の自由回答では、限られた時間の中で食事をやりくりする医師たちの切実な日常やこだわりが語られた。以下に主なコメントを抜粋する。【時間や業務による制約】・食事中呼ばれたときに中断できるもの、後から食べられるものを選んで食べております(50代、呼吸器内科)・研修医時代、15分で食べろと言われて驚いた(50代、精神科)・30代前半はとくに忙しかったので、ポケットに入れておいたカロリーメイトでしたね(60代、耳鼻咽喉科)・たまにカップ麺に湯を注いだ後に呼ばれることがあり、これは本当につらい(40代、臨床研修医)・夕方時間外になってからの昼食も多く、生活リズムが安定しません(50代、整形外科)・患者に指導する資格はないような、ジャンクで偏った食事しか取っていません(60代、内科)・食べようとすると、インスタント・コンビニに限定されるので、食べていない(60代、小児科)【調達手段やコスト、工夫など】・今の病院に勤務するようになり、職員食堂の素晴らしさに感動しています。安くて美味しくて今のところまったく文句ありません(40代、麻酔科)・病院で出してくれて、以前の弁当を買っていた時より体調がいい(30代、精神科)・院内食堂の値段、メニューなどがどんどん改悪されている(60代、内科)・物価高で食費がかさむ(40代、膠原病・リウマチ科)・院内にコンビニが入っているのですが、昨今の昼食が高い。ワンコインでは済まない1,000円弱になってしまった。おにぎりが高い(50代、心療内科)・妻がお弁当を作ってくれるようになって、健康と感じることが多くなった。感謝です(30代、内科)・毎週末、冷凍弁当を作っています(30代、リハビリテーション科)・見栄えが気にならないスープジャーなので、冷ご飯でも残り物でもなんでも入れられます(40代、小児科)・コンビニやデリバリーで無駄なお金を払いたくないので、普段からオートミールなどを医局に置いて支出を減らしている(30代、糖尿病・代謝・内分泌内科)アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。医師のランチ事情/医師1,000人アンケート

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長鎖脂肪酸代謝異常症に初の治療薬、トリヘプタノイン発売/ウルトラジェニクス ジャパン

 ウルトラジェニクス ジャパンは、2026年3月23日付で「医薬品の条件付き承認制度」のもと製造販売承認を取得した長鎖脂肪酸代謝異常症(LC-FAOD)治療薬トリヘプタノイン(商品名:ドジョルビ内用液100%)を、2026年5月21日に発売したことを発表した。トリヘプタノインはLC-FAODに対して国内で初めて承認された治療薬となる。 LC-FAODは、ミトコンドリアにおける長鎖脂肪酸のエネルギー変換に関与する酵素をコードする遺伝子の両アレルに疾患原因変異を有する、6つの常染色体劣性遺伝性疾患の総称。とくに、心臓、骨格筋、肝臓に影響を及ぼし、主な症状は低ケトン性低血糖、心筋症、筋肉症状で、横紋筋融解症、代謝性アシドーシス、高アンモニア血症などの重篤な合併症を引き起こすことがある。これまで国内で承認された具体的な治療法はなく、長い空腹を避け、脂肪摂取を制限する食事療法や中鎖中性脂肪酸(MCT)の補充、減少した脂肪酸の輸送酵素をサポートするL-カルニチンの投与などが行われていた。 トリヘプタノインは、炭素数7のヘプタン酸3分子がグリセロールで結合した合成中性脂肪で、LC-FAODに対して迅速かつ効率的なエネルギー源となる。経口摂取後に腸管内より吸収・代謝されたヘプタン酸は、長鎖脂肪酸とは異なり直接ミトコンドリア内に拡散移動し、生体エネルギー産生回路であるTCAサイクルの基質であるアセチルCoAとTCAサイクルの中間体であるスクシニルCoAを生成する。その後、速やかにTCAサイクルに入ることで脂肪酸代謝の改善およびエネルギー産生の向上が期待される。2026年3月1日時点で、米国(2020年)、カナダ(2021年)、ブラジル(2021年)、メキシコ(2022年)、クウェート(2025年)で承認されている。<製品概要>商品名:ドジョルビ内用液100%一般名:トリヘプタノイン剤形・含量:1g中にトリヘプタノイン1gを含有する経口液剤効能、効果又は性能:長鎖脂肪酸代謝異常症用法及び用量又は使用方法:通常、以下の計算式を用いて算出した本剤の1日総投与量を4回に分けて経口又は経管投与する。計算式における「DCIに対する本剤の割合」は、10%から開始し、2~3日毎に約5%ずつ増加させる。目標値は25~35%とするが、患者の状態に応じて適宜増減する。1日総投与量(mL)=1日あたりのカロリー摂取量(DCI)(kcal)×DCIに対する本剤の割合/8.3(kcal/mL)薬価:734,770.00円/100%500mL 1瓶承認取得日:2026年3月23日薬価基準収載日:2026年5月20日発売日:2026年5月21日

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小柴胡湯~胸脇苦満と往来寒熱~【Dr.伊東のストーリーで語る漢方薬】第6回

小柴胡湯~胸脇苦満と往来寒熱~これまで解説してきた葛根湯(かっこんとう)、麻黄湯(まおうとう)、桂枝湯(けいしとう)は、いずれも感冒の初期に使うものでした。言い換えると、これらの薬は感冒を患ってから5~6日経った時に使うものではないということです。では、時間が少し経った感冒には何を使えばいいかというのが、今回のお話です。導入として、西洋医学の話をさせてください。感冒に対して西洋医学では、どんな時でも症状に合わせてアセトアミノフェンやデキストロメトルファンなどを使うと思います。つまり、西洋医学では一見すると感冒初期とそれ以降とをそんなに区別していないわけです。しかし、COVID-19の場合はちょっと違いますね。罹患初期には抗ウイルス薬、たとえばレムデシビルなどを使って、ウイルス量を減らしにいきます。少し時間が経ってからは、ウイルスそのものよりも炎症反応によって肺炎が悪化していくため、それを抑えるためにステロイドが重要になってきます。このような感じで、COVID-19では感冒初期とそれ以降を区別します。じつは、漢方薬の考え方もこれにちょっと似ています。葛根湯、麻黄湯、桂枝湯の解説をしている時に、やたら汗の話が出てきたのを覚えているでしょうか(図1)。じつは、感冒初期ではこれらの漢方薬を使うことで発汗を調整して、汗とともに悪いものを体表から体外へと追い出すイメージを昔の人は考えていたんです。図1 感冒初期に対する漢方薬の選び方画像を拡大する一方で、発症してから時間が経ってくると「悪いもの」、要はウイルスのことですね。それが体表や喉のあたりから肺、胃といった横隔膜レベルの臓器まで侵入してしまい、そこでも炎症を起こしてくるわけです。そこまで侵入されると、汗とともに追い出すことができなくなります。そこで、肺や胃のあたりの炎症を鎮静化するために、漢方では柴胡(さいこ)を含む漢方薬を使うことになるわけです。いわゆる柴胡剤。「東洋のステロイド」のイメージです(図2)。図2 COVID-19治療イメージ:西洋医学と漢方医学の比較画像を拡大する柴胡剤柴胡を含む漢方薬を柴胡剤と呼んでいて、その代表格が小柴胡湯(しょうさいことう)です。これを「こしば」なんとかと読まなくなったら、漢方の初心者卒業かなと勝手に思っています。冗談はさておき、小柴胡湯は、柴胡、半夏(はんげ)、黄芩(おうごん)、大棗(たいそう)、人参(にんじん)、甘草(かんぞう)、生姜(しょうきょう)の7種類の生薬で構成されます。大棗と生姜は以前紹介したように、胃腸に優しい生薬ですが、半夏と黄芩は胃のむくみや熱を除いてくれて、人参も胃を温めて支える生薬のため、構成生薬の作用点が胃に集中しているのが特徴的です。また、感冒初期の漢方薬には桂皮(けいひ)が必ずといっていいほど入っていましたが、小柴胡湯ではなくなりました(図3)。桂皮は気逆といって頭のほうに向かう症状を抑えてくれる生薬です。要は頭痛です。感冒初期では頭痛が症状として出やすいですが、少し時間が経つと頭痛はあまり目立たなくなってきますよね。そのため桂皮は要らなくなるのです。図3 小柴胡湯の構成生薬画像を拡大する小柴胡湯は虚実中間の患者に使う漢方薬です。結構幅広い体力の患者さんに使うことができます。一方で、世の中には実証の患者も虚証の患者もいて、その両極に対応する形で柴胡剤の派生処方が存在します。たとえば、実証であれば、便秘を目安に使う大柴胡湯(だいさいことう)、イライラを目安に使う柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)があります。虚証であれば、寒がっているのを目安に使う柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)が該当します。また、症状から桂枝湯と小柴胡湯の中間、つまり過渡期に位置する患者には、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)という漢方薬もあります(図4)。たくさん薬が出てきましたが、ここは無理に覚えず、軽く流しておきましょう。図4 柴胡剤の派生処方画像を拡大する胸脇苦満と往来寒熱ここまで柴胡剤というもの紹介しましたが、これらの共通点として「胸脇苦満(きょうきょうくまん)」というお腹の所見を覚えてください。これは、肋骨弓の下に手を差し入れようとすると強い抵抗がある状態で、柴胡剤を使う目安として重要です(図5)。現代人はストレスを抱えて胃に負担をかけているので、この胸脇苦満が出ている人が結構多いです。ご自身の体に手を入れて確認してみてください。図5 胸脇苦満画像を拡大する日本漢方ではお腹の所見が大事で、個人的には再現性もあるため、学び始めの段階から勉強する価値があると思っています。たとえば、前回まで桂枝湯、桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)、建中湯(けんちゅうとう)の話をしましたが、こういった「芍薬が要になる漢方薬」が効く人のお腹は腹直筋が張っています。これを「腹直筋攣急(ふくちょくきんれんきゅう)」と呼ぶのですが、昔の人は「お腹に2本の棒を触れる」と表現しています(図6)。図6 腹直筋攣急画像を拡大する最後に、古典で小柴胡湯の話を締めておきましょう。こちらの条文は、長いですね(図7)。図7 小柴胡湯の古典条文画像を拡大する胸脇苦満はさっき出てきましたね。ここで注目してほしいのが「往来寒熱(おうらいかんねつ)」という言葉で、これは潮の満ち引きのように、熱が1日のなかで出たり引いたりすることを指しています。ときどきいませんか? かぜをひいてしばらくたった後に「夜だけ熱が出る」といって受診する方。医者目線だと少し説明に困るものです。これこそが往来寒熱ですね。そういう方は、倦怠感や食欲不振も訴えてくることが多いため、この条文通りの症状になってくるんです。また、この条文にはないですが「口の中が苦い」というのも柴胡剤を使うヒントになります。胃が悪いと舌苔が分厚くなってきて、舌の見た目もちょっと変わってきます。まとめ漢方の世界では感冒初期とそれ以降を区別します。治療のコンセプトも薬の選択肢も異なります。感冒初期が終わってからは、東洋のステロイドこと柴胡剤の出番です。ここでは、小柴胡湯を覚えておきましょう。使用にあたっては、胸脇苦満の存在を確認しておくと、勝率が上がってくると思います。胸脇苦満以外にも往来寒熱という言葉を覚えました。こういう独特の用語を知っていると、漢方の上達が早くなるため、もし余裕があれば、こちらも覚えていってください。次回は、これまでの内容をもう少し俯瞰的におさらいして、漢方の世界ならではの病気の捉え方を一緒にみていきましょう。それでは、お楽しみに!

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アトピーは学業成績に影響するか

 アトピー性皮膚炎(AD)は、睡眠障害や併存疾患、あるいは心理社会的影響により学業成績を低下させる可能性があるが、集団ベースの縦断的研究によるエビデンスは限られている。英国・London School of Hygiene & Tropical MedicineのRita J. Iskandar氏らは、デンマークおよび英国の小児約78万人を対象とした並行コホート研究において、ADは学業成績の低下と関連するか、またその関連は疾患表現型や社会経済的背景によって異なるかどうかを検討した。JAMA Dermatology誌オンライン版2026年4月8日号掲載の報告。 本研究は、デンマークおよび英国における、ADを有する小児および有さない小児を対象とした集団ベースの並行コホート研究。デンマークでは、全国的なレジストリから1986~2000年に出生した小児を抽出し、2018年まで追跡調査を行った。英国では、Avon親子縦断研究(ALSPAC)から得られた1991~92年に出生した小児データを、国立生徒データベース(National Pupil Database)と連携させ、2009年まで追跡調査を行った。データ解析は2022年10月~2024年4月に実施された。 ADは、13歳未満での診断(デンマーク)または11.5歳までの母親から2回以上のADの報告(イングランド)と定義した。デンマークの分析では、遺伝的因子を考慮するため、AD罹患状況が異なり両親を同じくする兄弟姉妹を対象とした反復解析を実施した。 主要評価項目は、16歳時の義務教育修了時の全国統一試験における不合格の成績(2値アウトカム;ポアソン回帰による割合比)および平均学業成績スコア(連続アウトカム;線形回帰による平均差)であった。 主な結果は以下のとおり。・両研究を合わせて、計78万2,837人の小児が対象となった。・デンマーク(n=77万6,214人、AD患者1万259人、女児38万6,408人[49.8%])では、AD患者と非AD患者の間で、不合格率(12.0%vs.11.2%、調整割合比[aPR]:1.06、95%信頼区間[CI]:1.01~1.12)および平均学業成績(調整平均差:-0.06ポイント、95%CI:-0.11~-0.01)に差は認められなかった。・活動性AD患者では、非AD患者と比較して不合格率の高さとの関連がみられた(aPR:1.19、95% CI:1.03~1.37)。・兄弟姉妹間における解析でも同様の結果が得られた。・イングランド(n=6,623人、AD患者2,967人、女児3,332人[50.3%])では、AD患者は非AD患者に比べて、不合格率がわずかに低く(37.7%vs.47.4%、aPR:0.88、95%CI:0.83~0.93)、平均学業成績が高かった(調整平均差:10.48ポイント、95%CI:6.49~13.86)。・表現型分析によると、中等度-寛解型(moderate-declining)および中等度-頻発型(moderate-frequent)AD患者の成績が優れることがこれらの結果を主に説明しており、軽度-間欠型(mild-intermittent)または重度-頻発型(severe-frequent)AD患者の成績は、非AD患者または症状のほとんどないAD患者と同程度であった。・全体として、学業成績について、表現型や社会経済的背景による一貫した差異はみられなかった。 著者らは、「2つの大規模コホートにおけるトライアンギュレーション(triangulation)アプローチによる検討と多重解析により、ADは義務教育修了時の全国統一試験における学業成績の著しい低下とは関連がない可能性が高いことが示された」とし、「本結果はADを有する小児やその家族、教員や臨床医にとって安心材料となるもの」とまとめている。

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第295回 MMRワクチン、約30年ぶり国内使用へ 麻しん拡大下で定期接種化を検討/厚労省

<先週の動き> 1.MMRワクチン、約30年ぶり国内使用へ 麻しん拡大下で定期接種化を検討/厚労省 2.備蓄手袋を医療機関向けに供給 18日から申請開始/厚労省 3.がん拠点病院の整備指針見直しへ 2030年度から実績要件を強化/厚労省 4.東京都で麻しん急増、緊急ワクチン接種開始 接触後72時間以内が鍵/JIHS 5.電子カルテ停止で診療一時停止 市立奈良病院、再発防止へ検証/奈良県 6.病院再編に現場反発、4割が退職希望 静岡市立清水病院/静岡県 1.MMRワクチン、約30年ぶり国内使用へ 麻しん拡大下で定期接種化を検討/厚労省厚生労働省は5月11日、第一三共の麻しん・おたふくかぜ・風しん混合ワクチン「ミムリット皮下注用」を承認した。3疾患を1度に予防するMMRワクチンで、効能・効果は「麻しん、おたふくかぜ及び風しんの予防」。国内でMMRワクチンが使用されるのは約30年ぶりとなる。ミムリットは、現在定期接種の対象となっている第一三共の麻しん・風しん2種混合ワクチンに、世界で広く用いられているおたふくかぜワクチン株を組み合わせた3種混合の弱毒生ワクチンである。添付の溶剤0.7mLで溶解し、その0.5mLを1回皮下に注射する。接種対象は生後12ヵ月以上で、性別や年齢にかかわらず接種可能とされるが、具体的な接種年齢は学会などの最新情報を踏まえ総合的に判断する。明らかな発熱がある人、免疫機能に異常がある人や免疫抑制治療中の人、妊娠していることが明らかな人などは接種不適当者とされる。わが国では1989年に別のMMRワクチンが定期接種に導入されたが、含有されていたおたふくかぜワクチンによる無菌性髄膜炎の発生が社会問題となり、1993年に事実上中止された。今回のミムリットについて厚労省は、国内第III相臨床試験で小児約400例に無菌性髄膜炎の発現は認められなかったこと、含まれるムンプスウイルス株がWHOで事前認定された株の1つであること、海外で豊富な使用実績があり、無菌性髄膜炎の発現率が相対的に低いとの報告がある株を選択したことなどを踏まえ、リスクは許容可能と判断した。現在、麻しん・風しんはMRワクチンとして定期接種の対象だが、おたふくかぜワクチンは任意接種で自己負担となっている。おたふくかぜは無菌性髄膜炎、脳炎、難聴などの合併症を起こし得る。2015~16年の流行では成人を含め少なくとも359例がムンプス難聴と診断され、医学系学会が定期接種化を要望してきた。海外では120ヵ国以上で定期接種化されており、ミムリットの承認により、接種回数の削減と保護者負担の軽減、さらにおたふくかぜ対策の前進が期待される。 参考 1) 麻疹・おたふく・風疹のMMRワクチン承認 約30年ぶり使用へ(毎日新聞) 2) MMRワクチン、国内でも使用可能に-第一三共の「ミムリット」承認取得(日本医事新報) 3) 第一三共の3種混合ワクチン承認 はしかと風疹におたふく追加(日経新聞) 4) 厚労省 第一三共のMMRワクチン・ミムリット皮下注用を承認 2つの再生医療等製品も(ミクスオンライン) 2.備蓄手袋を医療機関向けに供給 18日から申請開始/厚労省厚生労働省は、中東情勢悪化による医療用物資の供給不安を踏まえ、国が備蓄する医療用手袋のうち、まず5,000万枚を医療機関向けに放出する。医療用手袋は現時点で全体としてただちに不足する状況ではないが、通常量を超える発注や一般のネット通販で取引が停止されており、歯科診療所など一部の医療機関で確保困難が生じている。国は新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、非滅菌手袋などの個人防護具を備蓄しており、今回の放出は需給の偏在を緩和する措置となる。要請は医療機関等情報支援システム「G-MIS」を通じて行う。医療機関は週次調査で在庫量、1週間の想定消費量、1週間の購入見込み量を入力し、あわせて販売業者であるアスクルの専用サイトに施設名、住所、医療機関コード、メールアドレスなどを登録する。都道府県が要請内容と配布要否、枚数を確認し、厚労省が承認した後、対象医療機関のリストが販売業者に送られ、医療機関は案内メールを受けて購入手続きを行う。G-MISでの申請が困難な場合は、都道府県への相談による個別シート対応も用意されている。対象となるのは、在庫量が「今後1週間の想定消費量から購入見込み量を差し引いた量の4週間分」を下回る医療機関である。購入可能数は想定消費量2週間分を基準に1,000枚単位で切り上げ、1セット1,000枚から購入できるほか、セット単位でサイズ指定も可能とされる。第1弾は5月18日午前9時から20日午後5時まで申請を受け付け、以後も毎週水曜午後5時締めで受け付ける予定。感染対策資材の不足は、病院、歯科、在宅、訪問看護など幅広い診療継続に直結する。医療機関には、在庫と使用量を踏まえた適正申請が求められ、国と都道府県には配送状況や追加放出の情報を迅速に示す対応が求められる。 参考 1) 中東情勢を踏まえた医療用手袋の放出について(厚労省) 2) 上野厚労相「国備蓄の手袋5千万枚を放出」 中東情勢影響による医療機関での不足受け(産経新聞) 3) 医療用手袋 5月18日から購入申請受け付け開始 政府備蓄放出分(NHK) 4) 国備蓄の医療用手袋放出発表うけ 看護現場からは安堵の声(日本テレビ) 3.がん拠点病院の整備指針見直しへ 2030年度から実績要件を強化/厚労省厚生労働省は5月14日に「がん診療連携拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ」を開き、がん診療連携拠点病院などの整備指針見直し案を示した。柱となるのは、がん医療の高度化と人口減少を踏まえた「集約化」と「均てん化」の切り分けである。2026年夏ごろに新たな整備指針を取りまとめ、2027年度から新体制を始める見通し。とくに注目されるのは、がんゲノム医療体制の強化である。厚労省は2026年度の指針改定で、がん診療連携拠点病院などが「がんゲノム医療中核拠点病院」「同拠点病院」「同連携病院」のいずれかに指定されていることを「望ましい要件」とし、2029年度の改定時には必須要件化する方針を示した。がんゲノム医療の進展により、患者ごとに最適な薬物療法を選択する重要性が高まっているためである。ただ、2026年4月1日時点で地域がん診療連携拠点病院357施設のうち、がんゲノム医療中核拠点病院などの指定を受けているのは7割弱にとどまる。別資料でも、2026年3月時点で拠点病院等463施設のうち指定済みは295施設(63.7%)とされ、遺伝カウンセリング体制、C-CATへのデータ登録、エキスパートパネル実施などが課題となっている。手術療法と放射線療法についても、実績要件の厳格化が進む。現行指針では、地域拠点病院の要件として、悪性腫瘍の手術年400件以上、放射線治療の延べ患者年200人以上などの絶対数要件がある一方で、同一がん医療圏に1施設のみの場合は、地域患者の約2割を診療していれば要件を満たす「カバー率要件」も認められている。厚労省は2029年度の見直しでこの緩和要件を廃止し、2030年度から手術年400件以上、放射線治療年200人以上を必須要件とする方向。現在、手術件数を満たさず、カバー率で指定されている施設は13施設、放射線治療の基準を下回る地域拠点病院は38施設ある。また、手術、放射線治療、薬物療法の実績や専門職配置、機器情報などを都道府県に報告し、都道府県がん診療連携協議会の求めに応じて情報提供すること、診療実績をウェブサイトなどで公表することも必須要件とする。協議会には、地域でどの医療を集約し、どの医療を身近に提供するかを議論する役割が期待される。その一方で、ワーキンググループでは、拠点病院が減少した場合の地域医療の質や患者アクセスへの影響を懸念する意見も出た。集約化は質の維持や人材確保には不可欠だが、患者や住民に必要性をわかりやすく説明し、地域がん診療病院や周辺医療機関との連携を強めることが求められる。今回の見直しは、がん医療を「どこでも同じ」から「高度医療は集約し、継続診療は地域で支える」体制へ再編する転換点となる。 参考 1) 第10回がん診療連携拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ(厚労省) 2) がん拠点病院、ゲノム中核指定を「望ましい要件」に 整備指針改定で 29年度からは必須要件化(CB news) 3) がん診療連携拠点病院、2030年度から「ゲノム中核拠点病院等であること」を必須要件へ-がん拠点病院指定要件WG(Gem Med) 4.東京都で麻しん急増、緊急ワクチン接種開始 接触後72時間以内が鍵/JIHS国立健康危機管理研究機構(JIHS)によると、2026年第18週(4月27日~5月3日)の麻しん(はしか)報告数は23例で、年初からの累計は462例となった。過去10年で患者数が最多だった2019年の同時期467例に迫る水準で、感染は首都圏を中心に広がっている。累計では東京都226例が最多であり、神奈川県41例、鹿児島県34例、埼玉県33例、千葉県28例、愛知県25例と続く。東京都では5月14日までに239例の患者が確認され、現在の集計方法となった2008年以降で過去2番目、過去10年では最多となった。麻しんは空気感染する極めて感染力の強い感染症で、免疫を持たない人が同じ空間にいれば、ほぼ感染するとされる。発熱、咳、発疹などを来し、肺炎、中耳炎、脳炎などを合併し、重症化すれば死亡することもある。国内は麻しんウイルスが定着していない「排除状態」とされるが、今年の患者の約7割は国内感染とみられ、海外から持ち込まれたウイルスが国内で連鎖している可能性がある。5月5日には埼玉県所沢市のベルーナドームで野球観戦した来場者の麻しん陽性が判明し、ゴールデンウイーク後の拡大が警戒されている。東京都は感染拡大を受け、保健所が接触者と特定した都民のうち、接触から72時間以内で、麻しんの既往がなく、接種歴が不明または1回以下の人を対象に、5月18日から都内8ヵ所の感染症指定医療機関で無料の緊急ワクチン接種を始める。接触後72時間以内の接種により、発症を予防できる可能性があるためだ。厚生労働省も、子どもの定期接種の徹底に加え、乳幼児や渡航者と接する機会の多い職種で未接種者に接種検討を呼びかけている。医療機関での対応も重要になっている。国立国際医療センターでは、病棟勤務の医療従事者2人と外来受診患者1人の麻しん陽性が判明した。職員2人は麻しん含有ワクチンを複数回接種済みで、修飾麻しんでは典型例より症状や感染性が低い傾向があるとされるが、同院は通常の麻しん発生時に準じ、接触者調査、免疫確認、健康観察を実施している。疑い患者には事前連絡を求め、一般患者と動線や診察時間を分け、医療従事者はN95マスクを着用するなど、院内感染対策の徹底が求められる。背景には、世界的なワクチン接種率の低下がある。新型コロナ禍で接種機会が失われ、医療資源もコロナ対応に偏った。麻しん流行国は2024年に59ヵ国と2022年の1.6倍に増え、集団免疫に必要とされる95%以上の接種率を1回目接種で達成した国・地域は、2019年の84から2024年には69に減少した。わが国でも麻しんワクチン1回目の接種率は2024年度に92%と、2008年度以降で最低となった。ワクチン供給の混乱に加え、否定的な印象の拡大も指摘されており、麻しん対策は国内流行への対応にとどまらず、予防接種への信頼回復を含む公衆衛生上の課題となっている。 参考 1) 世界でワクチン離れ、接種率「コロナ前」遠く はしか流行1.6倍の59カ国(日経新聞) 2) 麻疹報告数462例に、過去10年で最多だった2019年同時期に迫る(日経メディカル) 3) はしか感染者 過去10年で最多の2019年に迫るペースで増加(NHK) 4) 東京都 はしか感染拡大で接触者に無料ワクチン接種の緊急対策(同) 5) はしか患者10年で最多の東京都、ワクチン緊急接種の開始を発表…患者との接触者が対象(読売新聞) 6) 当院職員の麻しん発症に関するご報告(国立国際医療センター) 7) 当院受診患者の麻しん発症に関するご報告(同) 5.電子カルテ停止で診療一時停止 市立奈良病院、再発防止へ検証/奈良県奈良市の市立奈良病院で4月に電子カルテなどのシステムに異常が検知され、外来診療や救急受け入れが一時停止した問題で、市は原因究明と再発防止に向け、情報セキュリティーの専門家らによる第三者委員会を設置する方針を明らかにした。病院では4月21日夜、ネットワーク監視装置が異常な通信を検知。電子カルテなどに関係するサーバーをネットワークから切り離したため、電子カルテの入力や閲覧ができなくなった。これを受け、同病院は翌22日から2日間にわたり、救急患者と一般外来患者の新規受け入れを停止した。外来診療や救急搬送の受け入れは4月24日朝から通常通り再開したが、その後も受付、会計、一部診療、診療報酬関連システムなどで復旧作業が続き、業務に遅れが生じていた。奈良市は5月13日午後、残っていたシステムを含め、すべての復旧作業が完了したと発表した。現時点で、異常の原因は明らかになっていない。サイバー攻撃の疑いも含めて検証が必要とされており、市は6月初めごろにも第三者委員会を開き、病院側の分析の妥当性を外部の専門家が確認する。仲川 げん市長は記者会見で、「日常の病院業務がいとも簡単に止まってしまうリスクを今回感じた」と述べ、原因を分析した上で国に報告し、全国の自治体にも事例を共有できるよう取り組む考えを示した。今回の障害は、電子カルテや会計、診療報酬請求など、病院運営の基盤となる情報システムが停止した場合、地域の救急・外来機能にただちに影響が及ぶことを改めて示した。医療機関では、サイバー攻撃対策だけでなく、異常検知後の初動対応、ネットワーク遮断時の診療継続体制、紙運用への切り替え、復旧手順、自治体や国への報告体制などを含めた事業継続計画の実効性が問われている。第三者委員会の検証結果は、自治体病院を含む全国の医療機関にとっても重要な教訓となりそうだ。 参考 1) サイバー攻撃疑いで診療停止の市立奈良病院 原因究明に向け、奈良市が第三者委員会設置へ(産経新聞) 2) 市立奈良病院のシステム障害 完全復旧し原因解明へ(NHK) 3) 電子カルテシステムの大規模障害、市立奈良病院は全てのシステムが復旧したと明らかに…第三者委員会で検証(読売新聞) 6.病院再編に現場反発、4割が退職希望 静岡市立清水病院/静岡県静岡市は、20年連続で赤字が続く市立清水病院について、清水厚生病院との一体的運用と指定管理者制度の導入により、市立病院としての存続を図る方針を示した。開始目標は2027年4月。市立清水病院は463床、29診療科を持つ総合病院だが、稼働病床は291床にとどまる。2025年度の赤字額は29.5億円、赤字率は29.9%に達する見込みで、市は従来型の改善策では再建困難と判断した。背景には、清水区全体の医療需要の縮小がある。市立清水病院のほか、154床の清水厚生病院、159床の清水さくら病院が存在するが、人口減少下で各病院が同じ機能を維持すれば、患者と症例が分散し、医師確保や若手医師育成にも悪影響を及ぼす。市は「共倒れ」を避けるため、清水厚生病院の入院機能を市立清水病院に集約し、約400床規模で一体運用する計画。清水厚生病院は外来診療所として地域医療を継続し、指定管理者の最有力候補には同院を運営するJA静岡厚生連が挙がっている。その一方で、現場の反発は大きい。労働組合のアンケートでは、指定管理導入後も継続勤務を希望する職員は12.0%にとどまり、「退職したい」が41.4%、「悩んでいる」が44.1%を占めた。退職希望の理由は「給与が下がる可能性」が95.5%、「手当がなくなる可能性」が87.2%と、処遇悪化への不安が中心となっている。職員からは、「説明が突然で、行政から見放されたようだ」との声もある。難波 喬司市長は説明不足を認め、職員説明会や個別相談窓口の設置を表明した。市は、指定管理者への転籍に際して数年間の給与水準保障や、市職員としての配置転換も検討する。病院再編は地域医療を守るための選択肢となり得るが、医療提供体制の根幹である職員の納得と定着を欠けば、かえって診療機能の低下を招きかねない。今回の事例は、再編の成否が病床数の最適化だけでなく、雇用不安への対応と現場との合意形成に左右されることを示している。 参考 1) 静岡市、指定管理で赤字病院の存続図る 清水区の市立・公的病院を一体的運用(CB news) 2) 市立病院で職員の4割が「退職したい」 突然の方針表明に「あまりに突然。行政から見放されたような思い」 指定管理者制度の導入で待遇面の悪化を危惧 不十分な説明に怒りと困惑(FNNプライムオンライン) 3) 民営化待遇低下不安視 「退職したい」4割 職員向け説明会へ 静岡市立清水病院(読売新聞) 4) 市立清水病院・清水厚生病院の一体的運営方針発表の静岡市…病院職員反発に市長“説明不足”を謝罪し詳細説明会開催へ(静岡第一テレビ)

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「エンレスト」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第87回

第87回 「エンレスト」の名称の由来は?販売名エンレスト®錠50mg、100mg、200mgエンレスト®粒状錠小児用12.5mg、31.25mg一般名(和名[命名法])サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物(JAN)効能又は効果<錠50mg・100mg・200mg>成人慢性心不全ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。小児慢性心不全<錠100mg・200mg>高血圧症<粒状錠小児用12.5mg・31.25mg>慢性心不全用法及び用量<慢性心不全>通常、成人にはサクビトリルバルサルタンとして1回50mgを開始用量として1日2回経口投与する。忍容性が認められる場合は、2~4週間の間隔で段階的に1回200mgまで増量する。1回投与量は50mg、100mg又は200mgとし、いずれの投与量においても1日2回経口投与する。なお、忍容性に応じて適宜減量する。通常、1歳以上の小児には、サクビトリルバルサルタンとして下表のとおり体重に応じた開始用量を1日2回経口投与する。忍容性が認められる場合は、2~4週間の間隔で段階的に目標用量まで増量する。なお、忍容性に応じて適宜減量する。小児における用量表(1回投与量)画像を拡大する<高血圧症>通常、成人にはサクビトリルバルサルタンとして1回200mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、最大投与量は1回400mgを1日1回とする。(参考)画像を拡大する警告内容とその理由設定されていない禁忌内容とその理由禁忌(次の患者には投与しないこと)1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者2.アンジオテンシン変換酵素阻害薬(アラセプリル、イミダプリル塩酸塩、エナラプリルマレイン酸塩、カプトプリル、キナプリル塩酸塩、シラザプリル水和物、テモカプリル塩酸塩、デラプリル塩酸塩、トランドラプリル、ベナゼプリル塩酸塩、ペリンドプリルエルブミン、リシノプリル水和物)を投与中の患者、あるいは投与中止から36時間以内の患者3.血管性浮腫の既往歴のある患者(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬又はアンジオテンシン変換酵素阻害薬による血管性浮腫、遺伝性血管性浮腫、後天性血管性浮腫、特発性血管性浮腫等)4. アリスキレンフマル酸塩を投与中の糖尿病患者(ただし、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く)5.重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者6.妊婦又は妊娠している可能性のある女性※本内容は2026年5月21日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2025年9月改訂(第10版)医薬品インタビューフォーム「エンレスト®錠50mg、100mg、200mg/エンレスト®粒状錠小児用12.5mg、31.25mg」

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子どもの溺水による心停止、人工呼吸の有無で生存・神経予後に差――全国データ解析

 プール監視や学校現場などで遭遇しうる子どもの溺水では、その場での初期対応が転帰を左右するとされている。今回、日本の全国データを用いた研究で、小児の溺水による心停止において、人工呼吸を伴う心肺蘇生(CPR)は胸骨圧迫のみのCPRと比べて、生存および神経予後の点で良好である可能性が示された。研究は岡山大学学術研究院医歯薬学域地域救急・災害医療学講座の小原隆史氏らによるもので、詳細は3月10日付の「Resuscitation」に掲載された。 溺水は世界的に不慮の事故死の主要な原因の一つであり、日本でも小児の事故死の上位を占める。溺水による心停止では、体に酸素が行き渡らなくなるため、人工呼吸を含むCPRが重要と考えられてきた。実際、小児や心臓以外が原因の心停止では、人工呼吸を伴うCPRが胸骨圧迫のみのCPRより良好な転帰と関連することが報告されている。一方、近年は簡便さなどから胸骨圧迫のみのCPRが広く行われるようになっているが、こうした変化が溺水による心停止の転帰に与える影響は十分に検討されていない。そこで本研究では、小児の溺水による院外心停止において、一般市民によるCPRの方法の変化と、生存および神経予後との関連を検討した。 本研究では、2012~2023年の全国データを用い、小児(17歳以下)の溺水による院外心停止のうち、一般市民によるCPRが実施された症例を解析した。データは全国の院外心停止症例を登録したデータベース(All-Japan Utstein Registry)から取得し、CPRが行われていない症例やCPRの方法が不明な症例は除外した。対象は、人工呼吸を伴うCPRと胸骨圧迫のみのCPRの2群に分類した。主要評価項目は発生から30日以内の死亡とし、副次評価項目として病院到着前に心拍が再開しなかったこと、および30日後の神経予後不良(重度障害、昏睡、または死亡と定義)を設定した。解析には多変量解析を用い、年齢や目撃の有無による層別解析も行った。 対象となった740例のうち、人工呼吸を伴うCPRは41.6%、胸骨圧迫のみのCPRは58.4%に行われていた。人工呼吸を伴うCPRの割合は、2012年の約45%から2020年以降は約30%に減少していた。人工呼吸を伴うCPRは、特に乳幼児や家族が目撃していたケースで行われることが多かった。 胸骨圧迫のみのCPRは、人工呼吸を伴うCPRと比べて、30日以内の死亡リスクが約38%高く、病院到着前に心拍再開が得られなかった割合も約22%高かった。また、神経予後も不良となる傾向がみられた。こうした差は、目撃者がいない心停止(溺水の場面を直接見ていないケース)や、1~7歳の子どもで特に顕著であった。この結果は、目撃がない症例であっても発見次第速やかに人工呼吸を開始する重要性を示唆する。一方、目撃されていたケースや8歳以上の子どもでは、死亡の差はそれほど大きくなかったが、神経予後には差が認められた。 本研究では、小児の溺水による心停止において、人工呼吸を伴うCPRが減少し、胸骨圧迫のみのCPRが増加している実態が示された。一方で、胸骨圧迫のみのCPRは、人工呼吸を伴うCPRと比べて死亡や神経予後の点で不良であった。溺水のように呼吸が保てなくなる心停止では、人工呼吸が重要な役割を果たす可能性が示唆される。こうした結果は、溺水では人工呼吸を含むCPRを推奨する海外のガイドラインとも一致しており、その重要性を裏付けるものといえる。 著者らは、小児や溺水といった医学的に人工呼吸の効果が期待されるケースにおいても、その重要性が十分に理解されていない可能性を指摘する。その上で、保護者や教職員などを対象に人工呼吸を含むCPR教育を強化することや、救急通報時のオペレーターによる口頭指導において年齢や原因に応じた対応を行うことの重要性を強調している。

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フェニルケトン尿症の新治療薬セピアプテリンへの期待/PTCセラピューティクス

 PTCセラピューティクスは、フェニルケトン尿症(PKU)の治療薬セピアプテリン(商品名:セピエンス)の発売に伴い、都内でメディアセミナーを開催した。わが国のPKUの発生頻度は約6万人の出生に1人の割合で、年間20人前後が診断され、累計で800人以上の患者が報告されている。PKUは未治療や管理が不十分な状態が続くと知的障害、痙攣発作、発達遅延など重度かつ不可逆的な障害が生じる。治療の基本は食事療法で、フェニルアラニン(Phe)が多く含まれる特定の食材(肉・魚・卵など)の摂取が厳しく制限される。 セミナーでは、PKUの病態や治療薬セピアプテリンの臨床試験の概要と今後の治療の位置付けなどについて講演が行われた。新生児マススクリーニング検査で早期診療が可能に 「フェニルケトン尿症に対するセピエンスへの期待」をテーマに濱崎 考史氏(大阪公立大学大学院医学系研究科発達小児医学 教授)が、PKUの病態やセピアプテリンの臨床試験結果、今後の治療の展望などを説明した。 PKUは、いわゆる教科書疾患であり、実臨床で診療する機会は少ない疾患である。PKUは、Pheを代謝するPhe水酸化酵素の先天的な活性低下により、Pheがチロシンに代謝されずに蓄積する。血中Phe濃度の上昇は、発達遅滞や神経症状を来すことがある。そのため無治療の場合、脳の発達障害、小頭症、重度の発達遅滞、行動障害などを来し、治療不十分の場合は、頭痛、うつ状態、神経症、認知能力低下などがある。 PKUは、新生児のマススクリーニング検査の契機となった疾患であり、現在では日齢4または5に血液を採取し、ろ紙検査により診断が行われている。これにより今では早期に診断、治療介入することができるようになっている。 PKUでは血中Phe値を上昇させないために、Pheの摂取を制限する必要があり、治療としては食事からのタンパク質の摂取制限とPheを除去した治療用特殊ミルクによる食事療法が中心となる。食事療法は低タンパク食が中心となり、特別の食材を用意する必要がある。そのため、多額の費用が必要であり(保険適用外)、味も悪く、患者は外食などが難しく社会的孤立を招きやすいという。実際、患者は年齢とともに血中Phe濃度の管理が難しくなることも報告されている1)。 薬物療法について現在わが国で承認されている薬剤では、サプロプテリンとペグバリアーゼの2種類がある。サプロプテリンは顆粒の粉末で服用するが、対象が異型高フェニルアラニン血症など限定されており、全体の20~30%の患者にしか適用がなく普及していない。ペグバリアーゼは皮下注製剤で、成人のみが対象であり、副作用としてアナフィラキシーショックがあるために、アドレナリン自己注射薬(商品名:エピペン)を帯同する必要があるという。 PKU治療の課題として、食事療法ではタンパク制限食へのコスト高やアドヒアランスの問題、薬物療法では使用できる対象年齢や効果不十分の患者への対応などが指摘されている。また、患者からも食事制限への疾病負担や食事への精神的苦痛、QOLの低下などを訴える声も多い。そこで、すべてのPKU患者が血中Phe濃度の管理を負担なく継続できる治療法が求められている。患者の食事の幅を広げるセピアプテリン 今回発売されたセピアプテリンは、Pheの代謝に関わるPAHの補酵素であるBH4の前駆体であり、プテリンのサルベージ経路を介し細胞内BH4に急速に変換され、速やかに細胞内に移行して、細胞内BH4濃度を高める働きがある。 海外で行われた第III相試験のAPHENITY試験では、157例の患者について、導入期にセピアプテリンを14日間投与後に無作為にセピアプテリン群とプラセボ群に割り付け、プラセボ対照を42日間行った。主要評価項目はベースラインから5~6週までの血中Phe値の平均変化量とした。その結果、セピアプテリン投与14日後に血中Phe濃度が30%以上低下した患者割合は66%だった。また、投与5~6週後、血中Phe濃度(5および6週目の平均値、単位:µmol/L)のベースラインからの平均変化量についてプラセボ群(49例)では-16.2だったのに対し、セピアプテリン群(49例)が-410.1とプラセボ群に対する優越性が検証された。安全性については、死亡や重篤な有害事象は報告されず、下痢、胃腸炎などの消化器症状や頭痛などが報告された。 国際共同第III相試験のAPHENITY延長試験では、APHENITY試験後の被験者と非被験者について非盲検継続投与を行い1ヵ月後の平均Pheについて360μmol/Lを基準に分けて、食事によるPhe耐性の評価を行った。主要評価項目はセピアプテリンの長期安全性とベースラインから26週目までの食事中のPhe/タンパク質摂取量の変化である。その結果、血中Phe濃度が360μmol/L未満に維持された患者集団では、食事性Phe摂取量(平均値)が増加した。また、安全性でも主な有害事象は、上気道感染、上咽頭炎、頭痛、下痢、嘔吐、発熱であり、死亡に至るものや重篤なものはなかった。 海外第III相実薬対照試験のAMPLIPHY試験では、セピアプテリンとサプロプテリンの非盲検クロスオーバー試験で効果比較を行った。その結果、平均血中Phe濃度(μmol/L)について、セピアプテリン群(58例)のベースラインが725.8だったものが3、4週目の平均で312.7に低下していた。その一方でサプロプテリン群(56例)はベースラインが790.4だったものが3、4週目の平均で504.8に低下していた。また、血中PheのLS平均変化量について、ベースラインから3、4週目の数値でセピアプテリン群(58例)が-437.0、サプロプテリン群(56例)が-256.6とセピアプテリンはサプロプテリンと比較して血中Phe値を有意に低下させていた。安全性の面でも重篤な有害事象はなく、両薬剤ともに上気道炎、上咽頭炎、下痢などが報告された。 最後に濱崎氏は、わが国の患者の置かれている現状として、次の7項目を挙げた。・食事療法はPKUの治療において大きな役割を担っているが、成人期において継続することが困難・指定難病の対象に加えられたのは、2015年と最近・Phe除去ミルクの医療費負担は軽減されたが、低タンパク食は自己負担・PKUに特化した治療用食品の開発は進んでいない・BH4が反応する可能性はあっても患者が幼少期には負荷試験を実施していないことがある・成人男性PKU患者の通院、食事療法へのアドヒアランスは低いと考えられる・2019年の診療ガイドラインの改訂で、成人の血中Phe濃度の目標値について管理目標値が360μmol/L(6mg/dL)に下がっていることが成人患者には伝わっていない これらの現状を踏まえ、今後のセピアプテリンの臨床的位置付けとして「セピアプテリンは、患者の年齢に制限なく、すべての年代のPKU患者に投与可能な1日1回投与の経口顆粒剤であり、食事療法で非常に困っている患者が、新しい治療薬を服用することで食事療法の幅が広がるものと期待している」と語り、講演を終えた。

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第294回 増える診療所、減り続ける有床診療所 地域医療に懸念/厚労省

<先週の動き> 1.増える診療所、減り続ける有床診療所 地域医療に懸念/厚労省 2.18歳人口減少で、医療職の養成校の定員割れ深刻化、2040年へ確保を/厚労省 3.小規模クリニック苦境、医療・福祉倒産が3年連続最多/東京商工リサーチ 4.病院サイバー対策を強化、クラウド移行支援へ/政府 5.抗がん剤取り違えで乳児死亡 県立こども病院医師を減給処分/静岡県 6.奥能登の新病院構想、集約化か産科維持かで議論/石川県 1.増える診療所、減り続ける有床診療所 地域医療に懸念/厚労省厚生労働省の医療施設動態調査によると、2026年2月末時点の全国の病院数は7,972施設となり、前年同月比で75施設減少した。病院数は1990年の1万96施設をピークに減少が続いており、2025年には8,000施設を割り込んでいる。その一方で、一般診療所は10万5,548施設で、前年同月比407施設増となったが、その内訳をみると無床診療所が増える一方で、有床診療所の減少が続いている。有床診療所は2月末時点で5,080施設、病床数は6万6,672床となり、いずれも減少傾向にある。直近1年間では月平均約19施設、約348床のペースで減少しており、現在のペースが続けば2026年7月には5,000施設、6万5,000床を割り込み、2027年には6万床を下回る可能性も指摘されている。有床診療所は、在宅医療や高齢者医療、急性期病院からの受け入れなど、地域包括ケアを支える重要な役割を担っている。2次医療圏によっては総病床数の4分の1を有床診療所が占める地域もあり、その減少は地域医療体制の脆弱化につながることが懸念されている。厚労省はこれまで診療報酬改定で、有床診療所を「専門特化型」と「地域包括ケア型」に分類し、在宅患者や介護施設利用者の受け入れ評価、慢性透析患者対応、地域連携分娩管理加算などの支援策を拡充してきた。2026年度同改定でも入院基本料引き上げなどのテコ入れが行われている。しかし、減少傾向には歯止めがかかっていない。背景には経営難に加え、後継者不足や医師・看護師確保の困難さがあるとみられる。地域包括ケアシステムや高齢者医療を支える役割が期待される中、有床診療所の維持をどう図るかが今後の大きな課題となっている。 参考 1) 医療施設動態調査(2026年2月末概数)(厚労省) 2) 病院数が前年同月比75施設減、厚労省調べ 一般診療所は407施設増(CB news) 3) 有床診療所は2026年2月末に5,080施設・6万6,672床に減少、2026年7月に5,000施設・6万5,000床を切る公算-医療施設動態調査(Gem Med) 2.18歳人口減少で、医療職の養成校の定員割れ深刻化、2040年へ確保を/厚労省少子高齢化が進む中、看護師やリハビリ専門職など医療関係職種の養成・確保が新たな政策課題として浮上している。厚生労働省は5月7日、「医療関係職種の安定的な養成・確保に関する検討会」の初会合を開き、医師・歯科医師・薬剤師を除く12職種について、横断的な対策の検討を始めた。対象は、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、救急救命士、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、歯科技工士である。背景にあるのは、18歳人口の減少と養成校の定員割れである。2024年度の定員充足率は、診療放射線技師が103.2%と唯一100%を上回った一方で、看護師は89.6%、理学療法士は87.8%、救急救命士は82.6%にとどまった。言語聴覚士は72.9%、臨床検査技師は76.1%、作業療法士は66.5%で、歯科技工士は53.5%、臨床工学技士は57.0%と6割を下回った。看護師国家試験の受験者数も2021年の6万6,124人をピークに減少し、2025年は6万3,131人となった。厚労省の推計では、2021年から2040年にかけて18歳人口は23道県で4割以上減少する見通しで、秋田県、青森県、岩手県、福島県では5割前後の減少が見込まれる。森光 敬子医政局長は、「養成校の努力だけで充足率の改善を図ることは、なかなか見込めない」と述べ、地域ごとの対応が必要との認識を示した。その一方で、現場では高年齢の看護職員の存在感が増している。55歳以上の看護職員は2008年の17.1万人から2024年には41.3万人へと2.4倍に増え、このうち65歳以上は10.8万人だった。厚労省は、ミドルやシニア層が希望に応じて働き続けられる支援が重要になるとしている。検討会では、養成校の集約化や共同化、遠隔授業、サテライト施設の活用、奨学金、社会人の参入促進、リカレント教育、育児・介護と両立できる働き方などが論点となる。さらに、限られた人員で医療水準を維持するため、各職種の質の確保や役割分担、地域別の需給推計の必要性も指摘された。2040年に向け、医療・介護ニーズは複雑化する一方で、支え手は減少する。養成校の定員割れは単なる学校経営の問題ではなく、地域医療の持続可能性に直結する。厚労省は年内をめどに意見を取りまとめ、2027年度予算や制度改正につなげたい考え。 参考 1) 第1回 医療関係職種の安定的な養成・確保に関する検討会(厚労省) 2) 少子高齢化進む2040年に向けて、看護職・リハ職など12医療専門職種の養成・確保策の検討開始-医療職種養成・確保検討会(Gem Med) 3) 18歳人口が4割超減少 23道県で 21-40年に(CB news) 4) 看護師国試、21年をピークに受験者数が減少 OT・PT・STの受験者数は定員割れで推移(同) 5) 医療職種の養成校、定員割れ改善「見込めない」厚労省医政局長が認識(同) 6) 医療職種、入学定員割れが顕著 安定的な養成・確保が課題に(同) 7) 55歳以上の看護職員、16年で2.4倍増 24年は41.3万人 厚労省集計(同) 3.小規模クリニック苦境、医療・福祉倒産が3年連続最多/東京商工リサーチ医療・福祉分野の経営悪化が深刻化している。東京商工リサーチによると、2025年度の医療・福祉事業の倒産は478件で、前年度比10%増となり、1988年度以降で過去最多を3年連続で更新した。とくに老人福祉・介護事業が182件と最多で、障害者福祉や児童福祉でも倒産が増加した。また、従業員5人未満の小規模事業者が大半を占めていた。病院やクリニック、歯科医院に限った「医療機関」の倒産も71件とこの20年間で最多となった。内訳はクリニック32件、歯科医院31件、病院8件で、とくに歯科医院の増加が目立つ。原因の約9割は「販売不振」と「既往債務のしわ寄せ」で、患者減少に加え、人件費や光熱費、医療材料費の高騰が経営を圧迫している。倒産の97%超は破産で、経営再建の難しさも浮き彫りとなった。歯科分野では、歯科診療所と歯科技工所の倒産が計39件に達し、過去20年で最多となった。全国の歯科診療所は約6万6,000施設と、コンビニの店舗数を上回る水準にある。予防歯科や審美歯科など需要は多様化しているものの、競争激化に加え、高額医療機器への投資、後継者不足、材料費高騰が重荷となっている。とりわけ歯科技工所では、銀など貴金属価格の上昇に加え、中東情勢悪化によるナフサ不足の影響で、樹脂系材料も値上がりしている。診療報酬改定でベースアップ支援料が新設されたが、コスト増を吸収できるかどうかは不透明だ。コロナ禍ではゼロゼロ融資などで倒産が抑えられていたが、支援終了後に経営悪化が顕在化した形。人口減少と高齢化が進む中、医療提供体制の維持には、単なる補助金ではなく、業務効率化や地域再編、M&Aも含めた抜本的な対策が求められている。 参考 1) 2025年度の「医療機関」倒産 20年で最多の71件 クリニック・歯科医院の淘汰が加速、「破産」が97%超(東京商工リサーチ) 2) 医療・福祉の倒産、3年連続で過去最多 東京商工リサーチ調べ(日経新聞) 3) 「歯科関連」倒産が過去20年で最多 「あると助かるがコンビニより多い」 コロナ禍後に医療現場で起きている「支援終了」(AERA DIGITAL) 4.病院へのサイバー対策を強化、クラウド移行支援へ/政府政府は、大規模病院に対するサイバーセキュリティ対策を強化するため、クラウド型システムへの移行を支援する方針を固めた。今夏にまとめる官民投資のロードマップでは、「2030年までに地域の拠点病院のサイバー対策100%実施」という数値目標を盛り込む見通し。背景には、医療機関を狙ったサイバー攻撃の増加がある。2022年には大阪急性期・総合医療センターが攻撃を受け、救急患者受け入れを制限。2026年2月には日本医科大武蔵小杉病院で個人情報漏洩が発生したほか、市立奈良病院でも今年4月にシステム障害が起き、救急受け入れ停止や外来制限に追い込まれた。市立奈良病院では、ネットワーク監視装置が異常通信を検知し、電子カルテを含む一部システムを停止。手術延期や紙カルテ運用への切り替えを余儀なくされた。現時点で個人情報漏洩や悪意ある侵入は確認されていないものの、奈良市は外部有識者による調査委員会を設置し、再発防止策を検討する。政府は、経済安全保障推進法の改正に合わせ、医療分野を「基幹インフラ」に追加する方向で調整している。対象は病床数400以上、診療科16以上などを満たす全国88病院で、多要素認証やサイバー攻撃を想定したBCP(事業継続計画)策定などを点検する。現在、多くの病院では院内サーバーで管理する「オンプレミス型」が主流だが、更新や監視の負担が大きく、データ連携にも障壁がある。このため政府は、クラウド型への移行を促進し、システム開発企業や医療機関への財政支援を検討している。また、厚労省は2026年5月にも「医療情報システムの安全管理ガイドライン第6.1版」を公表する予定で、AI利用に伴う情報漏洩リスクや職員教育の重要性も新たな論点となっている。診療継続と患者情報保護の両立に向け、医療機関のセキュリティ体制強化が急務となっている。 参考 1) 病院のサイバー対策支援 クラウド移行、政府が予算措置 今夏に数値目標(日経新聞) 2) 巧妙化するサイバー攻撃 医療機関のセキュリティ見直し急務(RESCHOニュース) 3) サイバー攻撃疑いの市立奈良病院、救急受け入れと外来診療を停止(日経メディカル) 4) 市立奈良病院システム障害 奈良市が謝罪、原因特定調査「継続中」(奈良新聞) 5.抗がん剤取り違えで乳児死亡 県立こども病院医師を減給処分/静岡県2021年に静岡県立こども病院にて生後3ヵ月の乳児に抗がん剤を誤投与した医療事故で、病院を運営する県立病院機構は5月8日、担当していた49歳の男性医師を減給の懲戒処分とした。乳児は重い障害を負い、約10ヵ月後に死亡している。事故当時、乳児は急性白血病で入院中だった。医師は本来、静脈内に投与すべき抗がん剤を、脊髄を囲む「髄腔」内に誤って投与した。病院の事故調査報告書によると、医師は看護師から薬剤を受け取る際、確認を十分に行わず、髄腔内投与用と静脈投与用の薬剤を取り違えたという。乳児は誤投与後、自発呼吸ができなくなる重大な障害を負い、治療が続けられたものの、10ヵ月後に死亡した。事故を受け、医師は昨年、業務上過失傷害の罪で略式起訴され、罰金50万円の略式命令を受けていた。病院と遺族側との間では民事上の示談も成立している。県立病院機構は5月8日付で、医師に対し「1日分賃金の半額」の減給処分を実施した。また、監督責任を問い、当時の院長と内科系診療部長についても文書厳重注意とした。男性医師は「大変申し訳ないことをしてしまった」と述べている。坂本 喜三郎理事長は「あってはならない重大事案」とした上で、「安全・安心な医療を提供できるよう、再発防止に職員一丸となって取り組む」とコメントしている。今回の事故では、薬剤確認の不徹底というヒューマンエラーが背景にあったとされる。小児がん治療のような高度医療では、複数人による確認体制や投与経路確認の徹底が不可欠であり、医療安全対策のあり方が改めて問われている。 参考 1) 医療ミスで生後3ヵ月の乳児死亡 薬剤を誤投与した男性医師を減給処分 1日分の賃金を半分に 患者は急性白血病で入院(テレビ静岡) 2) 乳児に薬を誤投与、重大な障害を負い10ヵ月後に死亡 静岡県立こども病院の男性医師を減給処分(中日新聞) 3) 静岡県立こども病院で乳児死亡“薬取り違え”で医師を懲戒処分(NHK) 6.奥能登の新病院構想、集約化か産科維持かで議論/石川県石川県が進める奥能登地域の病院再編を巡り、産科医療体制のあり方が大きな論点となっている。県は、人口減少や医療従事者不足が深刻化する奥能登地域の4つの公立病院について、救急や入院機能を集約した新病院を能登空港周辺に整備する方針で、7日に検討会を開いた。会議では、奥能登の妊婦は新病院で妊婦健診を受ける一方で、分娩は七尾市や金沢市の病院で行う案が県側から示された。県は、「分娩には24時間対応できる複数の産科医や小児科医、麻酔科医、新生児対応体制など膨大な人的・物的資源が必要であり、現状では医療従事者の確保が困難」と説明した。これに対し、輪島市や穴水町などの自治体側からは強い反発が相次いだ。輪島市の坂口 茂市長は「安全だけでなく、住民の安心感も重要だ」と述べ、奥能登で出産できない状況が若者流出にもつながると懸念を示した。出席者からは「若者は住むなと言っているに等しい」との声も上がった。奥能登では、能登半島地震以前は市立輪島病院が地域唯一の分娩機能を担っていたが、過去の医療事故を受けて複数医師体制を構築してきた経緯がある。現在は地震後の影響もあり、金沢からの医師派遣が週2回程度に減少し、妊婦健診など外来対応のみとなっている。その一方で、県側は宿泊費支援や搬送体制整備などで安全性を担保したい考えで、山野 之義知事は「安全第一が共通認識」とした上で、地域の要望も踏まえて工夫を検討したいと述べた。石川県は今後、産科や小児医療の分科会を設置し、専門家も交えて議論を継続する。今年度中に新病院の基本構想をまとめる方針だが、開院までにはさらに6~7年程度かかる見通しで、地域医療と人口維持をどう両立させるかが問われている。 参考 1) 石川 奥能登地域の病院再編 産科の医療体制について議論(NHK) 2) 「能登に住むなってことか」奥能登新病院に「分娩機能なし」提案 首長から反発 山野知事「どんな工夫ができるのか」議論する(石川テレビ) 3) 奥能登の新病院で分娩実施せず 石川県が体制案 市町首長から反論(朝日新聞) 4) 奥能登の新病院構想 自治体要望の分べん機能導入 医療従事者不足で石川県は慎重姿勢(テレビ金沢)

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麻疹・風疹の違いは?

麻疹・風疹の違いは?麻疹(はしか)風疹(3日はしか)原因ウイルス 麻疹ウイルス(Paramyxovirus科Morbillivirus属)風疹ウイルス(Togavirus科Rubivirus属)感染経路空気感染、飛沫感染、接触感染感染力が非常に強い飛沫感染感染力が強い潜伏期間10~12日間14~21日間症状発熱(38℃前後、発疹期は39.5℃以上)、上気道炎症状(せき、鼻みず、のどの痛み)、結膜炎症状(結膜充血、目やに、まぶしさ)、消化器症状(下痢、腹痛)、発疹、コプリック斑(口腔内の白色の小斑点)など発熱(約半数)、発疹、リンパ節の腫れが3つの特徴的な症状とされる関節炎が出る場合もある(成人の5~30%)麻疹より症状は軽く、無症状が15~30%注意が必要な合併症肺炎、脳炎、亜急性硬化性全脳炎(麻疹の二大死因は肺炎と脳炎)中耳炎、クループ症候群(喉頭炎、喉頭気管支炎など)、心筋炎など先天性風疹症候群(妊娠20週までの妊婦さんが感染すると、生まれた子が発症して、先天異常など、さまざまな症状があらわれる)血小板減少性紫斑病、急性脳炎分類(1人の感染者が12~17人感染させる)(1人の感染者が5~7人感染させる)5類感染症国立感染症研究所. 風疹とは(https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/430-rubella-intro.html)国立感染症研究所. 麻疹とは(https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/518-measles.html)より作成Copyright © 2026 CareNet,Inc. All rights reserved.麻疹・風疹の発生状況(2026年4月30日現在)麻疹(例)(例)3,0003,0002,5002,5002,0002,0001,5001,5001,000風疹2,9412,2981,000744※5000165 18627910 66 28 45265436500126 910年101※12 15 12 9 11 1年※:第17週(2026年4月30日現在)の速報値国立感染症研究所. 感染症発生動向調査(IDWR):2026年4月30日現在(https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/diseases/measles/graph/index.html)(https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/diseases/rubella/graph/index.html)より作成Copyright © 2026 CareNet,Inc. All rights reserved.

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医療者向けChatGPT登場!米国在住の医師が特別レポート

 多くのAIツールを医療者が使うようになり、医療者の情報検索に特化したOpenEvidenceなどの専門AIツールも急速に普及するなか、4月末に汎用型AIツール・ChatGPTが医療者向けのChatGPT for Cliniciansをリリース。現時点では使用は米国在住の医師に限られるものの、医療AIの「本命」となるのかが注目される。CareNet.comで「タイパ時代のAI英語革命」「医療者のためのAI活用術」などを連載する原田 洸氏(米国・マウントサイナイ医科大学病院)が使用感を特別レポート。ChatGPT for Cliniciansとは何か ChatGPTをはじめとした生成AIを、日常生活や臨床業務の中で活用している医療者は、すでに少なくないのではないでしょうか。そうした中、米国で新たにリリースされたのが、医療者向けに設計された “ChatGPT for Clinicians” です1)。 一言で言えば、医学分野に特化したChatGPTであり、医師をはじめとする医療従事者が臨床疑問を調べることを想定してつくられたツールです。日々の診療で生じる疑問に対し、タイムリーに、かつ信頼できる情報に基づいて回答することを目的としています。現時点では利用対象は米国の医療従事者に限定されていますが(資格認証あり)、私は現在米国の病院で勤務しているため、実際に使用する機会がありました。ここでは、その概要と使用感について共有したいと思います。通常のChatGPTと何が違うのか 通常のChatGPTは、事前学習された膨大な情報や、Web検索で得られた情報をもとに回答を生成します。これは非常に便利な一方で、臨床現場でそのまま使うには注意が必要です。なぜなら、回答の根拠となる情報に誤りが含まれていたり、Web検索で信頼性の低い情報が拾われたりした場合、その内容が回答に反映される可能性があるからです。たとえば、「StageIVの大腸がんの治療は?」と入力した際に、十分なエビデンスのない自費診療を行うクリニックの情報が検索結果として参照されてしまえば、標準治療やガイドラインから大きく外れた回答が生成されるリスクがあります。 この課題に対応しようとしているのが、ChatGPT for Cliniciansです。米国の主要学会のガイドライン、CDC、FDA、査読済み論文など、信頼性の高い医療情報をもとに回答を生成することで、臨床的な正確性を高める設計になっています。実際に使ってみた印象は 使い方は非常にシンプルです。通常のChatGPTと同じ画面上で、「○○の治療は?」「□□の薬は△△の状況では中止すべきか?」といった日常診療で生じる疑問を入力すると、数十秒から1分程度で回答が生成されます。英語で入力すれば英語で、日本語で入力すれば日本語で回答されるため、言語面での使いやすさも通常のChatGPTと大きく変わりません。 実際に使用した印象としては、回答の質は高く、少なくとも私が試した範囲では、明らかなハルシネーション(AIが事実と異なる情報をもっともらしく出力する現象)はほとんど見られませんでした。また、回答には関連する論文やガイドラインへのリンクが示されるため、最終的な確認を自分で行いやすい点も大きな利点です。普段からChatGPTを使い慣れている医療者であれば、ほとんど抵抗なく導入できるツールだと感じました。対抗馬はOpenEvidence もっとも、医療分野に特化した生成AIツール自体がまったく新しいわけではありません。近年、米国では OpenEvidence という医療特化型の生成AIが急速に普及しており、すでにこちらを利用している医療者にとっては、ChatGPT for Cliniciansは大きな目新しさを感じないかもしれません2、3)。OpenEvidenceは、NEJMやJAMAなどの主要医学誌とも提携しており、これらのジャーナルに掲載された論文の図表にプラットフォーム上でアクセスできる点が強みです。また、私が勤務する医療機関では、OpenEvidenceがすでに電子カルテ上で利用可能になっており、臨床現場での活用の幅はますます広がっています4)。なお、OpenEvidenceは日本からも利用可能であるため、日本の医療者にとっては、現時点ではChatGPT for Cliniciansよりも身近な選択肢と言えるでしょう。今後注目したいポイント 現時点では、ChatGPT for Cliniciansが既存の医療特化型AIサービスをすぐに置き換える存在になるとは言い切れないでしょう。しかし、ChatGPTがもともと持っている画像生成、音声会話、動画生成、文書作成などの多様な機能と組み合わされることで、将来的な可能性は大きく広がると考えられます。 今後は、OpenEvidenceとの競争、電子カルテへの統合、日本を含む米国外への展開などが注目されます。生成AIが医療現場に入り込む流れは、もはや一時的なブームではなく、避けては通れない変化になりつつあります。医療者としては、その利点と限界を理解しながら、どのように安全かつ有効に使いこなすかが問われる時代に入っているのだと思います。

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小児のアトピー性皮膚炎、確実な予防方法はないが治療の選択肢は豊富

 小児のアトピー性皮膚炎の発症を予防するために親ができることは極めて少ないことが、新たなガイドラインで示された。特別な食事療法、入浴を控えること、母乳育児、プロバイオティクスのサプリメントといった広く知られている対策が小児のアトピー性皮膚炎の予防に有効であることを示すエビデンスは見つからなかったという。一方、既にアトピー性皮膚炎を発症している小児には、皮膚のかゆみを和らげるための効果的な治療法が多くあるとしている。米国皮膚科学会(AAD)が作成したこのガイドラインは、「Journal of the American Academy of Dermatology」に4月7日掲載された。 AADによると、これは同学会が発表した初めての小児のアトピー性皮膚炎に関するガイドラインであるという。AAD会長のMurad Alam氏は、「アトピー性皮膚炎に罹患している小児は極めて多いが、症状の現れ方や経過は必ずしも成人と同じではない。アトピー性皮膚炎は小児や家族の生活の質(QOL)を低下させる可能性があるため、最善の治療が確実に行われるようにするためには、小児に特化したガイドラインが必要である」とニュースリリースで述べている。 ガイドラインを作成した研究グループが既存の医学的エビデンスを検討した結果、小児のアトピー性皮膚炎の発症を予防できる真に有効な方法はないとの結論に至った。ただし、保湿剤のみは生後6カ月~3歳の小児のアトピー性皮膚炎の発症を減少させるという目的で「条件付き推奨」の治療法として位置付けられた。条件付き推奨は、その治療法のベネフィットとリスクが拮抗している場合に示される。一方、食事療法や入浴を控えること、ビタミンDやプロバイオティクスのサプリメント、離乳食の早期導入、母乳育児、硬水の軟化、ダニなどのアレルゲンへの曝露を減らすといった他の予防法に関しては、十分なエビデンスがないと結論付けられた。 一方で、小児のアトピー性皮膚炎の治療に関しては、多くの治療法が「強い推奨」として位置付けられた。有効性が明らかにされている治療法には以下が含まれる。・皮膚の乾燥やかゆみの軽減を目的とした保湿剤・再燃時の第一選択薬となるステロイド外用薬・再燃の管理を目的としたカルシニューリン阻害外用薬(pimecrolimus〔国内未承認〕またはタクロリムス軟膏)・かゆみ軽減と再燃頻度の抑制を目的としたホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬(crisaborole軟膏、roflumilastクリーム〔いずれも国内未承認〕)・軽症~中等症の患者の乾燥やかゆみの重症度の軽減を目的とした外用ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬(ルキソリチニブクリーム〔日本ではアトピー性皮膚炎に対する適応は未承認〕、タピナロフクリーム)・軽症〜重症患者における炎症軽減、皮膚バリア機能の改善、乾燥やかゆみを伴う皮膚症状の軽減を目的とした局所用アリル炭化水素受容体(AhR)アゴニスト(タピナロフクリーム)・中等症~重症の患者の症状の重症度低下、再燃の減少、かゆみの軽減を目的としたモノクローナル抗体(デュピルマブ、トラロキヌマブ、レブリキズマブ、ネモリズマブ〔外用薬と併用〕)・中等症~重症の患者の症状の重症度低下、かゆみの軽減を目的としたJAK阻害薬(ウパダシチニブ、アブロシチニブ、バリシチニブ) ガイドラインではまた、入浴、ウェットラップ療法、光線療法についても小児のアトピー性皮膚炎の治療法として条件付きで推奨している。一方で、ステロイドの経口薬や注射薬の使用については急激で重度の再燃が見られた患者に限定すべきであり、長期的には使用しないことを強く推奨するとされている。さらに、外用抗菌薬の使用や薬剤と光線療法を組み合わせたPUVA療法についても実施しないことが条件付きで推奨された。 AADのアトピー性皮膚炎ガイドライン作業部会の共同委員長であるDawn Davis氏は、「このガイドラインは、患者やケア提供者、そして医学会を教育し、彼らを支援することで、アトピー性皮膚炎の小児ができる限り最善の治療を受けられるようにするために作成された。早期からの積極的な介入によって、患者やその家族は症状やQOLの改善が期待できる」と述べている。

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プラスチック添加物が年間約197万件の早産に関連

 プラスチックに柔軟性を与える一般的な化学物質であるフタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)が、年間約200万件の早産に関与している可能性が新たな研究で示された。DEHPは、これまで長年にわたって人体に対する有害性が指摘されてきたフタル酸エステル類に分類される化学物質の一種で、化粧品から洗剤、防虫剤に至るまで、さまざまな製品に広く使用されている。米ニューヨーク大学(NYU)グロスマン医学部のSara Hyman氏らによるこの研究結果は、「eClinicalMedicine」に3月30日掲載された。 DEHPは環境中に広く存在するため、空気中から吸い込んだり、水や食物を介して摂取したりする可能性がある。Hyman氏らは今回、2018年の米国やカナダ、ヨーロッパなどの調査データに加え、調査データが存在しない地域については既存のメタ解析で推定された曝露量を用いて、世界203の国および地域におけるフタル酸エステル類への曝露分布を推定した。さらに、先行のコホート研究で得られたフタル酸エステル(DEHP、フタル酸ジイソノニル〔DINP〕)曝露と早産との関連を各地域の曝露分布に適用し、早産への影響を推定した。 その結果、2018年に世界で記録された約197万件の早産(同年の早産全体の8.74%)が母親のDEHP曝露に関連するとともに、約7万4,000人の新生児の死亡にも関連していることが示された。早産の負担が最も高かったのは中東と南アジアで、この2地域だけでDEHP曝露に起因すると推定された早産の54%を占めていた。次いで負担が高かったのはアフリカでの26%だった。DINP曝露の早産に対する影響も同様で、188万件の早産および6万4,000人の新生児の死亡に関連することが示された。 論文の筆頭著者であるHyman氏は、「フタル酸エステル類への曝露が早産に与える影響を世界規模で推定した結果、特に影響を受けやすい地域で曝露を抑制することが、早産や早産後に起こりやすい健康問題の予防につながる可能性のあることが明らかになった」とNYUランゴンのニュースリリースで述べている。 また、論文の上席著者でNYU小児科学教授のLeonardo Trasande氏は、「われわれの分析は、フタル酸エステル類を一つずつ規制し、理解が不十分な代替物質に置き換えるだけでは、より大きな問題の解決にはならないことを明確に示している」と述べている。その上で同氏は、「われわれは有害な化学物質を相手に『もぐらたたき』のように危険なゲームをしているといえる。今回の分析結果は、同じ過ちを繰り返さないために、プラスチック添加物全体に対するより強力で包括的な規制が急務であることを示している」と付け加えた。 なお、研究グループによると、フタル酸エステルは他の面でも健康に影響を及ぼす可能性があるという。Hyman氏は、「例えば、フタル酸エステルへの曝露はがん、心疾患、不妊症のリスクの上昇と関連していることが他の研究で示されている」と指摘している。

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親のストレスが軽くなると子どもの肥満リスクが低下する

 ストレスを抱える親をサポートすることが、子どもの肥満の予防に役立つ可能性が報告された。米イェール大学医学部ストレスセンターのRajita Sinha氏らの研究によるもので、詳細は「Pediatrics」に3月6日掲載された。 この研究では、マインドフルネスのトレーニングを受けた親はストレスが低下してポジティブな感情を抱くようになり、その子どもたちの食生活が改善し、体重増加も見られなくなった。論文の上席著者であるSinha氏は、「ストレスが小児肥満の発症に大きく影響することは、すでに知られていた。しかし驚いたことに、親がストレスにうまく対処できるようになると、子育ての質が向上して、子どもの肥満リスクが低下した」と語っている。 論文中の研究背景によると、肥満の親の子どもは肥満リスクが高いことが、先行研究で示されている。研究者らによると、親のストレスが子どもの肥満の隠れた要因である可能性も指摘されており、ストレスを抱えた親は子どもの食事の調理にあまり手をかけず、ファストフードやジャンクフードに頼りがちだという。また、現行の小児肥満予防プログラムは主に栄養と運動に関する教育に重点を置いているが、その教育が持続的な改善をもたらすことは多くないとのことだ。 今回の研究では、2~5歳の子どもを持つ過体重または肥満の親をランダムに2群に分け、1群にはストレスコントロールと不健康な行動の回避に焦点を当てたマインドフルネス・トレーニングに加え、健康的な食生活と運動に関する教育介入を行った。もう一方の群(対照群)には健康的な食生活と運動に関する教育のみを行った。介入期間は両群ともに12週間で、週1回、最長2時間程度、グループ単位で実施された。この期間中、親のストレスレベルと子どもの体重をモニタリングし、また介入終了後も3カ月間、子どもの体重や食生活の変化を観察した。 解析対象となった親は114人で、平均年齢34.6±5.8歳、母親が95.6%、BMIは34.8±6.2であり、子どもは平均月齢43.5±13.5月で女児が52.6%だった。解析の結果、マインドフルネス・トレーニングを受けた群では、親のストレスが軽減して子育てを肯定的に捉えるように変化し、さらに子どもの不健康な食生活が改善された。しかし対照群ではこのような変化が認められなかった。 介入開始から介入終了後3カ月にかけて、親がマインドフルネス・トレーニングを受けた群では、BMIが85パーセンタイル(米疾病対策センター〔CDC〕による小児の過体重のカットオフ値)以上の子どもの割合には、有意な変化がなかった。それに対して対照群の子どもでは、その割合が22%から39.6%へと有意に増加していた(オッズ比6.04〔95%信頼区間1.06~34.4〕)。 Sinha氏は、「幼い子どもの親自身が、マインドフルネスなどによりストレスをコントロールする方法を身に付け、健康的な食生活と運動を実践することが、親のストレスによる体重増加という悪影響から子どもたちを守ることにつながるようだ」と述べている。

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5月5日 熱中症対策の日【今日は何の日?】

【5月5日 熱中症対策の日】〔由来〕「立夏」(5月5日頃)の頃から熱中症患者の報道が出始めることから、早期の注意と熱中症予防にはこまめな水分補給が大切であることの啓発を目的に「熱中症ゼロへ」プロジェクト(日本気象協会)と日本コカ・コーラが共同で2014年に制定。関連コンテンツ第26回 夏の猛暑、実はあなたの老化を「喫煙レベル」で加速させていた!今すぐできる対策とは?【NYから木曜日】小児の熱中症【すぐに使える小児診療のヒント】第36回 重症熱中症には“Active Cooling”を!【救急診療の基礎知識】根性より水分!?令和の夏を生き抜く医学的戦略?【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】熱中症診療ガイドラインの分類に最重症群「IV度」を追加

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「遺伝性不整脈の診療に関するガイドライン」8年ぶりの全面改訂、非専門医が押さえておきたいポイントは?/日本循環器学会

 日本循環器学会と日本不整脈心電学会の合同研究班による「2026年改訂版 遺伝性不整脈の診療に関するガイドライン」1)が、2026年3月20日にオンライン上で公開された。2018年の前回改訂以来、8年ぶりの全面改訂となる。今回の改訂では、「遺伝学的知見と臨床エビデンスの統合」が基本コンセプトに掲げられ、新たに8つの章が追加されるなど、ページ数が前回の約1.6倍(127ページ)に拡充された。3月20~22日に開催された第90回日本循環器学会学術集会では、班長を務めた牧山 武氏(京都大学大学院医学研究科 循環器内科学)が本ガイドラインの要点を解説した。目次第1章 総論第2章 先天性QT延長症候群(先天性LQTS)第3章 ブルガダ症候群(BrS)第4章 カテコラミン誘発多形性心室頻拍(CPVT)第5章 QT短縮症候群(SQTS)第6章 早期再分極症候群(ERS)第7章 特発性心室細動(IVF)[新規]第8章 進行性心臓伝導障害(PCCD)第9章 家族性心房細動(AF)[新規]第10章 家族性洞不全症候群(SSS)[新規]第11章 不整脈原性右室心筋症(ARVC)[新規]第12章 ラミン心筋症[新規]第13章 予期せぬ突然死(SUD)/予期せぬ乳幼児突然死(SUDI)[新規]第14章 先天性LQTS、CPVT女性患者の妊娠、出産、産褥期における注意点[新規]第15章 市民・患者への情報提供[新規]付表[新規] 今回の改訂では、不整脈が臨床上重要な位置を占める「原発性心筋症」であるARVC(第11章)、ラミン心筋症(第12章)も遺伝性不整脈スペクトラムの一部として含まれた。本ガイドライン改訂の主なポイント遺伝性不整脈の定義と遺伝学的検査 遺伝性不整脈は、心筋細胞の電気的興奮・刺激伝導に関わる遺伝子、すなわち心筋イオンチャネルおよびその関連蛋白をコードする遺伝子の病的バリアントに起因し、明らかな器質的心疾患を認めない、もしくは軽微であるにもかかわらず、心室・上室不整脈や心臓突然死を来しうる疾患群を指す。本ガイドラインでは、日本医学会が2022年に改訂した「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」2)に沿って、従来使われていた「遺伝子異常」という言葉を「病的バリアント」に統一している。 遺伝学的検査は、診断、治療方針の選択、予後予測、患者および家族の疾患理解・健康管理(スクリーニング)において非常に重要であり、2024年に改訂された「心臓血管疾患における遺伝学的検査と遺伝カウンセリングに関するガイドライン」で詳細に解説されている3)。遺伝学的解析における次世代シーケンサーの主流化 遺伝学的解析手法は従来のサンガー法から、次世代シーケンサー(NGS)を用いた解析が主流となり、パネル検査では一度に60以上の候補遺伝子を網羅的に解析することが可能となっている。より多くの症例で、従来よりも短期間で病的バリアントを検出することが可能となり、遺伝型に基づいた個別化医療が加速している。新たな遺伝性不整脈疾患 また、この遺伝学的解析技術の向上により、新たな遺伝性不整脈疾患が同定されるようになってきた。「カルモジュリン関連LQTS(CALM-LQTS)」は、先天性LQTSの約0.3%に認められ、まれではあるが、幼少期から致死性不整脈を来す最重症型である。また、新しい疾患概念として、心臓リアノジン受容体遺伝子(RYR2)に関連する「カルシウム放出不全症候群(CRDS)」も初めて収載された。従来、RYR2機能獲得型バリアントにより運動や興奮で心室不整脈が誘発されるCPVTが引き起こされることが知られているが、CRDSは、同じRYR2バリアントに起因するものの、CPVTとは対照的に運動やストレスがない安静時や睡眠中に致死性不整脈を来す疾患である。主要3疾患(LQTS/BrS/CPVT)の診断・治療アップデート 今回の改訂では、主要3疾患(LQTS/BrS/CPVT)の診断基準がアップデートされ、定量的に明確に整理されている。非専門医にとっても「循環器専門医へ紹介すべきタイミング」を判別しやすくなっている。 先天性LQTSでは、繰り返す12誘導心電図でQTc≧500msまたはSchwartzスコア3.5点以上を認める場合が診断基準に用いられる。BrSでは、自然発生または発熱時のタイプ1波形が診断の主軸として定義されている。疫学に関しては、日本の多施設コホート研究による最新データが掲載された4)。LQTS/CPVTの治療に用いるβ遮断薬に関しても、エビデンスが蓄積されている非選択的β遮断薬(ナドロール、プロプラノロール)の使用が推奨されている。CPVTでは、安静時心電図が正常でも「運動・ストレス時の失神」というエピソード自体が重要な鍵となる。 これらの指標に基づいた標準的なフローチャートが整備されたことで、健診や一般外来における疑い例に対するリスク層別化と、専門施設へのスムーズな連携が図られている。治療および生活管理においては、CPVTでは、従来のβ遮断薬に加え、フレカイニド併用療法の有効性が強調される一方、ICD作動がさらなる致死的不整脈(VFストーム)を誘発し得る点にも注意が喚起されており、適切なデバイス適応の検討と除細動器設定の最適化の重要性が明記されている。さらに、難治例に対しては左心臓交感神経切除術(LCSD)の推奨も記載されている。先天性LQTS患者の運動・スポーツ参加の目安 今回の改訂における重要トピックの一つが、生活指導における、先天性LQTS患者および家族と医療関係者の間での「共同意思決定(shared decision making)」の導入である。これまでの「一律の運動禁止」という画一的な管理から脱却し、高強度・競技レベルの運動参加について、適切な予防治療の継続と、AEDの配備や指導者の監視といった安全環境の整備を前提に、病状および患者・家族の意向を踏まえたshared decision makingにより管理方針を決定するフローが明確に示された。ガイドラインでは、運動強度(METs)と学校生活指導管理表の区分を対照させた詳細なフローチャート「先天性LQTS患者の運動または競技スポーツ参加の目安」(図8)が掲載されており、競技スポーツへの復帰についても、専門医によるリスク評価と十分な対話を通じて個別に検討する道筋が立てられている。ライフステージに応じた妊娠・産褥期の管理 女性患者のライフステージに合わせた管理指針として、第14章が新設された。とくにLQT2患者は出産後(産褥期)に心イベントのリスクが著しく高まることが示されており、厳重な注意が必要である。この時期、授乳中であってもβ遮断薬の内服を確実に継続することが強く推奨されており、産科医と循環器医の緊密な連携が致死的不整脈イベントの予防において不可欠であることが強調されている。実臨床において活用しやすい「付表」と市民・患者向けQ&Aの充実 第15章の市民・患者向けQ&Aは、職域健診・学校心臓検診で異常を指摘された際の家族への説明の進め方など、教育現場や一般外来でのコミュニケーションを支援する実用的なツールとして構成されている。また、非専門医や学校医が日常診療で即座に参照できるよう、巻末の付表が新設された。とくに、疾患ごとに「避けるべき薬剤リスト」が最新の知見に基づき整理されたほか、急性期・慢性期治療に用いられる薬剤の具体的な用法・用量が明記されている。 牧山氏は、本ガイドラインについて「『遺伝学的知見と臨床エビデンスの統合』を軸に、臨床現場における診療の標準化を目的として、最新の知見に基づき国内のエキスパートとともに改訂を行った。専門医のみならず、一般内科医、学校医や検診担当医が日常診療で直面する課題解決に役立ててほしい」と展望を述べた。日本循環器学会(JCS)学術集会まとめページはこちら

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ADHD治療薬は将来の精神病リスクを上昇させない

 注意欠如・多動症(ADHD)の子どもに対しては、メチルフェニデートが処方されることが多い。ADHD患者は統合失調症などの精神病(精神病性障害)のリスクが高いことが知られているが、精神病の発症とメチルフェニデートとの長期的な関連は、これまで明確ではなかった。こうした中、新たな大規模研究で、メチルフェニデートは精神病リスクを上昇させず、むしろ小児期の同薬による治療は将来の非感情性精神病性障害に対して予防効果を有する可能性が示唆された。英エディンバラ大学児童・思春期精神医学分野のIan Kelleher氏らによるこの研究は、「JAMA Psychiatry」に3月25日掲載された。 Kelleher氏は、「幼少期のメチルフェニデートによる治療が長期的な精神病リスクの低下と関連していたという事実は、この薬剤が小児期の症状を管理するにとどまらず、重篤な精神疾患に対して長期的な保護効果を持つ可能性を示唆している」とニュースリリースで述べている。 この研究でKelleher氏らは、フィンランドの全国データを用いて、1987年から1997年の間に出生した人を対象に、子どもおよび思春期の若者に対するメチルフェニデートによる治療が将来の非感情性精神病性障害リスクに与える影響を検討した。同期間に出生したのは69万7,289人であった。このうち3,956人(男子80.41%)が、フィンランドでメチルフェニデートが使用されるようになった2003年1月1日以降に、18歳未満でADHDと診断されており、2,728人(68.96%)がメチルフェニデートの処方を1回以上受けていた。 222人(5.7%)が非感情性精神病性障害の診断を受けており、診断時の平均年齢は22.16歳だった。解析の結果、メチルフェニデート(30mg/日)による長期治療と非感情性精神病性障害リスクの間に有意な関連は認められなかった。さらに二次解析では、13歳未満でADHDと診断されメチルフェニデートを処方された人では、成人期における非感情性精神病性障害の発症リスクが低い傾向が示された。思春期にADHDと診断された人では、十分な評価を行うことができなかった。 研究グループは、「これらの結果は、ADHD治療で使われる中枢神経系刺激薬が将来的に精神病リスクを高めるのではないかという、近年の保護者や医師、政策担当者の懸念を和らげる一助となる可能性がある」と述べている。 Kelleher氏はさらに、「ADHDの子どもを成人期まで追跡すると、ごく一部ではあるが一定数が統合失調症などの精神病性障害を発症することが知られている。重要な疑問は、ADHD治療薬がそのリスクを引き起こしているのか、それとも相関関係はあっても因果関係はないのかという点であった。今回の研究結果は、そのリスクを高めている要因が薬剤そのものではないことを示唆している」と話している。 論文の筆頭著者である英ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンのColm Healy氏は、「小児の脳と、思春期あるいは成人の脳との間には重要な発達上の違いが存在する。そのため、中枢神経系刺激薬の効果が全ての発達段階で同じであると仮定することはできない。成人におけるADHD治療が急増している現状を踏まえると、こうした違いの理解は喫緊の課題である」と述べている。(HealthDay News 2026年3月26日)

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