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第304回 Lancet誌が怒りあらわに、ケネディ氏に向けたEditorialを掲載

INDEX保健福祉省長官が公衆衛生を破綻に追い込む危険な結果を導き出す愚策感染症の流行で結果は明確保健福祉省長官が公衆衛生を破綻に追い込む前回は米国によるイラン攻撃の影響を取り上げたが、米国の無茶苦茶ぶりはほかでも進行中である。何かといえば、昨年2月に保健福祉省長官に就任したロバート・ケネディ・ジュニア氏のことである。過去に本連載でもケネディ氏によるLancet誌、NEJM誌、JAMA誌の3誌の腐敗呼ばわり、米国疾病予防管理センター(CDC)が推奨する小児向けワクチン接種スケジュールの大幅縮小、CDCにワクチン政策の助言・提案を行う外部専門家機関・ACIP(予防接種の実施に関する諮問委員会)の委員全員解任とワクチン懐疑派委員への入れ替え、mRNAワクチン開発への研究支援の縮小、自分の主張と反する科学的研究論文を掲載したジャーナルへの論文撤回要請などを取り上げてきた。しかし、ケネディ氏の傍若無人ぶりには、いよいよ目を背けたくなる。ケネディ氏の長官就任1年を経た2026年2月28日付のLancet誌407巻では、表紙にデカデカと“The destruction that Kennedy has wrought in 1 year might take generations to repair, and there is little hope for US health and science while he remains at the helm.”(ケネディがこの1年で引き起こした破壊は、修復するのに何世代もかかるかもしれない。そして彼が指揮を執り続ける限り、米国の保健と科学に希望はほとんどない)と謳い、冒頭では「Robert Kennedy Jr:1year failure(ロバート・ケネディ・ジュニア:1年間の失敗)」と題したEditorialが掲載された1)。詳細は省くが、これまでの数々の悪行を取り上げ、「ジャンクサイエンスや異端の信念が正当な説明もなく重視されている」「誤情報を拡散し、国の最も弱い立場にある人々を犠牲にして政治的な政策を推進し続けている」「議会から自身の決定について説明を求められても、彼は逃げ腰で攻撃的な態度をとってきた」と徹底的にこき下ろしている。危険な結果を導き出す愚策前述のようにケネディ氏は、小児向けワクチン接種スケジュールの大幅縮小により、従来は小児全員に推奨されていたインフルエンザ、B型肝炎、A型肝炎、ロタウイルス、髄膜炎菌、新型コロナウイルスの6種類のワクチンを推奨から外し、「高リスク群のみ」または「医師と個別に相談して決定」という枠組みに変更した。また、2025年10月、ケネディ氏が刷新したACIPは、「MMRV(麻疹・おたふくかぜ・風疹・水痘)ワクチン」の4歳未満への定期接種の推奨を取り消した。これにより州レベルでは、フロリダ州が接種義務解除に踏み切ったほか、低所得者層向けの無料接種プログラム(VFC)からMMRVワクチンが外れ、接種のハードルが上がった。そしてこれらの影響と思われる現実は深刻である。感染症の流行で結果は明確CDCによると、米国での2025年の麻疹感染報告は2,283例、2026年(3月6日時点)は1,281例で、今年はわずか3ヵ月で前年の半数超に達している。2024年が285例なので昨年は前年比で9倍弱、感染報告が増加したことになる。もちろんMMRVワクチンの非推奨は2025年秋のことなので、これが同年の麻疹患者増加の主要な原因とまでは言えない。しかし、2026年の急速な感染報告数の立ち上がりを見る限り、ケネディ氏の政策の影響は徐々に顕在化していると言わざるを得ない。しかも、ケネディ氏はこうした危機的な状況に対して何も具体的な対策を講じてはおらず、保健福祉省の公式声明でもコメントしていない。そもそも、ケネディ氏は以前からワクチン懐疑派であることは有名だが、昨年3月のFOX Newsでのインタビュー2)では麻疹ワクチンに関し、「ワクチンの効果は年間約4.5%低下する」「麻疹ワクチン接種が毎年死者を出している」と科学的根拠の乏しい発言をしている。ちなみにこの当時、麻疹が流行していたテキサス州では、米国では10年ぶりとなる麻疹による死者が発生し、2025年全体で麻疹による死者は3例が確認され、いずれもワクチン未接種者だったことがわかっている。この数字から算出される2025年の米国の麻疹感染者の死亡率は0.1%強。一般に先進国の麻疹感染者の死亡率は0.01%程度と言われるが、それより1桁高い数字だ。このままでは2026年はもっと悲惨なことになるかもしれない。また、インフルエンザについても懸念が生じ始めている。CDCの報告では、2025~26年シーズンの小児のインフルエンザによる死者は暫定値で90例。2024~25年シーズンの293例と比べればかなり少ない。ケネディ氏の考えに基づき、インフルエンザワクチンの接種推奨が外された中で、この数字は不思議に思われるかもしれない。ここはおそらく米国小児科学会(AAP)のケネディ氏に抗った努力の成果かもしれない。2025年9月にはAAP独自でインフルエンザワクチンの接種を推奨する声明を発表した3)ほか、今年1月にはアメリカの保険業界団体であるAHIP(America's Health Insurance Plans)と直接交渉し、インフルエンザワクチンなど推奨から外されたワクチン接種を2026年末までは無償提供を維持する旨の共同声明を発表している。もっとも2026年2月最終週の死者報告は11例だが、それ以前の3シーズンでは同時期に死者はいない。これも踏み込んで解釈すれば、ケネディ氏の政策決定の負の効果が表れているとは言えないだろうか。いずれにせよ国外では戦争、国内ではパンデミックというまさに内憂外患状態が今の米国である。ボーダレス化が一層加速する現在の世界で、この禍に日本が無縁でいられるだろうか?参考1)The Lancet. Lancet. 2026;407:825.2)FOX NEWS:We will make sure anyone who wants a vaccine can get one, says HHS secretary3)Committee on Infectious Diseases. Pediatrics. 2025;156:e2025073620.

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日本における妊娠および授乳中のブレクスピプラゾール投与、その安全性を評価

 ブレクスピプラゾール(BPZ)は、本邦において2018年に承認された抗精神病薬であり、現在では統合失調症やうつ病、アルツハイマー病に伴うアジテーションに対する適応を取得し、広く臨床応用されている薬剤である。しかし、BPZを使用している母親から生まれた乳児に対する授乳中の影響は、これまでよくわかっていなかった。東北大学の福田 朱理氏らは、授乳中の母親によるBPZ使用の安全性を評価した。Breastfeeding Medicine誌オンライン版2026年2月6日号の報告。 2018~23年、東北大学病院において3組の母子を評価した。各母親は、妊娠中および出産後1ヵ月以内の授乳期間中、BPZ単剤療法(1~2mg/日)を継続していた。母子の健康状態、ならびに新生児および乳児の離脱症状または有害事象に関するデータを診療記録から収集した。 主な結果は以下のとおり。・3例すべての新生児および乳児において、離脱症状および重篤な有害事象は認められなかった。・3例すべての新生児および乳児において、軽度の新生児黄疸および座瘡が認められたが、これらはBPZ使用とは無関係と判断された。・しかし、粉ミルクによる授乳が時折必要であったことから、BPZが乳汁分泌量を減少させた可能性が示唆された。 著者らは「授乳中のBPZ単剤療法(1~2mg/日)は、産後1ヵ月以内の新生児および乳児に離脱症状または重篤な有害事象を引き起こさないことが示唆された。この初期のエビデンスは、BPZ単剤療法を受けている母親の母乳育児に関する意思決定に役立つ可能性がある」と結論付けている。

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PHSは過去のもの?それとも現役?/医師1,000人アンケート

 医療現場のICT化による業務効率化が期待される中、厚生労働省も補助金制度を設けるなど、生産性向上を目指す支援策が行われている。しかし、現場の環境整備・活用状況には施設ごとに大きな差がある状況と考えられる。CareNet.comでは会員医師(勤務医)1,025人を対象に、勤務先で実際どのような環境が整えられているか、デバイスの貸与・使用状況とメールの使用状況についてアンケートを実施した(2026年2月19~20日実施)。勤務先からPCの貸与ありと回答した医師は約3割 勤務先からのパソコン(ノート・デスクトップどちらでも)貸与状況について聞いた結果、「自分専用で貸与あり」と回答したのは23.6%、「共用で貸与あり」と回答したのは9.2%で計32.8%となり、およそ7割の医師は勤務先からのパソコンの貸与はないという結果となった。タブレットについてはより少なく、「自分専用で貸与あり」が5.7%、「共用で貸与あり」が4.8%にとどまった。 年代別にみると、パソコンの貸与率(自分専用あるいは共用のいずれかで貸与あり)は年齢が高くなるほど上がり、20代では26.7%だったのに対し、60代では41.2%であった。また、病床数が少ない施設ほど貸与率が高い傾向がみられ、20~99床の施設勤務の医師では貸与ありとの回答が44.2%だったのに対し、200床以上の施設勤務の医師では30.2%であった。PHSは約7割が貸与ありと回答、スマホは2割強にとどまる 勤務先からのPHS貸与状況については、「自分専用で貸与あり」と回答したのは63.2%、「共用で貸与あり」と回答したのは7.9%で計71.1%となり、およそ7割が勤務先からPHSを貸与されていることがわかった。一方でスマートフォンの貸与は自分専用・共用で計23.9%にとどまった。 PHSの貸与状況について年代別に大きな差はみられなかったが、スマートフォンについては20~30代で貸与率がやや高い傾向がみられた(20代:計31.1%、30代:計29.2%)。また、スマートフォンは20~99床の施設(計7.7%)と比較して200床以上の施設(計26.1%)勤務の医師で貸与率が高かった。 スマートフォン貸与ありと回答した医師を対象にその用途について複数回答で聞いた質問では、「内線通話」が79.7%と最も多く、「電子カルテの閲覧・入力」は13.4%、「医療画像などの閲覧」は13.0%にとどまった。「グループチャット」との回答は36.0%だった。業務用メアドをチェックするツール、主力は私物デバイスか 勤務日に業務用メールアドレスをチェックする頻度について、使用するデバイスごとに聞いた質問では、貸与デバイスについては「使用しない/貸与なし」が53.4%だったのに対し、私物デバイスでは「使用しない」と回答した医師は26.0%であった。私物デバイスで業務用メールアドレスを1日1回以上チェックすると回答した医師は63.3%に上った。 年代別にみると、1日5回以上と頻回にチェックすると回答した医師は、デバイスを問わず50~60代で多く、20~30代で少ない傾向がみられた。 貸与デバイスからのネット接続状況など、その他のアンケート結果・詳細は以下のページに掲載中。「勤務先からのデバイス貸与・メールの使用状況/医師1,000人アンケート」

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突発性発疹症【すぐに使える小児診療のヒント】第11回

突発性発疹症今回は、子育て世代のほとんどが経験する「突発性発疹症」についてです。小児科診療では非常によく遭遇する疾患ですが、解熱後も不機嫌が続くなど、保護者にとっては不安の連続です。非典型的な経過をたどることもあるため、少し踏み込んで学んでみましょう。症例生後8ヵ月、男児。保護者「40℃の発熱がもう3日も続いているんです。大丈夫なんでしょうか?」機嫌は良く全身状態は良好。咽頭所見で、口蓋垂の根元あたりに粟粒大の点状紅斑が集族している。医師「突発性発疹症かもしれませんね。」一般的な経過や症状突発性発疹症は、主にヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)、ときに7型(HHV-7)によって起こる乳幼児期の代表的なウイルス感染症です。生後6ヵ月頃から1歳台に好発し、2歳までにほとんどの児が感染するとされています。臨床経過はきわめて特徴的で、突然の高熱で発症し、39~40℃の発熱が3~5日持続します。それにもかかわらず、全身状態は比較的保たれていることが多く、「熱のわりに元気」という印象を受けることが少なくありません。咳や鼻汁などの上気道症状は軽度、あるいはほとんど目立たないこともあります。発熱期にはCRPが軽度上昇することがありますが、高値を示すことは多くありません。ただし、発熱3~5日目の時点では他疾患との鑑別が必要であり、安易に「突発性発疹症らしい」と決めつけることはできません。永山斑発熱初期にみられることがあるのが、いわゆる「永山斑」です。軟口蓋から口蓋垂基部にかけて出現する粟粒大の紅色小丘疹で、よく見ると点状に集まっています。頻度や特異度について具体的に記載された文献はほとんどありませんが、約3分の2の症例で認めるとの記載もあります。認めないからといって突発性発疹症を否定する根拠にはなりませんが、発疹が出る前の手がかりとなる数少ない身体所見の1つです。解熱後の皮疹と不機嫌突発性発疹症の診断を決定付けるのは、解熱とほぼ同時に出現する皮疹です。高熱がすっと下がった翌日、あるいはその日のうちに、体幹を中心に淡紅色の小丘疹が広がります。顔面は比較的軽く、四肢へ徐々に広がることもあります。全身にびっしり出るというよりは、やわらかく散在する印象です。この皮疹は通常1~3日で自然に消退し、色素沈着や落屑を残しません。強い掻痒を伴うこともまれです。一方で、この時期に特徴的なのが強い不機嫌です。解熱したにもかかわらず急にぐずりが強くなり、眠りが浅くなることがあります。そのため「不機嫌病」と呼ばれることもあります。冒頭の症例の男児は、2日後に再び来院しました。診察すると、体幹を中心に淡い紅色の発疹が広がっています。全身状態は安定しており、水分も摂れています。熱は下がったんですが、ぶつぶつが出てきて…しかも、とても不機嫌なんです。何か別の病気になってしまったのでしょうか?(ほっ。まさに教科書的な突発性発疹症の経過!)保護者にとっては数日続いた高熱がやっと下がって一安心…と思いきや、突然皮疹が出て不機嫌になり、不安になって受診されるご家庭は非常に多いです。発熱と解熱後皮疹以外の症状は?突発性発疹症では、発熱と皮疹以外にも注意すべき所見があります。発熱中に一過性の大泉門膨隆を認めることがあり、髄膜炎との鑑別が問題になることがあります。また、他のウイルス感染に比べて熱性けいれんを発症しやすいといわれており、発熱初期や解熱前後にけいれんを起こすことがあります。多くは典型的な単純型熱性けいれんですが、持続がやや長い例や、発熱のタイミングとずれる例もあり、「なんとなくすっきりしない」経過をたどることもあります。また、まれではありますが、HHV-6関連脳炎・脳症の報告もあり、意識障害や遷延する神経症状があれば慎重な評価が必要です。生涯に1度だけしか罹患しない?外来ではよく、「1度かかったら、もうなりませんよね?」と尋ねられます。HHV-6が突発性発疹症の代表的な原因ウイルスですが、HHV-7は異なるウイルスであり、それぞれに感染することで2度罹患することがあります。なお、HHV-7のほうが好発年齢はやや遅く、幼児期が多いです。したがって、「以前、突発性発疹症にかかっています」という情報だけで今回の可能性を完全に否定することはできません。突発性発疹症は、乳児期の子どもを育てる多くの家庭が経験するありふれた疾患です。しかし、発熱期には診断がまだ確定しておらず、尿路感染症や川崎病、細菌感染症などを念頭に置いた評価が欠かせません。なにより、その数日間を不安の中で過ごしているご家族がいます。解熱後に不機嫌が続くことで、不安がいっそう強まることも少なくありません。解熱後に発疹が出てきたとき、私たちは「やはり突発性発疹だった」と胸をなでおろします。その安心感を保護者と共有しつつ、不安だった日々に寄り添うことがこのありふれた疾患の診療に求められているのかもしれません。参考資料1)Up to date:Roseola infantum(exanthem subitum)2)Cherry J, et al. Roseola infantum(exanthem subitum). In:Cherry J, et al. Feigin and Cherry’s Textbook of Pediatric Infectious Diseases, 8th ed. Philadelphia:Elsevier;2018.p.559.3)Tanaka K, et al. J Pediatr. 1994;125:1-5.

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インフルへのバロキサビル、感受性低下の割合は?

 キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬バロキサビル マルボキシル(商品名:ゾフルーザ、以下バロキサビル)は2018年2月に承認され、臨床で使用されている。国立感染症研究所の高下 恵美氏らの研究グループは、最初の7シーズン(2017/18~2023/24シーズン)におけるインフルエンザウイルスのバロキサビル感受性を調査した。その結果、感受性低下の割合は1.7%であった。本研究結果は、Eurosurveillance誌2026年1月8日号に掲載された。 研究グループは、WHOのFluNetに報告された国内のインフルエンザウイルス3万7,137件のうち、約500の定点医療機関から収集した検体から週ごとに加重無作為抽出した3,671件について、インフルエンザウイルスの表現型および遺伝子型の解析を実施した。また、インフルエンザウイルスのPAタンパク質におけるアミノ酸置換を特定し、バロキサビルに対する感受性との関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象のインフルエンザウイルスの内訳は、A(H1N1)pdm09が1,378件、A(H3N2)が1,399件、B(ビクトリア系統)が608件、B(山形系統)が286件であった。・バロキサビルへの感受性低下が認められたウイルスの割合は、調査期間全体で1.7%(62/3,671件)であった。・シーズン別にみると、A(H3N2)が流行した2018/19シーズン(4.6%)および2022/23シーズン(3.2%)に高かった。なお、2018/19シーズンはバロキサビルの供給量が最も多いシーズンであった。シーズン別の詳細は以下のとおり。 2017/18:0%(0/833件) 2018/19:4.6%(41/900件) 2019/20:0.2%(1/612件) 2020/21:0%(0/6件) 2021/22:0%(0/23件) 2022/23:3.2%(15/465件) 2023/24:0.6%(5/832件)・ウイルスの種類別にみると、A(H3N2)が3.6%(50/1,399件)と最も高かった。次点がA(H1N1)pdm09で0.9%(12/1,378件)であった。B型では感受性低下は検出されなかった。・感受性低下に関連する主なPAタンパク質のアミノ酸置換として、E23K、Y24C、I38M/N/S/T/V、E199G/Kが特定された。・感受性低下株は、バロキサビル投与歴のある患者だけでなく、未投与の患者からも検出されており、ヒトからヒトへの伝播の可能性が示唆された。・年齢層別にみると、A(H3N2)における感受性低下株の検出頻度は、6~11歳および65歳以上で共に4.4%と最も高かった。詳細は以下のとおり。 0~5歳:3.2%(11/349件) 6~11歳:4.4%(19/427件) 12~64歳:3.1%(17/551件) 65歳以上:4.4%(3/68件) 不明:0%(0/4件) 本研究結果について、著者らは「バロキサビルの使用量の増加と感受性低下株の出現との間に関連があることが示唆された。感受性低下株は比較的少ないものの、伝播しうる変異株が存在することが示された」と指摘している。また「バロキサビルの使用量と感受性低下株出現との関連が示唆されることから、適切な治療戦略の構築や耐性株の拡散防止のためには、今後も表現型および遺伝子型に基づく継続的な監視が必要である」と述べている。

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第285回 診療科名に「睡眠障害」追加へ 18年ぶり見直し、受診導線改善狙う/厚労省

<先週の動き> 1.診療科名に「睡眠障害」追加へ 18年ぶり見直し、受診導線改善狙う/厚労省 2.MMRワクチン承認へ、麻疹再拡大で接種体制強化が課題に/厚労省 3.急性期病院の要件厳格化 救急・手術実績で拠点化進める/厚労省 4.医師偏在対策が次の段階へ 地域医療構想と医師養成を一体で見直し/厚労省 5.社会保険料抑制へ制度改革 OTC類似薬と高額療養費が焦点/政府 6.美容クリニックの再生医療で訴訟相次ぐ 安全性と説明責任が焦点に 1.診療科名に「睡眠障害」追加へ 18年ぶり見直し、受診導線改善狙う/厚労省厚生労働省は、医道審議会医道分科会の専門部会で、医療機関が看板や広告で掲げる診療科名に「睡眠障害」を追加することを了承した。診療科名の見直しは2008年以来で、政令改正を経て、今春にも施行される見通し。医療機関は「睡眠障害内科」「睡眠障害精神科」など、既存の基本診療科名と組み合わせた形で標榜できるようになる。診療科名は医療法に基づき規制されており、医療機関が自由に名乗ることはできない。現在は「内科」「外科」「小児科」など約20の基本診療科名に加え、「糖尿病」「腫瘍」など疾患名や臓器名を組み合わせる形で標榜が認められている。今回の見直しで「睡眠障害」もこの組み合わせ名称の1つとして追加される。背景には、睡眠に関する医療ニーズの拡大がある。不眠症や睡眠時無呼吸症候群、過眠症など睡眠障害は多様で、成人の約5人に1人が何らかの睡眠問題を抱えるとされる。その一方で、どの診療科を受診すればよいか、わかりにくいことから受診が遅れるケースも多いとされ、日本睡眠学会が診療科名の追加を要望していた。睡眠障害の診療は内科、精神科、耳鼻咽喉科など複数の領域にまたがる。精神科受診への心理的抵抗から適切な診療につながるまで時間を要する例もあり、診療科名として明示することで受診先の選択が容易になり、早期診断や治療につながることが期待されている。一方、制度上は専門資格がなくても「睡眠障害科」を標榜できるため、専門性を伴わない医療機関が患者集めを目的に掲げる可能性も指摘されている。睡眠障害治療では、睡眠薬の長期使用による依存や離脱症状の問題もあり、専門的な診断や治療体制の整備が課題とされる。日本睡眠学会の専門医は約660人にとどまり、地域偏在も大きい。診療科名の追加を契機に、専門医育成や診療体制整備をどう進めるかが今後の課題となる。 参考 1) 第8回医道審議会医道分科会診療科名標榜部会(厚労省) 2) 病院の診療科名に「睡眠障害」追加 厚労省部会が了承(日経新聞) 3) 「睡眠障害」の診療科名追加を了承、今春にも導入…通院先選びの利便性向上期待(読売新聞) 4) 「睡眠障害」診療科名に追加へ、受診の目印に 08年以来の見直し(朝日新聞) 2.MMRワクチン承認へ、麻疹再拡大で接種体制強化が課題に/厚労省厚生労働省は3月2日に開かれた薬事審議会医薬品第二部会で、麻疹(はしか)、おたふくかぜ、風疹を防ぐ3種混合ワクチン(MMRワクチン)の製造販売承認を了承した。開発した第一三共の製品「ミムリット皮下注用」が正式に承認されれば、わが国で使用可能なMMRワクチンは約30年ぶりとなる。今後、定期接種に組み込むかどうかの検討が進められる。わが国では1989年にMMRワクチンが導入されたが、おたふく風邪成分に関連した無菌性髄膜炎の報告が相次ぎ、1993年に使用が中止された経緯がある。今回のワクチンは、無菌性髄膜炎の発生頻度が極めて低い株を使用しており、臨床試験でも重大な副作用は確認されていないとされる。海外では100以上の国・地域でMMRワクチンが定期接種として導入されており、わが国でも接種回数の減少など接種体制の効率化が期待される。その一方で、麻疹の感染は国内外で拡大の兆しを見せている。国内では愛知県で高校を中心に感染が広がり、2026年に入ってすでに20例以上の感染が確認された。東京都や埼玉県、神奈川県、岐阜県、鹿児島県などでも散発的な患者が報告され、医療機関や商業施設で不特定多数と接触した可能性のある事例も相次いでいる。海外渡航歴のない患者も複数確認されており、地域内感染の可能性も指摘されている。麻疹は、空気感染で感染する極めて感染力の強いウイルス感染症で、発熱や咳、結膜充血などの症状の後に高熱と発疹が出現する。肺炎や脳炎を合併すると重症化することがあり、ワクチン接種が最も有効な予防策とされる。海外でも流行は深刻化している。米国では、今年に入り約2ヵ月で1,100例以上の感染が報告され、前年の年間患者数を上回る可能性が指摘されている。患者の大半はMMRワクチン未接種、または2回接種を完了していない人だった。米疾病対策センター(CDC)はワクチン接種を改めて呼びかけている。国内でのMMRワクチン承認は、麻疹対策の強化に向けた制度的転換となる可能性がある。麻疹排除状態の維持には、2回接種率の向上とともに、集団免疫を維持するためのワクチン政策の整備が重要となりそうだ。 参考 1) 新薬等15製品が承認へ 第一三共のMMRワクチン・ミムリットなど 薬事審・第二部会が了承(ミクスオンライン) 2) 麻疹・おたふく・風疹の3種混合ワクチン承認へ…かつて報告された無菌性髄膜炎の発生頻度、極めて少なく(読売新聞) 3) はしか感染の20歳代男性、2月21日に日本医科大付属病院で不特定多数と接触か…東京都が注意呼びかけ(同) 4) 愛知県内で新たに2人が「はしか」に感染(NHK) 5) 米はしか感染 2カ月で1、100人 高水準だった去年の年間2,300人を上回る見通し(東日本放送) 6) 米CDC所長代理、はしかワクチン接種呼びかけ(ロイター) 3.急性期病院の要件厳格化 救急・手術実績で拠点化進める/厚労省令和8(2026)年度の診療報酬改定の詳細が明らかになってきた。今回の改定では、急性期入院医療の評価軸が「病棟単位」から「病院全体の急性期機能」へと変更され、実質的に急性期の担い手は急性期A、看護・多職種協働加算を組み合わせた急性期B、急性期1、同様の急性期4に集約される流れが強まった。厚生労働省は、3月5日に「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」として通知を発出し、その中で急性期病院Bの実績要件として救急搬送1,500件以上、または500件以上+全麻手術500件以上などを示し、さらに急性期総合体制加算では、総合性と高い手術実績を備えた拠点病院を評価する仕組みに再編した。中央社会保険医療協議会(中医協)でも、人口の少ない地域では救急搬送の受入件数に加え、外来・在宅診療体制の確保を支援する拠点病院を評価する方向性が示されている。その一方で、人口減少地域への影響は大きい。地域の急性期病床を持つ病院が同時に高度急性期を目指せば、看護師やリハビリスタッフ、症例数が分散し、どこも基準を満たせず、かえって経営不振や医療の質の低下を招きかねない。仮に50床の病棟で多職種7対1を実現するには看護師24人に加え、多職種約10人が必要で、人材が少ない地域の病院にはハードルが高くなる。結果として、急性期機能は一部病院へ集約され、周辺病院は包括期医療や在宅医療へ役割転換を迫られる可能性が高い。住民にとっては、高度急性期病院へのアクセスが遠のく一方で、地域内での「救急受け止め→早期転院→在宅復帰」の流れが整えばメリットもある。ただし、その前提は地域のかかりつけ医や在宅医療機関や介護施設の協力医療機関が軽症の救急患者の受け入れ、退院後のフォロー、看取りの支援を担えることだ。今回、介護施設の入所者の救急搬送は、協力医療機関で対応可能な例を原則として急性期A・Bの実績に算入しない方針も示され、急性期病院と地域密着病院で役割分担する発想がより鮮明になった。過疎地では、病院再編だけでなく、クリニックや訪問看護ステーションとの連携強化、訪問診療、余剰病床の介護施設への転換を含めた検討が不可欠になる。 参考 1) 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(厚労省) 2) 急性期入院医療の提供主体は「急性期A、多職種7対1の急性期B、急性期1、多職種7対1の急性期4」に集約されるのでは(Gem Med) 3) 急性期総合体制加算の施設基準詳細、「総合的かつ高度な体制を整え、小児・周産期含めた十分な手術実績」持つ病院が加算1を取得(同) 4) 救急患者応需係数で底上げ、地ケア病棟は対象外 看護必要度 C項目に腰椎穿刺など追加(CB news) 4.医師偏在対策が次の段階へ 地域医療構想と医師養成を一体で見直し/厚労省厚生労働省は、3月3日に「地域医療構想及び医療計画等に関する検討会」を開き、2040年を見据えた「新たな地域医療構想」についてガイドラインを取りまとめた。また、医師の偏在について「医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」での検討を重ねてきていた第8次「医師確保計画」の見直し方針をとりまとめ、公開した。今回の2つの検討会の取りまとめは、病床数の議論だけでなく、医師偏在対策や医師養成過程の見直しまで一体で進める点にある。人口減少と高齢化、医療人材不足を前提に、地域ごとに「どの病院が急性期を担い、どこが高齢者救急や在宅を支えるか」を再設計する考えだ。まず、新たな地域医療構想では、人口減少と高齢化を前提とした医療提供体制の再編を進めるため、2040年の必要病床数を最新のNDBデータで推計し、高度急性期79%、急性期84%、包括期89%、慢性期92.5%の病床稼働率で換算する。急性期は少なめ、包括期は厚めに見積もる方向で、厚労省はこの数値を「必要病床数を算定するための換算値」であって、各病院が目標とすべき経営指標ではないと明示した。また、2028年度までに全病院・有床診療所が将来担う医療機関機能を整理し、地域で協議する枠組みを示している。医師確保計画の見直しでは、従来の「目標医師数」だけでなく、「地域で不足する診療科」などの定量指標を導入する。さらに、医師数は極端に少なくなくても、へき地尺度(RIJ)が高くアクセスに課題のある地域を新たに支援対象とする。小児科や産科に加え、皮膚科、耳鼻咽喉科、眼科なども、人口減少地域では常勤確保が難しい診療科として位置付けられ、遠隔医療の活用も検討対象となる。医師にとって重要なのは、外来医師過多区域への新規開業で、地域に不足する医療機能の提供を要請する仕組みが本格化する。その一方で、医療資源が乏しい地域では、承継支援や医師派遣、代替医師確保への支援が行われる。また、国は都道府県任せにせず、運用状況を毎年度把握し、必要なフォローを行う方針も示している。今後は、病院の再編だけでなく、診療所が休日夜間対応、在宅医療、退院後フォロー、遠隔診療をどう担うかが、地域医療構想の実効性を左右しそうだ。医師養成では、医学部の地域枠、臨床研修、専門研修、総合的な診療能力を持つ医師の育成を組み合わせる方向性が整理された。政府は、2040年の医療提供体制を「病床再編」と「医師配置」、さらに「医師の育て方」まで連動させて作り直そうとしている。2040年に向けた医療体制は、急性期医療の集約、高齢者救急への対応、在宅医療との連携、医師偏在是正を一体で進める形となる。病院にとっては、自院が地域で担う医療機能を明確にすることが求められ、外来患者数減少に直面する開業医は、医師会や地域の病院と連携して、地域で何を担うかがこれまで以上に問われる局面に入った。今後は限られた医療人材の中で、どう医療提供体制を維持するか重要な課題となりそうだ。 参考 1) 第12回地域医療構想及び医療計画等に関する検討会(厚労省) 2) 「医師確保計画策定ガイドラインの見直しに向けた医師養成過程における取組のとりまとめ」(同) 3) 急性期病床2040年の必要数、稼働率84%で推計 高度急性期79%、包括期89%、慢性期92.5%(CB news) 4) 2040年の必要病床数、病床利用実態・業務効率化等加味し「急性期は少なめ・包括期は多め」に推計-地域医療構想・医療計画検討会(Gem Med) 5.社会保険料抑制へ制度改革 OTC類似薬と高額療養費が焦点/政府政府が進める医療保険制度改革により、公的医療保険の加入者1人当たりの社会保険料が年間約2,200円減少する見通しであることがわかった。上野 賢一郎厚生労働大臣が3月6日の閣議後の会見で明らかにした。改革の柱は、高額療養費制度の見直しと、市販薬と成分や効能が類似する「OTC類似薬」の保険給付の見直しなどで、医療費の抑制を通じて保険料負担の軽減を図る狙いがある。高額療養費制度では、医療費が高額になった場合の患者自己負担の月額上限を段階的に引き上げる。2026年8月と2027年8月の2段階で実施され、最終的には現行より最大38%引き上げられるケースも想定される。厚生労働省は、この見直しにより医療費を年間約2,450億円削減できると試算しており、保険料は加入者1人当たり年間約1,400円程度の軽減効果が見込まれるとしている。薬剤費の見直しも改革の柱となる。市販薬と成分や効能が近い「OTC類似薬」については、保険給付を受ける場合でも薬剤費の4分の1を患者が「特別の料金」として負担する制度を新設する。対象は鼻炎、胃痛、解熱鎮痛薬など77成分、約1,100品目とされ、2027年3月の施行を予定している。これにより社会保険料は年間約400円の減少が見込まれる。また、後発医薬品(ジェネリック)があるにもかかわらず先発薬を選択した場合の追加負担も拡大する。現在は差額の4分の1を患者が負担しているが、これを差額の2分の1まで引き上げる方針だ。こうした薬剤関連の見直し全体では年間約800円の保険料軽減効果が見込まれている。その一方で、高額療養費の上限引き上げに対しては、患者団体や野党から「重症患者の負担増につながる」との批判も出ている。国会審議では、保険料軽減が月額150円程度にとどまるとの指摘もあり、受診控えが生じる可能性への懸念も示された。政府は制度の持続可能性確保のための改革と説明するが、患者負担と保険財政のバランスをどう取るかが引き続き議論となりそうだ。 参考 1) 医療保険制度改革で保険料1人当たり年2,200円減、高額療養費制度やOTC類似薬の負担見直し(読売新聞) 2) 高額療養費見直しなどで社会保険料年2,200円減 厚労相が見通し(毎日新聞) 3) OTC類似薬の負担見直し、保険料減は月額33円程度 高額療養費は117円減 上野厚労相(CB news) 4) 「ペットボトル1本分の社会保険料負担軽減のために、高額療養費の負担増やすのか」共産議員が見直し迫る 衆院予算委で質疑(ABEMA TIMES) 6.美容クリニックの再生医療で訴訟相次ぐ 安全性と説明責任が焦点に美容医療を巡る訴訟が相次いでいる。焦点となっているのは、顔のしわやたるみ改善をうたう「プレミアムPRP皮膚再生療法」を受けた後に、頬や目の下にしこりや隆起が残ったとする事案だ。2026年2月には女性3人が東京都内のクリニックを東京地裁に提訴し、施術費用の返還、原状回復のための治療費、慰謝料など計約1,850万円を求めた。原告側は、施術前に重い合併症や除去の困難さ、使用成分の実態について十分な説明がなく、安全性を強調する宣伝の下で同意が取られたと主張している。被害相談の増加を受け、医療問題弁護団は3月1日にプレミアムPRP皮膚再生療法の被害者救済を目的に無料ホットラインも開設し、同種事案の掘り起こしを進めている。この訴訟で争点となるのは、単なる仕上がり不満ではなく、説明義務違反と再生医療法令への適合性だ。報道では、「bFGFを加えたPRP療法は未承認の再生医療に当たり、患者への説明事項は省令で定められているのに、同意書や説明内容が不十分だった可能性」が指摘されている。実際、2025年1月には同種の美容目的再生医療を巡る別件で、東京地裁が医療法人の責任を認める決定が確定した。そこでは、「施術の有効性に十分な科学的根拠が乏しいこと」、「bFGFによる長期のしこりや隆起が起こりうることを説明すべき義務があったのに尽くされなかった」と判断され、解決金支払いと再発防止が求められた。今回の3人提訴は、この先行事例を踏まえ、同種施術の説明体制や広告表示を改めて司法の場で問う意味合いが大きい。美容医療トラブルが急増する背景として、過度な広告、一括払いの勧誘、十分な訓練を経ない医師の参入が挙げられる。消費者保護の視点から患者側は施術を受ける前に「専門医かどうか」「リスク説明が十分か」を見極める必要性がある。今回の訴訟は、その問題が個人の後悔ではなく、説明不足を伴う構造的な消費者被害として司法判断の対象になり始めたことを示している。美容医療では、適応外使用や未承認技術を含む施術ほど、インフォームド・コンセントの質そのものが法的責任の核心になる。 参考 1) 「鏡向くたびに絶望」顔にしこりなど副作用…美容医療受けた女性ら、都内のクリニック提訴(産経新聞) 2) 「成功してるじゃん」美容医療で“しこり”も医師が失敗認めず…被害者が施術費用の返還など求めクリニックを提訴(弁護士JPニュース) 3) 3月1日(日)プレミアムPRP皮膚再生療法被害ホットラインを実施しました(医療問題弁護団) 4) 「美容目的の再生医療で合併症」 医療法人の責任認定、訴訟が終結(朝日新聞) 5) トラブル急増・美容医療の見極め方 消費者保護に取り組む医師・大塚篤司(TBS)【動画】 6) プレミアムPRP皮膚再生療法で被害相談ホットライン開設 医療問題弁護団が3月1日に電話受付 2026年2月には3人の女性が美容クリニックを提訴

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「ピンクノイズ」は睡眠の質を下げる?

 睡眠を促す音として「ピンクノイズ」を聴くことが流行しているが、実はピンクノイズは睡眠中の脳の活動を妨げる可能性のあることが、新たな研究で示唆された。ピンクノイズは広い周波数帯域を含む「ザー」という連続音で、強めの雨音や波の音に似ており、リラックス効果があるとされている。本研究では、ピンクノイズを聴いていた人では夢を見る睡眠段階であるレム睡眠の時間が短くなっていたことが示されたという。米ペンシルベニア大学精神医学睡眠・時間生物学分野のMathias Basner氏らによるこの研究の詳細は、「Sleep」に2月2日掲載された。 Basner氏はニュースリリースの中で、「レム睡眠は記憶の定着や感情の調整、脳の発達において重要である。したがって、この結果は、睡眠中にピンクノイズなどの広帯域ノイズを流すことは有害であり、特にレム睡眠の時間が大人よりもはるかに長く、脳がまだ発達段階にある子どもは、その影響を強く受けやすい可能性を示している」と述べている。 人間は睡眠中、深い睡眠(ノンレム睡眠)とレム睡眠を繰り返す。レム睡眠の「レム」は急速眼球運動(rapid eye movement;REM)の略語であり、多くの場合、夢はレム睡眠時に見られる。ノンレム睡眠は、身体の回復や脳内の老廃物の除去に重要である一方、レム睡眠は、記憶の保存や感情の調整といった認知機能において重要な役割を果たしている。このように、ノンレム睡眠とレム睡眠は互いに補完し合うことで、心身ともに回復した状態で目覚める助けとなっている。 今回の研究では、21~41歳の健康な成人25人(平均年齢28.5±5.9歳、男性7人)を対象に、睡眠実験室で連続7晩の睡眠ポリグラフ検査が行われた。いずれの参加者も、睡眠補助としてノイズを利用した経験がなく、睡眠障害の報告もなかった。参加者には航空機や警報音などの騒音下やピンクノイズが流れている中、あるいは耳栓を装着して騒音を遮断した場合など、さまざまな条件下で眠ってもらった。 研究の結果、50dB(中程度の雨音と同程度)のピンクノイズはレム睡眠の時間を18.6分減少させることに関連していることが示された。同様に、騒音への曝露は、ノンレム睡眠の中で最も深い段階である徐波睡眠の時間が一晩当たり23.4分減少することに関連していた。また、50dBのピンクノイズと航空機の騒音が組み合わさると、徐波睡眠とレム睡眠の両方が妨げられ、ノイズのない状態で寝た場合と比べて覚醒している時間が約15分長くなったとBasner氏らは報告している。このような覚醒時間の延長は、騒音のみ、またはピンクノイズのみにさらされた場合では認められなかったという。さらに、参加者自身も、ピンクノイズまたは騒音にさらされると、睡眠が浅く感じられ、目覚める回数が増え、全体的な睡眠の質が悪化したと報告していた。一方、耳栓を使用した場合には、騒音によって引き起こされた徐波睡眠の23.4分の減少のうち16.9分(72%)が回復した。 研究グループは、「これらの結果は、ピンクノイズを搭載した環境音生成マシンや睡眠アプリが広く使われている現状に疑問を投げかけるものだ」と指摘している。Basner氏は、「総合的に見て、この研究結果は特に新生児や幼児に対する広帯域ノイズの使用に警鐘を鳴らすものだ。また、広帯域ノイズによる影響を受けやすい集団や長期間にわたる使用の影響、広帯域ノイズの種類ごとの違い、睡眠に安全な広帯域ノイズレベルについて、さらなる研究が必要であることも示している」と言う。 さらにBasner氏らは、「今回の結果に基づけば、レム睡眠が神経発達において極めて重要な役割を果たす新生児や幼児に対して広帯域ノイズの一般的な使用を控えるべきである可能性が高い。ただし、この結果を確認するため、さらなる研究が必要である」と結論付けている。

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医師夫妻の年収最大化計画(前編)

FPとして、医師夫婦の方にお伝えしたいこと具体的にイメージしていただくために、ある医師夫婦のお悩みと家計相談の事例をご紹介します。ケース:年の差夫婦夫:加藤はじめ(45歳)消化器内科・民間病院医長(年収:手取り1,000万円)妻:加藤さゆり(32歳)麻酔科・大学病院医員(年収:手取り600万円)子:加藤りな(4歳)病院内の保育所を利用2人は妻さゆりさんの初期研修先の病院で知り合い、研修修了後に結婚。さゆりさんは大学病院の麻酔科に入局しましたが、予定外の妊娠で、入局初年度に第1子を出産、1年間の育児休業を取得。常勤として復帰しましたが、当直やオンコールは免除されています。今の悩みもう1人子供が欲しいが、今でも夫婦とも時間的にギリギリの生活で両立する自信がない。夫婦とも両親は遠方に住んでいるためサポートを受けるのは難しい。妻は非常勤への転換を考えている。2人目の出産を考えていらっしゃるんですね。そうなんですが、今の職場はギスギスして居づらい雰囲気があるんです。当直やオンコールが免除されているせいもあって周囲の目が厳しくて…。2人目を考えるなら、いっそ非常勤になったほうがいいかなとも考えています。私は妻が望むなら非常勤に転換してもいいと思っているんです。夫は年が離れていることもあって、私よりもキャリアを確立しているので、夫に頑張ってもらえばいいかなと。ただ、子供が2人になると、将来の教育費などが大変そうなので、本当に非常勤になって大丈夫かも気になるところです。さゆりさんはご自身の今後のキャリアをどのように描いているのですか?私のキャリアですか…? 目の前のことに精一杯で、将来を考える余裕がなくなっていました。出産前は、専門医資格を取得して、その後はサブスペシャリティ領域でより高い専門性を追求しようと意気込んでいました。子供を産んでも「やれる」と思っていたんですけど、育児の大変さは想像以上でした。キャリアか子育てか、夫のキャリアか妻のキャリアかといった二項対立ではなく、夫も妻も望むキャリアを実現できて、キャリアと子育ての両立も可能にするような解決策を、2人で話し合われてはいかがでしょうか。解説ライフプランとキャリアをいかに融合させていくかが、人生の質に大きく影響を及ぼします。夫と妻はライフプランを共有するだけでなく、それぞれのキャリアプランをお互いに支え合う関係になることが大切です。現在の置かれた状況を整理して、さゆりさんが望むキャリアを積んでいくには何が必要か、そのために夫と妻それぞれができることは何か、夫婦だけでなく、周囲に何か利用できる資源はないかを検討してみます。今の職場は居心地が悪いのですが、専門医を取得するためには大学病院にいる必要があって…。過酷な職場なだけに、誰もが余裕を持てなくなっているのでしょうね。たとえば、1ヵ月に1回でも宿日直を引き受けるとか、ほかの人の負担を少しでも軽くすることができれば、居場所の確保につながるかもしれません。はじめさんのスケジュールと擦り合わせて、時間を捻出できないか検討してみてはいかがでしょうか。チームの一員として役割を果たす姿勢を見せていれば2人目の出産に当たっても、気持ちよく産休や育休を取れるのではないでしょうか。これまで家事や育児は私がやるものと思っていたので、考えたことがありませんでした。正直、あまり考えてこなかったですね。何とかやれているんだろうと思ってました。お二人は年齢が離れているので、はじめさんがリタイアした後もさゆりさんのキャリアは10年以上続きます。さゆりさんにとって、今は大事な「修行の時期」ともいえます。当初描いていたキャリアを何とか諦めずに実現する手だてを考えたいですね。実は、そのことが夫婦の資産価値を最大化することにつながるのです。資産価値の最大化ですか?では、試しに世帯の収入をシミュレーションしてみましょう。さゆりさんが常勤で働き続ける場合と、非常勤に転換した場合です。現在の年収は、はじめさんが額面約1,500万円(手取り1,000万円)、さゆりさんが約800万円(同600万円)です。さゆりさんが常勤を継続した場合、後期研修を終える4年後には専門医資格を取得し、大幅な年収アップが見込めます。はじめさんは今後大きな年収アップはなく、65歳で定年退職の見込みですね。さゆりさんははじめさんの年金受給開始後も10年間にわたって常勤医の年収が見込めます。図 常勤・非常勤画像を拡大するでは、さゆりさんが非常勤に転換した場合はどうでしょう? 非常勤は同じ額面年収(約800万円)でも税負担や社会保障費などで手取りが減る傾向があります(さゆりさんのケースでは手取り540万円に)。また専門医の取得が難しくなり、その面での年収アップが見込めません。また、はじめさんの引退後10年以上働けるのは常勤の場合と同様ですが、さゆりさんは国民年金になっているので、自身の年金額が大幅に減ります。画像を拡大する結果として世帯年収は1億円以上の差が付きました。もちろん、働き方や節税によって大きくこの数字は変わってきますが、将来の年金額にも影響が大きいことは注意していただきたいと思います。画像を拡大するこれだけ差が出るのですね…。医師は高収入ですが、実は老後の年金は驚くほど少ないケースが多いのです。さゆりさんが非常勤になると国民年金だけになりますから、常勤医として厚生年金に加入している人より、将来の年金ははるかに少なくなります。主な稼ぎ手を1人に集中させることは、将来の年金にも影響が及ぶのです。老後も心配ですが、子供の教育費も心配です。2人目が生まれるとしたら、その子が大学に入学するころには夫はリタイアしているかも…。子供が医学部に進みたいとなったら学費が大変です。シミュレーションは子供1人の前提で行いましたが、2人目誕生となると、ますます医師資格という資源を最大限活用するという発想が大事になってきます。夫婦でお互いのキャリアを支え合うことで、キャリア形成が資産形成につながるのです。私も妻のキャリアを支えられるよう、できることを考えてみます。2人だけで抱え込まなくてもいいんですよ。ご近所の方の協力を得たり、家事サービスやベビーシッターを利用したりすることも視野に入れてください。費用はかかりますが、キャリアのための投資と考えてもいいのではないでしょうか。解説夫婦ともに医師という高度専門職でありながら、夫のキャリアを優先するというケースは多いものです。私のインタビューに協力していただいた女性医師の方たちも例外ではありませんでした。とくに夫が年上でキャリアも確立し、高収入を得ている場合、妻が家事・育児をメインで担い、夫をサポートする側に回るという選択をしがちです。しかし、すでにポジションを確保した夫には裁量権があり、時間を捻出できる可能性があるかもしれません。お互いの当直・オンコールの担当が被らないように調整したり、家事と育児も分け合ったりすることで、子育て期を乗り切る余地はありそうです。いろいろ工夫しても埋められないときは、外部サービスを利用することも検討してください。そのようなサービスを利用できる経済力も有効な資源となり、将来への投資となります。まとめ発想を転換し、最強の資産を共に最大化するすべての夫婦に共通する3つの原則があります。原則1:長期的な視点を持つ夫婦の年齢、子供の年齢、お互いのキャリアステージを、10年20年といった時間軸で、具体的に見通すことで、今やるべきことが見えてきます。原則2:お互いを最高の「ビジネスパートナー」と考えるキャリアの機会や家庭内の役割を、感情論ではなく、世帯資産の最大化という視点で合理的に判断する。原則3:根気よく対話を続ける状況の変化に応じて、戦略を柔軟に見直し続けるためのコミュニケーションを欠かさない。以上の原則を共有し、最初はぎこちなくても、まずはスタートしてください。価値観は人それぞれ、家族の在り方もそれぞれです。時間の経過とともに考えも変わっていきます。わが家なりの居心地の良いやり方を見つけてください。後編では「同じ年の夫婦」の家計をシミュレーションします!(3月中旬公開予定)

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第284回 終末期医療における延命治療終了、4学会が合同ガイドライン改訂案

<先週の動き> 1.終末期医療における延命治療終了、4学会が合同ガイドライン改訂案 2.全国がん登録に「死亡場所」追加、研究活用促進へ/規制改革推進会議 3.小児科・産科、総合診療の人材不足鮮明 医師確保計画の改定で/厚労省 4.美容医療の診療録記載を省令で明確化へ、監督強化でパブコメ開始/厚労省 5.出生数70.6万人で過去最少更新、推計より17年早い少子化/厚労省 6.人口減少で経営悪化の病院再編、市立病院が閉院へ/室蘭市 1.終末期医療における延命治療終了、4学会が合同ガイドライン改訂案救急・集中治療領域における生命維持治療の終了・差し控えを巡り、日本集中治療医学会、日本救急医学会、日本循環器学会、日本緩和医療学会の4学会は、合同ガイドライン改訂案を公表した。2014年策定の指針から約11年ぶりの改訂となる。改訂案では「終末期」をあえて定義せず、人工呼吸器などの生命維持治療を開始しない、または終了する際の判断手順を具体化した点が特徴となっている。患者本人の価値観や意思を中心に、家族および医療チームが協議して方針を決定する「共同意思決定」を原則とした。また、1度治療を開始すると中止できないという臨床現場の萎縮を防ぐため、期限を区切って治療効果を評価する「タイム・リミテッド・トライアル」の考え方を明記。治療を差し控え、または終了した場合の緩和ケアについても、苦痛緩和の具体的手順や家族支援の在り方を詳細に示した。これまで、法的責任への懸念や指針のあいまいさから、患者が望まない治療が継続される事例も少なくなかった。今回の改訂案は、現場での判断を支える実践的指針として、患者の尊厳を尊重した医療の実現につながることが期待される。3月27日までパブリックコメントを実施している。 参考 1) 終末期医療の指針、救急など4学会改訂案 意思決定やケアの手順示す(朝日新聞) 2) 延命治療終了の手順具体化 学会指針案、11年ぶり改定(共同通信) 3) 延命治療終了の手順明記 4学会が指針案、患者の意思尊重 医療者・家族の協議求める(日経新聞) 4) 「救急・集中治療における生命維持治療の終了/差し控えに関する4学会合同ガイドライン」パブリックコメント募集のお知らせ(日本救急医学会) 2.全国がん登録に「死亡場所」追加、研究活用促進へ/規制改革推進会議政府の規制改革推進会議は2月26日、規制改革に関する中間答申を公表し、「全国がん登録情報および院内がん登録情報の利活用拡大」を最重要項目に位置付けた。がん登録に含まれる死亡日や死因情報は、遺族の個人情報に該当する可能性から、現行制度では第三者提供が厳しく制限されている。その一方で、多施設共同研究などでは生存確認や死亡情報の活用ニーズが高く、「研究に使えない」との指摘が相次いでいた。中間答申では、死亡日を5日単位でグループ化するなど、個人特定リスクを抑えた加工を施したうえでの第三者提供を検討すると明記。死因についても、がん死亡では部位が判別可能な情報、非がん死ではICD中間分類レベルの提供を可能とする方向性が示された。2026年の制度実施を目指す。これにあわせて、全国がん登録の届け出項目拡充も進められる。厚生労働省は、2027年診断症例から「死亡場所」を登録項目に追加する方針を了承。終末期医療や在宅看取りの実態把握に資する狙いだ。さらに、2028年以降はUICCのTNM分類(腫瘍径、リンパ節転移、遠隔転移)の追加も予定されている。また、院内がん登録とNDB(レセプト・特定健診情報)など公的データベースの連結解析を可能とし、本人同意を不要とする第三者提供の対象に院内がん登録を含める方針も示された。AYA世代や希少がんでは、国際標準分類に基づく情報提供を拡充する。その一方で、議論が続く自治体がん検診の「医師1人+AI読影」解禁は、今回の中間答申には盛り込まれなかった。政府は、今夏に規制改革実施計画を策定し、がん研究基盤の強化を急ぐとしている。 参考 1) がん登録情報の利活用、死亡日など提供方法を検討 中間答申 規制改革推進会議(CB news) 2) がん登録に「死亡場所」も 27年症例から項目追加 厚労省(同) 3) 規制改革推進に関する中間答申(規制改革推進会議) 3.小児科・産科、総合診療の人材不足鮮明 医師確保計画の改定で/厚労省厚生労働省は、2月25日に開かれた「第13回医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」で、都道府県を対象に実施したアンケート結果を公表し、医師確保が特に必要な診療科として「小児科」を挙げた自治体が最多の41都道府県に上ったと明らかにした。次いで産科・産婦人科が40、総合診療科が34となり、生命予後に直結しやすく、24時間対応や当直負担の重い診療科で人材不足が深刻である実態が改めて浮き彫りとなった。特定診療科の医師確保に向けた支援策は44都道府県で実施しており、主な手法は(1)診療科を特定した地域枠の設定、(2)人件費や医師派遣費など医療機関への財政支援、(3)大学への寄附講座設置などであった。その一方で、都道府県が養成過程での対策を進めるために国に求める支援としては、財政支援の拡充、制度に関する情報提供や協議の場の設置、臨床研修・専門研修での採用上限設定など制度的関与の強化が多く挙げられた。この検討会において、第8次医師確保計画(後期、2027年度~)に反映する「医師養成過程の取組に係る議論の整理(案)」を大筋で了承した。整理案では、地域枠は原則として恒久定員内で設置する方針を明確化し、医師少数県や離島・豪雪地帯など、やむを得ない事情がある場合に限って臨時定員の活用を例外的に認めるとした。また、医学部段階だけでなく、臨床研修・専門研修を通じた偏在是正を重視し、若手医師の流出入や研修修了後の定着状況、地域枠医師の義務年限終了後の勤務実態を継続的に把握・検証することを都道府県に求めた。大学医学部・大学病院に対しては、地域医療を担う診療科への誘導や研修プログラムの魅力向上など、教育機能と地域医療政策の一体的運用がより強く求められることになる。 参考 1) 医師確保が特に必要な診療科、最多は「小児科」 厚労省の都道府県調査で(CB news) 2) 地域枠は原則「恒久定員内」に設置へ 医師多数県以外も 厚労省検討会が整理案(同) 3) 特に医師確保が必要な診療科として、41都道府県が「小児科」と回答(日経メディカル) 4) 医師確保計画策定ガイドラインの見直しに向けた医師養成過程の取組に係る議論の整理案(厚労省) 4.美容医療の診療録記載を省令で明確化へ、監督強化でパブコメ開始/厚労省厚生労働省は、美容医療を巡る健康被害や不適切な勧誘の増加を受け、医師の診療録の記載ルールを見直す省令改正案を公表し、パブリックコメントを実施している。意見募集は3月17日まで。改正案では、美容医療を提供する場合の診療録の記載事項に「患者の主訴」「患者が希望する治療内容」が含まれることを明確化し、保健所などの立入検査・指導で診療実態を確認できるようにする。これまでは医師法違反などが疑われる事案でも、診療録の記載自体が不十分で根拠が追えず、指導の実効性が上がらないケースがあったためであり、厚労省は監督強化の一環として2026年4月の施行を予定している。今回の医師法施行規則の改正は、美容医療の消費者相談の件数増加を受け、2024年に厚労省は「美容医療の適切な実施に関する検討会」での議論をもとに、同年11月の取りまとめで「診療録記載の徹底」を安全確保の柱に位置付けた経緯がある。わが国の美容医療はSNS拡散とコロナ禍の「特需」を追い風に急拡大し、推計では2024年に市場規模は6,310億円に達している。クリニック数は、2020年の1,404施設から2023年に2,016施設へと増加し、施術件数も2017年約160万件から2024年約306万件に伸長、自由診療の高収益性を背景に研修後すぐ美容医療に進む「直美」医師も2012年の16人から2022年には198人と急増している。その一方で、経験不足や合併症対応の脆弱さを不安視する声があり、国民生活センターへの相談件数も2022年度3,798件から2024年度1万736件へと急増している。自由診療は保険診療と異なり、診療内容について保険審査の枠外で、価格設定や運営の自由度が高い。クリニックによっては、カウンセラーにノルマを課して高額な施術へ誘導するほか、術後の合併症の対応能力不足、未承認の薬剤や医療機器を使用した施術での重篤な被害の発生も繰り返されている。SNSでは「痛みゼロ」「必ず小顔」など断定的表現や根拠不明の肩書が拡散しやすく、広告規制が届きにくい「グレーゾーン」も課題となっている。厚労省では、患者の「主訴」「希望する治療」の記録を明確化して、診療の妥当性や説明・同意の検証、トラブル時の事後検証を可能にし、行政指導につなげたい考え。2025年12月には美容医療機関に安全管理措置や相談先などの報告を年1回程度求める制度整備も進んでおり、今回の省令改正と併せ、統一的な指針整備、若手教育・倫理、広告監視の実効性をどう高めるかが焦点となる。厚労省は、パブリックコメントで記載項目の具体性や運用負担、立入検査での活用方法などへの意見を求めており、4月以降は現場での真摯な対応が求められる。 参考 1) 医師法施行規則及び歯科医師法施行規則の一部を改正する省令案に関する御意見の募集について(政府) 2) 美容医療の適切な実施に関する検討会 報告書(厚労省) 3) 美容医療、診療録の記載事項に「患者の主訴」「希望する治療内容」も 省令改正へ(CB news) 4) 美への欲望につけこみ高額な課金、死亡事故も…専門医は「過剰営業」を懸念(日経メディカル) 5) 「成功してるじゃん」美容医療で“しこり”も医師が失敗認めず…被害者が施術費用の返還など求めクリニックを提訴(弁護士JPニュース) 5.出生数70.6万人で過去最少更新、推計より17年早い少子化/厚労省厚生労働省が公表した人口動態統計速報(外国人を含む)によると、2025年の出生数は70万5,809人で、1899年の統計開始以降で過去最少を更新し、10年連続減少した。前年差は1万5,179人減(2.1%減)で、2022~24年の約5%減に比べ減少幅は縮小した。国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の将来推計(中位推計)では出生数が70万人台となるのは2042年と見込まれており、想定よりも約17年早いペースで少子化が進んでいる。死亡数は160万5,654人で0.8%減と5年ぶりに減少へ転じたが、出生数との差である自然減は89万9,845人と過去最大に拡大した。団塊の世代が全員75歳以上となる中、人口減の加速が改めて示された。婚姻数は50万5,656組で1.1%増、2年連続の増加。ただしコロナ禍前(2019年の59万組台)には戻っていない。離婚は18万2,969組で3.7%減だった。地域別では45道府県で出生数が減少する一方、東京都は8万8,518人(1.3%増)と速報値で9年ぶりに増加し、石川県も6,515人(128人増)と増加に転じた。全国出生数の約3割を首都圏1都3県が占め、地域差も鮮明となった。東京都は、現金給付や保育料無償化の拡大、無痛分娩助成など子育て支援を進めており、周辺自治体から転居希望の増加を指摘する声もある。上野 賢一郎厚生労働大臣は、若年層の所得向上や共働き・共育て支援を進める考えを示し、「婚姻増は良い傾向」と述べている。もっとも、出生数の下振れが続けば、年金・医療・介護の前提となる人口見通しが揺らぎ、給付と負担の再設計を迫る可能性がある。なお日本人のみの出生数・合計特殊出生率は6月公表予定で、出生数は60万人台となる見通しが示されている。政府は2030年までが少子化反転の「ラストチャンス」として、こども未来戦略を推進し、財源として公的医療保険に上乗せする支援金制度を段階的に運用する方針も示している。 参考 1) 人口動態統計速報(厚労省) 2) 2025年の出生数70万人、10年連続で最少更新…東京・石川が増加に(読売新聞) 3) 出生数過去最少の70万人 推計より17年早い少子化 25年速報値(毎日新聞) 4) 2025年の出生数70.5万人 少子化は推計より17年早く、人口減も進行(日経新聞) 5) 2025年、出生数は70万5,809人で10年連続減少、死亡数が160万5,654人で、自然増減は「マイナス89万9,845人」-厚労省(Gem Med) 6.人口減少で経営悪化の病院再編、市立病院が閉院へ/室蘭市北海道室蘭市は、経営悪化が続く市立室蘭総合病院について2027年度をめどに閉院し、高度急性期・急性期機能を製鉄記念室蘭病院へ統合する方針を正式に決定した。市内3病院(市立室蘭総合病院、製鉄記念室蘭病院、日鋼記念病院)の再編を巡り、地域医療連携再編等推進協議会が最終合意に達した。背景には、室蘭市および西胆振地域で進む人口減少と急性期医療需要の縮小がある。3病院が同様の急性期機能を維持し続ければ、病床過剰や症例分散により医療の質低下や医師確保難を招き、病院経営の持続性が失われるとの判断が示された。市立病院は1872年開設、517床・22診療科を有し、約720人が勤務する基幹病院だが、2024年度末で約85億円の負債を抱え、市の一般会計からの多額の繰り出しが市の財政を圧迫していた。再編後、東室蘭地域では製鉄記念室蘭病院が2次医療圏の救命救急・高度急性期拠点を担い、蘭西地域では日鋼記念病院を中心に急性期から回復期、在宅医療までを支える体制とする。道内初の結核患者収容モデル病室の稼働など、政策医療の集約も進める。その一方で、500人超の市立病院職員は公務員の身分を失うため、再就職支援が課題となる。北海道知事の鈴木 直道氏は、患者の受け皿確保や職員雇用について市と連携し、丁寧に対応する考えを示している。今回の閉院は、人口減少地域における公立病院再編の先行事例として、全国の地域医療に大きな影響を与える可能性がある。 参考 1) 室蘭市地域医療連携・再編等推進について(室蘭市) 2) 市立室蘭総合病院、27年度めどに閉院へ 製鉄記念室蘭病院へ機能統合 3病院再編で合意(CB news) 3) 市立室蘭総合病院を閉院へ 北海道室蘭市、70億円超の財政支出も(朝日新聞) 4) 150年の歴史がある市立病院が閉院へ…新年度に23億円支出方針の室蘭市の財政は「危機的水準」(読売新聞)

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アセトアミノフェンの乳児への処方は安全

 乳児期にアセトアミノフェン(パラセタモール)を使うと、湿疹や喘鳴のリスクが上昇することが、これまでの観察研究で報告されている。こうした中、新たな臨床試験により、アセトアミノフェンとイブプロフェンはいずれも、生後1年以内の乳児にも安全に使えることが示された。これらの市販の鎮痛薬と湿疹や細気管支炎との間に関連は認められなかったという。オークランド大学(ニュージーランド)のStuart Dalziel氏らによるこの研究の詳細は、「The Lancet Child & Adolescent Health」に1月27日掲載された。 アセトアミノフェンと非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は主要な鎮痛薬の一部であり、世界中で小児の発熱や痛みに対して最も頻繁に処方され、市販薬としても広く購入されている。NSAIDsは強い抗炎症作用を持つが胃腸障害を起こしやすい。イブプロフェンはNSAIDsの一種である。一方、アセトアミノフェンには抗炎症作用はほとんどないが、胃腸への負担が少ないという特徴がある。なお、アセトアミノフェンとパラセタモールは、いずれも同じ成分の薬剤だが、国によって呼び名が異なる。 Dalziel氏らは今回、アセトアミノフェンの使用と湿疹や喘鳴のリスク上昇との関連を示した研究結果を踏まえ、ニュージーランドで出生した生後8週間未満の乳児3,908人(女児49.0%)を対象に、アセトアミノフェンとイブプロフェンのどちらを使用した場合に、湿疹や細気管支炎リスクがより高くなるのかを評価した。児は、1歳になるまで必要に応じてアセトアミノフェンのみを使用する群(1,985人)と、イブプロフェンのみを使用する群(1,923人)にランダムに割り付けられた。 その結果、湿疹の発生率は、アセトアミノフェン群で16.2%(322人)、イブプロフェン群で15.4%(296人)であり、両群間に統計学的に有意な差は認められなかった(差0.8%、95%信頼区間−1.5〜3.1)。一方、細気管支炎による入院の発生率は、アセトアミノフェン群で4.9%(98人)、イブプロフェン群で4.3%(82人)であり、同様に有意な差は認められなかった。17人に19件の有害事象が確認されたが(アセトアミノフェン群8人、イブプロフェン群9人)、処方薬剤に関連した事象は認められなかった。 Dalziel氏は、「この結果によって、親も医療従事者も、これらの重要な薬を引き続き安心して使えるようになるだろう」と述べている。 研究グループは、対象とした児童が6歳になるまで追跡し、アセトアミノフェンやイブプロフェンが原因とされてきた他の健康問題が現れないかを確認する予定だとしている。Dalziel氏は、「3歳で喘鳴を呈する小児の3分の2は、6歳時点で喘息を発症していないことが分かっている。そのため、生後1年間におけるアセトアミノフェン使用が喘息を引き起こすかどうかを最終的に判断するには、学齢期まで待つ必要がある」と説明している。さらに、この追跡調査では、自閉症や注意欠如・多動症(ADHD)の発症率についても調べる予定だという。これらの疾患は、ある程度成長してからの方が正確に診断されるためだ。 論文の筆頭著者であるオークランド大学のEunicia Tan氏は、「最終的には、アセトアミノフェンの使用と喘息、湿疹、花粉症、さらには自閉症やADHDといった発達障害との関連について、重要な証拠を提供できるはずだ」とニュースリリースで述べている。

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米国「食事ガイドライン」改訂――初の超加工食品制限に評価も、専門家から批判も相次ぐ

 米国の「食事ガイドライン(Dietary Guidelines for Americans:DGA)」は、学校給食などをはじめとした国民の栄養摂取の指針となるもので、米国農務省(USDA)と米国保健福祉省(HHS)が5年ごとに改訂している。2026年1月7日に最新版(2025~2030年版)が発表され、大きな内容変更が話題となっている。 改訂版の中心となるメッセージは、「Eat real food(本物の食物を食べよう)」で、全体を通じて「ホールフード」(加工されていない/加工が最小限の食品、全粒粉穀物など)の摂取が推奨されている。従来のDGAは、基本的に塩分や糖分といった1日の栄養目標値の範囲内であれば、あらゆる食品の選択肢が許容されるものとしてきたが、この方針を大きく転換した。主な改訂点は以下のとおり。1)超加工食品・精製炭水化物・添加糖類:初の制限推奨避けるべき、あるいは制限すべき食品として、「高度に加工された食品(highly processed foods)」(化学添加物が添加された肉などで、一般に「超加工食品」と呼ばれるもの)や精製炭水化物(クッキー、白パン、シリアルなど)が明記された。添加糖類の制限も強化され、出生~4歳は「添加糖類を避ける」、5~10歳は「一切推奨しない」という内容が盛り込まれた。2)脂質:飽和脂肪10%上限は維持飽和脂肪は総エネルギーの10%を超えないという推奨は前版から継承された一方で、「healthy fats(健康的な油脂)」として、オリーブ油に加えてバターや牛脂も選択肢として例示された。3)乳製品:小児で「全乳」を明確に推奨小児の1歳以降では「whole milk(全脂肪乳)」がエネルギーや脳発達に重要と明記。これに基づいて「学校給食を低脂肪・無脂肪乳から全脂肪乳を戻す運動(Whole Milk for Healthy Kids Act)」の関連法が提出されている。4)タンパク質の増強食事におけるタンパク質の摂取量を、従来の推奨である体重1kg当たり0.8g/日から1.2~1.6g/日に引き上げた。 一方、本ガイドラインが発表されると、医療や栄養の専門家から批判の声が上がった。  JAMA誌はオンライン版2026年1月14日号の「Perspective1)」でガイドラインの概要を紹介、ホールフード推奨や超加工食品の制限に対しては一定の評価をしつつ、突然の方針転換を「科学ではなく政治によるもので一貫性がない」とし、タンパク質の増加推奨もエビデンスに基づいておらず特定の業界を利するものだとし、実際の学校給食などの変革プロセスも不確実である点などを批判している。 Lancet誌はオンライン版2026年2月16日号の「Correspondence2)」「Comment3)」で、DGAが従来の栄養学の蓄積やエビデンスの扱いから外れており、「政策(予算・制度)と推奨内容の組み合わせが、結果的に健康を悪化させかねない」と警鐘を鳴らしている。 米国心臓病学会(ACC)も2026年1月27日付で解説記事4)を発表し、タンパク質の摂取量の推奨が大きく上がったが、これは独立組織である「食事ガイドライン諮問委員会(DGAC)」が事前にまとめた報告に含まれていないなど、エビデンスとの不一致や策定プロセスの不透明性に対する疑問を表明している。 CareNet.comのコラム「NYから木曜日」でこれまでの多くの米国の医療・健康問題を取り上げてきた米国・マウントサイナイ医科大学 老年医学科の山田 悠史氏に今回のガイドラインの問題点について聞いた。「正しさ」と「問題」が混在するゆえの「タチの悪さ」 ――今回の改訂ガイドラインの主な推奨事項として、以下が挙げられます。・「リアルフード」の重視(自然食品を推奨し、超加工食品を徹底的に排除する)・タンパク質の増量(体重1kg当たり1.2~1.6g/日という、従来の推奨量を上回る目標値を設定)・脂肪の質の再定義(全脂肪乳製品を推奨、調理油としてオリーブオイルに加え、バターや牛脂の使用を肯定)・添加糖と添加物の排除(1食当たりの添加糖を10g以下に制限。着色料、保存料、人工甘味料などの化学添加物を避けるよう警告) 確かに、「超加工食品の過剰摂取是正」や「添加糖の削減」という点では公衆衛生的にも正しい方向を向いています。しかし、脂質に関するアドバイスでは矛盾があったり、過剰なタンパク質推奨がされていたりするなど、科学と政治の混同といった問題がみられます。 この正しさと問題の「混在」が一般の人が見抜くのを難しくしていて、「タチが悪い」と思います。 たとえば、脂質に関するアドバイスの矛盾として、ガイドラインは「飽和脂肪酸の摂取は総カロリーの10%未満に抑えるべき」と従来の基準を踏襲する一方で、「バターや牛脂」を調理油の選択肢として推奨し 、「全脂肪乳製品」を推奨しています。 バターや牛脂は飽和脂肪酸の主要な供給源であり、これらを積極的に推奨しながら「10%未満」という目標を達成することは、一般消費者にとって極めて困難です。多くの質の高いシステマティックレビューは、飽和脂肪酸を多価不飽和脂肪酸(植物油など)に置き換えることで心血管疾患リスクが低減することを示唆していますが、ガイドラインでは植物性種子油への言及を避け、動物性脂肪を肯定するバイアスがかかっています。これは現在の栄養疫学のコンセンサスとは異なり、国内産業支援の色が見え隠れします。 タンパク質に関しては、一般成人に対して「体重1kg当たり1.2~1.6g」の摂取を推奨しています。参考までに現在の米国の推奨量は0.8g/kgです。確かに、1.2~1.6g/kgという数値は、アスリートや高齢者のサルコペニア予防には有益であるエビデンスが存在しますが、一般人口全体に対する一律の推奨としては多過ぎる可能性があります。 とくに慢性腎臓病の未診断者も多い状況下で、高タンパク食を無差別に推奨することは一定数の人をリスクにさらすことになる可能性があります。また、この目標を達成するために赤肉摂取が増加した場合、大腸がんや心血管疾患のリスクとの関連も考慮すべきでしょう。「人々の健康と地球の健康」を両立させるアプローチとも逆行しています。赤肉や全脂肪乳製品の推奨は、温室効果ガス排出量の観点から環境負荷が高く、現代の栄養ガイドラインが考慮すべきグローバルな課題を無視しています。 通常、米国の食事指針は、外部の委員会による数年にわたるシステマティックレビューを経て策定されますが、本ガイドラインは「トランプ政権のリーダーシップの下、常識を取り戻す」 と明記されており、政治的意図が前面に出ています。エビデンス以上に「国内農業支援」を進めたい狙いが透けて見えるガイドラインです。――

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インフルA型、B型それぞれの感染に影響する個人的・環境的要因

 インフルエンザの感染伝搬について、個人的および環境的要因が及ぼす影響について評価したカナダ・マクマスター大学のNushrat Nazia氏らによる研究の結果、高年齢であることはとくにB型インフルエンザ感染において防御的に働く可能性が示された。また環境・地理的要因がインフルエンザ感染に与える影響はウイルスの型ごとに異なっていた。Influenza and Other Respiratory Viruses誌2026年2月号掲載の報告。 本研究は、カナダの厳格なキリスト教徒「フッター派(Hutterite)」のコミュニティを対象に行われた。同コミュニティは外部との接触が少なく、ライフスタイルが共通した単一的で明確な集団構造を持つ。Nazia氏らは、「階層構造を明確に定義できる」という特性を活かすことで、一般的な社会では困難な、集団と個人の各要因が感染リスクに与える影響をより高い精度で推論可能な点が本研究の強みとしている。 2008年のインフルエンザシーズンにおける、カナダの46のフッター派コロニーに属する3,271例のデータが解析された。PCR検査で確定されたインフルエンザA型およびB型の週別症例について、人口統計学的要因、ワクチン接種状況、地理的および気象条件との関連を検討した。解析には、コロニーのクラスタリングと時間的自己相関を考慮したIntegrated Nested Laplace Approximations(INLA法)によるマルチレベル・ベイズ階層モデルが使用された。 主な結果は以下のとおり。・3,271例(平均年齢26歳、女性43.5%、インフルエンザワクチン接種率24.3%)中、239例(7.3%)がPCR検査によりインフルエンザと確定された(A型:128例、B型:111例)。・年齢の高さによる防御的な効果が認められ、インフルエンザB型(相対リスク[RR]:0.93、95%信用区間[CrI]:0.91~0.95)ではインフルエンザA型(RR:0.99、95%CrI:0.98~1.00)よりも強い効果が認められた。・男性は女性と比較してわずかに感染リスクが低かった。・いずれのモデルにおいても、個別ワクチン接種による予防効果は認められなかった。しかし、コロニー単位でのワクチン接種群への割り当ては、すべてのインフルエンザ(RR:0.29、95%CrI:0.10~0.83)およびインフルエンザA(RR:0.17、95%CrI:0.04~0.62)の感染リスクの大幅な低下と関連していたが、インフルエンザBでは関連がみられなかった。・最寄りの都市までの距離と標高は、感染リスク低下と弱い関連を示したが、不確実性が大きく、その関連は限定的であった。・前週の気温の高さは、インフルエンザAの感染リスク低下(RR:0.91、95%CrI:0.86~0.95)およびインフルエンザBの感染リスク上昇(RR:1.19、95%CrI:1.09~1.31)と関連していた。

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デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療薬発売/中外

 中外製薬は、2026年2月20日にデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の治療を目的とした再生医療等製品のデランジストロゲン モキセパルボベク(商品名:エレビジス点滴静注)を発売した。投与対象は、DMDのうち、エクソン8および/またはエクソン9の一部または全体の欠失変異を有さず、抗AAVrh74抗体が陰性である3歳以上8歳未満の歩行可能な患者となっている。また、本製品は2025年5月13日に条件および期限付承認に該当する製造販売承認を取得している。 DMDは、小児の早期から急速に進行する、希少な遺伝性の筋疾患であり、全世界で男児の約5,000人に1例程度で発症するといわれ、女児での発症は非常にまれな疾患である。DMDでは、筋肉にかかわるタンパク質であるジストロフィンの産生に影響を及ぼすDMD遺伝子の突然変異が原因で発症する。ジストロフィンは、筋線維を強化し、筋収縮時の損傷から保護するタンパク質複合体の重要な成分であり、DMD遺伝子の変異により、DMDでは機能性ジストロフィンを体内で産生できなくなり、筋細胞は損傷に対する感受性が高まり、筋組織の瘢痕化や脂肪化が徐々に進行する。 主な症状としては、歩行能力、上肢機能、肺機能、心機能が失われ、致死的な転帰をたどる。DMDの患者はフルタイムでの介護が必要となる。また、学業や仕事や家庭生活を行うことが困難となり、抑うつや身体的な痛みを患うこともある。 今回発売されたデランジストロゲン モキセパルボベクは、1回の投与で疾患の進行に伴う不可逆的な筋障害が生じる前にDMDの原因となるジストロフィンの欠損を補うよう設計された治療法となる。<製品概要>一般名:デランジストロゲン モキセパルボベク販売名:エレビジス点滴静注禁忌・禁止(一部を抜粋):ジストロフィン遺伝子のエクソン8及び/又はエクソン9の一部又は全体が欠失している患者効能、効果又は性能:デュシェンヌ型筋ジストロフィーただし、以下のいずれも満たす場合に限る・抗AAVrh74抗体が陰性の患者・歩行可能な患者・3歳以上8歳未満の患者用法及び用量又は使用方法:通常、体重10kg以上70kg未満の患者には1.33×1,014ベクターゲノム(vg)/kgを、体重70kg以上の患者には9.31×1,015vgを、60分から120分かけて静脈内に単回投与する。本品の再投与はしないこと(体重別の投与量の表は省略)。承認日:2025年5月13日薬価基準収載日:2026年2月20日発売開始日:2026年2月20日薬価:1患者当たり3億497万2,042円製造販売元:中外製薬株式会社

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睡眠薬、抗コリン薬を処方中の患者を受け持つプライマリケア医に、電子カルテを介し減薬を勧める介入は、不適切処方を減らす効果があるが、死亡リスクを高めるかもしれない(解説:名郷直樹氏)

 高齢者の不適切処方は日本においても大きな問題の1つだが、本研究は米国のプライマリケア医を対象として、65歳以上の高齢者でベンゾジアゼピン、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬、抗コリン薬が処方されている患者の不適切処方に対し、電子カルテを通し、前もって介入する群、診察後減薬を検討させる群と標準的な診療を比較し、1剤以上の減薬の効果を検討したクラスターランダム化比較試験である。ランダム化はプライマリケア医ごとに行われ、結果は患者ごとで解析されている。 2つの介入方法であるが、診療前群では、医師が電子カルテを開くと、初回には薬剤継続のリスクの患者との共有、患者向け説明資料、代替治療や減薬アルゴリズムへのリンクが表示され、2回目以降は、前回の情報提供を想起させ、具体的な減薬のお勧めが表示される。診療後介入群では、初回診察時に前もって介入する群と同様な通知が表示され、4週後に電子カルテ上のメールボックスに減薬のお勧めが送信され、診察時間以外に減薬を検討させるという具合である。 結果であるが、1次アウトカムの1剤以上の減薬ができた割合は、前もって介入する群で36.8%、診療後介入群で34.3%、通常診療群で26.8%、通常診療群に対して減薬できる割合が診療前介入群で1.4倍、95%信頼区間(CI)1.14~1.73、リスク差で10.4%、診療後介入群で1.26倍(95%CI:1.01~1.57)、リスク差で6.5%と報告されている。 しかし死亡については、診療前介入群で1.4%、診療後介入群で3.9%、通常診療群で1.8%と、診療後介入群で高い傾向にある。 医療費の視点で見れば、この結果は処方を減らすことによる医療費削減が見込まれ、医療政策の決定に対して重要である。しかし個々の患者の視点で見れば、診療後介入群で減薬が死亡リスクの増加につながる可能性が示されているように、こうした介入を現実に行うかどうかの判断は難しい。減薬は代用のアウトカムにすぎず、その後の患者アウトカムにつながっていない可能性があるという点は、この論文を実装するに当たって十分考慮すべき点だろう。

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第307回 小児科医由来の抗体が強力にRSウイルスを阻止

およそひっきりなしに呼吸器ウイルスに接することがいわば宿命の小児科医の血液由来の抗体が、承認済みの抗体より25倍も強力に呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を阻止し、しかもより多種のウイルス株を相手にできることが示されました1,2)。ニューモウイルス科に属するRSVやヒトメタニューモウイルス(hMPV)は世界の健康を蝕む主因の1つで、高齢者、免疫不全者、2歳以下の小児、とくに生後6ヵ月までの乳児の急な下気道感染症を引き起こします。RSVの融合前Fタンパク質抗原やその抗原を作るmRNA入りのワクチンの高齢者への接種は承認されていますが、小児向けの開発は難航しています。たとえば高齢者への使用が承認済みのモデルナのmRNAワクチンmRESVIAの生後8~23ヵ月の乳幼児への接種試験では、期待とは裏腹に重度/要入院の下気道感染症がより多く発生しており3)、試験中断を余儀なくされています。RSVとhMPVの両方を相手するワクチンmRNA-1365でもやはりRSVによる重度/要入院の下気道感染症がより多く発生しました。成人へのRSVワクチン接種でも心配事があります。RSVワクチンの普及は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が変異株を次々に発生させているように、網の目を潜る変異株の発生を促す恐れがあります。一方、ウイルスの不変領域に取り付く抗体であれば変異株を発生し難くできそうですが、そういう抗体はウイルス阻止効果がいまひとつという弱みがあります。では弱みのない抗体を見つけるにはどうしたらよいか? 小児のさまざまな感染症に日々取り組む仕事柄、RSVやhMPVに繰り返し接する小児科医の自然免疫は実は宝の山で、ウイルスとの歴戦で鍛え上げられた強力な抗体を備えているかもしれません。中国の重慶医科大学小児病院のHui Zhai氏らはそう考え、同病院で10年を超えて働く小児科医10人の血液を調べてみました。すると、それら小児科医の抗体のRSV阻止活性は、仕事でRSVやhMPVに接することのない健康な成人14人を3倍超上回りました。阻止活性が高かった小児科医3人の血液中の抗体をふるいに掛けところ、調べた57の抗体のほぼすべての56がRSVの融合前Fタンパク質にしかと結合しました。続いてそれらの抗体の人工品を作って研究室で検討したところ、CNR2056とCNR2053という呼び名の2つがRSV株のより多くに対してとくに活性を示しました。CNR2047という名称のもう1つの抗体はRSVとhMPVの両方を手広く阻止する交差活性がありました。CNR2056、CNR2053、CNR2047を単独または組み合わせてマウスやラットに投与したところ、RSVやhMPV感染症状を防げました。ウイルス阻止活性は強力で、既存のRSV阻止抗体のニルセビマブ(商品名:ベイフォータス)やclesrovimabを最大25倍上回りました。ニルセビマブやclesrovimabにせよRSVワクチンにせよ今のところ相手しうるRSV株の種類は限られます。小児科医がその職業人生で身に着けた自然免疫から見つかった今回の抗体の組み合わせは、多用途でより手広く感染を防ぐ手段となりうるとZhai氏らは示唆しています1)。参考1)Antibody cocktails based on the occupationally acquired immunity of pediatricians neutralize and confer protection against RSV and hMPV / Science Translational Medicine2)Paediatricians’ blood used to make new treatments for RSV and colds / NewScientist(MSN)3)Snape MD, et al. Safety and Immunogenicity of an mRNA-Based Rsv Vaccine and an Rsv/hMPV Combination Vaccine in Children 5 to 23 Months of Age. Preprints. 2024 Dec 11.

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第301回 麻疹の流行が止まらない!見落としていたもう一つのセキュリティーホール

INDEX2026年麻疹発生状況もう一つのセキュリティーホールと解決策2026年麻疹発生状況年明けからわずか2ヵ月弱だが、現在の麻疹の発生動向を見ると、何とも不気味である。国立健康危機管理研究機構が公表する感染症発生動向調査週報(IDWR)1)の2026年第6週(2月2~8日)までの速報ベースの累計報告数は32例。昨年の同週での累計が3例だったことを考えれば、年初からかなりのハイペースである。第1週から第6週を見ると以下のような推移になり、第5週を境に感染報告数が跳ね上がっている。画像を拡大する累計報告数を都道府県別で見ると、東京都が6例、栃木県、新潟県、大阪府が各4例、埼玉県、千葉県が各3例、神奈川県、岩手県が各2例、北海道、茨城県、愛知県、京都府が各1例。現状は首都圏、東海圏、近畿圏という人口密集地域での報告が主である。本連載でもすでに取り上げているが、昨年の麻疹発生状況もかなりのものだった。2025年最後の第52週(12月22~28日)までの速報ベースの累計報告数は265例で、2024年の同週(12月23~29日)の45例と比較して約6倍まで増加していた。さらに、日本の麻疹土着株の遺伝子型D5は長きにわたって検出事例はなく、それがゆえに日本は2015年、世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局から麻疹排除国として認定されている。現在の麻疹感染報告はいわば輸入例であり、ウイルスの遺伝子型からも、その多くが東南アジア・南アジア方面を起源とするものと推定されている。実際、米国・ボストン小児病院が開発・運営する世界の感染症発生情報を可視化したサイト「HealthMap」2)を参照すると、現状、東南アジアや南アジアでは麻疹がかなり流行していることがわかる。だからこそ、前回、この地域からの技能実習や特定技能での来日者やその雇用主へのワクチン接種の積極的勧奨、そのための接種費用の一部助成などの施策を考えてもよいのではないかと私個人は提案したのであった。もう一つのセキュリティーホールと解決策この考えに今も変更はないが、最近、もっと重要な視点が抜け落ちていると気付き始めた。それは日本人でのワクチン接種の推進である。前回も紹介したように、令和6年度(2024年4月1日~2025年3月31日)のワクチン定期接種対象者の接種率は、第1期が92.7%、第2期が91.0%であり、麻疹の集団免疫獲得に必要なワクチン接種率95%以上にはやや及ばない。ここは従来どおり、国や各自治体による地味な啓発の継続が必要である。だが、麻疹に関してはここにセキュリティーホールがあることを私自身はすっかり忘れていた。それは現在の麻疹のワクチン接種が2回体制になったのは、2006年からである。ご存じのように1回接種では、約5%の人では十分な免疫を獲得できず、また、経年での抗体価低下を補うブースター効果を期待して、このような措置へと変更された。日本で麻疹ワクチンの定期接種が始まったのは1978年で、約30年間は1回接種で済まされていた。当然ながらこの世代には、免疫獲得が不十分な人もかなり抗体価が低下した人もいるはずだ。その意味では、国がかつて風疹ワクチンの接種対象ではなかった中高年男性に対して抗体価検査の無料クーポン配布とその結果に応じた無償接種の機会を提供したことは記憶に新しい。この事業は2024年度で終了したが、改めて麻疹ワクチンの1回接種世代を対象に似たような事業を行ってもよいのではないだろうか?ちなみにざっくり対象人口を計算すると、約1億人と推計される。一般に麻疹の抗体価検査は3,000円前後であるので、この全員が抗体検査を受ければ、予算規模は約3,000億円。そのうち3割程度が接種対象だったと仮定した場合、約8,000円と言われるMRワクチンの接種費用を掛け合わせて約2,400億円。総額5,400億円の計算になる。もちろん大変な規模の支出にはなるが、その後の経済効果まで考えれば、赤字国債を発行しても元が取れるのではないだろうか? いっそこのケースでは、あの“悪名高き”肺炎球菌ワクチンや帯状疱疹ワクチンのように、各年度で対象者を絞った実施でもよいかもしれない。これならば単年度の予算規模は抑えられる。健康安全保障をキーワードに予防医療を強く訴える高市政権にとっても悪い政策ではないと思うのだが。ついでに言うならば、現在、麻疹報告数が多く、大きな予算規模を抱える東京都あたりが先鞭をつけて始めてもよいかもしれない。それこそ東京都お得意の「東京アプリ」を使って、対象者が抗体検査を受けたら〇ポイントを付与する、といった仕組みだ。麻疹に関してWHOは2026年1月26日にイギリス、スペイン、オーストリア、アルメニア、アゼルバイジャン、ウズベキスタンが排除国認定を喪失したことを発表したばかり。日本が同じ轍を踏んでほしくはない。参考1)国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト:感染症発生動向調査週報2)HealthMap

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2月20日 アレルギーの日【今日は何の日?】

【2月20日 アレルギーの日】〔由来〕1966(昭和41)年の今日、石坂 公成氏、石坂 照子氏がIgE(免疫グロブリン)を発見したことにちなみ、日本アレルギー協会により制定。同協会では今日を中心とした1週間を「アレルギー週間」と定め、この期間を中心にアレルギーに関する各種啓発活動を行っている。関連コンテンツ英語で「アレルギーはありますか」は?【1分★医療英語】第130回小児の消化管アレルギー(食物蛋白誘発胃腸症)【すぐに使える小児診療のヒント】身近な抗アレルギー薬に思わぬリスク?長期服用後の中止で激しいかゆみ、FDAが警告【NYから木曜日】「まずは金属除去」ではない? 金属アレルギー診療と管理の手引きを公開/日本アレルギー学会急増するナッツ類アレルギー、近年はより少ない量で発症の傾向/国立成育医療研究センター

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若手医師は帰属意識が高い?首都圏出身者も移住希望?/医師1,000人アンケート

 厚生労働省が2025年12月23日、『令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況』1)を公表し、都道府県別にみた人口10万人当たりの医師数などが明らかになった(参考:「医師数公表、人口当たり医師数が最も多い県・少ない県/厚労省」)。厚生労働省ではこれを基盤として医師偏在をさらに客観的に把握するため、2018年度より「医師偏在指数」*も公表している。また、2025年11月に行われた医師偏在対策に関する検討会では、労働時間などの違い、地域ごとの医療需要(医療ニーズ)などといった考慮すべき5つの要素が示され、2027年度からの次期医師確保計画に向けて必要な見直しが検討されるという2)。*計算式は、標準化医師数÷[地域の人口(10万×地域の標準化受療率比)]で、数値が低いほど医師不足を表す。現行は「医師の性別・年齢分布」が考慮されているが、2027年度より5つの要素(医療需要[ニーズ]及び将来の人口・人口構成の変化、患者の流出入等、へき地等の地理的条件、医師の性別・年齢分布、医師偏在の種別[区域、診療科、入院/外来])が考慮される予定。 そこで、このような状況を踏まえ、ケアネットでは医師が勤務地選択の際にどのような条件を重視するのかなどを調査。20~60代の会員医師1,018名を対象に、移住(Iターン・Jターン・Uターン)3)希望の有無、将来的に希望する勤務地・定住先とその理由、勤務地を決定したタイミングについて、アンケートを行った。若手の地方出身者は帰属意識が高い?首都圏出身者は? まず、回答者の出身エリアと主な勤務エリアは以下のとおりであった。―――――――――――――――――――<出身エリア>北海道:5.8%  東北:7.2%  関東:22.3%  中部:16.7%  近畿:21.3%  中国:8.3%   四国:4.3%  九州・沖縄:12.8%  海外:0.6%<現在の主な勤務エリア>北海道:5.3%  東北:6.1%  関東:30.1%  中部:16.1%  近畿:19.6%中国:8.3%   四国:3.9%  九州・沖縄:10.3%  海外:0.2%――――――――――――――――――― 将来的な勤務希望地(出身地や実家[義実家を含む]のある地域での勤務希望)について、全体の60%超が「はい(いつか戻りたい)」「現在、出身地・実家のある地域で働いている」と回答。また、すでに地元などで勤務している医師は40代以上では4割を超えていた。 今回、本アンケート結果のp.12では、参考までに年代・出身地別の移住意向率も示した。現在、県外に勤務し将来的に移住を希望する割合は20代で高く(47.7%)、首都圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)を除外した場合にも高い傾向であった。また、驚いたことに、首都圏出身者(263人)のうち85人が首都圏外で勤務していたが、そのうちの7割は戻る意向を示さなかった。一方で、東北エリア、中国エリア出身者の県外勤務者の移住意向は低かった(それぞれ9.1%、7.4%)。 なお、診療科別(内科・外科・その他)での希望有無の違いを比較すると、外科系医師の移住希望はやや少ない傾向であった。希望地の選択理由、20代と60代で共通する理由 本結果から各年代での勤務地選択理由の傾向が明らかになった。20代は「地域/へき地医療への貢献」(18.5%)、30~40代は「子育て・教育環境」(各25.0%、14.9%)を重視する傾向にあった。50代以降では、「親の介護/実家管理」などの問題もやや増加した。60代以降でも約2割の医師は「地域/へき地医療への貢献」を選択していた。 各年代の選択理由については、以下のようなコメントも寄せられた。<20代>・地域枠(山梨県出身/山梨県勤務・糖尿病・代謝・内分泌内科)・出世するためにどこへでも行きたいから(兵庫県出身/千葉県勤務・病理診断科)・家賃が高い(大阪府出身/東京都勤務・眼科)<30代>・義務だったため(新潟県出身/新潟県勤務・内科)・医局を辞め新しい居住地を探す際に、地元が便利なため(神奈川県出身/兵庫県勤務・神経内科)<40代>該当コメントなし<50代>・子を保育園に預けられないとき(感染症など)、実家にみてもらうため。教授から「実家がないと復帰は無理」と言われ、辞めることを暗に勧められた(岩手県出身/岩手県勤務・心療内科)・需要と供給、利便性、将来性などのバランス(東京都出身/山口県勤務・精神科)<60代>長女だから仕方ない(大阪府出身/大阪府勤務・小児科)将来の勤務先、20~30代が意識する時期は… 将来の勤務地を意識する/した時期については、各年代ともに「意識したことがない」医師が最も多かったものの、その傾向は若手になるほど減少に転じている。年代別でみると、20~30代は「前期研修時」(各25.0%、16.2 %)、40代は「医学部入学時」(10.9%)、50代は「親の健康状態の変化」(9.3%)、60代は「入局時」(12.6%)という結果であった。 このほかのアンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。『将来の希望勤務地は?いつ決めた?/医師1,000人アンケート』

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