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ESMO2019レポート 消化器がん

レポーター紹介胃がんに対する術前化学療法の意義―PRODIGY試験とRESOLVE試験切除可能な進行胃がんに対する治療は本邦では、S-1、CapeOx、SOX、S-1+ドセタキセル(DS)による術後補助化学療法が標準的治療の位置付けである。欧州では、FLOT4試験の結果、術前術後に3剤併用療法を行うことが標準となった。今回、アジアから2つの術前治療に関する第III相試験が発表された。PRODIGY試験は、韓国で実施されたcT2-3N+M0またはcT4NanyM0に対する術前DOS療法+手術+術後S-1療法(以下、CSC群)の、手術+術後S-1療法(以下、SC群)に対する優越性を検証する第III相無作為化比較試験である。計530例が登録され、最終的な解析対象(FAS)は484例であった。年齢中央値は両群とも58歳、食道胃接合部原発が5%程度含まれていた。CSC群におけるGrade3以上の治療関連有害事象として、好中球減少12.6%、発熱性好中球減少9.2%、下痢5.0%を認め、術前治療中の治療関連死は0.8%であった。手術におけるR0切除割合は、CSC群(238例)96.4% vs.SC群(246例)85.8%(p<0.0001)であった。CSC群では病理学的完全奏効(CR)が10.4%(p<0.0001)で認められた。主要評価項目の3年無増悪生存期間(PFS)は、CSC群66.3% vs.SC群60.2%(HR:0.70、95%CI: 0.52~0.95、p=0.0230)であった。ITT解析でもHR:0.69、6ヵ月のランドマーク解析でもHR:0.71と一貫した結果であった。RESOLVE試験は、中国で行われたcT4a/N+M0またはcT4bNanyM0に対する、術後XELOX、術後SOX、術前SOX+手術+術後SOXの3群比較試験である。計1,094例が登録され、年齢中央値は59~60歳、食道胃接合部原発が35~38%含まれていた。術後化学療法実施割合は、各群66~70%であった。3年無病生存(DFS)は、術後XELOX群と比較して、術前術後SOX群で優越性が示され(54.78% vs.62.02%、HR:0.79、95%CI:0.62~0.99、p=0.045)、術後SOX群の非劣性が示された(54.78% vs.60.29%、HR:0.85、95%CI:0.67~1.07、Non-Inferiority margin:1.33)。以上、中国および韓国から2つの第III相試験が報告され、術前化学療法の優越性が検証された。試験の質も大きな問題はないと考えられ、本邦の実地臨床にも外挿できる可能性が高いと考えられる。ただ、中国の試験はcT4と局所進行症例の中でもより進行した集団が対象であること、韓国の試験は優越性を示すも、PFS曲線はほぼR0切除率の差がPFSの差につながっていることが示唆されることを考慮すれば、すべての切除可能胃がんで術前化学療法が必要とは言い切れないだろう。ただ、発表からは術前化学療法の有害事象も許容範囲内で、術後合併症の発生割合も同程度であったことから、大きなデメリットが感じられない。本邦では、JCOG1509試験、JCOG1704試験の2つの胃がんにおける術前化学療法を検討する前向き試験が実施中である。前者はcT3-4N+M0(肉眼型大型3型および4型を除く)を対象に術前S-1+オキサリプラチン(OX)療法の優越性を無治療群と比較する第III相試験、後者はBulky Nがあるものを対象にしたDOS療法を評価する第II相試験である。これらの試験の結果を待つか、中国・韓国のエビデンスを外挿するか、もう少し国内での議論が必要かもしれない。BRAF V600E変異型大腸がんに対する新規分子標的治療―BEACON試験切除不能BRAF V600E変異陽性大腸がんは、大腸がんの約5%に認められ、きわめて予後不良である。大腸がん治療ガイドラインでは、1次治療においてFOLFOXIRI+ベバシズマブ療法が推奨レジメンの1つとなっているが、2次治療以降には有効な治療が乏しいのが現状である。BRAF変異陽性メラノーマや非小細胞肺がんではBRAF阻害薬+MEK阻害薬の有効性が示されており、同様の治療戦略が大腸がんでも期待されていた。BEACON試験は、BRAF V600E変異を有する切除不能・進行再発大腸がんにおいて、1次治療もしくは2次治療後に腫瘍進行を認めた患者を対象とした無作為化第III相試験である。対象患者665例は、エンコラフェニブ+ビニメチニブ+セツキシマブの3剤併用療法群、エンコラフェニブ+Cmabの2剤併用療法群、FOLFIRI+Cmab療法またはIRI+Cmab療法のコントロール群の3群に、1:1:1で無作為に割り付けられた。OS期間中央値は、3剤併用療法群vs.コントロール群で9.0ヵ月vs.5.4ヵ月(p<0.0001)、2剤併用療法群vs.コントロール群で8.4ヵ月vs.5.4ヵ月(p<0.0003)、最初の331例のORRは3剤併用療法群vs.コントロール群で26% vs.2%(p<0.0001)、2剤併用療法群vs.コントロール群で20% vs.2%(p<0.0001)であり、主要評価項目を達成した。相対用量強度(RDI)は3剤併用療法群では、エンコラフェニブ 91%、ビニメチニブ 87%、Cmab 91%、2剤併用療法群では、エンコラフェニブ 98%、Cmab 93%、コントロール群では74~85%であった。Grade3以上の有害事象割合は、3剤併用療法群58%、2剤併用療法群50%、コントロール群61%であり、3剤併用療法群で下痢10%、貧血11%が高く、全Gradeの有害事象において2剤併用療法群で筋肉痛(13%)、関節痛(19%)、頭痛(19%)などの頻度がやや高かった。QOLに関してはQLQ-C30、FACT-Cにおいては差を認めなかった。以上から、3剤併用療法群において良好な有効性を認め、高いRDIを維持しながらも、管理可能な有害事象のプロファイルとQOLの維持を認めた。以上から、今後切除不能BRAF V600E変異陽性大腸がんにおいて、本併用療法は2次治療以降の標準治療として臨床導入されることが期待される。3剤併用療法で有効性がやや高く、有害事象も2剤併用療法とプロファイルが異なるだけでQOLに差がないことからまずは3剤併用でトライしてみることが勧められる。Grade3以上の消化器毒性は3剤併用療法で高いことから、その場合には2剤併用療法もオプションとなりえるだろう。今後メラノーマ同様に1次治療や補助療法での有効性にも期待したいところである。現状、臨床現場でも困っている患者さんのために、早急な薬事承認に期待したいが、まだ1年程度先になるだろう。それまでは、拡大治験の実施や患者申出制度の利用に活路を見いだしたいところである。ハイリスクStageII結腸がんに対する補助療法―ACHIEVE-2試験リンパ節転移のないStageII結腸がんでは、臨床病理学的な再発ハイリスク因子を持つ場合にのみ術後補助化学療法が推奨され、レジメンはCAPOX/FOLFOX療法やフルオロピリミジン単独療法が6ヵ月間行われる。StageIIIにおいて、IDEA collaborationの結果から、CAPOX/FOLFOX療法の3ヵ月投与が治療選択肢として確立されたことからハイリスクStageII結腸がんでも同様の検討が行われた。2019年ASCOでIDEA collaborationに参加した6つの臨床試験のうち、4つの試験(SCOT、TOSCA、ACHIEVE-2、HORG)の統合解析が発表され、主要評価項目である5年無病生存率(DFS)は非劣性が証明されず、negative studyであった。しかし、CAPOX群では3ヵ月と6ヵ月で大きな差を認めず、ハイリスクStageII症例の術後補助化学療法を行う場合でも、CAPOXなら3ヵ月への短縮が可能と結論付けていた。今回のESMOでは、本邦での試験であるACHIEVE-2試験の結果が発表された。514例が登録され、ハイリスク因子はT4 36%、低分化腺がん10~13%、郭清リンパ節転移個数不十分13%、腸閉塞発症19~20%、脈管侵襲陽性87~88%であった。観察期間中央値約36ヵ月の時点で、3年DFSは3ヵ月群88.2% vs.6ヵ月群87.9%であった(HR:1.12、95%CI:0.80~1.57)。レジメン別解析では、FOLFOX群(n=82)3ヵ月群88.6% vs.6ヵ月群85.7%、CAPOX群(n=432)3ヵ月群88.2% vs.6ヵ月群88.4%であった。サブグループ解析では、T4群では3ヵ月群76.2% vs.6ヵ月群79.7%(HR:1.28、95%CI:0.84~1.95)であった。本試験結果の解釈は非常に悩ましい。もともとIDEA collaborationは、統合解析が主体となっていることから、個々の試験の解釈をするときは、統合解析の結果と合わせて評価することが必要である。3年DFSで大きな差はないが、HRが1.12と少し1を超えている点は気になるところである。とくに、T4集団での解析では少数例の検討とはいえ、HR:1.28と1を大きく超えている。全体の3年DFSがlow risk StageIIIよりも悪いことも鑑みると、T4集団ではCAPOX 6ヵ月を選択することが妥当という印象を持った。スペシャルセッションの最後には、登壇者からStageII CCの補助療法のアルゴリズムが提案されたが、私自身はあまり納得のいくものではなかった。国内でのコンセンサス形成には少し時間がかかると思われた。まとめ今回のESMOでも、多くの新しいエビデンスに巡り合うことができた。胃がん、大腸がんでは肺がんなどに比べ新薬の登場が遅れており、その間に周術期治療の開発がトピックスとなっている印象を受けた。日本人の発表やディスカッサント登壇も多く、世界と一緒に新しい治療方針を議論している実感が得られた。腫瘍医としての矜持を持ち、目の前の患者さんにこの新しいエビデンスをどう適用させるかが肝要である。その過程で、また新たなクリニカルクエスチョンが生じ、それに答えるべく臨床試験に取り組む…この繰り返しの結果が今日までのがん治療の進歩であり、令和の時代にも継続していかねばならないだろう。

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局所進行胃がんに対するDOSによる術前化学療法の追加効果(PRODIGY)/ESMO2019

 局所進行胃がんに対する術後S-1治療への術前ドセタキセル+オキサリプラチン+S-1(DOS)の追加効果を検討したPRODIGY試験の結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で報告された。韓国・蔚山大学校のYoon-Koo Kang氏による発表。DOSの術前化学療法追加で腫瘍のStage減少ならびにPFSの延長がみられた アジアにおいて、胃切除リンパ節郭清(D2)とそれに続く術後化学療法は、切除可能進行胃がんに対する標準治療となっている。PRODIGY試験は、標準治療へのDOSの術前化学療法追加による効果を検証した第III相試験である。・対象:新規に局所進行胃がんまたは食道胃接合部がんと診断された韓国人患者530例(cTNM分類でcT2/N+、cT3-4/N+、cT4/N-、PS:0~1)・試験群(CSC群):術前DOS+術後S-1(266例)・対照群(SC群):術後S-1(264例)・評価項目: [主要評価項目]3年無増悪生存期間(PFS) [副次評価項目]R0切除率、術後Stage、全生存期間(OS)、安全性 切除可能進行胃がん標準治療へのDOS追加による効果を検証した主な結果は以下のとおり。・計484例(最大の解析集団[FAS])が登録され、CSC群に238例、SC群に246例が割り付けられた。・37.4ヵ月の追跡期間(中央値)のうち、FASにおける3年PFSの割合はCSC群66.3%、SC群60.2%(ハザード比[HR]:0.70、95%信頼区間[CI]:0.52~0.95、p=0.023)であった。・CSC群において、R0切除率の有意な増加がみられた(CSC群:96.4%、SC群:85.8%、p<0.0001)。・CSC群におけるGrade3以上の主な副作用は、好中球減少症(12.6%)、発熱性好中球減少症(9.2%)、下痢(5.0%)であった。また、治療に関連した死亡が1例みられた。・術後S-1に術前DOSを追加することで、腫瘍のStage減少ならびにPFSの延長がみられた。

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WCLC(World Conference on Lung Cancer)2019 レポート

レポーター紹介世界肺がん学会WCLC(World Conference on Lung Cancer)2019はスペインのバルセロナで、2019年9月7~10日の期間に行われた。今年は9月末に欧州臨床腫瘍学会が同じスペインのバルセロナで行われることもあり、例年のWCLCと比べるとトピックスが少ない印象ではあったが、公式発表では100ヵ国以上から7,000例以上がWCLCに参加し、多くの演題(2,853演題)が報告された。学会初日の印象では参加人数が例年よりも少なそうで寂しい印象を受けたが、Presidential Symposiumの発表時には、会場はほぼ満席であり活気に満ちたものであった。このレポートでは、私的に選んだ今学会でのトピックスをいくつか紹介する。外科手術のトピックVIOLET試験の効果と安全性に関する探索的検討clinical stage cT1~3、N0~1、M0の肺がん、もしくは肺がんが強く疑われる患者を対象に、開胸手術とVATSを比較する第III相試験における早期の効果と安全性の結果が報告された。入院中の死亡率は、VATS群で1.4%(VATS治療から開胸手術の移行率5.7%)であった。また、完全切除率については、VATS群で98.8%、開胸切除で97.4%であり、有意差を認めなかった(p=0.839)。術後の疼痛についてmedian(visual analogue)pain scoreで評価が行われており、術後1日では術後疼痛についてmedian scoreに差を認めなかったが、術後2日では術後疼痛の強さがVATS群で有意に改善され、入院期間についてもVATS群が4日、開胸手術群が5日と有意に短くなる(p=0.008)ことが報告された。また、入院中の術後合併症がVATS群で32.8%、開胸手術群で44.3%と有意に低下する(p=0.008)という結果であった。今回の報告では、VATSと開胸手術において、侵襲の少ないVATSが開胸手術と比較しても根治率が変わらないことが報告され、合併症や入院期間、術後疼痛が良好であることが報告され、日常臨床で広く浸透しているVATSが短期的な指標では有用であることが検証された試験である。今後の長期予後データなどの報告が待たれる。(Lim E, et al. PL 02-06)分子標的療法におけるトピックスLIBRETTO-001 study進行非小細胞肺がんのRET-fusion遺伝子変異に対する分子標的療法で、保険償還承認が得られた治療はまだ存在しない。LIBRETTO-001試験で使用されたLOXO-292はRETを選択的に強く阻害する分子標的薬であり、脳への移行性も高く、RET-fusion遺伝子変異に対する治療薬として期待されている。今学会ではLIBRETTO-001試験における、LOXO-292療法の効果と安全性についての第I/II相試験の結果が報告された。253例のRET-fusion陽性の非小細胞肺がんの患者が参加し、うちprimary analysis set (PAS) に139例が登録された。105例が初回にプラチナ製剤併用化学療法を受け、58例がPD-1/PD-L1阻害薬療法を受けていた。奏効率(ORR)は68%(95%CI:58~76%、n=71/105)であり、RET fusionのパートナーにかかわらず治療効果を認めた。また治療奏効期間は20.3ヵ月(95%CI:13.8~24.0ヵ月)であり、脳転移のある患者における脳転移のORRは91%(n=10/11:2 confirmed CRs、8 confirmed PRs)であった。さらに未治療のRET-fusion陽性の患者ではORR85%(95%CI:69~95%、n=29/34)であった。毒性(AEs)は、ほとんどがGrade1/2と軽微であり、頻度では口腔内乾燥、下痢、高血圧、AST/ALTの上昇が多かった。今回のLOXO-292のデータは非常に良好であり、RET-fusion陽性肺がんの標準療法になりうると考えられ早期での臨床導入が期待される。(Drilon A, et al. PL 02-08)免疫チェックポイント阻害薬のトピックスCASPIAN study進展型小細胞肺がんに対し、初回治療でのプラチナ(シスプラチンもしくはカルボプラチン)+エトポシド(EP)療法の標準療法と、デュルバルマブもしくはデュルバルマブ+tremelimumabの上乗せ治療を比較するオープンラベル下での第III相試験である。この試験はプレスリリースにおいて、デュルバルマブ上乗せ群が標準療法群に対してOSを有意に改善したと発表しており、今学会の最注目演題であった。今学会ではCASPIAN試験における、標準療法群とデュルバルマブ併用療法群の結果が報告された。PS 0~1の未治療進展型小細胞肺がんの患者を対象に、デュルバルマブ1,500mg+EP療法を3週ごと、デュルバルマブ1,500mg+tremelimumab 75mg+EP療法を3週ごと、もしくはEP療法を3週ごと4コースの治療を行った。免疫療法群では、4コース終了後のデュルバルマブ維持療法が認められており、EP療法では6コースまで投与をすることが認められていた。また、主治医判断での予防的全能照射(prophylactic cranial irradiation [PCI])も認められていた。EP+デュルバルマブ療法群に268例、EP療法群に269例が割り付けられ、56.8%の患者が6コースのEP療法を受けていた。全生存期間においてEP+デュルバルマブ群がEP療法群と比較して、HR0.73、95%CIは0.591~0.909、p=0.0047と生存期間を有意に延長し、生存期間中央値(mOS)はEP+デュルバルマブ療法群で13ヵ月、EP療法群で10.3ヵ月であった。また18ヵ月の時点で、EP+デュルバルマブ療法群では33.9%の患者が生存しており、EP療法群では24.7%の患者が生存していた。無増悪生存期間(PFS)や奏効率(ORR)においてもEP+デュルバルマブ療法群がEP療法群よりも優れた結果であった。EP+デュルバルマブ療法群とEP療法群でそれぞれ、mPFSが5.1ヵ月と5.4ヵ月、PFSはHR0.78、95%CIは0.645~0.936、12ヵ月PFS rateが17.5%と4.7%、ORR(RECIST v1.1:unconfirmed)が79.5%と70.3%(odds ratio:1.64、95%CI:1.106~2.443)であった。毒性(AEs)ではEP+デュルバルマブ療法群とEP療法群でGrade3/4 AEsが61.5%と62.4%、AEsによる治療中断率は各9.4%と差を認めなかった。この試験では、先行するIMpower133試験(カルボプラチン+エトポシド療法にアテゾリズマブの上乗せの有効性が証明された)と同様にPD-L1阻害薬の標準療法への上乗せが証明された。この試験では、EP+デュルバルマブ+tremelimumab療法群の結果、すなわちPD-L1阻害薬+CTLA-4阻害薬の標準療法への上乗せ効果は公表されておらず、いまだ不明のままである。(Luis Paz-Ares, et al. PL 02-11)CheckMate 817試験(Cohort A1)PS 2や肝障害やHIV感染症を持つPS 0~1(all other special population:AOSP)のIV期非小細胞肺がんの初回治療として、ニボルマブ(PD-1阻害薬)+イピリムマブ(CTLA-4阻害薬)併用療法の効果と安全性を確認する第IIIb/IV相試験の結果が報告された。この試験での治療方法はニボルマブ240mg(2週ごと)、イピリムマブ1mg/kg(6週ごと)の固定容量での治療である。この試験ではPS 2の患者139例とAOSPの患者59例が試験に登録された。安全性についてはPS 2の患者でも、AOSPの患者でも、通常のPS 0~1の患者と比較して、治療関連有害事象や治療関連有害事象による治療中断、治療関連死に差がないことが示された。奏効率は、PS 2で20%、AOSPで37%であり、PS 0~1で35%であったが、PFSはPS 2やAOSPの患者で、PS 0~1の患者より有意に短かった。免疫チェックポイント阻害薬の併用において、PS不良の患者でも安全性はPS良好な患者と同様であり、初回治療の選択肢となりうることが示されたと考えてよいだろう。(Valette CA, et al. OA 04-02)その他の免疫チェックポイント阻害薬のトピック今回の学会では、以前に発表された第III相試験の長期予後データについていくつかの報告があった。PD-L1 50%陽性、EGFRやALK変異陰性の患者で行われた第III相試験であるKEYNOTE-024試験の3年目解析データが報告された。生存期間中央値(mOS)はペムブロリズマブ群26.3ヵ月(18.3~40.4)、殺細胞性抗がん剤治療群14.2ヵ月(9.8~18.3)で、OSはHR0.65、95%CIは0.50~0.86、p=0.001であり、長期間の観察期間でも有意にOSを延長していることが報告された。また、この発表では抗がん剤治療群からのペムブロリズマブのクロスオーバーしたペムブロリズマブの治療成績が報告されており、奏効率(ORR)は20.7%であり、治療奏効期間の中央値は20.9ヵ月と報告された。(Reck M, et al. OA 14-01)また、扁平上皮がんに対するプラチナ+タキサン療法へのアテゾリズマブの上乗せを検討しているIMpower131試験の最終解析結果も報告された。この試験は、ASCO2018においてOSの有意な延長が示されておらず、PD-L1 1~49%群でのOSがプラチナ製剤併用療法群と比較してクロスすることが報告されていた。今回の最終解析において、カルボプラチン+nabパクリタキセル+アテゾリズマブ群とカルボプラチン+nabパクリタキセル群の生存期間中央値(mOS)は14.2ヵ月vs.13.5ヵ月で、OSはHR0.88、95%CIは0.73~1.05、p=0.158で、OSの延長効果は示されなかった。ただし、PD-L1TPS 50%以上の高発現群においては、mOSは23.4ヵ月vs.10.2ヵ月、OSはHR0.48、95%CIが0.29~0.81とサブグループ解析ではあるが有意に延長していることが報告された。同じ扁平上皮がんを対象としたプラチナ+タキサン療法へのペムブロリズマブの上乗せを検討したKEYNOTE-407試験では、ペムブロリズマブの上乗せの生存延長効果が示されているだけに、PD-1阻害薬とPD-L1阻害薬で扁平上皮がんに効果に違いが出るのか興味深いところではある。(Cappuzzo F, et al. OA 14-02)小細胞肺がんのトピックスSensitive Relapse小細胞肺がんを対象にカルボプラチン+エトポシドとトポテカンを比較した第III相試験トポテカンはヨーロッパでは小細胞肺がんの2次療法で承認されている数少ない抗がん剤であり、ヨーロッパだけでなく本邦含めグローバルで標準療法として広く用いられている。この試験では、初回治療から90日以上たってから再燃してきた小細胞肺がんをsensitive relapse小細胞肺がんとして定義しており、この対象を満たし初回治療でプラチナ+エトポシド療法が施行されている患者に対して、カルボプラチン+エトポシドとトポテカンの比較試験が行われた。この試験での意義は初回治療のre-challengeと標準療法であるトポテカンのどちらが良いかを比較している点で、今までのクリニカル・クエスチョンを確認する試験である。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)については、中央値がre-challenge群で4.7ヵ月(95%CI:3.9~5.5)、トポテカン群で2.7ヵ月(95%CI:2.3~3.2)、PFSがHR0.6、95%CIは0.4~0.8、p<0.002であり、re-challenge群が有意にPFSを延長していた。またre-challenge群とトポテカン群の比較において、他の主な評価項目では、奏効率が49% vs.25%(p<0.002)とre-challenge群で有意に奏効率が高かったが、全生存期間ではmOSが7.5ヵ月(95%CI:5.4~8.7)vs.7.4ヵ月(95%CI:6.0~9.3)であり、両群で有意な差を認めなかった。毒性では、トポテカン群はGrade3/4の好中球減少が35.8% vs.19.7%(p<0.001)と有意に高かったが、発熱性好中球減少症が13.6% vs.6.2% (p=0.19)で両群に有意な差を認めず、その他の毒性も両群で差を認めなかった。この試験の結果からは、日常臨床で行われることが多いsensitive relapse小細胞肺がんにおけるre-challenge療法を、標準療法の一つとして考えてもよいのかもしれない。(Monnet I, et al. OA 15-02)

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局所進行NSCLCのCRT、10年でどこまでcure?(WJTOG0105)/ESMO2019

 WJTOG0105は、切除不能Stage III非小細胞肺がん(NSCLC)における、胸部放射線治療(TRT)の併用化学療法として、第3世代レジメン(イリノテカン+カルボプラチン、パクリタキセル+カルボプラチン)と第2世代レジメン(マイトマイシンC+ビンデシン+シスプラチン)を比較した第III相試験である。この試験の結果、第3世代レジメンによる化学放射線療法(CRT)は切除不能Stage III NSCLCの標準治療の1つとして確立された。しかし、CRTによる累積毒性と長期生存はまだ明らかになっていない。国立がん研究センター東病院の善家 義孝氏は、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)において、わが国のStage III NSCLCにおけるCRTの生存と毒性の10年間追跡調査の結果を報告した。・対象:切除不能Stage IIIA/B NSCLC(70歳未満、PS 0~1)・対照群[A群]シスプラチン+ビンデシン+MMC(4週ごと2サイクル)+TRT(60Gy)→シスプラチン+ビンデシン+MMC(4週ごと2サイクル)・試験群[B群]イリノテカン+カルボプラチン(毎週6週間)+TRT(60Gy)→カルボプラチン+イリノテカン(3週ごと2サイクル)[C群]パクリタキセル+カルボプラチン(毎週6週間)+TRT(60Gy)→パクリタキセル+カルボプラチン(3週ごと2サイクル)。・評価項目:5年および10年の全生存(OS)率、晩期毒性(CRT開始後90日以降に発生) 主な結果は以下のとおり。・2001年9月~2005年9月に440例が登録され、A群(n=146)、B群(n=147)、C群(n=147)に無作為に割り付けられた。・追跡期間中央値は140ヵ月であった。・OSはA群20.5ヵ月に対しB群19.8ヵ月(ハザード比[HR]:1.18、95%信頼区間[CI]:0.82~1.51)、C群22.0ヵ月(HR:1.01、95%CI:0.79~1.30)であった。・5年OS率はA群20.8%、B群16.0%、C群18.3%、10年OS率はそれぞれ13.6%、7.5%、15.2%であった。・5年無増悪生存(PFS)率はA群10.2%、B群10.8%、C群12.3%、10年PFS率はそれぞれ8.5%、5.9%、11.1%であった。・Grade3/4の晩期毒性はA群3.4%(心臓0.7%、肺2.7%)、B群で3.4%(肺のみ)、C群4.1%(肺のみ)、Grade5は、C群で0.7%(肺のみ)であった。 C群のカルボプラチン+パクリタキセルは、A群と同程度の効果と毒性プロファイルを有していることが示された。10年OS率15%、PFS率11%という結果から、免疫療法を含めた新たな治療戦略が必要だとしている。 発表者の善家義貴氏との1問1答はこちら。この試験を行った背景について教えてください。 Stage IIIのCRTは従来5年生存をcureの指標としていましたが、がん患者さんの生存が延長した現在、cureは10年生存でみるべきだといえます。しかし、CRTを10年間観察した大規模研究はありませんでした。そこで、今回初めて、CRTが10年という長期のcureを実現しているのかを追跡評価しました。この結果をどう評価されますか。 今までCRT後の生存率は5年で20%と言われていましたが、その後はどのようになるのか明らかになっていませんでした。今回の試験で、10年で15%というデータが出たことは重要だと思います。 また現在、実臨床で使われているCRTの化学療法は、ほとんどがC群のカルボプラチン+パクリタキセルだと思います。当試験の結果からも、このレジメンが効果、安全性ともにスタンダードであると言えると思います。この試験で苦労されたことは? 10年間、患者さんの生存調査をすることは大変な作業でした。しかし、この難しい作業を研究者の先生方は快く協力していただけました。その背景には、この研究の結果をぜひ知りたいという強い興味が、肺がん診療医にあったのではないかと思います。 CRTはcureを目指す治療です。10年生存15%は満足な数字だとは言えません。今後は免疫療法などで、どこまで引き上げられるかが課題です。

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BRAF V600E変異大腸がんに対するビニメチニブ、エンコラフェニブ、セツキシマブの3剤併用(BEACON CRC)/ESMO2019

 スペイン・Vall d’Hebron 大学病院のJosep Tabernero氏は、転移のあるBRAF V600E変異大腸がんに対する、BRAF阻害薬エンコラフェニブ、MEK阻害薬ビニメチニブ、抗EGFR抗体セツキシマブの3剤併用療法を検証した無作為化非盲検の第Ⅲ相試験BEACON CRCの結果を発表。この3剤併用療法あるいはエンコラフェニブとセツキシマブの併用療法は、従来のFOLFIRI療法あるいはイリノテカンにセツキシマブを加えた治療法に比べ、全生存期間(OS)、奏効率(ORR)を有意に改善すると報告した。 BRAF V600E変異型は転移を有する大腸がんの10~15%に認められ、予後不良因子とされている。ただ、こうした症例ではBRAFのみを阻害しても効果は限定的で、逆にEGFRに急なフィードバックがかかり、MAPKシグナル伝達経路を活性化し、がん細胞増殖が促進されるとされている。BRAF阻害薬のエンコラフェニブ、MEK阻害薬のビニメチニブは共にMAPKシグナル伝達経路での酵素を阻害する薬剤である。・対象:1次治療あるいは2次治療後に進行したPS 0~1のBRAF V600E変異型を有し、BRAF阻害薬、MEK阻害薬、EGFR阻害薬のいずれの治療も受けたことがない転移を有する大腸がん患者665例・試験群1(3剤療法):エンコラフェニブ+ビニメチニブ+セツキシマブ(224例)・試験群2(2剤療法):エンコラフェニブ+セツキシマブ(220例)・対照群:FOLFIRI療法+セツキシマブまたはイリノテカン+セツキシマブ(221例)・評価項目:[主要評価項目]3剤療法vs.対照群でのOS、盲検化中央判定でのORR[副次評価項目]2剤療法vs.対照群、3剤療法vs. 2剤療法でのOS、無増悪生存期間(PFS)、ORR、安全性 主な結果は以下のとおり。・OS中央値は3剤療法群が9.0ヵ月(95%信頼区間[CI]:8.0~11.4)、対照群が5.4ヵ月(95%CI:4.8~6.6)であった(ハザード比[HR]:0.52、95%CI:0.39~0.70、両側検定p<0.0001)。・2剤療法のOS中央値は8.4ヵ月(95%CI:7.5~11.0)であった(HR:0.60、95%CI:0.45~0.79、両側検定p=0.0003)。・PFS中央値は3剤療法群が4.3ヵ月(95%CI:4.1~5.2)、対照群が1.5ヵ月(95% CI:1.5~1.7)であった(HR:0.38、95%CI:0.29~0.49、両側検定p<0.0001)。・2剤療法群のPFS中央値は4.2ヵ月(95%CI:3.7~5.4)であった(HR:0.40、95%CI:0.31~0.52、両側検定p<0.0001)。・無作為化割り付けが最初に行われた331例でのORRは3剤療法群が26%、2剤療法が20%、対照群が2%(対照群との比較で3剤療法、2剤療法は共にp<0.0001)であった。・全有害事象(AE)発現率は3剤療法群が98%、2剤療法が98%、対照群が97%、Grade3以上のAE発現率はそれぞれ58%、50%、61%であった。・Grade3以上の主なAEは3剤療法群が下痢、腹痛、ヘモグロビン値上昇、2剤療法が腸閉塞、疲労感、ヘモグロビン値上昇、対照群が下痢、腹痛、無力症であった。・QLQ-c30によるQOL評価では3剤療法と2剤療法はほぼ同等だった。 この結果についてTabernero氏は3剤療法は2剤療法を超える臨床的に妥当なアドバンテージを得られる可能性が示唆され、有害事象も管理可能であると指摘。「既治療のBRAF V600E変異型の転移を有する大腸がんに対する新たな標準治療になりえる」と述べた。

386.

ニボルマブ、食道がん2次治療以降のOS改善(ATTRACTION-3)/ESMO2019

 韓国・延世医科大学延世がんセンターのByoung Chul Cho氏は、進行・再発の食道扁平上皮がんの2次治療でニボルマブとタキサン系抗がん剤による化学療法を比較した第III相試験ATTRACTION-3の結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で報告。ニボルマブは化学療法と比較し、全生存期間(OS)を有意に延長したことを明らかにした。・対象:1次治療でプラチナベース化学療法が不応あるいは施行後に無効になった切除不能な進行・再発の食道扁平上皮がん患者(PS 0~1)・試験群:ニボルマブ240mg 2週ごと(n=210)・対照群:ドセタキセル75mg/m2 3週ごと、あるいはパクリタキセル100mg/m2 毎週(n=209)・評価項目: [主要評価項目]全生存期間(OS) [副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、奏効までの期間(TTR)、奏効期間(DOR)、健康関連QOL、有害事象 主な結果は以下のとおり。・OS中央値はニボルマブ群が10.9ヵ月、化学療法群が8.4ヵ月で、ニボルマブ群で有意な延長が認められた(ハザード比[HR]:0.77、95%信頼区間[CI]:0.62~0.96、p=0.019)。・年齢、性別、人種、PS、手術歴、放射線治療歴、PD-L1発現率、喫煙歴といったいずれのサブグルーブ別でもニボルマブ群で良好なOSの傾向を示した。・PFS中央値はニボルマブ群が1.7ヵ月、化学療法群が3.4ヵ月で、両群間の有意差はなかった(HR:1.08、95%CI:0.87~1.34)。・ORRはニボルマブ群が19%、化学療法群が22%で、両群で同等だった。・DCRはニボルマブ群が37%、化学療法群が63%であった。・TTR中央値はニボルマブ群が2.6ヵ月、化学療法群が1.5ヵ月であった。・DOR中央値はニボルマブ群が6.9ヵ月、化学療法群が3.9ヵ月であった。・EQ-5D-3Lを用いた健康関連QOLの調査では、計測された42週にわたりニボルマブ群は一貫して化学療法群を上回っていた。・ニボルマブ群での治療関連の主要な免疫関連有害事象は、内分泌系、消化管系、肝臓系、肺系、腎系、皮膚系であり、そのほとんどはGrade2以内であり、いずれもGrade3以上の発現率は2%以内であった。・Grade3以上の全治療関連有害事象発現率はニボルマブ群が18%、化学療法群が63%であった。 この結果を受けてCho氏は「ニボルマブは進行食道扁平上皮がんの2次治療で新たな標準治療となる可能性を示している」と述べた。

387.

カバジタキセル、転移のあるmCRPCのPFSを延長/NEJM

 転移を有する去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)で、ドセタキセルおよび抗アンドロゲン薬(アビラテロン、エンザルタミド)既治療の患者に対し、カバジタキセルは抗アンドロゲン薬に比べ、画像評価による無増悪生存(PFS)期間を有意に延長することが示された。オランダ・エラスムス医療センターのRonald de Wit氏らが、255例を対象に行った無作為化比較試験の結果で、NEJM誌オンライン版2019年9月30日号で発表した。ドセタキセル治療と抗アンドロゲン薬治療を受けるも12ヵ月以内に病勢進行が認められたmCRPC患者について、抗アンドロゲン薬と比較したカバジタキセルの有効性および安全性は不明であった。欧州13ヵ国62医療機関で255例を対象に試験 研究グループは、欧州13ヵ国の62医療機関を通じて、ドセタキセル治療と抗アンドロゲン薬治療歴のあるmCRPC患者255例を無作為に2群に分け、比較試験を行った。一方には、カバジタキセル(25mg/m2体表面積を3週ごと静注)+プレドニゾン1日1回+顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を投与(カバジタキセル群)、もう一方には異なる抗アンドロゲン薬(アビラテロン1,000mg+プレドニゾンを1日1回またはエンザルタミド160mgを1日1回)を投与した(抗アンドロゲン薬群)。 主要エンドポイントは、画像評価によるPFSだった。副次エンドポイントは、生存期間、奏効率で、安全性についても評価した。PFS期間、カバジタキセル群8.0ヵ月、抗アンドロゲン薬群3.7ヵ月 追跡期間中央値9.2ヵ月後の画像評価に基づく病勢進行または死亡の報告は、カバジタキセル群95/129例(73.6%)、抗アンドロゲン薬群101/126例(80.2%)だった(ハザード比[HR]:0.54、95%信頼区間[CI]:0.40~0.73、p<0.001)。画像評価に基づくPFS期間中央値は、カバジタキセル群8.0ヵ月、抗アンドロゲン薬群3.7ヵ月だった。 全生存(OS)期間中央値は、カバジタキセル群13.6ヵ月、抗アンドロゲン薬群11.0ヵ月だった(死亡に関するHR:0.64、95%CI:0.46~0.89、p=0.008)。 病勢進行で評価したPFS期間中央値は、カバジタキセル群4.4ヵ月、抗アンドロゲン薬群が2.7ヵ月だった(進行または死亡に関するHR:0.52、95%CI:0.40~0.68、p<0.001)。 前立腺特異的抗原反応は、カバジタキセル群35.7%、抗アンドロゲン薬群13.5%で発生し(p<0.001)、腫瘍反応率はそれぞれ36.5%、11.5%だった(p=0.004)。Grade3以上の有害事象の発現率はカバジタキセル群56.3%、抗アンドロゲン薬群52.4%だった。安全性に関する新たな兆候は観察されなかった。

388.

早期TN乳がんの術前化学療法にペムブロリズマブ追加でpCR改善(KEYNOTE-522)/ESMO2019

 新規に診断された早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対して、術前化学療法にペムブロリズマブを追加することにより、病理学的完全奏効(pCR)率が有意に上昇したことがKEYNOTE-522試験で示された。また、術前/術後のペムブロリズマブ投与により無イベント生存率(EFS)が改善する傾向もみられた。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、英国・Barts Cancer Institute, Queen Mary University LondonのPeter Schmid氏が発表した。 本試験は、早期TNBCに対してペムブロリズマブの術前化学療法との併用および術後補助療法での投与について検討した、初のプラセボ対照無作為化比較第III相試験である。・対象:新規に診断されたTNBC患者(AJCC/TNM分類でT1c N1-2またはT2-4 N0-2、ECOG PS 0/1)・試験群:術前に化学療法(カルボプラチン+パクリタキセルを4サイクル後、ドキソルビシン/エピルビシン+シクロホスファミドを4サイクル)+ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)、術後にペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)を9サイクルあるいは再発または許容できない毒性発現まで投与(ペムブロリズマブ群)・対照群: 術前に化学療法(試験群と同様)+プラセボ、術後にプラセボを投与(プラセボ群)・評価項目:[主要評価項目]pCR(ypT0/Tis ypN0)、EFS[副次評価項目]pCR(ypT0 ypN0およびypT0/Tis)、全生存期間(OS)、PD-L1陽性例におけるpCR・EFS・OS、安全性 主な結果は以下のとおり。・1,174例が2:1に無作為化され、ペンブロリズマブ群に784例、プラセボ群に390例が割り付けられた。・追跡期間中央値はペムブロリズマブ群15.3ヵ月、プラセボ群15.8ヵ月であった。・主要評価項目のpCR(ypT0/Tis ypN0)は、ペムブロリズマブ群は64.8%とプラセボ群51.2%に対して有意な改善を示した(p=0.00055)。・副次評価項目のpCR(ypT0 ypN0)およびpCR(ypT0/Tis)も、ペムブロリズマブ群vs.プラセボ群でそれぞれ59.9%vs.45.3%および68.6%vs.53.7%と同様であった。・PD-L1発現の有無別のペムブロリズマブ群とプラセボ群におけるpCR(ypT0/Tis ypN0)は、PD-L1陽性で68.9%vs.54.9%、PD-L1陰性で45.3%vs.30.3%であり、PD-L1発現にかかわらず、ペムブロリズマブの改善効果が認められた。・EFSの最初の中間解析でのイベント発生率は、ペムブロリズマブ群7.4%、プラセボ群11.8%で、ハザード比は0.63(95%信頼区間:0.43~0.93)であったが、事前に設定したp値の有意水準を達成しなかった。18ヵ月時のEFSはペムブロリズマブ群91.3%、プラセボ群85.3%であった。・Grade3以上の治療関連有害事象の発現率は、術前療法期ではペムブロリズマブ群76.8%、プラセボ群72.2%、術後療法期では5.7%、1.9%であった。・Grade3以上の免疫介在性有害事象の発現率は、ペムブロリズマブ群14.1%、プラセボ群2.1%であった。

389.

BRAF V600E遺伝子変異大腸がん、MAPK経路標的の3剤併用は?/NEJM

 BRAF V600E遺伝子変異陽性の転移を有する既治療大腸がん患者の治療では、エンコラフェニブ(BRAF阻害薬)+セツキシマブ(抗EGFRモノクローナル抗体)+ビニメチニブ(MEK阻害薬)併用療法およびエンコラフェニブ+セツキシマブ併用療法は標準治療と比較して、いずれも全生存(OS)期間を有意に延長し、奏効率も有意に高いことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのScott Kopetz氏らが行ったBEACON CRC試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年9月30日号に掲載された。BRAF V600E遺伝子変異陽性の転移を有する大腸がんの予後は不良であり、初回治療不成功後のOS期間中央値は4~6ヵ月とされる。また、BRAFだけを阻害しても、上皮成長因子受容体(EGFR)シグナル伝達を介して伝達路が再活性化されるため、腫瘍縮小効果は限定的だという。この3剤併用レジメンは、MAPKシグナル伝達経路を最も効果的に阻害する併用療法としてデザインされた。BRAF V600E遺伝子変異陽性の転移を有する既治療大腸がん患者を3群で比較 研究グループ(日本を含む)は、BRAF V600E遺伝子変異陽性の転移を有する既治療大腸がん患者において、エンコラフェニブ+セツキシマブ±ビニメチニブの効果を標準治療と比較する目的で、非盲検無作為化第III相試験を実施した(Array BioPharmaなどの助成による)。 対象は、組織学的および細胞学的に確定されたBRAF V600E遺伝子変異陽性の転移を有する大腸がんで、1または2レジメンの治療を受けた後に病勢が進行した患者であった。 被験者は、3剤併用群、2剤併用群、対照群(標準治療)に1対1対1の割合で無作為に割り付けられた。3剤併用群にはエンコラフェニブ(300mg/日)+セツキシマブ(初回400mg/m2、以降は250mg/m2/週)+ビニメチニブ(45mg、1日2回)が、2剤併用群にはエンコラフェニブ(300mg/日)+セツキシマブ(初回400mg/m2、以降は250mg/m2/週)が投与され、対照群では、治験責任医師の裁量でセツキシマブ+イリノテカンまたはセツキシマブ+FOLFIRI(フォリン酸、フルオロウラシル、イリノテカン)のいずれかが選択された。 主要エンドポイントは、3剤併用群の対照群と比較したOS期間および客観的奏効率とした。副次エンドポイントは、2剤併用群の対照群と比較したOS期間であった。今回は、事前に規定された中間解析の結果が報告された。 2017年5月~2019年1月の期間にBRAF V600E遺伝子変異陽性の転移を有する既治療大腸がん患者665例が登録され、3剤併用群に224例(年齢中央値62歳[範囲:26~85]、女性53%)、2剤併用群に220例(61歳[30~91]、48%)、対照群には221例(60歳[27~91]、57%)が割り付けられた。客観的奏効率の評価は331例(3剤併用群111例、2剤併用群113例、対照群107例)で行われた。フォローアップ期間中央値は7.8ヵ月だった。OSは標準治療よりも3剤が48%、2剤は40%改善 対象となったBRAF V600E遺伝子変異陽性の転移を有する既治療大腸がん患者のOS期間中央値は、3剤併用群が9.0ヵ月と、対照群の5.4ヵ月に比べ48%有意に延長した(ハザード比[HR]:0.52、95%信頼区間[CI]:0.39~0.70、p<0.001)。また、2剤併用群のOS期間中央値は8.4ヵ月であり、対照群の5.4ヵ月に比し40%有意に長かった(0.60、0.45~0.79、p<0.001)。 客観的奏効率は、3剤併用群が26%(完全奏効4%、部分奏効23%)と、対照群の2%(部分奏効2%)に比べ有意に高かった(p<0.001)。また、2剤併用群の客観的奏効率は20%(完全奏効5%、部分奏効15%)であり、対照群の2%よりも有意に高率であった(p<0.001)。 無増悪生存(PFS)期間中央値は、3剤併用群が4.3ヵ月、2剤併用群が4.2ヵ月、対照群は1.5ヵ月であった。対照群と比較した3剤併用群のHRは0.38(95%CI:0.29~0.49、p<0.001)、2剤併用群のHRは0.40(0.31~0.52、p<0.001)であり、いずれも有意な差が認められた。 3剤併用群のBRAF V600E遺伝子変異陽性の転移を有する既治療大腸がん患者で頻度の高い有害事象は、消化器関連イベント(下痢62%、悪心45%、嘔吐38%)および皮膚関連イベント(ざ瘡様皮膚炎49%)であった。Grade3以上の有害事象は、3剤併用群が58%、2剤併用群が50%、対照群は61%で認められた。有害事象による治療中止はそれぞれ7%、8%、11%で、致死的有害事象は4%、3%、4%でみられ、治療関連死は3例が報告された(3剤併用群:結腸穿孔、対照群:アナフィラキシー、呼吸器不全)。 著者は、「対照群の結果は、最近の前向き研究のデータに基づき予測されたとおりであった。この試験は3剤と2剤を比較する検出力はなく、中間解析の性質上の限界もあるが、OSは3剤のほうが良好な傾向がみられた(HR:0.79、95%CI:0.59~1.06)。2つのレジメンの相対的な利益を明らかにするには、さらなるフォローアップが必要である」としている。

390.

小細胞肺がんに対するデュルバルマブ+化学療法の成績(CASPIAN)/ESMO2019

 進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)においてデュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)と化学療法の併用を評価する第III相CASPIAN試験の結果が、世界肺がん学会(WCLC2019)で発表され、化学療法へのデュルバルマブの追加により、全生存期間(OS)の有意な改善が示された。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)では、最新の解析結果が、スペイン・Hospital Universitario 12 de OctubreのLuis Paz-Ares氏により報告された。・対象:未治療のES-SCLC患者(WHO PS 0/1)・試験群: デュルバルマブ+エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン(D+EP群) デュルバルマブ+tremelimumab+エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン(D+T+EP群)・対照群:  エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン(EP群)・評価項目: [主要評価項目]OS [副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、全奏効率(ORR)、安全性、忍容性 ESMO2019での発表は、D+EP群とEP群における、臨床関連分析(Clinically relevant analysis)の結果である。 主な結果は以下のとおり。・2019年3月11日の時点で、D+EP群265例とEP群266例が各治療を受けた。・OS中央値はD+EP群13.0ヵ月、EP群10.3ヵ月で、D+EP群が有意に良好であった(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.591~0.090、p=0.0047)・PFS中央値はD+EP群5.1ヵ月、EP群5.4ヵ月であった(HR:0.78、95%CI:0.645~0.936)・PD-L1評価可能な症例277例(D+EP群151例、EP群126例)のうちPD-L1発現が1%未満の症例は、TCで94.9%、ICで77.6%と、PD-L1発現症例は少なかった。・PD-L1発現とOSの関係は示されなかった(TCのp=0.54、ICのp=0.23)。・患者報告アウトカム(PRO)による症状悪化までの期間(TTD)は、すべての項目においてD + EP群が長かった。 ES-SCLCの1次治療におけるデュルバルマブのエトポシド+シスプラチン/カルボプラチンへの追加は、有意にOSを改善する一方、QOLを維持し、症状悪化までの時間を延長した。

391.

21遺伝子再発スコアが高いHR+早期乳がんでの術後化学療法の併用効果(TAILORx 2次解析)/ESMO2019

 リンパ節転移のないホルモン感受性(HR)陽性HER2陰性の早期乳がん患者で、21遺伝子アッセイによる再発スコアが高い(26〜100)場合、術後にタキサンとアントラサイクリン両方もしくはどちらかを含む化学療法と内分泌療法を併用したほうが、内分泌療法単独よりもアウトカムが良好であることが、TAILORx試験の2次解析で示唆された。スペインで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、米国・Albert Einstein College of MedicineのJoseph A. Sparano氏が発表した。この結果はJAMA Oncology誌オンライン版2019年9月30日号に同時掲載された。 乳がん組織の21遺伝子アッセイによる再発スコアが高い場合、化学療法によるベネフィットが得られることが予測され、低い場合は内分泌療法のみでも再発リスクが低いことが予測されている。しかし、再発スコアの高い患者にタキサンやアントラサイクリンを含むレジメンで治療した場合のアウトカムについて、前向き試験でのデータはほとんどない。今回、多施設無作為化試験であるTAILORx試験より、腋窩リンパ節転移のないHR陽性HER2陰性の早期乳がんのうち、再発スコアが26~100の患者を対象に、術後補助療法として内分泌療法と化学療法(レジメンは主治医選択)を実施した患者の無遠隔再発生存率(DRFI)と無浸潤疾患生存率(IDFS)が検討された。 主な結果は以下のとおり。・適格患者9,719例のうち再発スコア26~100の患者は1,389例(14%)で、年齢中央値は56歳(範囲:23~74歳)であった。・主な化学療法レジメンは、ドセタキセル+シクロホスファミド(TC)42%、アントラサイクリンのみ(A without T)24%、アントラサイクリン+タキサン(A and T)18%、シクロホスファミド/メトトレキサート/5-FU(CMF)4%で、その他 6%、化学療法なし 6%であった。・化学療法と内分泌療法で治療された患者のDRFIは、5年で93.0%(標準誤差[SE]:0.8%)、9年で86.8%(SE:1.7%)であったのに対し、内分泌療法単独では、B20試験における化学療法の治療効果に基づいて予測されたDRFIは5年で78.8%(SE:14.0%)、9年で65.4%(SE:10.4%)であった。・同様に、化学療法と内分泌療法で治療された患者のIDFSは、5年で88.1%(SE:0.8%)、9年76.28%(SE:1.7%)で、内分泌療法単独では、予測されたIDFSは5年で74.7%(SE:14.6%)、9年で55.3%(SE:8.9%)であった。・レジメン別にみると、5年DRFIは、TC 92.7%、A without T 92.3%、A and T 95.1%、CMF 88.5%、その他 95.5%、また、5年IDFSは、TC 88.1%、A without T 87.4%、A and T 88.6%、CMF 84.0%、その他 91.3%であった。 これらの結果から、Sparano氏は「術後化学療法の投与指針として21遺伝子アッセイの使用を支持するエビデンスが追加された」と述べた。

392.

小細胞肺がんに対するアテゾリズマブ+化学療法の成績(IMpower133)/ESMO2019

 進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)に対する、カルボプラチン・エトポシドへのアテゾリズマブ(商品名:テセントリク)の追加効果を評価する第III相試験IMpower133では、アテゾリズマブの追加による生存改善が、世界肺がん学会(WCLC2019)で示された。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)では、同試験の全生存期間(OS)、奏効期間(DOR)、奏効率(ORR)、安全性について最新のデータが発表され、ドイツ・Lung Clinic GrosshansdorのMartin Rech氏が報告した。 IMpower133は、未治療のES-SCLC患者403例を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検第I/III相試験。・対象:全身治療未実施のES-SCLC患者(症状がない既治療のCNS病変を有する患者を含む、PS 0~1)・試験薬:アテゾリズマブ+カルボプラチン+エトポシド、21日ごと4サイクル(アテゾリズマブ群)・対照薬:プラセボ+カルボプラチン+エトポシド、21日ごと4サイクル(プラセボ群)・評価項目: [主要評価項目]OS、治験医師評価による無増悪生存期間(PFS) [副次評価項目]ORR、DOR、安全性 主な結果は以下のとおり。・今回の追跡期間中央値は22.9ヵ月であった。・OS中央値はアテゾリズマブ群12.3ヵ月、プラセボ群10.3ヵ月と有意にアテゾリズマブ群で良好であった(HR:0.76、95%CI:0.60~0.95、p=0.0154)。・ORRはアテゾリズマブ群60.2%、プラセボ64.4%であった。・DORはアテゾリズマブ群4.2ヵ月、プラセボ3.9ヵ月であった。・PD-L1 1%以上(TC or IC)のOSはアテゾリズマブ群9.7ヵ月、プラセボ群10.6ヵ月(HR:0.87)、PD-L1 1%未満(TC or IC)OSはアテゾリズマブ群10.2ヵ月、プラセボ群8.3ヵ月(HR:0.51)であった。・Grade3/4の有害事象はアテゾリズマブ群67.7%、プラセボ群63.3%、Grade5は共に1.5%の発現率であった。

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術前療法で残存病変のあるHER2+早期乳がん、術後T-DM1による末梢神経障害・血小板減少症・CNS再発(KATHERINE)/ESMO2019

 トラスツズマブを含む術前化学療法で浸潤がんの残存がみられたHER2陽性早期乳がんに対する術後補助療法としてT-DM1(トラスツズマブ エムタンシン)の効果をトラスツズマブと比較したKATHERINE試験において、末梢神経障害、血小板減少症、中枢神経系(CNS)再発に関する詳細な分析結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)でドイツ・Helios Klinikum Berlin BuchのMichael Untch氏より報告された。T-DM1による末梢神経障害に関して、ベースライン時の末梢神経障害が持続期間と消失率に影響する可能性があるが発現率には影響せず、術前化学療法でのタキサン製剤の種類は発現率に影響しないことがわかった。 KATHERINE試験は、HER2陽性早期乳がん1,486例を対象とした国際多施設無作為化オープンラベル第III相試験で、術後補助療法としてT-DM1(3.6mg/kg静注、3週ごと)またはトラスツズマブ(6mg/kg静注、3週ごと)を14サイクル投与した。本試験の結果は、2018年のサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS 2018)で、T-DM1がトラスツズマブに比べ無浸潤疾患生存期間(IDFS)を有意に改善したことが報告されているが、T-DM1群で末梢神経障害および血小板減少症が高率に発現し、最初のIDFSイベントとしてCNS再発率も高かった。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時の末梢神経障害に関係なく、T-DM1群で末梢神経障害の発現率が高かった(ベースライン時に神経障害あり:T-DM1群36.3%、トラスツズマブ群17.5%、ベースライン時に神経障害なし:T-DM1群31.1%、トラスツズマブ群16.8%)。・ベースライン時に末梢神経障害があると末梢神経障害発現期間の中央値が大きく、消失率が低かった(ベースライン時に神経障害あり:352~337日、66.0~63.6%、ベースライン時に神経障害なし:243~232日、81.2~82.5%)。・術前化学療法でのタキサン製剤の種類により、末梢神経障害の発現率に差はなかった(ドセタキセル:T-DM1群32.1%、トラスツズマブ群17.8%、パクリタキセル:T-DM1群31.8%、トラスツズマブ群16.6%)。・術前化学療法でプラチナ製剤が投与されていた場合、T-DM1群で血小板減少症の発現率が高かった(T-DM1群36%、トラスツズマブ群27%)が、Grade3~4の血小板減少症における発現期間中央値(33日、29日)と消失率(95%、96%)はプラチナ製剤の投与の有無で差はなかった。・T-DM1群における最初のIDFSイベントとしてのCNS再発率は高かったが、全CNS再発率は同等であった。・T-DM1群のほうがCNS無再発期間の中央値が大きく(T-DM1群17.5ヵ月、トラスツズマブ群11.9ヵ月)、CNS再発後の全生存期間は両群に差はなかった(ハザード比:1.07、95%信頼区間:0.60~1.91)

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ドセタキセル+ADTがmHSPCのOSを延長(STAMPEDE試験)/ESMO2019

 転移を有するホルモン療法未治療の前立腺がん(mHSPC)患者に対する、ドセタキセル(DTX)とアンドロゲン除去療法(ADT)の併用療法の結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、英国・Queen Elizabeth Hospital のNick James氏より発表された。 本試験(STAMPEDE試験)は前立腺がんを対象に、10群(A~L群)のアームを持ち、1万人以上の症例が登録される国際共同臨床試験である。既にmHSPCの1次治療としてDTX+ADTのOS改善報告がある。今回は2005年10月~2013年3月に登録のあった、A群(ADT群)とC群(DTX群)との長期追跡の結果と、高腫瘍量/低腫瘍量ごとの解析である。・試験群:DTX+ADT(DTX群:362例)・対照群:ADT(ADT群:724例)・評価項目: [主要評価項目]全生存期間(OS) [副次的評価項目]治療成功期間(FFS)、無増悪生存期間(PFS)、前立腺がん特異的生存期間(PCSS)、転移無増悪生存期間(MPFS) 高腫瘍量/低腫瘍量の判定はCHAARTED試験のカテゴリー(高腫瘍量:内臓転移ありまたは骨転移4ヵ所以上でそのうち少なくとも1ヵ所以上は脊椎・骨盤以外の転移)を使用した。 主な結果は以下のとおり。・CHAARTED試験カテゴリーの低腫瘍量に該当する患者はADT群33%、DTX群34%、高腫瘍量に該当する患者はそれぞれ44%と41%だった。・追跡期間中央値6.5年における全症例を対象にしたDTX群対ADT群のOSハザード比(HR)は0.81(95%信頼区間[CI]:0.69~0.95)、p=0.009と有意にDTX群が良好であった。5年OS率はADT群37%、DTX群49%であった。・同様にDTX群対ADT群のFFSは、HR0.66(95%CI:0.57~0.76)、p<0.001と有意にDTX群が良好であった。また、5年FFS率はADT群13%、DTX群21%であった。・低腫瘍量の患者におけるOSのHRは0.76(95%CI:0.54~1.07)、p=0.107で、5年OS率はADT群57%、DTX群72%であった。また、高腫瘍量の患者におけるOSのHRは0.81(95%CI:0.64~1.02)、p=0.064で、5年OS率はADT群24%、DTX群34%であった。・全症例と低腫瘍量症例と高腫瘍量症例の間で、ドセタキセルのOSに対する効果に差異はみられなかった(p=0.827)。・その他、同様にFFS、PFS、PCSSについても、全症例と低腫瘍量症例と高腫瘍量症例の間でドセタキセルのOSに対する効果に差異はみられなかった。・薬剤投与1年未満に発現したGrade3の有害事象の発現は、ADT群21%、DTX群29%、Garde4は3%と13%、Grade5は両群ともに1%未満であった。さらに投与1年間以降に発現した有害事象は、Grade3がADT群24%、DTX群25%、Grade4は3%と2%、Grade5は1%未満と0%であった。

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卵巣がん、導入・維持療法でのveliparib投与でPFS延長/NEJM

 StageIIIまたはIVの高悪性度漿液性卵巣がんに対し、導入化学療法としてカルボプラチン+パクリタキセル+veliparibを行い、その後に維持療法としてveliparib単独療法を行うレジメンが、カルボプラチン+パクリタキセルの導入化学療法のみの場合と比べて、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが示された。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのRobert L. Coleman氏らが、北米・日本などの患者1,140例を対象に行った第III相の国際共同プラセボ対照無作為化比較試験の結果を、NEJM誌オンライン版2019年9月28日号に発表した。高悪性度漿液性卵巣がん患者の初回治療として、veliparibのようなADPリボースポリメラーゼ阻害薬を化学療法への上乗せや維持療法として使用することに関して、データは限定的であった。BRCA変異コホート、HRDコホート、ITT集団で解析  研究グループは、StageIIIまたはIVの高悪性度漿液性卵巣がんで未治療の患者において、veliparibをファーストライン導入化学療法のカルボプラチン+パクリタキセルに上乗せし、続いて単独維持療法として使用する場合の有効性を評価した。 被験者を無作為に1対1対1の3群に分け、1群にはカルボプラチン+パクリタキセル+プラセボ投与後に維持療法としてプラセボを投与(対照群)、2群にはカルボプラチン+パクリタキセル+veliparib投与後に維持療法としてプラセボを投与(veliparib導入療法併用のみ群)、3群にはカルボプラチン+パクリタキセル+veliparib投与後に維持療法としてveliparibを投与した(veliparib導入・維持使用群)。 腫瘍縮小術は、試験治療開始前または同治療3サイクル後に実施可能とした。いずれの試験治療も導入化学療法は6サイクル、維持療法は30サイクル行った。 主要エンドポイントは、対照群と比較したveliparib導入・維持使用群の試験担当者評価によるPFSだった。BRCA変異コホート、相同組み換え修復異常(HRD)コホート(BRCA変異コホートを含む)、intention-to-treat(ITT)集団について、段階的に解析を行った。PFS中央値、各コホート解析でveliparib導入・維持使用群が有意に延長 2015年7月~2017年7月に合計1,140例が無作為化を受けた(対照群375例、veliparib導入療法併用のみ群383例、veliparib導入・維持使用群382例)。BRCA変異コホートには298例(26%)が、HRDコホートには627例(55%)が包含された。 BRCA変異コホートにおいて、PFS中央値はveliparib導入・維持使用群34.7ヵ月、対照群22.0ヵ月だった(病勢進行または死亡に関するハザード比:0.44、95%信頼区間[CI]:0.28~0.68、p<0.001)。HRDコホートでは、それぞれ31.9ヵ月、20.5ヵ月だった(0.57、0.43~0.76、p<0.001)。ITT集団では、それぞれ23.5ヵ月、17.3ヵ月だった(0.68、0.56~0.83、p<0.001)。 veliparib使用群では、カルボプラチン+パクリタキセルと併用時に貧血や血小板減少症の発現頻度が高く、全体的に悪心、疲労の発現頻度が高かった。 なお著者は、「veliparib導入療法のみ併用群の有用性については明らかではなかった」と述べている。

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BRCA変異HER2-進行乳がん、veliparib追加でPFSが有意に改善(BROCADE3)/ESMO2019

 生殖細胞系列のBRCA遺伝子(gBRCA)変異のあるHER2陰性進行乳がんに対して、カルボプラチン+パクリタキセルへのPARP1/2阻害薬であるveliparibの上乗せ効果を検討した第III相BROCADE3試験の結果、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことが示された。veliparibの追加による毒性プロファイルの変化はみられなかった。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、フランス・Centre Eugene MarquisのVeronique C. Dieras氏が発表した。 gBRCA遺伝子変異のある進行乳がんを対象とした第II相試験では、カルボプラチン+パクリタキセルにveliparibを上乗せすることにより、PFS中央値および全生存期間(OS)中央値がより大きく、毒性の上乗せは軽度であることが示されていた。・対象:gBRCA1/2変異陽性のHER2陰性進行乳がん(転移に対する細胞傷害性の抗がん剤治療が2レジメン以下、プラチナ製剤は1レジメン以下、投与終了から12ヵ月以内に進行なし)・試験群:veliparib(120mg1日2回、Day -2~5)+カルボプラチン(AUC 6、Day 1)/パクリタキセル(80mg/m2、Day 1、8、15)21日ごと 337例・対照群:プラセボ+カルボプラチン/パクリタキセル 172例・評価項目: [主要評価項目]PFS [副次評価項目]OS、クリニカルベネフィット率(CBR)、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、PFS2 主な結果は以下のとおり。・主治医評価によるPFS中央値は、veliparib群14.5ヵ月(95%信頼区間[CI]:12.5~17.7)、プラセボ群12.6ヵ月(95%信頼区間:10.6~14.4)で、ハザード比は0.705(95%CI:0.566~0.877、p=0.002)と有意に改善した。3年時のPFSはveliparib群26%、プラセボ群11%だった。・独立中央委員会判定によるPFS中央値は、veliparib群19.3ヵ月(95%CI:16.5~23.3)、プラセボ群13.5ヵ月(95%CI:12.5~16.3)で、ハザード比は0.695(95%CI:0.537~0.899、p=0.005)と有意に改善した。3年時のPFSはveliparib群37%、プラセボ群20%だった。・OS中央値はveliparib群33.5ヵ月(95%CI:27.6~37.9)、プラセボ群28.2ヵ月(95%CI:24.7~35.2)で、ハザード比は0.945(95%CI:0.729~1.225、p=0.666)だった。なお、プラセボ群の44%の患者がクロスオーバーしていた。・24週時のCBRはveliparib群90.7%、プラセボ群93.2%、ORRはveliparib群75.8%、プラセボ群74.1%だった。・DOR中央値はveliparib群14.7ヵ月、プラセボ群11.0ヵ月だった。・PFS2中央値はveliparib群21.3ヵ月(95%CI:19.8~25.1)、プラセボ群17.4ヵ月(95%CI:16.0~20.0)で、ハザード比は0.760(95%CI:0.603~0.959、p=0.020)だった。・とくに注目すべき有害事象のGrade3以上の発現率は、veliparib群、プラセボ群の順に、好中球減少症が81%、84%、血小板減少症は40%、28%、貧血は42%、40%、嘔気は6%、4.1%だった。

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転移TN乳がんへのアテゾリズマブの効果、PD-L1検査法が重要(IMpassion130)/ESMO2019

 PD-L1陽性の転移を有するトリプルネガティブ乳がん(mTNBC)に対する1次治療として、nab-パクリタキセル(PTX)への抗PD-L1抗体アテゾリズマブの追加による臨床ベネフィットを示したIMpassion130試験。本試験におけるPD-L1陽性は、VENTANA PD-L1 SP142アッセイを用いて判定している。今回、本試験のサンプルを用いて、SP142アッセイのほか、VENTANA SP263 IHCアッセイ、Dako PD-L1 IHC 22C3アッセイでの分析結果と無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を評価したところ、SP142陽性の患者群において臨床ベネフィットが最大であることが示された。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、米国・UCSF Helen Diller Family Comprehensive Cancer CenterのHope S. Rugo氏が発表した。転移TNBC614例のPD-L1陽性率は、SP142陽性が46%、22C3陽性が81%、SP263陽性が75% IMpassion130は、PD-L1陽性転移mTNBCへの1次治療として、アテゾリズマブ+nab-PTXとプラセボ+nab-PTXを比較した第III相試験であり、免疫療法による臨床ベネフィットが初めて示された試験である。本試験におけるPD-L1陽性の定義は、SP142アッセイによるPD-L1免疫染色細胞が腫瘍細胞の1%以上とされ、本アッセイがアテゾリズマブ追加によるベネフィットが見込まれるmTNBC患者を決定する検査として承認されている。今回、本試験のサンプルを用いてバイオマーカーに関する探索的事後解析を実施し、SP142アッセイ、SP263アッセイ(どちらも腫瘍浸潤免疫細胞[IC]≧1%で陽性)、22C3アッセイ(複合陽性スコア[CPS] ≧1で陽性)の分析が一致するかを検討し、さらに臨床ベネフィットの予測能力について評価した。 SP142アッセイのほか、SP263アッセイ、22C3アッセイでの分析結果を評価した主な結果は以下のとおり。・PD-L1陽性mTNBC614例(ITT集団の68%)のPD-L1状態について、3種類のアッセイを使用して評価可能であった。・PD-L1陽性率は、SP142陽性が46%、22C3陽性が81%、SP263陽性が75%であった。・SP142と22C3もしくはSP263との全体的な割合の一致(overall percentage agreement)はそれぞれ64%、69%で、分析一致率は基準以下(90%未満)となり同等ではなかった。・PFSのハザード比(HR)は、SP142陽性群で0.60(95%信頼区間[CI]:0.47~0.78)、22C3陽性群で0.68(95%CI:0.56~0.82)、SP263陽性群で0.64(95%CI:0.53~0.79)、またOSでは、SP142陽性群で0.74(95%CI:0.54~1.01)、22C3陽性群で0.78(95%CI:0.62~0.99)、SP263陽性群で0.75(95%CI:0.59~0.96)であり、どちらもSP142陽性群で最も小さかった。・SP142陰性/SP263陽性群、SP142陰性/22C3陽性群では、どちらも陽性であった群に比べて、アテゾリズマブ追加によるPFSおよびOSへのベネフィットが少なかった。

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CDK4/6阻害薬trilaciclibの小細胞肺がん化学療法における骨髄保護作用/Ann Oncol

 小細胞肺がんの治療においても、化学療法の骨髄毒性は大きな問題である。trilaciclibは、化学療法中の造血幹細胞・前駆細胞(HSPC)および免疫系機能保護を目的に開発中のCDK4/6阻害薬であり、前臨床において、HSPCのG1期からの移行を一時的に制御し、化学療法のダメージから保護することで、骨髄毒性からの回復を早め抗腫瘍免疫を強化するとされる。trilaciclibの骨髄保存の利点に対する概念実証を強固に示した 未治療の進展型小細胞肺がんにおける、trilaciclibの有効性、安全性および薬物動態を検証した第I/II相試験の結果が発表された。Annals of Oncology誌2019年8月27日号掲載の報告。 同試験はPart1(非盲検、用量設定)とPart2(無作為化、二重盲検プラセボ対照)からなる。Part2では、被験者は無作為に割り付けられ、エトポシド+カルボプラチン(E/P)の各サイクル前にtrilaciclibまたはプラセボを投与された。評価項目は骨髄抑制に対するtrilaciclibの効果と抗腫瘍効果であった。 trilaciclibの有効性を検証した主な結果は以下の通り。・122例の患者が登録された(Part1に19例、Part2に75例)。・trilaciclib群では好中球数、赤血球数、リンパ球の改善が確認された。・Grade3以上の有害事象(AE)はtrilaciclib+E/P群50%、プラセボ+E/P群83.8%とtrilaciclib群で良好であった。その結果は主に血液毒性の減少によるものであった。・trilaciclibに関連するGrade3以上のAEは発生しなかった。・全奏効率はtrilaciclib+E/P群 66.7%、プラセボ+E/P群56.8%であった(p=0.3831)。・無増悪生存期間PFS中央値はtrilaciclib+E/P群 6.2ヵ月、プラセボ+E/P群5.0ヵ月であった(HR:0.71、p=0.1695)。・全生存期間中央値はtrilaciclib+E/P群 10.9ヵ月、プラセボ+E/P群10.6ヵ月であった(HR:0.87、p=0.6107)。 筆者は「この試験の結果はtrilaciclibの骨髄保存の利点に対する概念実証を強固に示した」と結論付けた。

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アテゾリズマブがTNBCに適応拡大、免疫CP阻害薬で初/中外製薬

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長CEO:小坂 達朗)は2019年9月20日、PD-L1陽性トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対する免疫チェックポイント阻害薬として国内で初めて、抗PD-L1モノクローナル抗体アテゾリズマブ(商品名:テセントリク)が適応拡大されたことを発表した。PD-L1発現状況の確認は、2019年8月20日にコンパニオン診断薬として適応拡大の承認を取得した、病理検査用キットベンタナOptiView PD-L1(SP142)によって行う。 今回の適応拡大は、第III相IMpassion130試験の成績に基づく。IMpassion130試験は、全身薬物療法を受けていない切除不能な局所進行または転移のあるTNBC患者を対象に、アテゾリズマブ併用群(アテゾリズマブ+nab-パクリタキセル)とnab-パクリタキセル単独群(プラセボ+nab-パクリタキセル)を比較した多施設共同無作為化プラセボ対照の二重盲検国際共同臨床試験。 併用群では、ITT(Intent to treat)解析集団およびPD-L1陽性集団において、単独群と比較して主要評価項目であるPFS(無増悪生存期間)の延長を示した(ITT集団のPFS中央値:7.2ヵ月 vs.5.5ヵ月、ハザード比[HR]:0.80、95%信頼区間[CI]:0.69~0.92、p=0.0025/PD-L1陽性集団のPFS中央値:7.5ヵ月 vs.5.0ヵ月、HR:0.62、95%CI:0.49~0.78、p<0.0001)。もう1つの主要評価項目であるOS(全生存期間)については、第2回中間解析時点では、ITT解析集団におけるOS延長について、統計学的な有意差は認められなかった(OS中央値:21.0ヵ月 vs.18.7ヵ月、HR:0.86、95%CI:0.72~1.02、p=0.078)。一方、PD-L1陽性患者において、臨床的に意義のあるOSの延長が認められたものの、階層構造に基づいて統計解析を行う試験デザインであることから、今回の PD-L1陽性患者におけるOSの解析は検証的な位置づけではない(OS中央値:25.0ヵ月 vs.18.0ヵ月、HR:0.71、95%CI:0.54~0.93)。フォローアップは次回の計画されている解析まで継続される。 併用療法による安全性プロファイルは、これまで各薬剤で認められている安全性プロファイルと一致しており、本併用療法で新たな安全性のシグナルは確認されなかった。なお、同試験におけるアテゾリズマブの用法・用量が840mgの2週間間隔での投与であるため、至適用量製剤として開発が行われ、9月20日付けで840mg製剤の剤形追加についても承認された。 また、中外製薬株式会社は同日、HER2陽性乳がん患者に対するペルツズマブ(商品名:パージェタ)とトラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)の配合皮下注製剤が、両剤の静注製剤に対して非劣性を示したことを発表。配合皮下注製剤の投与には、初回は約8分、2回目以降は約5分を要する。これに対して、両剤の静注製剤を併用投与する場合、初回は約150分、2回目以降は60~150分を要する。本結果は第III相FeDeriCa試験によるもので、詳細は今後開催される医学会で発表される予定。

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デュルバルマブ+化学療法、小細胞肺がん1次治療の生存を延長(CASPIAN)/WCLC2019

 2019年9月9日、化学療法への抗PD-L1抗体デュルバルマブの追加が、進展型小細胞肺がん患者の全生存期間(OS)を有意に延長したことが第20回世界肺癌会議(WCLC2019)で、スペインのLuis Paz-Ares氏により発表された。 デュルバルマブの多施設国際研究CASPIAN試験では、未治療の進展型小細胞肺がん患者537例が、デュルバルマブ+化学療法(エトポシドおよびシスプラチンまたはカルボプラチン、以下EP)、デュルバルマブ+トレメリムマブ+EP、対照群であるEP単独に無作為に割り付けられた。 WCLC2019で発表されたデータは、デュルバルマブ群とEP単独群を比較したもの。 Paz-Ares氏のチームは、デュルバルマブ群のOS中央値が、13.0ヵ月とEP単独群の10.3ヵ月と比較して統計学的に有意な延長を示したと発表した。また、18ヵ月時点の対照群の生存患者は24.7%であったのに対し、デュルバルマブ群では33.9%が生存していた。

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