CDK4/6阻害薬trilaciclibの小細胞肺がん化学療法における骨髄保護作用/Ann Oncol

提供元:ケアネット

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公開日:2019/09/27

 

 小細胞肺がんの治療においても、化学療法の骨髄毒性は大きな問題である。trilaciclibは、化学療法中の造血幹細胞・前駆細胞(HSPC)および免疫系機能保護を目的に開発中のCDK4/6阻害薬であり、前臨床において、HSPCのG1期からの移行を一時的に制御し、化学療法のダメージから保護することで、骨髄毒性からの回復を早め抗腫瘍免疫を強化するとされる。

trilaciclibの骨髄保存の利点に対する概念実証を強固に示した

 未治療の進展型小細胞肺がんにおける、trilaciclibの有効性、安全性および薬物動態を検証した第I/II相試験の結果が発表された。Annals of Oncology誌2019年8月27日号掲載の報告。

 同試験はPart1(非盲検、用量設定)とPart2(無作為化、二重盲検プラセボ対照)からなる。Part2では、被験者は無作為に割り付けられ、エトポシド+カルボプラチン(E/P)の各サイクル前にtrilaciclibまたはプラセボを投与された。評価項目は骨髄抑制に対するtrilaciclibの効果と抗腫瘍効果であった。

 trilaciclibの有効性を検証した主な結果は以下の通り。

・122例の患者が登録された(Part1に19例、Part2に75例)。
・trilaciclib群では好中球数、赤血球数、リンパ球の改善が確認された。
・Grade3以上の有害事象(AE)はtrilaciclib+E/P群50%、プラセボ+E/P群83.8%とtrilaciclib群で良好であった。その結果は主に血液毒性の減少によるものであった。
・trilaciclibに関連するGrade3以上のAEは発生しなかった。
・全奏効率はtrilaciclib+E/P群 66.7%、プラセボ+E/P群56.8%であった(p=0.3831)。
・無増悪生存期間PFS中央値はtrilaciclib+E/P群 6.2ヵ月、プラセボ+E/P群5.0ヵ月であった(HR:0.71、p=0.1695)。
・全生存期間中央値はtrilaciclib+E/P群 10.9ヵ月、プラセボ+E/P群10.6ヵ月であった(HR:0.87、p=0.6107)。

 筆者は「この試験の結果はtrilaciclibの骨髄保存の利点に対する概念実証を強固に示した」と結論付けた。

(ケアネット 細田 雅之)