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ASCO- GI 2021 会員レポート

レポーター紹介2021年1月15日~17日にかけてASCO-GI2021が行われた。例年、サンフランシスコで行われているシンポジウムであったが、今年は新型コロナウイルスの影響でvirtual開催となった。総論的にはPractice changingな発表はなかったものの、ASCO2020やESMO2020で発表された重要データのfollow upがなされ、evidenceがさらに補強されたように感じた。食道がん2020年は食道がんにとってpractice changingなデータが発表された年であった。1つはStage II/IIIに対する術前治療としてのCisplatin+5-FU (CF)+radiation、その後のadjuvantとしてのnivolumabの有効性を証明したCheckMate-577試験である。ASCO-GI 2021 においては、nivolumabによるadjuvantがQoLの低下を招かないことが示された(abstract#167)。Stage II/III食道がんに対する術前治療として欧米ではCF+radiationによる術前化学放射線治療が標準的であるのに対し、本邦においてはCFが標準治療である。しかし奏効率は40%と術前補助化学療法としては物足りない数字であり、すでに先鋭的な施設ではdocetaxelを加えた3剤療法であるDCFを、いわばcommunity standardとして用いている現状がある。Stage II/III食道がんに対する術前治療として果たしてDCFはCFよりも優れた治療なのか、またCF+radiationはどうなのか?という食道がんを診ている医療関係者が持つclinical questionに結論を出すべく行われてきたのが「JCOG 1109(NExT)試験」である。主要評価項目の解析は2023年に予定されているが、今回のASCO-GIでは安全性部分だけが先んじて報告された(abstract#162)。2012年12月~2018年7月に、601例が無作為化された(CF/DCF/CF-RT;199/202/200)。対象患者589例のうち、546例が手術を受けた(185/183/178)。CF-RTを受けた患者のリンパ節摘出数の中央値は、CFを受けた患者よりも有意に低く(49 vs.58、 p<0.0001)、DCFを受けた患者におけるgrade2の周術期合併症の発生率は、CFを受けた患者よりも低いという結果であった(44.8% vs.56.2%、p=0.036)。DCFおよびCF-RTを受けた患者の再手術および院内死亡の発生率はCFを受けた患者と差がなかったものの、CF-RTを受けた患者におけるグレード2の乳糜胸の発生率は、CFを受けた患者よりも高いという結果であった(5.1% vs.1.1%、p=0.032)。上述のようにstage II/III食道がんに対する術前治療として、本邦でstandardと言い切れないCF-RTを行ってnivolumabを投与するCheckMate-577をただちに日常診療に外挿すべきか、はたまたDCFを使用して良いものか、大変に混沌とした状況であり、JCOG1109試験で決着がつくことを期待したい。昨年発表されたもう一つの最重要な試験として、切除不能進行再発食道がんの1次治療としてFPに対するpembrolizumabの上乗せ効果を証明したKEYNOTE-590試験がある。今回のASCO-GIでCF+pembrolizumab群がCF群と比較して差がなかったというQoLデータが報告された(abstract#168)が、前述のabstract#167同様にpembrolizumabによる治療効果や毒性はQoLの違いには反映されなかったという結果であった。本邦における1日も早い1st lineでの承認が待たれる。現在2次治療として使用可能なnivolumabについてはATTRACTION-03試験(abstract#204)や前相試験であるATTRACTION-01試験(abstract#207)のそれぞれ3年、5年のfollow up dataが報告され、過去に報告された胃がん同様に奏効例で長期生存が得られることが示された。またATTRACTION-01試験における5年の無増悪生存割合が6.8%という驚くべき数字が報告され、いわゆるtail plateauが実証された形となった。このラインに対する注目される新たな治療開発としては2次治療におけるcamrelizumab(抗PD-1抗体)/apatinib(VEGFR-2を含むmulti kinase inhibitor)phase II試験を取り上げたい(abstract#215)。1次治療に不応となった食道扁平上皮がん46例に対して主要評価項目をORRとして治験治療が行われた。評価対象となった30例のORRは43.3%、median PFSは 4.07ヵ月(95%CI、3.75-NA)、3、6、9ヵ月時点での生存割合は82.2%、67.6%、61.5%であった。ICI+αが現在のトレンドであるが、1st lineからICIが使用可能な状況となる今後の開発の行方に注目が集まる。胃がん今年のASCO-GIの目玉の一つが、FGFR2bに対する抗体であるbemarituzumabの有効性を探索したphaseII試験(FIGHT)である(abstract#160)。学会前にすでにpositive resultとのプレスリリースがなされておりその結果に注目が集まっていた。FIGHT試験では、FGFR2b陽性の切除不能な局所進行性転移性胃もしくは胃食道接合部がん155例を、bemarituzumab+mFOLFOX6とplacebo+mFOLFOX6に無作為に割り付けた。主要評価項目はPFSであった。結果、bemarituzumab群はplacebo群と比較して、PFSを有意に延長することが示された(9.5ヵ月[ 95%CI:7.3~12.9] vs.7.4ヵ月[95% CI:5.8~8.4]、HR:0.68[95% CI:0.44~1.04、p=0.0727])。副次的評価項目であるORRは47% vs.37%であった。またOSについてはNR (95% CI:13.8~NR)vs. 12.9ヵ月(95% CI:9.1~15.0)であり、 p=0.0268、HR0.58 (95%CI:0.35-0.95)とbemarituzumab群で統計学的に有意に良好であったことは、過去の胃がんのphaseII試験を振り返ってみても特筆すべきである。またFGFR2bの免疫染色での強さ(IHC intensity)とbemarituzumabの治療効果が相関することも示された。注意すべき有害事象としては角膜障害と胃炎が報告された。以上のように期待の持てる結果であるが、ICIが1st lineの標準治療となる今後の開発をどうするか。さらには胃がんにおいてphaseIIで有望であった薬剤の多くがphaseIIIで成功できなかった過去がある。FGFR2bによる患者選択のassayとしてIHCが良さそうに見える結果ではあるが個人的には同じくligandを有する受容体型チロシンキナーゼであるMETに対する開発を思い出してしまう。今後の動向に注目したい。胃がんにとっても2020年は重要なデータ報告が相次いだ1年であった。特に1st lineからのICI使用を決定づけるCheckMate-648試験の結果は重要であり、胃がんに対するICI治療開発は多剤との併用にて加熱していくであろう。こういう状況下、nivolumab単剤での大規模なバイオマーカー探索を行ったJACCRO GC-08(DELIVER)試験の価値は日に日に大きくなっている。今回、本試験の目玉であるmicrobiomeに関するデータの一部が公表された(abstract#161)。training cohortおよびvalidation cohortにでは、それぞれ200例中188例、301例中257例で大規模なメタゲノム解析および臨床データが利用可能であった。nivolumab治療を行いnon-PDであった症例ではPDであった症例と比較して、より多様なmicrobiomeが観察された。今回の解析ではKEGG pathwayにて上皮細胞の細菌浸潤がnivolumabの臨床転帰(初回評価でのPD)と関連していることが示され(training cohort[p=0.057]、validation cohort[p=0.014])、探索的解析により、両コホートにおいて、OdoribacterおよびVeillonellaがNivoに対する腫瘍反応と関連していることが示された。本試験では血液検体の採取も行われており、胃がんに対するnivolumabのバイオマーカーが今後の解析でより詳細に解明されることが期待される。ICIの開発は化学療法との併用から、分子標的薬や他のICI製剤などへの併用へと興味が移っている。LEAP005試験はpembrolizumabとmulti-tyrosine kinase inhibitorであるlenvatinibとの併用を複数のがん種コホートで検討したphase II試験である。胃がんコホートでは少なくとも2種類の前治療歴を有する症例が適格であった。ORRを主要評価項目としてlenvatinib 20mg 1日1回投与とpembrolizumab 200mg Q3W投与を、最大35サイクル(約2年間)投与するスケジュールで行われた。31例が登録され1例のCRを含む奏効例は3例でありORRは10%(95%CI:2~26)でDCRは48%(95%CI:30~67)であった。PFS中央値は2.5ヵ月(95%CI:1.8~4.2)。OS中央値は5.9ヵ月(95%CI:2.6~8.7)であった。28例(90%)に治療関連AEが発生し、そのうち13例(42%)にグレード3~5のAEが発生した。このpembrolizumab-lenvatinibの併用はLEAP試験として胃がんを含めさまざまながん種で展開されていく予定である。今年のASCO-GI2021で最も個人的に物議を醸しているのがstage III胃がんに対する術後補助化学療法としてのdocetaxel+S-1(DS) vs.S-1を検証したJACCRO-GC07試験のupdate報告である(abstract#159)。本試験は中間解析にてdocetaxel+S-1がS-1に対する優越性が証明できたため有効中止となっていた(Yoshida K et al. J Clin Oncol. 2019;37:1296-1304.)。その結果、DSはstage III胃がんに対する標準治療と位置付けられている。今回は試験計画通り最終登録後3年経過した時点でのRFS(relapse free survival)の解析を行ったものである。Stage III全体での解析では3年RFSにおいてDS群の67.7%がS-1群の57.4%を有意に上回った(HR:0.715、95%CI:0.587~0.871、p=0.0008)。3y年OSにおいてもDS群が77.7%、S-1群が71.2%(HR:0.742、95%CI:0.596~0.925、p=0.0076)であった。興味深いのはここからである。Stage IIIA, IIIB, IIICの3年RFSでサブグループ解析を行ったところ、Stage IIIAおよびIIICは全体集団を反映し有意にDSが勝る結果であり無再発生存曲線も一貫して開いていたが、Stage IIIBではDS群とS-1群では3年時点のRFSでこそわずかにDSが高く見えるが(66.14% vs. 61.61%)、見た目の生存曲線がほぼ重なるという現象がみられ(HR:0.881、95%CI:0.629~1.234、p=0.46)、さらにOSでは逆転したかのように見える (3年RFS:73.09% vs.77.23%、HR:0.988、95%CI:0.68~1.434、p=0.95)。サブグループ解析であり、これがDSの優越性を否定するものではないが、現時点でこの現象に対する合理的な説明はなされておらず、さらなる研究が必要である。大腸がん抗VEGF抗体や抗EGFR抗体の登場により、飛躍的に生存期間が延長した大腸がんであるが、これら薬剤の登場から10年が経過し、大きく治療体系が変わるほどの治療法の登場はないものの後方ラインの充実によって少しずつ生存期間を伸ばしてきた。こうした中、2020年大腸がんで発表されたpractice changingなデータといえばKEYNOTE-177であろう(Andre T, et al. N Engl J Med. 2020;383:2207-2218.)。未治療のMSI-H大腸がんに対するpembrolizumabが標準的な化学療法よりも有意にPFSを延長しQoLを維持することが報告され、本邦でも承認を待っている状況である。今年のASCOでは追加解析としてPFS2(無作為化から次の治療ラインでの進行または死因のいずれかに該当するまでの時間)のデータが報告された(abstract#6)。32.4ヵ月(24.0~48.3ヵ月)の追跡期間にてPFS2はpembrolizumabのほうが長い傾向にあることが示された(中央値未到達 vs.23.5ヵ月[HR 0.63;95%CI:0.45~0.88])。本試験は化学療法群のIIT症例のうち59%が後治療としてICIを受けている(crossover)が、ICIを1st lineで使用することの意義が改めて示された。MSI-Hに対するICI治療として注目されるのが、nivolumabと抗CTLA-4抗体ipilimumabの併用療法である。非ランダム化マルチコホートphaseII試験であるCheckMate142の1st line cohortにおいて、nivolumab(3mg/kg)Q2W+low dose ipilimumab(1mg/kg)Q6Wというスケジュールでの高い治療効果(ORR 69%、24ヵ月PFS 74%、24ヵ月OS 79%)が報告されてきた。今回そのupdateとしてさまざまなサブグループでの治療成績が報告された(abstract#58)。KEYNOTE-177試験のサブグループ解析においてpembrolizumabはKRAS mutation、PS-1を苦手とする結果であったが、nivolumab+low dose ipilimumabではそのような傾向は見られなかった。どういった対象で最もこの併用療法のbenefitがあるのかが明らかになれば、今後のICI単剤もしくは併用の使い分けにおいて重要である。胃がんの項でも触れたLEAP005試験の大腸がんコホートのデータも報告された(abstract#94)。2次治療に不応となったMSS大腸がん32例がpembrolizumab-lenvatinibによる治療を受けた(年齢中央値56歳[範囲36~77歳]、男性81%、3L 91%)。初回投与からデータカットオフ(2020年4月10日)までの追跡中央値は10.6ヵ月(範囲5.9~13.1)。主要評価項目であるORRは22%(95%CI:9~40)、DCRは47%(95%CI:29~65)であった。中央値で見るとPFS、OSは2.3ヵ月(95%CI:2.0~5.2)、7.5ヵ月(95%CI:3.9~NR)であったがDuration of responseは中央値未到達であり、いったん奏効すればその効果は長期持続する傾向がうかがえた。これまであまり有望なICI治療がなかったMSS大腸がんであるが、すでにICIが承認されているLEAP005胃がんコホートと比較しても期待の持てるデータに思えた。以上、数ある今年の発表の中から、小生の独断と偏見で選んだ注目演題をレポートした。2020年ASCOやESMOでも感じたが、virtual meetingは日本にいながらにしてon timeで情報が得られるメリットがある一方で、日常診療と並行して参加しなければならないというデメリットがある。こうしたvirtual meetingがnew normalなのかもしれないが、旧人類的な小生は従来のように海外に長期出張して参加するという、日常とは空間的、時間的に隔離された条件で新しい情報に没頭するという環境を懐かしく思うし、そもそも学会とはそういうものであるべきだと考えている。ワクチン摂取によって集団免疫が獲得され、コロナが収束し、皆さんとrealにお会いして自由にdiscussionできるようになる日が1日でも早く来ることを願ってやまない。それまで元気でいましょうね!

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悪性胸膜中皮腫の1次治療、ニボルマブ+イピリムマブがOS改善/Lancet

 未治療の切除不能な悪性胸膜中皮腫(MPM)の治療において、ニボルマブ+イピリムマブ療法は標準的化学療法と比較して、全生存(OS)期間を4ヵ月延長し、安全性プロファイルは同程度であることが、オランダ・ライデン大学医療センターのPaul Baas氏らが行った「CheckMate 743試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2021年1月30日号で報告された。MPMの承認済みの全身化学療法レジメンは、生存に関する有益性は中等度であり、転帰は不良だという。ニボルマブ+イピリムマブ療法は、非小細胞肺がんの1次治療を含む他の腫瘍で臨床的有益性が示されている。日本を含む21ヵ国103施設が参加する無作為化第III相試験 本研究は、ニボルマブ+イピリムマブ療法はMPMのOSを改善するとの仮説の検証を目的とする非盲検無作為化第III相試験であり、2016年11月~2018年4月の期間に、日本を含む21ヵ国103施設で患者登録が実施された(Bristol Myers Squibbの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、未治療の組織学的に確定された切除不能MPMで、全身状態(ECOG PS)が0/1の患者であった。 被験者は、ニボルマブ(3mg/kg、2週ごと、静脈内投与)+イピリムマブ(1mg/kg、6週ごと、静脈内投与)を投与する群(最長2年間)、またはプラチナ製剤(シスプラチン[75mg/m2、静脈内投与]またはカルボプラチン[AUC=5mg/mL/分、静脈内投与])+ペメトレキセド(500mg/m2、静脈内投与)を3週ごとに投与する群(最大6サイクル)(化学療法群)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目はOS期間(無作為化から全死因死亡の日まで)とした。副次評価項目は、無増悪生存(PFS)期間、客観的奏効率、奏効期間などであった。安全性の評価は、少なくとも1回の投与を受けた全患者で行った。PFS期間、客観的奏効率は同程度 605例が登録され、ニボルマブ+イピリムマブ群に303例、化学療法群には302例が割り付けられた。全体の年齢中央値は69歳(IQR:64~75)、467例(77%)が男性であった。また、456例(75%)が上皮型MPMだった。 事前に規定された中間解析(データベースロック日:2020年4月3日、フォローアップ期間中央値:29.7ヵ月[IQR:26.7~32.9])では、OS期間中央値は、ニボルマブ+イピリムマブ群が18.1ヵ月(95%信頼区間[CI]:16.8~21.4)と、化学療法群の14.1ヵ月(12.4~16.2)と比較して有意に延長した(ハザード比[HR]:0.74、96.6%CI:0.60~0.91、p=0.0020)。また、1年OS率は、ニボルマブ+イピリムマブ群が68%(95%CI:62.3~72.8)、化学療法群は58%(51.7~63.2)であり、2年OS率はそれぞれ41%(35.1~46.5)および27%(21.9~32.4)だった。 シスプラチン(13.7ヵ月)とカルボプラチン(15.0ヵ月)で、OS期間中央値に差はみられなかった。また、OS期間のHR(化学療法群との比較)は、非上皮型(0.46、95%CI:0.31~0.68)が上皮型(0.86、0.69~1.08)よりも良好であったが、OS期間中央値(非上皮型18.1ヵ月vs.上皮型18.7ヵ月)には組織型の違いによる差はなかった。 PFS期間中央値は両群でほぼ同等であった(ニボルマブ+イピリムマブ群6.8ヵ月、化学療法群7.2ヵ月、HR:1.00、95%CI:0.82~1.21)が、2年PFS率はニボルマブ+イピリムマブ群で高かった(16% vs.7%)。 客観的奏効率は、ニボルマブ+イピリムマブ群が40%、化学療法群は43%であり、ニボルマブ+イピリムマブ群で完全奏効(CR)が5例(2%)に認められた。病勢コントロール率(CR+部分奏効[PR]+安定[SD])は、ニボルマブ+イピリムマブ群が77%、化学療法群は85%で、奏効までの期間中央値はそれぞれ2.7ヵ月および2.5ヵ月であった。また、奏効期間中央値は、それぞれ11.0ヵ月および6.7ヵ月だった。 Grade3/4の有害事象は、ニボルマブ+イピリムマブ群が30%(91/300例)、化学療法群は32%(91/284例)で報告された。治療関連死は、ニボルマブ+イピリムマブ群が3例(1%、肺臓炎、脳炎、心不全)、化学療法群は1例(<1%、骨髄抑制)で発現した。 著者は、「これらの知見は、未治療の切除不能MPMの治療における、画期的医薬品(first-in-class)とされるニボルマブ+イピリムマブ療法の使用を支持するものである」としている。これらの結果に基づき、このレジメンは2020年10月、米国食品医薬品局(FDA)により承認された。

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バーチャル開催のJSMO2021、注目演題を発表/日本臨床腫瘍学会

 2021年2月18日(木)~21日(日)、第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2021)が完全バーチャル形式で開催される。これに先立ち、プレスセミナーが開催され、今回のJSMO2021の取り組みや注目演題等が発表された。JSMO2021のテーマは「Evolving Treatment Paradigms for Precision Oncology」 この中で、会長を務める西尾 和人氏(近畿大学医学部ゲノム生物学教室 教授)が学会の概要を説明。昨年夏にいち早く完全バーチャル形式での開催を決めたJSMO2021は、例年より長めの日程となり、海外演者も数多く登壇予定だ。「朝は7時から夜は23時まで多くの演題を用意し、勤務のある方でも参加しやすくした」(西尾氏)。 JSMO2021のテーマは「Evolving Treatment Paradigms for Precision Oncology」で、2019年にがん遺伝子パネル検査が保険収載となってから1年半あまりで、がんの臨床現場を大きく変えたゲノム医療についてリアルワールドデータやアジア各国のとの協働研究の結果が報告される。また、15の学術部会による教育シンポジウムや患者支援企画、国際学会としてASCO(米国腫瘍学会)やESMO(欧州腫瘍学会)とのジョイントセミナーや少人数で各国の腫瘍内科医とディスカッションする「Meet the Experts」も多数設けられた。その他の注力テーマとしては「COVID-19流行下におけるがん診療」と、リキッドバイオプシーや人工知能(AI)の臨床応用といった「新しいテクノロジーにおけるがん医療の変革」が設定され、いずれも複数のセッションが予定されている。 続けて、中川 和彦氏(近畿大学医学部内科学教室 教授)が、JSMO2021における900題にのぼる一般演題の中で、とくに注目される3つのPresidential Sessionについて、詳細を解説した。Presidential Session 12月19日(金) 14:00~15:55 「免疫チェックポイント阻害剤の治療開発」1)進行食道がんに対するペムブロリズマブ+化学療法 KEYNOTE-590:原 浩樹氏(埼玉県立がんセンター)2)MSI-high/dMMR の転移のある大腸がんに対するペムブロリズマブvs.化学療法KEYNOTE-177:吉野 孝之氏(国立がん研究センター東病院)3)進行非扁平上皮非小細胞肺がんに対するニボルマブ+プラチナ化学療法+ベバシズマブ 日本人サブ解析:樋田 豊明氏(愛知県がんセンター)4)肺肉腫に対する2つの抗PD-1抗体(ニボルマブとペムブロリズマブ):板橋 耕太氏(国立がん研究センター中央病院)5)R/R AML患者におけるAMG330:Farhad Ravandi氏(米MDアンダーソンがんセンター)Presidential Session 22月20日(土) 15:30~15:35 「分子標的治療と殺細胞性抗がん剤治療」1)術後ハイリスク頭頸部がんに対する化学療法 :田原 信氏(国立がん研究センター東病院)2)EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんに対するベバシズマブ+エルロチニブ OSとctDNA解析:福原 達朗氏(宮城県立がんセンター)3)HER2陽性進行乳がんへのペルツズマブ再投与:遠山 竜也氏(名古屋市立大学)4)再発または転移のある子宮頸がんに対するtisotumab:Robert L. Coleman氏(米国立がん研究所)5)進行大腸がんにおけるAMG510:久保木 恭利氏(国立がん研究センター東病院)Presidential Session 32月21日(日) 14:50~16:50 「ゲノム医療と希少がん」1)進行胃がんにおけるctDNAによる遺伝子異常 SCRUM-Japan MONSTAR SCREEN:舛石 俊樹氏(愛知県がんセンター)2)泌尿生殖器がんにおけるctDNAによるゲノム解析:野々村 祝夫氏(大阪大学)3)日本におけるがんゲノム医療における初期エキスパートパネルのパフォーマンス:角南 久仁子氏(国立がん研究センター中央病院)4)原発不明がんに対するNGSを用いた遺伝子発現解析と遺伝子変異による原発巣推定に基づくSite-Specific Treatment:新井 誠人氏(千葉大学)5)小児がん患者における抗悪性腫瘍剤投与に伴う悪心・嘔吐予防としてのパロノセトロン:古賀 友紀氏(九州大学) 19~21日には、その日に発表された演題の中から、とくに注目すべきものを識者が解説する「Highlight of the Day」(1時間)も予定されている。◆第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2021)ライブ配信:2021年2月18日(木)~21日(日)オンデマンド配信:2021年3月1日(月)~31日(水)

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非小細胞肺がん、ニボルマブ+イピリムマブ+2サイクル化学療法の1次治療の成績(CheckMate 9LA)/Lancet Oncol

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療において、ニボルマブとイピリムマブにさらに2サイクル限定の化学療法を追加することで臨床的利益がさらに高まることが先の国際学会で示されているが、その第III相試験CheckMate 9LA試験の結果が、Lancet Oncology誌に掲載された。 同試験は19ヵ国103施設で実施された。適格患者は18歳以上の未治療のStageIVまたは再発のNSCLC、ECOG PSは0〜1であった。患者はニボルマブ(360mg 3週間ごと)+イピリムマブ(1mg/kg 6週間ごと)+組織型別化学療法2サイクル(3週ごと2サイクル)群(以下、NIVO+IPI+Chemo群)と組織型別化学療法(3週ごと4サイクル)群(以下、Chemo群)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、全無作為割付患者の全生存期間(OS)であった。 主な結果は以下の通り。・2017年8月24日~2019年1月30日に、1,150例の患者が登録され、361例がNIVO+IPI+Chemo群、358例がChemo群に割り付けられた。・事前に計画された中間分析(追跡期間中央値9.7ヵ月)におけるOS中央値は、NIVO+IPI+Chemo群14.1ヵ月に対しChemo群10.7ヵ月と、NIVO+IPI+Chemo群で有意に長かった(HR:0.69、96.71%CI:0.55~0.87、p=0.00065)。・さらに3.5ヵ月長い追跡期間中央値13.2ヵ月におけるOS中央値は、15.6ヵ月対10.9ヵ月であった(HR:0.66 、95%CI:0.55~0.80)。・頻度の高いGrade3〜4の治療関連有害事象は、好中球減少症(NIVO+IPI+Chemo群7%対Chemo群9%)、貧血(6%対14%)、下痢(4%対1%)、リパーゼ上昇(6%対1%)などであった。・全Gradeの重篤な治療関連有害事象は、NIVO+IPI+Chemo群で30%、Chemoで群18%で発現し、治療関連死はNIVO+IPI+Chemo群で2%、Chemo群で2%であった。

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サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2020)レポート

レポーター紹介2020年12月8日から12月11日まで4日間にわたり、SABCS 2020がVirtual Meetingとして行われた。最近のSABCSは非常に重要な演題が多く、今回もプラクティスを変えるものもあれば、議論が深まるものも多かった。リバーウォークでステーキを食べながら議論はできなかったが、その分オンデマンド配信を繰り返し見て、何度も発表の内容を確認することが出来た。また、例年よりも多くのSpotlight Poster Discussionが設定されていたように思う。今回は、それらの演題の中から3演題を紹介する。RxPONDER試験2018年にTAILORx試験の結果が発表されて以降、ホルモン受容体陽性HER2陰性乳がんでリンパ節転移陰性の場合はOncotypeDXの再発スコア(recurrence score:RS)が25以下であれば原則として化学療法となった。一方、リンパ節転移陽性の場合のRSが低〜中間リスク(25以下)の場合の化学療法の上乗せ効果については閉経後女性に対する限られたデータのみしかなかった。RxPONDER試験は、ホルモン受容体陽性HER2陰性乳がんでリンパ節転移が1〜3個の症例を対象として、RSが25以下の場合に化学療法を実施する群と内分泌療法単独群とで化学療法の上乗せ効果を検証した試験である。統計学的にはやや複雑な手法が取られており、まずRSと化学療法の間に無浸潤疾患生存率(invasive disease free survival:IDFS)において連続的な相関関係があるかどうかを検証している。RSと化学療法の間に相関関係が示された場合は、RS 0~25の症例においてRSが化学療法の有効性を示す指標として結論付けられるとされた。相関関係が示されなかった場合はRSと化学療法がそれぞれ独立したIDFSの予後予測因子となるかを検証している。2011年2月から2017年9月の間に9,383例がスクリーニングされ、最終的に内分泌療法単独群に2,536例、化学療法群に2,547例が割り付けられた。両群の患者背景はほぼ均等であり、RS 0~13が40%強、RS 14~25が60%弱であった。リンパ節転移は1個が65%前後、2個が25%前後、3個は10%弱であった。化学療法とRSの相関関係については証明されなかった。続いて化学療法とRSはそれぞれがIDFSの予測因子であること(化学療法を実施したほうがハザード比[HR]が低く、RSが高いほうがHRが高い)ことが示された。全体集団の解析での5年IDFSは化学療法群で92.4%、内分泌療法群で91.0%(HR:0.81、95%CI:0.67~0.98、p=0.026)であり、化学療法群で有意に良好であった。引き続いて閉経状態での解析が実施された。閉経後では5年IDFSは化学療法群で91.6%、内分泌療法群で91.9%(HR:0.97、95%CI:0.78~1.22、p=0.82)と両群間に差を認めなかったが、閉経前では化学療法群で94.2%、内分泌療法群で89.0%(HR:0.54、95%CI :0.38~0.76、p=0.0004)であり、化学療法群で有意に良好であった。RS 13までと14以上に更にサブグループに分けた解析も実施され、閉経後ではRSにかかわらず化学療法のメリットはなく、一方閉経前ではRSにかかわらず(RS 13までのほうが絶対リスク減少は減るものの)化学療法のメリットが認められた。リンパ節転移の個数による解析も同様であった。全生存(OS)においても閉経後は両群間に差を認めなかったが、閉経前では5年OSは化学療法群で98.6%、内分泌療法群で97.3%(HR:0.47、95%CI:0.24~0.94、p=0.032)であった。閉経前ではリンパ節転移陽性の場合は化学療法がOSに寄与することが示されたと言えよう。RxPONDER試験は今回のSABCSの演題の中で日常臨床に最もインパクトを与える試験であったと言える。PENELOPE-B試験前回の欧州臨床腫瘍学会(ESMO)年次総会では2つのCDK4/6阻害剤の術後治療への上乗せに関する試験が発表された。アベマシクリブを上乗せするMonarchE試験と、パルボシクリブを上乗せするPALAS試験である。MonarchE試験はpositive、PALAS試験はnegativeとなり、明暗を分けた。そんなわけで、パルボシクリブをレスポンスガイドで用いるPENELOPE-B試験も非常に注目された。PENELOPE-B試験はホルモン受容体陽性HER2陰性乳がんに対し術前化学療法を実施した後に病理学的完全奏効(pCR)が得られなかった症例(non-pCR)を対象として、CPS-EGスコアというnon-pCRの予後を予測するスコア(J Clin Oncol.2011 May 20;29:1956-1962, Eur J Cancer. 2016 Jan;53:65-74.)が3以上のハイリスク、もしくは2で術後にリンパ節転移が陽性であるという、本試験でのハイリスク症例を対象として、術後に標準的内分泌療法に加えパルボシクリブ(125mg/日、day1~21内服、28日間隔)もしくはプラセボを同スケジュールで13コース内服し、IDFSにおいてパルボシクリブ群で良好であることを検証する優越性試験である。両群間の患者背景に大きな差はなかった。追跡期間の中央値が42.8ヵ月のデータが発表され、2年IDFSではパルボシクリブ群で88.3%に対してプラセボ群で84.0%とパルボシクリブ群で良好な傾向を認めたものの、3年IDFSでは81.2% vs. 77.7%、4年IDFSでは73% vs. 72.4%と両群間の差は認められなかった(HR:0.93、95%CI:0.74~1.17、p=0.525)。様々なサブグループ解析も実施されたが、パルボシクリブの上乗せ効果が認められた群はなかった。OSの中間解析結果も発表され、4年IDFSで90.4% vs. 87.3% (HR:0.87、95%CI:0.61~1.22、p=0.420)と両群間の差は認めなかった。PALAS試験では内服に関する規定が非常に厳しく、完遂率が32%と非常に低かったことがnegativeとなった理由ではないかと考察されていたが、PENELOPE-Bでは完遂率は80%であり必ずしも内服のアドヒアランスで結果が左右されたとは言えなさそうである。non-pCRに対して術後に化学療法を追加したり、治療薬を変更するというアプローチはトリプルネガティブ乳がん(TNBC)やHER2陽性乳がんでは確立しているが、ホルモン受容体陽性HER2陰性乳がんに対してはPENELOPE-Bが初の結果である。ひとつはnon-pCRの予後を推定する際にCPS-EGスコアが適切なリスク評価方法であったかということが重要である。CPS-EGスコアは術前と術後の病期と核異型度で予後を予測したものであり、病期の高いがん(あるいはダウンステージできなかったがん)では予後不良というある意味単純な事実を見ているだけかも知れない。また、ここには薬剤感受性の概念はなく、ホルモン受容体陽性HER2陰性乳がんにおけるpCR率は低いことから、正確にリスク層別ができていなかった可能性は高いであろう。加えて、術後にCDK4/6阻害剤を内服する際の至適投与期間は不明である。MonarchEとPALASは24ヵ月、PENELOPE-Bでは12ヵ月であり、その投与期間は(同じ薬であっても)試験によって異なる。PENELOPE-Bは2年IDFSではパルボシクリブ群で良好な傾向を認めており、もしかするとパルボシクリブの内服は再発を遅らせる働きを持っているのかも知れない(がわからない)。KEYNOTE-355試験乳がんでは他領域に遅れながらもTNBCを中心に免疫チェックポイント阻害薬の開発が進んでいる。とくに先行しているのが抗PD-L1抗体であるアテゾリズマブと、抗PD-1抗体であるペムブロリズマブである。KEYNOTE-355試験は前治療歴のないTNBCを対象として化学療法(アルブミン結合パクリタキセル[nab-PTX]、パクリタキセル[PTX]、またはゲムシタビン+カルボプラチン[GEM+CBDCA])+ペムブロリズマブもしくは化学療法+プラセボを比較する第III相試験である。主要評価項目はPD-L1陽性集団(CPS≧10およびCPS≧1)とITT集団における無増悪生存期間(PFS)、PD-L1集団とITT集団におけるOSとされた。前回のESMO年次集会では主たるPFSの解析が発表され、SABCSではレジメンごとのサブグループ解析を含めて566例がペムブロリズマブ群に、281例がプラセボ群に2:1に割り付けられた。CPS≧1のPD-L1陽性が約75%、CPS≧10のPD-L1陽性が40%弱であった。化学療法としてはnab-PTXが30〜34%、PTXが11〜15%、GEM+CBDCAが55%であった。同クラスの化学療法を受けたことのある症例は22%程度であった。主要評価項目のPFSはCPS≧10ではペムブロリズマブ群で9.7ヵ月、プラセボ群で5.7ヵ月 (HR:0.65、95%CI:0.49~0.86、p=0.012)であり、ペムブロリズマブ群で有意に長かった。一方、CPS≧1では7.6ヵ月 vs. 5.6ヵ月 (HR:0.74、95%CI:0.61~0.90、p=0.0014 ※注:有意水準は0.00111)、ITTでは7.5ヵ月 vs. 5.6ヵ月 (HR:0.82、95%CI:0.69~0.97)であり、いずれも両群間の差は認められなかった。レジメンごとのサブグループ解析では、nab-PTX、PTXでは有意差を認めているものの、GEM+CBDCAでは有意差を認めなかった。このサブグループ解析はTNBCにおける免疫チェックポイント阻害薬の位置付けにおいて重要な結果となっている。ESMOではTNBC初回治療におけるアテゾリズマブの試験であるIMpassion131試験の結果が発表された。IMpassion130試験はnab-PTXに対するアテゾリズマブの上乗せ効果を証明した試験であったが、IMpassion131試験ではパクリタキセルに対するアテゾリズマブの上乗せが検証され、両群間の差は(傾向としても)認められなかった。対して、KN-355試験ではパクリタキセルに対するペムブロリズマブの上乗せ効果が示され、薬剤ごとに明暗を分けた。アテゾリズマブとペムブロリズマブは同じセッティングの薬剤であるものの、コンパニオン診断薬が異なり(SP-142と22C3)、また併用化学療法も異なっている。今後はこれら2剤の使い分けについての議論も必要であろう。

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irAE対策のステロイド投与は肺がんのOSに影響を与えず/Eur J Cancer

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)治療中の進行肺がん患者において、ステロイド投与は生存アウトカムに影響するのか。スウェーデン・カロリンスカ大学病院のMarcus Skribek氏らが、同院の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者について分析を行った結果、免疫関連の有害事象(irAE)を理由としたステロイド投与は、ICI治療の有効性を妨げないと考えられることが示された。一方で、がん緩和ケアを目的とした高用量ステロイド投与は、予後不良となる可能性を示唆するものであることが示されたという。European Journal of Cancer誌オンライン版2021年1月5日号掲載の報告。irAE対策のためのステロイド投与は進行肺がん患者のOSに影響なし 研究グループは、カロリンスカ大学病院でICI治療中の進行NSCLC患者を対象に、生存アウトカムへのコルチコステロイド投与のタイムラインと投与の理由の影響を評価する検討を行った。 ステロイド投与は、プレドニゾロン換算10mg超を10日以上と定義。投与の要因に基づいて患者を3群に分類した。1)がん緩和ケアではない支持療法のため、2)がん緩和ケアのため、3)irAE対策のため。 さらに、タイムライン分析のため、患者を「ICI開始の2週間前から投与2日後までコルチコステロイド投与を受けた」群と「ICI治療コース終了後にステロイドを受けた」群の2群に分類して評価した。 進行肺がん患者へのirAEを理由としたステロイド投与はICI治療の有効性に影響するのか調べた主な結果は以下のとおり。・進行肺がん患者196例の分析データにおいて、46.3%がコルチコステロイドを投与されたことが示された。・irAE対策のためのステロイド投与は、ステロイド未投与との比較において全生存(OS)期間について影響は認められなかった(p=0.38)。・がん緩和ケアのためのステロイド投与のみ、OSを短縮する独立した予測因子であった(ハザード比:2.7、95%信頼区間:1.5~4.9)。・ステロイド投与のタイムラインは、本試験対象コホートのOSについて影響は認められなかった(p=0.456)。

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がんに存在する異常なmRNAの全長構造を同定/国立がん研究センター

 東京大学大学院新領域創成科学研究科の関 真秀特任助教と鈴木 穣教授らのグループは、国立がん研究センター先端医療開発センター免疫療法開発分野・中面哲也分野長らとの共同研究により、ナノポアシークエンサーで肺がんに存在する異常なmRNAの網羅的な同定をして、異常なmRNAから生じるペプチドが免疫細胞に認識されることを示した。 従来のシークエンサーは、RNAをばらばらに短くしてから配列を読み取っていたため、mRNAの全長配列を読み取ることはできなかった。それに対して、長い配列を読み取れるナノポアシークエンサーは、mRNAの全長配列を読み取ることができる。 今回、肺がんにナノポアシークエンサーを用いて、正常な組織に存在しない異常なmRNAの全長構造をカタログ化した。さらに、異常なmRNAから生じるペプチド配列が免疫細胞によって認識されることを示した。異常mRNAの蓄積が、がん免疫療法が効くかどうかの新たな指標となる可能性がある。 同研究成果は、2021年1月4日(月)に英国科学雑誌「Genome Biology」のオンライン版で掲載された。■参考国立がん研究センタープレスリリース

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母の子宮頸がん細胞が子に移行、国立がん研究センターが発表/NEJM

 国立がん研究センター中央病院の荒川 歩氏らは、小児の肺がん2例について、腫瘍組織と正常組織のペアサンプルを用いたルーチン次世代シークエンスで偶然にも、肺がん発症は子宮頸がんの母子移行が原因であることを特定したと発表した。移行したがん細胞の存在は同種の免疫応答によって示され、1例目(生後23ヵ月・男児)では病変の自然退縮が、2例目(6歳・男児)では腫瘍の成長速度が遅いことがみられたという。また、1例目は、免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブを投与することで、残存するがん細胞の消失に結び付いたことも報告された。腫瘍組織と正常組織のペアサンプルを用いたルーチン次世代シークエンスは、わが国の進行がん患者を対象とした前向き遺伝子プロファイリング試験「TOP-GEAR」の一環として行われた解析で、114のがん関連遺伝子の変異を検出することを目的とする。1例目の患児に対するニボルマブ(3mg/kg体重を2週ごと)投与は、再発または難治固形がんを有する日本人患児を対象としたニボルマブの第I相試験で行われたものであった。症例の詳細は、NEJM誌2021年1月7日号で報告されている。HPVワクチン未接種の母親から生まれ、生後23ヵ月で肺がんを発症 1例目(生後23ヵ月・男児)は、湿性咳嗽が2週間続き地元の病院を受診。CTにて両肺気管支に散在する複数の腫瘍が確認され、VATS肺生検で限局性の腺分化を伴う肺神経内分泌がんであることが確認された。 母親は35歳でHPVワクチン未接種。出産前7ヵ月に行った子宮頸がん検査では陰性だったが、妊娠39週で経膣分娩、3ヵ月後に子宮頸部扁平上皮がんの診断を受けた。当時は組織学的特徴が一致せず、出生児へのがんの移行は疑われなかったが、両親の懸念に応じて頻繁にフォローアップを実施。ただし治療は行われなかった。 生後23ヵ月時に肺神経内分泌がん診断後1年で病勢が進行。3歳時に研究グループの病院に紹介され入院加療を受けた。驚くべきことに、その時点で病変の自然退縮が認められたという。残存病変は化学療法で一部は退縮したが、その他は進行。ニボルマブの第I相試験に組み込まれ、4サイクル投与後、病変の退縮を確認。用量を低減し計14サイクルを投与して7ヵ月間、新たな病変は認められなかった。その後、肺葉切除術を受け、12ヵ月時点で再発のエビデンスはみられていない。 一方、母親は最終治療(放射線+化学療法)から3年間で、肺・肝臓・骨転移がみられた。そして肺腫瘍の組織学的検査で、男児の肺と非常に類似した所見が認められたという。 その後、母子別々に行われた次世代シークエンスで、それぞれの腫瘍組織に複数の同じ遺伝子変異が存在することが確認され、またサンガーシークエンスで、両者の腫瘍組織がタイプ18のHPV陽性であることも認められた。子宮頸がんの母親から生まれた男児、6歳時に肺がんを発症 2例目(6歳・男児)は、左胸部疼痛で地元の病院を受診。左肺に6cmの腫瘤を認め粘液性腺がんと診断された。男児は化学療法を受けたが再発。左肺を全摘し15ヵ月のフォローアップ時点で再発は認められていない。 母親は、妊娠中に子宮頸がんが検出されたが、細胞診は陰性で、介入不要のがん細胞の安定化が認められたことから、妊娠38週で経膣分娩した。出産後、生検で子宮頸部の腺がんが判明し、分娩3ヵ月後に研究グループの病院に紹介され子宮および両側卵管の全摘手術を受けたが、術後2年後に死亡に至っている。 6歳時に男児が肺がんと診断された際、がんの母子感染は疑われなかったが、母親の子宮頸がん組織と男児の肺がん組織を用いた次世代シークエンスで同様の遺伝子プロファイルが認められ、また、タイプ16のHPV陽性であることも認められた。 なお、次世代シークエンスで、ほかにも母子移行が認められたケースはあったが、研究グループは、この2つのケースでは肺にのみがん細胞が観察されたことに着目。「母親のがん細胞は、羊水、分泌物、または子宮頸部からの血液に存在し、経膣分娩時に新生児が吸引した可能性がある」と指摘。子宮頸がんの母親には帝王切開を推奨する必要があることを提言している。

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免疫チェックポイント阻害薬関連の乾癬、重症度や対処法は?

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)に関連した乾癬について、ギリシャ・アテネ大学のVasiliki Nikolaou氏らが欧州9施設から報告された115例について、重症度等のデータを明らかにし、段階的な治療アルゴリズムの提案を検討した。ICIに関連した乾癬は、診断上および治療上の重大な課題をもたらすが、検討によりacitretin、アプレミラスト、メトトレキサートは安全で効果的な治療法であり、ほとんどの場合でICI投与を中断することなく完了できることを示した。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2020年12月3日号掲載の報告。 研究グループは、前例のない最大コホートから報告されたICIに関連した乾癬に関するデータを報告し、段階的な治療アルゴリズムを提案するため、欧州の9施設で組織するEuropean Network for Cutaneous ADverse Event to Oncologic drugs(ENCADO)のデータを用いて検討した。 9施設からの、ICIに関連した乾癬を呈した全患者の医療記録をレトロスペクティブにレビューした。 主な結果は以下のとおり。・コホートに包含した患者は115例であった。・報告された疾患重症度は、グレード1が60/105例(57.1%、10例は欠損データ)、グレード2が34/105例(32.4%)、グレード3が11/105例(10.5%)であった。・乾癬の新規症例と悪化症例の比率は21/90例(23.3%)であった。・最も一般的な全身療法はacitretin(23例、20.1%)であり、続いて全身ステロイド(8例、7%)、アプレミラスト(7例、6.1%)、メトトレキサート(5例、4.3%)、生物学的製剤(4例、3.6%)であった。・全体として、乾癬のためにICIを中断したのは29/112例(25.9%)であり、永久中止となったのは20/111例(18%)であった。・ベースラインで、BSA>10%の場合、ICI治療の変更リスクは3.6倍(オッズ比[OR]:3.64、95%信頼区間[CI]:1.27~10.45、p=0.03)、永久中止のリスクは6.4倍(6.41、2.40~17.11、p<0.001)それぞれ増大することが示された。・滴状乾癬およびグレード2/3が、ICIの抗腫瘍反応の有意な陽性予測因子であった。一方で、そう痒症は陰性予測因子であった。・本検討は、後ろ向きデザインという点で結果は限定的なものである。

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STAMP阻害薬asciminib 、慢性骨髄性白血病で良好なMMR率/ノバルティス

 ノバルティスは、2020年12月8日、第III相ASCEMBL試験において、ABLミリストイルポケット(STAMP)を特異的に標的とする新規治験薬asciminib(ABL001)が、2剤以上のTKI治療歴のある慢性期のフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(Ph+ CML-CP)患者において、ボスチニブに比べほぼ2倍の投与24週時点のMMR率を達成したと発表(25.5% vs.13.2%、両側p=0.029)。これらのデータは第62回米国血液学会議(ASH)のLate Breakingセッションで発表された。 ASCEMBL試験では、233例の患者が無作為化され、asciminib40mg x 2/日(n=157)、またはボスチニブ500mg/日(n=76)のいずれかが投与された。 Grade3以上の有害事象(AE)の発現率は、asciminib群とボスチニブ群で、それぞれ50.6%と60.5%であった。AEによる投与中止率は、asciminib群5.8%に対して、ボスチニブ群では21.1%であった。asciminib群で多く認められた(>10%)Grade3以上のAEは血小板減少症(17.3%)と好中球減少症(14.7%)であった。

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ニボルマブ、米国での小細胞肺がんの適応に関して声明/BMS

 米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)は、米国でのニボルマブ(商品名:オプジーボ)の小細胞肺がん(SCLC)の適応を撤回するとの声明を発表した。 ニボルマブは、プラチナベース化学療法と1ライン以上の他の治療後に疾患進行した小細胞肺がん(SCLC)の治療について、米国食品医薬品局(FDA)から、2018年に迅速承認を受けた。迅速承認は、進行または転移のある固形がん患者を対象とした第I/II相CheckMate-032試験におけるオプジーボの有効性に基づいたものであった。 しかし、異なる治療設定で行われたその後のCheckMate-451および331試験では、主要評価項目である全生存期間を達成できなかった。BMSはFDAと協議のうえ、この適応症を米国市場から撤回することを決定したとしている。

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胆道がん2020 Wrap Up【消化器がんインタビュー】第9回

第9回 胆道がん2020 Wrap Up出演:国立がん研究センター 東病院 肝胆膵内科長 池田 公史氏2020年胆道がんの重要トピックを国立がん研究センター東病院の池田公史氏が、一挙に解説。これだけ見ておけば、今年の胆道がん研究の要点がわかる。

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膵臓がん2020 Wrap Up【消化器がんインタビュー】第8回

第8回 膵臓がん2020 Wrap Up出演:国立がん研究センター 東病院 肝胆膵内科長 池田 公史氏2020年膵臓がんの重要トピックを国立がん研究センター東病院の池田公史氏が、一挙に解説。これだけ見ておけば、今年の膵臓がん研究の要点がわかる。

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肺癌診療ガイドライン2020薬物療法の改訂ポイント/日本肺癌学会

 肺癌診療ガイドラインが改訂され、2020年版が発刊された。第61回日本肺癌学会学術集会の教育講演では、薬物療法領域の変更点について岡山大学の堀田勝幸氏が発表した。肺癌診療ガイドライン2020の主な変更点EGFR変異陽性 一次治療におけるゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセドの追加(CQ52 2A)、エルロチニブと血管新生阻害薬の併用がアップデート(CQ52 2A)されるなど改訂された。ALK融合遺伝子陽性 二次治療において、アレクチニブの使用のアップデート(CQ59 1C)、新たなALK-TKIブリガチニブが追加(CQ59 2C)されるなど改訂された。MET遺伝子変異陽性 MET遺伝子変異陽性が新設され、MET-TKI(テポチニブ、カプマチニブ)の推奨が追加された(CQ62 1C)。ROS1融合遺伝子陽性 エヌトレクチニブ使用の推奨が追加された(CQ60 1C)ドライバー遺伝子変異/転座陰性もしくは不明 一次治療におけるニボルマブ+イピリムマブ併用がPD-L1 TPS50%以上(CQ64 2C)、1~49%(CQ70 2C)に追加された。小細胞肺癌  進展型小細胞肺癌においてのプラチナ製剤併用療法へのPD-L1阻害薬の上乗せについて、プラチナ製剤併用療法+PD-L1阻害薬の使用が推奨された(CQ11 1A)。

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ニボルマブ、胃がん1次治療に国内申請/小野薬品

 小野薬品工業株は、2020年12月10日、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)について、治癒切除不能な進行・再発の胃がんに対する効能又は効果の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認申請を新たに行ったと発表した。 今回のニボルマブ胃がん1次治療の承認申請は、以下の2つの臨床試験のデータに基づき行われた。・CheckMate-649試験(ONO-4538-44):日本、韓国および台湾を含む世界規模で小野薬品およびブリストル マイヤーズ スクイブが実施した多施設国際共同無作為化非盲検第III相臨床試験・ATTRACTION-4試験(ONO-4538-37):日本、韓国および台湾で実施した多施設共同無作為II/III相臨床試験

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早期TN乳がんの術前化療+アテゾリズマブにおける患者報告アウトカム(IMpassion031)/SABCS2020

 未治療の早期トリプルネガティブ(TN)乳がんの術前化学療法に、免疫チェックポイント阻害薬アテゾリズマブの追加を検討したIMpassion031試験における患者報告アウトカムの解析結果が報告された。米国・Brigham and Women's Hospital Dana-Farber Cancer InstituteのElizabeth A. Mittendorf氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2020)で発表した。 本試験では、18歳以上で未治療のStageII~IIIのTN乳がん患者333例を、アテゾリズマブ(840mg、2週ごと)+nab-パクリタキセル(アテゾリズマブ群)またはプラセボ+nab-パクリタキセル(プラセボ群)に1対1で無作為に割り付けた。12週間(3サイクル)投与後、ドキソルビシン+シクロホスファミド(AC)との併用で8週間(2サイクル)投与し、手術を実施した。術後、アテゾリズマブ群はアテゾリズマブ(1,200mg、3週ごと)を11回投与し、プラセボ群は経過観察を行った。主要評価項目の病理学的完全奏効(pCR)率については、PD-L1の有無にかかわらず、アテゾリズマブ群が57.6%とプラセボ群41.1%に比べて有意に改善(p=0.0044)したことがすでに報告されている。 患者報告アウトカムの測定は、EORTC Quality of Life Questionnaire Core 30(QLQ-C30)およびFunctional Assessment of Cancer Therapy-General(FACT-G)single item GP5の質問票を用いて、術前療法および術後療法の各サイクルのベースライン・1日目・治療終了時、観察期間には1年目は3ヵ月ごと、2~3年目は6ヵ月ごと、その後は年に1回実施した。 主な結果は以下のとおり。・両群のQLQ-C30完了率(ITT解析)は、ベースラインは100%、術前療法期間では90%以上、術後療法期間(16サイクルまで)では89%以上、GP5完了率は、ベースライン(2サイクル1日目)で98%以上、術前療法期間および術後療法期間で88%以上であった。・ベースラインの平均値(95%CI)は、身体機能がアテゾリズマブ群91%(89~93)、プラセボ群90%(88~92)、役割機能がアテゾリズマブ群89%(86~93)、プラセボ群89%(86~92)、健康関連(HR)QOLがアテゾリズマブ群79%(76~82)、プラセボ群76%(73~79)と高かった。・16サイクルまでの治療評価期間、観察期間を通じ、身体機能、役割機能、HRQOLの平均値とベースライン値からの平均変化は両群で類似していた。・平均身体機能は、両群で3~5サイクル目の術前療法期間中に臨床的に重要な低下を示したが、術後療法期間に回復し、7サイクル目の開始を安定させた。・平均役割機能は、アテゾリズマブ群では2サイクル目から、プラセボ群では3サイクル目から5サイクル目までの術前療法期間で臨床的に重要な低下を示したが、術後療法期間に回復し、プラセボ群のみ9サイクル目で安定した。・平均HRQOLは、両群で3~5サイクル目の術前療法期間で臨床的に重要な低下を示したが、術後療法期間で回復し、6サイクル目から安定した。・術前療法期間の疲労、下痢、悪心・嘔吐は、機能およびHRQOLにおけるベースライン値からの平均および平均変化と類似した傾向で、両群とも5サイクルを通じて悪化した。術後療法期間の平均症状スコアは、疲労を除いて両群ともベースラインと同様であった。 Mittendorf氏は、「両群の治療関連症状は類似しており、化学療法へのアテゾリズマブの追加は新たな副作用はみられず忍容性があった。この解析結果から、nab-パクリタキセル後にACを投与する術前化学療法にアテゾリズマブを追加することで、患者に新たな治療負担を与えることなくpCRを改善することが示された」と述べた。

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「523遺伝子を搭載した国内完結型がん遺伝子パネル検査」先進医療に承認/岡山大学

 新たながん遺伝子パネル検査に関する厚生労働省・先進医療技術【先進医療B】研究として、「国内完結型個別化医療に向けたマルチプレックス遺伝子パネル検査研究」が厚生労働省より承認され、2020年12月1日より、岡山大学病院が全国で初めて実施することになった。523遺伝子を搭載した国内では最多となるがん遺伝子パネル検査となる。 わが国で保険適応されている遺伝子パネル検査は2種類で、それぞれ114、324個の遺伝子を対象にしていた。しかし、がん種によっては十分な遺伝子が調べられないこともあった。  今回、同研究で使用する新たな遺伝子パネルTruSightTM Oncology500(TSO500) は、 523遺伝子を調べることが可能。また、遺伝子の数が多いほど精度が高くなることが示されていることから、免疫チェックポイント阻害薬の治療効果を予測指標の1つである腫瘍遺伝子変異量(TMB)についても、より正確に測定することができるという。 同研究の対象は、抗がん剤による標準治療を実施後の固形がんと診断された、16歳以上で腫瘍組織が得られる患者。研究は、2020年12月1日(予定)~2022年3月31日までの期間で実施し、予定参加患者は250人である。先進医療にかかる医療費は全額患者負担となり、約60万円程度。

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肝臓がん2020 Wrap Up【消化器がんインタビュー】第7回

第7回 肝臓がん2020 Wrap Up出演:国立がん研究センター 東病院 肝胆膵内科長 池田 公史氏2020年肝細胞がんの重要トピックを国立がん研究センター東病院の池田公史氏が、一挙に解説。これだけ見ておけば、今年の肝細胞がん研究の要点がわかる。

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非小細胞肺がん1次治療、3種の二ボルマブ関連併用療法が国内承認/小野・BMS

 小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、2020年11月27日、ニボルマブとイピリムマブについて、「切除不能な進行・再発の 非小細胞肺がん」の効能又は効果に対して、以下の併用療法に係る国内製造販売承認事項一部変更承認を取得したと発表。 (1) ニボルマブとイピリムマブとの併用療法 (2) ニボルマブとイピリムマブおよびプラチナダブレット化学療法との併用療法(3) ニボルマブとプラチナダブレット学療法との併用療法 今回の承認は下記の試験結果に基づいたもの。・(1)(3):化学療法歴のない切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)患者 を対象に、ニボルマブ単剤療法、ニボルマブとイピリムマブの併用療法又はニボルマブとプラチナ製剤を含む2剤化学療法との併用療法をプラチナダブレット化学療法と比較した複数のパ ートで構成された多施設国際共同無作為化非盲検第III相臨床試験(CheckMate-227試験) ・(2):化学療法歴のない切除不能進行・再発の NSCLC患者を対象に、ニボルマブとイピリムマブの併用療法にプラチナ製剤を含む2剤化学療法(2サイクル)を追加した併用療法を、プラチナダブレット化学療法と比較した多施設国際共同無作為化非盲検第III相臨床試験 (CheckMate -9LA試験)の結果に基づいた承認である。関連記事ニボルマブ・イピリムマブ併用NSCLC1次治療、日本人の結果(CheckMate-227)/日本肺癌学会2020進行NSCLCの初回治療、ニボルマブ+イピリムマブが有効/NEJMニボルマブ+イピリムマブ+2週間化学療法の肺がん1次治療、アジア人の成績は?(CheckMate9LA)/日本肺癌学会2020ニボルマブ+イピリムマブ+化学療法限定追加レジメン、肺がん1次治療でOS改善(CheckMate9LA)/ASCO2020

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がん治療の進歩で注意すべき心血管リスクとその対策/日本医療薬学会

 近年、腫瘍循環器学という新しい概念が提唱されている。10月24日~11月1日にWeb開催された第30回日本医療薬学会総会のシンポジウム「腫瘍循環器(Onco-Cardiology)学を学ぼう~タスクシェア・シフト時代にマネジメントする薬剤師力の発揮~」において、腫瘍循環器領域の第一人者である向井 幹夫氏(大阪国際がんセンター成人病ドック科主任部長)が「腫瘍循環器学とは?臨床現場で薬剤師に求めること」と題し、腫瘍循環器学における新たな視点について語った。がん治療の進歩で注意すべき心血管リスクも変化 がん患者の心血管リスクは、がん治療時の急性期/慢性期心毒性をピークに回復・寛解期には一度低下傾向を示す。しかし、転移・再発に対するがん治療の開始やがんサバイバーとして生き長らえる中で、潜在的心血管リスクの増悪による晩期心毒性によりリスクは再び上向きに転じることが報告1)されている。向井氏はその1つとして、28種がんのがんサバイバーの治療経過と心臓病による死亡リスクの検討2)から、がん診断後から5~10年の時点で全領域のがんサバイバー、なかでも乳がん、皮膚がん(メラノーマ)、前立腺がん患者などの死亡リスクが上昇する報告を示した。同氏は「新規薬剤によるがん治療の進歩とそれに伴う生存率上昇の反面、心毒性が増加していることが影響している」と述べ、最新のがん治療にも心血管リスクが潜んでいる点を指摘した。投与終了後の経過観察は生涯必要 がん治療による心毒性・心血管リスクの歴史は1970年代に遡る。殺細胞系抗がん剤アントラサイクリンによる心筋症が明らかになって以降、2000年代には分子標的薬のトラスツズマブにより生じる心筋症が、近年では免疫チェックポイント阻害薬による劇症心筋炎と心血管合併症が問題になっている。さらに、血管新生阻害薬(抗VEGF薬)は心毒性リスクが投与用量に比して増加し、かつ経時的に変化する特徴があり、投与初期には毛細血管攣縮による血圧上昇、数ヵ月後に毛細血管循環障害(密度希薄化)による高血圧症や尿蛋白が出現する。その後、年単位の治療が継続されることでプラーク形成による血栓症・出血が発生し、3~5年の長期治療によって心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な心血管疾患発症に至る。このような症例を実際に目の当たりにした同氏は「がん治療が進歩する一方でこれまでにない晩期合併症が増加している」と危惧した。 心毒性発症の原因は多様性を示し、がん自体の作用、心血管疾患の既往、ゲノムの関与、そしてがん治療が影響していることから、「心毒性に対し循環器医の介入はもちろんのこと実際に薬剤を扱う薬剤師も、近年頻度が増加しているがん関連血栓症や動脈硬化血管障害(虚血性心疾患)、不整脈などを幅広く理解しておく必要がある」とも述べた。がんと循環器疾患の共通点、危険因子と発症機序 がんの危険因子を列挙すると循環器疾患の危険因子との共通項目が非常に多く、たとえば、喫煙、飲酒、食塩摂取、運動不足などが挙げられる。また、がんと動脈硬化発症の機序において、腫瘍が増殖する際の血管新生に影響を及ぼすVEGFは、循環器領域ではプラーク形成にかかわる血管新生や血管内皮障害を起こす。そのほかにもがんの進展と動脈硬化の発症メカニズムには多くの共通点が指摘されており3)、同氏は「遠い存在であったがんと循環器は共通の性格を持つ疾患である」とし、「いずれも生活習慣病として、遺伝子的因子、エピジェネティク因子、環境因子、生活習慣などが原因で酸化ストレス、炎症、増殖、アポトーシス、血管新生などを生じ動脈硬化やがんに発展する。心不全や血栓症などの晩期心毒性はこれらの危険因子を抑えることで発症予防につながることが期待されている」と話した。薬剤師によるがんサバイバーへの貢献に期待 このようにがんと循環器のリスクの共通性が解明される一方、増加するがんサバイバーへの対応は現在模索中である。しかし、がん診療をがん発症予防、診断と治療計画、がん治療、がんサバイバーの4つのステージに分けて考えた時、どのステージにおいてもこれから薬剤師が活躍すると同氏は期待を寄せる。とくにがん治療が終わった後のがんサバイバーは、自分を知っていてくれるかかりつけ薬剤師に調剤薬局やドラッグストアで接することになる。そこでは、がんサバイバーが直面する晩期合併症、なかでも晩期心毒性に対応するためにがん診療における薬薬連携による情報交換と幅広い理解が求められている。 最後に同氏は「腫瘍循環器学を学び、がんと循環器の共通点を知りタスクシフト・シェア時代に対応することで、がんサバイバーの不安を軽減し支援することができるよう薬剤師の皆さまに“薬剤師力”を発揮していただきたい」と締めくくった。

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