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1.

1型糖尿病合併CKDに対するフィネレノンの可能性と限界―FINE-ONE試験が示したもの(解説:石上友章氏)

 1型糖尿病合併CKDに対する腎保護は、2型糖尿病合併CKDとは景色が異なる。2型ではSGLT2阻害薬が腎・心血管保護の中核に位置付けられ、そこにフィネレノンをどう上乗せするかが論点になりやすい。一方、1型では今なおインスリンを基盤とした良好な血糖管理が治療の根幹であり、KDIGOも1型では血糖管理の基盤をインスリンと整理している。さらにDCCT/EDICは、早期からの強化血糖管理が腎症を含む合併症の発症・進展抑制につながることを示しており、1型糖尿病合併CKDではまず血糖管理の質そのものが腎保護の出発点である。近年はCGM活用の重要性も一段と高まっている。 そのうえでFINE-ONE試験は、RAS阻害薬投与下の1型糖尿病合併CKD患者において、フィネレノンが6ヵ月時点のUACRを有意に低下させた点で意義深い。もっとも、その効果は手放しでは評価できない。高カリウム血症は増加し、eGFRは治療中により低下した一方、washout後にはeGFR差が縮小し、UACR改善もやや減弱した。したがって本剤の効果の少なくとも一部は、糸球体内圧変化を含むhemodynamicな機序を介した可逆的・機能的変化である可能性がある。これはRAS阻害薬や従来のステロイド性MRAにも通じる現象であり、本試験だけで長期腎予後や構造的腎保護を断定するのは早い。ただし、1型糖尿病合併CKDで新たな上乗せ治療の選択肢を示した意義は小さくない。 SGLT2阻害薬との比較では、2型糖尿病の経験をそのまま1型に持ち込めない点にも注意が必要である。FINE-ONE試験では、少なくともスクリーニング前8週間以内のSGLT2/1阻害薬またはGLP-1受容体作動薬使用例が除外されており、1型糖尿病合併CKDでフィネレノンとSGLT2阻害薬の優劣を直接論じられる設計ではない。加えて米国では、ダパグリフロジンは1型糖尿病の血糖管理適応を有しておらず、DKAリスク増加への注意喚起がなされている。欧州でも1型糖尿病適応は撤回されている。したがって現時点での本試験の位置付けは、「1型糖尿病合併CKDでは血糖管理とRAS阻害薬が主軸であり、そのうえにフィネレノンという新たな腎保護オプションが加わった」とみるのが最も妥当だろう。なお、民族差やアジア人集団での解釈は、今回の試験規模では探索的にとどまると受け止めたい。

2.

タルラタマブのCRS関連発熱を解析、発熱が奏効と関連か/日本臨床腫瘍学会

 小細胞肺がん(SCLC)治療薬タルラタマブは、2026年3月27日に添付文書が改訂され、2次治療から使用可能となった。本剤は高い効果が期待されているが、免疫活性化に伴うサイトカイン放出症候群(CRS)による発熱の頻度が高く、適切な管理方法と予測マーカーの確立が急務となっている。そこで、山口 央氏(埼玉医科大学国際医療センター)らの研究グループは、タルラタマブによる治療を受けたSCLC患者を対象とした後ろ向き研究を実施し、発熱のタイミングや持続時間などと奏効との関連を解析した。その結果、投与1回目と2回目の両方で発熱がみられた患者は、奏効割合(ORR)が高かった。また、発熱の早期からステロイドを用いることで安全に投与を継続できることも示された。本結果は、第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)で発表された。 研究グループは、埼玉医科大学国際医療センターにおいてタルラタマブ治療を受けた、再発または進行SCLC患者25例を対象として後ろ向き研究を実施した。本研究では、37.5℃以上を発熱と評価し、発熱患者にはヒドロコルチゾン100mgを投与した。また、発熱が6時間以上持続または再度発熱した場合はデキサメタゾン9.9mgを投与した。データカットオフ日は2026年2月28日であった。 主な結果は以下のとおり。・対象患者の年齢中央値は72歳(範囲:50~82歳)、男性の割合は84.0%であった。・タルラタマブ治療開始時に何らかのグルココルチコイドが処方されていた患者は36.0%であった。・37.5℃以上の発熱を認めた割合は、投与1回目(サイクル1の1日目[C1D1])は64.0%、投与2回目(C1D8)は87.0%であった。・発熱のタイミングについて、投与から発熱までの時間の中央値は、C1D1では13.7時間であったのに対し、C1D8は25.2時間であり発熱までの時間が有意に長かった(p=0.005)。・発熱の持続時間(37.5℃以上になってから37.0℃未満に低下するまでの期間)中央値は、C1D1では40.5時間であったのに対し、C1D8は27.3時間であり発熱の持続時間が有意に短かった(p=0.019)。・発熱に対する治療の内訳は、ヒドロコルチゾンのみがC1D1 37.5%、C1D8 35.0%であり、ヒドロコルチゾンのみでは解熱に至らずデキサメタゾンの追加投与が必要となった患者がそれぞれ62.5%、55.0%であった。C1D1、C1D8ともにトシリズマブを用いた患者はいなかった。ステロイド投与量の中央値(プレドニゾロン換算)は、C1D1、C1D8共に91mgであった。・C1D1とC1D8の両方で発熱を認めたdouble-fever群は、認めなかった群と比較して、ORRが有意に高かった(p=0.011)。 本結果について、山口氏は「少数例の検討ではあるが、double-feverパターンを示した患者では、ORRが高くなる傾向があることがわかった。また、発熱の早期からステロイド介入を行う統一されたプロトコールを用いることで、安全に治療を行うことができた」とまとめた。また、本発表の後に実施されたプレスリリースセッションにおいて「タルラタマブ投与後の慎重な観察期間を投与後72時間とすることを提言する。安全な入院管理を行うとともに外来治療への円滑な移行体制が確立されることで、多くのSCLC患者にこの有望な治療を届けることができると期待している」と述べた。

3.

潰瘍性大腸炎の症状を抑えるグセルクマブ皮下注への期待/J&J

 Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ)は、潰瘍性大腸炎(UC)の治療薬グセルクマブ(商品名:トレムフィア)の皮下注製剤の製造販売承認事項一部変更の承認取得に伴い、都内でメディアセミナーを開催した。グセルクマブは、IL-23のp19サブユニットに結合してIL-23を阻害する医薬品として初めて承認された完全ヒト型モノクローナル抗体であり、わが国では尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬などの治療薬としてすでに承認を得ている。皮下注製剤は、中等症~重症のUCの寛解導入療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)の治療薬として、2026年2月19日に製造販売承認事項一部変更の承認を取得した。 セミナーでは、UCの病態、診療、グセルクマブの臨床試験結果などの解説のほか、UC患者の声などが語られた。患者にも医療者にもメリットがあるグセルクマブ皮下注製剤 「潰瘍性大腸炎における課題とトレムフィア皮下注製剤による導入療法に期待すること」をテーマに久松 理一氏(杏林大学医学部消化器内科学 教授/炎症性腸疾患包括医療センター長)が、UCの疾患概要、診療などの講演を行った。 炎症性腸疾患(IBD)とは消化管に炎症が起こる疾患の総称であり、原因不明のものを「非特異性炎症性腸疾患」といい、UCやクローン病がある。UCでは、主に大腸に炎症が起こり、重症化すると大腸全体に及ぶ。主な症状としては、下痢、血便、腹痛、便意の切迫感などのほか、重症になると体重減少や発熱、貧血などもある。また、病勢としては、病状が落ち着く「寛解」と病状が悪化する「再燃」を繰り返し、寛解状態を維持するために継続的な治療と定期的な診療が必要となる。 わが国では患者数は年々増加しており、UCでは約31万人の患者数が推定されている(参考までにクローン病は約9.6万人と推定される)。発症年齢は、男性で20~24歳、女性で25~29歳にピークがあり、IBD全体では30~40代の働き盛りの世代に多く発症する。この年代はまさに就業中枢の世代であり、かつ、人生ではさまざまなイベントが発生する時期であり、患者のQOLが阻害されることになる。 UCの治療としては、5-ASA製剤をベースに重症度に応じて、ステロイド、免疫調節薬、免疫抑制薬などが使用されるほか、近年では抗TNF-α抗体薬、JAK阻害薬、抗α4β7インテグリン抗体製剤が登場し、中等症~重症のUCで使用されている。今回、皮下注製剤による導入療法の適応が追加されたグセルクマブは、中等症~重症の寛解導入療法の治療薬として期待されている。 グセルクマブの臨床試験では、点滴静注での導入によるプラセボとの二重盲検ランダム化比較試験である「QUASAR試験」と皮下注での導入によるプラセボとの二重盲検ランダム化比較試験である「ASTRO試験」が実施された。 主要評価項目である12週時点での臨床的寛解について、QUASAR試験ではグセルクマブ群(n=421)が22.6%に対し、プラセボ群(n=280)は7.9%だった。ASTRO試験ではグセルクマブ群(n=279)が27.6%に対し、プラセボ群(n=139)は6.5%だった。12週時点での臨床的改善について、QUASAR試験ではグセルクマブ群(n=421)が61.5%に対し、プラセボ群(n=280)は27.9%だった。ASTRO試験ではグセルクマブ群(n=279)が65.6%に対し、プラセボ群(n=139)は34.5%だった。12週時点での内視鏡的改善(MES 0~1)について、QUASAR試験ではグセルクマブ群(n=421)が26.8%に対し、プラセボ群(n=280)は11.1%だった。ASTRO試験ではグセルクマブ群(n=279)が37.3%に対し、プラセボ群(n=139)は12.9%だった。両試験の結果から皮下注であっても点滴静注と同程度の寛解の効果があることが示唆された。また、安全性では、両試験ともに死亡に至った有害事象はなく、発疹、頭痛のほかASTRO試験では注射部位の紅斑などが報告されている。 グセルクマブの投与スケジュールとして、既存治療で効果不十分な中等症~重症のUCで導入療法から使用できるだけでなく、維持療法では導入療法終了4週後以降に1回200mgを4週間隔で皮下投与することもできる。 今後、グセルクマブが使えることで、患者では病院での滞在時間の短縮につながり、医師では導入から維持療法へのスムーズな移行ができる。そして、医療従事者では薬剤調整・ルート確保などの業務削減につながることが期待されている。 まとめとして久松氏は「グセルクマブは皮下注導入で適応追加となり、点滴静注と一貫性ある導入効果が証明されたことで患者の在院時間の短縮、施設の処置時間の短縮につながる」と述べ、講演を終えた。治療の選択肢が増えることは安心できる UC患者の声として一宮 亜美氏が、自身の疾患経験と生活上の課題や診療への思いなどを語った。一宮氏は、12歳のときにUCを発症し、いくつかの診療科を経て、小児科に入院したときにUCと確定診断された。中学生のころから生物学的製剤をスタートしたが、ステロイド治療では効果に抵抗性があったという。食生活では摂取制限もあり、摂取できない食品リストを作成し、とくに脂質の多いものやカレーなどの刺激の強いものは避けていると説明した。学生時代は、周囲には「おなかの病気」とだけ伝えており、社会人になってからはとくに伝えていないという。医療機関への受診は土曜日に行い、「医師には疑問があったら質問する」「普段から病状をメモして伝えるなどを行っている」と述べた。 最後に一宮氏は「治療の選択肢が増えることで安心できる。病状がコントロールできないときに、内科的治療の選択肢はあることがうれしい」と治療薬への期待を語った。

4.

高齢者のがん薬物療法GLの改訂ポイント【総論・造血器】/日本臨床腫瘍学会

 『高齢者のがん薬物療法ガイドライン 改訂第2版』が2026年3月25日に発刊され、第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)のシンポジウムで全17項目のクリニカルクエスチョン(CQ)が解説された。 本ガイドラインは、2019年の初版以降に蓄積されたエビデンスを踏まえ改訂された。「Minds診療ガイドライン作成マニュアル2020」に準拠し、新規CQの追加や対象領域の拡張を行った。今回の改訂では新たに「Evidence to Decision(EtD)フレームワーク」が導入された点が大きな特徴である。これにより、エビデンスの確実性だけでなく、益と害のバランス、患者の価値観、実行可能性など多面的な要素を考慮した推奨決定のプロセスが可視化された。 総論からは「がん薬物療法を考慮している高齢がん患者に対して、高齢者機能評価とそれに基づくマネジメントの実施は推奨されるか?」「がん薬物療法を考慮している高齢がん患者のがん薬物療法の選択に、高齢者機能評価は推奨されるか?」、造血器からは「初発高齢者びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療方針の判断に高齢者機能評価は有用か?」「80歳以上の初発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対してドキソルビシンを含む薬物療法は推奨されるか?」が設定された。総論 Geriatric Assessment(GA:高齢者機能評価)により患者の脆弱性を多面的に評価し、その結果に基づく介入により重篤な毒性の軽減やQOLの改善の可能性が示されている。しかし、初版の総論では以下の2つのCQが並立しており、患者アウトカムを目的としたGAは提案される一方、治療方針を判断する目的のGAは過少治療による不利益の可能性から推奨されていなかった。 (旧)CQ1 高齢がん患者において、がん薬物療法の適応を判断する方法として、高齢者機能評価を実施することを提案する。 (旧)CQ2 高齢者びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対して、治療方針の判断には高齢者機能評価を使わないことを提案する。 今回の改訂では、QOLや機能に関わるアウトカムと腫瘍関連アウトカムという視点別に、CQ1-1とCQ1-2に分けて包括的なメッセージを示す構成へと再編した。CQ1-1 がん薬物療法を考慮している高齢がん患者に対して、高齢者機能評価とそれに基づくマネジメントの実施は推奨されるか?推奨:高齢がん患者に対して、がん薬物療法を考慮する際には、高齢者機能評価およびその結果に基づくマネジメントを実施することを弱く推奨する。推奨のタイプ:当該介入の条件付きの推奨エビデンスの強さ:C 本CQでは、がん薬物療法の適応が考慮されている高齢者に対し、GAとその結果に基づくマネジメントを受けた群(介入群)と受けなかった群(対照群)の患者中心アウトカムを評価した。8件のランダム化比較試験(RCT)を主なエビデンスとして評価を行った。GAとその結果に基づくマネジメントにより、QOLの維持・改善、医師とのコミュニケーション、患者満足度について有意な改善が報告された。介入群では対照群と比較して、一貫してGrade3以上の有害事象の有意な減少傾向を認め、統合解析でも有意な結果であった。重篤な毒性の有意な低下は臨床的に意味が大きく、QOLや満足度など患者中心アウトカムも良好な一方、有害な影響を示す根拠は乏しいと評価された。CQ1-2 がん薬物療法を考慮している高齢がん患者のがん薬物療法の選択に、高齢者機能評価は推奨されるか?推奨:がん薬物療法を考慮している高齢がん患者のがん薬物療法の選択に、高齢者機能評価を実施することを弱く推奨する。推奨のタイプ:当該介入の条件付きの推奨エビデンスの強さ:C 本CQでは、がん薬物療法の適応が考慮されている高齢者に対し、GAに基づく治療決定を受けた群(介入群)と受けなかった群(対照群)の腫瘍関連アウトカムを評価した。7件のRCTおよび4件の前向き観察研究をもとに評価した。全生存期間(OS)・無増悪生存期間(PFS)・奏効率のいずれも介入群と対照群で有意差を認めなかったものの、介入群では一貫してGrade3以上の有害事象の減少傾向を認め、統合解析でも有意な結果だった。腫瘍関連アウトカムの改善は認めなかったもののOSの明らかな増悪は認めず、毒性低減という臨床的意義を示したと評価された。造血器CQ2 初発高齢者びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療方針の判断に高齢者機能評価は有用か?推奨:初発高齢者びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療方針の判断に高齢者機能評価を行うことを弱く推奨する。推奨のタイプ:当該介入の条件付きの推奨エビデンスの強さ:C DLBCLは発症年齢中央値が約70歳であり、高齢患者が多数を占めている。R-CHOP療法などの標準化学療法により治癒が期待できるが、高齢者には毒性が高く、暦年齢やパフォーマンスステータス(PS)のみでは個体差を正確に評価することが困難である。個人の予備能をより正確に見極めるためにGAの重要性が認識されている。本CQでは、初発高齢者DLBCLを対象に、GAが良好な群(介入群)と不良な群(対照群)のアウトカムについて、GAの有無による直接比較ではなく、EtDフレームワークを用いてGAによって層別化された群で比較して総合的な評価が行われた。文献検索の結果、RCTは該当しなかったが、前向きおよび後ろ向きの観察研究21件が抽出された。GAが良好な群ではOSが優れており、標準治療の適用によって若年者と同程度の治療アウトカムが期待できることが示された。標準治療による有害事象は一定頻度で生じるが適切な対策で完遂可能である一方、GAが不良な群では毒性が重篤化する懸念がある。観察研究のみのためエビデンスの強さは「C(弱い)」に留まると評価されたが、得られる臨床的利益の大きさから、総合的な効果のバランスはGA実施を強く支持している。CQ3 80歳以上の初発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対してドキソルビシンを含む薬物療法は推奨されるか?推奨:80歳以上の初発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対してドキソルビシンを含む薬物療法を行うことを弱く推奨する。ただし、ドキソルビシンのdose intensityを考慮する必要がある。推奨のタイプ:当該介入の条件付きの推奨エビデンスの強さ:C DLBCLは標準治療であるR-CHOP療法により、半数程度の治癒が見込まれる。しかし、ドキソルビシンは心毒性が問題となり、心疾患の併存が多い高齢者では、血液毒性や粘膜障害のリスクも相まって使用が躊躇されることがある。そこで本CQでは、80歳以上の未治療DLBCL(日本人含む)を対象に、ドキソルビシンを含むレジメン(R-CHOP、R-miniCHOP、R-THP-COPなど[介入群])とドキソルビシンを含まないレジメン(R-CVP、R-benda、ステロイド単剤、支持療法など[対照群])のアウトカムを評価した。文献検索の結果、ドキソルビシンの有無を直接比較したRCTは該当せず、12件の前向き・後ろ向き観察研究などが採用された。介入群の2年OS率は60〜70%、2年PFS率は50〜60%と良好で、対照群と比較して一貫して優れた治療効果が示された。ドキソルビシンを50%程度に減量した介入研究では、心毒性が2〜5%、治療関連死亡が0〜5%と許容範囲に収まっていた。しかし、通常量を投与した観察研究では、治療関連死亡が20%に達するという報告もあり、投与量に配慮が必要と評価された。

5.

第314回 1人の女性の3つの自己免疫疾患が元凶のB細胞を駆除する自己T細胞投与で解消

ドイツの1人の女性を苛む3つの自己免疫疾患が、それらの元凶の悪辣なB細胞を駆除するように仕立てた自己T細胞で雲散霧消し、かつては10あまりの治療を受けたのが嘘のように、さらなる治療なしで1年超を無事で過ごせています1-3)。3つの自己免疫疾患はどれも免疫系の狼藉なB細胞が作る自己抗体に端を発します。その1つの自己免疫性溶血性貧血(AIHA)は、自己抗体が赤血球を破壊することを原因とします。あと2つの自己免疫疾患の症状はまるで正反対で、その1つは血小板への自己抗体を原因とする免疫性血小板減少症(ITP)で、出血を生じやすくします。もう1つの抗リン脂質症候群は、凝固を防ぐタンパク質への自己抗体を原因とし、ITPとは反対に血栓症を生じやすくします。診断の後に女性は抗体薬、ステロイド、免疫抑制薬を含む9種類の治療を試みました。長期の高用量ステロイド投与は唯一のめぼしい治療ですが、免疫系全般を抑制する故に感染症の危険と背中合わせです。そのステロイドでさえ歯が立たず、さらには最先端も免疫抑制薬の手にも負えず、女性は診断から10年超を経た2025年、47歳のときにドイツのエルランゲン大学病院の血液専門医Fabian Muller氏のチームの下へ救急搬送されました。Muller氏のチームは、自己免疫疾患のキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法の先駆けの試験で知られ、2022年には全身性エリテマトーデス(SLE)患者5例がその治療で寛解したことを報告しています4)。貧血の治療に毎日の輸血を要し、血栓症を防ぐための抗凝固薬を続けていた女性にMuller氏らは、同氏いわく最後の砦であったCAR-T細胞療法を施しました。投与したCAR-T細胞は女性から採取したT細胞を加工して作られ、B細胞のタンパク質のCD19を認識します。その働きによりB細胞を見つけ出し、除去することができます。体内で分裂でき、その効果は投与後に数年、なんなら10年も持続しうることが知られます。痛みや疲れで何週間も寝たきりで過ごすこともあった女性へのCAR-T細胞投与の効果は目覚ましく、その投与の1週間後を最後に輸血が不要になりました。2週間も経つと女性はより力がみなぎっていると感じ、日々の所作が可能になりました。3週間後には赤血球のタンパク質のヘモグロビン量が倍増して正常域となり、どうやら免疫系は赤血球を破壊しなくなっているようでした。血栓と関連する抗リン脂質抗体は徐々に減って見当たらなくなり、血小板数も安定に推移するようになりました。一回きりのCAR-T細胞投与から14ヵ月経つ今日、女性は薬を一切使うことなく無症状で過ごせています3)。がんのCAR-T細胞療法の先駆者の1人のCarl June氏によると、今や種々の自己免疫疾患のCAR-T細胞療法の200あまりの臨床試験が進行中です。これまではCAR-T細胞療法といえば主に白血病などの血液がんが相手でしたが、自己免疫疾患を治療するCAR-T細胞療法の承認がSLE、筋炎、強皮症用途を皮切りにして続くだろうとJune氏は予想しています3)。いくつかは向こう2~3年以内に米国で承認に漕ぎ着けそうです。参考1)Korte IK, et al. Med. 2026 Apr 9. [Epub ahead of print]2)CAR-T therapy drives remission in patient with three autoimmune diseases / Eurekalert3)One woman, three autoimmune diseases: CAR-T therapy vanquishes ultra-rare disease trio / Nature4)Mackensen A, et al. Nat Med. 2022;28:2124-2132.

6.

体内CAR-T細胞生成による多発性骨髄腫治療、ESO-T01の第I相試験結果/Nat Med

 体内でのCAR-T細胞の生成は、体外培養やリンパ球除去を省略できるため、細胞療法へのアクセスを簡素化・迅速化する可能性がある。今回、再発・難治性多発性骨髄腫の成人患者を対象に、体内でCAR-T細胞を生成するレンチウイルスベクターであるESO-T01の安全性と忍容性を評価した第I相試験の結果を、中国・Huazhong University of Science and TechnologyのNing An氏らがNature Medicine誌オンライン版2026年3月25日号に報告した。 ESO-T01は、ナノボディ指向性の免疫遮蔽レンチウイルスベクターで、ヒト化抗B細胞成熟抗原(BCMA)CARをコードしている。本試験では、白血球アフェレーシス、体外培養、リンパ球除去化学療法を実施せずに、0.2×109形質導入単位を静脈内に単回投与した。前治療歴の多い男性患者5例(治療ライン中央値:3)が連続して登録され、追跡期間中央値は6.0ヵ月であった。主要評価項目は安全性、忍容性、副次評価項目は有効性、薬物動態、薬力学などであった。 主な結果は以下のとおり。・全例でGrade3以上の有害事象が認められた。・サイトカイン放出症候群が4例(Grade3が3例、Geade2が1例)に認められ、副腎皮質ステロイド、トシリズマブ、支持療法で管理された。・最も多かった毒性は一過性の血球減少および可逆的な肝酵素値の上昇で、Grade2の感染症が3例に認められた。・Grade1の免疫エフェクター細胞関連神経毒性が1例に認められ、骨髄外病変に関連する脊髄圧迫により死亡した。・5例中4例で奏効が得られ、うち3例は厳格な完全寛解であった。・評価可能な奏効例(4例)すべてで、60日目までに微小残存病変陰性(10-5)が確認された。

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『大型血管炎診療ガイドライン』改訂、治療のCQ推奨が新設/日本循環器学会

 大血管炎の高安動脈炎(TAK)や巨細胞性動脈炎(GCA)、そしてバージャー病に関する治療エビデンスや診断基準などをまとめた『2026年改訂版 大型血管炎診療ガイドライン』1,2)が8年ぶりに改訂された。第90回日本循環器学会学術集会(3月20~23日)会期中の3月20日に発刊され、本ガイドラインの研究班長を務めた中岡 良和氏(国立循環器病研究センター研究所副所長/血管生理学部長)が本学術集会プログラム「ガイドラインに学ぶ2」において、改訂点などを解説した。CHCC 2012における疾患分類と本ガイドラインで扱う疾患 血管炎は血管壁に炎症を認める疾患の総称で、多臓器を障害するため診療科横断的に多くの専門医の関与が必要とされる領域である。疾患分類は「CHCC 2012 血管炎の分類基準」に基づき、大型血管炎(TAKとGCA)、中型血管炎(結節性多発動脈炎[PAN]、川崎病)、小型血管炎(免疫複合体型小型血管炎、IGA血管炎ほか)3)とされる。一方で、バージャー病はこの分類には記載されていないが、「難治性血管炎の医療水準・患者QOL向上に資する研究」4)の大型血管炎臨床分科会の調査対象であること、循環器医が関与する疾患であること、そして前版(2017年版)でも対象範囲としていたことから、本書でも大型血管炎の2疾患とともにバージャー病を対象疾患とした。ステロイド抵抗性症例に対するCQ推奨を設定 今回、本書で取り扱う大血管炎(TAK、GCA)の2疾患は、希少疾患であるもののエビデンス収集という難しい局面を乗り越え、治療レジメンに対する全9項目のクリニカルクエスチョン(CQ)とそれに対する推奨がPart1(診療ガイドライン)の項で取り扱われている。TAKとGCAはいずれもステロイド(グルココルチコイド:GC)により一時的な寛解に至るものの、減量過程で半数以上に再燃がみられるため、GC治療抵抗性症例の治療選択肢を明らかにするため、ステロイド抵抗性症例に対するCQ推奨が設定された。中岡氏は、「システマティック・レビュー(SR)チームがTAKとGCAのRCT論文をMindsのGRADEシステムに準拠した最新研究などのSR結果をガイドライン発刊に先駆けて論文報告した5)。そして、近年ではステロイド治療に加えて、IL-6阻害薬トシリズマブなどが汎用されるようになったため、エビデンスの確実性や益と害について各CQと推奨で言及している」と説明した。 なお、中型血管炎であるPANも循環器医が臨床現場で遭遇する可能性があること、『ANCA関連血管炎診療ガイドライン2023』での記載がないことを踏まえ、本書第6章で取り上げている。また、バージャー病はPart2(各疾患の基礎と臨床)でのみの取り扱いであることには注意したい。 次に、本書を手に取るうえで理解しておきたい各疾患の特徴を以下のように示す。―――――――――――――――――――【高安動脈炎(TAK)】・病名:高安動脈炎に統一(大動脈炎症候群、高安病、脈なし病などと呼ばれているため)・患者数:4,642例(2022年度難病受給者証所持者数)・男女比:1対8~9と女性が圧倒的に多い・発症年齢:女性は20歳前後にピーク、男性ははっきりしたピークがない・年齢分布:50代が多い・患者背景:HLA-B52陽性患者が多く、陽性者はグルココルチコイド治療抵抗性症例が多い・合併症:潰瘍性大腸炎罹患者が8%前後存在・地域差:アジアに多く、欧米に少ない【巨細胞性動脈炎(GCA)】・病名:以前は側頭動脈炎、Horton病などが使用されていた・患者数:2,850例(2023年度医療費受給者証所持者数)・男女比:1対2~3で女性がやや多い・年齢分布:50歳以上にみられ、70~80代でピーク・合併症:リウマチ性多発筋痛症が約30~40%にみられる・地域差:欧米に多く、アジアに少ない【バージャー病】・病名:閉塞性血栓血管炎とも呼ばれる・患者数:2,259例(2019年度特定医療費[難病]受給者証所持者数)で、近年減少傾向・男女比:若年発症でヘビースモーカーの男性に好発する・原因:作用機序などは不明だが、喫煙との関連が推察される―――――――――――――――――――TAKでのトシリズマブ併用、GCAの大動脈瘤リスク 上記を踏まえ、TAKの治療について、「治療アルゴリズムでは、まず疾患活動性を評価したうえでステロイド治療を開始する。欧米のガイドラインでは初期から免疫抑制薬を併用することが推奨されているが、本書CQ1(TAKの治療ではどのようなレジメンが有用か?)では、GCの早期減量が必要な症例に対し、トシリズマブ併用を選択肢とする推奨を示した」と強調した。 続いてGCAについて、「全身症状に加え、血管分布に応じて症状が出現する。外頸動脈の領域では血管狭窄に伴い、側頭部の痛み(顎跛行、舌跛行など)がみられる。内頚動脈の領域では失明や脳梗塞の原因になるほか、近年では大動脈瘤などを来すため、循環器領域でも注目されている」と指摘。診断基準は、現状、国内では1990年ACR分類基準が利用されているが、2022年ACR/EULARベースに日本語版の策定を進めているため、従来の1990年ACR分類基準と欧米で用いられている2022年ACR/EULAR分類基準が併記されている。さらに、トシリズマブの適応について「(確定診断ならびに疾患活動性の評価後に)トシリズマブを併用することでステロイドが減量できる点は50歳以上の患者でステロイドによる副作用を回避できるメリットがあるため、治療アルゴリズムにおいて、矢印を太字で示した。なお、昨年のNEJM誌において有用性が示されたJAK阻害薬ウパダシチニブは今回のアルゴリズムには反映されておらず、改めて検討される予定となっている」と説明した。 バージャー病については、「早期診断のため、診断基準の改訂を望む意見が多くあったため、2024年に一度改訂を行っている。本疾患として相違ない症状を呈し、血管画像検査所見が本疾患の特徴と合致し、ほかの疾患と鑑別できれば、診断可能」と解説した。「妊娠・出産」に関するコラムを新設 本書はわが国の大型血管炎の診療レベルを標準化し、日本全国どこにおいても患者が同じような治療を受けられるようにすること、患者の生活の質(QOL)と予後を改善させることを目的とし、大型血管炎の診療に関わる医師、医療専門職および大型血管炎の患者を利用者と想定して作成された。 最後に、今回新たに盛り込まれたコラムのうちTAK患者の妊娠・出産の項目を例に挙げ、「TAKの発症は10~20代の若年女性に多く見られるため、患者に妊娠をすること自体がリスクを伴う現実を伝えることも必要と判断されたため、コラムで妊娠・出産にも触れている。TAKを有する患者では妊娠が禁忌とされていたが、妊娠前に炎症をコントロールすることで妊娠・出産が可能であることや管理の軸について記した」と締めくくった。日本循環器学会(JCS)学術集会まとめページはこちら

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デュピルマブ、水疱性類天疱瘡の適応追加/サノフィ

 サノフィは2026年3月23日、水疱性類天疱瘡に対するデュピルマブ(商品名:デュピクセント)の製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。水疱性類天疱瘡は、自己免疫性の表皮下水疱を生じるまれな疾患で、本邦では指定難病とされている。全身に強い痒みや水疱、紅斑、びらん、痛みを伴い、再発を繰り返すため、日常生活に深刻な影響を及ぼす。主に高齢者に発症し、標準治療にはステロイド薬や免疫抑制薬が使用されるが、長期使用による合併症や副作用への影響が指摘されている。 今回の承認は、中等症~重症の成人水疱性類天疱瘡患者106例を対象とした第II/III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験(ADEPT試験)の結果に基づいている。被験者はプラセボ群とデュピルマブ群に1:1で割り付けられ、治療開始時より経口ステロイド薬(OCS)を基礎治療として投与された。治療期間中は、すべての被験者について治験実施計画書で定義したOCS減量レジメンに従い、デュピクセント投与開始後6~16週にかけて疾患活動性が2週間コントロールされていればOCSの漸減を進めた。 主要評価項目である36週時に寛解持続を達成した患者の割合は、デュピルマブ群は18.2%、プラセボ群は4.0%であった(p=0.0250)。寛解持続の達成は、16週までに完全寛解かつOCS漸減を完了し、36週までの投与期間中に再燃が生じることなく、レスキュー療法を必要としないことと定義された。安全性データは、これまでデュピルマブで確立されている安全性プロファイルと同様であった。なお、水疱性類天疱瘡の適応症について、2025年3月にデュピルマブは希少疾病用医薬品に指定されている。<製品概要> ※下線は変更箇所商品名:デュピクセント皮下注300mgペン/同300mgシリンジ、デュピクセント皮下注200mgペン/同200mgシリンジ一般名:デュピルマブ(遺伝子組換え)効能又は効果:<300mgペン、300mgシリンジ>既存治療で効果不十分な下記皮膚疾患・アトピー性皮膚炎注)・結節性痒疹・特発性の慢性蕁麻疹・中等症から重症の水疱性類天疱瘡・気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)注)・慢性閉塞性肺疾患(既存治療で効果不十分な患者に限る)注)・鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(既存治療で効果不十分な患者に限る)注)<200mgペン、200mgシリンジ>既存治療で効果不十分な下記皮膚疾患・アトピー性皮膚炎注)・特発性の慢性蕁麻疹・気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)注)注)適使用推進ガイドライン対象用法及び用量(抜粋):〈水疱性類天疱瘡〉通常、成人にはデュピルマブ(遺伝子組換え)として初回に600mgを皮下投与し、その後は1回300mgを2週間隔で皮下投与する。

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爪白癬治療薬の推奨度に変化「皮膚真菌症診療ガイドライン2025」

 新たな白癬菌抗原キットの保険収載、爪白癬に対する経口抗真菌薬のエビデンスの蓄積、耐性株の出現などを背景に、6年ぶりの改訂版となる「皮膚真菌症診療ガイドライン2025」が2025年12月に公開された。ガイドライン策定委員会の委員長を務めた福田 知雄氏(埼玉医科大学総合医療センター)に、改訂のポイントと実臨床での活用について話を聞いた。足白癬・爪白癬の患者数は70代にピーク、80代以上の患者が増加 現在、日本人の7人に1人が足白癬、13人に1人が爪白癬に罹患していると推測される。このデータは16年ぶりに実施された足白癬・爪白癬の潜在罹患率調査(Foot Check 2023)1)によるもので、前回調査(Foot Check 2007)と比較すると減少傾向にある。この減少については、2023年の調査がより厳しい確定診断の条件を課していたことによる影響、新規抗真菌薬の治療効果により潜在罹患率が減少した可能性が考えられるという。 また、5年ごとに実施される全国調査の最新結果(2021年)2)では、足白癬・爪白癬の患者数はともに70代にピークがみられ、80代以上の足白癬患者は前回調査と比較して12.1%から16.7%に、爪白癬患者は17.6%から21.9%へ増加している。福田氏は、同調査結果のこれまでの経年変化をみても、足白癬・爪白癬ともに患者の高齢化傾向が続いていると指摘した。新たな白癬菌抗原キットの使いどころ 2022年、新たな白癬菌抗原キット(商品名:デルマクイック爪白癬)が保険収載された。同キットは、抽出液で爪甲中の白癬菌抗原を抽出し、免疫クロマトグラフィーの原理で検体中の白癬菌抗原を検出するもの。福田氏は「真菌検査の主軸はKOH直接顕鏡と真菌培養であることに変わりはない」とし、ガイドラインでも同キットはKOH直接鏡検の補助検査として位置付けられている。 KOH直接顕鏡は簡便で繰り返し検査可能な優れた検査であるが、経験豊富な医師では検出率が高くなる一方、不慣れな医師の場合は検出率が低くなる傾向がある。福田氏は、「同キットは検体採取の熟練度や菌の特性によらず検出が可能なため、併用することで不慣れな医師は誤診を減らすことができ、経験豊富な医師にとっても偽陰性を防ぐために活用できる」と話した。顕微鏡のない施設や訪問診療などでも、迅速なスクリーニングのための活用が期待される。爪白癬へのイトラコナゾールは推奨度Bに、ホスラブコナゾールはエビデンス増 爪白癬に対する内服薬として、前版ではテルビナフィン、イトラコナゾール、ホスラブコナゾールの3剤がいずれも推奨度A(行うよう強く勧める)と判定されていた。3剤を直接比較したデータはないものの、テルビナフィンとの比較においてイトラコナゾールはやや有効性が劣るという報告があること、併用禁忌・併用注意薬が非常に多いことから、今回は推奨度B(行うよう勧める)に引き下げられた。 2018年に発売されたホスラブコナゾールについては、前版発行後にいくつかのリアルワールドデータが報告され、いずれも臨床試験と同等あるいは上回る有効率が確認された。75歳以上の高齢者を対象とした試験、難治性・再発症例への追加投与・再投与について検討した試験においても有効性と安全性が確認されている。福田氏は、「他の薬剤にもいえることだが、推奨期間の投与を終えても治癒しない症例がある。ホスラブコナゾールの場合、12週の投与で治癒が期待できる症例は6割程度とされる。治りきらない症例においてどのような対応をすればよいのかがエビデンスとして示された点は大きい」と話す。テルビナフィンとの比較においては、薬価が大きく異なる点にも留意が必要となる。内服可能な症例には、まず内服薬でしっかり治すことが原則 現在爪白癬に対する外用薬として選択できる2剤については、ともに有効率は15%前後とされるが、実臨床では外用薬が優先して使われている。外用薬はリスクが低く使いやすいが、有効率は内服薬のほうが明確に高いことが示されており、福田氏は「外用薬と内服薬どちらも投与可能な患者さんに対しては、まず内服薬を使うことを推奨したい」と話した。ただし、高齢患者が増えている中で、多剤併用の観点などから外用薬を選択するケースもあるとし、「外用薬で治療を開始して、治癒が得られなかった場合に内服薬に切り替えるという選択もありえる」とした。ペット由来など、近年注意が必要な原因菌 現状、耐性株の出現率は日本では低く、実臨床では1~3%と推定される。注意が必要なのはテルビナフィンに対する耐性株だが、アゾール系(イトラコナゾール、ホスラブコナゾール)に対する耐性株も今後出てくる可能性はあり、福田氏はその可能性を認識しておくことが重要とした。今回のガイドラインでは各CQで耐性株に対するコメントも記載されている。 原因菌に関して、近年分類法が変更・精度が向上し、名称や分類が一部変更されている。今回のガイドラインでは、「留意すべき皮膚真菌症」として以下の4項目について記載が追加された。1.動物から感染する皮膚真菌症 ペットの多様化などにより、ヒトからヒトへの感染だけでなく、動物からの感染もあるということを認識しておく必要がある。例:ペットのデグーに由来するTrichophyton benhamiae var. luteum、ネコからのSporothrix globosaなど(本邦での報告はなし)2.Trichophyton tonsurans感染症 本邦では2000年頃より柔道、レスリングなどの格闘技選手間での集団発生が多発した。近年報告症例は減少しているものの、撲滅はできていない。3.耐性菌の中心となる可能性のあるTrichophyton indotineae 本邦に在留中のインド人の体部白癬から分離された。海外で安価で入手されるステロイド外用薬と抗真菌薬、抗菌薬配合のOTC外用薬の乱用が感染拡大に関与している可能性が指摘されており、本邦でもTrichophyton indotineaeによる体部白癬を繰り返す症例の報告が徐々に増加している。4.死亡率の高い侵襲性医療関連感染症を引き起こすCandida auris 本邦で見つかった株だが、世界的に急速に拡大している。現在は本邦では少数ではあるが分離はされており、認識しておく必要がある。

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HR+/HER2-/PIK3CA野生型進行乳がん、gedatolisibベースの治療でPFS改善(VIKTORIA-1)/JCO

 CDK4/6阻害薬とアロマターゼ阻害薬による治療後に進行したHR+/HER2-/PIK3CA野生型の進行乳がんを対象に、PI3K/AKT/mTOR(PAM)経路を包括的に阻害するgedatolisib+フルベストラント±パルボシクリブ併用療法とフルベストラント単剤療法を比較した第III相VIKTORIA-1試験の結果、gedatolisibベースの併用療法は無増悪生存期間(PFS)において統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善をもたらしたことを、米国・ワシントン大学のSara A. Hurvitz氏らが明らかにした。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2026年3月9日号掲載の報告。 VIKTORIA-1試験は、国際共同非盲検ランダム化第III相試験で、PIK3CAの状態に基づいてコホート1(PIK3CA野生型)とコホート2(PIK3CA変異型)に分けられている。今回はコホート1の結果が報告された。 研究グループは、2022年12月5日~2025年1月23日に23ヵ国147施設で患者を登録した。対象は、CDK4/6阻害薬およびアロマターゼ阻害薬による治療中または治療後に病勢進行が認められたHR+/HER2-/PIK3CA野生型進行乳がん患者392例で、下記の治療に1:1:1の割合で無作為に割り付けられた。(1)3剤併用群:gedatolisib(180mgを28日サイクルの1・8・15日に静脈内投与)+パルボシクリブ(125mgを28日サイクルの1~21日に経口投与)+フルベストラント(500mgを初回の28日サイクルの1・15日に筋肉内投与、その後は4週ごと)(2)2剤併用群:gedatolisib+フルベストラント(3)フルベストラント単剤群 主要評価項目は盲検下独立中央判定(BICR)によるPFSで、副次評価項目は全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性などであった。データカットオフ時点(2025年5月30日)での追跡期間の中央値は10.1ヵ月であった。 主な結果は以下のとおり。・3剤併用群は131例、2剤併用群は130例、フルベストラント単剤群は131例であった。・ベースライン時の患者特性はバランスがとれていた。年齢中央値は56歳、閉経後が73%、内臓転移ありが80.4%、以前のCDK4/6阻害薬の治療期間中央値は20.4ヵ月であった。・PFS中央値は、3剤併用群9.3ヵ月(95%信頼区間[CI]:7.2~16.6)、2剤併用群7.4ヵ月(95%CI:5.5~9.9)に対し、フルベストラント単剤群は2.0ヵ月(95%CI:1.8~2.3)であった。フルベストラント単剤群との比較で、3剤併用群および2剤併用群のハザード比(HR)はそれぞれ0.24(95%CI:0.17~0.35)、0.33(95%CI:0.24~0.48)であり、いずれも統計学的に有意な改善が認められた(ともにp<0.001)。・ORRは、3剤併用群31.5%(完全奏効1例を含む)、2剤併用群28.3%、フルベストラント単剤群1.0%であった。・DOR中央値は、3剤併用群17.5ヵ月、2剤併用群12.0ヵ月であった。フルベストラント単剤群では奏効例が1例のみであったため算出不能であった。・OSは現時点では未成熟であり有意差は示されていないが、併用群で改善傾向が認められた(3剤併用群vs.フルベストラント単剤群のHR:0.69[95%CI:0.43~1.12]、2剤併用群vs.フルベストラント単剤群のHR:0.74[95%CI:0.46~1.19])。・安全性プロファイルは、おおむね個々の薬剤の既報と一致していた。3剤併用群、2剤併用群、フルベストラント単剤群でそれぞれ報告されたGrade3以上の治療関連有害事象(TRAE)は、好中球減少症(62.3%、0.8%、0.8%)、口内炎(19.2%、12.3%、0%)、発疹(4.6%、5.4%、0%)、高血糖(2.3%、2.3%、0%)、下痢(1.5%、0.8%、0%)であった。・本試験ではステロイド含有うがい薬の予防的使用が義務付けられており、口内炎が発現してもほとんどの患者は2週間以内にGradeが低下した。・TRAEによる治験薬投与中止は、3剤併用群2.3%、2剤併用群3.1%、フルベストラント単剤群0%に発生した。 本試験の対照群はフルベストラント単剤であり現在の標準治療との直接比較ではない点、また検体不足によりESR1変異別の有効性の評価が行われていない点などに留意が必要である。そのうえで、研究グループは「PAM経路(PI3K/AKT/mTOR)の強力なマルチターゲット阻害薬であるgedatolisibは、CDK4/6阻害薬およびアロマターゼ阻害薬による治療中または治療後に病勢が進行したPIK3CA野生型進行乳がん患者において、パルボシクリブの有無にかかわらずフルベストラントと併用することで、PFSを有意に改善した。これらの知見は、gedatolisibをベースとする併用療法が2次治療における新たな治療選択肢となる可能性を示唆している」とまとめた。 なお、VIKTORIA-1試験のコホート2(PIK3CA変異型)の解析が進められているとともに、内分泌療法抵抗性のHR+/HER2-進行乳がん患者に対する1次治療として、gedatolisib+パルボシクリブ+フルベストラントの有用性を検討する第III相VIKTORIA-2試験も進められている。

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1型糖尿病とCKD併存、フィネレノンがUACRを改善/NEJM

 1型糖尿病患者における慢性腎臓病(CKD)の治療では、30年以上前の研究に基づき、生活習慣、血糖値、血圧の最適化に重点が置かれ、レニン-アンジオテンシン系(RAS)阻害薬が推奨されてきたが、これらの介入はCKDの進行を抑制する効果はあるものの、完全に阻止することはできないとされる。オーストラリア・University of New South WalesのHiddo J.L. Heerspink氏らは「FINE-ONE試験」において、非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬フィネレノンはプラセボと比較して、有効性と安全性の代替指標としての尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を有意に低下させ、高カリウム血症が多くみられるものの重篤な有害事象の頻度に大きな差はないことを示した。研究の成果は、NEJM誌2026年3月5日号で報告された。9ヵ国の無作為化プラセボ対照第III相試験 FINE-ONE試験は、9ヵ国で実施した国際的な二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験(Bayerの助成を受けた)。2024年2月~2025年2月に参加者を登録した。 対象は、18歳以上、1型糖尿病と診断され、CKD(推算糸球体濾過量[eGFR]:25~<90mL/分/1.73m2)およびアルブミン尿(UACR[アルブミンはmg、クレアチニンはgで測定]200~<5,000)を有し、ACE阻害薬またはARBの投与を受けている患者であった。 被験者を、フィネレノンまたはプラセボを経口投与する群に無作為に割り付けた。フィネレノンの用量は、スクリーニング時eGFR≧60mL/分/1.73m2の患者は20mg/日、同25~<60mL/分/1.73m2の患者は10mg/日で開始した。 主要アウトカムは、6ヵ月の時点におけるベースラインからのUACRの相対的な変化量とした。UACRの減少率が25%高い 242例を登録し、フィネレノン群に120例(平均[±SD]年齢51.3[±14.2]歳、女性34.2%)、プラセボ群に122例(51.9[±13.2]歳、35.2%)を割り付けた。 UACR中央値は、フィネレノン群でベースラインの574.6から6ヵ月時に373.5へ低下し、プラセボ群では506.4から475.6へ低下した。 この6ヵ月間で、UACRは、フィネレノン群で34%の減少(ベースラインとの最小二乗幾何平均比:0.66、95%信頼区間[CI]:0.60~0.73)、プラセボ群で12%の減少(0.88、0.79~0.98)であった。これは、プラセボ群に比べフィネレノン群で25%高い減少率を示したことになり、有意に優れた(6ヵ月時のプラセボ群との最小二乗幾何平均比:0.75、95%CI:0.65~0.87、p<0.001)。血圧、HbA1c値、体重の変化に差はない 最も頻度の高い有害事象は高カリウム血症であった(フィネレノン群12例[10.1%]、プラセボ群4例[3.3%])。高カリウム血症のためフィネレノンの投与を中止した患者は2例(1.7%)だった。また、重篤な有害事象の頻度は両群で同程度であった(14例[11.8%]、14例[11.5%])。 6ヵ月時のeGFRの変化量は、フィネレノン群で-5.6mL/分/1.73m2、プラセボ群で-2.7mL/分/1.73m2であった(群間差:-2.9mL/分/1.73m2、95%CI:-5.1~-0.7)。6ヵ月以降のウォッシュアウト期間中に、フィネレノン群のeGFR値はベースラインの値に近づいた。 6ヵ月の時点で、収縮期血圧のベースラインからの変化量の両群間の差は-0.9mmHg(95%CI:-4.3~2.6)、拡張期血圧の変化量の差は-1.3mmHg(-3.4~0.9)であり、いずれもフィネレノン群のほうが変化量は大きかったが、有意な差はなかった。また、両群とも、糖化ヘモグロビン(HbA1c)値や体重に有意な変化を認めず、群間差は小さかった。高リスクのサブグループでも有効な可能性 著者は、「ガイドラインに基づく薬物療法(ACE阻害薬、ARBなど)に加えフィネレノンを投与すると、プラセボに比べより大きなUACRの低下が得られ、この効果は、ベースラインのeGFRが最も低い(<45mL/分/1.73m2)集団(最小二乗幾何平均比:0.74、95%CI:0.57~0.97)およびUACRが最も高い(>1,000)集団(0.91、0.70~1.18)といった腎および心血管の有害なアウトカムのリスクがきわめて高いサブグループにおいても同様であった」としている。 なお、著者は考察で「本試験は地理的に多様なCKD合併1型糖尿病患者を対象としたものの、被験者の約3分の2が男性であったことから、これらの知見は試験コホートと同様の特徴を共有する患者にのみ適用可能であり、一般化はできない」と指摘している。

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HFpEF診療で期待のフィネレノン、適格患者と注意点とは/バイエル

 非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)フィネレノン(商品名:ケレンディア)は、これまで2型糖尿病かつ慢性腎臓病患者の心不全発生予防に対し有効性が示されていたが、2025年12月22日、新たに「慢性心不全」の適応を取得した。 これを受け、バイエル薬品は2月19日にプレセミナーを開催。昨年の第89回日本循環器学会学術集会で本剤の研究結果や日本人サブ解析データを発表した絹川 弘一郎氏(富山大学第二内科 教授/日本心不全学会理事長)と佐藤 直樹氏(かわぐち心臓呼吸器病院 副院長/循環器内科)が登壇し、心不全治療の課題やフィネレノン処方時の注意点などについて解説した。HFpEFに投与を考慮すべき、異例のスピードでガイドライン推奨 2025年3月発刊の『2025年改訂版 心不全診療ガイドライン』において、フィネレノンの位置付けは大きく変貌を遂げた。従来の適応に加え、左室駆出率が軽度低下した心不全(HFmrEF)や左室駆出率が保持された心不全(HFpEF)における薬物治療の推奨とエビデンスが加わった(症候性のHFpEFに対して、心血管死または心不全増悪イベントの抑制を目的としてMRA(フィネレノン)の投与を考慮する[推奨クラスIIa・エビデンスレベルB-R])。この適応拡大に至った背景について、絹川氏は「FINEARTS-HF試験で予後改善効果が示された」と説明し、適応取得前にガイドラインに掲載された異例のスピード感について、「それだけ現場の期待が大きかったことの表れ」と述べた。非ステロイド骨格による炎症/線維化抑制への期待 上記を踏まえ、絹川氏は「心不全診療の現状と課題:左室駆出率の保たれた心不全とは?」と題し、HFpEF診療におけるフィネレノンの可能性を解説。これまで心不全診療の中心はHFrEFであり、心不全~全身臓器の機能低下や各種ホルモンの上昇といった多臓器連関をブロックするため、近年ではARNI(ACE阻害薬/ARB)、β遮断薬、MRA、SGLT2阻害薬の4剤を併用するファンタスティック・フォーが基本治療とされてきた。その一方で、この20年で増加傾向にあるHFpEFには、HFrEFに準じた治療で有効性が見いだせていなかった。 また以前より、HFpEFの背景にある生活習慣病などのリスク因子を有する患者では、ミネラルコルチコイド受容体(MR)が過剰活性化を起こし、これが心不全の増悪・進行の原因であることは示されていたため、これまで、MRAの1つでステロイド骨格を有するスピロノラクトンでHFpEFに対する有効性が試験されるも、予後改善のエビデンスを得るには至らなかった。これに対して、非ステロイド骨格のフィネレノンは、FINEARTS-HF試験で有効性を示したのである。その理由について同氏は「ステロイド骨格の有無による効果の違いは現時点では明らかではないが、非ステロイド骨格のMRAは、炎症/線維化遺伝子発現を誘導するcofactor(共役因子)と結合しない点が大きいのではないか」と見解を示した。1年予後改善のため、安易な中止は逆効果に 続いて佐藤氏は、「心不全治療はケレンディアによってどう変わるのか?―ケレンディアの対象となる患者像は?―」と題し、フィネレノンのガイドラインでの推奨根拠となったFINEARTS-HF試験に基づき、日本人の適格患者を以下のように示した。<適格患者>―――――――――――――・年齢≧40歳・NYHA心機能分類 II~IV・左室駆出率≧40%・eGFR≧25mL/min/1.73m2・血清カリウム値≦5.5(5.0mmol/L)・SGLT2阻害薬併用可――――――――――――――――――― フィネレノンは、上述のようにガイドラインにおいて“投与を推奨すべき”という位置付けが示されたものの、腎機能やカリウム値のモニタリングが不可欠である。同氏は「除外基準としてeGFR、血清カリウム値について考慮する必要がある」と前置きし、「非ステロイド性MRAを開始できない、あるいはすぐに中止してしまうといった処方医の過度な慎重さが逆に患者の不利益につながりかねない」と注意喚起し、処方医らの不安を払拭する材料として、AHA2024で発表された知見に触れ、血清カリウム値が一時的に5.5mmol/Lを超えた症例においても、フィネレノンの臨床的効果が維持されていたデータを示した。また、FINEARTS-HF試験サブグループ解析結果から、フィネレノンをSGLT2阻害薬服用患者にアドオンすることによる利点、有効性・安全性についても言及した。 最後に同氏は「予後改善目的でフィネレノンを投与することを常に念頭に置いて処方検討を行うことが重要」とし、「フィネレノンは血清カリウム5.5mmol/Lまでは投与可能だが、フィネレノン、RAS阻害薬、SGLT2阻害薬で血清クレアチニン値の急な上昇がみられることがある。ただし、これは必ずしも腎機能悪化を示すものではなく、これらの治療は腎機能改善と関連している。そして、心不全診療において、安易な反射的中止が課題になっており、診療ガイドラインに基づく薬物療法(GDMT)の中止が心不全の転帰悪化に影響する」と患者の利益を最優先した基準の順守ならびにモニタリングの実施をHFpEF診断にあたる医師に向けて訴えた。 

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PPIやNSAIDsの併用、ICIの有効性に影響せず

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)治療中、プロトンポンプ阻害薬(PPI)、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの一般的な併用薬が治療効果に影響するとの報告があるが、その因果関係には議論がある。米国・ミシガン大学のDaria Brinzevich氏らは、米国退役軍人保健局(VHA)の全国データベースを用い、非小細胞肺がん(NSCLC)患者における一般的併用薬とICI治療成績の関連を検証した。Cancer誌オンライン版2025年12月15日号掲載の報告。 2005~23年に治療を受けたStageIVのNSCLC患者のうち、1次または2次治療でICI(n=3,739)または化学療法(n=6,585)を受けた患者を対象とした。20種類の薬剤クラス(PPI、ヒスタミンH2受容体拮抗薬、抗菌薬、スタチン、β遮断薬、ACE阻害薬/ARB、NSAIDs、オピオイド、ステロイド、抗凝固薬など)について「治療開始前3ヵ月内の処方」を併用と定義した。主要評価項目は全生存期間(OS)とTTNT(次治療開始までの期間)と併用薬の関連で、傾向スコアに基づく重み付けを用いたCox比例ハザードモデルで解析した。ICI群で名目上有意(p<0.05)な関連が認められた薬剤については、化学療法群でも同様の解析を行い、非特異的な影響を検証した。 主な結果は以下のとおり。・ICI群は男性が97%、60~79歳が81%、ICI+化学療法併用が45%、1次治療が71%だった。対照群(化学療法群)は多くの背景因子でICI群と類似していたが、59歳以下が24%(ICI群9.4%)と若年者が多く、併存疾患もやや少なかった。・ICI群において、20の薬剤クラスの中で15はOSと、14はTTNTと有意な関連を示さなかった。一方で、ループ利尿薬、抗凝固薬、オピオイド、ペニシリン系およびフルオロキノロン系抗菌薬はOS不良と関連した。しかし、これらの関連は化学療法群でも同様に認められ、ICIの特異的な影響ではないことが示唆された。これらの薬剤はICI群においてTTNTの悪化とも関連したが、化学療法群でも同様の関連性が観察された。・抗菌薬(1点)、PPI(1点)、ステロイド(2点)から構成される「immunomodulatory drug score」もICI群でOSおよびTTNT不良と関連したが、化学療法群でも同様の関連が認められた。すなわち、同スコアはICI効果修飾因子ではなく、一般的な予後指標である可能性が高いと考えられた。 著者らは、「本研究では、一般的に処方される併用薬がStageIV NSCLCにおけるICIの有効性を変化させることは認められなかった。従来報告されてきた併用薬とICI効果の関連の多くは、疾患重症度や基礎疾患など、未測定の交絡因子による可能性が高い。ICI治療中であっても、併存疾患の治療を過度に制限する必要はない可能性が示唆される」としている。

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高齢者の術後せん妄の予防に有効な薬物療法とは/BMJ

 術後せん妄の予防に鎮静薬デクスメデトミジンが有効であり、エビデンスの質は高くないもののコルチコステロイド、メラトニン受容体作動薬、parecoxib、経鼻インスリン、オランザピンにも潜在的な有益性があることが、英国・オックスフォード大学のMatthew Luney氏らの検討で示された。手術後に急激な意識障害や注意力の低下を来す術後せん妄は、認知症発症のリスクを高めるだけでなく、多大な医療コストの要因ともなっており、高齢化社会における重大な課題とされるが、有効な薬物療法は確立されていない。BMJ誌2026年2月12日号掲載の報告。158試験4万1,084例のネットワークメタ解析 研究グループは、高齢者の術後せん妄に有効な薬剤を特定し、罹患率や死亡率への影響を評価する目的で、既報の無作為化対照比較試験の系統的レビューとネットワークメタ解析を実施した(英国国立衛生研究所[NIHR]のdoctoral research fellowshipの助成を受けた)。 2024年3月4日の時点で、医学関連データベースに登録された関連文献を検索した。対象は、参加者の年齢が60歳以上で、全身または区域麻酔を要する手術後のせん妄の予防を目的に1つ以上の薬剤を投与し、妥当性の検証が済んでいるせん妄評価ツールをアウトカムの評価に用いた無作為化対照比較試験とした。局所麻酔のみの試験、術前に患者が機械換気を受けていた試験、せん妄の治療介入に関する試験は除外した。ベイズ法に基づくネットワークメタ解析を用いて介入法の比較を行った。 52種類の薬物介入を比較した158件の試験(参加者4万1,084例)を特定した。1件の試験の参加者数中央値は120例(四分位範囲:80~259、範囲:16~7,507)で、単施設試験が135件、多施設共同試験が23件だった。これらの試験の結果はすべて1999~2024年に発表され、87件(55%)は2021~24年に報告されていた。17件の試験を、バイアスのリスクが高いと判定した。術後せん妄は14.5%(5,957例)に発現した。術後の悪心・嘔吐の抑制効果も デクスメデトミジンは、外科領域全体(オッズ比[OR]:0.45、95%信用区間[CrI]:0.36~0.56)、胸部手術を除く各専門領域(非心臓手術のOR:0.41[95%CrI:0.31~0.54]、心臓手術:0.52[0.31~0.82]、大腿骨近位部骨折修復手術:0.35[0.17~0.63]、腹部手術:0.38[0.17~0.81]、整形外科手術:0.35[0.20~0.60]、待機的手術:0.47[0.37~0.59]、緊急手術:0.22[0.08~0.46])のいずれにおいても、プラセボに比べ術後せん妄の予防効果が高く、バイアスのリスクが高い試験を除外した感度分析(OR:0.46、95%CrI:0.36~0.57)でも高い効果を示した。 また、デクスメデトミジンの術後せん妄の予防効果は、手術時の麻酔法を問わず優れた(全身麻酔のOR:0.45[95%CrI:0.35~0.57]、区域麻酔:0.28[0.11~0.64])。 デクスメデトミジンは、低血圧(OR:1.40、95%CrI:1.08~1.81)と徐脈(1.60、1.32~2.00)の頻度が高かった一方で、術後の悪心・嘔吐(0.67、0.49~0.87)を抑制した。重症度軽減はコルチコステロイドのみ バイアスのリスクが高い試験を除外した感度分析で、デクスメデトミジンのほかに優れた術後せん妄予防効果を認めた介入として、コルチコステロイド(OR:0.53、95%CrI:0.31~0.87)、メラトニン受容体作動薬(0.54、0.34~0.85)、parecoxib(0.34、0.16~0.74)、オランザピン(0.27、0.07~0.94)、経鼻インスリン(0.13、0.04~0.34)が挙げられたが、これらの試験のエビデンスの質は中~非常に低いであった。 penehyclidineは、プラセボに比べ術後せん妄を有意に増加させた唯一の介入であった(外科領域全体のOR:6.20、95%CrI:1.19~35.37)。 Memorial Delirium Assessment Scale(MDAS)を用いた評価で、プラセボと比較してせん妄の重症度をわずかとはいえ軽減した薬剤は、コルチコステロイド(平均群間差:-2.42、95%CrI:-4.72~-0.12)のみであった。ほとんどの介入は、入院期間、死亡率、術後合併症、生活の質、術後の認知機能に影響を及ぼさなかった。また、コルチコステロイドにより感染症関連合併症が増加することはなかった(OR:0.97、95%CrI:0.66~1.65)。 著者は、「術後せん妄への介入が、せん妄の重症度、精神的苦痛(患者が重視しているにもかかわらず報告がほとんどない)、生活の質、認知機能、自立度、医療資源の消費量に及ぼす影響を評価し、医療経済分析に資する情報を得るために、厳格に実施される試験が必要なことは明らかである」としている。

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アセトアミノフェンの乳児への処方は安全

 乳児期にアセトアミノフェン(パラセタモール)を使うと、湿疹や喘鳴のリスクが上昇することが、これまでの観察研究で報告されている。こうした中、新たな臨床試験により、アセトアミノフェンとイブプロフェンはいずれも、生後1年以内の乳児にも安全に使えることが示された。これらの市販の鎮痛薬と湿疹や細気管支炎との間に関連は認められなかったという。オークランド大学(ニュージーランド)のStuart Dalziel氏らによるこの研究の詳細は、「The Lancet Child & Adolescent Health」に1月27日掲載された。 アセトアミノフェンと非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は主要な鎮痛薬の一部であり、世界中で小児の発熱や痛みに対して最も頻繁に処方され、市販薬としても広く購入されている。NSAIDsは強い抗炎症作用を持つが胃腸障害を起こしやすい。イブプロフェンはNSAIDsの一種である。一方、アセトアミノフェンには抗炎症作用はほとんどないが、胃腸への負担が少ないという特徴がある。なお、アセトアミノフェンとパラセタモールは、いずれも同じ成分の薬剤だが、国によって呼び名が異なる。 Dalziel氏らは今回、アセトアミノフェンの使用と湿疹や喘鳴のリスク上昇との関連を示した研究結果を踏まえ、ニュージーランドで出生した生後8週間未満の乳児3,908人(女児49.0%)を対象に、アセトアミノフェンとイブプロフェンのどちらを使用した場合に、湿疹や細気管支炎リスクがより高くなるのかを評価した。児は、1歳になるまで必要に応じてアセトアミノフェンのみを使用する群(1,985人)と、イブプロフェンのみを使用する群(1,923人)にランダムに割り付けられた。 その結果、湿疹の発生率は、アセトアミノフェン群で16.2%(322人)、イブプロフェン群で15.4%(296人)であり、両群間に統計学的に有意な差は認められなかった(差0.8%、95%信頼区間−1.5〜3.1)。一方、細気管支炎による入院の発生率は、アセトアミノフェン群で4.9%(98人)、イブプロフェン群で4.3%(82人)であり、同様に有意な差は認められなかった。17人に19件の有害事象が確認されたが(アセトアミノフェン群8人、イブプロフェン群9人)、処方薬剤に関連した事象は認められなかった。 Dalziel氏は、「この結果によって、親も医療従事者も、これらの重要な薬を引き続き安心して使えるようになるだろう」と述べている。 研究グループは、対象とした児童が6歳になるまで追跡し、アセトアミノフェンやイブプロフェンが原因とされてきた他の健康問題が現れないかを確認する予定だとしている。Dalziel氏は、「3歳で喘鳴を呈する小児の3分の2は、6歳時点で喘息を発症していないことが分かっている。そのため、生後1年間におけるアセトアミノフェン使用が喘息を引き起こすかどうかを最終的に判断するには、学齢期まで待つ必要がある」と説明している。さらに、この追跡調査では、自閉症や注意欠如・多動症(ADHD)の発症率についても調べる予定だという。これらの疾患は、ある程度成長してからの方が正確に診断されるためだ。 論文の筆頭著者であるオークランド大学のEunicia Tan氏は、「最終的には、アセトアミノフェンの使用と喘息、湿疹、花粉症、さらには自閉症やADHDといった発達障害との関連について、重要な証拠を提供できるはずだ」とニュースリリースで述べている。

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IgA腎症〔IgA nephropathy〕

1 疾患概要■ 概念・定義IgA腎症は、糸球体性血尿や蛋白尿などの検尿異常が持続し、腎生検で腎糸球体メサンギウム領域を中心としたIgA優位の免疫グロブリン沈着を認め、全身性疾患や慢性疾患など明らかな原因疾患を伴わない原発性糸球体腎炎である。確定診断には腎生検が必須である。■ 疫学IgA腎症は、世界で最も頻度の高い原発性糸球体腎炎であり、わが国を含む東アジアでとくに多いとされる。わが国では学校検尿や健康診断が普及しているため、無症候性血尿・蛋白尿を契機に若年~中年で診断される例が多い。一方、欧米では症候性の症例や腎機能障害を伴って初めて診断される例が多いとされる。■ 病因病因としては、「粘膜免疫異常により過剰産生された糖鎖異常IgA1が、自己抗体や補体と免疫複合体を形成し、糸球体メサンギウムに沈着して炎症と線維化を惹起する」というマルチヒット仮説が提唱されている。遺伝的素因も関与しており、HLA領域や粘膜免疫関連遺伝子の関連が報告されている。■ 症状多くは自覚症状に乏しく、持続する顕微鏡的血尿・軽度蛋白尿のみである。上気道感染や消化管感染の数日後に肉眼的血尿(褐色尿、コーラ色尿)を来す例が典型的である。進行例では浮腫、高血圧、倦怠感など慢性腎臓病(CKD)としての症状が出現する。■ 分類組織学的には腎糸球体メサンギウム増多所見が主体であるが、半月体形成、分節性硬化、全節性硬化など多彩な像をとる。病理重症度評価にはOxford分類(MEST-Cスコア)が広く用いられており、メサンギウム・管内細胞増多、分節性硬化、尿細管萎縮/間質線維化、半月体の有無を評価する。■ 予後かつての長期追跡では、診断後20年で約4割が慢性腎不全に至ると報告され、決して良性の腎炎ではないことが明らかとなった。近年では、早期発見・レニンアンギオテンシン(RA)系阻害薬の普及などにより予後は改善しつつあるが、蛋白尿が持続する例や腎機能障害を伴う例では依然としてCKD進行のリスクが高い。国際IgA腎症予測ツール(International IgAN Prediction Tool)により、臨床所見とMEST-Cスコアを組み合わせた予後予測も行われている。2 診断■ 検査1)尿検査持続する顕微鏡的血尿(尿定性検査に加え、尿沈査分析が必要。しばしば赤血球円柱がみられる)程度の異なる蛋白尿(しばしば0.3~1g/日程度から始まり得る)急性上気道炎や消化管感染後の一過性肉眼的血尿(褐色尿、コーラ色尿)2)血液検査血清クレアチニン、推算糸球体ろ過量(eGFR)で腎機能を評価する。血清IgA値はしばしば高値だが、診断的特異性は高くない。補体価は通常正常であり、低補体血症では他疾患を考慮する。3)腎生検IgA腎症の確定診断には腎生検が必要である。腎生検は、確定診断のみならず予後や治療反応性を予測する上でも重要である。光顕でメサンギウム増殖性糸球体腎炎を示し、免疫蛍光法でメサンギウム優位のIgA沈着(しばしばC3が共に沈着)を認める(図1、2)。病理重症度評価にはOxford分類(MEST-Cスコア)が広く用いられており、メサンギウム・管内細胞増多、分節性硬化、尿細管萎縮/間質線維化、半月体の有無を評価する(表)。「KDIGO 2025国際ガイドライン」では、IgA腎症が疑われる成人で蛋白尿0.5g/日以上が持続する場合、腎生検を考慮することが推奨されている。図1 IgA腎症の代表的な光顕所見画像を拡大する画像を拡大するa:メサンギウム細胞増多(↑)とメサンギウム基質増生(*)b:メサンギウムへの半球状沈着物(↑)c:管内細胞増多を示す糸球体糸球体毛細血管内の細胞数が増加し、管腔が狭小化している(↑)d:係蹄壊死この糸球体では毛細血管基底膜が断裂し(↑)、フィブリンの析出(*)がみられるe:細胞性半月体この糸球体の半月体は、ほとんどが細胞成分で占められているf:線維細胞性半月体この半月体は細胞成分10%以上50%未満で、細胞外基質は90%未満であるg:線維性半月体この半月体は細胞成分10%未満で、細胞外基質が90%以上を占めているh:分節性硬化点線で囲まれた部分に硬化がみられ、硬化はすべての係蹄には及んでいない(参考文献1、2より引用)図2 蛍光抗体法(IgA)画像を拡大する主にメサンギウム領域にIgAが高度に沈着している(参考文献1より引用)表 IgA腎症Oxford分類画像を拡大する■ 鑑別診断IgA腎症と類似する状態として、以下の疾患などと鑑別する必要がある。菲薄基底膜病、アルポート症候群など遺伝性血尿疾患IgA血管炎(ヘノッホ-シェーンライン紫斑病):紫斑、腹痛、関節痛など全身症状を伴う。感染関連糸球体腎炎(とくにMRSA感染に伴うIgA優位の感染関連糸球体腎炎)ループス腎炎など他の自己免疫性腎炎慢性肝疾患に伴う二次性IgA沈着症家族歴を含む臨床背景、血清学的検査、腎生検での所見を総合して診断する。3 治療■ 治療の基本方針治療の第1目標は、蛋白尿をできるだけ低く抑え(目標0.5g/日未満、理想的には0.3g/日未満)、腎機能低下速度を生理的なレベル(年間eGFR低下1mL/分/年未満)に近付けることである。■ 腎保護療法すべての患者に以下の腎保護療法が基本となる。生活習慣介入:減塩(食塩<6g/日が目安)、適正体重の維持、禁煙、適度な運動。血圧管理:目標<130/80mmHg(蛋白尿が多い例ではさらに厳格に)。RA系阻害薬:ACE阻害薬またはARBは蛋白尿減少と腎保護効果のエビデンスがあり、IgA腎症でも第1選択である。SGLT2阻害薬:糖尿病の有無にかかわらずCKD進行抑制効果が示されており、蛋白尿を伴うIgA腎症では追加投与が推奨されている。■ 免疫抑制療法腎保護療法を十分に行っても蛋白尿が持続し、腎機能低下が進行する例では免疫抑制療法を検討する。副腎皮質ステロイド(グルココルチコイド):わが国のガイドラインでは、中等度以上の蛋白尿や組織学的重症例で、一定期間のステロイド療法が推奨されている。ただし、糖尿病、肥満、感染など副作用リスクが高い症例では慎重な適応判断が必要である。扁摘+ステロイドパルス療法:わが国では、口蓋扁桃摘出術とステロイドパルス療法の併用が長年行われており、蛋白尿の寛解や長期予後改善を示す国内データが蓄積している。その他の免疫抑制薬:シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)などについては一定の効果報告もあるが、エビデンスは限定的であり、難治例や特別な状況に限って専門医のもとで検討されるべきである。■ 高リスク例・特殊病型急速進行性糸球体腎炎像(半月体多数、急激なeGFR低下)を示す例では、ステロイド大量療法にシクロホスファミドなどを併用する血管炎に類似した治療が行われるが、エビデンスは限られている。ネフローゼ症候群を呈する微小変化病合併IgA腎症などでは、ステロイド単独でも反応性が良い場合が多い。4 今後の展望■ 新たな診断・予後マーカー血中の糖鎖異常IgA1(galactose-deficient IgA1)やそれに対する自己抗体、補体関連マーカーなどがIgA腎症に特異的なバイオマーカー候補として研究されているが、現時点では診断や治療選択に用いる標準検査としては確立していない。国際IgAN予測ツールや病理MEST-Cスコアを活用したリスク層別化が進み、今後は個々の患者に応じた治療強度の決定に応用されることが期待される。■ 新規治療薬近年、IgA腎症の病態(粘膜免疫・補体・腎保護)を標的とした新規薬剤の開発が急速に進んでいる。標的放出型ブデソニド(Nefecon):回腸末端の腸管関連リンパ組織に到達するよう設計された経口ステロイドで、病的IgA1産生の抑制を目的とする。海外第III相試験では蛋白尿減少とeGFR低下抑制が示され、欧米などで承認されているが、わが国ではまだ使用できない。デュアルET-A/AT1受容体拮抗薬(sparsentan):ARB作用に加えエンドセリン受容体拮抗作用を併せ持ち、蛋白尿減少とeGFRスロープ改善を示している。補体阻害薬:経口補体因子B阻害薬iptacopanをはじめ、C5、C3、レクチン経路などを標的とした薬剤がIgA腎症で検証されており、一部は海外で承認されつつある。B細胞/BAFF・APRIL経路阻害薬:自己抗体産生抑制を目的としたataciceptや他の抗BAFF/APRIL抗体が臨床試験段階にある。「KDIGO 2025国際ガイドライン」では、「病的IgA産生と免疫複合体形成を抑える治療」と「すでに生じたネフロン喪失に伴うCKDの進行を抑える治療」を並行して行う2本立ての治療戦略が提案されている。わが国でも、支持療法にSGLT2阻害薬などを組み合わせつつ、新規薬剤が順次導入されれば、より早期から蛋白尿を強力に抑え、長期腎予後のさらなる改善が期待される。5 主たる診療科腎臓内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター IgA腎症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報難病治験ウェブ(難病に関する治験情報を簡単検索、医療従事者向けのまとまった情報)1)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)難治性腎障害に関する調査研究班 編集. エビデンスに基づくIgA腎症診療ガイドライン 2020. 2020:東京医学社.2)厚生労働省科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業:進行性腎障害に関する調査研究班報告 IgA腎症分科会 IgA診療指針-第3版-補追 IgA腎症組織アトラス.日腎会誌. 2011;53:655-666.3)KDIGO 2025 Clinical Practice Guideline for the Management of Immunoglobulin A Nephropathy (IgAN) and Immunoglobulin A Vasculitis (IgAV).公開履歴初回2026年2月27日

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テゼペルマブ、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の適応追加/AZ

 アストラゼネカは2026年2月19日、テゼペルマブ(商品名:テゼスパイア)について「鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(既存治療で効果不十分な患者に限る)」に対する適応追加の承認を取得したことを発表した。 本承認は、既存治療で効果不十分な18歳以上の鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者を対象とした国際共同第III相無作為化比較試験「WAYPOINT試験」の結果に基づくものである。WAYPOINT試験では、共主要評価項目の鼻茸スコア(NPS)と鼻閉重症度スコア(NCS)が、いずれも有意に改善したことが報告されている。なお、NPSは投与4週時、NCSは投与2週時から改善が認められ、投与52週時まで改善が維持された。 電子化された添付文書の「効能又は効果」「効能又は効果に関連する注意」「用法及び用量」「用法及び用量に関連する注意」「重要な基本的注意」の改訂箇所の記載は、以下のとおり(下線部が追記または変更箇所)。4. 効能又は効果○気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)○鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(既存治療で効果不十分な患者に限る)5. 効能又は効果に関連する注意〈気管支喘息〉5.1 最新のガイドライン等を参考に、中用量又は高用量の吸入ステロイド薬とその他の長期管理薬を併用しても、全身性ステロイド薬の投与等が必要な喘息増悪をきたす患者に本剤を追加して投与すること。5.2 本剤は既に起きている気管支喘息の発作や症状を速やかに軽減する薬剤ではないため、急性の発作に対しては使用しないこと。〈鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎〉5.3 本剤は全身性ステロイド薬、手術等ではコントロールが不十分な患者に用いること。6. 用法及び用量〈気管支喘息〉通常、成人及び12歳以上の小児にはテゼペルマブ(遺伝子組換え)として1回210mgを4週間隔で皮下に注射する。〈鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎〉通常、成人にはテゼペルマブ(遺伝子組換え)として1回210mgを4週間隔で皮下に注射する。7. 用法及び用量に関連する注意〈鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎〉本剤による治療反応は、通常投与開始から24週までには得られる。24週までに治療反応が得られない場合は、漫然と投与を続けないよう注意すること。8. 重要な基本的注意〈効能共通〉8.1 本剤投与中の生ワクチンの接種は、安全性が確認されていないので避けること。8.2 本剤の投与によって合併する他のアレルギー疾患の症状が変化する可能性があり、当該アレルギー疾患に対する適切な治療を怠った場合、症状が急激に悪化し、喘息等では死亡に至るおそれもある。本剤の投与中止後の疾患管理も含めて、本剤投与中から、合併するアレルギー疾患を担当する医師と適切に連携すること。患者に対して、医師の指示なく、それらの疾患に対する治療内容を変更しないよう指導すること。8.3 本剤の投与開始にあたっては、医療施設において、必ず医師によるか、医師の直接の監督のもとで投与を行うこと。自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施した後、本剤投与による危険性と対処法について患者が理解し、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。自己投与の適用後、本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに自己投与を中止させ、医師の管理のもとで慎重に観察するなど適切な処置を行うこと。また、本剤投与後に副作用の発現が疑われる場合は、医療施設へ連絡するよう患者に指導を行うこと。使用済みの注射器を再使用しないように患者に注意を促し、すべての器具の安全な廃棄方法に関する指導を行うと同時に、使用済みの注射器を廃棄する容器を提供すること。〈気管支喘息〉8.4 本剤の投与開始後に喘息症状がコントロール不良であったり、悪化した場合には、医師の診療を受けるように患者に指導すること。

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リツキサン、自己免疫性溶血性貧血の適応追加/全薬工業・中外

 全薬工業および中外製薬は、共同販売を行っている抗CD20モノクローナル抗体のリツキサン点滴静注100mg/同500mg(一般名:リツキシマブ(遺伝子組換え))について、2026年2月19日、「自己免疫性溶血性貧血」の適応追加の承認を取得したことを発表した。 自己免疫性溶血性貧血(AIHA)に対する適応追加は、日本血液学会および日本小児血液・がん学会より開発要望が提出され、2025年7月4日の医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議の評価を経て、同年7月31日の薬事審議会医薬品第一部会で公知申請を行って差し支えないと正式に決定された。これを受け、全薬工業が同年8月29日に公知申請を行い、今回の承認取得に至った。なお、第一部会で決定された7月31日付けで薬事承認を待たずに保険適用となっている。 AIHAは、自己抗体が体温(37℃)近くで反応する温式AIHAと、体温以下の低温条件で反応する冷式AIHA(寒冷凝集素症および発作性寒冷ヘモグロビン尿症)に大別される。温式AIHAでは約80%で副腎皮質ステロイド薬で改善がみられるが、再発が多く、長期投与が必要であり、再発・難治例では脾臓摘出術が行われている。また、寒冷凝集素症では保温が最も基本的な治療法だが、貧血症状、輸血依存、末梢循環障害などの重篤な症状を伴う場合もある。これらの患者に対する治療選択肢の1つとして、国内外の診療ガイドラインではリツキシマブによる治療が推奨されている。 リツキシマブは、造血幹細胞や形質細胞以外のB細胞上に発現するCD20抗原に特異的に結合する抗CD20モノクローナル抗体で、標的となるB細胞を免疫系を用いて攻撃し細胞を傷害する。AIHAでの自己反応性B細胞の活性化や自己抗体の出現に至る病因は十分に解明されていないが、温式AIHAおよび冷式AIHAのいずれも自己抗体の出現が共通して認められることから、リツキシマブによるB細胞除去を介した治療効果が期待されるという。

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多発性硬化症〔MS:multiple sclerosis〕

1 疾患概要■ 定義多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)は、脳・脊髄・視神経からなる中枢神経系に炎症性脱髄が生じる慢性疾患である。病変は時間的多発性(再発)と空間的多発性(中枢神経系のさまざまな場所に病変が生じる)であることを特徴とする。自己免疫機序が病態の中心であると考えられているが、近年は神経変性機序の関与も推定されている。■ 疫学MSは若年成人に多く、20~40代で発症することが多い。女性に多く、高緯度地域で発症率が高い(わが国では北海道に多く、沖縄では少ない)。世界中で約300万人の患者が存在すると推定されている。従来は欧米に多い疾患とされてきたが、近年はアジア地域でも患者数が増加しており、わが国でも有病率は上昇している。診断技術の進歩に加え、環境因子の変化が背景にあると考えられている。■ 病因MSは遺伝的要因と環境因子が組み合わさって発症する多因子疾患である。特定の免疫関連遺伝子が発症リスクに関与する一方で、遺伝要因のみで発症が決まるわけではない。環境因子としては、ビタミンD不足、喫煙、肥満などが知られている。近年、Epstein-Barr virus(EBV)感染がMS発症と強く関連することが示され、免疫異常を引き起こす重要な因子と考えられている。■ 症状MSの症状は多彩であり、病変部位によって異なる。代表的な症状には、視力低下や眼痛(視神経炎)、手足のしびれや脱力、歩行障害、ふらつき、排尿障害などがある。また、易疲労感、疼痛、抑うつ、集中力低下など、外見からわかりにくい症状も多く、患者の日常生活や就労に大きな影響を与える。これらは看護師や薬剤師が関わるケアの場面でとくに重要な視点である。■ 分類MSは臨床経過により以下に分類される。1)再発寛解型(RRMS)再発と寛解を繰り返しながら少しずつ後遺症が蓄積する病型で、最も頻度が高い2)2次進行型(SPMS)RRMSの経過の後に、徐々に再発とは無関係の障害進行(progression independent of relapse activities:PIRA)が生じるようになった病型3)1次進行型(PPMS)発症初期からPIRAを認める病型、まれである以上の病型の理解は、治療方針を考えるうえで重要である。■ 予後現在は治療薬の進歩により、MSの長期予後は大きく改善している。しかし、PIRAの治療は開発途上にあるために、早期診断と治療介入が予後改善には重要である。近年は、治療初期から高い有効性を有する薬剤を導入する“early high-efficacy treatment(eHET)”の考え方が広まっている1)。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)MSの診断は除外診断が基本である。とくに視神経脊髄炎スペクトラム障害やMOG抗体関連疾患は臨床像が類似するため、鑑別が重要である。ほかにも鑑別すべき疾患は多岐にわたり、悪性リンパ腫などの腫瘍性疾患、脳血管障害、膠原病、神経サルコイドーシスや神経ベーチェット病といった炎症性疾患、感染症(梅毒、進行性多巣性白質脳症など)、さらに頸椎症性脊髄症や脊髄空洞症などの脊髄疾患、ミトコンドリア病、HTLV-1関連脊髄症(HAM)、脊髄小脳変性症などが挙げられる。診断には臨床経過、MRI検査、脳脊髄液検査を総合的に評価するMcDonald診断基準が用いられる。本基準の本質は「炎症性脱髄病変が時間的・空間的に多発していること」を確認する点にある。2024年改訂では早期診断を支援する内容が加えられたが、診断はあくまで臨床判断を補助するものであり、慎重な運用が求められる2)。3 治療MSの治療は、再発時に行う急性期治療と、再発や進行を予防する病態修飾療法に大別される。急性期には副腎皮質ステロイドの大量静注療法(ステロイドパルス療法)が行われる。効果が不十分な場合には血漿交換療法が選択されることもある。再発や障害進行を抑えるため、維持期には病態修飾薬が使用される。近年では有効性の高い薬剤が増えており、早期から治療を開始することの重要性が強調されている。わが国で承認されている主要な病態修飾薬を表にまとめる。服薬管理、副作用モニタリング、多職種による支援が治療継続に不可欠である。表 MSの主要な病態修飾薬画像を拡大する4 今後の展望現在、新しい作用機序をもつ治療薬や、より精度の高い画像診断・血液バイオマーカーの研究が進行している。また、EBVを標的とした治療やワクチン研究も注目されており、将来的には個別化医療の実現が期待される。近年、MSの診療は、再発抑制を主目的とした治療から、PIRAの抑制を含む長期的な機能予後改善を目指す方向へと大きく変化している。この流れの中で、治療および診断の両面で新たなアプローチが研究・開発されている。治療分野では、Bruton型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬が新たな病態修飾療法として注目されている。BTK阻害薬は、B細胞の活性化や抗原提示機能を抑制するだけでなく、中枢神経内のミクログリア活性化を抑制する作用を併せ持つ点が特徴である。現在、RRMSに加え、SPMSやPPMSを対象とした第III相臨床試験が進行中であり、既存治療では十分に抑制できなかった進行性病態への効果が期待されている。とくに、PIRAに対する治療選択肢としての位置付けが注目されている。診断分野においては、疾患特異性や病勢評価を高める新たなバイオマーカーの研究が進展している。MRIでは、central vein sign(CVS)やparamagnetic rim lesion(PRL)といった所見が、MSに特徴的な病態を反映する補助的画像指標として注目されている。これらは鑑別診断や慢性活動性病巣の評価に有用である可能性が示されている。一方、体液バイオマーカーとしては、血清・髄液中の神経フィラメント軽鎖(NfL)やκフリーライトチェーン(κFLC)が、疾患活動性や予後予測の指標として臨床応用に近付いている。今後は、これらの新規治療薬および診断技術を組み合わせることで、疾患活動性・進行リスクに基づく層別化医療や個別化治療がより現実的になると考えられる。MS診療は、再発を抑制する医療から、長期的な障害蓄積を最小限に抑える医療へと進化しており、今後も基礎研究と臨床研究の橋渡しが重要となる。5 主たる診療科主な診療科は脳神経内科であるが、眼科、泌尿器科、リハビリテーション科、精神科などとの連携が重要である。看護師・薬剤師を含めた多職種チーム医療が不可欠である。※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト診療、研究に関する情報難病情報センター 多発性硬化症/視神経脊髄炎  (一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)日本神経学会(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)医薬品医療機器総合機構(PMDA)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)MSキャビン(MSCABIN)(多発性硬化症の総合情報サイト:情報共有、患者・支援者向け知識ベース)MS International Federation(国際疫学、研究動向、教育・啓発リソースなど医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報日本多発性硬化症協会(患者とその家族および支援者の会)1)Rotstein D, et al. Nat Rev Neurol. 2019;15:287-300.2)Montalban X, et al. Lancet Neurol. 2025;24:850-865.公開履歴初回2026年2月20日

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肌の色はパルスオキシメーターの測定精度に影響する

 パルスオキシメーターで測定した血中酸素飽和度(SpO2)は、肌の色が濃い人では誤った値を示す可能性があり、医療に影響を及ぼす恐れのあることが、新たな研究で明らかになった。パルスオキシメーターは、肌の色が濃い患者に対しては実際よりも高いSpO2値を示す傾向があり、低酸素状態を見逃してしまう可能性のあることが示唆されたという。パルスオキシメーターは、光を使ってSpO2を測定する。ほとんどの人において、SpO2の正常値は95〜100%であり、90〜92%未満になると医療的注意が必要となる。英プリマス大学周術期・集中治療医学分野のDaniel Martin氏らによるこの研究結果は、「The BMJ」に1月14日掲載された。 本論文の付随論評の著者の1人である米コロラド大学の肺専門医・集中治療専門医であるThomas Valley氏は、「本研究で評価した5種類のパルスオキシメーターは、いずれも肌の色が濃い患者に対して、肌の色が明るい患者よりも高いSpO2を示した。この誤った測定値は、治療に実質的な影響を及ぼす可能性がある」と述べている。同氏はさらに、「医師はSpO2の値に基づいて重要な医療判断を行っている。SpO2が正常値を示せば、救急救命士は患者を病院に搬送しないかもしれないし、救急科の医師は患者を入院させないかもしれない。また、パルスオキシメーターの測定値が不正確な場合、集中治療室(ICU)で治療を受けている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の低酸素状態が適切に判断されず、ステロイドなどの救命薬が投与されない可能性もある」と指摘している。 今回の研究では、2022年6月から2024年8月の間に、イングランドの24カ所のICUで治療を受けた903人の成人患者のデータを用いて、肌の色がパルスオキシメーターの測定値と診断精度に与える影響が検討された。パルスオキシメーターは、英国の国民保健サービス(NHS)が、COVID-19対策の一環として家庭に配布していた5種類を対象とした。対象者の肌の色は、携帯型の分光光度計を用いて、利き手ではない方の手の甲の皮膚の明るさを測定して評価した。SpO2の測定値は、動脈血ガス分析の測定値(動脈血酸素飽和度〔SaO2〕)と比較された。 最終的に、全体で1万1,018組のSpO2とSaO2測定値が解析された。その結果、いずれのパルスオキシメーターも、SaO2が低値の範囲では過大評価し、高値の範囲では過小評価する傾向が認められ、肌の色が濃い患者では、肌の色が明るい患者に比べてSpO2が平均0.6~1.5パーセントポイント高く測定されていた。また、SpO2の閾値(92%以下、94%以下)のいずれを用いても、SaO2が92%以下であることを判別する際の偽陰性率は、肌の色が濃くなるほど上昇していた。具体的には、SaO2が92%以下であるのにSpO2が94%超であった患者の割合は、肌の色が明るい患者で1.2~26.9%、肌の色が濃い患者で7.6~62.2%であり、後者は前者に比べて5.3~35.3パーセントポイント高かった。 研究グループは、医師は肌の色が濃い患者を治療する際には、SpO2だけに頼らず、他の症状や兆候と照らし合わせて判断することを提案している。Valley氏らも付随論評の中で、「現時点では、医師は最善を尽くすしかなく、機器の欠点を理解しながら対応する必要がある。目的はSpO2の測定を放棄することではなく、その限界を理解し、公平性を確保し、酸素測定の技術自体が医療格差を助長しないようにすることだ」と述べている。

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