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日本人教師における仕事のストレスと危険なアルコール消費の性差に関する横断研究

 多くの教師は、仕事に関連するストレスや精神障害のリスクが高いといわれている。また、教師の飲酒運転や危険なアルコール消費(hazardous alcohol consumption:HAC)は、社会問題となっている。そして、燃え尽き症候群、職業性ストレス、自己効力感、仕事満足度に関する教師間の性差が報告されている。大阪市立大学の出口 裕彦氏らは、日本の教師における、認識された個人レベルの職業性ストレスとHACとの関連について性差を明らかにするため、検討を行った。PLOS ONE誌2018年9月20日号の報告。 2013年に実施された横断研究より、非飲酒者を除く男性教師723名と女性教師476名を対象とした。認識された個人レベルの職業性ストレスの評価には、Generic Job Stress Questionnaire(GJSQ)を用いた。HACの定義は、男性教師でエタノール280g/週以上、女性教師で同210g/週以上とした。多重ロジスティック回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・HACは、男性教師の16.6%、女性教師の12.4%で認められた。・平均年齢は、男性教師46.9±10.9歳、女性教師39.9±12.3歳であった。・職務分類別では、学校教師が最も一般的であった(男性:48.7%、女性:86.3%)。・中程度のストレスレベルを有する男性教師では、調整されたモデルの使用により、管理職からのソーシャルサポートとHACとの関連が認められた(OR:0.43、95%CI:0.23~0.8)。・高度なストレスレベルを有する女性教師では、調整されたモデルの使用により、仕事量の変動とHACとの関連が認められた(OR:2.09、95%CI:1.04~4.24)。 著者らは「本研究では、HACは、男性教師において管理職からのソーシャルサポートと負の関連があり、女性教師においては仕事量の変動と正の関連が認められた。教師のHAC予防戦略を策定する際には、性差を考慮する必要がある」としている。■関連記事職業性ストレス対策、自身の気質認識がポイント:大阪市立大うつ病の寛解率、職業で差があるか認知症になりやすい職業は

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日本人統合失調症患者の喫煙率に関する大規模コホートメタ解析

 統合失調症患者の喫煙は、世界的に一般集団と比較してより多くみられるが、日本での研究結果では矛盾が生じていた。最近では、一般集団の喫煙率は徐々に低下している。金沢医科大学の大井 一高氏らは、日本人の統合失調症患者を対象に、喫煙率の大規模コホートメタ解析を行った。The International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2018年9月17日号の報告。 対象は、喫煙状況に関する日本の大規模コホートメタ解析より、統合失調症患者1,845例および一般集団19万6,845例、25年に及ぶ12件の研究より、統合失調症患者842例および精神医学的に健康な対照者766例(著者らの研究による、統合失調症患者301例および対照者131例を含む)。 主な結果は以下のとおり。・著者らのケースコントロールサンプルでは、統合失調症患者において、健康な対照者よりも有意に高い喫煙率が認められた(p=0.031)。・統合失調症患者のヘビースモーカーの割合(p=0.027)および1日の喫煙本数(p=0.0082)は、健康な対照者よりも有意に高かった。・統合失調症の喫煙者において、非定型抗精神病薬の投与量と1日の喫煙本数との間に正の相関が認められた(p=0.001)。・メタ解析では、統合失調症患者は男性(OR:1.53、p=0.035、統合失調症患者:52.9%、一般集団:40.1%)、女性(OR:2.40、p=0.0000108、統合失調症患者:24.4%、一般集団:11.8%)の両方において、一般集団よりも高い喫煙率が認められた。・男性の統合失調症患者は、男性の健康な対照者よりも高い喫煙率が認められたが(OR:2.84、p=0.00948、統合失調症患者:53.6%、健康な対照者:32.9%)、女性では統計学的に有意な差は認められなかった(OR:1.36、p=0.53、統合失調症患者:17.0%、健康な対照者:14.1%)。・男女両方において、統合失調症患者は、一般集団(OR:1.88、p=0.000026)および健康な対照者(OR:2.05、p=0.018)よりも高い喫煙率が認められた。・これらの割合は、患者が登録された年に影響を受けなかった(p>0.05)。・1日当たりの喫煙値は、統合失調症患者22.0、一般集団18.8であった。 著者らは「日本における10年以上のデータに基づくと、日本人の統合失調症患者は、一般集団および健康な対照者よりも、喫煙する可能性が約2倍高いことが示唆された」としている。■関連記事統合失調症患者は、なぜ過度に喫煙するのか統合失調症患者とタバコ、どのような影響を及ぼすのか?統合失調症発症予測に喫煙が関連

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認知症と自殺との関係

 認知症と診断された患者における自殺念慮の存在、促進因子、保護因子について、英国・プリマス大学のGary Hodge氏が、文献レビューおよびデータ統合を行った。本レビューでは、どのような因子が自殺念慮のリスク上昇に影響を及ぼすかを考慮し、認知症での死亡を議論する際、選択の道徳性と倫理性への反映を試みた。Dementia(London, England)誌オンライン版2018年9月14日号の報告。 認知症における自殺念慮に関連するデータを判断するため、批判的な解釈統合モデルを用いた。サンプルフレームを用いて、抽出されたデータの品質と関連性を評価し、批判的な解釈統合を構築した。8つの主要論文よりデータ抽出を行った。 主な結果は以下のとおり。・本レビューおよびデータ統合は8つの統合結果から構築され、2つの結論が導き出された。・第1に、認知症および臨床的うつ症状と診断された患者において、自殺念慮のリスクが大幅に増加していた。・第2に、認知症と診断された患者とその家族において、終末期の話し合いが一般的に行われていた。 著者らは「死、とくに自殺念慮についての話し合いは難しいテーマであるが、認知症診断により複雑さが増したとしても、死についての話し合いは可能である。しかし、これらの会話は、個別化と慎重さが必要である。そして、本人の病前希望、事前の決定や選択を尊重し、“生きる権利”と“死ぬ権利”について、継続的に話し合う必要もある」としながら、「これらの話し合いを始める前に、新規および早期の認知症診断などの自殺念慮のリスク要因やうつ病などの精神的な合併症を認識し、対処する必要がある」としている。■関連記事なぜ、フィンランドの認知症死亡率は世界一高いのか認知症における抗コリン薬負荷と脳卒中や死亡リスクとの関連認知症者への向精神薬投与は死亡率を高めているか

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統合失調症または双極性障害患者におけるアリピプラゾール経口剤と持効性注射剤の服薬アドヒアランスの比較

 リアルワールドにおける統合失調症または双極I型障害患者(BD-I)に対する長時間作用型持効性注射剤抗精神病薬(とくに、アリピプラゾール持効性注射剤月1回製剤400mg[AOM400]のような新規薬剤)と経口抗精神病薬のアドヒアランスを比較した研究は、あまり行われていない。米国・Partnership for Health Analytic ResearchのTingjian Yan氏らは、アリピプラゾールの経口剤と持効性注射剤の服薬アドヒアランスについて、比較を行った。Advances in Therapy誌オンライン版2018年9月11日号の報告。 2012年1月~2016年6月までのTruven MarketScanデータを用いた2つのレトロスペクティブコホート分析より、AOM400による治療を受けたか経口抗精神病薬単独療法から他の治療に移行した、統合失調症またはBD-I患者を抽出し服薬アドヒアランスと服薬中止について比較を行った。アドヒアランスは、調査開始から1年間における服薬日数の割合(PDC)0.8以上と定義した。AOM400および経口抗精神病薬と服薬アドヒアランスとの関連は、線形回帰モデルを用いて調べた。服薬中止までの時間およびリスクは、ベースライン時の共変量で調整した後、Kaplan-Meier曲線およびCox回帰を用いて推定した。マッチしたコホートを作成するため、傾向スコアマッチングと完全一致マッチングを組み合わせて感度分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・最終コホートサイズは、統合失調症患者ではAOM400群408例、経口抗精神病薬群3,361例、BD-I患者ではAOM400群413例、経口抗精神病薬群1万5,534例であった。・統合失調症患者の調整平均PDCは、AOM400群が経口抗精神病薬群より高く(0.57 vs.0.48、p<0.001)、服薬中止リスクは、AOM400群より経口抗精神病薬群が高かった(ハザード比[HR]:1.45、95%信頼区間[CI]:1.29~1.64)。・BD-I患者の調整平均PDCについても、AOM400群が経口抗精神病薬群より高かった(0.59 vs.0.44、p<0.001)が、服薬中止リスクに関しては、経口抗精神病薬群がAOM400群より高かった(HR:1.71、95%CI:1.53~1.92)。 著者らは「リアルワールドにおいて、統合失調症またはBD-I患者に対するAOM400治療は、経口抗精神病薬治療と比較し、PDC0.8以上の服薬アドヒアランス良好な割合が有意に高く、治療中止までの期間も有意に延長された」としている。■関連記事抗精神病薬の種類や剤形はアドヒアランスに影響するのか実臨床における抗精神病薬持効性注射剤のメリット持効性注射剤と経口薬の比較分析、どんなメリットがあるか

1445.

うつ病に対するアリピプラゾール増強療法の実臨床における有効性と安全性

 増強療法は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)またはセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)の適切な用量で十分な治療反応を有するうつ病患者に対する治療選択肢であるが、日々の実臨床における適用についてはあまり知られていない。昭和大学の上島 国利氏らは、実臨床において、従来の抗うつ薬治療で効果不十分な日本人うつ病患者に対するアリピプラゾール増強療法の有効性および安全性について、プロスペクティブ多施設観察研究を実施した。Current medical research and opinion誌オンライン版2018年9月12日号の報告。 主要評価項目は、ベースラインから試験終了までのMontgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)日本語版の総スコア平均変化量とした。有害事象のモニタリングにより、安全性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・安全性評価対象患者は1,103例、有効性評価対象患者は1,090例であった。・試験終了時のMADRS総スコアの平均変化量は、-14.9±12.3であった(ベースライン比較:p<0.001)。・寛解率は、6ヵ月目の34.5%から12ヵ月目の43.3%に上昇し、継続治療のさらなる有効性が示唆された。・アリピプラゾール増強療法の有効性には、主要な抗うつ薬(パロキセチン、フルボキサミン、セルトラリン、ミルナシプラン、デュロキセチン、ミルタザピン、エスシタロプラム)のタイプによる変化が認められなかった。・寛解達成の可能性を高める要因は、ベースライン時のMADRS総スコア33ポイント未満、うつ病エピソードからアリピプラゾール治療開始までの期間176日未満であった。・1つ以上の有害事象を経験した患者の割合は24.8%であったが、新たな安全性の問題は検出されなかった。 著者らは「寛解達成に関連する要因を考慮すると、実臨床での、うつ病または抑うつ症状を有する日本人患者に対するアリピプラゾール増強療法は、有効かつ安全であると考えられる」としている。■関連記事アリピプラゾール増強が有効な治療抵抗性うつ病患者の3つの特徴SSRI治療抵抗性うつ病に対する増強療法の比較治療抵抗性うつ病、抗うつ薬併用 vs. 抗精神病薬増強

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双極性障害治療における新規非定型抗精神病薬の薬理学的および臨床的プロファイル

 双極性障害の有病率は、65歳以上の高齢成人では変化しており、コミュニティ住民の1%、入院患者の8~10%に及ぶといわれている。リチウムやバルプロ酸を含む古典的な薬剤は、最近のランダム化比較試験(RCT)で示唆されているように、有意な抗操作用を有するが、高齢者の双極性障害治療においては、非定型抗精神病薬の使用が注目されている。新規非定型抗精神病薬は、一般的な成人双極性障害患者に対する忍容性および有効性について関心が高まっている。カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のAkshya Vasudev氏らは、高齢双極性障害患者に対する新規非定型抗精神病薬の有効性および忍容性について、システマティックレビューを行った。Drugs & Aging誌オンライン版2018年9月6日号の報告。 MEDLINE、EMBASE、PsycINFO、コクランライブラリー電子データベースを用いて、システマティックに検索を行った。65歳超の高齢者における任意の双極性障害エピソード(躁病エピソード、うつ病エピソード、混合エピソードを含む急性期または維持期)の治療に対し、2002年以降に米国FDAで承認された新規非定型抗精神病薬(ブレクスピプラゾール、cariprazine、lurasidone、iloperidone、アセナピン、パリペリドン、アリピプラゾール)をプラセボまたは他剤と比較したRCTを特定しようと試みた。しかし、調査した薬剤のいずれについてもRCTデータを見つけられなかったため、調査基準を変更し、55歳以上の研究および事後解析研究を含めた。 主な結果は以下のとおり。・lurasidoneに関する2つの事後解析研究では、高齢双極性障害患者の急性期および維持期の治療において、合理的な安全性および有効性プロファイルが示唆されたが、薬理学的データは認められなかった。・経口アセナピンおよびアリピプラゾールの追加療法に関するオープンラベル試験のデータでは、両剤ともに高齢双極性障害患者のうつおよび躁症状に対する十分な忍容性および有効性が示唆された。したがって、これら2剤に関するRCTを実施することは急務である。・高齢双極性障害患者にブレクスピプラゾール、cariprazine、iloperidone、パリペリドンを使用した研究は、見つからなかった。■関連記事双極性障害に対するアリピプラゾールの評価~メタ解析双極性障害の補助治療オプションに関する情報のアップデート双極性障害、リチウムは最良の選択か

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日本における精神科病床への新規入院患者の在院日数に関する研究

 新たに入院した精神疾患患者が、どのように医療資源を消費しているかを正確に理解することは、精神科医療に携わる臨床家や政策立案者にとって重要である。東京都医学総合研究所の奥村 泰之氏らは、日本における新たに入院した精神疾患患者のパターンおよび在院日数について調査を行った。Journal of epidemiology誌オンライン版2018年9月15日号の報告。 厚生労働省が構築している、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を活用し、レトロスペクティブコホート研究を実施した。2014年4月~2016年3月に、精神病床へ新たに入院したすべての患者60万5,982例(1,621病院)について、入院から地域に退院するまでの日数を評価した。 主な結果は以下のとおり。・1ヵ月当たりの平均入院患者数は、2014年度で2万5,024例、2015年度で2万5,475例であった。・入院患者数には季節的な傾向が認められ、夏期(7月)にピークを迎えた。・患者全体における退院率は、90日以内で64.1%、360日以内で85.7%であり、入院料の種別により大きく異なっていた。・たとえば、精神科救急入院料の90日以内の退院率によって131病院を5群に分類すると、最下位の病院群における退院率は46.0~75.3%であるのに対し、最上位の病院群における退院率は83.6~96.0%であった。・同様に、認知症治療病棟入院料の90日以内の退院率によって486病院を5群に分類すると、最下位の病院群における退院率は0.0~23.4%であるのに対し、最上位の病院群における退院率は47.7~87.7%であった。・都道府県ごとに360日以内の退院率に違いが認められた。たとえば、退院率が最も高い地域は東京都の90.5%であり、退院率が最も低い地域は山口県の78.0%であった。 著者らは「NDBを活用することにより、精神病床へ新たに入院した患者における、入院料種別の累積退院率や病院レベルの退院率が初めて明らかとなった。本結果により、政策担当者がより実効性の高い施策立案をすることにつながり、臨床家が全国における自施設の退院率を理解し、より現実的な目標設定に活用できると期待される。なお、本結果には、精神病床入院患者の20%程度を占める生活保護受給者が含まれていないため、一般化可能性には留意が必要である」としている。■関連記事統合失調症の再入院に対する抗精神病薬の比較精神科病棟への長期入院の予測因子は入院から地域へ、精神疾患患者の自殺は増加するのか

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男性の飲酒とうつ病との関係

 一般集団における男性のうつ病と飲酒の縦断的な相互関係について、韓国・中央大学校のSoo Bi Lee氏らが、調査を行った。Alcohol and alcoholism誌2018年9月1日号の報告。 対象は、2011~14年のKorean Welfare Panelより抽出した20~65歳の成人男性2,511例。アルコール使用障害特定テスト韓国版(AUDIT-K)スコアに基づき、対照群2,191例(AUDIT-K:12点未満)、飲酒問題群320例(AUDIT-K:12点以上)に分類した。時間経過とともに連続測定された飲酒問題とうつ病との相互関係を調査するため、自己回帰的なcross-laggedモデル分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・飲酒とうつ病との関係は、時間経過とともに安定していた。・対照群では、飲酒問題とうつ病との間に有意な因果関係は認められなかったが、飲酒問題群では、前年の飲酒が2、3、4年後のうつ病に有意な影響を及ぼしていた。 著者らは「飲酒問題群では、対照群と比較し、うつ病と飲酒の4年間に及ぶ相互の因果関係が認められた。通常の飲酒では、縦断的なうつ病と飲酒との相互関係は認められなかったが、飲酒問題群では、飲酒は時間経過とともにうつ病を増強させた。飲酒問題はうつ病発症のリスク因子であり、一般集団におけるアルコール使用の問題や抑うつ症状を有する患者のアルコール使用歴には、より注意すべきである」としている。■関連記事うつ病とアルコールとの関係:2014年英国調査よりアルコール以外の飲料摂取とうつ病リスクアルコール摂取量削減のためのサービングサイズ変更効果

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治療抵抗性統合失調症の初回エピソードに関する長期フォローアップコホート研究

 統合失調症患者の約3分の1は、最終的に治療抵抗性統合失調症(TRS)へ移行する。TRSに至るまでの時間経過は患者により異なるが、これらの変動に関する詳細は、明らかとなっていない。千葉大学の金原 信久氏らは、TRSへの移行に、分岐点が存在するかを判断するため、TRS患者と非TRS患者の初回エピソード精神病(FEP)のコントロール達成までに要した時間について比較を行った。BMC Psychiatry誌2018年9月3日号の報告。 対象は、統合失調症患者271例。臨床評価に基づき、TRS群(79例)または非TRS群(182例)に割り付けられた。初回入院期間や改善度などのFEP治療に関連する臨床的要因をレトロスペクティブに評価した。 主な結果は以下のとおり。・初回入院期間(治療開始から退院するまでの時間として定義)は、両群間で有意な差が認められなかった(TRS群:平均87.9日、非TRS群:平均53.3日)。・初回入院時の機能の全体的評価(Global Assessment of Functioning:GAF)スコアの改善度は、TRS群が非TRS群よりも有意に低かった(50点vs.61点)。・TRS群の約半数は、FEPの急性発症パターンを示し、入院期間も長かった(平均169日)。・入院を必要としなかったTRS群の残り半数は、明確な精神病エピソードがなく、入院することなく治療導入を行うような、潜行的な発症パターンを示した。 著者らは「TRSへ移行する患者は、FEP中の改善が困難な可能性がある。TRSへの移行パターンは、2種類あると考えられる。1つは、難治性の陽性症状およびFEPをコントロールするまでに長期間を要する場合。もう1つは、潜在的または潜行的な発症および初回治療に対し治療反応不良を示す場合」としている。■関連記事難治性統合失調症患者に対する治療戦略:千葉大治療抵抗性統合失調症へ進展する重要な要因とは:千葉県精神科医療C治療抵抗性統合失調症は予測可能か

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治療抵抗性うつ病に対する精神療法の有効性に関するメタ解析

 大うつ病に対する治療および管理は、大幅な進歩を遂げた。しかし、第1選択の抗うつ薬治療または心理社会療法で治療反応が得られる患者は、50%未満である。治療抵抗性うつ病(TRD)に対する精神療法に関する対照研究数が増加し、うつ病患者に対する精神療法が、治療選択肢として好まれている現状を考慮し、オランダ・マーストリヒト大学のSuzanne van Bronswijk氏らは、TRDに対する精神療法の有効性を調査するため、メタ解析およびメタ回帰分析を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2018年8月24日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・合計25の比較を含む21件の研究において、7種類の精神療法に関する検討が行われていた。・精神療法と通常治療を比べた3つの比較では、通常治療(TAU)と精神療法との間に有意なベネフィットは認められなかった。・併用治療(TAU+精神療法)とTAUとを比べた22の比較では、併用治療において、エフェクトサイズ0.42(95%CI:0.29~0.54)の中程度の効果が認められた。・メタ回帰分析では、集団療法vs.個人療法と同様に、ベースライン時の重症度と治療効果に正の関連が認められた。・出版バイアスは、認められなかった。・最も調査が行われていた治療は、認知行動療法、対人関係療法、マインドフルネスに基づく認知療法、精神療法の認知行動分析システムであった。 著者らは「TRDの治療ガイドラインにおいて、通常治療に対して、薬理学的および神経刺激的治療に加えて精神療法を追加することは正当であり、治療困難なうつ病患者により良い影響を及ぼすと考えられる」としている。■関連記事SSRI治療抵抗性うつ病に対する増強療法の比較うつ病への薬物療法 vs.精神療法 vs.併用療法日本人治療抵抗性うつ病患者へのCBT併用試験とは:FLATT Project治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのかを検証

1451.

出産、流産とアルツハイマー病リスク

 女性における出産および流産(incomplete pregnancy)が、高齢期の認知機能やアルツハイマー病(AD)リスクに影響を及ぼすかを、韓国・ソウル大学のHyesue Jang氏らが検討を行った。Neurology誌2018年8月14日号の報告。 対象は、2つの集団ベースのコホート研究のデータを統合した3,549例の女性。出産・流産と軽度認知障害、ADリスクとの関連は、ロジスティック回帰分析を用いて、レトロスペクティブに検討を行った。非認知症女性については、共分散分析を行い、出産・流産とミニメンタルステート検査(MMSE)スコアとの比較検討を行った。 主な結果は以下のとおり。・出産経験5回以上(多産)の女性は、1~4回の女性と比較し、ADリスクが約1.7倍高かった(オッズ比[OR]:1.68、95%信頼区間[CI]:1.04~2.72)。・流産を経験した女性は、未経験の女性と比較し、ADリスクが半分であった(1回の流産[OR:0.43、95%CI:0.24~0.76]、2回以上の流産[OR:0.56、95%CI:0.34~0.92])。・非認知症女性において、多産女性は、出産経験1~4回の女性と比較し、MMSEスコアが不良であった(p<0.001)。・また、流産を経験した女性では、未経験の女性と比較し、MMSEスコアが良好であった(p=0.008)。 著者らは「高齢期のADリスクは、出産経験5回以上の女性で高く、流産を経験した女性で低いことが示唆された」としている。■関連記事婚姻と認知症リスクに関するシステマティックレビュー産後うつ病になりやすい女性の特徴:高知大父親の産後うつ病、日本での有病率は

1452.

統合失調症の重症度や認知機能に対する抗精神病薬のドパミン受容体占有率の影響

 病識の障害(impaired illness awareness:IIA)とドパミンD2受容体(D2R)占有率との関係は、よくわかっていない。IIAは、疾患重症度や認知機能障害と関連が認められる。統合失調症の主な治療に用いられる抗精神病薬は、IIAを間接的に改善するが、同時に治療用量において、認知機能障害を引き起こす可能性がある。カナダ・トロント大学のMiracle Ozzoude氏らは、抗精神病薬による推定D2R占有率が、IIAと疾患重症度および認知機能との関係に及ぼす影響について調査を行った。Progress in Neuro-Psychopharmacology & Biological Psychiatry誌オンライン版2018年8月30日号の報告。 CATIEデータを用いて、18~62歳の統合失調症患者373例を対象に、IIAの評価を行った。IIAは、PANSSのG12項目(判断力と病識の欠如)を用いて測定した。D2R占有レベルは、リスペリドン、オランザピン、ziprasidoneの血中濃度から推定した。IIAと疾患重症度、認知機能、推定D2R占有率との関係についての分析には、相関分析、回帰分析、経路分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・疾患重症度は、IIAの予測因子であった。・しかし、病前IQ、認知機能、推定D2R占有率は、IIAを予測しなかった。・推定D2R占有率は、回帰分析、経路分析のいずれにおいても、中間変数および調整変数ではなかった。 著者らは「これまでの研究結果と同様に、成人統合失調症患者の疾患重症度は、IIAと関連していることが示唆された。今後の研究において、認知機能、IIA、抗精神病薬の感受性に対する加齢の影響を考慮すると、60歳以上の高齢統合失調症患者におけるD2R占有率が、IIAと疾患重症度および認知機能障害に影響を及ぼすかを検討すべきである」としている。■関連記事ドパミンD2受容体占有率が服薬に影響?:慶應義塾大学遅発性ジスキネジアが発現するD2受容体占有率は:慶應義塾大学維持期統合失調症でどの程度のD2ブロックが必要か

1453.

日本人研修医のうつ病とストレス対処能力の関係

 研修医にとって、うつ病は重大な問題となりうる。うつ病の早期発見と適切なケアを提供することは、臨床研修中の健康状態を維持するために必要である。筑波大学附属病院 総合診療グループの伊藤 慎氏らは、ストレス対処能力の指標であるSense of Coherence(SOC:首尾一貫感覚)が、臨床研修開始2年後のうつ病を予測する因子であるかを調査するため、全国縦断研究を実施した。Journal of Clinical Medicine Research誌2018年9月号の報告。 臨床研修開始直前に、臨床研修病院251件の研修医に自己報告アンケートを配布した。アンケートには、うつ病スクリーニングツールであるCES-D(うつ病自己評価尺度)、SOC、人口統計的要因が含まれた。事前調査の回答者に対し、2年後にアンケートを配布した。フォローアップ調査には、CES-Dおよび労働状態に関する質問が含まれた。SOCスコアに基づき回答者を3群(低、中、高)に分類し、フォローアップ調査にて各SOC群とうつ症状との関連を分析した。 主な結果は以下のとおり。・事前調査に対し、2,935人中1,738人(59.2%)が回答を行った。・このうち、1,169人(67.3%)がフォローアップ調査に回答した。・事前調査において、うつ症状が陽性となった169人は除外された。・フォローアップ調査では、新規うつ病発症者数は187人(19.5%)であった。各群における割合は、低SOC群33.3%、中SOC群18.2%、高SOC群11.4%であった(p<0.01)。・高SOC群と比較し、低SOC群におけるうつ症状の新規発症のオッズ比は、2.04(95%CI:1.02~4.05)であった(人口統計的要因、ベースライン時のCES-Dスコア、平均就労時間で調整後)。 著者らは「臨床研修2年後における研修医のうつ症状は、SOCスコアと有意な関連が認められた。低SOC群は、高SOC群と比較し、将来のうつ症状リスクが2倍高かった。SOCスケールは、将来のうつ病を予測するうえで有用であり、研修医に対する適切な支援提供を可能とする」としている。■関連記事職業性ストレス対策、自身の気質認識がポイント:大阪市立大仕事のストレスが大きいほど、うつ病発症リスクは高い:獨協医科大学重度のストレスやうつ病からの復職に効果的なリハビリは

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社員のうつ病と自殺傾向に対する保護因子としての性格

 これまでの職場におけるメンタルヘルスに関する研究では、仕事に関連する環境リスク要因に焦点が当てられており、従業員の保護や個性に関する要因については、考えられていなかった。韓国・中央大学校のHye Ri Kim氏らは、韓国人従業員の抑うつ症状や自殺念慮の保護因子となる性格的長所を特定するため、検討を行った。BMC Public Health誌2018年8月31日号の報告。 男性84例および女性151例の従業員(19~50歳)を対象に、社会人口学的特性(抑うつ症状、自殺率、性格的長所)を収集した。抑うつ症状の測定にはベック抑うつ質問票(BDI-II)、自殺率は精神疾患簡易構造化面接法韓国語版(MINI)、性格的長所は24 Character Strength Alphas VIA Survey-72を用いた。抑うつ症状と自殺念慮をカテゴリカルな結果変数として、階層的ロジスティック回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・女性における、抑うつ症状の統計学的に有意な性格的長所の予測因子は以下であった。 ●好奇心(B=1.107、Wald=10.207、オッズ比:3.026、p=0.001) ●愛(B=0.862、Wald=5.767、オッズ比:2.367、p=0.016)・女性の自殺念慮に対する性格的長所の保護因子は以下であった。 ●判断(B=-1.405、Wald=5.663、オッズ比:0.245、p=0.017) ●優しさ(B=-1.456、Wald=6.486、オッズ比:0.233、p=0.011)・男性における、抑うつ症状の性格的長所の予測因子は以下であった。 ●愛(B=1.746、Wald=4.279、オッズ比:5.729、p=0.039)・男性の抑うつ症状に対する性格的長所の保護因子は以下であった。 ●チームワーク(B=-2.204、Wald=4.666、オッズ比:0.110、p=0.031)・男性の自殺念慮に対する性格的長所の保護因子は以下であった。 ●創造性(B=-1.384、Wald=4.202、オッズ比:0.251、p=0.040) 著者らは「職場におけるうつ病や自殺念慮の予防には、女性では判断や優しさ、男性ではチームワークや創造性に焦点を当て、これらの強みを生かした活動に従事することが重要である。今後の研究では、職場における従業員の性格的長所を促進するための介入の開発に焦点を当てるべきである」としている。■関連記事うつ病になりやすい性格職業性ストレス対策、自身の気質認識がポイント:大阪市立大職場のメンタルヘルス、効果的な方法は:旭川医大

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ストレスやうつ病に対する朝食の質の重要性

 スペインの青少年527例を対象に、ストレスやうつ病の認知に基づき、朝食の摂取および質と、健康関連QOL(HRQOL)との関連について、スペイン・アリカンテ大学のRosario Ferrer-Cascales氏らが調査を行った。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2018年8月19日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・HRQOLでは、気分、感情、両親との関係、家庭生活について、朝食摂取の有無により差が認められた。・朝食摂取者において、HRQOLが低かった。・ストレスも同様に差が認められ、朝食摂取者において、ストレスのレベルが高かった。・朝食摂取者の朝食の質を分析したところ、良質な朝食摂取は、低質または超低質の朝食摂取と比較し、より良いHRQOLが示唆され、ストレスとうつ病のレベルも低かった。・非朝食摂取者では、朝食が低質または超低質の朝食摂取者と比較し、より良いHRQOLおよび、ストレスとうつ病が低いレベルを示した。 著者らは「本知見は、朝食摂取の有無よりも、良質な朝食を摂取することの重要性を示唆している。このことは、臨床医や栄養士にとってとくに重要であり、青少年におけるHRQOL、ストレス、うつ病に対して、朝食の質が有意に影響を及ぼすことを考慮する必要がある」としている。■関連記事魚を食べるほどうつ病予防に効果的、は本当かうつ病患者に対する地中海スタイルの食事介入に関するランダム化比較試験食生活の改善は本当にうつ病予防につながるか

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うつ病、治療抵抗性うつ病、自殺行動に対するブプレノルフィンの有効性に関するシステマティックレビュー

 うつ病治療において、いくつかの薬理学的な選択肢が実施可能であるが、抗うつ薬治療を実施した患者の3分の1では、十分な治療反応が得られず、完全寛解には達していない。そのため、抗うつ薬による薬物治療で治療反応が得られなかった、または治療反応が不十分だった患者に対処するための、新たな戦略が必要とされている。イタリア・ジェノバ大学のGianluca Serafini氏らの研究結果によると、オピオイド系が気分やインセンティブの調整に有意に関与しており、新規治療薬としての適切なターゲットとなりうることが明らかとなった。International Journal of Molecular Sciences誌2018年8月15日号の報告。 本研究では、うつ病、治療抵抗性うつ病、非自殺的な自傷行為、自殺行動に対するブプレノルフィンの使用に関する文献についてシステマティックレビューを行った。ブプレノルフィンとうつ病または治療抵抗性うつ病、自殺、難治性うつ病のキーワードを使用し、PubMedおよびScopusのデータベースより検索を行った。 主な結果は以下のとおり。・低用量のブプレノルフィンは、抑うつ症状、重度な自殺念慮、非自殺自傷を軽減するために有効かつ忍容性が高く、安全な選択肢であることが、いくつかのエビデンスにより示された。これは、治療抵抗性うつ病患者においても認められた。・しかし、ブプレノルフィンの長期的な効果や、ブプレノルフィンと特定の薬剤(たとえば、samidorphan、ナロキソン、naltrexone)との併用、ブプレノルフィンの単独療法または標準的な抗うつ薬治療への補助療法による相対的な有効性の評価、ならびに最適な投与間隔についての均一なガイダンスを得るためには、より多くの研究が必要である。■関連記事SSRI治療抵抗性うつ病に対する増強療法の比較SSRI治療抵抗性うつ病への効果的な増強療法治療抵抗性うつ病に対する心理的サポートとしてのシロシビンの6ヵ月追跡調査

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治療抵抗性統合失調症患者の陰性症状に対するエスシタロプラム増強療法の無作為化比較試験

 統合失調症では、血清インターロイキン(IL)-6レベルが陰性症状の重症度と関連するといわれている。中国・Shandong Mental Health CenterのNing Ding氏らは、治療抵抗性統合失調症患者におけるSSRI増強療法の潜在的な免疫メカニズムを調査し、IL-6およびC反応性蛋白(CRP)量を評価した。Neuroscience Letters誌2018年8月10日号の報告。 2016~17年に同センターで治療された統合失調症患者62例を対象に、エスシタロプラム増強の8週間の無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。対照群として、健康な参加者29例を含んだ。主要アウトカムは、PANSS(陽性・陰性症状評価尺度)スコアとした。 主な結果は以下のとおり。・8週間の治療後、PANSS総スコア、陰性症状サブスコア、情動性サブスコアにおいて、エスシタロプラム群は対照群と比較し、より良い改善が認められた(いずれも、p<0.05)。・エスシタロプラム群では、CRPおよびIL-6レベルの有意な低下が認められた(いずれも、p<0.05)。・陰性症状、認知症状に対するIL-6の影響は、ベースライン時でそれぞれ16.2%、20.1%。8週目では22.7%、20.8%であった。・CRP量はPANSSスコアに影響を及ぼさなかった。 著者らは「全体として、持続的な陰性症状を有する統合失調症患者に対するエスシタロプラム増強療法は、有用な選択肢であると考えられる。IL-6量は、陰性症状および認知症状に関連する可能性がある」としている。■関連記事陰性症状に対する最新レビュー、有効性が確認されている治療は慢性期統合失調症、陰性症状に有効な補助療法統合失調症の陰性症状に対し、抗うつ薬の有用性は示されるのか

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統合失調症患者のADHD有病率

 英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのI. Arican氏らは、統合失調症患者のコホートにおける、小児期および成人の注意欠如多動症(ADHD)症状の頻度について調査を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2018年8月13日号の報告。統合失調症患者ではADHD症状の有病率が高いことが示唆された これまでのエビデンスを評価するため、システマティックレビューを実施した。ICD-10に基づき統合失調症と診断された126例を対象に、成人および小児期のADHD症状を調査するため、2つの自己報告アンケートを用いた。 統合失調症患者のADHD症状の頻度について主な調査結果は以下のとおり。・5件の研究がシステマティックレビューに含まれた。・統合失調症患者における小児期ADHDの有病率は17~57%、成人ADHDの有病率は10~47%であった。・本コホート内において、小児期または成人期どちらかのADHD症状スクリーニングで陽性だった統合失調症患者の割合は、47%であった。・小児期および成人のADHD症状がどちらも報告された統合失調症患者の割合は、23%であった。 著者らは「一般集団と比較し、統合失調症患者ではADHD症状の有病率が高いことが示唆された。統合失調症患者のサブグループにおいて、臨床評価や治療検討の改善を考慮することが重要である」としている。

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治療抵抗性うつ病と自殺率

 治療抵抗性うつ病(TRD)患者の30%では、生涯にわたり1回以上の自殺企図が認められる。しかし、治療開始後のTRD患者における、自殺企図および自殺完遂の発生率、特定の治療による自殺企図の増減については、不明であった。オランダ・アムステルダム大学のIsidoor O. Bergfeld氏らは、TRD患者における自殺率について調査を行った。Journal of Affective Disorders誌2018年8月1日号の報告。 うつ病患者を対象とした研究のうち、2剤以上の抗うつ薬治療に奏効せず、治療開始後3ヵ月以上フォローアップしたものをPubMedより検索した。自殺企図と自殺完遂の発生率は、ポアソンメタ解析を用いて推定した。比較対照が不足していることから、治療法による自殺企図や自殺完遂の発生率の違いを推定するため、メタ回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・32のTRDサンプルにおける自殺率を調査した30件の研究が抽出された。・内訳は、脳深部刺激療法(DBS:9件)、迷走神経刺激療法(VNS:9件)、電気けいれん療法(ECT:5件)、通常治療(3件)、内包前脚切裁術(2件)、認知行動療法(2件)、ケタミン療法(1件)、硬膜外皮質刺激療法(1件)であった。・全体発生率は、自殺完遂で100患者年当たり0.47(95%CI:0.22~1.00)、自殺企図で100患者年当たり4.66(95%CI:3.53~6.23)であった。・DBS、VNS、ECT後の発生率に差は認められなかった。・なお、多くの研究で、自殺率の記録は不十分であり、利用可能な研究数が制限された。 著者らは「自殺完遂および自殺企図の発生率は高いが、3つの治療法(DBS、VNS、ECT)で差はなかった。TRD患者の自殺リスクが高いことを考慮すると、臨床試験においては、自殺率を明確なアウトカム指標とみなすべきである」としている。■関連記事うつ病および自殺に関連する遺伝学的治療標的大うつ病と自殺念慮に関する治療抵抗性うつ病研究グループの報告うつ病と双極性障害、自殺企図リスクが高いのは治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのかを検証

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第2世代抗精神病薬と短期的死亡率に関するメタ解析

 重篤な精神疾患患者における寿命の短縮には、抗精神病薬の急速かつ生命に影響を及ぼす副作用が関与している可能性がある。ドイツ・ミュンヘン工科大学のJohannes Schneider-Thoma氏らは、この仮説を検証するため、抗精神病薬のプラセボ対照試験における死亡発生のシステマティックレビューおよびメタ解析を行った。The Lancet Psychiatry誌2018年8月号の報告。 本システマティックレビューおよびメタ解析は、各診断カテゴリにわたる第2世代抗精神病薬とプラセボを比較した、ランダム化比較試験を対象とした。2017年1月21日までのデータをMEDLINE、EMBASE、Cochrane CENTRAL、BIOSIS、PsycINFO、PubMed、ClinicalTrials.gov、WHO ICTRPより検索し、さらに適格試験を抽出するため、製薬企業および規制当局に連絡を取った。すべての原因による死亡率(主要アウトカム)、自然原因による死亡率、自殺率、非自然原因による死亡率について調査を行った。共通効果メタ解析において、オッズ比(OR)を用いて結果を検討した。サブグループおよびメタ回帰分析において、年齢、診断カテゴリ、性別、研究期間、使用された抗精神病薬、投与量、多剤併用の影響を調査した。 主な結果は以下のとおり。・1978~2017年に発表された596件のランダム化比較試験より、10万8,747例を抽出した。・入手可能な死亡率データを有する352件の研究(8万4,988例)を、メタ解析データの主なデータセットとした。・死亡報告数は、抗精神病薬使用群5万3,804例中207例(0.4%)、プラセボ群3万1,184例中99例(0.3%)であった。・352件中300件(85%)の研究は、13週(3ヵ月)以下の研究期間であった(中央値:6週間、IQR:4~10)。・抗精神病薬使用群とプラセボ群との間に、死亡率の差は認められなかった。 ●すべての原因による死亡率 OR:1.19、95%CI:0.93~1.53 ●自然原因による死亡率 OR:1.29、95%CI:0.85~1.94 ●自殺率 OR:1.15、95%CI:0.47~2.81 ●非自然原因による死亡率 OR:1.55、95%CI:0.66~3.63・ほとんどのサブグループおよびメタ回帰分析において、重要な影響調整因子は認められなかったが、例外として以下の場合に死亡率の増加が確認された。 ●認知症者 OR:1.56、95%CI:1.10~2.21 ●高齢者 OR:1.38、95%CI:1.01~1.89 ●アリピプラゾール使用 OR:2.20、95%CI:1.00~4.86 ●女性の割合が高い研究 回帰係数:0.025、95%CI:0.010~0.040・しかし、高齢者、アリピプラゾール使用、女性の割合が高い研究における影響は、主に認知症者に対する試験が含まれていた。・統合失調症患者では、死亡リスク増加は認められなかった(OR:0.69、95%CI:0.35~1.35)。 著者らは「全体として、統合失調症に対する抗精神病薬の使用が死亡率を増加させるとするエビデンスは、ランダム化試験より認められなかった。しかし、とくに認知症などの集団においては、死亡リスクが高い可能性が示唆された。本研究では、死亡率に対する抗精神病薬の長期的な影響ではなく、急性期治療による短期的な影響についてのみ検証可能であった」としている。■関連記事アルツハイマー型認知症、抗精神病薬で死亡率上昇認知症への抗精神病薬、用量依存的に死亡リスクが増加統合失調症患者における抗精神病薬使用と死亡率

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