統合失調症の攻撃性管理のための抗精神病薬持効性注射剤の使用に関する臨床的概要 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/07/23 攻撃的な行動の管理は、統合失調症治療において課題であり、洞察力の低さ、精神症状の再燃、物質使用障害や人格障害との併存などの疾患重症度の臨床的予測因子と関連付けられることが少なくない。統合失調症の再発とそれに伴う攻撃的な行動のリスクは、しばしばコンプライアンス不良が原因である。イタリア・ミラノ大学のMassimiliano Buoli氏らは、統合失調症患者の攻撃性管理のための抗精神病薬持効性注射剤の使用に関する臨床的概要について報告した。Clinical Schizophrenia & Related Psychoses誌オンライン版2018年6月26日号の報告。 主要なデータベースを検索して、本検討に関連する文献を抽出した。 主な結果は以下のとおり。 ・統合失調症の攻撃的な行動に対する抗精神病薬持効性注射剤の有効性を調査した研究はわずかしかなく、そのほとんどがサンプルサイズの小さい後ろ向き研究であった。 ・統合失調症患者の攻撃的な行動の管理に対し、アリピプラゾール持効性注射剤は、有用であると考えられる。しかし、長期的なデータは存在しないことが、推奨を妨げる要因となっている。 ・特定の抗精神病薬持効性注射剤が、統合失調症の攻撃的な行動に対して有効であることを結論付ける十分な証拠は認められなかった。 著者らは「抗精神病薬の持効性注射剤と経口剤について、統合失調症の暴力行為の予防に対する臨床的な利点を評価するためには、今後の比較研究(たとえば、経口クロザピンおよびアリピプラゾール持効性注射剤)が必要である」としている。 ■関連記事 急性期統合失調症に対するアリピプラゾール持効性注射剤の効果を解析 アリピプラゾール持続性注射剤の評価は:東京女子医大 維持期統合失調症、LAI使用で注意すべきポイント:慶應義塾大 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Buoli M, et al. Clin Schizophr Relat Psychoses. 2018 Jun 26. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 日本人統合失調症、暴力行為の危険因子は:千葉大 医療一般 日本発エビデンス(2014/12/22) 統合失調症患者の併存疾患~リアルワールドデータ分析 医療一般(2022/05/13) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症の治療~メタ解析(2024/05/06) GLP-1受容体作動薬の使用で甲状腺がんリスクは増加する?(2024/05/06) コロナ後遺症での運動制限は不要(2024/05/06) ブタ腎臓の移植を受けた患者が退院(2024/05/06) アクティブなワークステーションが仕事のパフォーマンスを改善(2024/05/06) 若年世代の老化が加速、がんリスク上昇の可能性(2024/05/06) 2型糖尿病患者の消化器症状は不眠症と関連(2024/05/06) [ あわせて読みたい ] エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) 診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17) 今考える肺がん治療(2022/08/24) あなたにとって、開業の「成功」「失敗」とは?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第42回(2022/08/09) 「後継者採用」という甘い誘いに乗ったら…【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第41回(2022/07/08) 「診療所、知人に売るから大丈夫」、それ本当に大丈夫??【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第40回(2022/06/06) Dr.金井のCTクイズ 初級編(2022/05/17)