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仕事のストレスとベンゾジアゼピン長期使用リスクとの関連

 ストレスを伴う仕事とベンゾジアゼピン長期使用との関連について、フランス・パリ第5大学のGuillaume Airagnes氏らが調査を行った。American Journal of Public Health誌オンライン版2018年11月29日号の報告。 フランスの人口ベースCONSTANCESコホートへ2012~16年に参加した男性1万3,934例、女性1万9,261例を対象に、日々の仕事を調査し、ストレス頻度の評価を行った。ベンゾジアゼピン長期使用は、drug reimbursement administrativeレジストリを用いて検討を行った。ベンゾジアゼピン長期使用のオッズ比(OR)の算出には、性別で層別化し、年齢、教育、地理的剥奪指標(area deprivation index)で調整し、ロジスティック回帰を行った。職業グレード、職場ストレス、うつ病、健康状態自己評価、アルコール使用障害を、追加の層別化変数とした。 主な結果は以下のとおり。・ベンゾジアゼピン長期使用は、ストレス曝露と正の相関が認められた。高ストレス群(しばしば/いつも)vs.低ストレス群(まれに/まったく)のORは、男性で2.2(95%信頼区間[CI]:1.8~2.8)、女性で1.6(95%CI:1.4~1.9)であり、用量依存性が認められた(傾向p<0.001)。・調整後や他の個人的または環境的脆弱性因子を有さないサブグループ解析においても、同様の結果が得られた。 著者らは「ストレスの多い仕事は、ベンゾジアゼピン長期使用リスクを高める。ベンゾジアゼピン長期使用による負荷の低減を目的とした予防プログラムは、このような特定集団において有益であろう」としている。■関連記事ベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は重度のストレスやうつ病からの復職に効果的なリハビリはストレスやうつ病に対する朝食の質の重要性

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高齢うつ病患者における抗うつ薬の服薬アドヒアランス

 うつ病は高齢者において多く認められ、その治療にあたっては、抗うつ薬が一般的に使用される。オランダ・フローニンゲン大学のFloor Holvast氏らは、プライマリケアでの高齢うつ病患者における抗うつ薬の服薬アドヒアランスについて調査を行った。Family Practice誌オンライン版2018年11月5日号の報告。 オランダの保健サービス研究機関(Netherlands Institute for Health Services Research:NIVEL)プライマリケアデータベースより、2012年のうつ病と診断された60歳以上の患者を抽出した。初回投与から14日以内に服薬していない場合を「非開始(non-initiation)」、投与量のカバー率が80%未満の場合を「投与量非遵守(suboptimal implementation)」、初回投与から294日以内に中止していた場合を「非持続(non-persistence)」と定義した。初めに、抗うつ薬の非開始、投与量非遵守、非持続の割合を調査した。次いで、共存疾患および慢性的な薬物使用がノンアドヒアランスと関連しているかを、非開始および投与量非遵守を従属変数とした混合効果ロジスティック回帰分析、時間と非持続についてのクラスターCox回帰分析で検討を行った。 主な結果は以下のとおり。・それぞれの割合は、非開始が13.5%、投与量非遵守が15.2%、非持続が37.1%であった。・慢性的に使用されている薬剤数が増加すると、投与量非遵守(オッズ比:0.89、95%信頼区間[CI]:0.83~0.95)および非持続(ハザード比:0.87、95%CI:0.82~0.92)の割合が減少した。 著者らは「プライマリケアでの高齢うつ病患者における抗うつ薬の服薬アドヒアランスは、低いことが確認された。患者が多くの薬剤を服薬することに慣れている場合には、服薬アドヒアランスは良好であったが、これは部分的な影響であり、あくまで服薬アドヒアランスが低いことに注意を払う必要がある。抗うつ薬による最適な治療期間の遵守が重要であることを強調することが、アドヒアランスを改善するための第1歩かもしれない」としている。■関連記事高齢者うつ病に対する薬物療法の進歩抗精神病薬の種類や剤形はアドヒアランスに影響するのか錠剤埋め込み型服薬管理システムは、安全なのか

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オランザピンの治療反応に対する喫煙やコーヒーの影響

 統合失調症患者におけるオランザピン治療の有効性および安全性に対して、喫煙や大量のコーヒー摂取が及ぼす影響を、セルビア・クラグイェヴァツ大学のNatasa Djordjevic氏らが、遺伝子多型との関連で評価した。The World Journal of Biological Psychiatry誌オンライン版2018年12月4日号の報告。 対象は、30日間オランザピン投与を行った統合失調症患者120例。治療の有効性は、3つの異なる精神医学的尺度を用いて評価し、安全性については、代謝性副作用および錐体外路症状の評価を行った。遺伝子型の判定には、CYP1A2*1C、CYP1A2*1F、CYP1A1/1A2の遺伝子多型、CYP2D6*3、CYP2D6*4、CYP2D6*6を含んだ。 主な結果は以下のとおり。・喫煙や大量のコーヒー摂取は、オランザピン治療の有効性を低下させ、安全性を向上させた(p<0.001)。・この影響は、CYP1A2*1F対立遺伝子のキャリアのみで認められたが、共変量解析により、CYP1A2遺伝子型とは独立していることが明らかとなった。・オランザピンの用量は、薬剤効果(p≦0.002)およびLDLレベル(p=0.004)と逆相関が認められた。・女性および高齢者に対する治療反応は良好であったが(p<0.026)、有害事象がより多かった(p≦0.049)。・他の関連因子をコントロールしたとき、CYP2D6代謝物の状態がオランザピン治療の有効性に影響を及ぼしていた(p=0.032)。 著者らは「喫煙や大量のコーヒー摂取が、オランザピンの有効性および安全性に影響を及ぼすことが確認された。CYP1A2遺伝子型との関連性は、さらなる調査が必要である。また、オランザピンの治療反応は、用量、性別、年齢、CYP2D6代謝物の状態により影響を受ける」としている。■関連記事統合失調症のカフェイン依存、喫煙との関連に注意日本人統合失調症患者の喫煙率に関する大規模コホートメタ解析オランザピンの代謝異常、原因が明らかに:京都大学

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うつ病による自殺のリスク因子

 うつ病における自殺のリスク因子および自殺方法の性差について、フィンランド・ヘルシンキ大学のKari I. Aaltonn氏らが縦断的な検討を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2018年11月27日号の報告。 フィンランドの病院退院レジストリ、フィンランド国勢調査レジストリ、死亡原因に関するフィンランドの統計レジストリのデータを結びつけ、1991~2011年にフィンランドで初回入院したうつ病性障害の主要診断を有する患者5万6,826例(男性:2万5,188例、女性:3万1,638例)を抽出した。フォローアップ調査は、患者の死亡(自殺者:2,587例)または2014年末まで行われた(最大24ヵ月)。 主な結果は以下のとおり。・初回入院時の自殺による死亡の長期予測因子は、重症うつ病(調整ハザード比[aHR]:1.19、95%信頼区間[CI]:1.08~1.30)、精神病性うつ病(aHR:1.45、95%CI:1.30~1.62)、アルコール依存症併発(aHR:1.26、95%CI:1.13~1.41)、男性(aHR:2.07、95%CI:1.91~2.24)、社会経済的地位の高さ、独居であった。・最も高リスクな因子は、自殺企図歴であった(男性累積率:15.4%[13.7~17.3%]、女性累積率:8.5%[7.3~9.7%])。・リスク因子の性差は軽微であったが、自殺方法では顕著な差が認められた。 著者らは「初回入院時の社会人口学的および臨床的特徴は、長期的な自殺の予測因子であり、自殺企図歴を有する入院患者のリスクは高かった。男女のリスクの違いは、自殺方法の性差により説明可能かもしれない」としている。■関連記事うつ病成人の自殺傾向に対するSSRIの影響治療抵抗性うつ病と自殺率自殺予防の介入効果はどの程度あるのか

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頭を使わないと認知症になるっていうけど本当か?(解説:岡村毅氏)-983

 お待ちかねのBMJ誌のクリスマス号である。ご存じの方も多いと思うが、クスリと笑えるが、じわじわと効いてくる論文(きちんとした科学であることが大前提で偽科学はダメ)が満載のなんとも英国的な恒例行事である。 今回取り上げた論文は、英国・アバディーン市の1936年生まれの子供たちをなんと11歳の時点から継続的に知能テストし続けたという超長期縦断研究からの報告である。最新の調査は2013年であるから77歳に到達している。その結果、わかったことは大きく2つある。 第1は、時の流れには逆らえないということ。加齢により、どんな活動をしようが、教育歴を調整しようが(認知予備能の文脈)、認知機能は低下していく。 第2は、かすかに低下を緩やかにしたものは問題解決型の活動であって、知的活動ではないとのこと。 高齢者の外来をしていると、家で家族以外に誰とも話さずに低活動で過ごしている方もいる。それは究極的には個人の自由なのであるが、認知症などがある方が「閉じこもり→昼もコタツで寝てる→夜眠れない→せん妄や易怒性」という負のサイクルに陥っている場合は、地域活動やデイサービスなどを勧める。しかし「いいえ、私は美術館巡りをして頭を使っていますから」などと断られることもある。 そういうときは「どうぞ美術館に行き続けてください。応援します。でもね、毎日行っているわけではないでしょう。地域の活動とかデイサービスとかに行くと、いろいろな人がいて、いい人もいれば嫌な人もいて、いろいろな問題が起こって、そりゃあ楽しいことばかりではないですよ。でも学校も仕事もそうだったでしょう。いろいろな問題をみんなで解決していくと、生きてるって感じるし、頭にもいいんですよ」なんて言っていたことを思い出した。しばしばエビデンスというものは臨床知を追いかけているものだ。 さて、この論文はなんとなく無常観を漂わせているように思われる。これを読んで筆者は鴨長明の「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。(中略)世の中にある人とすみかと、又かくの如し」を思い出した。年をとれば認知機能も徐々にその人なりに低下し、死が訪れる。人生は有限だからこそ、与えられた時間の中で精いっぱい善く生きようとするのだ。医療は死や認知機能低下を撲滅することはできないが、時にちょっとだけ遅らせたり、もっと重要なことは、善く生きるためのささやかなお手伝いはできるかもしれない。 では皆さま、良いお年をお迎えください。

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統合失調症治療の医療資源利用とコストにおける持効性注射剤と経口剤との比較

 抗精神病薬の使用において、長時間作用型持効性注射剤(LAI)は経口剤と比較し、アドヒアランスの改善や投薬回数の減少により、医療資源利用を減少させる可能性がある。米国・AlkermesのAnkit Shah氏らは、統合失調症と最近診断された患者におけるLAIと経口抗精神病薬の治療パターンについて調査を行った。Advances in Therapy誌2018年11月号の報告。 MarketScan Multi-state Medicaid databaseを用いて、2011~14年にLAIまたは経口抗精神病薬を投与された18歳以上の統合失調症患者を抽出した。主要アウトカムは、アドヒアランス(PDCの対象となる日数の割合として測定)、継続性、中止、切り替え、医療資源利用率、コストなどの治療パターンとした。コホート間のベースライン特性の違いは、傾向スコアマッチング(PSM)を用いて制御した。アウトカムは、登録後12ヵ月間にわたって評価し、治療コホート間で比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・PSM後、LAIおよび経口抗精神病薬コホートのそれぞれに対象患者2,302例が含まれた。・両コホート間で、PDCまたは治療切り替えの差は認められなかった。・LAI治療患者は、経口抗精神病薬治療患者と比較し、中止率(46.1% vs.61.6%、p<0.001)、入院回数(0.5回 vs.0.9回、p<0.001)、受診日数(3.9日 vs.6.5日、p<0.001)、ER受診(2.4回 vs.2.9回、p=0.007)が低く、処方調合回数(29.5回 vs.25.3回、p<0.001)が多かった。・LAI治療患者は、登録後12ヵ月間にわたる経口抗精神病薬コホートとの比較で、毎月の入院コスト(4,007米ドル vs.8,769米ドル、p<0.001)およびER受診コスト(682米ドル vs.891米ドル、p<0.001)が低かったが、毎月の薬剤コスト(1万713米ドル vs.655米ドル、p<0.001)は高かった。・全体として、フォローアップ期間中の両コホートにおける類似総医療コストは、LAI抗精神病薬で2万4,988米ドル、経口抗精神病薬で2万3,887米ドルであった(p=0.354)。 著者らは「LAI治療は、経口抗精神病薬治療と比較し、薬物治療の継続率が高く入院回数を減少させる可能性がある。LAIによる薬剤コストの上昇は入院コストの削減と相殺され、経口抗精神病薬治療と比較し、総医療コストの増加を来さない」としている。■関連記事統合失調症、双極性障害に対する持効性注射剤使用と関連コスト統合失調症の再発、コスト増加はどの程度実臨床における抗精神病薬持効性注射剤のメリット

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飲酒運転の再発と交通事故、アルコール関連問題、衝動性のバイオマーカーとの関連

 危険な運転行為において、個々の生物学的な傾向が役割を担うはずである。衝動性、アルコール使用、過度なリスクのマーカーとして、血清モノアミンオキシダーゼ(MAO)、ドパミントランスポーター遺伝子(DAT1)、神経ペプチドS1受容体(NPSR1)遺伝子多型が同定されている。エストニア・タルトゥ大学のTonis Tokko氏らは、衝動性の神経生物学的因子が、飲酒運転や一般的な交通行動に及ぼす影響について検討を行った。Acta Neuropsychiatrica誌オンライン版2018年11月26日号の報告。 飲酒ドライバー群203人および対照群211人の交通行動とアルコール関連の問題、パーソナリティ尺度、3つのバイオマーカーとの関連を縦断的に調査した。募集後10年以内に飲酒運転違反(DWI)をしたかどうかに基づいて対象者の差異を分析し、個々のバイオマーカーがDWIや他の交通違反・事故に対してどのように予測するかを調査した。 主な結果は以下のとおり。・飲酒ドライバー群では血小板MAO活性が低かったが、将来のDWI群ではこの測定値と有意な関連が認められなかった。・DWIを繰り返すリスクに、NPSR1 T-アレルキャリアが関連していた。・全サンプルにおいて、DAT1 9Rキャリアは10Rホモ接合体と比較し、自らの過失による交通事故(能動的な事故)に、より多く関連していた。・DWI群は非DWI対照群と比較し、アルコール関連の問題が有意に多く、衝動性スコアがより高かった。 著者らは「アルコール使用および衝動性の生物学的マーカーは、日々の交通行動と関連付けられ、より個別化された予防活動の必要性を理解するために役立つであろう」としている。■関連記事精神疾患ドライバー、疾患による特徴の違い車両運転事故、とくに注意すべき薬剤は男性の飲酒とうつ病との関係

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統合失調症患者に対するアリピプラゾール持効性注射剤切り替え~ドイツにおけるコスト比較

 ドイツ・Institute of Empirical Health EconomicsのChristoph Potempa氏らは、統合失調症治療において経口抗精神病薬からアリピプラゾール持効性注射剤へ切り替えることによるコスト推進要因を調査し、ドイツのヘルスケア環境における予算影響分析(BIA)を行った。Health Economics Review誌2018年11月23日号の報告。 単一レトロスペクティブ非介入前後比較研究として実施された。統合失調症患者132例を対象に、経口抗精神病薬治療およびアリピプラゾール持効性注射剤治療における精神科入院率と関連費用の比較を行った。両治療期間におけるヘルスケア関連費用を比較するため、BIAを用いた。結果のロバスト性を評価するため、単変量感度分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・アリピプラゾール持効性注射剤への切り替えは、経口抗精神病薬治療と比較し、6ヵ月の治療期間における精神科入院率を有意に減少させた(14% vs.55.1%、p<0.001)。・患者は、18.2%が就労者で、29.2%が就労不能であった。・患者1人当たりの統合失調症エピソード数は、アリピプラゾール持効性注射剤治療群は0.41エピソードであり、経口抗精神病薬治療群の2.58エピソードと比較し、有意に少なかった(p<0.001)。・アリピプラゾール持効性注射剤治療群は、経口抗精神病薬治療群と比較し、患者1人当たりの平均入院回数(0.16回 vs.0.63回、p<0.001)および入院日数(5.56日 vs.27.39日、p<0.001)を有意に減少させた。・さらに、診療所および精神科救急における平均滞在時間に、有意な減少が認められた(7.29日 vs.46.13日、p<0.01)。・1年間の観察期間中における統合失調症患者1人当たりのコストは、経口抗精神病薬治療群で9935.38ユーロ(直接費用:9498.36ユーロ)、アリピプラゾール持効性注射剤治療群で4557.56ユーロ(直接費用:4449.83ユーロ)であった。・ドイツのヘルスケアシステムの観点からみると、総コストは、経口抗精神病薬治療で65億1,760万6,265.43ユーロ、アリピプラゾール持効性注射剤治療で29億8,975万6,603.05ユーロであった。・この結果は、感度分析においてもロバスト性が示され、アリピプラゾール持効性注射剤治療は費用対効果の高い治療戦略であることが示唆された。 著者らは「本結果は、統合失調症患者に対するアリピプラゾール持効性注射剤治療は、ドイツの法定健康保険におけるコスト削減のための大きな可能性を秘めていることを示唆している」としている。■関連記事統合失調症、双極性障害に対する持効性注射剤使用と関連コスト統合失調症の再発、コスト増加はどの程度世界で最も高齢化している日本における認知症の推定コスト

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抗うつ薬使用と道路交通事故による死亡との関連

 抗うつ薬は、最も一般的に使用されている精神疾患治療薬の1つである。しかし、抗うつ薬治療において、薬剤のクラス間または各物質に関連する交通事故リスクへの影響については、ほとんど知られていない。韓国・ソウル大学校病院のBo Ram Yang氏らは、道路交通事故における抗うつ薬使用と死亡リスクとの関連について調査を行った。Social Psychiatry and Psychiatric Epidemiology誌オンライン版2018年11月24日号の報告。 2010年1月~2014年12月までの健康保険データベースにリンクした韓国国道交通機関データベース(Korean national road traffic authority database)を用いて、ケース・クロスオーバーデザインによる検討を行った。調査対象は、交通事故で死亡し、事故の1年以内に抗うつ薬を処方されていた韓国人ドライバー。ハザード期間およびマッチさせた4つの対照期間における抗うつ薬の処方状況について、他の薬剤の使用で調整した後、条件付きロジスティック回帰分析を用いて比較を行った。処方箋の数より、抗うつ薬の処方動向を調査した。使用傾向が増加している薬剤およびケース・クロスオーバーオッズ比(OR)が有意に高い薬剤には、ケース・ケース・タイム・コントロールデザインを適用した。 主な結果は以下のとおり。・抗うつ薬を使用していたドライバー1,250例において、30日ハザード期間中にリスクの増加が認められた(調整OR:1.30、95%CI:1.03~1.63)。・選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)およびセロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)には有意なリスクが認められたが、三環系抗うつ薬では認められなかった。・しかし、すべての抗うつ薬、SSRI、SNRI、エスシタロプラム、デュロキセチンの関連性は、使用傾向を調整した後、有意ではなくなった。・パロキセチンとミルナシプランはリスク増加と関連が認められたが、それらの使用率に明らかな増加はみられず、ミルナシプランの結果には適応による交絡が影響を及ぼした可能性がある。 著者らは「抗うつ薬の処方や使用の傾向を考慮すると、パロキセチンの使用は、致死的な交通事故リスクを増加させる」としている。■関連記事自動車事故リスク、うつ病や抗うつ薬ではどうかゾルピデム処方と自動車事故リスク車両運転事故、とくに注意すべき薬剤は

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脳卒中後の機能回復にfluoxetineは有効か/Lancet

 急性脳卒中患者へのfluoxetineの6ヵ月毎日投与により、うつ病の発症は低下するものの骨折が増加し、機能的アウトカムの改善は得られない可能性が、英国・エディンバラ大学のMartin Dennis氏らが行ったFOCUS試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年12月5日号に掲載された。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)fluoxetineによる脳卒中後の機能的アウトカムの改善効果を示唆する小規模なプラセボ対照試験の結果が報告されており、コクランレビューでは、SSRIは脳卒中後の機能障害を抑制する可能性が示唆されている。しかし、これらのデータだけでは、治療ガイドラインの改訂には十分でなく、便益と有害反応が相殺される懸念も軽減されないという。6ヵ月後の身体機能をプラセボと比較 本研究は、英国の103施設が参加したプラグマティックな二重盲検プラセボ対照無作為化試験であり、2012年9月~2017年3月の期間に患者登録が行われた(英国脳卒中協会と国立健康研究所[NIHR]医療技術評価プログラムの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、臨床的に急性脳卒中と診断され、発症後2~15日の期間に無作為割り付けが行われ、割り付け時に神経脱落症状がみられた患者であった。 被験者は、fluoxetine 20mgまたはプラセボを毎日経口投与する群に割り付けられ、6ヵ月の治療が行われた。主要評価項目は、修正Rankinスケール(mRS、0[無症状]~6[死亡])で評価された6ヵ月時の身体機能とした。 3,127例が登録され、fluoxetine群に1,564例(平均年齢71.2[SD 12.4]歳、女性38%)、プラセボ群には1,563例(71.5[12.1]歳、39%)が割り付けられた。うつ病、気分障害も12ヵ月後には有意差が消失 6ヵ月時のmRS分類の分布は両群でほぼ同等であった(0:fluoxetine群7%、プラセボ群8%、1:19%、20%、2:10%、10%、3:33%、33%、4:8%、8%、5:14%、13%、6:8%、8%)。最小化変数で補正した共通オッズ比(OR)は0.951(95%信頼区間[CI]:0.839~1.079、p=0.439)だった。 Stroke Impact Scale(SIS)の9項目(筋力、手の機能、移動、日常生活動作、記憶、コミュニケーション、感情、参加、回復)は、いずれも両群間に差はみられなかった。また、疲労(SF36の「活力」で評価、p=0.6726)および健康関連QOL(EQ5D-5Lで評価、p=0.5866)にも差はなかった。気分障害(Mental Health Inventory[MHI-5]で評価)は、6ヵ月時にはfluoxetine群で良好であった(p=0.0100)が、12ヵ月時には差はなくなった。 6ヵ月時に新たにうつ病と診断された患者の割合は、fluoxetine群が13.43%(210例)と、プラセボ群の17.21%(269例)に比べ有意に低かった(p=0.0033)が、12ヵ月時には群間差は消失した。一方、6ヵ月時の骨折の発生率は、fluoxetine群が2.88%(45例)と、プラセボ群の1.47%(23例)に比し有意に高かった(p=0.0070)。生存を含め、12ヵ月時の他の副次評価項目にも両群間に有意な差は認めなかった。 著者は、「これらの結果は、脳卒中後のうつ病の予防や機能回復の促進を目的としたfluoxetineのルーチンの使用を支持しない」としている。

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第2世代抗精神病薬と代謝変化に対する腸内微生物の役割

 第2世代抗精神病薬(SGA)の中で、代謝機能不全を誘発する薬剤がいくつか知られている。このような副作用の発現には、さまざまな要因が影響している。ポーランド・Pomeranian Medical UniversityのKarolina Skonieczna-Zydecka氏らは、SGAがディスバイオーシス(バランス失調)を引き起こすかの調査、腸内細菌叢の変化が体重や代謝に及ぼす影響の評価、動物やヒトを対象とした研究におけるSGA治療誘発性代謝異常のメカニズムについての検討を行った。Psychopharmacology誌オンライン版2018年11月20日号の報告。 2018年7月3日までにSGAで治療された患者の微生物および体重変化について報告した研究を、データベース(PubMed、Medline、Embase、ClinicalTrials.gov、PsychInfo)よりシステマティックに文献検索した。 主な結果は以下のとおり。・マウス(8試験)およびラット(3試験)において報告された研究、7文献が抽出された。・オランザピンが5試験、リスペリドンが6試験に使用されていた。・ヒトにおいて報告された研究の3文献(4試験)のみが、リスペリドンおよび混合SGAの使用基準に適合していた。・バクテロイデス門と比較し、フィルミクテス門の増加が微生物の変化に直接的(げっ歯類5試験、ヒト4試験)または間接的(げっ歯類4試験)に影響を及ぼすことが確認された。これは、げっ歯類(8試験)およびヒト(4試験)における体重増加と同様であった。・オランザピンでは、げっ歯類における肥満、脂質生成、血漿遊離脂肪酸、酢酸塩レベルの上昇といった代謝変化(3試験)および炎症(2試験)の両方を誘発することが確認された。一方、リスペリドンでは、げっ歯類における安静時代謝率の抑制(5試験)、ヒトにおける空腹時血糖、TG、LDL、hs-CRP、antioxidant SOD、HOMA-IRの上昇が認められた(1試験)。・げっ歯類の研究において、体重に対するディスバイオーシスの性別依存的な影響が認められた(1試験)。 著者らは「抗精神病薬治療に関連する腸内微生物の変化は、体重増加や代謝異常に潜在的な影響を及ぼす。炎症や安静時代謝率の抑制は、代謝異常の発生に重要な役割を果たすと考えられる」としている。■関連記事オランザピンの代謝異常、原因が明らかに:京都大学統合失調症治療に用いられる抗精神病薬12種における代謝系副作用の分析抗精神病薬の代謝への影響に関するランダム化比較試験

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自閉スペクトラム症における非感情性精神病性障害や双極性障害のリスク

 自閉スペクトラム症(ASD)を有する患者では、非感情性精神病性障害(NAPD)および双極性障害(BD)のリスクが高いといわれている。しかし、ASDとNAPDまたはBDの併発を検討したこれまでの研究では、診断バイアスや選択バイアスは考慮されていなかった。オランダ・マーストリヒト大学のR. Schalbroeck氏らは、オランダの精神医学的症例レジストリからの縦断データを用いて、ASD患者のNAPDまたはBDリスクを評価し、これまでのオランダ人集団における研究結果との比較を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2018年11月21日号の報告。 ASD患者1万7,234例を対象に、16~35歳までフォローアップ調査を行った。NAPDまたはBDリスクは、カプランマイヤー法を用いて算出した。バイアスを減少させるために、16歳までにASDと診断された患者8,337例の分析を含めた個別分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・ASD患者のうち、35歳までにNAPDと診断された患者は23.50%(95%信頼区間[CI]:21.87~25.22)、BDと診断された患者は3.79%(95%CI:3.06~4.69)であった。・一般集団における診断率は、NAPDで0.91%(95%CI:0.63~1.28)、BDで0.13%(0.08~0.20)であった。・リスク推定値は、おおむね低値だったが、一般集団と比べると高値だった。16歳までにASDと診断された患者に限定すると、25歳までに1.87%(95%CI:1.33~2.61)がNAPDと診断され、0.57%(95%CI:0.21~1.53)がBDと診断された。・一般集団における上記の診断率は、NAPDで0.63%(95%CI:0.44~0.86)、BDで0.08%(95%CI:0.05~0.12)であった。 著者らは「ASD患者のNAPDまたはBD発症リスクは高かった。この結果には、診断バイアスや選択バイアスは影響していないと考えられる」としている。■関連記事日本人自閉スペクトラム症に対するアリピプラゾールの長期効果は自閉スペクトラム症におけるうつ病や自殺念慮のリスクと保護因子自閉症とADHD症状併発患者に対する非定型抗精神病薬の比較

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治療抵抗性統合失調症患者に対する集中的ECTのパイロット研究

 薬物治療が奏効しない治療抵抗性統合失調症(TRS)患者に対し、電気けいれん療法(ECT)の追加療法がしばしば行われる。イラン・Kermanshah University of Medical SciencesのOmran Davarinejad氏らは、TRS患者に対する8日間毎日の集中的ECTが、短期的(治療終了4週間後)および中期的(治療終了12週間後)に精神症状をどの程度改善できるかについて、検討を行った。Neuropsychobiology誌オンライン版2018年11月21日号の報告。 対象は、DSM-5の基準に基づくTRS患者14例。ECTは、8日間連続して毎日実施された。ベースライン時、治療終了時、治療終了4週間後、治療終了12週間後において、トレーニングを受けた精神科医が、疾患重症度(陽性症状、陰性症状、精神病理)および認知機能の評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・精神症状(陽性症状、陰性症状、精神病理)は、ベースライン時から治療終了時および治療終了4週間後まで改善した。・治療終了12週間後には、精神症状が再び増加した。・認知機能は、ベースライン時から治療終了時および治療終了4週間後まで減少した。・しかし、治療終了12週間後には、認知機能は、ベースライン時のレベルまで戻っていた。 著者らは「TRS患者に対する集中的ECTは、短期的および中期的に精神症状を改善させた。治療終了4週間後から12週間後にかけての精神症状増加は、ECT追加セッションのベネフィットを示唆している」としている。■関連記事治療抵抗性統合失調症、ECT併用は有益か治療抵抗性統合失調症に対する電気けいれん療法とクロザピンとの併用統合失調症へのECT、アジア諸国での実態調査

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治療抵抗性うつ病に対する増強療法~メタ解析

 うつ病は、最も高い障害負荷を有する疾患の1つである。治療抵抗性うつ病(TRD)は、その負荷の重要な因子であるが、そのための最良の治療アプローチ、とくに実践可能な増強療法の有効性については、あまり知られていない。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのRebecca Strawbridge氏らは、TRDに対する心理学的および薬理学的な増強療法のエビデンスについて、システマティックレビュー、メタ解析を行った。The British Journal of Psychiatry誌オンライン版2018年11月20日号の報告。 2種類以上のうつ薬治療に対し効果不十分なうつ病患者をTRDと定義した。治験において、1種類以上の増強療法に無作為化された患者を対象とした。事前事後解析では、治療有効性を評価し、比較介入群と独立したエフェクトサイズ(ES)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・28試験が抽出された。内訳は、心理学的増強療法3件、薬理学的増強療法25件であった。・事前事後解析では、N-メチル-D-アスパラギン酸を標的とする薬剤が、最も高いESを示した(ES:1.48、95%CI:1.25~1.71)。・3試験以上行われていた薬剤は、アリピプラゾール(4試験、ES:1.33、95%CI:1.23~1.44)、リチウム(3試験、ES:1.00、95%CI:0.81~1.20)のみであった。・全体として、薬理学的増強療法(ES:1.19、95%CI:1.80~1.30)および心理学的増強療法(ES:1.43、95%CI:0.50~2.36)は、プラセボ群(ES:0.78、95%CI:0.66~0.91)および心理学的コントロール群(ES:0.94、95%CI:0.36~1.52)よりもESが大きかった。 著者らは「実臨床で広く使用されているにもかかわらず、TRDに対する増強療法のエビデンスは、あまり多くない。事前事後解析は、直接比較の欠如により制限を受けるものの、治療方法全体にわたる有望な根拠を見いだすことができる」としている。■関連記事リアルワールドデータにおける治療抵抗性うつ病治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのかSSRI治療抵抗性うつ病に対する増強療法の比較

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日本人高齢者における幼少期の社会経済的状況と認知症の主観的症状との関係

 西洋諸国において、小児期の社会経済的な困難と認知症や認知機能低下との関連を示唆するエビデンスが増加している。しかし、非西洋諸国において、この関連性に関する研究は行われていない。東京大学の村山 洋史氏らは、地域社会に暮らす日本人高齢者における小児期の社会経済的な状態(SES)と認知症の主観的な症状との関連を調査し、この関連性が年齢や性別により変動するかを検討した。Journal of Epidemiology誌オンライン版2018年10月20日号の報告。 東京都足立区の65歳以上のすべての住民13万2,005人を対象とした断面調査よりデータを抽出した。自己評価による認知症チェックシートを用いて主観的な症状を評価し、臨床認知症尺度(Clinical Dementia Rating:CDR)と比較し、検証を行った。 主な結果は以下のとおり。・7万5,358件のアンケートデータを分析した。・潜在的な共変量で調整した後、小児期の低SESは、認知症の主観的な症状と関連している可能性が高かった。・小児期のSESと認知症の主観的な症状との関連は、年齢で有意な相互関係が認められたが、性別では認められなかった。・年齢層別分析では、小児期の低SESと認知症の主観的な症状との関連性は、65~74歳群よりも75歳以上群でより強く、この関連に対する年齢変化の影響を示唆している。 著者らは「小児期の低SESは、高齢期の認知症状に長期的な影響を及ぼし、この影響は、年齢により異なることが示唆された。この差異は、日本における社会的および歴史的(第2次世界大戦、戦後の混乱、その後の高い経済成長)な影響であると考えられる」としている。■関連記事小児期のストレスと将来の認知症発症との関連どのくらい前から認知症発症は予測可能かうつ病の治療転帰を予測するには、臨床的要因 < 社会経済的要因

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日本人生活保護受給者における精神病床入院の地域差に関する研究

 日本の生活保護受給者数は約200万人、年間医療扶助費は約1.8兆円に達しており、医療扶助費のうち15%は、精神疾患による入院医療費となっている。そして、さまざまな地域で精神科病床に長期間入院している患者に対する退院促進の取り組みが行われている。しかし、都道府県ごとに、どの程度の生活保護受給者が精神科病床に入院しているか、といった基礎的な統計資料は、これまで不十分であった。東京都医学総合研究所の奥村 泰之氏らは、厚生労働省による医療扶助実態調査を活用して分析を行った。Journal of Epidemiology誌オンライン版2018年9月22日号の報告。 2014年5月、2015年5月、2016年5月の厚生労働省による医療扶助実態調査を活用して分析を行った。対象は、2016年6月審査分の生活保護受給者のレセプトより、2016年5月に精神病床に入院していた4万6,559例とした。年齢、性別で標準化された精神科病床の入院患者数は、都道府県ごとに、直接標準化法および間接標準化法を用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。・人口10万人当たりの精神科病床入院中の生活保護受給者数は36.6例であった。・都道府県別では、人口10万人当たりの精神科病床入院中の生活保護受給者数が最も多い長崎県(83.3例)と最も少ない長野県(12.0例)との間に約7倍の差が認められた。・重回帰モデル分析では、人口10万人当たりの精神科病床数が多い地域は、精神科病床入院中の生活保護受給者数が多い傾向が認められた(R2=28%)。・また、人口1,000人当たりの生活保護受給者数が多い地域は、精神病床入院中の生活保護受給者数が多い傾向が認められた(R2=23%)。・感度分析では、別の調査年およびサブグループからのデータにおいても、同様の所見が示唆された。 著者らは「地域移行の施策が導入されてきた後、精神科病床へ長期入院となる都道府県ごとの生活保護受給者数には、最大で約8倍の差が認められた。都道府県の差を説明する主な要因は、人口当たりの精神科病床数と生活保護受給者数であることが明らかになった。政策立案者は、地域差が生じる合理性を評価し、その差を小さくする施策を検討することが求められる」としている。■関連記事日本における精神科病床への新規入院患者の在院日数に関する研究統合失調症と双極性障害における退院後早期の精神科受診と再入院リスクに関する研究せん妄に対する薬物治療、日本の専門家はどう考えているか

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経口アリピプラゾール前処置後の統合失調症患者における持効性注射剤の有効性

 実臨床におけるアリピプラゾール月1回投与(アリピプラゾール持効性注射剤:AOM)を使用した統合失調症治療の有効性について、ドイツ・ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターのDaniel Schottle氏らが評価を行った。BMC Psychiatry誌2018年11月14日号の報告。 本研究は、多施設プロスペクティブ非介入研究として実施された。対象は、6ヵ月間のAOM治療をモニタリングされた統合失調症患者242例(年齢:43.1±15.1歳、男性の割合:55.0%)。評価項目は、精神病理学的尺度(簡易精神症状評価尺度:BPRS)、疾病重症度尺度(臨床全般印象度-重症度:CGI-S、臨床全般印象度-改善度:CGI-I)とした。また、治療関連有害事象(TRAE)を評価した。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時の平均BPRS合計スコアは54.1±15.6であった。平均CGI-Sスコアは4.8±0.8であり、「顕著な精神疾患(markedly ill)」が最も高頻度に認められた(41.7%)。・経口アリピプラゾールによる前処置の平均期間は、9.7ヵ月(標準偏差[SD]:22.3)であり、平均5.9ヵ月で87.9%が臨床医より「臨床的に安定している」と判断された。・6ヵ月後の全体的なBPRSスコアの差は、-13.8(SD:16.0、95%信頼区間:-15.9~-11.7、p<0.001)であった。・高CGI-Sスコア患者が有意に減少し(p<0.001)、低CGI-Sスコア患者が有意に増加した(p<0.001)。・35歳以下の若年患者において、BPRSスコアはとくに良好な改善が認められ、CGI-Sスコアは有意な低下が認められた。・TRAEはまれであり、錐体外路症状(2.9%)および体重増加(0.4%)の発生率は低かった。 著者らは「AOM治療は、長期にわたる経口アリピプラゾールにより精神症状が改善し、臨床的に安定していると判断された外来統合失調症患者に対し、さらなる有効性が示唆された。AOMの治療効果は、これまでの無作為化比較試験での結果と同様に、実臨床においても実証される」としている。■関連記事うつ病に対するアリピプラゾール増強療法の実臨床における有効性と安全性ブレクスピプラゾールとアリピプラゾールの体重変化への影響アリピプラゾール維持治療の52週RCT結果

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日本の校長と教頭におけるうつ病と職業性ストレス

 教育は、最もストレスの多い職業の1つである。過去10年間で、年間約5,000人の日本人の公立学校教師が、精神疾患を発症している。学校の校長や教頭も職業上のストレスに直面していると考えられるが、これらの職業性ストレスについては、ほとんど検討されていなかった。大阪市立大学の新田 朋子氏らは、日本の校長および教頭における職業性ストレス、役割の問題、抑うつ症状との関係について検討を行った。Occupational Medicine誌オンライン版2018年11月14日号の報告。 校長262人、教頭268人を対象に、2013年の横断研究のデータを用いて検討を行った。抑うつ症状の評価には、うつ性自己評価尺度(SDS)日本語版を用い、職業性ストレスと社会的支援の評価には、職業性ストレス調査票(GJSQ)を用いた。SDSスコア49点以上をうつ病と定義した。抑うつ症状と認知された職業性ストレスとの関係は、変数増減法多変量ロジスティック回帰分析を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・校長の36人(14%)、教頭の81人(30%)がうつ病と評価された。・校長において、量的作業負荷(オッズ比[OR]:6.62、95%CI:2.63~16.70)、役割のあいまいさ(OR:4.94、95%CI:1.57~15.53)が抑うつ症状スコアの上昇と関連していた。・教頭において、管理者からの社会的支援(OR:4.14、95%CI:1.97~8.68)、役割のあいまいさ(OR:9.71、95%CI:4.08~23.14)が抑うつ症状スコアの上昇と関連していた。 著者らは「日本の校長や教頭のメンタルヘルスを改善するためには、両者の職務を明確にし、校長の量的作業負荷の軽減、教頭に対する管理者からのサポートの増加が重要である」としている。■関連記事日本人教師における仕事のストレスと危険なアルコール消費の性差に関する横断研究職場ストレイン、うつ病発症と本当に関連しているのかストレスやうつ病に対する朝食の質の重要性

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統合失調症患者に対するベンゾジアゼピン使用と肺炎リスク

 統合失調症患者では、ベンゾジアゼピンの投与量や使用頻度が一般集団よりも高い。台湾・台北市立連合医院のSheng-Yun Cheng氏らは、統合失調症患者におけるベンゾジアゼピン使用と肺炎発症リスクとの関連を調査するため、ネステッド・ケース・コントロール研究を実施した。Psychopharmacology誌2018年11月号の報告。 台湾の全民健康保険研究データベースを用いて、2000~10年の統合失調症コホートより3万4,929例を抽出した。統合失調症コホート内より、肺炎患者2,501例およびマッチした対照群9,961例(比率1:4)を抽出した。ベンゾジアゼピン使用は、薬剤、治療期間、1日投与量で分類した。ベンゾジアゼピン使用と肺炎リスクとの関連性は、条件付きロジスティック回帰モデルを用いて分析した。 主な結果は以下のとおり。・30日以内のベンゾジアゼピン使用において肺炎リスクが高かった薬剤は、以下の順であった。 ●ミタゾラム(調整リスク比:6.56、p<0.001) ●ジアゼパム(調整リスク比:3.43、p<0.001) ●ロラゼパム(調整リスク比:2.16、p<0.001) ●トリアゾラム(調整リスク比:1.80、p=0.019)・また、現在使用されているほとんどのベンゾジアゼピンにおいて、肺炎リスクに対する用量依存反応が認められた。・肺炎リスクは、γ-アミノ酪酸A α1、α2、α3受容体との親和性と相関が認められた。 著者らは「統合失調症患者において、ベンゾジアゼピン使用と肺炎リスクには、用量依存的な関連が認められた。各薬剤のリスクと作用機序の違いについては、さらなる検討が必要である。臨床医は、ベンゾジアゼピンを使用している統合失調症患者における肺炎の早期兆候を見逃さないようにすべきである」としている。■関連記事アルツハイマー病患者へのベンゾジアゼピン使用と肺炎リスクベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は統合失調症治療、ベンゾジアゼピン系薬の位置づけは

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日本人高齢者のうつ病に関連する社会的要因~AGESプロジェクト

 日本人高齢者のうつ病発症を予防するためには、生物学的および心理学的要因を考慮しながら、縦断的データを用いて、うつ病の社会的決定要因を明らかにする必要がある。そのような決定要因の特定は、社会政策を通じて、より積極的な介入を可能にするかもしれない。日本大学の三澤 仁平氏らは、日本人高齢者のうつ病に関連する社会的要因を明らかにし、これに関連する政策的意義を検討するため、本研究を行った。Aging & mental health誌オンライン版2018年11月8日号の報告。 愛知老年学的評価研究(AGES)プロジェクトの縦断調査(Wave1~Wave2)から、65歳以上の高齢者3,464例のパネルデータを抽出した。アウトカム変数は、老年期うつ病評価尺度(GDS)で評価したうつ病とした。友人と会う頻度、ソーシャルサポート、趣味、団体への参加、ライフイベント、疾病、健康状態の自己評価、手段的日常生活動作、首尾一貫感覚を説明変数とし、性別ごとにロジットモデルで検討した。 主な結果は以下のとおり。・Wave1で精神疾患やうつ病でなかった高齢者のうち、14%はWave2で抑うつ症状が認められた。・男女ともに、ライフイベントはうつ病発症率を上げる予測因子であり、首尾一貫感覚はうつ病発症率を下げる予測因子であった。・男性において、友人と会う頻度、趣味、健康状態の自己評価はうつ病発症率を下げる予測因子であった。・女性においては、年齢がうつ病発症率を上げる予測因子であった。 著者らは「全体として、日本のうつ病を予防するうえで、社会的交流は重要である。社会的交流を促進できる体制の確立やライフイベントの中で高齢者にケアを提供することは、うつ病を予防するための有用な社会政策アプローチとなりうる」としている。■関連記事少し歩くだけでもうつ病は予防できるうつ病の新規発症予防へ、早期介入プログラム高齢者に不向きな抗うつ薬の使用とその後の認知症リスクとの関連

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