気候変動と認知症入院リスクとの関連 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2019/03/18 人間が引き起こす気候変動がここ数十年で加速しており、健康への悪影響が懸念されている。しかし、高齢者の神経疾患に対する気候変動の影響は、まだよくわかっていない。米国・ハーバード公衆衛生大学院のYaguang Wei氏らは、ニューイングランドにおける認知症の入院と夏季、冬季の平均気温および気温変動との関連について検討を行った。Environment International誌オンライン版2019年2月26日号の報告。 認知症の入院と夏季、冬季の平均気温および気温変動との関連を推定するため、時間依存共変量Cox比例ハザードを用いた。各地域の気温は、衛星画像データを利用した予測モデルを用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。 ・夏季(ハザード比[HR]:0.98、95%信頼区間[CI]:0.96~1.00)または冬季(HR:0.97、95%CI:0.94~0.99)の気温が平均よりも高かったとき、認知症関連入院リスクは低下した。一方、気温変動の大きい地域の高齢者では、認知症関連入院リスクが上昇した。 ・性別、人種、年齢、メディケア二重資格による交互作用(Effect modification)は、サブグループにおける脆弱性を調査するために考慮された。 著者らは「本結果より、平均気温より低いとき、および気温変動が大きいときに、認知症関連入院リスクの上昇が示唆された。気候変動は、認知症の進行やそれに伴う入院コストに影響を及ぼす可能性がある」としている。 ■関連記事 なぜ、フィンランドの認知症死亡率は世界一高いのか 統合失調症患者の入院、1日の気温差が影響 気温31℃超で気分症状が再発!入院も増加 (3月18日 記事の一部を修正いたしました) (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Wei Y, et al. Environ Int. 2019 Feb 26. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 高齢統合失調症患者における認知症発症の神経病理学的根拠 医療一般 日本発エビデンス(2023/10/27) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 低リスク分化型甲状腺がん、全摘後のアブレーションは回避できるか/Lancet(2025/07/02) 国を滅ぼしかねない(?)ベンゾジアゼピン系、その減らし方(解説:岡村毅氏)(2025/07/02) 大手術前のRAS阻害薬の継続/中止、心血管リスク有無での判断は?(2025/07/02) 抗精神病薬による統合失調症患者の死亡リスクを比較(2025/07/02) 脂肪性肝疾患の診療のポイントと今後の展望/糖尿病学会(2025/07/02) 高所得国での非喫煙者の肺がん、よく料理する人ほどリスク高い?(2025/07/02) 就学前までのBMIの変化で将来の肥満リスクを予測可能(2025/07/02) 睡眠中の脳にカフェインはどう作用するのか(2025/07/02) カロリー制限食は抑うつ気分を高める?(2025/07/02) [ あわせて読みたい ] 医療・介護施設従事者のための転倒・転落事故へのアプローチ ~転倒・転落事故のメカニズム、予防、事故後フォローのすべて~(2025/02/27) 非機器的早期運動療法はDVT発生率を低減【論文から学ぶ看護の新常識】第1回(2025/02/05) トレンド・トーク『肺がん』(2024/06/11) 災害対策まとめページ(2024/02/05) Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29) エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11)