糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

前糖尿病状態から糖尿病にならないために

 前糖尿病者において、肥満かどうかにかかわらず体重を増加させないことで糖尿病発症リスクを最小限にできることが、国立国際医療研究センターのHuan Hu氏らの研究で示唆された。体重を減らすことは肥満者が前糖尿病状態から正常血糖に戻るのに役立つ一方、体重を維持することは非肥満者が正常血糖に戻るのに役立つ可能性があるという。Clinical Nutrition誌オンライン版2019年12月25日号に掲載。

肥満者が気候変動の一因に?

 世界的な肥満の蔓延は温室効果ガスの排出量を増やし、気候変動の一因となっている可能性を指摘する研究報告を、コペンハーゲン大学(デンマーク)のFaidon Magkos氏らが「Obesity」12月20日オンライン版に発表した。同氏は「今回の分析結果は、肥満を減らすことは罹患率や死亡率の低減、医療コストの削減に有益なだけでなく、地球環境にも好ましい影響を与える可能性があることを示唆するものだ」と説明している。

糖尿病患者が水面下で治療必需品を授受――医療費が高騰する米国の報告

 米国では医療費の高騰や保険給付制限の影響を受け、治療薬や必需品を求めて水面下のマーケットを利用している糖尿病患者が少なくないという実態が、米ユタ大学看護学のMichelle Litchman氏らの研究により明らかになった。詳細は「Journal of Diabetes Science and Technology」12月4日オンライン版に掲載された。  Litchman氏は「過去10年でインスリンの価格が高騰している。保険料や保険の免責額の高騰と相まって、より深刻な状況となっている」と指摘。「糖尿病の患者は健康でいたいと思うがゆえに、以前とは異なるルートでインスリンや糖尿病治療の必需品を手に入れようと必死になっている」という。

尿酸値を本気で下げるには?

 高尿酸血症の治療には食生活を中心とした生活習慣改善が欠かせないが、無症状の場合も多く、継続的に取り組むことは容易ではない。患者を“本気にさせる”方法や、乳酸菌による尿酸値の上昇抑制効果とは? 2019年11月29日、「疾病リスクマーカーとして注目すべき尿酸値に関する新知見」と題したメディアセミナー(主催:明治)が開催された。久留 一郎氏(鳥取大学大学院医学系研究科)、野口 緑氏(大阪大学大学院医学系研究科)、藏城 雅文氏(大阪市立大学大学院医学研究科)が登壇し、高尿酸値と疾病リスクの関係や患者指導のポイント、生活習慣改善にまつわる新旧のエビデンスについて講演した。

「糖尿病 燃え尽き状態」との向き合い方

 糖尿病の治療に終わりはない。生存のためにインスリンが必要な場合、一歩間違えば死につながることさえある。米テネシー大学のSamereh Abdoli氏らは、こうした日々のストレスの積み重ねによって「糖尿病バーンアウト(燃え尽き状態)」が引き起こされると「American Journal of Nursing」12月号に報告した。  研究グループは、糖尿病燃え尽き状態の経験がある1型糖尿病患者18人を対象に、詳細なインタビュー調査を行った。対象者の年齢は21~65歳(平均38歳)、女性11人(61%)、白人10人(56%)で、17人(94%)が仕事を持ち、10人(56%)が既婚者、16人(89%)が大学卒であり、13人(72%)はインスリンポンプを使用していた。インタビューの結果、対象者の39%は現在も糖尿病燃え尽き状態にあることが分かった。また61%は前年に燃え尽き状態を経験していた。

米FDAがEPA製剤の適応拡大を支持

 米食品医薬品局(FDA)は12月13日、魚油に豊富に含まれるイコサペント酸エチル(EPA)製剤であるVascepa(商品名)の適応を、既にスタチンを使用している心血管疾患や糖尿病などの高リスク患者へと拡大することを支持する声明を発表した。  Vascepaは、既に高トリグリセリド血症治療薬としてFDAの認可を受けている。今回、FDAの諮問委員会は、血中トリグリセリド(TG)値が150mg/dL以上で、心血管疾患や糖尿病などの複数のリスク因子を抱える高リスク患者への同薬の適応拡大を承認した。FDA医薬品評価研究センター(CDER)のJohn Sharretts氏は「今回の適応拡大により、TG値が高く、心疾患や脳卒中、糖尿病などの重要なリスク因子を持つ患者は、心血管イベントの二次予防を目的とした補助治療の選択肢として同薬を使用することができるようになる」と説明している。

完全人工膵臓実現へのさらなる一歩(解説:住谷哲氏)-1167

数年前に米国FDAは、世界初のclosed-loop insulin delivery systemであるMiniMed 670G(Medtronic)を認可した。これは基礎インスリン分泌basal insulin deliveryのみを自動化したものでhybrid closed-loop systemと呼ばれている。本試験で用いられたのは、基礎インスリン分泌に加えて高血糖時の補正インスリンcorrection bolusも自動化した新しいclosed-loop systemである。人工膵臓 artificial pancreasはグルコース濃度を感知するセンサー、投与インスリン量を計算するアルゴリズム、インスリンを注入するポンプの3つから成る。本試験で用いられたのはそれぞれDexcom G6 CGM(Dexcom)、Control-IQ Technology(Tandem Diabetes Care)、t:slim X2インスリンポンプ(Tandem Diabetes Care)を組み合わせたシステムである。Control-IQ Technologyの基礎となったアルゴリズムinControlは米国・バージニア大学で開発され、後にTypeZero Technologiesに引き継がれたが、同社は近年Dexcomと合併した。t:slim X2インスリンポンプは唯一のタッチパネル式のインスリンポンプであり、その使いやすさから市場を伸ばしている。人工膵臓開発の分野は競争が熾烈で、これら複数の企業と米国のバージニア大学が共同で実施したInternational Diabetes Closed Loop(iDCL)trialが本試験である。

血糖変動の大きさは左室拡張不全の独立したリスク因子

 左室収縮機能の保たれた心不全(HFpEF)を併発している2型糖尿病患者では、血糖変動の大きさが左室拡張機能の低下と独立して関連していることが報告された。神戸大学大学院医学研究科循環器内科学分野の田中秀和氏らの研究によるもので、詳細は「Cardiovascular Diabetology」12月5日オンライン版に掲載された。  2型糖尿病はHFpEFを併発する頻度が高いが、糖尿病患者の左室拡張機能の低下のリスク因子は明らかになっていない。一方、HbA1cでは把握できない血糖変動の大きさが、各種糖尿病合併症のリスクに関連していることが近年注目されている。田中氏らはこの点に着目し、連続血糖測定(CGM)から求めた血糖変動(GV)と拡張機能(E/e')との関連を検討した。

中年期の肥満で認知症リスクが高まる?

 中年期に肥満だった人は、その後の認知症リスクが高まる可能性があることが、100万人を超える英国女性を対象とした研究から明らかになった。英オックスフォード大学のSarah Floud氏が実施した研究から、50歳代半ばに肥満だった女性は、適正体重だった女性と比べて、15年後以降に認知症と診断されるリスクが21%高いことが分かったという。研究結果の詳細は「Neurology」12月18日オンライン版に掲載された。  Floud氏らは今回、英国で1935年から1950年の間に出生した女性の約4人に1人に当たる113万6,846人を追跡した。研究開始時の女性の平均年齢は56歳で、全て認知症のない女性であった。同氏らは、参加者の肥満度(BMI)を評価したほか、食事のカロリー摂取量と運動習慣に関する情報を収集した。

男性胚細胞腫瘍の心血管疾患リスクは?/JCO

 男性の胚細胞腫瘍は、まれだが20~30代に比較的多く発生するという特徴がある。その男性胚細胞腫瘍(精巣腫瘍)について、ブレオマイシン+エトポシド+シスプラチン(BEP)併用療法が、治療開始後1年未満の心血管疾患(CVD)リスクを顕著に増加させ、10年後にもわずかだがリスク増加と関連することが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のJakob Lauritsen氏らによる検討で明らかにされた。また、放射線療法が糖尿病のリスク増加と関連していることも示されたという。なお、経過観察の患者では、CVDリスクは正常集団と同程度であった。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年12月10日号掲載の報告。