過体重または肥満の治療において、新規単分子GLP-1受容体/アミリン受容体作動薬amycretinは、安全な投与が可能で高い忍容性を有し、プラセボと比較して用量依存性に良好な体重減少効果をもたらす可能性があることが、デンマーク・Novo Nordisk A/SのAgnes Gasiorek氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2025年6月21日号で報告された。
米国の単施設の無作為化プラセボ対照第I相試験
研究グループは、成人の過体重または肥満の治療におけるamycretinの安全性、忍容性、薬物動態特性、薬力学的効果の評価を目的に、米国の単施設においてヒトで初めての二重盲検無作為化プラセボ対照第I相試験を行った(Novo Nordisk A/Sの助成を受けた)。
本試験は4つのパート(パートA~D)で構成され、対象は年齢18~55歳の男女(妊娠可能女性を含む)で、パートAとBはBMI値25.0~34.9、パートCとDはBMI値27.0~39.9とした。
パートAは単回投与であり、6つの段階に用量を漸増した経口amycretin(1、3、6、12、18[12+6]、25mg)またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けた(各用量群6例ずつ、プラセボ群12例、合計48例)。パートBは複数回投与であり、3つの段階に用量を漸増した経口amycretin(3、6、12mg)またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けた(各用量群9例ずつ、プラセボ群9例、合計36例)。パートC/Dでは、3つの用量漸増投与法(パートC1:3mgから50mgまで、パートC2:6mgから2×50mgまで、パートD:3mgから2×25mgまで)またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けた(C1、C2、D群は16例ずつ、プラセボ群12例、合計60例)。
主要エンドポイントは、1日目(ベースライン)の投与開始前から試験終了時の受診日(パートA:22日目、パートB:31日目、パートC/D:105日目)までの試験治療下で発現した有害事象(TEAE)の件数とした。
TEAEは62%に、消化器症状が多い
2022年5月~2024年1月に144例(内訳は上記)を登録した。パートA~Dの全体で、TEAEは89例(62%)に364件発現した。内訳は、パートAが22例(46%)に53件、パートBが20例(56%)に69件、パートC/Dが47例(78%)に242件であった。TEAEの重症度はすべて軽度~中等度で、用量依存性に頻度が高くなった。
最も頻度の高いTEAEは消化器関連(364件のうち180件[49%])で、89例中72例(81%)に発現した。主な症状は悪心と嘔吐で、食欲減退もみられた。死亡の報告はなかった。また、amycretinの血漿濃度は、すべての治療群で用量比例性(dose proportionality)を示した。
パートC/Dの全用量で、良好な体重減少
パートBでは、1日目から11日目に、プラセボ群と比較してすべてのamycretin群で大きな体重減少を認めた。パートC/Dでは、85日目の時点で、プラセボ群に比べすべてのamycretin群で優れた体重減少を確認した(体重の変化量のプラセボ群との差:amycretin 50mg群-9.2%[95%信頼区間[CI]:-12.0~-6.5]、同2×50mg群-11.8%[-14.6~-9.0]、同2×25mg群-11.1%[-13.8~-8.3])。
また、パートC/Dでは、85日目の時点でBMI値、ウエスト周囲長、糖化ヘモグロビン(HbA1c)値、空腹時血漿グルコース値のいずれもが、プラセボ群に比べてすべてのamycretin群で改善した。
著者は、「このヒトで初めての第I相試験の結果は、amycretinの体重減少効果の特性に関して、さらに調査を進めることを支持するものである」としている。
(医学ライター 菅野 守)