循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:90

中等~重症心不全の血行動態モニタリング、QOL改善・入院減/Lancet

 遠隔血行動態モニタリングは、現行のガイドラインに準拠した治療を受けた中等度~重度の心不全患者において、QOLの実質的な改善をもたらし、心不全による入院を減少させることが、オランダ・エラスムスMC大学医療センターのJasper J. Brugts氏らが実施した「MONITOR-HF試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年5月20日号で報告された。  MONITOR-HF試験は、オランダの25の施設が参加した非盲検無作為化試験であり、2019年4月~2022年1月の期間に患者の登録が行われた(オランダ保健省などの助成を受けた)。  駆出率を問わず、NYHA心機能分類クラスIIIの慢性心不全で、心不全による入院歴がある患者が、標準治療に加え血行動態モニタリング(CardioMEMS-HFシステム、Abbott Laboratories)を行う群、または標準治療のみを受ける群(対照群)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。

CHDイベント予測の改善、CACスコアvs.多遺伝子リスクスコア/JAMA

 冠動脈疾患(CHD)のリスク予測において、冠動脈石灰化(CAC)スコアは多遺伝子リスクスコアより判別力が優れており、従来リスク因子に追加した場合、CACスコアはCHDリスクの判別と再分類を大きく改善したが、多遺伝子リスクスコアは改善しなかった。米国・ノースウェスタン大学のSadiya S. Khan氏らが、米国とオランダの2つのコホート研究の結果を報告した。CACスコアと多遺伝子リスクスコアは、CHDリスクを特定するための新規マーカーとしてそれぞれ個別に提案されているが、同一コホートでこれらのマーカーを直接比較した研究はこれまでなかった。JAMA誌2023年5月23・30日号掲載の報告。

デュアルチャンバー型リードレスペースメーカー、安全性を確認/NEJM

 オランダ・アムステルダム大学医療センターのReinoud E. Knops氏ら「Aveir DR i2i試験」グループは、デュアルチャンバー型リードレスペースメーカーシステムが安全性の主要エンドポイントを達成し、移植後3ヵ月間、適切な心房ペーシングと確実な房室同期が得られたことを報告した。シングルチャンバー型リードレスペースメーカーでは心房ペーシングや確実な房室同期が得られないが、右心房と右心室にそれぞれデバイスを経皮的に植え込むデュアルチャンバー型リードレスペースメーカーシステムは、より幅広い適応症の治療選択肢となることが期待されていた。NEJM誌オンライン版2023年5月20日号掲載の報告。

女性の尋常性ざ瘡、スピロノラクトンが有効/BMJ

 尋常性ざ瘡の女性患者の治療において、カリウム保持性利尿薬スピロノラクトンはプラセボと比較して、12週時の尋常性ざ瘡特異的QoL(Acne-QoL)の症状スコアが良好で、24週時にはさらなる改善が認められ、標準的な経口抗菌薬の代替治療として有用な可能性があることが、英国・サウサンプトン大学のMiriam Santer氏らが実施した「SAFA試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年5月16日号に掲載された。  SAFAは、イングランドおよびウェールズの10施設で実施された実践的な二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2019年6月~2021年8月の期間に参加者の募集が行われた(英国国立健康研究所[NIHR]の助成を受けた)。

24時間平均血圧および夜間血圧は、診察室血圧よりも優れた総死亡のリスクマーカー なぜ夜間血圧は予後予測能が高いのか? 治療の対象なのか?(解説:石川讓治氏)

24時間自由行動下モニタリングは、カフ・オシロメトリック法を用いて、上腕で20分間~30分間隔で血圧を自動測定する装置であり、昼間の自由行動下におけるストレス状態や夜間睡眠時の血圧などの、診察室血圧では評価できない時間帯の血圧の情報を得ることができる。地域一般住民および日常診療における多くの研究で、24時間平均血圧、とくに夜間血圧が診察室血圧よりも優れた総死亡や心血管死亡の予測因子であることが報告されてきた。Spanish Ambulatory Blood Pressure Registryは、スペインのプライマリケア医が高血圧の診断や治療のために24時間自由行動下血圧測定を行った患者のデータの登録研究であり、5万9,124例もの患者が平均9.7年間追跡された。このように非常に大きな症例数のデータベースにおいても以前と同様の知見が再確認されたが、追跡期間中に12.1%もの患者が死亡していた。

心不全の入院後30日死亡率、国の経済レベルで3~5倍/JAMA

 世界40ヵ国の心不全(HF)患者2万3,341例を登録したG-CHFレジストリ研究の結果、HFの病因、治療、転帰には国の経済レベルによって差があることを、カナダ・マックマスター大学のPhilip Joseph氏らG-CHF Investigatorsが報告した。HFに関する疫学研究の多くは高所得国で実施されており、中・低所得国での比較可能なデータは限られていた。著者は、「今回のデータは、世界的にHFの予防と治療の改善に取り組むうえで有用と考えられる」とまとめている。JAMA誌2023年5月16日号掲載の報告。

降圧薬による血圧低下度に薬剤差、個人差があるのか?(解説:石川讓治氏)

降圧薬の投与によって速やかに降圧目標に達することで、投与開始後早期の患者の心血管イベント抑制につながると考えられている。そのため、それぞれの患者に最も有効な降圧薬を選択していくことが重要である。本研究は、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(リシノプリル20mg)、アンジオテンシンII受容体阻害薬(カンデサルタン16mg)、サイアザイド利尿薬(ハイドロクロロサイアザイド25mg)、カルシウムチャンネル阻害薬(アムロジピン10mg)の4種類の降圧薬をクロスオーバーデザインで繰り返し投与し、降圧度の薬剤差、個人差を検討している。

大動脈弁狭窄症の死亡率の動向~日本含む高所得国

 カナダ・トロント大学の日尾野 誠氏らが、日本を含む高所得国8ヵ国における2000~20年の大動脈弁狭窄症の死亡率の動向を調査した結果、粗死亡率は8ヵ国とも増加したが、年齢標準化死亡率は3ヵ国(ドイツ、オーストラリア、米国)で減少傾向に転じ、80歳以上では8ヵ国で減少傾向に転じたことがわかった。Heart誌オンライン版2023年5月14日号に掲載。  本研究では、英国、ドイツ、フランス、イタリア、日本、オーストラリア、米国、カナダにおける2000~20年の大動脈弁狭窄症による死亡率の動向を調べるために、WHOのデータベースを用いて10万人当たり粗死亡率および年齢標準化死亡率、3つのグループ(64歳未満、65~79歳、80歳以上)の年齢層別死亡率を算出した。年間変化率は、結合点回帰を用いて分析した。

Complex PCIにおけるイメージングガイドPCIの有用性(解説:上田恭敬氏)

韓国の20施設において、約2年間の心臓死・標的血管関連心筋梗塞・TVRの複合エンドポイントを用いて、イメージングガイドPCIとアンジオガイドPCIの成績を比較した無作為化比較試験の結果である。Complex PCIとして規定される登録対象病変は、1)側枝径2.5mm以上の分岐部病変、2)CTO病変、3)unprotected LM病変、4)必要ステント長38mm以上と予想される病変、5)2枝以上の主要冠動脈枝のPCIを同時に行うもの、6)3本以上のステント使用が必要な病変、7)ステント内再狭窄病変、8)高度石灰化病変、9)主要冠動脈枝の入口部病変である。

砂糖代替品に体重減少効果はなく、むしろ疾病リスク高める/WHOガイドライン

 世界保健機関(WHO)は、2023年5月15日付で、非糖質系甘味料(non-sugar sweeteners:NSS)に関するガイドラインを公開し、体重コントロールや非伝染性疾患(NCD)のリスク低減を目的としてNSSを摂取しないよう勧告する、と発表した。  この勧告は、新たな研究のシステマティックレビューの結果に基づいたもので、NSSの使用は、成人および小児の体脂肪を減らすうえで長期的な利益をもたらさないことを示唆している。さらにシステマティックレビューの結果として、成人の2型糖尿病、心血管疾患、死亡率のリスク増加など、NSSの長期使用による望ましくない影響の可能性が示唆されている。