循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:88

低炭水化物ダイエットはメタボになりやすい?

 炭水化物の摂取量について、推奨量を下回るとメタボリックシンドローム(MetS)の発症が低下するかどうか、現時点では関係性を示す一貫した証拠はない。今回、米国・オハイオ州立大学のDakota Dustin氏らが炭水化物の摂取量とMetSの有病率について研究した結果、炭水化物の推奨量を満たしている人よりも下回っている人のほうがMetSの発症率が高いことが明らかになった。Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics誌オンライン版2023年3月23日号掲載の報告。

肥満や男性だけでない、いびきをかく人の1/4は睡眠時無呼吸症候群/レスメド

 睡眠中に大きないびきと共に呼吸が止まったり、弱くなったりするという症状を呈する睡眠時無呼吸症候群(SAS)。いびきをかく人の25%(男性:3人に1人、女性:5人に1人)は睡眠時無呼吸を発生していたという報告もあり、SASの80%は未診断ともいわれる。しかし、SASは糖尿病・心血管疾患の発症や循環器系の疾患による死亡のリスクを上昇させるため、治療が必要である。一般的な治療法としてはCPAP(持続陽圧呼吸)治療、マウスピース治療、手術、生活習慣の改善がある。  そこで、レスメドは2023年3月16日に「CPAP治療の最前線と患者アドヒアランスの向上について」と題してメディアセミナーを実施した。

糖尿病治療による心血管/心不全リスクへの効果の違い~メタ解析

 糖尿病治療による心血管および心不全リスクへの効果は試験により大きく異なる。今回、医学研究所北野病院(大阪市)の長谷部 雅士氏らがランダム化心血管アウトカム試験35試験のメタ解析およびメタ回帰分析により、糖尿病治療は主要有害心血管イベント(MACE)をHbA1cに依存して減少させる一方、心不全リスクは体重に依存して減少することがわかった。Cardiovascular Diabetology誌2023年3月19日号に掲載。  本研究では、2023年1月25日までPubMedとEMBASEで2型糖尿病または前糖尿病患者におけるMACEと心不全アウトカムの両方を報告する糖尿病治療(生活習慣改善、薬剤)のすべてのランダム化比較心血管アウトカム試験を検索し、35試験(計25万6,524例)を同定した。ランダム効果メタ解析に続いてメタ回帰分析を行い、各アウトカムに対するHbA1cまたは体重減少の影響を評価した。

カフェイン入りコーヒー、期外収縮への影響は?/NEJM

 カフェイン入りコーヒーの摂取はカフェインを摂取しない場合と比較し、毎日の心房期外収縮が有意に増加することはないことが、米国・カリフォルニア大学のGregory M. Marcus氏らが実施した単施設での前向き無作為化ケースクロスオーバー試験「Coffee and Real-time Atrial and Ventricular Ectopy trial:CRAVE試験」で確認された。コーヒーは、世界で最もよく消費されている飲料の1つであるが、コーヒーの摂取による健康への急性の影響は依然として不明であった。NEJM誌2023年3月23日号掲載の報告。

妊娠高血圧腎症予防のための低用量アスピリン投与は今後妊娠28週までの投与が基本となるか(解説:前田裕斗氏)

妊娠高血圧腎症予防のため、発症ハイリスク妊婦への妊娠初期からの低用量アスピリン投与は、標準的な治療になってきている。アスピリンの妊娠高血圧腎症予防機序はまだ不明な点もあるが、抗炎症作用や酸化ストレスの軽減から胎盤形成の障害を予防する効果があるとされ、そのため胎盤形成が行われる妊娠初期からの投与が望ましいと考えられている。一方、投与終了期間については一定した報告がなく、分娩時出血が増える可能性が報告されていることから36週での投与終了としている国が多い。

ICIの継続判断にも有用、日本初のOnco-cardiologyガイドライン発刊

 本邦初となる『Onco-cardiologyガイドライン』が第87回日本循環器学会学術集会の開催に合わせて3月10日に発刊された。これまで欧州ではESC(European Society of Cardiology、欧州心臓病学会)などがガイドラインを作成・改訂しており、国内でもガイドライン発刊が切望されていたことから、日本臨床腫瘍学会と日本腫瘍循環器学会が協働しMindsに準拠したものを作成した。今回、学術集会の会長企画シンポジウム6「OncoCardiology:診断と治療Up-to-Date」において、ガイドライン(以下、GL)のポイントについて発表された。

コロナ疾患後症状患者、1年以内の死亡/重篤心血管リスク増

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染から1年間のコロナ罹患後症状(Post-COVID-19 Condition:PCC[いわゆるコロナ後遺症、long COVID])について、米国の商業保険データベースを用いて未感染者と比較した大規模調査が、保険会社Elevance HealthのAndrea DeVries氏らによって実施された。その結果、PCC患者は心血管疾患や呼吸器疾患のリスクが約2倍上昇し、1年間の追跡期間中の死亡率も約2倍上昇、1,000人あたり16.4人超過したことが明らかとなった。JAMA Health Forum誌2023年3月3日号に掲載の報告。  米国50州の18歳以上の健康保険会員において、2020年4月1日~7月31日の期間にCOVID-19に罹患し、その後PCCと診断された1万3,435例と、未感染者2万6,870例をマッチングし、2021年7月31日まで12ヵ月追跡してケースコントロール研究を実施した。

水素吸入で院外心停止患者の救命・予後改善か/慶大ほか

 心停止の際に医療従事者が近くにいないなど、即座に適切な処置が行われなかった場合、1ヵ月の生存率は8%とされる。また、生存できた場合でも、救急蘇生により臓器に血液と酸素が急に供給されることで、非常に強いダメージが加わり(心停止後症候群と呼ぶ)、半数は高度な障害を抱えてしまう。このような心停止後症候群を和らげる治療として、体温管理療法があるが、その効果はいまだ定まっていない。そこで、東京歯科大学の鈴木 昌氏(慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート特任教授)らの研究グループは、病院外で心停止となった後に循環は回復したものの意識が回復しない患者を対象に、体温管理療法と水素吸入療法を併用し、効果を検討した。その結果、死亡率の低下と後遺症の発現率の低下が認められた。本研究結果は、eClinicalMedicine誌2023年3月17日号に掲載された。

複雑な冠動脈病変のPCI、血管内イメージングガイドvs.造影ガイド/NEJM

 複雑な冠動脈病変を有する患者において、血管内超音波(IVUS)または光干渉断層法(OCT)を用いた血管内イメージングガイド下の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は、血管造影ガイド下PCIと比較して、心臓死・標的血管関連心筋梗塞・臨床所見による標的血管血行再建術の複合イベントのリスクを低下させることが示された。韓国・成均館大学校医科大学のJoo Myung Lee氏らが、同国20施設で実施した医師主導の前向き無作為化非盲検試験「Randomized Controlled Trial of Intravascular Imaging Guidance versus Angiography-Guidance on Clinical Outcomes after Complex Percutaneous Coronary Intervention:RENOVATE-COMPLEX-PCI試験」の結果を報告した。複雑病変に対する血管内イメージングガイド下PCI後の臨床転帰に関するデータは、血管造影ガイド下PCIと比較して限られていた。NEJM誌オンライン版2023年3月5日号掲載の報告。

二次性僧帽弁逆流へのTEER、5年間の評価/NEJM

 ガイドラインに基づく最大用量の薬物療法後も心不全と中等度~重度の二次性僧帽弁逆流症が認められる患者において、僧帽弁の経カテーテル的edge-to-edge修復術(TEER)は薬物療法単独と比較し、フォローアップ5年間での心不全による入院リスクを半減し、全死因死亡リスクも約30%低減した。米国・マウントサイナイ・アイカーン医科大学のGregg W. Stone氏らが、614例を対象に行った無作為化比較試験の結果を報告した。NEJM誌オンライン版2023年3月5日号掲載の報告。  研究グループは、2012年12月27日~2017年6月23日に米国とカナダにある78ヵ所の医療機関を通じて、ガイドラインに基づく最大用量の薬物療法を実施後、心不全と中等度~重度の二次性僧帽弁逆流症が認められる患者614例を登録した。