〔CLEAR! ジャーナル四天王(4)〕 シチコリン、急性虚血性脳卒中に対する有効性示せず:ICTUS試験 シチコリンは神経血管の保護と修復作用を併せ持つ新規薬剤で、動物モデルでは虚血発作から数時間後でも急性の脳損傷の抑制や機能の回復効果を示すことが報告され、統合解析で有効性のエビデンスが示されていた。ICTUS(international citicoline trial on acute stroke)試験は、急性虚血性脳卒中に対するシチコリンの有効性を検証する国際的な多施設共同プラセボ対照無作為化試験として実施され、対象は中等度~重度の急性虚血性脳卒中による入院患者とされた。
3剤の降圧薬を処方しても降圧できないときの4剤目、5剤目 利尿薬を含めた3剤併用によっても降圧目標に至らないケースは、わが国の実地医科における報告でも13%、ハイリスク例を数多く含み、プロトコルが順守される大規模臨床試験においてはその割合は30〜50%にまで上る。わが国で最も多く処方されている3剤併用療法は、ARB、Ca拮抗薬、利尿薬であるが、これら3剤を併用しても目標血圧に到達しない場合の次の処方を選択するエビデンスはほとんど見当たらない。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(3)〕 急性虚血性脳卒中院内30日死亡リスクモデルの予測能がNIHSSスコアで改善 米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のGregg C. Fonarow氏らは、全米782ヵ所の病院で治療を受けた12万7,950人について追跡した結果、急性虚血性脳卒中30日院内死亡リスクモデルの予測能が、脳卒中の重症度を示す米国国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)スコアを盛り込むことで、有意に改善することを明らかにした。
世界で初めて家庭血圧計の測定値に基づいた降圧目標値を東北大学が検証 ーHOMED-BP研究の最終結果ー 東北大学を中心に全国より457名の医師が参加して家庭血圧の適正な降圧目標値を検証した大規模無作為化比較試験HOMD-BP研究の最終結果が浅山 敬 氏によってまとめられ、Hypertension Research誌に発表された。この結果は8月16日に同誌のwebサイトにて「ADVANCE ONLINE PUBLICATION」として出版前に公開された。本研究では家庭血圧に基づき、125-134/80-84mmHgを降圧目標に薬物治療を強化していく通常コントロール群と、125/80mmHg未満を降圧目標とする厳格コントロール群のいずれかに無作為に分けられ、心血管イベントの発生を一次評価項目として実施されたが、厳格コントロール群で降圧目標に達した割合が有意に低く、両群間に一次評価項目で有意な差が認められなかった。
ACE阻害薬は肺炎リスクを減少、特に脳卒中、アジア人で大きい可能性 ACE阻害薬とARBの肺炎リスクについて、ポルトガル・リスボン大学のDaniel Caldeira氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、これまで考えられていたようにACE阻害薬には肺炎に対する保護作用があることがエビデンスとして示された。また、「脳卒中既往」「アジア人」が最も大きな恩恵を享受できる可能性があることも示唆された。強力な支持データは不足していたが、肺炎関連死を抑制することも認められたという。BMJ誌2012年8月4日号(オンライン版2012年7月11日号)掲載報告より。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(2)〕 運動不足解消の微妙な効果 運動不足の解消が0.68年寿命を延ばす。確かにそうかもしれない。日本人の摂取エネルギーは減少傾向にあり、正すべきは食事より運動不足の解消である、それは日本人にとってもあてはまるだろう。しかしちょっと待て、と思う。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(1)〕 久しぶり・・・電気的除細動と抗不整脈薬をテーマとした無作為化比較試験 2000年代前半にN Engl J Medに発表され、衝撃を与えたAFFIRM、RACE試験以来、電気的除細動や抗不整脈薬に関する研究は息をひそめていたので、久しぶりという感のする論文である。「一定期間の洞調律時によって電気的リモデリングが回復するならば、長期的な抗不整脈薬投与は不要となる」という仮説を検証したものである。結果的に、本無作為化比較試験は、この仮説の正当性を実証することができなかったといえる。
ARBを含まない3剤併用療法で1ヵ月以内に30mmHgの降圧を達成:レニン阻害薬+Ca拮抗薬+利尿薬 今や、ARB+Ca拮抗薬+利尿薬の3剤併用療法が降圧治療におけるゴールデンスタンダードとして繁用されている。この3剤以外の併用療法で、強力な降圧効果が期待できる組み合わせは存在するのか?2009年、わが国においてもレニン阻害薬アリスキレン(販売名=ラジレス)が登場し、10余年ぶりの新しい作用機序の降圧薬が治療のラインナップとして加わったが、Lacourcière氏らはアリスキレンを含めた3剤併用療法が2剤併用療法に比べ、有意に強力な降圧効果を発揮することをJournal of Hypertension誌に発表した。なお、この論文は出版前の7月22日に公開された。3剤併用療法では降圧治療開始から2週以内に、2剤併用療法より優れた治療経過を示した。
食後高血圧:見過ごしがちな動脈硬化のリスクマーカー 愛媛大学大学院医学研究科加齢制御内科学の上谷英里氏らは、動脈硬化の新たなリスクマーカーとして食後高血圧をAtherosclerosis誌に発表した。この研究成果は7月20日出版に先駆けてインターネットで公開された。
心不全患者への有酸素運動指導、うつ症状を軽減 慢性心不全患者に対し、有酸素運動指導を行うことで、うつ症状が有意に軽減することが示された。また長期の総死亡・入院リスクについても、わずかな低下が認められた。米国・デューク大学メディカルセンターのJames A. Blumenthal氏らが、約2,300人について行った無作為化比較試験の結果明らかにしたもので、JAMA誌2012年8月1日号で発表した。心不全患者でうつ症状が認められるのはその4割にも上り、またうつ症状がアウトカムの増悪につながることが、これまでの研究でわかっているという。