循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:271

スタチンを中断する患者、7割以上が再開/BMJ

 スタチン治療患者の中断率および再開率を調べた結果、1次予防目的での服用開始患者の中断率は47%、うち再開率は72%であり、2次予防患者ではそれぞれ41%、75%であったという。英国・パーク大学のYana Vinogradova氏らが、同国プライマリケア・データベースを用いた前向きオープンコホート試験の結果、報告した。スタチン治療については先行試験で、中断率が高く、アドヒアランスが低いことが示されている。また傾向として、若年層または高年齢層、女性、マイノリティ、喫煙者、BMI低値、非高血圧または非糖尿病の患者でアドヒアランスが低いことが示されていた。しかし、大半の試験が一般市民の代表を対象としたものではなく、試験デザイン、曝露やアウトカムの定義がまちまちであった。BMJ誌オンライン版2016年6月28日号掲載の報告。

新規医療機器の承認と安全性をめぐる議論、問題の本質とは/BMJ

 欧州連合(EU)で先に承認された医療機器は、米国で先に承認された医療機器と比べて、市販後の安全性に関する警告およびリコールの割合が高いことが、ハーバード大学リベラルアーツ学部のThomas J Hwang氏らによる検討の結果、示された。EUでは、医療機器の承認は民間の認証機関によって行われ、性能基準を満たし安全と見なされれば、同機関が有効性のエビデンスを求めることはほとんどない。そのためハイリスク医療機器についても、米国では食品医薬品局(FDA)が前向き臨床試験を求めるが、EUでは速やかに承認される。そうした中で、厳正な臨床試験が行われずに承認された埋設医療機器の安全性をめぐる議論が巻き起こったのを契機に、EUと米国で規制見直しを求める声が高まっているという。BMJ誌オンライン版2016年6月28日号掲載の報

ATACH-2とINTERACT2:脳出血の急性期に血圧をどう管理すべきか?(解説:有馬 久富 氏)-563

急性期脳出血に対する、積極的降圧療法の効果を検討したATACH-2試験の結果が、N Engl J Med誌に掲載された。ATACH-2は、無作為化オープン比較試験である。発症4.5時間以内で、収縮期血圧180mmHg以上の脳出血患者が、収縮期血圧110~139mmHgを目標とする積極的降圧療法群と、140~179mmHgを目標とする通常治療群に無作為に割り付けられた。

糖尿病薬の心血管アウトカム試験をどう読むか?ADAハイライトより

 ノボノルディスクファーマ株式会社は6月27日に都内にて2016年米国糖尿病学会(ADA)ハイライトセミナーを開催し、関西電力病院総長/関西電力医学研究所所長の清野 裕氏が「糖尿病治療の流れと最適な治療薬の選択を考える」をテーマに講演した。ADA 2016でとくに注目を集めたトピックとして、「最適な2型糖尿病の管理を目指して新しい糖尿病治療薬をどのように使うか」「糖尿病治療薬の心血管系への影響(大規模心血管アウトカム試験の結果から)」が紹介され、それらを中心に同氏が解説した。

マスコミ報道がスタチン服用中止率に影響/BMJ

 マスコミがスタチンのリスクとベネフィットについて広く報道し世間で激しい議論が繰り広げられた後、患者のスタチン服用中止率は一時的に上昇した。英国・London School of Hygiene and Tropical MedicineのAnthony Matthews氏らが、同国のプライマリケアのデータを用いて分割時系列分析を行い、報告した。著者は、「これは、一般のマスコミで広く扱われる健康に関する記事が、ヘルスケア関連行動に影響する可能性があることを強調している」と述べている。これまでにも、デンマーク、オーストラリア、トルコ、フランスの研究で、マスコミの否定的な報道がスタチンの中止率や処方率に影響を及ぼすことが示唆されている。英国では2013年10月、スタチンに関して物議を醸す論文2報が発表され、その後、スタチンのリスクとベネフィットについてマスコミで議論が繰り広げられていた。BMJ誌オンライン版2016年6月28日号掲載の報告。

9のタンパク質からなるCHD患者の心血管リスク予測スコア/JAMA

 安定冠動脈性心疾患(CHD)患者の心血管アウトカムを予測する、タンパク質ベースの新たなリスクスコアが開発された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のPeter Ganz氏らが手がけたもので、スコアは9つのタンパク質からなり、改訂フラミンガムリスクスコアと比べて4年以内の心筋梗塞・脳卒中・心不全・全死因死亡の予測に優れる。ただし、識別精度がまだ低く、さらなる検証が必要な段階ではあるという。JAMA誌2016年6月21日号掲載の報告。

安定冠動脈疾患への長期DAPTの有益性・有害性/BMJ

 安定冠動脈疾患への2剤併用抗血小板療法(DAPT)の長期治療について、有益性と有害性を明らかにするCALIBER抽出患者(任意抽出集団;リアルワールド) vs.PEGASUS-TIMI-54試験の被験者(急性心筋梗塞後1~3年の患者が登録;試験集団)の検討が、英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのA Timmis氏らにより行われた。結果、リアルワールドで試験集団の包含・除外基準を満たした患者は4分の1で、同集団の発症後1~3年の再発リスクは約19%であったこと、リスクは試験集団よりも倍増してみられたこと、脳卒中既往歴なしや直近の抗凝固療法歴のないハイリスク患者で、1年超のDAPTの有益性は大きくなる可能性が示唆されたという。急性心筋梗塞後の2次予防として、生涯にわたる複数併用の薬物療法が推奨されるが、最近の検討を踏まえDAPTは1年までとする勧告が直近のガイドラインで示されていた。BMJ誌オンライン版2016年6月22日号掲載の報告。

世界における一過性脳虚血発作(TIA)の実態(解説:有馬 久富 氏)-558

一過性脳虚血発作(TIA)の大規模国際共同登録研究であるTIAregistry.orgより、1年追跡調査の結果がNew Engl J Med誌に掲載された。世界21ヵ国61施設から登録された4,789例のTIA患者を1年間追跡したところ、脳卒中の累積発症率は5.1%であり、その半数以上がTIA発症30日以内に発症していた。また、ABCD2スコア高値、頭部画像における複数の急性虚血病変、アテローム血栓性の機序によるTIAなどが脳卒中発症の有意な危険因子であった。

心房細動へのNOAC3剤とワルファリンの有用性を比較/BMJ

 すべての非ビタミンK阻害経口抗凝固薬(新規経口抗凝固薬;NOACs)は、日常診療において安全かつ有効なワルファリンの代替薬になりうる。デンマーク・オールボー大学病院のTorben Bjerregaard Larsen氏らが、デンマーク国内の大規模観察コホート研究の結果、報告した。NOACsとワルファリンとで虚血性脳卒中の発症に有意差はなく、死亡・出血・大出血はワルファリンに比しアピキサバン(商品名:エリキュース)およびダビガトラン(同:プラザキサ)で有意に低いことが示されたという。NOACsの使用は導入以来増加し続けているが、リアルワールドでNOACsの有効性と安全性をワルファリンと比較した研究は限られていた。BMJ誌オンライン版2016年6月16日号掲載の報告。