循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:269

非ST上昇型急性冠症候群への早期侵襲的治療、15年追跡結果/Lancet

 非ST上昇型急性冠症候群(NSTE-ACS)に対する早期侵襲的治療は、非侵襲的治療と比較して死亡または心筋梗塞の発生を平均18ヵ月、虚血性心疾患による再入院を37ヵ月延長させた。NSTE-ACSへの早期侵襲的治療は死亡または心筋梗塞の発生率を減少させることがFRISC-II試験で初めて示されたが、今回、スウェーデン・ウプサラ大学のLars Wallentin氏らは、早期侵襲的治療の長期的な有益性について評価すべく、残存寿命の観点からFRISC-II試験の15年間の追跡調査におけるすべての心血管イベントについて解析した。結果を踏まえて著者は、「ほとんどのNSTE-ACS患者において、早期侵襲的治療は優先すべき治療選択肢であることが裏付けられた」とまとめている。Lancet誌オンライン版2016年8月25日号掲載の報告。

心房細動はすべての心血管リスク増大と関連/BMJ

 心房細動は、死亡リスクを増大し、心血管および腎疾患のリスク増大と関連することが、104のコホート試験、被験者総数約970万人を対象にしたメタ解析により、明らかにされた。英国・オックスフォード大学のAyodele Odutayo氏らが行い、BMJ誌オンライン版2016年9月6日号で発表した。これまでの試験結果から、心房細動は全死因死亡や脳卒中リスクを増大することは知られていたが、脳卒中に限らず、広く心血管イベントのリスクを増大するかは不明であった。今回の結果を踏まえて著者は、「心房細動患者では、脳卒中に限らず広範なアウトカムを減じる介入が必要であることが示された」とまとめている。

エドキサバンは電気的除細動時の抗凝固療法として有用/Lancet

 エドキサバンは、心房細動(AF)患者への電気的除細動施行時の抗凝固療法として、エノキサパリン+ワルファリンと同等の高度な安全性と有効性を発揮することが、ドイツ・St Vincenz病院のAndreas Goette氏らが実施したENSURE-AF試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2016年8月30日号に掲載された。経口第Xa因子阻害薬エドキサバンは、AF患者の抗凝固療法において、エノキサパリン+ワルファリンと比較して、脳卒中や全身性塞栓症の予防効果が非劣性で、出血は少ないことが知られている。一方、AFへの電気的除細動の試験の事後解析では、非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)の良好な安全性プロファイルが示されているが、エドキサバンの安全性データは十分ではないという。

非虚血性収縮不全の心不全例に対する予防的ICDは予後を改善しない(解説:今井 靖 氏)-591

植込み型電気除細動器(ICD)は、虚血性・非虚血性心不全のいずれにおいても、心室細動・血行動態の破綻を伴う心室頻拍の既往例の再発予防(2次予防)として、また既往がなくともそのリスクが高い症例の予防(1次予防)として適応され、国内外いずれのガイドラインでも推奨・考慮される治療法として掲げられている。

第Xa因子阻害薬の中和薬、急性大出血の79%を止血/NEJM

 第Xa因子阻害薬に関連する急性大出血において、andexanet alfaは抗第Xa因子活性を大幅に低減し、高い止血効果をもたらすことが、カナダ・マクマスター大学のStuart J. Connolly氏らが実施したANNEXA-4試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2016年8月30日号に掲載された。第Xa因子阻害薬は、心房細動患者の静脈血栓塞栓症の治療や予防および脳卒中の予防に有効であるが、大出血や致死的出血のリスクがある。andexanet alfaは、遺伝子組換えヒト第Xa因子デコイ蛋白で、第Xa因子阻害薬の作用を特異的に、直接かつ間接に中和する。

非虚血性心不全への予防的ICDは有益か?/NEJM

 冠動脈疾患に起因しない症候性収縮期心不全患者への予防的植込み型電気除細動器(ICD)の施行は、通常ケアと比較して、長期的な全死因死亡の低下には結び付かないことが明らかにされた。デンマーク・コペンハーゲン大学のLars Kphiber氏らが、556例を対象に行った無作為化試験の結果で、NEJM誌オンライン版2016年8月27日号で発表した。同患者への予防的ICDについては、これまでサブグループ解析によるエビデンスが主であった。

DES vs.BMS、留置から6年時点のアウトカム/NEJM

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)で使用する留置ステントの長期有効性について、薬剤溶出ステント(DES)vs.ベアメタルステント(BMS)を検討した結果、追跡6年時点の複合エンドポイント(全死因死亡・非致死的自然発症心筋梗塞)の発生について有意差は認められなかった。一方で、血行再建術の再施行率は、DES群の有意な減少が認められたという。ノルウェー・トロムソ大学のK.H. Bonaa氏らが同国でPCIを受けた9,013例について行った無作為化試験の結果、明らかにした。NEJM誌オンライン版2016年8月30日号掲載の報告。

冠動脈疾患疑い、非侵襲的検査が不要な血管造影を減らす/JAMA

 冠動脈疾患が疑われる患者において、英国立医療技術評価機構(NICE)ガイドラインに基づく治療方針より心血管磁気共鳴(CMR)検査を用いた治療のほうが、12ヵ月以内の不必要な血管造影を減らせることが明らかとなった。CMR検査と心筋血流シンチグラフィ(MPS)検査とで統計的有意差はなく、主要有害心血管イベント(MACE)の発生率も差はなかった。英国・リーズ大学のJohn P. Greenwood氏らが、Clinical Evaluation of Magnetic Resonance Imaging in Coronary Heart Disease 2(CE-MARC2)試験の結果、報告した。冠動脈疾患が疑われる患者に対しては、非侵襲的画像診断の利用や推奨が拡大しているにもかかわらず、診断初期には侵襲的血管造影が一般的に用いられている。現在のガイドラインで推奨されている異なる画像診断の有効性を比較する大規模試験はこれまでなかった。JAMA誌オンライン版2016年8月29日号掲載の報告。