循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:203

日本初、ワルファリンでの出血傾向を迅速に抑える保険適用製剤

 ワルファリン服用者の急性重篤出血時や、重大な出血が予想される手術・処置の際に、出血傾向を迅速に抑制する日本初の保険適用製剤として、乾燥濃縮人プロトロンビン複合体(商品名:ケイセントラ静注用)が9月19日に発売された。発売に先立ち、15日に開催されたCSLベーリング株式会社による記者発表において、矢坂 正弘氏(国立病院機構九州医療センター脳血管センター 部長)が、本剤の開発経緯や臨床成績、位置付けについて講演した。その内容をお届けする。

利尿ペプチドNT-proBNPガイドによる心不全診療は通常診療に勝るか?(解説:今井 靖 氏)-732

本邦において心不全患者が増加の途にあるが、その診療は病歴、身体所見および胸部X線写真などの臨床所見を基に行うが、最近ではBNPまたはNT-proBNPといった利尿ペプチドを診療ガイドに使用することが多い。それら利尿ペプチドが心不全診断や予後予測に有用であることには多くのエビデンスがあるが、しかしながら、そのようなバイオマーカーガイドによる心不全診療の有効性については小規模集団での検討はあるものの結果は一定せず、それを検証する意義は大きいと考えられる。

PCI後ACSの抗血小板薬、de-escalationしても非劣性/Lancet

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた急性冠症候群(ACS)患者において、抗血小板治療を血小板機能検査(PFT)のガイド下でプラスグレル(商品名:エフィエント)からクロピドグレルへと早期に変更(de-escalation)しても、1年時点のネット臨床的ベネフィットは、プラスグレルを継続する標準治療に対して非劣性であることが示された。ドイツ・ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンのDirk Sibbing氏らが、欧州の33施設で行った無作為化非盲検試験「TROPICAL-ACS試験」の結果、報告した。現行のガイドラインでは、PCIを受けたACS患者に対しては12ヵ月間、プラスグレルまたはチカグレロル(商品名:ブリリンタ)による抗血小板療法が推奨されている。これらの抗血小板薬はクロピドグレルよりも作用が強力で、速やかに最大の抗虚血ベネフィットをもたらすが、長期にわたる治療で出血イベントを過剰に引き起こすことが指摘されていた。Lancet誌オンライン版2017年8月25日号掲載の報告。

エボロクマブ、LDL-C下げるほど心血管リスク減/Lancet

 安定期アテローム動脈硬化性心血管疾患患者へのPCSK9阻害薬エボロクマブ(商品名:レパーサ)治療では、LDLコレステロール(LDL-C)値の低下が大きいほど主要心血管アウトカムが改善し、超低LDL-C値でも安全性に懸念はないことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のRobert P. Giugliano氏らが行ったFOURIER試験の2次解析で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2017年8月25日号に掲載された。LDL-Cはアテローム動脈硬化性心血管疾患のリスク因子として確立されているが、どこまで低くすべきか、どこまで安全に低くできるかの議論が続いている。

AF患者の経口抗凝固療法、教育的介入で増加/Lancet

 心房細動患者への経口抗凝固療法に関して、多角・多面的な教育介入により同療法を受ける患者の割合が有意に増加したことが、ルーマニア・キャロルダビラ医科大学のDragos Vinereanu氏らが5ヵ国(アルゼンチン、ブラジル、中国、インド、ルーマニア)を対象に行った国際クラスター無作為化試験「IMPACT-AF試験」の結果、示された。心房細動患者は脳卒中を発症するリスクが高いが、経口抗凝固療法で予防は可能であり、現行ガイドラインでも推奨されている。しかし、適応患者への同療法が十分に行われていない状況が報告されており、とくに中所得国において過少で、任意抽出集団を対象に調べた投与患者の割合は、東ヨーロッパ・南米・インドでは40%未満、中国では11%にとどまるという。研究グループはこれらの国々における教育介入のインパクトを評価した。Lancet誌オンライン版2017年8月25日号掲載の報告。

低酸素血症でない心筋梗塞疑い例に酸素療法は無効/NEJM

 低酸素血症のない急性心筋梗塞が疑われる患者に酸素療法を行っても、1年全死因死亡率は低下せず効果は確認されなかった。スウェーデン・カロリンスカ研究所のRobin Hofmann氏らが、スウェーデンの全国レジストリを用いた多施設非盲検無作為化比較試験「DETO2X-AMI試験」の結果、明らかにした。これまで1世紀以上にわたり、酸素療法は急性心筋梗塞疑い患者の治療に用いられ、臨床ガイドラインでも推奨されている。酸素療法は梗塞サイズを縮小するとされていたからだが、ST上昇型心筋梗塞患者を対象にしたAVOID試験で、酸素療法群のほうが梗塞サイズが大きいことが報告され、さらに最新のコクランレビューで心筋梗塞患者へのルーチンの酸素療法は支持するエビデンスはないことが示され、低酸素血症のない急性心筋梗塞疑い患者に対する酸素療法の臨床的効果はきわめて不透明であった。NEJM誌オンライン版2017年8月28日号掲載の報告。

複合血管スクリーニングで死亡リスク低下/Lancet

 腹部大動脈瘤(AAA)、末梢動脈疾患および高血圧に関する複合血管スクリーニングは、5年全死因死亡率を有意に低下させることが、デンマーク・オーデンセ大学病院のJes S. Lindholt氏らによる、複合血管スクリーニングの有効性とその後の介入を検証した無作為化比較試験「VIVA試験(Vibrog Vascular trial)」で明らかになった。これまで地域住民を対象とした集団スクリーニングに関する文献で、このような死亡リスクの低下が確認されたことはない。そのため著者は「主に薬物療法の開始と関連している可能性がある」と指摘したうえで、「健康政策立案者は、現在スクリーニングを実施していない、あるいはAAAのみを対象としたスクリーニングを実施しているのなら、複合血管スクリーニングの実施を考慮すべきである」とまとめている。AAAは、集団スクリーニングの対象となる唯一の心血管疾患であるが、AAAのみのスクリーニングは広範なリスク因子の管理には適していないとされている。Lancet誌オンライン版2017年8月28日号掲載の報告。

腎デナベーション、降圧薬非服用の高血圧を改善するか/Lancet

 診察室収縮期血圧が150~180mmHgで降圧薬を服用していない患者に対する腎デナベーションは、収縮期・拡張期血圧を5~10mmHg程度低下させる可能性があることが示された。米国・ペンシルベニア大学のRaymond R. Townsend氏らが、80例の患者を対象に行った概念実証試験「SPYRAL HTN-OFF MED」の結果で、Lancet誌オンライン版2017年8月25日号で発表した。これまでに行われた腎デナベーションの無作為化試験では、一貫した降圧効果が示されていない。本検討では、降圧薬を服用していない場合の腎デナベーションの効果を明らかにすることが目的だった。

動脈硬化へのカナキヌマブ、がん発症への影響は/Lancet

 インターロイキン‐1β(IL-1β)抗体カナキヌマブを、心筋梗塞歴があり、高感度CRP(hsCRP)値が2mg/L以上のアテローム性動脈硬化症患者に投与することで、肺がん発症リスクと同死亡リスクが有意に低下する可能性が示された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のPaul M. Ridker氏らが、カナキヌマブの血管イベント再発抑制に関する無作為化二重盲検プラセボ対照試験「CANTOS試験」の、事前に規定していた2次(探索的)解析を行い明らかにした。Lancet誌オンライン版2017年8月25日号掲載の報告。

広範なPCI施行例で、生体吸収性と非生体吸収性ステントを比較/Lancet

 待機的か緊急を問わずPCI施行患者を対象とした試験で、新たな技術が用いられている超薄型ストラット生体吸収性ポリマー・シロリムス溶出ステント(Orsiro)は、非生体吸収性ポリマー・エベロリムス溶出ステント(Xience)と比較して、臨床的アウトカムに関する非劣性が100%見込まれることが発表された。米国・Piedmont Heart InstituteのDavid E. Kandzari氏らによる13ヵ国90の病院で行われた無作為化試験「BIOFLOW V試験」の結果で、著者は「今回の試験結果は、次世代薬剤溶出ステント技術の改善に新たな方向性を示すものであった」と述べている。