循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:206

卵の食べ過ぎ、がん死亡率と関連~日本人女性

 NIPPON DATA80のデータ(14年間追跡)では、日本人女性において、卵の摂取量が年齢調整後の血清総コレステロール(aTCH)および全死亡と関連し、男性では関連しなかったことが報告されている。今回、これらの関連について、別の日本人女性のコホート(NIPPON DATA90)で再評価した結果、卵の摂取量とがん死亡・全死亡との関連が示された。この結果から、卵の摂取量を減らすことが、少なくとも日本人女性にとっていくつかの明確な健康ベネフィットとなる可能性が示唆された。European journal of clinical nutrition誌オンライン版2017年12月29日号に掲載。

日本の心疾患スクリーニングは適切か? それとも過剰か?(解説:香坂俊氏)-795

この研究が我が国の医療政策にもたらす影響は大きい(と少なくとも自分には思われる)。カナダのオンタリオ州のデータベースを用い、若年者(12~45歳)の突然死がどの程度スポーツに直接由来するかが推計された。医学的に興味深い点も多く、競技中の突然死がサッカーや陸上競技に多く、その原因のほとんどが肥大型閉塞性心筋症であったことなどは首肯できる。

非糖尿病のハイリスク高血圧患者、他の降圧薬追加の効果は/BMJ

 非糖尿病の心血管ハイリスク患者において、服用中の降圧薬レジメンへの新規クラスの降圧薬の追加投与は、収縮期血圧と主要心血管イベントリスクを大きく低下することが示された。この結果は、適応による交絡を補正後に示されたもので、追加投与による収縮期血圧への効果は、服用中降圧薬の全レベルおよび全患者サブグループ間で保持されることも確認された。米国・ミシガン大学のAdam A.Markovitz氏らが行った「SPRINT試験」の2次データ解析の結果で、これまでの観察試験では、降圧薬を追加投与してもベネフィットが減少することが示されていた。ただし、そうした結果は適応による交絡の可能性があることも示唆されていた。BMJ誌2017年12月22日号掲載の報告。

出血と血栓:原病が重ければバランスも難しい(解説:後藤信哉氏)-793

自分の身の周りにもがん死が多いので、がんは特筆に重要な疾患である。日本人は幸いにして静脈血栓塞栓症が少ない。静脈血栓塞栓症を契機にがんが見つかることも多い。本論文の対象であるCancer Associated Thrombosis (CAT)は日本ではとくに重要である。がん細胞が血栓性の組織因子を産生する場合、がん組織が血管を圧迫して血流うっ滞が起こった場合など、血栓にはがんと直結する理由がある。CATでは、血栓の原因となるがんの因子の除去が第一に重要である。

ヒドロクロロチアジドの使用、非黒色腫皮膚がんと関連

 ヒドロクロロチアジドは、米国および西欧で最も使用頻度の高い利尿・降圧薬の1つであるが、光感作性があり、これまでに口唇がんとの関連が報告されている。デンマーク・南デンマーク大学のSidsel Arnspang氏らの症例対照研究の結果、ヒドロクロロチアジドの累積使用量は、非黒色腫皮膚がん(NMSC)、とくに扁平上皮がん(SCC)リスクの著しい増加と関連していることが明らかとなった。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2017年11月30日掲載の報告。

PTSD心臓外科医のこだわりと肩すかし(解説:今中和人氏)-791

医療に必要不可欠な輸血療法の歴史は、肝炎やGVHDに代表される輸血後合併症との戦いの歴史でもある。多くの先人・関係者の研究とご尽力により、昨今、上記合併症は激減し、日本赤十字社の公式発表によれば、たとえば肝炎は2012年B型6例・C型ゼロ、2013年B型7例・C型1例、2014年B型2例・C型ゼロである。何よりも私たちは、このことに感謝しなければならない(もちろん、表面化していない症例はあるであろうが)。ただ、まれながら経験あるいは見聞した劇症肝炎やGVHDのすさまじさで、医療者、とくに輸血を頻用してきた心臓外科医はPTSDになっている。上記2つ以外の合併症も、遅発性溶血は1/2,500、急性肺障害1/5,000~10,000、アナフィラキシー8/100,000(いずれも対1単位)と学んでもなお恐れ、無輸血にこだわっている。

重炭酸Naとアセチルシステインに造影剤腎症の予防効果なし/NEJM

 血管造影を受ける腎合併症発症リスクが高い患者において、炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)や塩化ナトリウムの静脈投与単独、または経口アセチルシステインの投与は、いずれも死亡や透析、血管造影に関連した急性腎障害の予防に寄与しないことが示された。米国・ピッツバーグ大学のSteven D.Weisbord氏らが、5,177例を対象に行った2×2要因デザインの無作為化試験「PRESERVE」の結果で、NEJM誌オンライン版2017年11月12日号で発表された。現状では、これらを投与する効果に関してエビデンスが乏しいまま、血管造影後の急性腎障害や有害アウトカム予防を目的とした、炭酸水素ナトリウム静注や経口アセチルシステイン投与が広く行われているという。

REVEALはHDLコレステロールの効果を明らかにできたのか?(解説:平山 篤志 氏)-786

高LDLコレステロール血症と同様に低コレステロール血症が冠動脈疾患のリスク因子であることは広く知られていた。LDLコレステロールを低下させることによって、冠動脈イベントが低下することは、スタチンの試験だけでなく、コレステロール吸収阻害薬やPCSK9阻害薬を用いた試験で示されている。では、HDLコレステロールを上昇させることによってイベントを低下させることが可能ではないか?