循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:204

PCI施行時の抗凝固療法、bivalirudin vs.ヘパリン/NEJM

 急性心筋梗塞に対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行時の抗凝固療法について、bivalirudinとヘパリンの単独投与を比較検討した結果、追跡180日間の死亡・心筋梗塞再発・大出血に関して有意な差は認められなかった。スウェーデン・ルンド大学のDavid Erlinge氏らが、多施設共同無作為化レジストリベースの非盲検臨床試験の結果、報告した。現行プラクティスに従い、橈骨動脈アプローチ法を用いたPCIを受け、強力なP2Y12阻害薬を投与するが糖蛋白IIb/IIIa阻害薬の投与予定のない急性心筋梗塞患者において、どの抗凝固療法戦略が有効かは明白になっていない。bivalirudinとヘパリンの比較に関する先行研究では相反する結果が示されており、またそれら試験では、ヘパリンは無作為化前に、bivalirudinはPCI後にと、異なるアプローチが用いられていた。P2Y12阻害薬の投与についても異なっていた。NEJM誌オンライン版2017年8月27日号掲載の報告。

厳格降圧はCKD患者の死亡リスクを下げるのか~メタ解析

 高血圧患者における試験では、厳格な降圧が心血管疾患死や全死亡のリスクを低下させる一方、慢性腎臓病(CKD)の発症や進行のリスクを高める可能性が示唆されている。これまで、一般的なCKD患者において厳格な降圧が死亡におけるベネフィットと関連するのかどうか不明である。今回、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のRakesh Malhotra氏らが無作為化試験(RCT)の体系的レビューとメタ解析を行った結果、高血圧とCKD(ステージ3~5)の併存患者において、厳格な降圧が低強度の降圧より死亡リスクが低かった。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2017年9月5日号に掲載。

アスピリン+リバーロキサバン、心血管疾患の2次予防に有効か/NEJM

 心血管疾患の2次予防において、アスピリンにリバーロキサバン(商品名:イグザレルト)を併用すると、アスピリン単剤に比べ転帰が改善するが、大出血が増加することが、カナダ・マックマスター大学のJohn W. Eikelboom氏らが行ったCOMPASS試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年8月27日号に掲載された。心血管疾患の長期的な予防治療として、アスピリンに替わるさまざまな抗血栓療法レジメンが検討されてきた。2次予防では、アスピリンはプラセボに比べ主要有害心血管イベントのリスクを19%、心血管死のリスクを9%低下させることがメタ解析で示されている。また、選択的直接第Xa因子阻害薬リバーロキサバンは、静脈血栓塞栓症の予防、治療や、心房細動における脳卒中や全身性塞栓症の予防に用いられている。

CETP阻害薬、冠動脈イベントを抑制/NEJM

 コレステリルエステル転送蛋白(CETP)阻害薬anacetrapibは、強化スタチン療法を受けているアテローム動脈硬化性血管疾患患者の主要冠動脈イベントを抑制することが、HPS3/TIMI55-REVEAL Collaborative Groupの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年8月29日号に掲載された。CETPは、血中のHDL粒子とアポリポ蛋白B含有アテローム促進性粒子との間で、コレステリルエステルとトリグリセライドの転送を促進する。CETPを薬理学的に阻害すると、HDLコレステロール(HDL-C)が増加し、非HDL-C(とくにLDL-C)が低下するが、これまでに行われた3つのCETP阻害薬の無作為化試験は、いずれも約2年のフォローアップ後に無効または有害事象のため中止されている。

PCI施行心房細動患者の抗血栓療法、2剤 vs.3剤/NEJM

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた心房細動(AF)患者において、ダビガトラン(商品名:プラザキサ)+P2Y12阻害薬による2剤併用抗血栓療法は、ワルファリン+P2Y12阻害薬+アスピリンの3剤併用抗血栓療法と比較して、出血リスクは低く、血栓塞栓イベントリスクは有意差がないことが確認された。米国・ベイム臨床研究所のChristopher P. Cannon氏らが、日本を含む41ヵ国414施設で実施された国際共同無作為化非盲検比較試験「RE-DUAL PCI試験」の結果を報告した。ワルファリン+2剤併用抗血小板薬を用いた3剤併用抗血栓療法は、PCI後のAF患者に対する標準治療であるが、出血リスクが高く新たな治療戦略が求められていた。NEJM誌オンライン版2017年8月27日号掲載の報告。

持続性AFと心機能低下を有する患者に有益なのは?カテーテルアブレーションvs.薬物レートコントロール

 心房細動(AF)と左室収縮不全は、十分なレートコントロールが行われていても頻繁に併存する。しかしながら、AFおよびさまざまな要因に伴う左室収縮不全に関するこれまでのランダム化研究では、リズムコントロールの有益性を裏付ける十分なエビデンスがない。そこでオーストラリア・メルボルン大学のSandeep Prabhu氏ら研究グループが、AFを有する原因不明の左室収縮不全において、AFに対するカテーテルアブレーションが、薬物によるレートコントロールと比べて左室収縮不全を改善するかについて検討を行った。Journal of American College of Cardiology誌2017年8月22号に掲載。

カナキヌマブは心血管イベントリスクの抑制に有益か/NEJM

 インターロイキン-1βを標的とするヒトモノクローナル抗体のカナキヌマブ150mgを、心筋梗塞既往、高感度CRP値2mg/L以上の患者に毎3ヵ月投与することで、脂質値が低下せずとも心血管イベントの再発を長期にわたり抑制する効果があることが示された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のP.M.Ridker氏らが、患者1万61例を対象に行ったプラセボ対照無作為化二重盲検試験で明らかにした。これまでの実験・臨床データから、脂質値の低下に依らず炎症を抑えることで、心血管疾患リスクが低下する可能性が示されていたが、アテローム血栓症における炎症抑制の効果については検証されていなかった。NEJM誌オンライン版2017年8月27日号掲載の報告

扱っている題材は大変真面目なものであるが(解説:野間 重孝 氏)-726

多くの先進国においては、ガイドライン上に今でも記載はされているものの、実臨床の場で急性心筋梗塞に対する経静脈的血栓溶解療法は、何らかの理由で救急センターへの搬送が容易でないような例外例を除いては、すでに行われなくなっているといってよいと思われる。しかしながら一方で、医療資源の乏しい環境下での機械的再灌流の代替え療法として、発展途上国などではいまだに重要な役割を担っていることも事実であるといえる。

認知症発症への血圧の影響、ポイントは血圧変動:九州大

 これまでの研究では、診察室血圧変動の大きさが、認知障害や認知症のリスク因子であることが報告されている。しかし、家庭での血圧測定によって評価された日々の血圧変動と認知症発症との関連を調べた研究はなかった。九州大学の大石 絵美氏らは、久山町研究に登録されている日本人高齢者の日常血圧変動と認知症リスクとの関連を調査した。Circulation誌2017年8月8日号の報告。