循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:199

降圧治療のベネフィットがある血圧は何mmHg以上?

 高血圧は、死亡および心血管疾患(CVD)の最も重要な危険因子だが、降圧治療の最適なカットオフが議論されている。今回、スウェーデン・ウメオ大学のMattias Brunström氏らのシステマティックレビューとメタ解析により、1次予防における降圧治療は、ベースラインのSBPが140mmHg以上であれば、死亡リスクとCVDリスクの低下に関連することがわかった。また、ベースラインのSBPが低い場合の降圧治療は、1次予防におけるベネフィットはないが、CHD患者では付加的な保護効果がある可能性が示唆された。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2017年11月13日号に掲載。

機械弁vs.生体弁、弁置換後の長期生存率/NEJM

 僧帽弁置換術においては、70歳未満の患者は機械弁使用群が生体弁使用群に比べ死亡率が低く、一方、大動脈弁置換術では、55歳までは機械弁の有益性が確認できることが、米国・スタンフォード大学のAndrew B. Goldstone氏らによる約2万5,000例対象の後ろ向きコホート研究の結果、示された。大動脈弁/僧帽弁置換術には、機械弁または生体弁のいずれかが使用される。生体弁使用を支持するエビデンスは限られているにもかかわらず、生体弁の使用が増加していた。NEJM誌2017年11月9日号掲載の報告。  研究グループは、1996年1月1日~2013年12月31日に、カリフォルニア州の非連邦病院142施設において、機械弁または生体弁を用いた初回大動脈弁/僧帽弁置換術を受けた患者のデータを、逆確率重み付け推定法を用いて解析した。

ワルファリン使用者、がん罹患率が2割低い

 ノルウェーの50歳以上の大規模コホート研究において、ワルファリンを服用している人はがん罹患率が低いことが報告された。ワルファリンはがんモデルにおいて、AXL受容体チロシンキナーゼによる腫瘍形成を阻害し、抗凝固レベルに達しない用量で抗腫瘍免疫応答を増強するが、本研究で臨床でも抗がん作用を有する可能性が示唆された。著者のノルウェー・ベルゲン大学のGry S. Haaland氏らは「この結果は、抗凝固が必要な患者の薬剤選択に重要な意味を持つだろう」と述べている。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2017年11月6日号に掲載。

PCIで運動時間が改善するか?プラセボとのDBT/Lancet

 至適薬物治療を行った重度一枝狭窄の安定狭心症患者に対し、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を実施しても、運動時間の改善は認められないことが、無作為化プラセボ対照二重盲検試験で初めて明らかになった。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのRasha Al-Lamee氏らが、患者200例を対象に行った「ORBITA」試験の結果で、Lancet誌オンライン版2017年11月2日号で発表した。

高齢者のPCI、短期DAPTでのDES vs.BMS/Lancet

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受ける高齢患者において、薬剤溶出ステント(DES)を用い抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)を短期間とする戦略は、ベアメタルステント(BMS)を用いDAPTを短期間とする戦略よりも予後は良好であり、全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中および虚血による標的病変血行再建の発生に関しては同程度であることが示された。フランス・パリ第5大学のOlivier Varenne氏らによる無作為化単盲検試験の結果で、Lancet誌オンライン版2017年10月31日号で発表された。高齢患者は通常、DAPTの継続を短縮するために、DESの代わりにBMSの留置を受ける。研究グループは、高齢患者においてDAPTを短期間とした場合の両ステント間のアウトカムを比較する検討を行った。

心原性ショックを伴う急性心筋梗塞、まずは責任病変のPCIを/NEJM

 心原性ショックを伴う多枝病変の急性心筋梗塞(AMI)患者において、同時多枝経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を実施した患者よりも、最初に責任病変のみにPCIを実施した患者のほうが、死亡または腎代替療法につながる重症腎不全の30日複合リスクが低かった。ドイツ・ライプチヒ大学病院のHolger Thiele氏らが、CULPLIT-SHOCK試験の結果を報告した。心原性ショックを伴うAMI患者では、PCIによる責任動脈の早期血行再建が予後を改善するが、心原性ショック状態の患者の多くは多枝病変を有しており、非責任動脈の狭窄に対してPCIをただちに行うかどうかについては、なお議論の的となっていた。NEJM誌オンライン版2017年10月30日号掲載の報告。

大動脈弁置換術、午後のほうが成績よい?/Lancet

 大動脈弁置換術を受ける患者について調べたところ、手術を午後に行った患者のほうが午前に行った患者に比べ、心血管死や心筋梗塞などの主要有害心血管イベントの発生リスクが低かった。この現象には時計遺伝子発現の日内変動が関与しており、核内受容体Rev-Erbαアンタゴニストが、心保護の薬理学的戦略となりえることが示唆されたという。フランス・リール大学のDavid Montaigne氏らが、観察試験と無作為化比較試験、および生体外心筋モデルなどを用いた前臨床試験の結果、明らかにした。on-pump心臓手術が、周術期心筋虚血-再灌流傷害を引き起こすことはあらかじめわかっているが、臨床的アウトカムとの関連性についてはほとんどわかっていない。研究グループは、大動脈弁置換術を受ける患者の周術期心筋障害の発生について日内変動があるのか、またその分子機構を明らかにする検討を行った。Lancet誌オンライン版2017年10月26日号掲載の報告。

病変の複雑さでPCI後のDAPT延長効果は異なるか

 複雑病変に対し冠動脈ステント留置を受ける患者は、抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)を延長することによるリスクや利益が異なる可能性がある。DAPT Studyは、12ヵ月と30ヵ月のDAPTによる利益とリスクを比較した国際的な多施設二重盲検ランダム化比較試験であり、本研究では、米国Beth Israel Deaconess Medical CenterのRobert W. Yeh氏ら研究グループが経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後における2つの期間(30ヵ月と12ヵ月)のDAPTの効果を複雑病変の数に応じて評価した。Journal of the American College of Cardiology誌2017年10月31日号に掲載。 

中国プライマリケア施設、主要4種の降圧薬常備は3割

 中国における降圧薬の利活用(入手性、費用、処方)は著しく不十分で、とくにガイドラインで推奨される廉価で価値の高い薬剤が、率先して使用されてはいない実態が明らかとなった。中国医学科学院・北京協和医学院のMeng Su氏らが、中国のプライマリケア施設における降圧薬に関する全国調査の結果を報告した。中国の高血圧患者は約2億人と推定されているが、プライマリケアでの治療の実態は、ほとんど知られていなかった。著者は、「今後、高血圧の疾病負荷を減らすために、とくにプライマリケア従事者の活動を介して、価値の高い降圧薬の利用状況を改善する必要がある」とまとめている。Lancet誌オンライン版2017年10月25日号掲載の報告。