循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:197

免疫CP阻害薬、心血管障害スクリーニングの結果/腫瘍循環器学会

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の免疫関連有害事象(irAE)としての心血管障害は、報告数は少ないものの、発症すると重篤化する。しかし、真の発生頻度や種類、発生時期については明らかになっていない。国際医療福祉大学三田病院の古川 明日香氏らは、腫瘍循環器学会において、同院の腫瘍循環器外来におけるICI使用時における心血管障害イベントのスクリーニングの意義について発表した。  スクリーニングの検証は、Active Screening Protocolを作成して行われた。このProtocolは、ICI投与開始前に腫瘍循環器外来を予約。ベースライン(投与開始前)、開始後定期的に、血液学的検査(CK、CK-MB、トロポニンI、BNP、D-dimerなど)、心電図、胸部レントゲン、心エコー検査のフォローアップを行うというもの。

潜在性甲状腺機能低下症への対応はいかにあるべきか(解説:吉岡成人氏)-943

血中サイロキシン(T4)あるいは遊離サイロキシン(FT4)値が基準範囲にありながらも、血中TSHのみが基準値上限を超えて高値を示している場合が潜在性甲状腺機能低下症である。潜在性甲状腺機能低下症では、倦怠感などの自覚症状のほかにも、脂質代謝への悪影響、動脈硬化の進展、心機能の低下、妊婦においては流・早産の増加、児の精神発育遅延などがあるため、TSHが10μU/mLを超える場合には甲状腺ホルモンを補充することが多い。65歳以上の高齢潜在性甲状腺機能低下症患者を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照試験では、平均年齢74.4歳の潜在性甲状腺機能低下症患者に甲状腺ホルモンを投与しても、甲状腺機能低下症の症状や甲状腺関連QOLに関した質問票の疲労感のスコアには差を認めないという結論が示されている。

FIREHAWKとXIENCEは本当に同等の成績を持つステントか?(解説:上田恭敬氏)-945

FIREHAWKとXIENCEを比較する、前向き多施設オープンラベル無作為化非劣性試験が欧州の21施設で実施された。対象症例は、血管径が2.25~4.0mmで狭窄度50%以上の狭窄病変で、虚血が示されたPCIの適応がある症例と、ほぼall-comersのデザインとなっている。  登録症例数は1,653例で、1:1で割り付けられた。主要評価項目は、12ヵ月でのtarget lesion failure(心臓死、標的血管心筋梗塞、虚血による標的病変再血行再建の複合エンドポイント)で、6.1% vs.5.9%(FIREHAWK vs.XIENCE)で非劣性が証明された。副次評価項目においても同等の成績が示された。

至適用量って、わからないのね?(解説:後藤信哉氏)-944

ワルファリン以外の抗凝固薬としてトロンビン阻害薬、Xa阻害薬が開発された。ワルファリンと異なり「用量調節不要!」と当初宣伝された。しかし、心房細動の脳卒中予防以外の適応拡大においてリバーロキサバンでは「節操がない」ほど各種用量が選択された。2.5mg×2/日の用量は急性冠症候群(ATLAS TIMI 51)、冠動脈疾患・末梢血管疾患(COMPASS)では有効性が示された(重篤な出血合併症は増加したが…)。同一用量が心不全では有効性を示せなかった(COMMANDER HF)。

ACE阻害薬と肺がんリスクの関連/BMJ

 ACE阻害薬の使用により、肺がんのリスクが増大し、とくに使用期間が5年を超えるとリスクが高まることが、カナダ・Jewish General HospitalのBlanaid M. Hicks氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2018年10月24日号に掲載された。ACE阻害薬により、ブラジキニンおよびサブスタンスPが肺に蓄積し、肺がんリスクが高まることを示唆するエビデンスがある。この関連を検討した観察研究は限られており、結果は一致していないという。

周術期の脳梗塞予防:卵円孔はターゲットとなりうるか?(解説:香坂俊氏)-941

心臓には卵円孔foramen ovaleという部位が存在する。いや、「存在していた」と書くべきだろうか? 胎生期にはこの卵円孔が開いており、母体(胎盤)から回ってくる新鮮な血液をそのまま右房から左房へと流し込む役割を果たしている。しかし、胎児が母体の外に出て、最初の自発呼吸を行うや否やダイナミックに血行動態は変化し、左房側から卵円孔はFlap(蓋)をあてられ閉鎖してしまう。 しかし、この卵円孔にあてられた蓋はそれほど強固なものではなく、4人に1人くらいは押せば空く状態が維持されている。それでも普段は左房側の圧が右房側の圧よりも高いので問題ないのだが、たとえば息んだり咳をしたりして胸腔内圧が上がった時など、右房側の圧が一時的に左房側を上回ってパタパタと蓋が開いてしまうことがある。これが卵円孔開存(PFO:patent foramen ovale)と呼ばれる状況である。

心房細動発症後のがん発症率高い、肺がんは8倍にも

 デンマークの約5万5千人のコホート研究で、心房細動(AF)発症がその後の高いがん発症率に関連し、とくにAF診断後90日以内のがん発症率が高かったことを、デンマーク・Silkeborg Regional HospitalのNicklas Vinter氏らが報告した。Journal of the American Heart Association誌2018年9月4日号に掲載。  本研究は、Danish Diet, Cancer and Health studyにおいてベースライン時にAFおよびがんに罹患していなかった、男性2万6,222人および女性2万8,879人における集団ベースのコホート研究。参加者のAFの発症(Danish National Patient Registry)およびその後のがんの発症(Danish Cancer Registry)を2013年まで追跡した。新規発症したAFを時間依存性曝露としてCox比例ハザードモデルを使用した。

非心臓手術後の心房細動患者の血栓塞栓症リスクは?【Dr.河田pick up】

 循環器内科医は非心臓手術後に生じた心房細動に関するコンサルトを受けることが多い。心房細動は術後のストレスで生じただけなのか、また、術後ということもあり、抗凝固薬を継続すべきなのかの判断が難しいことが多い。今回は、非心臓手術後に発症した心房細動患者における血栓塞栓症リスクについてデンマークのグループが評価した論文を紹介したい。  非心臓手術後に発症した心房細動に対する長期の血栓塞栓症リスクはよくわかっておらず、脳梗塞の予防に関しての十分なデータがない。コペンハーゲン大学病院のJawad H. Butt氏らは、非心臓手術後に新たに発症・診断された心房細動患者における血栓塞栓症リスクを、非外科手術、非弁膜性心房細動患者と比較した。Journal of American College of Cardiology誌オンライン版2018年10月23日号に掲載の報告。

妊娠高血圧腎症、認知症リスクを増大/BMJ

 妊娠高血圧腎症(pre-eclampsia)は、認知症リスクを増大することが、デンマーク・Statens Serum InstitutのSaima Basit氏らによる全国コホート研究の結果、示された。とくに脳血管性認知症のリスクは、非既往女性の3倍以上高く、より高齢(65歳以上)での発症と強い関連が認められたという。また、そのリスクは、糖尿病、高血圧、心血管疾患で補正後もやや減弱する程度で、著者は「妊娠高血圧腎症と脳血管性認知症は基礎メカニズムあるいは感受性経路を共有している可能性がある」と指摘している。なお、アルツハイマー病との関連はわずかで、肥満による交絡の非コントロールによる可能性が示唆された。得られた所見を踏まえて著者は「妊娠高血圧腎症歴を女性に尋ねることは、ベネフィットが得られる女性を臨床医が特定するのに役立ち、疾患の早期兆候に対するスクリーニングや早期臨床的介入を可能とするだろう」と述べている。BMJ誌2018年10月17日号掲載の報告。

高齢者の健康長寿には魚が有益/BMJ

 高齢者における血中濃度の連続測定で、魚由来のオメガ3系多価不飽和脂肪酸(n3-PUFA:エイコサペンタエン酸[EPA]、ドコサペンタエン酸[DPA]、ドコサヘキサエン酸[DHA])、EPA、およびDPA(魚由来のDHAや植物由来のα-リノレン酸ではない)の上積みが認められると、健康長寿(healthy ageing)でいられる可能性が高いことが明らかにされた。米国・タフツ大学のHeidi TM Lai氏らによる前向き長期コホート研究(Cardiovascular Health Study)の結果で、BMJ誌2018年10月17日号で発表された。健康長寿は、慢性疾患、認知・身体機能障害がない生存として定義される。魚および植物由来のn3-PUFAは、生理機能に良好な影響を及ぼし、健康長寿に有益である可能性が示唆されていた。また、自己申告に基づく食事性のn3-PUFA高値とベースラインバイオマーカーとしてのn3-PUFA高値は、心血管疾患のリスクと逆相関することが示されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「高齢者は、さらなるn3-PUFAを含む食事(魚)の摂取を、というガイドラインを支持する結果であった」とまとめている。