抗菌薬が効かないスーパー耐性菌が増える中、科学者らは体内に生息する善玉菌を利用した対処法に関心を向けている。抗菌薬に代わる新たな尿路感染症(UTI)の治療法を模索する新たな研究で、膀胱内の善玉菌である乳酸菌の力を利用して、UTIの原因菌を撃退する実験の結果が報告された。米アラバマ大学微生物学分野のTatyana Sysoeva氏らが実施したこの研究の詳細は、「Frontiers in Cellular and Infection Microbiology」に6月23日掲載された。
再発性UTIは世界で最も頻発している細菌感染症で、特に高齢者は男女を問わず罹患しやすい。今回の研究結果をレビューした米シダーズ・サイナイの泌尿器専門医Karyn Eilber氏は、「UTIはとても大きな問題だ。医師による抗菌薬の過剰な使用から、多剤服用のみならず、耐性菌の問題も生じていることから、UTIに対する予防治療の取り組みは重要だ」と説明する。