泌尿器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:20

尿路感染症を撃退する鍵は膀胱内の乳酸菌?

 抗菌薬が効かないスーパー耐性菌が増える中、科学者らは体内に生息する善玉菌を利用した対処法に関心を向けている。抗菌薬に代わる新たな尿路感染症(UTI)の治療法を模索する新たな研究で、膀胱内の善玉菌である乳酸菌の力を利用して、UTIの原因菌を撃退する実験の結果が報告された。米アラバマ大学微生物学分野のTatyana Sysoeva氏らが実施したこの研究の詳細は、「Frontiers in Cellular and Infection Microbiology」に6月23日掲載された。  再発性UTIは世界で最も頻発している細菌感染症で、特に高齢者は男女を問わず罹患しやすい。今回の研究結果をレビューした米シダーズ・サイナイの泌尿器専門医Karyn Eilber氏は、「UTIはとても大きな問題だ。医師による抗菌薬の過剰な使用から、多剤服用のみならず、耐性菌の問題も生じていることから、UTIに対する予防治療の取り組みは重要だ」と説明する。

ニボルマブ+イピリムマブによる腎がんアジュバントの成績(CheckMate -914)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは2022年7月29日、限局性腎細胞がん(RCC)の術後補助療法として、ニボルマブとイピリムマブの併用療法を評価した第III相CheckMate-914試験のパートAにおいて、同併用療法が盲検下独立中央評価委員会(BICR)評価による無病生存期間(DFS)の主要評価項目を達成しなかったことを発表した。  CheckMate -914試験は、根治的腎摘除術または腎部分切除術後の再発リスクが中等度から高度の限局性RCC患者を対象に、ニボルマブとイピリムマブの併用療法をプラセボと比較評価(パートA)およびニボルマブ単剤療法をプラセボと比較評価(パートB)した無作為化二重盲検プラセボ対照第III相臨床試験である。同試験の両パートの主要評価項目は、BICRの評価によるDFS、主な副次評価項目は、全生存期間(OS)および有害事象(AE)の発現率である。

サル痘感染拡大、4~6月に感染した528例の特徴/NEJM

 2022年4月以降、欧米を中心にサル痘感染が広がっている。7月23日にはWHOが緊急事態を宣言し、日本でも7月25日に感染者が確認された。今回、英国・Queen Mary University of LondonのJohn P. Thornhill氏らの国際共同研究グループ(SHARE-net Clinical Group)が、2022年4月27日~6月24日に16ヵ国43施設でPCR検査によりサル痘と確認・診断された528例について、症状、臨床経過、転帰を調査した結果を報告した。NEJM誌オンライン版2022年7月22日号に掲載。

小児の腎移植で免疫抑制薬の必要性をなくす方法を開発

 免疫抑制薬を使用しなくても安全に小児への腎移植を施行できる方法について、米スタンフォード大学のAlice Bertaina氏らが、「The New England Journal of Medicine」6月16日号で報告した。Bertaina氏らは、親から提供された腎臓に加え、免疫システムも移植するという新たなアプローチを開発。このアプローチにより移植手術を受けた3人の小児の腎臓は、免疫抑制薬を使用しなくても正常に機能し続けているという。  研究者たちはこれまで、移植患者が免疫抑制薬を生涯飲み続けなくても済むように、移植された臓器に対する“免疫寛容”を誘導する方法の開発に取り組んできた。その一つが、臓器ドナーの幹細胞を移植するというアプローチだ。

サル痘疑い患者にはN95マスク、手袋、ガウン、眼の防護/国立感染症研究所・国立国際医療研究センター

 国立感染症研究所と国立国際医療研究センター国際感染症センターは、連名で「サル痘患者とサル痘疑い例への感染予防策」を2022年6月15日に発表し、今回その内容を改正し、7月8日に同研究所のホームぺージに公開した。全世界でサル痘の感染拡大が懸念される中、診療にあたる医療者が注意すべきポイントについて本対策ではコンパクトに記している。  サル痘は接触感染や飛沫感染を起こすが、日常生活の中で空気感染を起こすことは確認されていない。

ヘルペスウイルスが2型糖尿病のリスクを高める?

 性器ヘルペスウイルスを含む、ごく一般的なウイルスの感染が、2型糖尿病のリスクを押し上げる可能性を示す研究結果が報告された。ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン(ドイツ)のAnnette Peters氏らの研究によるもので、詳細は「Diabetologia」に5月11日掲載された。  2型糖尿病の高い有病率の背景には、高齢者人口の増大と肥満の二つが主要因子として挙げられる。これに加えて新たな研究では、二つのヘルペスウイルス(単純ヘルペス2型とサイトメガロウイルス)が、2型糖尿病のリスクを高める可能性があることを示している。単純ヘルペス2型(HSV-2)は性器ヘルペスを引き起こす。一方、サイトメガロウイルス(CMV)は感染しても通常、症状が現れない。ただし、新生児や免疫能が著しく低下している人には、深刻な感染症を引き起こすことがある。感染症を発症しない場合でも、ウイルスは体内にとどまり休眠状態で維持される。

短期間のテストステロン補充療法は心血管イベントを増やさない

 短期間のテストステロン補充療法では、心血管イベントのリスクが有意に上昇することはないとする論文が発表された。英インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)のChanna Jayasena氏らが行ったシステマティックレビューとメタ解析の結果であり、米国内分泌学会(ENDO 2022、6月11~14日、アトランタ)で発表されるとともに、「The Lancet Healthy Longevity」6月号に掲載された。  男性更年期障害とも呼ばれる加齢性腺機能低下症に対して、男性ホルモンのテストステロンを補充する治療法が行われることがある。ただしこの治療は、ヘマトクリット〔血液中の血球成分(大半は赤血球)が占める割合〕の上昇を伴いやすく、血栓ができやすくなる可能性が指摘されている。しかし、それによる心血管イベントや死亡リスクへの影響の有無はよく分かっていない。この疑問解明の手がかりを探るため、Jayasena氏らはこれまでの無作為化比較試験(RCT)の結果を統合して解析する、システマティックレビューとメタ解析という手法による検討を行った。

減量により肥満男性の精子数が上昇

 余分な体重を落とし、その体重を維持することは健康増進につながるが、男性では、減量により精子数も増加する可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。コペンハーゲン大学(デンマーク)教授のSigne S. Torekov氏らが実施したこの研究結果は、「Human Reproduction」に5月17日掲載された。  肥満は精子の質の低下と関連することが、過去の研究で報告されている。そこでTorekov氏らは今回、減量によって精子濃度や運動率などの精液のパラメーターの改善が可能であるのか否かを検討した。対象としたBMI32〜43で18〜65歳の男性56人には、まず低カロリー(1日800kcal)の食事療法を8週間続けてもらった。その後、対象者をランダムに4群に割り付けて、維持期間として52週間にわたり以下のいずれかを実施してもらった。第1群は、週150分以上の中等度の有酸素運動、または週75分以上の高強度の有酸素運動を実施、第2群は、リラグルチド(減量目的でも使用される糖尿病薬)を1日当たり3mg服用、第3群はその両方を実施し、第4群はいずれも実施しなかった。運動を伴う介入を行う群には、モチベーションを維持するためのクラスも提供された。