泌尿器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:23

腎がん術後補助療法、ニボルマブ+イピリムマブはDFS延長せず(CheckMate 914)/Lancet

 術後再発リスクが中等度から高度の限局性腎細胞がん患者において、プラセボと比較してニボルマブ+イピリムマブによる無病生存期間(DFS)の延長は認められなかった。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのRobert J. Motzer氏らが、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアの20ヵ国145施設で実施した無作為化二重盲検試験「CheckMate 914試験」パートAの結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「腎細胞がんの術後補助療法としてニボルマブ+イピリムマブは支持されない」と述べている。限局性腎細胞がんの術後補助療法はアンメットニーズであり、サーベイランスが標準治療となっている。Lancet誌オンライン版2023年2月9日号掲載の報告。

ドナーの低体温療法は移植腎の機能回復遅延に有用か/NEJM

 腎移植患者(レシピエント)における移植腎の機能回復遅延のリスクは、脳死腎提供者(ドナー)への低体温療法によって低減することが示唆されており、この方法が機械灌流保存に劣らないことが示されれば、かなりの費用の削減とロジスティクスの合理化につながると考えられている。米国・オレゴン健康科学大学のDarren Malinoski氏らがこの仮説の検証を試みたが、ドナーに対する低体温療法は腎臓の機械灌流保存と比較して、移植腎の機能回復遅延の軽減に関して劣っており、低体温療法と機械灌流保存を併用しても、付加的な防御効果はみられないことが示された。研究の詳細は、NEJM誌2023年2月2日号に掲載された。  本研究は、米国の6つの臓器提供施設が参加した実践的な適応的前向き無作為化試験であり、2017年8月~2020年5月の期間に実施された(Arnold Venturesの助成を受けた)。

高齢者への前立線がんスクリーニング、推奨なしでも行われる背景

 米国では、2021年に24万8,530例の男性が前立腺がんと診断され、3万4,000例以上が死亡したと推定されている。一方、前立腺がんは進行が遅く、70 歳以上の場合、スクリーニングは寿命を延ばすことなく、過剰診断や過剰診療の不必要なリスクをもたらす可能性があるとして、米国ガイドラインにおいて推奨されていない。  それにもかかわらず行われる「価値の低い」スクリーニングは主にプライマリケア・クリニック(家庭医)で行われており、医師の指示/依頼が多いほど低価値のスクリーニングが行われる傾向にあることが、米国・ノースカロライナ州のウェイクフォレスト医科大学の Chris Gillette氏らによる研究で示された。本結果は、Journal of the American Board of Family Medicine誌オンライン版2023年1月2日号に掲載された。

精子は帽子を脱がないと卵子と受精できない/大阪大

 近年、不妊治療に関心が集まっている。主に健康保険上の取り扱いや不妊治療の助成金の面がほとんどであるが、不妊そのもののメカニズムについては、あまり注目されていない。  今回、宮田 治彦氏(大阪大学微生物病研究所 准教授)らの研究グループは、精子の受精能獲得に重要なタンパク質FER1L5の発見を発表した。Science Advances誌2023年1月25日号からの報告。

13種のがん発生率と生活習慣・遺伝的因子の関係

 19万人以上のUKバイオバンクのデータを用いて、世界がん研究基金(WCRF)による生活習慣のアドバイスを遵守することが13種類のがんのリスクとどのような関係があるのか、また遺伝的リスクによってこれらの関連性が異なるのかを調査するため、前向きコホート研究が実施された。南オーストラリア大学のStephanie Byrne氏らによるInternational Journal of Epidemiology誌オンライン版2023年1月18日号への報告。  2006~10年にかけて37~73歳の参加者の生活習慣を評価し、2015~19年までがんの発生率を追跡調査した。解析対象は、悪性腫瘍の既往がない19万5,822人。13のがん種(前立腺がん、大腸がん、閉経後乳がん、肺がん、悪性黒色腫、非ホジキンリンパ腫、腎臓がん、子宮がん、膵臓がん、膀胱がん、口腔・咽頭がん、卵巣がん、リンパ性白血病)とがん全体について多遺伝子リスクスコア(PRS)を計算し、WCRFの勧告からライフスタイル指数を計算。両者の加法的・乗法的交互作用が評価された。

腎移植後のコロナワクチン3回目接種、抗体陽性率は71%/名大

 大きな手術後の患者に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンを接種した場合、抗体価にどのような変化があるのだろうか。この疑問に藤枝 久美子氏(名古屋大学大学院医学系研究科腎臓内科学)らの研究グループは、腎移植後の患者における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するワクチン2回接種後から3回接種後の抗体価の変化を調査した。その結果、3回目のワクチン接種により抗体獲得率が上昇し、腎移植後の方におけるワクチン追加接種の重要性が示された。

米国・HIV感染者へのART、人種・民族差は?/JAMA

 米国のHIV感染者が抗レトロウイルス療法(ART)を受ける可能性について、人種・民族間で差異があるかを調べる検討が、同国・ノースカロライナ大学のLauren C. Zalla氏らにより行われた。HIVケア開始1ヵ月以内にARTが開始される確率について有意差はなかったが、インテグレーゼ阻害薬(INSTI)を含むARTを受ける可能性は、調査対象期間(2007~19年)の早期においては、白人と比べて黒人とヒスパニック系の患者で有意に低く、ガイドラインの見直しに伴いINSTIが大半のHIV感染者の初回治療として推奨されるようになって以降、有意差が見られなくなったという。著者は、「さらなる研究で、根底にある人種・民族間の差異を明らかにすること、また処方の差異が臨床アウトカムと関連するかどうかを調べる必要がある」とまとめている。JAMA誌2023年1月3日号掲載の報告。

骨盤臓器脱の改善効果、ペッサリーvs.外科的治療/JAMA

 症候性骨盤臓器脱患者において、保存的治療であるペッサリー療法は手術治療と比較して、24ヵ月時点での患者報告による改善に関して非劣性が認められなかった。オランダ・アムステルダム大学のLisa R. van der Vaart氏らが、オランダの21施設で実施した無作為化非劣性試験「PEOPLEプロジェクト」の結果を報告した。骨盤臓器脱は女性のQOL(生活の質)に悪影響を及ぼす疾患で、平均寿命の延長に伴い骨盤臓器脱に対する費用対効果の高い治療が世界的に求められている。JAMA誌2022年12月20日号掲載の報告。  研究グループは、手術歴またはペッサリー療法歴のないステージ2以上の骨盤臓器脱症状を有する女性を、ペッサリー群または手術群に1対1の割合で無作為に割り付けた。

血清PSAとMRIによる前立腺がんスクリーニングで、標的生検によって得られるメリット(解説:宮嶋哲氏)

前立腺がんスクリーニングにおける問題は、overdiagnosisであり、対策型検診における最も適切なアルゴリズムは確定していない。本研究(GOTEBORG-2 trial)では、50〜60歳の男性3万7,887例を対象に血清PSA(前立腺特異抗原)スクリーニングを施行した。血清PSA値が3ng/mL以上の被験者には前立腺MRIを行い、以下の要領で無作為に割り付けた。1/3の被験者を対照群としてMRIで前立腺がんが疑われる病変に対する標的生検と系統的生検を行い、残りの2/3の被験者は実験群として前立腺がんが疑われる病変にMRI標的生検のみを施行した。主要評価項目はGleason score3+3以下の臨床的に有意でない前立腺がん(insignificant cancer)の検出とし、副次評価項目はGleason score3+4以上の臨床的に意義のある前立腺がんの検出、ならびに安全性と定義した。

前立腺がんスクリーニング、MRI後標的生検のみは有用か?/NEJM

 前立腺特異抗原(PSA)高値者でのスクリーニングと早期発見に関して、系統的生検を避けMRIを用いた標的生検の実施は、過剰診断のリスクを半減するが、少数の患者で中リスクのがん発見が遅れるという代償を伴うことが、スウェーデン・Sahlgrenska University HospitalのJonas Hugosson氏らが行った無作為化試験「GOTEBORG-2試験」の結果、示された。前立腺がんのスクリーニングは過剰診断率の高さが難点で、住民ベースのスクリーニングに最適なアルゴリズムは明らかになっていない。NEJM誌2022年12月8日号掲載の報告。  研究グループは、PSA検査後、MRI検査陽性者に標的生検のみを行うスクリーニングアルゴリズムが、現在推奨されているスクリーニングと比較して過剰診断が少ないかどうかを検証した。Swedish Population Registerを用いて、2015~20年にスウェーデンのヨーテボリまたはその周辺の10の自治体に居住していた50~60歳の男性3万7,887例に対し、定期的PSAスクリーニングへの参加を促した。PSA検査を受け、試験への参加に同意した1万7,980例(47%)を、対照群、実験群1および2の3群に1対1対1の割合で割り付けた。  対照群では、PSA値3ng/mL以上の男性について全例MRIによる評価と系統的生検を行い、前立腺画像報告データシステム(PI-RADS)version 2のスコアが3~5点の場合は標的生検を追加した。実験群1では、PSA値3ng/mL以上の男性について、MRIによる評価を行い、疑わしい病変が発見された場合に標的生検のみを行った。また、PSA値10ng/mL以上の場合は、MRIの結果にかかわらず系統的生検(±標的生検)を実施した。実験群2は、実験群1と同様であるが、MRI実施のPSAカットオフ値を1.8ng/mLとした。