泌尿器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:23

de novo転移の去勢抵抗性前立腺がん、3剤併用でPFSとOS改善/Lancet

 de novo転移のある去勢抵抗性前立腺がんに対し、アンドロゲン除去療法+ドセタキセルにアビラテロンを追加したトリプレット療法は、画像診断による無増悪生存(PFS)および全生存(OS)を改善することが示された。有害事象については、主に高血圧症の発生率が上昇したが、好中球減少症、神経障害などの発生率は増加しなかった。フランス・パリ・サクレー大学のKarim Fizazi氏らが、欧州7ヵ国1,173例を対象に行った第III相の非盲検無作為化2×2因子デザイン試験「PEACE-1試験」の結果を報告した。転移のある去勢抵抗性前立腺がんに対する現行標準治療は、ドセタキセル、第2世代ホルモン療法もしくは放射線療法いずれかとアンドロゲン除去療法による併用療法となっている。今回の結果を踏まえて著者は「トリプレット療法は標準治療となりうるものだろう」と述べている。Lancet誌オンライン版2022年4月8日号掲載の報告。

尿路上皮がんニボルマブのアジュバントに期待/小野・BMS

 ニボルマブに尿路上皮がんに対する術後補助療法の適応が追加された。なかでも、筋層浸潤性尿路上皮がん(MIUC)の術後補助療法には課題が残っており、ニボルマブの適応追加に期待が寄せられている。弘前大学 泌尿器科学講座の大山力氏は、小野薬品/ブリストル・マイヤーズ スクイブ共催プレスセミナーにて、MIUC治療のアンメット・ニーズとニボルマブ補助療法の位置付けについて紹介した。

テビペネム ピボキシル、複雑性尿路感染症に有望/NEJM

 複雑性尿路感染症および急性腎盂腎炎の入院患者の治療において、テビペネム ピボキシル臭化水素酸塩の経口投与はertapenemの静脈内投与に対し有効性に関して非劣性で、安全性プロファイルはほぼ同等であることが、英国・Spero TherapeuticsのPaul B. Eckburg氏らが実施した「ADAPT-PO試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年4月7日号に掲載された。テビペネム ピボキシル臭化水素酸塩はカルバペネム系のプロドラッグであり、経口投与されると腸管細胞によって速やかに活性本体であるテビペネムに変換される。テビペネムは、基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生腸内細菌科やフルオロキノロン耐性菌などの多剤耐性グラム陰性病原菌に対し広域抗菌スペクトル活性を有するという。

ニボルマブ、尿路上皮がん術後補助療法と切除不能な進行、再発または転移性食道扁平上皮がん1次治療に対して欧州委員会より承認取得/BMS

 2022年4月5日、ブリストル マイヤーズ スクイブは、PD-L1発現レベル1%以上の根治切除後の再発リスクが高い筋層浸潤性尿路上皮がんの術後補助療法、切除不能な進行、再発または転移性食道扁平上皮がん(ESCC)の1次治療薬として、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)が欧州委員会より承認を受けたことを発表した。ESCCに関してはニボルマブとイピリムマブの併用療法、ニボルマブとフルオロピリミジン系およびプラチナ系薬剤を含む化学療法の併用療法の2つで承認を取得した。今回発表されたのは、CheckMate-274試験(尿路上皮がん)、CheckMate-648試験(ESCC)の結果に基づいたものである。

「非心臓手術症例」の静脈血栓予防におけるDOACと低分子ヘパリンの効果のネットワークメタ解析?(解説:後藤信哉氏)

筆者は題名を見て奇妙だなと思った。整形外科術後の静脈血栓リスクが高いことは広く知られている。がんの症例の血栓イベントリスクも高いと思う。しかし、本研究では「非心臓手術症例」を対象としている。方法の部分で著者も記載しているように、血栓リスクの高い整形外科手術とそうでない非整形外科手術をあえて研究対象として包括したとしている。血栓リスクの高い症例と低い症例をあえて包括して論じる意味は出血が不可避な「手術」に対するDOACと低分子ヘパリンの有効性と安全性に注目したのであろうか? 結果の実臨床への応用は難しいけれど題名の通りに抗凝固薬のbenefitとharmに関するエビデンスの提供を目指した研究かもしれない。

ニボルマブ、尿路上皮がんにおける術後補助療法の国内承認取得

 2022年3月28日、小野薬品工業とブリストル マイヤーズ スクイブは、尿路上皮がんの術後補助療法に対して、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体ニボルマブ(商品名:オプジーボ)の効能または効果の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認を受けたことを発表した。今回発表されたのは、CheckMate-274試験(ONO-4538-33)の結果に基づいたものである。  CheckMate-274試験は、膀胱または上部尿路(腎盂または尿管)が原発である根治切除後の再発リスクが高い筋層浸潤性尿路上皮がん患者を対象に、ニボルマブ単剤療法群とプラセボ群を比較評価した多施設国際共同無作為化二重盲検第III相試験。

NK1受容体拮抗型制吐薬ホスネツピタント承認 /大鵬薬品

 大鵬薬品とヘルシングループは、2022年3月28日、NK1受容体拮抗型制吐薬ホスネツピタント(製品名:アロカリス)について、抗悪性腫瘍薬(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)(遅発期を含む)の効能・効果で製造販売承認を取得した。  化学療法に伴い発現する悪心・ 嘔吐は、患者のQOLに負の影響をおよぼし、化学療法の施行を妨げる原因となる。ガイドラインでも積極的な予防対策が推奨されている。

転移性ホルモン感受性前立腺がんでダロルタミドはOSを延長(解説:宮嶋哲氏)

ダロルタミドはアンドロゲン受容体阻害薬の1つであり、現在、国内では転移のない去勢抵抗性前立腺がんに対して適応となる薬剤である。本論文は、転移性ホルモン感受性前立腺がん患者を対象に、アンドロゲン除去療法とドセタキセルをベースとした治療においてダロルタミドの有効性を検討した国際第III相試験(ARASENS試験)に関する報告である。ダロルタミドとプラセボを1:1に割り付け、主要評価項目はOSである。1,306例の患者が対象でダロルタミド群651例、プラセボ群655例であり、初期診断の段階で86.1%の患者が転移を有しており、その約80%が骨転移症例であった。死亡リスクにおいて、ダロルタミド群はプラセボに比べ32.5%低下し(ハザード比:0.68、p<0.001)、去勢抵抗性獲得までの期間もダロルタミド群はプラセボに比べ有意に延長していた(ハザード比:0.36、p<0.001)。コホートの80%以上がGleason score 8以上と悪性度が高い中、去勢抵抗性獲得までの期間をこれほどまでに延長した点は評価に値する。なお、有害事象に関しては両群で63~66%と比較的高い数値で有意差を認めなかったが、両群ともにドセタキセルを投与していることに起因していると思われる。

非心臓手術の血栓予防、DOAC vs.低分子量ヘパリン/BMJ

 非心臓手術を受ける患者の血栓予防において、直接経口抗凝固薬(DOAC)と低分子量ヘパリン(LMWH)はいずれも、これらの投与を行わない場合に比べ症候性静脈血栓塞栓症の発現を抑制するが、これらの薬剤は同程度に大出血を増加させる可能性があり、DOACによる症候性静脈血栓塞栓症の予防効果はLMWHよりも大きいと考えられることが、カナダ・マックマスター大学のMaura Marcucci氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年3月9日号で報告された。  研究グループは、非心臓手術を受ける患者の血栓予防において、DOACとLMWHが、有益性と有害性に及ぼす影響を評価する目的で、文献の系統的レビューとネットワークメタ解析を行った(特定の研究助成は受けていない)。

腎不全患者の腎移植は特定の背景因子の違いに大きく影響されることなく、透析継続例の生命予後に勝る(解説:浦信行氏)

BMJ誌に掲載された本論文のメタ解析の結果は大方の予想どおり、腎移植例の生命予後が透析継続例に勝るとの結論であり、そのハザード比(HR)は0.45ときわめて高いものであった。このような報告は従来も数多くあったが、比較的最近の2011年に発表されたシステマティックレビューは192万2,300例の解析であり、本研究より多数例の報告である。しかし、従来のものは対象の透析例が移植待機例以外も含んでおり、本来移植非適応の症例を含んでおり、対象の選択バイアスを含むものである。したがって本研究の症例の選択バイアスを除去した意義は大きい。ところで、48の報告のうち11件が有意性を認めない層が特定されたと報告しているが、その11の報告の内容には一貫性がない。たとえば年齢層であるが、報告によって65~70歳、70歳以上、基礎疾患は糸球体腎炎、高血圧性腎硬化症もしくは遺伝性疾患、糖尿病性腎症、また基礎疾患ではないがCOPD合併例など、まったく一定の傾向がない。移植後各時期の生命予後に関しては、術後3ヵ月目までは、手術そのものの影響や、化学療法開始時のリスク、麻酔のリスクなどでむしろ悪いが、その後は一貫して移植例の予後は良い。