外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:17

MRIで直腸がん手術の要否を判断可能か

 MRIによる直腸がん患者のがんステージの再評価により、手術を回避できる患者を特定できる可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。手術を回避できた患者は、生涯にわたってストーマ装具を装着せずに済む可能性も期待できる。米バージニア大学(UVA)医療システム身体画像部門のArun Krishnaraj氏らによるこの研究の詳細は、「Radiology」に9月3日掲載された。  米国がん協会(ACS)によると、米国で直腸がんは比較的一般的な疾患で、毎年約4万6,220人(男性2万7,330人、女性1万8,890人)が新たに直腸がんの診断を受けているという。直腸がんによる死亡者数は、毎年5万4,000人以上に上る大腸がん死亡者数の統計に含まれている。

乳がん患者の妊娠・出産のためのタモキシフェン中断についてステートメント公表/日本がん・生殖医療学会

 日本がん・生殖医療学会では10月30日、「乳癌患者の妊娠・出産のためのタモキシフェン内服中断、そして最終投与からの望ましい避妊期間についてのステートメント」を公表した。2023年に初回報告されたPOSITIVE試験の結果に基づき、「一定期間タモキシフェンを内服したのちに、最長2年として内服を中断して妊娠・出産を試みる場合、短期的な予後への影響はないものと考えられる」とし、最終投与からの望ましい避妊期間について以下のように推奨をまとめている。

早期TN乳がん、多遺伝子シグネチャー活用で予後改善/BMJ

 切除可能なトリプルネガティブ(TN)乳がんの予後は満足のいくものではなく、術後補助化学療法の最適化が必要とされている。中国・復旦大学上海がんセンターのMin He氏らは、開発した多遺伝子シグネチャーを用いてリスク層別化を行い、それに基づく高リスク患者に対してアントラサイクリン/タキサンベースの治療にゲムシタビン+シスプラチンを組み合わせた強化レジメンが、無病生存期間(DFS)を改善し毒性は管理可能であったことを示した。BMJ誌2024年10月23日号掲載の報告。  研究グループは2016年1月3日~2023年7月17日に、中国の7つのがんセンターで、切除可能なTN乳がん患者に対して多遺伝子シグネチャーを用いることで、最適な個別化補助療法の提供が実現可能かを評価する多施設共同第III相無作為化試験を行った。

糞便中ヘリコバクター・ピロリ抗原検査を用いた検診は胃がん予防に有効か(解説:上村直実氏)

わが国を含む多くの国において、大腸がん死亡を予防する目的で免疫学的便潜血検査(FIT法)を用いた大腸がん検診プログラムが実施されている。今回、台湾において2014年から2018年にかけて、FIT検診に加えて糞便中ヘリコバクター・ピロリ抗原検査(HPSA)を同時に施行しピロリ感染の有無を検査してピロリ除菌治療を勧める検診法により、大腸がんのみならず胃がんの発症率や死亡率に影響を与えるか否かを検討した興味深い臨床研究の結果が2024年9月のJAMA誌に掲載された。

本邦初、がん患者の「気持ちのつらさ」のガイドライン/日本肺癌学会

 2024年10月、日本がんサポーティブケア学会と日本サイコオンコロジー学会は『がん患者における気持ちのつらさガイドライン』(金原出版)を発刊した。本ガイドラインは、がん医療におけるこころのケアガイドラインシリーズの第4弾となる。第65回日本肺癌学会学術集会において、本ガイドラインの作成委員長の藤澤 大介氏(慶應義塾大学医学部)が本ガイドライン作成の背景、本ガイドラインで設定された重要臨床課題と臨床疑問(CQ:クリニカルクエスチョン)を紹介した。

固形がんにMRD検査は有用か?学会がガイダンスを作成/日本癌治療学会

 日本癌治療学会は、固形がんを対象に、がん種横断的にMRD検査の最新エビデンスを集め、検査の適正利用・研究を目指すことを目的としたガイダンス「分子的残存病変(molecular residual disease:MRD)検査の適正臨床利用に関する見解書 第1版」(日本癌治療学会:編、日本臨床腫瘍学会・日本外科学会:協力)を作成し、2024年10月に学会サイト上で公開した。  MRDは、抗がん剤の投与などにより一定の治療効果が確認された後も患者の体内に残る微小なレベルのがん病変を指す。もともとは造血器腫瘍における研究が先行しており、2024年4月には米国食品医薬品局(FDA)の委員会がMRDを多発性骨髄腫の臨床開発のエンドポイントとすることを認めるなど、研究・臨床への応用が進む。固形がんにおいても、血液を用いたリキッドバイオプシー検査の臨床導入を契機に、大腸がんなどを中心にMRD評価による再発リスク層別化を検証する臨床試験が多数行われ、臨床応用や保険承認を目指す流れができつつある。今回のガイダンスもこのような背景から作成されたものだ。

手術後の音楽療法は患者の回復を早める

 手術後には音楽を聞くことで回復が早まるかもしれない。米カリフォルニア州北部医科大学外科分野教授のEldo Frezza氏らによるシステマティックレビューとメタアナリシスで、手術後の音楽療法により患者の不安や痛みが軽減し、心拍数の増加が抑制され、鎮痛薬の使用量も少なく済むことが示唆された。この研究結果は、米国外科学会臨床会議(ACS Clinical Congress 2024、10月19〜22日、米サンフランシスコ)で発表された。  Frezza氏は、「手術後に目を覚ました患者の中には、ひどくおびえていて、自分がどこにいるのか分からない人がいる」と話す。そして、「音楽は、覚醒してから平常の状態に戻るまでの移行を円滑に進め、移行に伴うストレスを軽減するのに役立つ可能性がある」と述べている。

PIK3CA変異進行乳がん1次治療、inavolisib追加でPFS改善/NEJM

 PIK3CA変異陽性、ホルモン受容体陽性、HER2陰性の局所進行または転移を有する乳がん患者の治療において、パルボシクリブ+フルベストラントにプラセボを加えた場合と比較して、パルボシクリブ+フルベストラントにPI3Kα阻害薬inavolisibを追加すると、無増悪生存期間(PFS)が有意に延長した一方で、一部の毒性作用の発生率が高いことが、英国・Royal Marsden Hospital and Institute of Cancer ResearchのNicholas C. Turner氏らが実施した「INAVO120試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2024年10月31日号に掲載された。

「医療費が負担だった」8割、がん患者が感じている経済的不安/日本癌治療学会

 「いくらかかるかわからない」「費用が心配で高い治療を受け入れられない」。がん治療にかかる費用は病院の会計窓口で聞くまでわからないというケースも少なくないだろう。NPO法人キャンサーネットジャパンは、がん患者が感じている、がん治療への経済的負担についてのアンケート結果を第62回日本癌治療学会学術集会で発表した。  調査対象は20歳以上の日本のがん治療経験者、調査期間は2024年8月8日~9月1日で、1,117名から回答を得ている。  61%の治療経験者はがんになる前から治療費の備えをしていた。それにもかかわらず、約8割(78%)が、がん治療中に医療費が負担だと感じていた。

乳がん薬物療法の最新トピックス/日本癌治療学会

 第62回日本癌治療学会学術集会(10月24~26日)で企画されたシンポジウム「明日からの乳癌診療に使える!最新の薬剤の使いどころ」において、がん研究会有明病院の尾崎 由記範氏が、乳がん薬物療法の最新トピックスとして、KEYNOTE-522レジメンの使いどころ、HER2ゼロ/低発現/超低発現の課題、新たなPI3K阻害薬inavolisibを取り上げ、講演した。