膠原病・リウマチ科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:17

抗リン脂質抗体症候群にmTORC経路が関与/NEJM

 抗リン脂質抗体症候群(APS)の血管病変の形成には、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質複合体(mTORC)の分子経路が関与している可能性があることが、フランス国立保健医学研究機構(INSERM)、パリ・デカルト大学(第5大学)のGuillaume Canaud氏らの検討で示された。APSの主な特徴は血栓症とされるが、慢性血管病変もよくみられ、とくに生命に関わる合併症を有する患者で頻度が高く、移植を要する患者では再発病変が高頻度にみられるという。APSの血管障害に関与する分子経路は知られておらず、適切な治療法は確立されていない。NEJM誌2014年7月24日号掲載の報告。

シェーグレンに免疫抑制薬、効果なし/JAMA

 原発性シェーグレン症候群に対する免疫抑制薬ヒドロキシクロロキン(国内未承認)の投与について、24週時点の症状改善効果は認められなかったことが判明した。フランス・ストラスブール大学病院のJacques-Eric Gottenberg氏らが、120例の患者を対象に行った無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験の結果、明らかになった。ヒドロキシクロロキンは日本では未承認であるが、海外では同症候群に対して最も多く処方されている。しかし、その有効性に関するエビデンスは限定的なものしか報告されていなかった。なお今回の結果について著者は、「さらなる試験を行い長期のアウトカム評価が必要である」としている。JAMA誌2014年7月16日号掲載の報告より。

トファシチニブ単剤療法、活動性関節リウマチに対する有用性を確認/NEJM

 2年間のトファシチニブ単剤療法は、関節リウマチの徴候や症状の改善効果および関節の構造的損傷の進行の抑制効果が、メトトレキサートよりも良好であることが、韓国・ソウル大学校医科大学のEun Bong Lee氏らが行ったORAL Start試験で示された。メトトレキサートは関節リウマチの1次治療において最も使用頻度の高い抗リウマチ薬である。トファシチニブはヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬と呼ばれる新たなクラスの薬剤で、既存の生物学的製剤が静注薬であるのに対し本薬剤は経口薬であり、すでにいくつかの第III相試験でその有用性が確認されているが、重症感染症や検査値異常などが問題とされる。NEJM誌2014年6月19日号掲載の報告。

経口抗リウマチ薬ゼルヤンツの市販直後調査結果や悪性腫瘍発現率を紹介

 関節リウマチ治療は、生物学的製剤の発売により劇的に変化し、患者さんの予後も大きく改善している。しかし、生物学的製剤は分子量が大きいため点滴や注射で投与せざるを得ず、外出や旅行などで不便を感じる患者さんも少なくない。そのようななか昨年発売された低分子化合物のゼルヤンツ(一般名:トファシチニブ)は経口剤であり、生物学的製剤と同程度の効果が認められている。しかしながら、本剤は新しい作用機序の薬剤であることから、安全性について慎重に検討している医師も多いのではないだろうか。

帯状疱疹のリスク増大要因が判明、若年ほど要注意/BMJ

 帯状疱疹リスクは、関節リウマチ、炎症性腸疾患(IBD)、COPD、喘息などの疾患を有している人では増大し、概して年齢が若い人でリスクが大きいことが明らかにされた。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のHarriet J Forbes氏らが、2000~2011年の同国で帯状疱疹と診断された14万4,959例を対象とした症例対照研究を行い明らかにした。英国では2013年より新たに、高齢者のみを対象とした帯状疱疹ワクチンの接種キャンペーンが始められたが、これまで帯状疱疹リスクを定量化した大規模な検討は行われていなかったという。BMJ誌オンライン版2014年5月13日号掲載の報告より。

de novo B型肝炎の心配は?HBV感染既往RA患者への生物学的製剤投与

 B型肝炎ウイルス(HBV)の感染既往があり、生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)を投与している慢性関節リウマチ(RA)患者のHBV再活性化率を検討したところ、5.3%に再活性化を認めたものの、重症肝炎に至った症例はなかったことが、自治医科大学の中村 潤氏らによる研究で明らかになった。このことから、生物学的DMARDsは、HBV感染既往のあるRA患者にとって、安全に使用可能な薬剤であると考えられる。International journal of rheumatic diseases誌オンライン版2014年4月4日号の報告。