呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:99

ブースター接種率、職業や年収によって明確な差

 COVID-19ワクチンのプライマリ接種完了者(以下、ワクチン接種完了者)であっても、ブースター接種を受けるかどうかに関しては、地理的・職業的・社会人口学的な差異があることを、米・NYC Test and Trace CorpsのIsrael T. Agaku氏らが報告した。ブースター接種の必要性と接種意欲に関する調査は実施されているが、同氏らの認識ではブースター接種率とその背景因子を評価した大規模な調査は行われていないため、本調査を実施して社会人口学的要因を明らかにすることにした。JAMA Network Open誌2022年8月19日号掲載の報告。  この横断的研究は、米国国勢調査局の2021年12月1日~2022年1月10日の家計実態調査を基に行われた。メールやSMSで参加者を募り、オンラインで回答を得た。参加者には、新型コロナワクチンの接種の有無、接種回数と初回に接種したワクチンのメーカー名、自己申告によるCOVID-19感染の有無を尋ねた。また、社会人口学的要因として、COVID-19の感染の有無が不明な人との接触機会を探るため、過去7日間で最もよくいた場所、婚姻状況、子供の人数、居住地域、人種・民族、性別、年齢、最終学歴などを調査した。  解析対象者は、ワクチン接種を完了している成人13万5,821人(18~44歳は41.5%[平均年齢48.07±17.18歳]、女性51.0%)であった。ブースター接種の定義は、初回に接種したワクチンがジョンソン・エンド・ジョンソン製のワクチンの場合は2回以上の接種、ファイザー製ワクチンまたはモデルナ製ワクチンの場合は3回以上の接種とした。調整接種率(APRs)はポアソン回帰法を用いて測定し、ワクチン接種完了者のうちブースター接種を受けた人の背景を調査した。

コロナvs.インフル、入院患者の血栓塞栓症リスク/JAMA

 米国・ペンシルベニア大学のVincent Lo Re III氏らによる、米国の公衆衛生サーベイランスシステムのデータを用いた後ろ向きコホート研究の結果、COVID-19入院患者はワクチンの導入前か実施期間中にかかわらず、2018/2019シーズンのインフルエンザ入院患者と比較し、入院後90日以内の動脈血栓塞栓症リスクに有意差はないものの静脈血栓塞栓症リスクが有意に高いことが示された。これまで、COVID-19患者における動脈血栓塞栓症および静脈血栓塞栓症の発生率は不明であった。JAMA誌2022年8月16日号掲載の報告。

テポチニブのMET exon14スキッピングNSCLCへの効果、再現性持って示される(VISION)/WCLC2022

 テポチニブのMET exon14スキッピング非小細胞肺がん(NSCLC)におけるVISION試験の検証(confirmative)コホートC の解析からテポチニブの再現性ある有効性が示された。  テポチニブのMET exon14スキッピングNCSLCに対する有用性は、同試験のprimaryコホートAで示され、各国で承認されている。世界肺癌学会(WCLC2022)では、confirmativeコホートCの初回解析の結果が、ドイツ・ハイデルベルグ大学のMihael Thomas氏から発表された。 ・対象:Stage IIIB/IVのMET exon14スキッピングNSCLC患者 ・介入:テポチニブ 500mg/日 ・評価項目: [主要評価項目]独立判定委員会評価(IRC)による全奏効率(ORR) [副次評価項目]治験担当医によるORR、奏効期間(DoR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性、健康関連QOL

イベルメクチン、メトホルミン、フルボキサミンはコロナ重症化を予防せず/NEJM

 メトホルミン、イベルメクチン、フルボキサミンはいずれも、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連した低酸素血症や救急外来受診、入院または死亡の発生に対する予防効果はないことが、米国・ミネソタ大学のCarolyn T. Bramante氏らが行った第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、示された。3剤は、SARS-CoV-2感染早期の外来患者への投与でCOVID-19重症化を予防できるのではと期待されていた。NEJM誌2022年8月18日号掲載の報告。  研究グループは2×3要因デザイン法を用いて、SARS-CoV-2感染確認から3日以内、発症から7日以内の外来成人患者に対し、メトホルミン、イベルメクチン、フルボキサミン3種の薬剤のドラッグ・リパーパシングとして、COVID-19の重症化予防効果を検証した。被験者は30~85歳で、過体重または肥満だった。

オミクロン流行期、小児コロナ入院患者の症状に変化/国立成育医療研究センター

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第7波が全国的に猛威をふるっている。一般報道では第7波の特徴として小児の陽性感染が多いことが指摘され、全国の小児科はいつにも増して診療を待つ患者であふれているという。小児がCOVID-19に感染した場合、症状が軽微とあると従来言われてきたが、実際入院した患者ではどのような特徴があるだろう。  国立成育医療研究センター感染症科の庄司 健介氏らのグループは、国立国際医療研究センターの研究チームと合同で、オミクロン株流行期における小児新型コロナウイルス感染症による入院例の疫学的・臨床的な特徴を、デルタ株流行期と比較検討し、その結果を公表した。

進展型小細胞肺がんの1次治療におけるペムブロリズマブ+化学療法(KEYNOTE-604)/WCLC2022

 進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の1次治療において、ペムブロリズマブと化学療法の併用が良好な成績を示した。試験結果は、米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのRudin氏により世界肺癌学会(WCLC2022)で発表された。  ES-SCLCの1次治療におけるエトポシド+カルボプラチン(EP)とペムブロリズマブの併用はプラセボとの併用に比べ、無病生存期間(PFS)を有意に改善することがKEYNOTE-604試験の結果で示されている(HR:0.75)。WCLC2022では、35サイクルを完遂した患者における3.5年の追跡結果が、全生存期間(OS)を含め発表された。

オミクロン株感染者の半数以上が自覚していない

 米国・カリフォルニア州ロサンゼルス郡の人口の多い都市部で、オミクロン株流行時に抗体陽転が確認された人を対象としたコホート研究において、感染者の半数以上が感染を認識していないこと、また、医療従事者は非医療従事者より認識者の割合が高いが全体としては低いことが示唆された。米国・Cedars-Sinai Medical CenterのSandy Y. Joung氏らが、JAMA Network Open誌2022年8月17日号に報告。

5~11歳へのBNT162b2ワクチンのオミクロン株に対する有効性(解説:寺田教彦氏)

 本論文は、新型コロナウイルスのオミクロン変異株流行中における5~11歳へのBNT162b2(ファイザー製)ワクチンの2回接種の有効性を報告しており、過去の報告との差異は、2回接種後のCOVID-19関連入院予防効果がより高い可能性が示唆されたことである。  本研究では、シンガポールで5~11歳の25万5,936例を解析対象としており、完全接種(2回接種後7日以上)の小児ではワクチンによるSARS-CoV-2感染の有効率は36.8%(95%CI:35.3~38.2)、COVID-19関連入院の予防が82.7%(95%CI:74.8~88.2)だった。また、ワクチン接種後の重篤な有害事象は0.005%が保健科学庁に報告されたと発表している。

アテゾリズマブによるNSCLCアジュバントのOS中間解析(IMpower010)/WCLC2022

 完全切除非小細胞肺がん(NSCLC)におけるアテゾリズマブの術後補助療法を評価した第III相非盲検試験IMpower010の全生存期間(OS)の中間解析が発表された。PD-L1≧1%のStage II〜IIIA集団において、アテゾリズマブはBSCよりも良好な傾向を示した。  中間解析でアテゾリズマブの術後補助療法はStage II~IIIAの無病生存期間(DFS)を有意に改善に改善した。しかし、前回の中間分析の時点ではOSは未達成であった。世界肺癌学会(WCLC2022)では、OSと安全性の評価がスペイン・Vall d’Hebron大学病院のE.Felip氏から発表された。

コロナvs.インフル、年齢別死亡リスクを比較/奈良医大

 新型コロナウイルスのオミクロン株は、デルタ株と比較して重症化リスクが低下したとされ、季節性インフルエンザとの臨床経過を比較することへの関心が高まっている。奈良県立医科大学は、8月4日のプレスリリースで、同大学の野田 龍也氏らによる、日本における季節性インフルエンザとオミクロン株流行期の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による人口1,000万人当たりの年間死亡者数について、複数の公開データベースを用いて年齢別に比較した研究を発表した。その結果、70歳以上の高齢者ではCOVID-19による年間死者数が有意に多かったのに対して、20~69歳では、COVID-19の年間死亡者数のほうがインフルエンザのよりも多いものの、その差が小さかったという結果が得られたという。なお本研究は、日本臨床疫学会発行のAnnals of Clinical Epidemiology誌オンライン版2022年8月3日号に早期公開された。  本研究では、オミクロン株が主流となった2022年1月5日~7月5日の26週間、および高齢者のワクチン接種が80%を超えた2022年3月30日~7月5日の14週間におけるCOVID-19関連の年齢別死亡者数を、厚生労働省の公開データベースから特定されている。COVID-19関連の累計死亡者数は、26週間で1万3,756例だった。COVID-19の第6波の流行期の死亡者数を基に、その流行期と同水準の死亡者数が1年間にわたり発生するという想定で年間死亡者数が推計されている。