呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:101

コロナ関連死リスク、BA.1株はデルタ株より低い/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡のリスクは、オミクロン変異株(BA.1)のほうがデルタ変異株(B.1.617.2)より低い。英国・Office for National StatisticsのIsobel L. Ward氏らが、後ろ向きコホート研究の結果を報告した。これまでに、オミクロン株のすべての系統(BA.1、BA.2、BA.3、BA.4、BA.5)はデルタ株より感染しやすいが、SARS-CoV-2検査陽性後28日以内の入院および死亡リスクは、オミクロン株のほうがデルタ株より低いことが示唆されていた。しかし、オミクロン株とデルタ株で、死亡診断書から特定されるCOVID-19関連死のリスクを比較した研究は不足していた。BMJ誌2022年8月2日号掲載の報告。

幼児のいる親はコロナ重症化リスクが低い~300万人超の分析

 米国・Kaiser Permanente Northern California(KPNC)のMatthew D. Solomon氏らが、幼児と接する機会の有無が、成人のCOVID-19重症化リスクに影響するかどうかを、300万人超の大規模なリアルワールドデータで調査した。その結果、家に0~5歳の子供がいる成人では、家に子供がいない成人に比べて重症化率が有意に低いことが報告された。これまで、小児では、過去のSARS-CoV-2以外のコロナウイルスへの曝露による交差免疫が、COVID-19の重症化予防に寄与している可能性が示唆されている。そこで、5歳未満の小児のいる成人ではウイルスへの曝露機会が増加するため、成人のSARS-CoV-2以外のコロナウイルスへの交差免疫の有無を小児との接触と推定して、COVID-19の重症化リスクを評価することにした。Proc Natl Acad Sci USA誌2022年8月16日号に掲載。

TROP2を標的としたADC(DS-1062)の非小細胞肺がんに対する第Ib相試験の結果を世界肺がん学会(WCLC2022)で発表/第一三共

 第一三共とアストラゼネカは、再発・進行非小細胞肺がん患者(NSCLC)を対象とした、TROP2に対する抗体薬物複合体DS-1062(Dato-DXd)とペムブロリズマブの併用の第Ib相臨床試験TROPION-Lung02の中間解析データを世界肺癌学会(WCLC2022)で発表した。  同試験は、actionableな遺伝子変異のない再発・進行NSCLC約120例を対象に、DS-1062とペムブロリズマブの2剤併用療法と、DS-1062、ペムブロリズマブ、プラチナ製剤の3剤併用療法の安全性および有効性を評価するグローバル第Ib相臨床試験である。

新型コロナ入院患者へのバリシチニブ、死亡低減効果は?/Lancet

 英国・オックスフォード大学のPeter W. Horby氏ら「RECOVERY試験」共同研究グループは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者に対する経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬バリシチニブの死亡リスク低減効果は約13%と、これまでに発表されたJAK阻害薬の無作為化比較試験8件のメタ解析によるリスク低減効果(約43%)よりも小さかったことを報告した。また、RECOVERY試験を含めたメタ解析の結果、JAK阻害薬(主にバリシチニブ)によるCOVID-19入院患者の死亡低減効果は約20%であったことも報告した。Lancet誌2022年7月30日号掲載の報告。

医療者のブレークスルー感染率、3回vs.4回接種

 オミクロン株流行下において、感染予防の観点から医療従事者に対する4回目接種を行うメリットは実際あったのか? イスラエルでのオミクロン株感染ピーク時に、3回目接種済みと4回目接種済みの医療従事者におけるブレークスルー感染率が比較された。イスラエル・Clalit Health ServicesのMatan J. Cohen氏らによるJAMA Network Open誌オンライン版2022年8月2日号掲載の報告より。  本研究は、イスラエルにおけるオミクロン株感染者が急増し、医療従事者に対する4回目接種が開始された2022年1月に実施された。対象はイスラエルの11病院で働く医療従事者のうち、2021年9月30日までにファイザー社ワクチン3回目を接種し、2022年1月2日時点で新型コロナウイルス感染歴のない者。4回目接種後7日以上が経過した者(4回目接種群)と、4回目未接種者(3回目接種群)を比較し、新型コロナウイルス感染症の感染予防効果を分析した。感染の有無はPCR検査結果で判定され、検査は発症者または曝露者に対して実施された。

COVID-19陽性者のメンタルヘルスに対するヨガの効果

 COVID-19パンデミックは、社会全体にストレス、不安、うつ病の増加をもたらした。とくにCOVID-19の検査で陽性となった人々では、メンタルヘルスやウェルビーイングへの影響が大きい。インド工科大学デリー校のNitesh Sharma氏らは、COVID-19の影響を受けた患者のストレス、不安、うつ病の軽減に対するヨガ介入療法の有効性を評価するため、COVID-19病棟における準ランダム化比較試験を実施した。また、COVID-19の影響を受けた患者のSpO2と心拍数の測定も実施した。その結果、ヨガ介入療法は、COVID-19陽性者のストレス、不安、うつ病の軽減に対し、実践可能な介入である可能性が示唆された。International Journal of Yoga Therapy誌2022年1月1日号の報告。

オミクロン株対応2価ワクチンを国内承認申請/ファイザー

 ファイザー社は8月8日付のプレスリリースで、オミクロン株対応の新型コロナウイルスワクチンを厚生労働省に承認事項一部変更申請を行ったことを発表した。今回申請したワクチンは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の起源株と、オミクロン株BA.1系統のスパイクタンパク質をそれぞれコードする2種類のmRNAを含む2価ワクチンで、生理食塩水での希釈が不要なRTU製剤となっている。  同社の2価ワクチンの効果については、6月25日付の米国でのプレスリリースによると、56歳以上を対象とした第II/III相試験において、現行のワクチンと比較してオミクロン株BA.1に対して大幅に高い中和抗体反応を示し、中和抗体価の幾何平均比(GMR)は、2価ワクチン30μgで1.56(95%信頼区間[CI]:1.17~2.08)、60μgで1.97(95%CI:1.45~2.68)であった。追加接種から1ヵ月後では、オミクロンBA.1に対する中和幾何平均抗体価(GMT)が、30μgで9.1倍、60μgで10.9倍に追加接種以前より増加した。

「BA.1対応型」で10月接種開始予定、小児へのワクチンは「努力義務」に変更/厚労省

 オミクロン株対応ワクチンについて、本邦では10月半ば以降、初回接種を完了したすべての住民を対象に接種を開始することを想定して「BA.1対応型」2価ワクチンの導入を進めることが、8月8日に開催された第34回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で了承された。また同会では、小児(5~11歳)の新型コロナワクチン接種について現行の取り扱いを変更し、努力義務の適用とすることも了承された。

COPDの疾病負担、世界的には低下傾向に/BMJ

 近年、慢性閉塞性肺疾患(COPD)による世界的な疾病負担は減少傾向にあるものの、この疾患はとくに社会人口統計学的指標(0[開発が最も遅れている]~1[開発が最も進んでいる])が低い国々ではいまだに主要な公衆衛生上の課題であることが、イラン・タブリーズ医科大学のSaeid Safiri氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年7月27日号で報告された。  研究グループは、1990~2019年におけるCOPDの世界、地域別、国別の疾病負担および寄与リスク因子を、年齢、性別、社会人口統計学的指標に基づいて検討する目的で、系統的な解析を行った(イラン・Shahid Beheshti University of Medical Sciencesの助成を受けた)。  解析には、「2019年度世界疾病負担研究(GBD 2019)」のCOPDのデータが用いられた。GBDは、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の助成で進められている研究で、GBD 2019では、1990~2019年における世界の204の国と領域における369種の疾患と負傷、および87件のリスク因子について評価が行われている。COPDについてはGOLDの定義が使用された。  主要アウトカムは、COPDの有病者、COPDによる死亡、COPDによる障害調整生存年(DALY)と、寄与リスク因子とされ、その数と10万人当たりの発生割合が、95%不確実性区間(UI)とともに算出された。

未接種者とブレークスルー感染者、臨床転帰と免疫の違いは?

 国内における新型コロナ感染流行の第7波においては、ワクチン接種後の感染、いわゆるブレークスルー感染も多数報告されている。ワクチン接種を受けた感染者の大半は軽症か無症状だが、入院を要する者もいる。ワクチン接種者または未接種者で重症化した患者について免疫および臨床的特徴を調べたイタリア・フローレンス大学のGiulia Lamacchia氏らの研究がJournal of Clinical Immunology誌2022年7月9日号オンライン版に掲載された。