呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:67

コロナの急性期症状、男女差は?

 男性のほうが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状が重症化しやすく死亡率が高いという、性別による差異が報告されている。その理由として、男性のほうが喫煙率や飲酒率、予後悪化に関連する併存疾患を有している割合が高いなどの健康格差が示唆されている1)。今回、COVID-19の急性期症状の性差を調査したところ、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)陽性と判定された男性では発熱や悪寒といった特定の症状の発現率が女性よりも高いことが、米国・テキサス大学ヒューストン健康科学センター/アーカンソー医科大学のJenil R. Patel氏らにより明らかになった。Preventive Medicine Reports誌2023年10月号掲載の報告。

秋接種、ファイザーとモデルナのXBB.1.5対応1価ワクチン購入合意/厚労省

 厚生労働省は7月28日、新型コロナワクチンの2023年秋開始接種に向けて、オミクロン株XBB対応1価ワクチンとして、ファイザーから2,000万回分、モデルナから500万回分を追加購入することについて、両社と合意したことを発表した。なお、必要に応じて追加購入することも合意している。  同日にファイザーが発表したプレスリリースによると、今回供給を予定しているのは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のオミクロン株XBB.1.5系統のスパイクタンパク質をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)を含む1価ワクチンとなっている。本ワクチンは、同社が2023年7月7日に厚生労働省に承認事項一部変更申請を行っていた。

コロナによる医療中断で回避可能な入院リスク増/BMJ

 英国・リバプール大学のMark A. Green氏らは、同国7つの縦断研究のコホートデータを解析し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行中に医療へのアクセスが中断された人は、回避可能な入院をより多く経験していたとみられることを報告した。COVID-19流行中に医療サービスや治療へのアクセスがどの程度中断したかは、幅広い研究によって明らかとなっているが、この中断と健康への悪影響との関連を評価する研究が求められていた。著者は、「今回の調査結果は、パンデミックの短期的・長期的影響への対応や、将来のパンデミック時の治療・処置の保護のために、医療投資を増やす必要性を浮き彫りにしている」と述べている。BMJ誌2023年7月19日号掲載の報告。

亜鉛補給でコロナ死亡率低下~メタ解析

 亜鉛の補給によって、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の死亡リスクが有意に低下することが、米国・Patel College of Allopathic MedicineのSpencer Z. Rheingold氏らのメタ解析によって明らかになった。Cureus誌2023年6月10日号掲載の報告。  亜鉛は必須微量元素の1つで、炎症や感染症における免疫系の重要な調節因子であるとともに、直接的な抗ウイルス作用もあることが報告されている。COVID-19患者の予後を改善するために多くの研究グループが亜鉛補給に関する試験を実施しているが、その効果には議論の余地がある。そこで研究グループは、亜鉛を補給したCOVID-19患者と補給していないCOVID-19患者の死亡率と症状の関連についてメタ解析を行った。

コロナ再感染、高齢者よりも若年層で増加

 新型コロナウイルス感染症の流行が長期にわたり、再感染者も増えている。再感染は基礎体力が劣り、基礎疾患を持つ人が多い高齢者に多いのではと考えられるが、実際には若年・中年層の増加率が高齢者よりも高いことが明らかになった。米国疾病管理予防センター(CDC)が実施した研究結果は、Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)誌2023年6月23日号に掲載された。  CDCは2021年9月5日~2022年12月31日に、米国の18の管轄区域から報告された18歳以上の成人のCOVID-19全症例、入院、死亡に占める再感染の割合を調査し、5つの期間(デルタおよびオミクロン[BA.1、BA.2、BA.4/BA.5、BQ.1/BQ.1.1]がそれぞれ優勢だった期間)と年齢層別に解析した。

XBB/XBB.1.5、ほかの変異株より再感染リスク高い

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の多様な変異の出現は、ワクチンと感染の両方による集団免疫を回避する能力の向上と関連している。米国・カリフォルニア大学バークレー校のJoseph A. Lewnard氏らの研究によると、現在主流となっているオミクロン株XBB/XBB.1.5系統は、ワクチン由来の免疫と感染由来の免疫とで回避傾向が異なり、同時期に流行しているほかの変異体と比較して、ワクチン接種回数が多い人ほど感染リスクや感染時の入院リスクが低減する一方で、過去に感染既往がある人はXBB/XBB.1.5への感染リスクが高いことが示された。Nature Communications誌2023年6月29日号に掲載の報告。  XBB/XBB.1.5系統は2023年1月下旬までに、ほかの変異体を追い抜き米国内で主流となった。本研究では、南カリフォルニアにおいて2022年12月1日~2023年2月23日の期間に、外来でSARS-CoV-2陽性と判定された3万1,739例のデータを解析した。これらの被験者において、XBB/XBB.1.5に感染した人と、ほかのBA.4/BA.5などに感染した人について、ワクチン接種歴と過去のSARS-CoV-2感染既往、および臨床転帰を比較した。

心肺持久力が大腸がん・肺がん・前立腺がんの発症と死亡リスクに関連

 約18万人のスウェーデン人男性を平均9.6年間追跡調査したコホート研究の結果、心肺持久力(CRF)が高いと大腸がん罹患リスクが低く、また肺がんおよび前立腺がんによる死亡リスクが低いことが示された。この結果から、これらのがんの罹患リスクおよび死亡リスクの低減に、CRFが潜在的に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。スウェーデン・The Swedish School of Sport and Health SciencesのElin Ekblom-Bak氏らが、JAMA Network Open誌2023年6月29日号に報告。  本研究は、スウェーデンにおいて1982年10月~2019年12月に労働衛生健康プロファイル評価を完了した男性を対象とした前向きコホート研究。CRFは最大下サイクルエルゴメーター試験を用いて推定した最大酸素消費量(mL/分/kg)として評価した。また、がんの罹患率および死亡率のデータは全国登録から取得した。ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)はCox比例ハザード回帰を用いて算出した。さらにCRFを4群(非常に低い:25以下、低:25~35、中等度:35~45、高:45超)に層別化し、非常に低い群を基準としてHRと95%CIを算出した。

プラチナ不適NSCLCの1次治療、アテゾリズマブがOS改善(IPSOS)/Lancet

 StageIIIB/IVの非小細胞肺がん(NSCLC)でプラチナダブレット化学療法を受ける患者の1次治療として、アテゾリズマブは単剤化学療法と比較し、全生存期間(OS)を改善し、2年生存率を倍増させ、QOLの維持および良好な安全性プロファイルと関連したことが示された。英国・University College London Hospitals NHS Foundation TrustのSiow Ming Lee氏らが、第III相国際多施設共同非盲検無作為化対照試験「IPSOS試験」の結果を報告した。進行または転移のあるNSCLC患者に対する免疫療法の進展にもかかわらず、主な1次治療試験では、対象患者がECOS PS 0~1で年齢中央値65歳以下に限定されていた。IPSOS試験ではプラチナ製剤を含むレジメン不適の患者が対象とされ、アテゾリズマブの有効性と安全性が検討された。著者は、「今回示されたデータは、プラチナをベースとした化学療法が不適の進行NSCLC患者に対して、アテゾリズマブ単剤療法が潜在的な1次治療の選択肢であることを支持するものである」と述べている。Lancet誌オンライン版2023年7月6日号掲載の報告。

植物由来cytisinicline、禁煙効果を第III相試験で検証/JAMA

 行動支援との併用によるcytisiniclineの6週間および12週間投与は、いずれも禁煙効果と優れた忍容性を示し、ニコチン依存症治療の新たな選択肢となる。米国・ハーバード大学医学大学院のNancy A. Rigotti氏らが米国内17施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「ORCA-2試験」の結果を報告した。cytisinicline(cytisine)は植物由来のアルカロイドで、バレニクリンと同様、ニコチン依存を媒介するα4β2ニコチン性アセチルコリン受容体に選択的に結合する。米国では未承認だが、欧州の一部の国では禁煙補助薬として使用されている。しかし、従来の投与レジメンと治療期間は最適ではない可能性があった。JAMA誌2023年7月11日号掲載の報告。

ウイルス感染時の発熱による重症化抑制、腸内細菌叢が関係か/東大ほか

 これまで、ウイルスに感染した場合に外気温や体温が重症度に及ぼす影響は明らかになっていない。そこで、東京大学医科学研究所の一戸 猛志准教授らの研究グループは、さまざまな温度条件で飼育したマウスに対し、ウイルスを感染させた場合の重症度を解析した。その結果、体温の上昇によりウイルスに対する抵抗性が高まり、血中胆汁酸レベルが上昇した。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の血液についても解析した結果、軽症患者は中等症患者と比較して血中胆汁酸レベルが高かった。これらのことから、発熱により腸内細菌叢が活性化し、2次胆汁酸産生を介してウイルス感染症の重症化が予防されることが示唆された。本研究結果は、Nature Communications誌2023年6月30日号に掲載された。