呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:65

コロナ治療薬モルヌピラビル、早期投与で回復までの期間短縮に期待/MSD

 MSDは10月19日、一般流通を9月16日に開始した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の経口治療薬モルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)について、承認後の最新情報として特定使用成績調査の中間報告などをメディアセミナーにて発表した。調査の結果、添付文書の改訂が必要になるような大きな安全性事象は認められなかったことや、外来患者に使用した際の転帰として死亡はなく、人工呼吸器の使用も低く抑えることができたとして、本剤の有効性が提示された。  同社代表取締役社長のKyle Tattle氏によると、本剤は国内にて2021年12月24日に特例承認を取得し、これまでに60万人以上に使用されたという。本剤は、承認当初は供給量が限られていたため、厚生労働省が所有したうえで、重症化リスクのある患者に、決められた流通網を通して医療機関や薬局に配分が行われていたが、供給量が増加したことで、2022年8月18日に薬価基準収載となり、9月16日には一般流通を開始した。

ワクチン接種後も大気汚染でCOVID-19が重症化

 ワクチン接種済みか否かにかかわらず、大気汚染が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患時の重症化リスクを高める可能性を示すデータが報告された。米カイザーパーマネンテ南カリフォルニア病院のAnny Xiang氏らの研究によるもので、詳細は「American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine」に9月20日掲載された。論文の上席著者であるXiang氏は、「ワクチンによる重症化リスクの抑制は明らかだ。しかしそれでも大気汚染にさらされた人がCOVID-19に罹患した場合の入院リスクは、大気汚染の影響が少ない人よりも高い」と述べている。  Xiang氏らは、カイザーパーマネンテの匿名化された医療データベースと、公開されている大気環境モニタリングデータをリンクさせ、大気汚染とCOVID-19による入院との関連を検討した。デルタ株が主流だった2021年7~8月にCOVID-19と診断された12歳以上の患者は5万10人で、平均年齢は40.9±16.9歳であり、34.0%がワクチン接種を完了し、4.2%は部分的に終了(2回接種が必要なタイプで1回のみ終了)していた。大気汚染への曝露レベルは、COVID-19診断前の1年間および1カ月間のPM2.5、二酸化窒素の平均濃度で評価し、1年間の平均値は「長期曝露」、1カ月間の平均値は「短期曝露」と定義した。

コロナ罹患後症状、120万人のプール解析/JAMA

 2020年および2021年に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染した症候性患者において、Long COVID(新型コロナウイルス感染症[COVID-19]の罹患後症状、いわゆる後遺症)の主要な症状クラスター(身体的痛みや気分変動を伴う持続性疲労、認知に関する問題、持続する呼吸器症状)のいずれかを有する割合は全体で6.2%と推定され、女性および入院を要したSARS-CoV-2初感染者で高いことが、米国・ワシントン大学のSarah Wulf Hanson氏ら世界疾病負担研究(Global Burden of Disease)Long COVID Collaboratorsの解析で明らかとなった。2021年10月、世界保健機関(WHO)は、SARS-CoV-2感染から3ヵ月経過後も認められる、少なくとも2ヵ月以上持続し他の診断では説明がつかない症状として、「post COVID-19 condition」の定義を発表。しばしば「Long COVID」と呼ばれるこれらの症状について、これまでの研究では個々の症状や症状数に関する報告が最も多く、症状の持続期間や重症度、重複症状に関する報告は少なかった。JAMA誌オンライン版2022年10月10日号掲載の報告。

かかりつけ医も知っておきたい、コロナ罹患後症状診療の手引き第2版/厚労省

 厚生労働省は、2022年6月に公開した「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第1.1版)」を改訂し、第2版を10月14日に発表し、全国の自治体や関係機関などに周知を行った。  主な改訂箇所としては、 ・第1章の「3.罹患後症状の特徴」について国内外の最新知見を追加 ・第3~11章の「2.科学的知見」について国内外の最新知見を追加 ・代表的な症状やキーワードの索引、参考文献全般の見直し などが行われた。  同手引きの編集委員会では、「はじめに」で「現在、罹患後症状に悩む患者さんの診療や相談にあたる、かかりつけ医などやその他医療従事者、行政機関の方々に、本書を活用いただき、罹患後症状に悩む患者さんの症状の改善に役立ててほしい」と抱負を述べている。

経口コロナ薬2剤、オミクロン下での有効性/Lancet

 香港では、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)オミクロン株亜系統BA.2.2が流行している時期に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)外来患者へのモルヌピラビルまたはニルマトレルビル+リトナビルの早期投与が、死亡および入院中の疾患進行のリスクを低下したことが、さらにニルマトレルビル+リトナビルは入院リスクも低下したことが、中国・香港大学のCarlos K. H. Wong氏らによる後ろ向き症例対照研究で明らかとなった。SARS-CoV-2オミクロン株に対する経口抗ウイルス薬のリアルワールドでの有効性については、ほとんど示されていなかった。Lancet誌2022年10月8日号掲載の報告。

ブースター接種はオミクロン関連入院に有効/BMJ

 米国では2022年の当初半年間における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンのブースター接種者は、オミクロン変異株関連のCOVID-19の入院について、プライマリシリーズのみ接種者を上回るベネフィットを得ていたことが、米国疾病予防管理センター(CDC)のKatherine Adams氏らによる検査陰性デザイン・ケースコントロール試験の結果、示された。ブースター接種が推奨される中で、オミクロン変異株は2021年12月26日時点でSARS-CoV-2の優勢な変異株となっており、ブースター接種の有効性に関するデータ提示が必要とされていた。BMJ誌2022年10月11日号掲載の報告。

フルオロキノロン系抗菌薬で自殺念慮リスクが増大?/BMJ

 2016年、米国食品医薬品局(FDA)は、フルオロキノロン系抗菌薬の枠囲み警告(boxed warning)の改訂において、自殺念慮のリスク増大との関連を示唆した。米国・ハーバード大学医学大学院のJunyi Wang氏らは、この関連について検討し、フルオロキノロン系抗菌薬の使用は、自殺念慮のリスクを実質的に増加させないことを確認した。研究の成果は、BMJ誌2022年10月4日号で報告された。  研究グループは、フルオロキノロン系抗菌薬の投与開始と、自殺傾向による入院または救急診療部受診との関連の評価を目的に、住民ベースのコホート研究を行った(米国・ブリガム&ウィメンズ病院などの助成を受けた)。

FDA、小児へのモデルナとファイザーのBA.4/5対応2価ワクチンを承認

 米国食品医薬品局(FDA)は10月12日、モデルナおよびファイザーのオミクロン株BA.4/5対応の新型コロナウイルス2価ワクチンについて、緊急使用許可(EUA)を修正し、小児への単回追加接種の対象年齢を拡大したことを発表した。モデルナの2価ワクチンは、これまで18歳以上だったものが6~17歳にも承認され、ファイザーの2価ワクチンは、12歳以上だったものが5~11歳にも承認された。それぞれ初回シリーズから最低2ヵ月の接種間隔を経て接種が許可されている。  今回の小児への2価ワクチン承認拡大に伴い、ファイザーの従来の1価ワクチンは、5~11歳に対する追加接種としての使用ができなくなる。ただし、モデルナおよびファイザーの1価ワクチンは、初回シリーズとして、生後6ヵ月以上を対象とした接種は引き続き承認されている。

小児期に親が喫煙していた男性の子どもは喘息リスクが高い

 子どもの周りでタバコを吸うと、受動喫煙によって子どもの健康を害してしまうことはよく知られている。しかし影響はそれにとどまらず、その子どもが成長後に授かる子ども、つまり、喫煙者の孫にまで害が及ぶ可能性が報告された。そして、受動喫煙しやすい環境で育った子供が成人後に喫煙者となった場合には、その子(孫)への影響はさらに強まるという。メルボルン大学(オーストラリア)のJiacheng Liu氏らの研究によるもので、詳細は「European Respiratory Journal」に9月14日掲載された。  Liu氏らはこの研究のために、タスマニア縦断健康調査(Tasmanian Longitudinal Health Study;TAHS)のデータを使用した。TAHSは、1968年にスタートした世界でも最大規模かつ追跡期間の長い呼吸器関連の疫学研究の一つであり、現在も続けられている。

COVID-19感染リスクを過小/過大評価する人の特徴―高齢日本人での検討

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患するリスクを過小評価しがちな人と、その反対に過大評価しがちな人の特徴が明らかになった。京都大学大学院医学研究科社会疫学分野の竹村優太氏らが、日本人高齢者を対象に行った調査の結果であり、詳細は「SSM - Population Health」9月号に掲載された。  COVID-19対策には適切なリスク評価が重要であり、リスクを過小評価する楽観的認識は、予防対策の軽視による感染リスクの上昇につながりかねない。反対にリスクを過大評価する悲観的認識は、精神的ストレスによる健康上の問題につながりかねない。高齢者はCOVID-19罹患率が高く重症化しやすいため、楽観/悲観的認識に基づく予防対策の差異の影響が、より大きく現れる可能性がある。そこで竹村氏らは、日本人高齢者を対象とする調査を行い、COVID-19罹患リスクを過小/過大評価しやすい人の特徴の把握を試みた。