抗IL-23自己抗体が日和見感染と関連/NEJM

マイコバクテリア感染、細菌感染、真菌感染を有する患者では、抗インターロイキン-23中和抗体の存在が持続性の重症日和見感染と関連しており、その中和作用の強度が感染症の重症度と相関することが、米国国立アレルギー・感染症研究所のAristine Cheng氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2024年3月21・28日号に掲載された。
日和見感染における抗インターロイキン-23の役割を検証
研究グループは、日和見感染において抗インターロイキン-23が役割を担っている可能性を検証する目的で検討を行った(米国国立アレルギー・感染症研究所などの助成を受けた)。抗インターロイキン-12を有する患者コホート(多くが胸腺腫)において、インターロイキン-23に対する自己抗体(抗インターロイキン-23)のスクリーニングを行った。また、別の胸腺腫患者コホートと、胸腺腫も抗インターロイキン-12も持たないまれな感染を有する患者コホートで検査を実施した。
胸腺腫の81%で感染と関連
抗インターロイキン-12を有し、重症のマイコバクテリア感染、細菌感染、真菌感染のいずれかに罹患している30例(発見コホート)のうち、15例(50%)はインターロイキン-23を中和する自己抗体も持っていた。この中和作用の強度は、これらの感染症の重症度と相関した。また、抗インターロイキン-12の中和活性だけでは、感染との関連はなかった。胸腺腫患者91例の検証コホートでは、抗インターロイキン-23は74例(81%)で感染状態と関連していた。
播種性/脳/肺感染の83%で検出
全体として、抗インターロイキン-23中和抗体は、胸腺腫患者116例のうち30例(26%)で検出され、播種性感染、脳感染、肺感染のいずれかの患者36例では30例(83%)で検出された。また、抗インターロイキン-23は、重症細胞内感染を有する患者32例のうち6例(19%)に認め、Cladophialophora bantianaやMycobacterium avium complexなどによるまれな頭蓋内感染に罹患した患者16例のうち2例(12%)で発現していた。
著者は、「抗インターロイキン-23中和抗体の存在は、頭蓋内感染症の独立の、または付加的なリスク因子と考えられる」「抗インターロイキン-17の作用を上回る抗インターロイキン-23自己抗体のより包括的な役割は、炎症性大腸炎におけるインターロイキン-23と-17の遮断による多様な効果の説明に資する可能性がある」としている。
(医学ライター 菅野 守)
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