アレクチニブ1次治療肺がん患者のリアルワールドデータ(ReAlec)/ELCC2024

提供元:ケアネット

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公開日:2024/04/10

 

 アレクチニブの1次治療を受けたALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者の特徴と、後治療のリアルワールドデータが示された。

 ALK陽性進行NSCLCに対するアレクチニブの1次治療は優れた有用性を示す。しかし、アレクチニブ後の治療シークエンスについては十分な知見がない。ReAlec試験はアレクチニブ治療患者の特徴をリアルワールドで確認する後ろ向き多施設コホート観察研究である。欧州肺がん学会(ELCC2024)では、イタリア・サクロ クオーレ カトリック大学のEmilio Bria氏が、アレクチニブの1次治療患者を対象としたReAlec試験コホート1(データカットオフ2023年5月10日)の初回中間解析結果を報告した。

・対象:進行ALK陽性NSCLC
・コホートA:試験登録→アレクチニブ1次治療(256例)
・コホートB:アレクチニブ1次治療→試験登録(489例)
・評価項目
[主要評価項目]治験担当医評価の無増悪生存期間(PFS)およびアレクチニブ1次治療後の治療シークエンス
[副次評価項目]アレクチニブ治療患者の属性・特徴、ALK検査からアレクチニブ治療開始までの時間、後治療選択、全生存期間(OS)、安全性など

 主な結果は以下のとおり。

・患者の年齢中央値は両コホートとも58歳、女性の比率は両コホートとも半数以上であった。
・データカットオフ時点(治療期間中央値:コホートA 8.3ヵ月、コホートB 13.8ヵ月)における、アレクチニブの投与中止はコホートAでは21.9%(256例中56例)、コホートBでは15.3%(489例中75例)であった。
・投与中止の理由は疾患進行が最も多く、コホートAでは56例中41例(73.2%)、コホートBでは75例中65例(86.7%)であった。一方、有害事象によるものはそれぞれ5例と2例で少数であった。
・コホートAの16.8%(256例中43例)、コホートBの13.3%(489例中65例)でアレクチニブ後の治療が行われた。
・後治療薬は分子標的治療薬が最も多く、コホートAでは43例中36例(83.7%)、コホートBでは65例中56例(86.2%)を占めた。
・分子標的治療薬の中でもロルラチニブが最も多かった(コホートA、Bとも分子標的治療薬の7割超がロルラチニブ)。
・アレクチニブの全Gradeの治療関連有害事象(TRAE)はコホートAの35.2%とコホートBの21.7%で発現した。なお、治療中止に至ったTRAEは1.6%と0.6%であった。

(ケアネット 細田 雅之)

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