呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:69

PD-L1高発現の進行NSCLCに対する1次治療として、3年間にわたり抗PD-1抗体cemiplimabが有効(EMPOWER-Lung1試験)/ESMO2022

 PD-L1発現50%以上の進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対する抗PD-1抗体cemiplimabの1次治療は、3年間の追跡期間においてもプラチナダブレットと比べ、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)を有意な改善を示した。トルコ・Istanbul University-CerrahpasaのMustafa Ozguroglu氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2022)で報告した。

1・2回目ファイザーワクチンなら、3回目はモデルナで感染予防効果増/東大

 ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンによる1次接種(1回目および2回目接種)完了者が、3回目のブースター接種としてファイザー製ワクチンを接種するよりも、モデルナ製ワクチンを接種するほうがその後の新型コロナウイルス感染率が低いことを、東京大学大学院医学系研究科の大野 幸子氏らが発表した。これまで1次接種とブースター接種のワクチンの組み合わせによって効果が異なる可能性が示唆されていたが、実際の感染予防効果の差は明確ではなかった。Clinical Infectious Diseases誌オンライン版2022年9月18日号掲載の報告。

ステロイド薬の使用で脳の構造が変化する可能性

 長期間にわたるステロイド薬の使用によって、脳の一部の領域が縮小あるいは拡大するなど、脳の構造が変化する可能性があることが、ライデン大学医療センター(オランダ)のMerel van der Meulen氏らの研究で示された。研究結果は、「BMJ Open」に8月30日発表された。  ステロイド薬とは、副腎で作られる副腎皮質ホルモンの一つを化学的に合成したものである。ステロイド薬の成分であるグルココルチコイドには、抗炎症作用、免疫抑制作用、血管収縮作用などがあるため、さまざまな疾患の治療に用いられている。  今回の研究は、英国の大規模バイオバンク研究であるUKバイオバンクの一環で収集されたMRIのデータを用いたもの。UKバイオバンクでは、英国の50万人以上の住民を対象に遺伝情報と健康に関する情報を定期的に収集している。Van der Meulen氏らは、点滴または錠剤によりステロイド薬の全身投与を受けていた222人と、喘息や肺の疾患の治療のために吸入ステロイド薬を使用していた557人の脳画像データを、ステロイド薬が処方されていなかった対照2万4,106人の脳画像データと比較した。

医師のがん検診受診状況は?/1,000人アンケート

 定番ものから自費で受ける最先端のものまで、検査の選択肢が多様化しているがん検診。CareNet.comが行った『がん検診、医師はどの検査を受けている?/医師1,000人アンケート』では、40~60代の会員医師1,000人を対象に、男女別、年代別にがん検診の受診状況や、検査に関する意見を聞いた。その結果、主ながん種別に受ける割合の多い検査が明らかとなったほか、今後受けたい検査、がん検診に感じる負担など、さまざまな角度から意見が寄せられた(2022年8月26~31日実施)。

ソトラシブ、KRAS G12C変異陽性NSCLCのPFSを有意に延長(CodeBreaK-200)/ESMO2022

 KRAS G12C変異陽性の既治療の進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対して、ソトラシブがドセタキセルよりも有意に無増悪生存期間(PFS)を延長することが、米国・Sarah Cannon Research InstituteのMelissa L. Johnson氏から、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2022)で発表された。  ソトラシブの有効性は単群試験のCodeBreaK100で示されていたが、今回発表されたのは、日本も参加した国際共同無作為化比較第III相試験CodeBreaK 200試験の主解析の結果である。

NSCLC術後補助療法 ペメトレキセド+シスプラチンはビノレルビン+シスプラチンと同様のOS(JIPANG)/ESMO2022

 完全切除を受けた非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対する術後化学療法として、ペメトレキセド+シスプラチン療法とビノレルビン+シスプラチン療法の無再発生存期間(RFS)と全生存期間(OS)に関する最終結果を、国立がん研究センター東病院の葉清隆氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2022)で発表した。  これは日本で実施された第III相試験であるJIPANG試験の最終解析報告であり、すでにRFSと忍容性については報告がなされている。

日本でのコロナ死亡例の分析結果/COVID-19対策アドバイザリーボード

 第98回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードが、9月7日に開催された。その中で大曲 貴夫氏(国立国際医療研究センター 国際感染症センター/COVIREGI解析チーム)らのチームが、「COVID-19レジストリに基づく死亡症例の分析」を報告した。  レジストリ研究は、わが国におけるCOVID-19患者の臨床像および疫学的動向を明らかにすることを目的に、2020年1月から行われている。COVID-19と診断され、医療機関において入院管理されている症例を対象に(8月22日時点で登録症例数は7万920症例)、COVID-19の臨床像・経過・予後、重症化危険因子の探索、薬剤投与症例の経過と安全性について解析、検討が行われている。

喫煙者が朝にタバコと一緒にコーヒーを飲みたがる理由とは?

 喫煙者は、朝起きたときにニコチンの重度の離脱症状に苦しめられると、タバコと一緒にコーヒーを飲みたがることがある。その理由を科学的に証明する研究結果が報告された。同研究では、焙煎したコーヒー豆に含まれる2種類の化合物が、脳内の特定のニコチン受容体に直接影響を及ぼして、ニコチンに対する渇望を緩和する可能性のあることが示された。米フロリダ大学医学部薬理学分野教授のRoger Papke氏らによるこの研究結果は、「Neuropharmacology」9月15日号に発表された。

20歳未満のコロナ死亡例、基礎疾患やワクチン接種状況は?/国立感染症研究所

 国立感染症研究所は9月14日、新型コロナウイルス感染後の20歳未満の死亡例に関する積極的疫学調査(第一報)の結果を発表した。オミクロン株の感染拡大に伴い、小児の感染者数が増加し、重症例や死亡例発生も報告されている。厚生労働省および同研究所は、日本小児科学会、日本集中治療医学会、日本救急医学会とともに、急性期以降の死亡例も含めて、積極的疫学調査を実施した。その結果、基礎疾患の有無がほぼ同数であり、ワクチン接種対象年齢でも87%が未接種で、発症から死亡まで1週間未満が73%(中央値4日)を占めていることなどが明らかになった。  本結果は、2022年1月1日~8月31日に報告された小児等の死亡例に関する暫定的な報告となる。調査対象となったのは、急性期の死亡例、加えて、死因を新型コロナとは別原因とした症例で、発症からの日数は問わないとする急性期以降に死亡した症例の計41例。そのうち32例について8月31日までに実地調査を行うことができ、明らかな内因性死亡と考えられたのは29例であった。調査項目は、年齢、性別、基礎疾患、新型コロナワクチン接種歴、発症日、死亡日、症状/所見、死亡に至る経緯等となっている。小児の死亡例は、2022年1月から継続的に発生し、疫学週28週目(7月11~17日)から増加していた。