呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:4

喫煙による咽頭がんリスク、非喫煙者の9倍に

 飲酒、喫煙ががん罹患リスクと関連するとの報告は多いが、頭頸部がんと飲酒、喫煙、食習慣との関連をみた研究結果が発表された。米国・ワシントン大学のDaniel P. Lander氏らによる本研究の結果は、JAMA Otolaryngology誌オンライン版2024年2月8日号に掲載された。  本研究は、前立腺がん、肺がん、大腸がんおよび卵巣がん検診に関する臨床試験参加者のコホート解析だった。参加者は55~74歳、1993年11月~2001年7月に全米10施設で募集された。頭頸部がんを発症した参加者は、喫煙、飲酒、食習慣解析のため、人口統計学および頭頸部がん家族歴に加え、喫煙状況および喫煙期間に基づいて対照群とマッチングされた。

電子タバコは本来の目的を逸脱せず禁煙目的に限定して代替タバコ(禁煙補助剤)として使用、盲目的に長期使用するのは時期尚早で危険!―(解説:島田俊夫氏)

広義の電子タバコは、加熱式タバコと狭義の電子タバコの総称です。わが国の特徴は加熱式タバコ使用者が多い。“電子タバコ”は元来タバコがやめられない、いわゆる紙巻きタバコ中毒患者用の代替タバコ(禁煙補助剤)として開発。その本来の目的を逸脱して使用する傾向に、懸念を抱かざるを得ません。タバコメーカーの広告情報から毒性が低いと信じ込んでいる喫煙者が、電子タバコを文字どおり安全だと疑うこともなく飛びつくのは危険です。目下のところ、毒性を含む安全性確認のためのエビデンスが乏しいと考えるのが妥当ではないでしょうか。

がん治療中のその輸液、本当に必要ですか?/日本臨床腫瘍学会

 がん患者、とくに終末期の患者において最適な輸液量はどの程度なのか? 第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)で企画されたシンポジウム「その治療、やり過ぎじゃないですか?」の中で、猪狩 智生氏(東北大学大学院医学系研究科緩和医療学分野)が、終末期がん患者における輸液の適切な用い方について、ガイドラインでの推奨や近年のエビデンスを交え講演した。  猪狩氏はまず実際の症例として、70代の膵頭部がん(StageIV)患者の事例を紹介した:1次治療(GEM+nab-PTX)後にSDとなったものの、8ヵ月後に腹痛、吐き気で緊急入院し、がん性腹膜炎、麻痺性イレウスと診断。中心静脈確保、絶食補液管理(1日2,000mL)となり、腹痛に対しオピオイドを開始したものの症状コントロール困難となった。

EGFR変異陽性NSCLCの1次治療、治験不適格患者へのオシメルチニブの効果は?

 オシメルチニブはFLAURA試験(未治療のEGFR遺伝子変異陽性の進行・転移非小細胞肺がん[NSCLC]患者を対象に、オシメルチニブと他のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬を比較した試験)の結果1)に基づき、EGFR遺伝子変異陽性の進行・転移NSCLC患者の1次治療に広く用いられている。実臨床においては、臨床試験への登録が不適格となる患者にも用いられるが、その集団における治療成績は明らかになっていない。そこで、カナダ・BC Cancer AgencyのJ. Connor Wells氏らがリアルワールドデータを用いて解析した結果、半数超の患者がFLAURA試験への登録が不適格であり、不適格の患者は適格の患者と比較して大幅に全生存期間(OS)が短かったことが示された。本研究結果は、Lung Cancer誌オンライン版2024年3月4日号で報告された。

医学生に腫瘍内科の魅力を!学会が教育プログラムを作成/日本臨床腫瘍学会

 国内における医師の診療科の偏在は長らく問題となっている。平均勤務時間が長い、訴訟リスクが高いなどの理由から、外科・産婦人科などが医学生・若手医師から敬遠されて減少傾向となり、その反面、形成外科・放射線科などが増加傾向にある。  腫瘍内科をはじめとするがん関連の診療科も、学生時代に接点が少ない、専門性やキャリアの描き方が見えづらいなどの理由から、入局者数、専門医数、学会会員数などの伸びに課題を抱えている。こうした状況を背景として、日本臨床腫瘍学会(JSMO)の教育企画部会は、全国の大学向けに腫瘍学の教育プログラムを提供するプロジェクトをスタートした。

新型コロナ公費支援、3月末で終了を発表/厚労省

 厚生労働省は3月5日付の事務連絡にて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の医療提供体制および公費支援について、予定どおり2024年3月末をもって終了し、4月以降は通常の医療体制とすることを発表した。新型コロナの医療提供体制については、2023年5月8日に5類感染症変更に当たり特例措置が見直され、同年10月に公費支援を縮小し、2024年3月末までが「移行期間」であった。4月以降、医療機関への病床確保料や、患者のコロナ治療薬の薬剤費および入院医療費の自己負担に係る支援、高齢者施設への補助などが打ち切りとなる。無料で行われてきた新型コロナワクチンの特例臨時接種も予定どおり3月末で終了する。新型コロナの特例的な財政支援の終了について記載された資料も公開された。

市中誤嚥性肺炎、嫌気性菌カバーは必要?

 誤嚥性肺炎の治療において、本邦では嫌気性菌カバーのためスルバクタム・アンピシリン(SBT/ABPC)などが用いられることがある。しかし、海外では誤嚥性肺炎の0.5%にしか嫌気性菌が認められなかったという報告もあり、米国胸部学会/米国感染症学会(ATS/IDSA)の市中肺炎ガイドライン2019では、嫌気性菌カバーは必須ではないことが記載された。また、2023年に実施されたシステマティックレビューにおいて、嫌気性菌カバーの有無により、誤嚥性肺炎患者に転帰の差はみられなかったことも報告されている。しかし、本レビューに含まれた論文は3本のみであり、サンプルサイズも小さく、結論を導くためには大規模研究が必要である。そこで、カナダ・クイーンズ大学のAnthony D. Bai氏らは、約4千例の市中誤嚥性肺炎患者を対象とした多施設後ろ向きコホート研究を実施した。その結果、嫌気性菌カバーは院内死亡リスクを低下させず、C. difficile大腸炎リスクを上昇させた。本研究結果は、Chest誌オンライン版2月20日号で報告された。

薬不足をリアルに感じている患者は2割/アイスタット

 近年では、都市部で24時間営業の薬局が出現したり、インターネットで市販薬が購入できたりと市販薬購入のハードルはさらに下がってきた。また、不急ではない病気やけがでは、医療機関に頼らず市販薬で様子をみるという人も多いのではないだろうか。  こうした「薬をもらうなら病医院へ」の常識が変わりつつある今、薬不足、オーバードーズなど薬に関する深刻な問題も顕在する。また、一般人のジェネリック医薬品(後発品)の服用状況や飲み切らなかった処方箋薬の扱いなどの実態を知るためにアイスタットは、薬に関するアンケート調査を2016年5月の第1回に続き、今回実施した。

B7-H3標的ADCのI-DXd、固形がんへの有効性・安全性は?/日本臨床腫瘍学会

 既治療の進行・転移固形がん患者を対象として、抗B7-H3(CD276)抗体薬物複合体ifinatamab deruxtecan(I-DXd;DS-7300)の有用性が検討されている。第I/II相試験(DS7300-A-J101)の小細胞肺がん(SCLC)、食道扁平上皮がん(ESCC)、去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)、扁平上皮非小細胞肺がん(sqNSCLC)における最新結果が、第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)において、土井 俊彦氏(国立がん研究センター 先端医療開発センター長)により報告された。  B7-H3は免疫関連分子であり、多くの固形がんで発現が認められるが、正常組織では発現しないか非常に低発現であると報告されている。また、B7-H3が高発現であると、予後が不良であることも報告されている1,2)。I-DXdは、国内で製造販売承認を取得しているトラスツズマブ デルクステカン(商品名:エンハーツ)と同じリンカーとペイロードを用いた製剤である。