呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:182

循環器疾患合併COVID-19入院患者の予後規定因子を検討/日本循環器学会

 循環器疾患およびリスク因子を合併している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者の臨床的背景や転帰を明らかにすることを目的としたレジストリ研究「CLAVIS-COVID」の結果の一部について、第85回日本循環器学会学術集会(2021年3月26日~28日)で松本 新吾氏(東邦大学医療センター大森病院)が発表した。循環器疾患やリスク因子の合併の有無にかかわらず、年齢の上昇に伴い死亡率が増加していることから、年齢が独立した非常に強い予後規定因子であることが示唆された。

mRNAワクチン、2回目接種から1週間で新規感染率0.05%/NEJM

 新型コロナワクチンの接種が進む米国において、先行して接種を受けた医療関係者によるワクチンの有効性についてのデータが発表された。NEJM誌オンライン版2021年3月23日号CORRESPONDENCEの報告。  カリフォルニア大学(サンディエゴ校とロサンゼルス校)では、2020年12月16日からPfizerもしくはModernaのmRNAワクチン接種が開始された。両校は12月から有症状者に加え、無症状者に対しても週次の鼻咽頭スワブによるPCR検査を義務付けもしくは選択できるようにしており、これによってワクチン接種後の無症状感染者の検出が増加した。データは両校の従業員健康記録システムから匿名化されて取得された。

ICU入室COVID-19へのエノキサパリン、中等量vs.標準量/JAMA

 集中治療室(ICU)に入室した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者に対し、予防的抗凝固療法としてエノキサパリンの中等量(1mg/kg/日、クレアチニン・クリアランス値により調整)の投与は同標準量(40mg/日)の投与と比べ、30日以内静脈または動脈血栓症・体外式膜型人工肺(ECMO)の使用・死亡の複合アウトカムについて、有意差は認められなかった。イラン・Iran University of Medical SciencesのParham Sadeghipour氏ら「INSPIRATION無作為化試験」研究グループが約600例の患者を対象に行った試験結果を報告した。COVID-19重症患者において、血栓性イベントの報告頻度は高い。抗血栓予防療法の強度を高めることに関するデータは限定的であり、今回の検討が行われた。研究グループは、「結果は、ICU入室COVID-19患者に対して非選択的に中等量の予防的抗凝固療法をルーチン投与することを支持しないものであった」とまとめている。JAMA誌オンライン版2021年3月18日号掲載の報告。

コロナ流行下で小児のライノウイルス感染リスクが2倍超

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行が1年以上続き、マスクや手洗いなどのコロナ感染予防はいまや一般常識レベルに浸透している。この対策はCOVID-19のみならず、あらゆる感染症予防に有用と考えられる。東京大学の河岡 義裕氏(医科学研究所感染・免疫部門ウイルス感染分野教授)は、共同研究グループと共にCOVID-19流行下の呼吸器感染症ウイルス検出状況を調査したところ、全年齢層においてインフルエンザをはじめとする代表的な呼吸器感染症ウイルスの検出率は低下していた一方、10歳未満の小児では、風邪を引き起こすライノウイルスの検出率が著しく上昇していたことを発見した。研究結果は、Influenza and Other Respiratory Viruses誌オンライン版2021年3月15日号に掲載された。

新型コロナ、高齢者は再感染しやすい可能性/Lancet

 デンマークでは2020年2月~12月の期間に、毎週平均で国民の約10%がPCR検査を受けており、全体の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染後の再感染防御率は80%を超えたものの、65歳以上では50%未満と低く、これら高齢の既感染者へのワクチン接種が重要であることが、同国Statens Serum InstitutのChristian Holm Hansen氏らの調査で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2021年3月17日号に掲載された。SARS-CoV-2への感染が、その後の再感染をどの程度まで防御するかはよくわかっていない。2020年、デンマークでは、大規模な無料PCR検査戦略の一環として、約400万人(人口の69%)が1,060万件の検査を受けたという。

国内の新型コロナ変異株、9割超が英国株/厚労省

 厚生労働省は、3月23日時点で確認された国内の新型コロナウイルスの変異株の累計感染者数は549例で、空港検疫で報告された100例を合わせて649例に上ると発表した。前週から164例の増加となる。緊急事態宣言が全都道府県で解除され、日々の新型コロナ感染者数および重症者数は早くも増加傾向を示している。来月から新年度がスタートし、さらに人の動きが活発化することは必至で、感染動向を注視する必要がある。  厚労省によると、国内で確認された変異株549例は、26都道府県から報告されたもの。このうち最も確認数が多かったのは兵庫県161例(前週比で+67)で、大阪府105例(+33)、埼玉県58例(+1)、新潟県32例(±0)、神奈川県30例(+2)などが続く。

レンバチニブ、胸腺がんに国内承認/エーザイ・MSD

 エーザイとMSDは、2021年3月23日、エーザイ創製のマルチキナーゼ阻害薬レンバチニブ(商品名:レンビマ)について、「切除不能な胸腺癌」の効能効果追加の承認を取得した。同剤は、日本における「切除不能な胸腺癌」に対する初めての承認薬剤となる。  この承認は、国立がん研究センター中央病院を含む国内8施設で実施された非盲検単群多施設共同の医師主導治験(臨床第II相試験、REMORA試験)の結果に基づくもの。本試験では、少なくとも1レジメン以上のプラチナ製剤による前治療歴のある胸腺がん患者42例が登録され、レンバチニブ単剤の有効性・安全性が評価された。

新型コロナ学級内クラスターの発生はわずか、スイス/BMJ

 2020年8月から再開されたスイスの初等~中等学校では、いくつかの予防措置が講じられたことで、地域社会の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の伝播が中等度~高度で全体的な血清有病率が上昇した時期にあっても、血清陽性の子供の小規模感染者集団が発生した学級はごくわずかであったことが、同国・チューリヒ大学のAgne Ulyte氏らの調査で明らかとなった。研究の詳細は、BMJ誌2021年3月17日号に掲載された。SARS-CoV-2感染症の伝播における児童生徒の役割には議論の余地があるが、現に学校での感染爆発は起きており、子供の血清有病率は成人と同程度の可能性がある。児童生徒におけるSARS-CoV-2感染の伝播とその影響を理解することは、適切な緩和策の実施のために重要とされる。

TRK阻害薬ラロトレクチニブ、NTRK陽性固形がんに国内承認/バイエル

 バイエル薬品は、2021年3月23日、神経栄養因子チロシンキナーゼ受容体(NTRK)融合遺伝子陽性の進行・再発固形がん治療薬として、ラロトレクチニブ(商品名:ヴァイトラックビ)の製造販売承認を取得した。  ラロトレクチニブは、NTRK遺伝子融合陽性の進行・再発の固形がんの治療に特化した経口トロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)阻害薬として開発され、TRK融合を有する成人および小児固形がん患者に対し、高い奏効割合と持続的な奏効を示し、TRK融合を有する中枢神経系原発腫瘍に対して高い病勢コントロール率を示している。