リハビリテーション科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

脳卒中後の集中的なリハビリには最適なタイミングがある

 脳卒中の発症後に手や腕の機能を取り戻すためのリハビリテーション(以下、リハビリ)を集中的に行うのに最適な時期は、発症から60〜90日後であるとする第2相ランダム化比較試験の結果が報告された。この研究では、発症から30日未満で行うリハビリにも多少のベネフィットはあるが、6カ月以上を経た後では遅すぎる可能性があることも判明したという。米ジョージタウン大学メディカルセンター、リハビリテーション医学・神経学分野のElissa Newport氏らによるこの研究の詳細は、「PNAS」9月28日号に掲載された。  米国では、毎年75万人が脳卒中を発症する。脳卒中患者のほぼ3分の2では、手と腕の機能が完全に回復せず、日常生活動作が大きく制限される可能性があるという。

ポンぺ病の新治療薬が製造販売承認を取得/サノフィ

 サノフィ株式会社は、2021年9月27日にポンペ病の効能または効果でアバルグルコシダーゼアルファ(商品名:ネクスビアザイム点滴静注用100mg)が製造販売承認を取得したと発表した。同社では、ポンペ病(糖原病II型)において、乳児型ポンペ病および遅発型ポンペ病の新たな標準治療となる可能性に期待を寄せている。  ポンペ病は、ライソゾーム酵素の1つである酸性α-グルコシダーゼ(GAA)の遺伝子の異常によりGAA活性の低下または欠損が原因で生じる疾患で、複合多糖(グリコーゲン)が全身の筋肉内に蓄積する。このグリコーゲンの蓄積が、不可逆的な筋損傷を引き起こし、肺を支える横隔膜などの呼吸筋や、運動機能に必要な骨格筋に影響を及ぼすことで運動機能や呼吸機能の低下をもたらす希少疾患。世界でのポンペ病の患者数は5万人と推定され、乳児期から成人後期のいずれの時期においても発症する可能性がある。

サルコペニア予防に筋トレ+必須アミノ酸+茶カテキンを

 高齢者のサルコペニアの予防に筋力トレーニングが推奨されているが、必須アミノ酸と茶カテキンの摂取を追加すると、より大きなメリットを得られる可能性を示唆するデータが報告された。骨格筋量の増大に加えてバランス力も向上できる可能性が示唆されたという。徳島大学先端酵素学研究所の森博康氏らの研究によるもので、詳細は「Asia Pacific Journal of Clinical Nutrition」6月号に掲載された。  加齢や疾患などで筋肉量減少や筋力低下が生じる「サルコペニア」は、要介護状態につながりやすく、効果的な予防・改善策の模索が続けられている。これまでのところ、筋力トレーニングに一定の効果があることが示されているが、栄養介入の有効性を示すエビデンスは十分でない。

日本人の社会経済的状況と身体不活動との関連―NIPPON DATA2010

 就労の有無や学歴、収入などから把握される社会経済的状況と、身体不活動との関連が明らかになった。同志社大学大学院スポーツ健康科学研究科の柳田昌彦氏らが、国内の大規模疫学研究「NIPPON DATA2010」のデータを解析した結果であり、詳細は「PLOS ONE」に7月15日掲載された。  近年、社会経済的状況と健康リスクとの関連が注目されるようになり、リスク因子の一つである身体活動・運動不足についても社会経済的状況との関連を示す複数の研究結果が海外から報告されている。ただし日本人対象の研究は少なく、また結果に一貫性が見られない。結果に一貫性がない理由として、研究対象の属性に偏りがあり、悉皆性に欠けていることが一因と考えられる。

脊髄性筋萎縮症で初の経口治療薬エブリスディ発売/中外製薬

 中外製薬株式会社は、8月12日に乳幼児では最も頻度の高い致死的な遺伝性疾患である脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療薬であるリスジプラム(商品名:エブリスディ)のドライシロップ60mgの販売を開始した。本製品はSMAで初の経口の治療薬であり、患者・患児の治療での利便性の向上が期待される。  SMAは、脊髄の運動神経細胞の変性により筋萎縮や筋力低下を示す遺伝性の神経筋疾患。乳幼児では最も頻度の高い致死的な遺伝性疾患で、乳児期から小児期に発症するSMAの患者数は10万人あたり1~2人とされる。SMAの原因遺伝子はSMN遺伝子で、SMN1遺伝子の機能不全に加え、SMN2遺伝子のみでは十分量の機能性のSMNタンパクが産生されないため発症する疾患。

マスクを着けてのトレーニングは不快でも安全

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大防止のため、ジムでのトレーニング中もマスク着用が求められる状態が続いている。マスクを着用しながらトレーニングを行うことで、呼吸機能や心臓への負担が増すのではないかと不安になる人もいることだろう。しかし、健康な人であれば、その心配はほとんど無用であることを示すデータが報告された。米クリーブランド・クリニックのMatthew Kampert氏らの研究によるもので、結果が「JAMA Network Open」に6月30日、レターとして掲載された。

終末期の運動機能の低下は死亡と関連するか/BMJ

 高齢期初期の運動機能は死亡と強い関連があり、終末期の運動機能の減退は、全般的な運動機能の指標(椅子立ち上がり時間、SF-36の身体的側面のQOL要約スコア)では早期(それぞれ死亡の10年前と7年前)に、基本的/手段的日常生活動作(ADL)の制限では後期(死亡の4年前)に出現することが、フランス・パリ大学のBenjamin Landre氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2021年8月4日号に掲載された。  研究グループは、運動機能に関する複数の客観的または患者の自己申告による指標と死亡との関連の評価を目的に、前向きコホート研究を行った(米国国立老化研究所などの助成による)。

身体活動量の増加が植込み型除細動器装着患者の予後を改善

 植込み型除細動器(ICD)を装着している65歳以上の心不全患者では、日々の身体活動量をわずかに増やすだけで、死亡や入院のリスクを有意に低減できる可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。米Inova Heart and Vascular InstituteのBrett Atwater氏らによるこの研究結果は、「Circulation: Cardiovascular Quality and Outcomes」に7月21日掲載された。  ICDは、左側胸部の皮下に植え込むバッテリー式のデバイスで、命に関わる重症の不整脈を検出して、電気ショックにより治療する。ICD装着後の患者には、安全な環境で身体活動量を増やす心臓リハビリテーションプログラム(以下、リハビリプログラム)が勧められる。Atwater氏によると、こうしたリハビリプログラムにより、患者の再入院や死亡のリスクが低下することが、過去の研究で報告されているという。しかし、このようなリハビリプログラムは、特に女性、高齢者、さまざまな人種/民族や地方在住の人々の間であまり活用されていないのが現状だ。その理由には、医療提供者がリハビリプログラムを処方し損なっていることや、所要時間、交通手段、費用などを理由に患者がリハビリプログラム受講に消極的であることなどが組み合わさっているという。

HFrEFの質改善プログラムの介入効果、通常ケアと差なし/JAMA

 症状を有する左室駆出率40%以下の心不全(HFrEF)で入院した患者において、院内および退院後のさまざまな質の改善を目的とした介入を行っても、通常ケアと比較して、初発の心不全再入院または全死因死亡までの期間、ならびに複合心不全ケアの質スコアの変化に有意差は認められなかった。米国・デューク大学医学部のAdam D. DeVore氏らが5,746例を対象に行ったクラスター無作為化試験の結果、示された。心不全患者に対するガイドラインに基づく治療の採択にはばらつきがあり、ガイドラインに基づく治療を改善する介入は、目標とする評価基準を一貫して達成できておらず、心不全のケアの質を改善するための取り組みに役立つデータは限られていた。JAMA誌2021年7月27日号掲載の報告。

26歳で脳卒中を経験したアスリートの再始動―AHAニュース

 米国ニュージャージー州で海難救助に携わっていたJesse Sheaさんはその日、仕事が済んだら友人とサッカーの試合を観戦しに行くことを家族の伝言板に書き込んだ後、やや調子の悪さを感じながらも車で海岸そばの職場に向かった。26歳の彼は、精神的にも肉体的にも充実した生活を送っていた。大学ではサッカー選手として活躍し、卒業後も地元のジムで毎日トレーニングを欠かさず、さらに栄養学士でもある彼は食事にも配慮していた。  職場に着き、防水オーバーオールに着替えようとしたが、いつもよりも手間取った。それでも何とか着替え終わり、救助活動のためのタグボートまで歩みを進めたものの、そこで何をすべきか分からなくなった。不審に思った同僚が、「いったいどうしたんだ」と叫んだが、Sheaさんはどのように答えればよいか分からなかった。