リハビリテーション科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

高齢者の転倒・骨折予防、スクリーニング+介入は有効か/NEJM

 高齢者の転倒による骨折の予防において、郵送での情報提供に加え、転倒リスクのスクリーニングで対象を高リスク集団に限定した運動介入または多因子介入を行うアプローチは、郵送による情報提供のみと比較して骨折を減少させないことが、英国・エクセター大学のSarah E. Lamb氏らが行った無作為化試験「Prevention of Fall Injury Trial」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2020年11月5日号で報告された。高齢者における転倒の発生は、地域スクリーニングとその結果を考慮した予防戦略によって抑制される可能性があるが、英国ではこれらの対策が骨折の発生、医療資源の活用、健康関連QOLに及ぼす効果は知られていないという。

高齢者の転倒をダンスで予防

 ダンスを楽しむことが高齢者の転倒予防につながるかもしれない。その可能性を示す論文が、「JAMA Network Open」9月25日オンライン版に発表された。チューリッヒ大学(スイス)のMichele Mattle氏らが行ったシステマティックレビューとメタ解析の結果であり、ダンスなどの身体活動と転倒リスクの低下に有意な関連が認められたという。  高齢化が進行している先進国では、高齢者の転倒と骨折が増加している。65歳以上の地域住民の約3割が年に1回転倒し、80歳以上ではその割合が約5割に上るとの報告もある。また転倒を起こした場合、その5~7%が骨折を来すという。Mattle氏らは今回の研究で、頭を使いながら行う「ダンスベースの運動」(dance-based mind-motor activities)に着目し、そのような運動に転倒予防効果があるか否かを、これまでの報告を統合して解析した。

坐骨神経痛に早期の理学療法が有効か

 坐骨神経痛と背部痛のある患者には、早期の理学療法開始が良い結果につながる可能性のあることを示唆する臨床試験の結果が明らかになった。米ユタ大学College of HealthのJulie Fritz氏らによるこの研究結果は、「Annals of Internal Medicine」10月6日オンライン版に掲載された。  坐骨神経痛とは、腰背部から臀部、左右の脚の裏側へと続く坐骨神経に沿って痛みが生じる症状で、椎間板ヘルニアなどで坐骨神経が圧迫されて発症することが多い。一般的に、坐骨神経痛の患者は安静にする必要はなく、むしろ普段の活動を維持すべきとされている。その一方で、坐骨神経痛の症状に特化した運動を行うべきとする考え方もある。そこで、Fritz氏らは、坐骨神経痛の診断後、早い段階での理学療法の開始により、回復が早まるかどうかを調べるための臨床試験を実施した。

膝関節の痛みにウコンが有効か

 カレーに使われるスパイスであるターメリック(ウコン)が、膝関節の痛みを和らげてくれるかもしれない。タスマニア大学メンジーズ医学研究所(オーストラリア)のBenny Antony氏らが実施した臨床試験で、ウコン抽出物に変形性膝関節症の痛みを軽減する効果のあることが示された。研究結果の詳細は、「Annals of Internal Medicine」9月15日オンライン版に掲載された。  関節炎はごくありふれた疾患の一つで、米疾病対策センター(CDC)によると、米国には3250万人以上の患者が存在する。関節炎の中でも多いのが、変形性膝関節症である。変形性膝関節症では、膝関節でクッションとして働いている関節軟骨が加齢に伴いすり減ることで、痛みやこわばりが生じたり、関節可動域が狭まったりする。

五十肩の手術治療、理学療法に対する優越性示せず/Lancet

 凍結肩(frozen shoulder[五十肩]=adhesive capsulitis[癒着性関節包炎])の治療において、麻酔下肩関節授動術(manipulation under anaesthesia:MUA)、鏡視下関節包切離術(arthroscopic capsular release:ACR)および早期構造化理学療法(early structured physiotherapy:ESP)はいずれも、1年後の患者報告による肩の痛みや機能を大きく改善するが、これら3つの治療法に、臨床的に明確な優越性を示す差はないことが、英国・ヨーク大学のAmar Rangan氏らが実施した「UK FROST試験」で明らかとなった。研究の詳細は、Lancet誌2020年10月3日号に掲載された。MUAおよびACRによる外科的介入は、高価で侵襲的な治療であるが、その実臨床における効果は明確でないという。また、ESPは、英国のガイドラインの推奨や肩専門理学療法士によるエビデンスに基づいて、本研究のために開発された関節内ステロイド注射を含む非外科的介入で、外科的介入よりも迅速に施行可能であることからこの名で呼ばれる。

ロコモに新しくロコモ度3を設定/日本整形外科学会

 日本整形外科学会(理事長:松本 守雄氏[慶應義塾大学医学部整形外科学教室 教授])は、ロコモティブシンドローム(ロコモ)の段階を判定するための臨床判断値に新たに「ロコモ度3」を設定したことを公表し、記者説明会を開催した。  「ロコモティブシンドローム」とは運動器の障害のため、移動機能が低下した状態を指す。運動器の障害は高齢者が要介護になる原因の1位であり、40代以上の日本人の4,590万人が該当するという。ロコモが重症化すると要介護状態となるが、その過程で運動器が原因の「身体的フレイル」を経ることがわかり、「身体的フレイル」に相当するロコモのレベルを知り、対策をとることが重要となっている。 整形外科学会では全年代におけるロコモ判定を目的として2013年に「ロコモ度テスト」を発表、2015年にロコモ度テストに「ロコモ度1」「ロコモ度2」からなる「臨床判断値」を制定した。その後、ロコモがどの程度進行すれば投薬や手術などの医療が必要となり、医療によってロコモがどのように改善するかの検証を行ってきた。そして、ロコモとフレイルの関係性を研究した成果をもとに、新しい臨床判断値として今回「ロコモ度3」を制定した。

温泉療法・水中運動で痛みが改善する

 温泉などの入浴や、さらにそれに運動などを組み合わせた治療法(spa therapy)によって慢性疾患による痛みが軽減し、生活の質(QOL)が改善することが、国内外のランダム化比較試験のシステマティックレビュー(メタ解析を含む)の結果から確認された。東京農業大学大学院農学研究科環境共生学専攻の上岡洋晴氏らによる論文が、「International Journal of General Medicine」7月22日オンライン版に掲載された。  温泉浴や水道水を用いた一般的な入浴を活用した統合医療は、多くの国で行われており、その効果を検証するランダム化比較試験が多数報告されている。それらを対象としたシステマティックレビューも報告されているが、さらにそれらに基づき全体としてはどうなのか、ということをオーバービュー(総括)した研究はほとんど実施されておらず、上岡氏らはその最新の取りまとめを行った。

膝への負担の大きい職業は何?

 変形性膝関節症のリスクを上昇させる具体的な職業が、システマティックレビューとメタ解析の結果から明らかになった。建設関連業や農業などに従事する人は、変形性膝関節症のリスクが明らかに高いという。シドニー大学(オーストラリア)や英オックスフォード大学、英サウサンプトン大学の研究グループによる論文が、「Arthritis Care and Research」7月7日オンライン版に掲載された。  同研究グループは、変形性膝関節症と職業との関連について報告した研究論文を対象とする、システマティックレビューを行った。2人のレビュアーが独立して文献検索を行い、適格基準にマッチする25件の症例対照研究、36件の横断研究、19件のコホート研究を含む80件の論文を抽出。そのうち71件の研究(解析対象者数約100万人)のデータを統合してメタ解析を実施した。

運動により年間390万人の命が救われている

 運動といえば、運動不足の蔓延がしばしば問題として指摘されるが、運動について異なる角度から検討した新たな研究で、運動が世界で年間約390万件の早期死亡の回避に役立っていることが明らかにされた。研究結果は「The Lancet Global Health」7月号に掲載された。  世界保健機関(WHO)は、1週間当たり150分以上の中等度の運動か75分以上の高強度の運動、あるいはそれに相当する組み合わせの運動を推奨している。英ケンブリッジ大学MRC疫学ユニットのTessa Strain氏らは今回、2001〜2016年に報告された世界168カ国のデータを用いて、WHOの推奨運動量を満たしている人の割合を調べた。その結果、推奨運動量を満たしている人の割合は、クウェートの33%から英国の64%、モザンビークの94%まで、国によってさまざまであった。Strain氏らはこの運動量に関するデータを、活動的な人と非活動的な人の早期(40~74歳)死亡相対リスクの推計データと合わせて検討し、運動によって防止できた早期死亡者数を推定した。

セクキヌマブ、体軸性脊椎関節炎にFDA承認 /ノバルティス

 ノバルティス ファーマ株式会社は、同社が製造販売するセクキヌマブ(商品名:コセンティクス)が、X線基準を満たさない活動性の体軸性脊椎関節炎(以下「nr-axSpA」という)の治療薬として米国食品医薬品局(FDA)の効能追加承認を取得したと発表した。  体軸性脊椎関節炎(以下「axSpA」という)は、慢性炎症性背部痛を特徴とする慢性炎症性疾患。axSpAの疾患スペクトラムには、X線基準により仙腸関節の損傷が確認される強直性脊椎炎(以下「AS」という)と、X線基準により明らかな関節損傷が認められないnr-axSpAが含まれる。axSpAによる身体的な制限は、患者のADLやQOLに重大な影響を与える疾患である。