放射線科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:10

浸潤性乳がんの検出率、乳房トモシンセシス+合成マンモグラフィvs.デジタルマンモグラフィ/Lancet Oncol

 乳がん検診における浸潤性乳がんの検出率について、デジタル乳房トモシンセシス+合成2Dマンモグラフィと2Dフルフィールドデジタルマンモグラフィ単独で比較したところ、デジタル乳房トモシンセシス+合成2Dマンモグラフィで有意に高かったことが、ドイツで実施された非盲検無作為化優越性試験(TOSYMA)で示された。University Hospital MunsterのWalter Heindel氏らがLancet Oncology誌オンライン版2022年4月12日号に報告。本試験は、ドイツの2つの連邦州における17の検診施設で実施された。対象は品質管理されたマンモグラフィ集団検診プログラムに参加した50〜69歳の女性。地域ごとに層別化したブロック無作為化を用いて、デジタル乳房トモシンセシス+合成2Dマンモグラフィ、または2Dフルフィールドデジタルマンモグラフィに1対1に無作為に割り付けた。主要評価項目は、ITT集団での浸潤性乳がんの検出率と24ヵ月の浸潤性中間期がん率で、安全性はas-treated集団で評価した。

乳がん術前・術後補助療法、乳がん死亡率とその他の死亡率への影響~系統的レビュー

 乳がん治療における術前補助療法や術後補助療法は、乳がんによる死亡率を低下させる可能性がある一方、乳がん以外による死亡率を増加させる可能性がある。今回、英国・オックスフォード大学のAmanda J. Kerr氏らが系統的レビューを実施したところ、ほとんどの比較試験で、がんによる死亡率または再発率が10〜25%減少し、乳がん以外による死亡率の増加はみられなかったが、アントラサイクリンでの化学療法と放射線療法については乳がん以外による全死亡率が増加していた。Cancer Treatment Reviews誌オンライン版2022年3月4日号に掲載。

乳がん検診10年の偽陽性リスク、乳房トモシンセシスvs.デジタルマンモグラフィ

 デジタル乳房トモシンセシスによる乳がん検診は、デジタルマンモグラフィより偽陽性率が低い可能性がある。米国・カリフォルニア大学デービス校のThao-Quyen H. Ho氏らは、デジタル乳房トモシンセシスまたはデジタルマンモグラフィによる10年間の検診で、偽陽性の累積リスクを推定した結果、デジタル乳房トモシンセシスのほうが低く、また、モダリティの違いよりも隔年検診・高齢・非高濃度乳房が偽陽性率の大幅な低下と関連することが示された。JAMA Network Open誌2022年3月1日号に掲載。  本研究は、Breast Cancer Surveillance Consortiumの126の放射線施設において、2005年1月1日~2018年12月31日に前向きに収集したデータを用いた効果比較研究で、40~79歳の90万3,495人の結果を2021年2月9日から9月7日まで分析。乳がん診断と死亡の競合リスクを考慮し、年1回もしくは隔年でデジタル乳房トモシンセシスまたはデジタルマンモグラフィで10年間検診後、追加画像診断・短い間隔での経過観察の推奨・生検の推奨について1回以上の偽陽性リコールの累積リスクを評価した。

乳がん放射線治療中、デオドラントの使用を継続してよいか~メタ解析/日本癌治療学会

 デオドラント製品を日常的に使用している日本人女性は多いが、放射線治療期間中に使用を継続した場合に放射線皮膚炎への影響はあるのだろうか? 齋藤 アンネ優子氏(順天堂大学)らは、放射線治療期間中のデオドラント使用に関連する放射線皮膚炎について調査した無作為化試験のメタ解析を実施し、第59回日本癌治療学会学術集会(10月21~23日)で報告した。なお、本解析は「がん治療におけるアピアランスケアガイドライン 2021年版」のために実施された。  2020年3月までに、PubMed、医中誌、Cochrane Library、CINAHLより、デオドラント使用が放射線皮膚炎に与える影響を検討した無作為化比較試験を中心に検索がされた。評価項目は腋窩の放射線皮膚炎の重症度(Grade2以上/ Grade3以上、NCI-CTC v5.0による評価)で、金属含有デオドラントと金属非含有デオドラントを別々に評価した。メタアナリシスの効果指標はリスク比(RR)とした。

乳がん術後の放射線寡分割照射と通常分割照射の急性毒性を比較(HypoG-01)/ESMO2021

 乳がん術後の放射線療法の照射回数と期間が照射後の安全性に与える影響を検討したHypoG-01試験の結果がフランス・Institut Gustave RoussyのSofia Rivera氏より、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)にて発表された。  同試験はフランス国内で実施された多施設共同の非劣性検証第III相試験である。

先生の大切な人に知らせませんか、乳がん啓発のクラウドファンディング開始

 YouTubeを中心に、ブレスト・アウェアネスや乳がんに関する情報発信を行っている一般社団法人BC Tubeが、「あなたの手紙で、大切な人にもブレスト・アウェアネスを」と題したクラウドファンディングのプロジェクトを開始させた。プロジェクトを通して、参加者が大切な人への手紙を送ることで、“手紙を受け取った人が自分の健康へ目を向けるきっかけをつくる”ことを目指している。  一般社団法人BC Tubeは、有志の乳腺科医が集まり、乳がんに関する理解しやすい適切な医療情報を広めることで、人々の乳がんに関する意識を高め、人々の健康と福祉に寄与することを目的として、2020年11月に設立。症状や検査、治療法等についての解説動画をYouTubeに投稿している。

がん治療の中心静脈アクセスデバイス、完全埋め込み型ポートが有用/Lancet

 固形腫瘍または血液腫瘍患者の全身性抗がん薬治療(SACT)に使用する中心静脈アクセスデバイス(CVAD)では、完全埋め込み型ポート(PORT)はHickmanトンネル型中心静脈カテーテル(Hickman)や末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC)と比較して、合併症の頻度がほぼ半減し、QOLや費用対効果も比較的良好である可能性があることが、英国・グラスゴー大学のJonathan G. Moss氏らが実施した「CAVA試験」で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2021年7月20日号に掲載された。  研究グループは、悪性腫瘍患者に対するSACTに用いる3つのCVADについて、合併症の発生率や費用、QOLを比較し、受容性、臨床的有効性、費用対効果を評価する目的で、非盲検無作為化対照比較試験を行った(英国国立衛生研究所[NIHR]医療技術評価[HTA]プログラムの助成による)。本試験では、2013年11月~2018年2月の期間に、英国の18の腫瘍科病棟で参加者が募集された。

前立腺がんスクリーニング、MRI標的生検で過剰診断が低下/NEJM

 MRIで前立腺がんが示唆された男性に対するMRI標的生検は、標準生検に対して、臨床的に意義のある前立腺がんの検出に関して非劣性であることが、住民ベースの無作為化非劣性試験で明らかとなった。スウェーデン・カロリンスカ研究所のMartin Eklund氏らが結果を報告した。前立腺がんスクリーニングでは、過剰診断率の高さが大きな障壁となっている。MRI標的生検はこの課題を解決できる可能性が示唆されていたが、前立腺がんスクリーニングにおけるMRI標的生検の意義は不明であった。NEJM誌オンライン版2021年7月9日号掲載の報告。

小児高悪性度神経膠腫への遺伝子組み換えヘルペスウイルスG207、第I相試験結果/NEJM

 小児の再発/進行性高悪性度神経膠腫(HGG)患者において、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)G207の腫瘍内投与単独または放射線療法併用は、忍容性が良好であることが認められた。米国・アラバマ大学バーミングハム校のGregory K. Friedman氏らが、第I相試験の結果を報告した。再発/進行性HGGの小児/青年の予後は不良で、これまでの報告では全生存(OS)期間中央値はわずか5.6ヵ月とされている。G207は、HSV-1を用いた遺伝子組み換え腫瘍溶解性ウイルスで、成人HGG患者の第I相試験で腫瘍内投与と単回放射線照射併用の安全性が確認され、前臨床試験において小児脳腫瘍モデルはG207による腫瘍溶解に高い感受性があることが示されていた。小児HGGは、腫瘍浸潤リンパ球がほとんどない免疫学的に“silent”または“cold”tumorであるが、著者は「G207により、免疫学的に“cold”tumorが“hot”tumorに変わった」とまとめている。NEJM誌オンライン版2021年4月10日号掲載の報告。