放射線科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:9

がん治療による放射線関連心疾患、弁膜症を来しやすい患者の特徴/日本腫瘍循環器学会

 9月17、18日に開催された第5回日本腫瘍循環器学会にて、塩山 渉氏(滋賀医科大学循環器内科)が「放射線治療による冠動脈疾患、弁膜症」と題し、放射線治療後に生じる特異的な弁膜症とその治療での推奨事項について講演した(本シンポジウムは日本放射線腫瘍学会との共催企画)。  がんの放射線治療による放射線関連心疾患(RIHD:radiation-induced heart disease)の頻度は医学の進歩により減少傾向にあるが、それでもなお、食道がんや肺がん、縦隔腫瘍でのRIHD発症には注意を要する。2013年にNEJM誌に掲載された論文1)によると、照射から20年以上経過してもなお、主要心血管イベントリスクが8.2%(95%信頼区間:0.4~26.6)も残っていたという衝撃的な報告がなされた。それ以来、RIHDは注目されるようになり、その1つに弁膜症が存在する。

血管腫・血管奇形ガイドラインが5年ぶりに改訂

 第18回日本血管腫血管奇形学会学術集会(2022年9月16~17日)において、「血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン改訂について」(科研製薬共催)と題したセミナーが開催され、秋田班ガイドライン改訂統括委員長を務める新潟大学大学院小児外科学分野の木下 義晶氏が解説した。  今回のガイドラインは、第1版である「血管腫・血管奇形診療ガイドライン2013」、第2版である「血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン2017」に次いだ第3版となり、名称は「血管腫・脈管奇形・血管奇形・リンパ管奇形・リンパ管腫症診療ガイドライン2022」となる見込みという。本ガイドラインの作成は2020年から開始され、Minds診療ガイドライン作成マニュアル2017に則して作成されている。

非低リスクの非浸潤性乳管がん、ブースト照射が再発抑制/Lancet

 乳房温存手術を受けた非低リスクの非浸潤性乳管がん(DCIS)患者において、全乳房照射(WBI)後の腫瘍床へのブースト照射(追加照射)は、Grade2以上の有害事象が増加したものの局所再発が有意に低下することが示された。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のBoon H. Chua氏らが、多施設共同無作為化非盲検第III相試験「BIG 3-07/TROG 07.01試験」の結果を報告した。DCISに対する乳房温存手術後のWBIは局所再発を減少させるとの強く一貫したエビデンスが、無作為化試験により示されている。一方で、ブースト照射および分割照射の有効性について前向きに検討する必要性が示唆されていた。Lancet誌2022年8月6日号掲載の報告。

「乳癌診療ガイドライン」4年ぶり全面改訂、ポイントは?/日本乳癌学会

 4年ぶりに乳癌診療ガイドラインが全面改訂され、第30回日本乳癌学会学術総会で「乳癌診療ガイドライン2022年版 改定のポイント」と題したプログラムが開催された。本稿では、治療編(薬物療法、外科療法、放射線療法)の主な改訂点について紹介する。治療編全体における改訂点として、今版では冒頭に「総説」を追加。病気/サブタイプ別の治療方針のシェーマや各CQ/BQ/FRQの治療における位置付けを解説し、治療全体の流れを理解できる構成となっている。

がんの緩和ケア、放射線・神経ブロック治療普及のセミナー開催

 働くがん患者を企業と一緒に支援する厚生労働省の取り組み「がん対策推進 企業アクション」は、6月28日、「がん治療における緩和ケア」をテーマとしたメディア向けセミナーを開催した。これは、6月9日に厚生労働省が厚生労働省が医療者への啓蒙と一般患者への説明用として、がんにおける緩和ケアを説明する資料を作成し、都道府県衛生主管部(局)、がん診療連携拠点病院等の病院長、日本医師会を通じて広報をはじめたことを受けたもの。資料は、心理的・精神的ケアを含めて診断時から緩和ケアが受けられること、痛みへの対応としてオピオイド等の使用だけでなく放射線治療や神経ブロック等の活用を促すこと、が主な内容となっている。

乳がん術後放射線治療の皮膚障害予防に、カテキン剤塗布が有望

 乳がん患者にとってアンメットニーズとされている術後放射線治療による放射線皮膚障害(RID)について、緑茶に多く含まれるカテキン(epigallocatechin-3-gallate:EGCG)を主成分とした溶剤の予防的塗布が有効であることが示された。中国・山東第一医科大学のHanxi Zhao氏らによる第II相無作為化試験の結果で、EGCG溶液の予防的塗布により、RIDの発生率と重症度が大幅に低下したという。安全性プロファイルの忍容性も高かった。結果を踏まえて著者は、「RIDリスクがある乳がん患者にとって、便利で忍容性が高い有効な選択肢となる可能性がある」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2022年6月1日号掲載の報告。  研究グループは、乳がん術後に放射線治療を受ける患者における、EGCG溶液塗布が、RIDの発生を抑制するかを調べる第II相二重盲検プラセボ対照無作為化試験を実施した。2014年11月~2019年6月に山東がん病院研究所で術後放射線治療を受ける180例が試験に登録された。  被験者は2対1の割合で、放射線治療1日目~同治療完了後2週間まで、放射線の全照射野にEGCG溶液(660μmol/L)塗布を受ける群またはプラセボ(0.9%塩化ナトリウム溶液)塗布を受ける群に割り付けられ、追跡を受けた。データ解析は、2019年9月~2020年1月に行われた。

乳がん検出の違い、3Dマンモvs.デジタルマンモ/JAMA

 乳がんスクリーニングにおける、デジタル乳房トモシンセシス(DBT)とマンモグラフィの検出の違いを比較した結果、浸潤性中間期乳がんリスクについては有意差が認められなかったが、「きわめて高濃度乳房で乳がんリスクが高い」女性(試験集団の3.6%)の進行乳がんリスク低下については有意な関連が示された。一方で、試験集団の96.4%の女性(非高濃度乳房、不均一な高濃度乳房、またはきわめて高濃度乳房だがリスクが高くない)で、有意差は観察されなかった。米国・カリフォルニア大学のKarla Kerlikowske氏らが、コホート研究の結果を報告した。DBTは女性の高濃度乳房のがん検出を改善することを期待して開発されたものだが、浸潤性中間期乳がんおよび進行乳がん、乳がん死亡と関連する中間アウトカムについて、高濃度乳房および乳がんリスク別に評価する研究が必要とされていた。JAMA誌2022年6月14日号掲載の報告。

Luminal Aの低リスク乳がん患者、術後放射線療法を省略できる可能性(LUMINA)/ASCO2022

 乳房温存術後、内分泌療法のみで治療された55歳以上のLuminal A(Ki67低値)、T1N0の女性乳がん患者では、5年局所再発リスクが非常に低く、放射線療法を省略できる可能性が示唆された。通常、術後放射線療法は局所再発リスクを減らすために実施されるが、急性および晩期毒性が報告されている。カナダ・マクマスター大学のTimothy Joseph Whelan氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で前向き多施設共同コホート研究の結果を報告した。

オリゴ転移乳がん1次治療、SBRT/外科的切除追加でPFS改善せず(NRG-BR002)/ASCO2022

 オリゴ転移乳がんの1次治療で、標準薬物療法に定位放射線治療(SBRT)もしくは外科的切除によるmetastases directed treatment(MDT)を追加しても、生存ベネフィットを得られないことが、第IIR/III相NRG-BR002試験で示された。米国・シカゴ大学のSteven J. Chmura氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で発表した。  オリゴ転移乳がんに対しては、アブレーションにより無増悪生存(PFS)および全生存(OS)が改善されることが後ろ向き研究で示されているが、第III相試験のエビデンスはほとんどない。このNRG-BR002試験は、オリゴ転移乳がんの1次治療として、標準薬物療法にSBRT/外科的切除でのMDTを追加することによる生存へのベネフィットを検討した無作為化第IIR/III相試験である。

サブスぺ領域、新たに3領域が追加の見通し/日本専門医機構

 4月18日開催の日本専門医機構定例記者会見で、サブスペシャルティ領域の新規機構認定の進捗状況について寺本 民生理事長が報告し、「放射線カテーテル治療」「集中治療科」「脊椎脊髄外科」の3領域が新たに追加される見通しであることが示された。   各基本領域のサブスぺシャリティ連絡協議会から提案のあった13領域のうち、サブスペシャルティ領域検討委員会での議論の結果推薦がなされた6領域について、同機構理事会で議論された。理事会での議論を経て、主として専門医像がはっきりしていること、社会的使命等の総合的な判断から今回は3領域が認定された。3領域の基本領域については、「放射線カテーテル治療」が放射線科、「集中治療科」が救急科、「脊椎脊髄外科」が整形外科となる。今後はプログラム整備基準等について審議され、今夏を目途に正式な日本専門医機構認定のサブスペシャリティ領域を目指すという。