放射線科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:12

がん治療の中心静脈アクセスデバイス、完全埋め込み型ポートが有用/Lancet

 固形腫瘍または血液腫瘍患者の全身性抗がん薬治療(SACT)に使用する中心静脈アクセスデバイス(CVAD)では、完全埋め込み型ポート(PORT)はHickmanトンネル型中心静脈カテーテル(Hickman)や末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC)と比較して、合併症の頻度がほぼ半減し、QOLや費用対効果も比較的良好である可能性があることが、英国・グラスゴー大学のJonathan G. Moss氏らが実施した「CAVA試験」で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2021年7月20日号に掲載された。  研究グループは、悪性腫瘍患者に対するSACTに用いる3つのCVADについて、合併症の発生率や費用、QOLを比較し、受容性、臨床的有効性、費用対効果を評価する目的で、非盲検無作為化対照比較試験を行った(英国国立衛生研究所[NIHR]医療技術評価[HTA]プログラムの助成による)。本試験では、2013年11月~2018年2月の期間に、英国の18の腫瘍科病棟で参加者が募集された。

前立腺がんスクリーニング、MRI標的生検で過剰診断が低下/NEJM

 MRIで前立腺がんが示唆された男性に対するMRI標的生検は、標準生検に対して、臨床的に意義のある前立腺がんの検出に関して非劣性であることが、住民ベースの無作為化非劣性試験で明らかとなった。スウェーデン・カロリンスカ研究所のMartin Eklund氏らが結果を報告した。前立腺がんスクリーニングでは、過剰診断率の高さが大きな障壁となっている。MRI標的生検はこの課題を解決できる可能性が示唆されていたが、前立腺がんスクリーニングにおけるMRI標的生検の意義は不明であった。NEJM誌オンライン版2021年7月9日号掲載の報告。

小児高悪性度神経膠腫への遺伝子組み換えヘルペスウイルスG207、第I相試験結果/NEJM

 小児の再発/進行性高悪性度神経膠腫(HGG)患者において、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)G207の腫瘍内投与単独または放射線療法併用は、忍容性が良好であることが認められた。米国・アラバマ大学バーミングハム校のGregory K. Friedman氏らが、第I相試験の結果を報告した。再発/進行性HGGの小児/青年の予後は不良で、これまでの報告では全生存(OS)期間中央値はわずか5.6ヵ月とされている。G207は、HSV-1を用いた遺伝子組み換え腫瘍溶解性ウイルスで、成人HGG患者の第I相試験で腫瘍内投与と単回放射線照射併用の安全性が確認され、前臨床試験において小児脳腫瘍モデルはG207による腫瘍溶解に高い感受性があることが示されていた。小児HGGは、腫瘍浸潤リンパ球がほとんどない免疫学的に“silent”または“cold”tumorであるが、著者は「G207により、免疫学的に“cold”tumorが“hot”tumorに変わった」とまとめている。NEJM誌オンライン版2021年4月10日号掲載の報告。

高度狭窄なくても脆弱なプラークを持つ脆弱な患者を近赤外分光法‐血管内超音波検査で同定できる(解説:佐田政隆氏)-1373

急性心筋梗塞の発症原因として、軽度な狭窄しか来さない動脈硬化病変の破裂やびらんに起因する急性血栓性閉塞が注目されている。破綻した病変では、脂質コアの増大、被膜の菲薄化、平滑筋細胞数の減少などが認められる。しかしプラーク不安定化の機序などに関しては不明な点が多く、急性冠症候群の発症を予知することは困難であった。バイオマーカーとして高感度CRP、ペントラキシン3などが急性冠症候群の発症を予測する因子となることが報告されているが特異度が十分とはいえない。一方、冠動脈CT、血管内超音波、MRI、OCT(光干渉断層撮影)など不安定プラークを検出するイメージング技術は開発されてきたが、いまだゴールデンスタンダードとなる方法が存在しないのが現状であった。

ハイリスク非責任病変の識別に、NIRS-IVUSが有望/Lancet

 近赤外分光法血管内超音波検査(NIRS-IVUS)で検出した高脂質性で大きなプラークを伴う非閉塞性病変は、将来的な有害心イベントリスク増大を検出することが示された。スウェーデン・ルンド大学のDavid Erlinge氏らが、直近の心筋梗塞患者898例を対象に行った多施設共同前向き自然経過試験「PROSPECT II」の結果を報告した。NIRS-IVUSは、冠動脈関連イベントを引き起こす可能性がある非閉塞性プラークの特定に有望とされる画像診断法である。研究グループは、その検出力が将来的な主要心血管イベント(MACE)のリスクを有する患者を特定しうるのか検討した。Lancet誌2021年3月13日号掲載の報告。

PSMA標的治療のルテチウム-177、転移のある去勢抵抗性前立腺がんに有効/Lancet

 ドセタキセル治療が無効となった転移を有する去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)男性の治療において、ルテチウム-177[177Lu]Lu-PSMA-617はカバジタキセルと比較して、前立腺特異抗原(PSA)反応(PSA値のベースラインから50%以上の低下)の達成率が高く、Grade3/4の有害事象の頻度は低いことが、オーストラリア・Peter MacCallumがんセンターのMichael S. Hofman氏らが行った「TheraP(ANZUP 1603)試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2021年2月11日号で報告された。[177Lu]Lu-PSMA-617は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)を発現する細胞にβ線を照射する放射線標識低分子化合物であり、mCRPC患者において抗腫瘍活性と安全性が確認されている。

肺がん放射線、左前下行枝照射量と心臓有害事象の関係/JAMA Oncol

 放射線療法が冠動脈疾患(CHD)のリスクを高めることは知られているが、胸部への照射が避けられない肺がんではどうすべきか。米国・ダナ・ファーバーがん研究所およびブリガム&ウィメンズ病院のKatelyn M. Atkins氏らは、最適な心臓線量の制限がCHDの既往の有無で異なる可能性があることを明らかにした。著者は、「心臓リスクの層別化と積極的なリスク軽減戦略を改善するために、今回示された制限についてさらなる研究が必要である」とまとめている。JAMA Oncology誌オンライン版2020年12月17日号掲載の報告。

マンモ検診開始、40歳への引き下げは乳がん死を減少/Lancet Oncol

 40代から始めるマンモグラフィ検診の乳がん死への効果について、英国で行われた無作為化試験「UK Age試験」の最終結果が、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のStephen W. Duffy氏らにより公表された。40歳または41歳という、より若い年齢から始める毎年のマンモグラフィ検診は、乳がん死の相対的な減少と関連していることが示されたという。フォローアップ10年以降は有意差がみられなくなっていたが、絶対的減少は変わらなかった。結果を踏まえて著者は、「スクリーニング開始年齢を50歳から40歳に引き下げることは、乳がん死を減少すると思われる」とまとめている。Lancet Oncology誌2020年9月号掲載の報告。  研究グループは、40~48歳時のマンモグラフィ検診の乳がん死への影響を推定する無作為化試験を行った。英国全土にわたる23ヵ所の乳がん検診施設で被験者を募り、39~41歳の女性を、一般医(GP)で層別化して1対2の割合で無作為に介入群と対照群に割り付けた。

ER+HER-早期乳がんの長期予後予測、治療前18F-FDG PET/CTのSUVmaxが有用/日本癌治療学会

 乳がんで最も頻度の高いER陽性HER陰性早期乳がんは、10年以上の長期にわたって再発を来すことが知られており、近年は遺伝子検査などによる予後予測が行われている。今回、東京女子医科大学の塚田 弘子氏らによる研究で、治療前18F-FDG PET/CT (以下、PET/CT)での原発巣SUVmax値(maximum standardized uptake values)およびリンパ節転移個数が長期無再発生存期間(RFS)の予測因子であり、原発巣SUVmax値は長期全生存期間(OS)の単独予測因子であることが示唆された。第58回日本癌治療学会学術集会(10月22~24日)で報告された。  PET/CTは乳がん診療において2~5年程度の短期予後予測には有用との報告があるが、10年以上のRFSやOSとの相関は示されていない。本研究は、2007年1月~2010年5月に東京女子医科大学病院で治療が開始された原発性乳がんのうちcStage II以下かつER陽性HER陰性浸潤性乳管がん340例を対象とし、患者/腫瘍背景、治療前PET/CTのFDG集積がRFSおよびOSに与える影響をCox回帰比例ハザードモデルで評価した。

早期乳がん/DCISへの寡分割照射による乳房硬結リスク(DBCG HYPO試験)/JCO

 Danish Breast Cancer Group(DBCG)では、1982年以来、早期乳がんに対する放射線療法の標準レジメンは50Gy/25回である。今回、デンマーク・Aarhus University HospitalのBirgitte V. Offersen氏らは、リンパ節転移陰性乳がんまたは非浸潤性乳管がん(DCIS)に対する放射線療法において、40Gy/15回の寡分割照射が標準の50Gy/25回に比べて3年の乳房硬結が増加しないかどうかを検討するDBCG HYPO試験(無作為化第III相試験)を実施した。その結果、乳房硬結は増加せず、9年局所領域再発リスクは低いことが示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年9月10日号に掲載。