精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:422

疼痛治療「プラセボでも一定の効果が」臨床試験に課題も

 線維筋痛症(FMS)の症状軽減に対しプラセボ以上の治療効果が期待できる薬物療法は少なく、有害事象による脱落率が増加するといわれてきた。最近のシステマティックレビューによると、慢性疼痛の試験において、治療薬の有用性や副作用のかなりの割合は、プラセボに起因することが実証された。Winfried Häuser氏らはプラセボおよびノセボ反応(プラセボにより副作用が発現すること)の大きさを測定し、FMS適応承認のための医薬品の臨床試験においてそれらが薬の有用性に及ぼす影響を評価した。Clinical and experimental rheumatology誌オンライン版2012年11月8日号の報告。

ドパミンD3受容体拮抗薬、統合失調症治療薬としての可能性は?

ドパミンD3受容体拮抗作用に着目した統合失調症の陽性および陰性症状や認知症状治療の可能性は、前臨床試験や予備的臨床試験のデータに基づき再検討されている。ドイツ・Abbott Neuroscience ResearchのGerhard Gross氏らは、D3受容体拮抗作用が錐体外路症状を阻害可能であるといった事実に基づけば、依然として治療オプションとなりうるの見解を報告している。Naunyn-Schmiedeberg's Archives of Pharmacology誌オンライン版2012年11月6日号の報告。

認知症の前駆症状は?うつ病との関係

 うつ病はアルツハイマー型認知症(AD)の前駆症状であるが、超高齢者におけるうつ病発症は他の病因による認知症の前駆症状ではない可能性が示された。高齢期でのうつ病は年齢とともに低下した認知機能への懸念が積み重なって出現したもので、予測可能であるという。ドイツ・ボン大学のHeser K氏らは、高齢期うつ病が認知症のリスクとなるのか、あるいは認知症の前駆症状であるのかについて調査した。Psychological Medicine誌オンライン版2012年11月9日号の報告。

てんかん発作時の脳炎がPET画像診断活用で明らかに

PET画像診断により、てんかん発作時に関連する脳病変として脳炎が有意に認められることがラット試験において実証された。近年、てんかん治療のターゲットとして炎症カスケードが注目されている。本研究を行ったStefanie Dedeurwaerdere氏らは、「この結果は、てんかん発作時の脳炎の役割とてんかん発作に対する抗炎症薬の評価を、さらに長期的に進めていく後押しとなった」と報告している。EJNMMI Research誌オンライン版2012年11月8日号の掲載報告。

性的強迫観念は、統合失調症患者で頻度が高く、自殺行動と独立して関連

性的強迫観念(sexual obsession)は、統合失調症患者で頻度が高く半数以上でみられ、次いで気分障害患者で3割強にみられる。また、統合失調症患者では女性よりも男性に多く、自殺行動の独立関連因子であることなどが、Dell Osso L氏らによる研究の結果から、明らかになった。Annals of General Psychiatry誌オンライン版2012年10月30日号の掲載報告。

統合失調症における長期転帰の予測因子は「男性」「顕著な陰性症状」

統合失調症患者の長期転帰を改善することは、重要な課題であり、さまざまな研究が行われている。しかし、過去の統合失調症における経過や転帰を研究した報告を比較するにあたっては、異なる診断システムが用いられていることにより限界があった。Lang FU氏らは、精神病理学的な観点から長期の転帰に焦点を当て、DSM-III、DSM-III-R、DSM-IV、ICD-10を用いたフォローアップ研究のレビューを行った。Acta psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2012年11月9日号の報告。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(34)〕 高齢者の不安―古くて新しい問題

 本論文は、ベンゾジアゼピンの新規使用が認知症発症の危険因子であるという報告である。認知症の前駆期あるいは初期には抑うつが多くみられることから、ベンゾジアゼピンを処方される機会も多いはずだという批判に対して、本研究では抑うつ症状も統制した多変量解析の結果も示しており、この点もぬかりがない。