精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:294

統合失調症患者の攻撃性に有用な薬物療法は

 フランス・Fondation FondaMentalのG. Fond氏らは、統合失調症患者の攻撃性に関する薬物治療の有用性を検討した。その結果、第2世代抗精神病薬(SGA)は第1世代抗精神病薬(FGA)に比べて攻撃性を有意に低下すること、また気分安定薬および抗うつ薬は攻撃性に大きな変化をもたらさず、ベンゾジアゼピン系薬ではむしろ攻撃性が高まることが示された。著者らは、「結果は、攻撃性を示す統合失調症患者におけるSGAの選択を支持するものであるが、より長期間で詳細な研究が必要である」と述べ、また「ベンゾジアゼピン系薬の有害事象(とくに依存および認知障害)の可能性や今回の結果を踏まえると、ベンゾジアゼピン系薬の長期処方は統合失調症患者や攻撃行動を有する患者には推奨されない」と結論している。Psychopharmacology誌オンライン版2015年12月3日号の掲載報告。

うつ病に対するケタミン、効果的な投与量は

 低用量ケタミンは、速やかな抗うつ効果を発揮することが最近の研究で示されている。しかし、用量反応性、患者群間の一貫性、自殺傾向への影響、クロスオーバー試験に起因するバイアスの可能性などは明らかになっていない。オーストラリア・シドニー大学のYing Xu氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を行い、低用量ケタミンは超低用量ケタミンより有効であることを示した。ただし、5分の1の患者は1週間で寛解したが、その他の大半の患者では効果が長続きせず、臨床的効果にはかなりばらつきがみられたという。著者らは、「有効性を向上させるため、また安全性についてさらに評価するため、より大規模で長期的な比較試験が必要である」とまとめている。International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2015年11月17日号の掲載報告。

第2世代抗精神病薬、小児患者の至適治療域を模索

 イタリア・Scientific Institute IRCCS Eugenio MedeaのMarco Pozzi氏らは、薬物血中濃度モニタリング(TDM)の観察研究にて、小児患者の実生活における第2世代抗精神病薬(SGA)の血中濃度特性を調べた。その結果、リスペリドンは成人よりも低値だが、アリピプラゾールは類似しているなどの特性が明らかになったという。著者らは、「今回のデータをより大規模な患者集団で検証すれば、小児患者におけるリスペリドンやアリピプラゾールの至適治療域を明確化できる可能性がある」と報告している。European Journal of Clinical Pharmacology誌オンライン版2015年11月28日号の掲載報告。

認知症ドライバーの通報規定、どう考えますか

 米国では、各州で医師による認知症ドライバーに関する州政府自動車省(DMV)への通報規定が異なっており、義務となっている州もあれば任意の州もある。また、この問題に関して規定がない州もあり、アーカンソー州もその1つである。一方でアーカンソー州の医師には、意に反して患者をDMVへ通報した場合に法的責任を負わされるリスクがある。そこで、ニューメキシコ州立大学のErika M. Gergerich氏がアーカンソー州の医師が抱える認知症ドライバー問題を明らかにする目的で調査を行ったところ、アーカンソー州議会が任意の通報規定を採択するよう求める結果が示された。著者は、「認知症患者の運転適性評価の訓練と同様、州の通報規定に関する医師への教育も必要である」と述べている。Gerontologist誌オンライン版2015年11月25日号の掲載報告。

ドパミンD2/3受容体拮抗薬、統合失調症患者の脳白質を改善

 精神病症状は、統合失調症の中核症状だが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のBjorn H. Ebdrup氏らは、陽性症状は前頭皮質に投影している白質路の不規則性に起因するという最近の仮説を検証する目的で、拡散テンソル画像を用いた解析を行った。その結果、未治療の統合失調症患者では、白質の微細な障害が認められることを明らかにした。とくに陽性症状は前頭の神経線維束の整合性と関連しており、選択的ドパミンD2/3受容体拮抗薬が白質を修復する可能性が示唆されたという。結果を踏まえて、著者らは「ドパミンD2/3受容体拮抗薬の再ミエリン化作用をさらに検討する必要がある」とまとめている。Journal of Psychiatry Neuroscience誌オンライン版2015年11月24日号の掲載報告。

糖尿病による認知症リスクに男女差あり~230万人の解析

 2型糖尿病により上乗せされる心血管疾患リスクは、男性より女性で大きい。糖尿病は認知症の危険因子でもあるが、その関連性に男女差がないかどうかは不明である。オーストラリアAlfred HealthのSaion Chatterjee氏らは、男女の糖尿病患者と認知症発症における性特異的な関連を検討するために、未発表データを用いてメタ解析を行った。その結果、2型糖尿病患者は非糖尿病者に比べて認知症の発症リスクが約60%高いこと、また、血管性認知症の上乗せリスクは女性のほうが大きいことが示唆された。Diabetes Care誌オンライン版2015年12月17日号に掲載。

メイヨー・クリニックで疼痛関連疾患への補完代替医療が増加

 補完代替医療(CAM)は、先進国で広く行われている。中国中医科学院広安門医院のRan Pang氏らは、米国のメイヨー・クリニックにおけるCAMの実施について調査した。その結果、CAMが主に疼痛関連疾患および精神障害(ストレス)に対して利用されており、CAMを受けている患者数は増加傾向にあることを報告した。American Journal of Chinese Medicine誌オンライン版2015年11月30日号の掲載報告。

うつ病のプラセボ効果、そのメカニズムとは

 米国・ミシガン大学のMarta Pecina氏らは、大うつ病性障害(MDD)患者におけるプラセボ効果のメカニズムを明らかにするため、プラセボを用いた導入期、主に選択的セロトニン再取り込み阻害薬を用いたオープンラベル期の2期で構成した臨床試験を実施した。その結果、プラセボによりμ-オピオイドシステムの活性化がもたらされ、これがプラセボによる抗うつ効果に関連し、さらに抗うつ薬の効果にも関連している可能性を報告した。JAMA Psychiatry誌2015年11月号の掲載報告。

閉経後の女性統合失調症、陰性症状改善にSERM併用が有用

 閉経後の統合失調症女性に対し、通常療法にラロキシフェンを併用することで、陰性症状や総合精神病理、会話能力の低下などの改善が認めたことが示された。スペイン・カタロニア女性メンタルヘルス研究グループのJudith Usall氏らが、無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。統合失調症において、エストロゲンの治療的有用性に関する認識が高まっている。選択的エストロゲン受容体モジュレーターであるラロキシフェンは、ドパミン・セロトニン脳システムに対しエストロゲン様作用を示すと考えられ、著者らは先行研究において、ラロキシフェンがエストロゲンに起因する有害事象を示すことなく、陰性症状、陽性症状、総合精神病理の改善に有用であることを明らかにしていた。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2015年11月20日号の掲載報告。

ビタミンDによるうつ症状軽減の可能性は

 大うつ病性障害(MDD)患者に対する8週間のビタミンD投与は、プラセボと比較してうつ症状を改善し、インスリン抵抗性や酸化ストレスに対しても好影響を及ぼすことが、イラン・カシュハン医科大学のZahra Sepehrmanesh氏らによる無作為化二重盲検試験の結果、報告された。ビタミンDについては、神経伝達物質、代謝プロファイル、炎症性バイオマーカーおよび酸化ストレスに有益な影響を及ぼし、うつ症状を軽減させる可能性が示唆されていた。The Journal of nutrition誌オンライン版2015年11月25日号掲載の報告。