小児科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:151

小児期の吸入グルココルチコイド服薬と発育との関連/NEJM

 思春期前の小児における吸入グルココルチコイドの使用は、服薬開始後数年間の発育を低下し、大人になった時の身長は低くなるが、発育の低下は進行も累積もしないことが明らかにされた。米国・ニューメキシコ大学のH. William Kelly氏ら小児喘息マネジメントプログラム(CAMP)研究グループが、「服薬開始後1~4年の発育の低下が、成人でも発育を低下するとは考えられない」として、同プログラム参加者を対象に調査した結果で、NEJM誌2012年9月6日号(オンライン版2012年9月3日号)にて発表した。

ロタウイルスワクチン接種、小児の胃腸炎による入院予防に効果

 ロタウイルスワクチン(商品名:ロタリックス、ロタテック)接種は、ロタウイルス胃腸炎小児の入院の予防に有効なことが、ベルギー・アントワープ大学のTessa Braeckman氏らの検討で示された。ロタウイルスは世界的に、小児の重篤な急性胃腸炎の最大の原因であり、高所得国では死亡例はまれだが、WHOはすべての国がロタウイルスワクチンを導入するよう勧告している。低・中所得国ではワクチンのルーチン接種の有効性が示されているが、高所得国におけるエビデンスは少なく、ベルギーはEUで最初のルーチン接種導入国だという。BMJ誌2012年9月1日号(オンライン版2012年8月8日号)掲載の報告。

小学生の貧血、校長への報奨金で改善

 健康サービスの提供者に、助成金のほかに成果に応じた報奨金を支払うことで、子どもの貧血が改善される可能性があることが、米国スタンフォード大学医学部のGrant Miller氏らが中国の農村地域で行った調査で示された。開発途上国には、健康状態の改善に寄与する安価で優れた効果を持つ技術やサービスはあるものの、それを遂行し普及させる技能が一般に弱いとされる。目標の達成に対して、その方法を問わずに支払われる報奨金は、サービスの提供における創造性や技術革新の促進に向けた動機づけを強化する可能性があるが、開発途上国ではこれまで、健康アウトカムに直接的に準拠した、能力に応じた報奨金の有効性の評価は行われていなかったという。BMJ誌2012年8月18日号(オンライン版2012年7月27日号)掲載の報告。

心臓移植待ち小児の生存率、新たな補助人工心臓で有意に上昇

 心臓移植待機リスト上位に位置する重度心不全の小児に対し、新たに開発設計された体外式補助人工心臓装置は、これまでの体外式心肺補助(ECMO)と比べて有意に高い生存率を示したことが、米国・テキサス小児病院のCharles D. Fraser, Jr.氏らによる前向き試験の結果、報告された。移植までのブリッジ使用可能な機械的循環補助オプションは小児では限られており、唯一の頼みの綱とされていたのがECMOだった。しかし、その使用は重大合併症が起きるまでの10~20日間に限られ、移植までに結びつくのは40~60%という。NEJM誌2012年8月9日号掲載の報告。

子どものCT検査、累積被曝線量増加で白血病、脳腫瘍リスクが増大

 子どもに対するCT検査では、放射線の累積被曝線量が約50mGyに達すると白血病の発生リスクが約3倍、約60mGyで脳腫瘍の発生リスクが約3倍になるものの、絶対リスクは小さいことが、英国・ニューカッスル大学のMark S Pearce氏らの検討で示された。CTスキャンは有用な臨床検査だが、電離放射線による発がんリスクの問題が存在し、特に成人に比べて放射線感受性が高い子どものリスクが高いとされる。CT検査を施行された患者の発がんリスクを直接的に検討した試験はこれまで行われていないという。Lancet誌2012年8月4日号(オンライン版2012年6月7日号)掲載の報告。

年齢・体温別の呼吸数の新基準で、発熱小児の下気道感染症を検出

新たに開発された年齢と体温別の呼吸数パーセンタイル図に基づく呼吸数の新基準を用いれば、既存の呼吸数閾値よりも高い検出能で発熱小児における下気道感染症(LRTI)の診断が可能なことが、オランダErasmus MC-Sophia小児病院のR G Nijman氏らの検討で示された。呼吸数は、LRTIの重要な予測因子であり、呼吸器系の基礎疾患や発熱の影響を受ける。既存の頻呼吸の閾値は発熱との関連はほとんど考慮されていないという。BMJ誌2012年7月28日号(オンライン版2012年7月3日号)掲載の報告。

メチルフェニデート使用で“喫煙”が加速

注意欠陥多動性障害(ADHD)患者は一般人と比較して喫煙率が高く、低年齢から喫煙を開始しており、禁煙が困難な場合が多い。そして、メチルフェニデートを使用することで喫煙の増加が短期的にみられることも、実験データから明らかになっている。しかし、長期的な影響に関してはまだわかっていない。Bron氏らは、メチルフェニデートにナイーブなADHD患者に対するメチルフェニデートの使用が、喫煙に与える短・長期的な影響、およびニコチンへの欲求に与える影響に関して調査を行った。Eur Neuropsychopharmacol誌オンライン版2012年7月17日号の報告。