子どものCT検査、累積被曝線量増加で白血病、脳腫瘍リスクが増大

提供元:ケアネット

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公開日:2012/08/16

 

 子どもに対するCT検査では、放射線の累積被曝線量が約50mGyに達すると白血病の発生リスクが約3倍、約60mGyで脳腫瘍の発生リスクが約3倍になるものの、絶対リスクは小さいことが、英国・ニューカッスル大学のMark S Pearce氏らの検討で示された。CTスキャンは有用な臨床検査だが、電離放射線による発がんリスクの問題が存在し、特に成人に比べて放射線感受性が高い子どものリスクが高いとされる。CT検査を施行された患者の発がんリスクを直接的に検討した試験はこれまで行われていないという。Lancet誌2012年8月4日号(オンライン版2012年6月7日号)掲載の報告。

CT検査によるリスクの増大を後ろ向きコホート試験で評価
研究グループは、小児や若年成人におけるCT検査施行後の白血病および脳腫瘍リスクの増大を評価するレトロスペクティブなコホート試験を行った。

対象は、がんの診断歴がなく、1985~2002年にイングランド、ウェールズ、スコットランドの国民健康保険サービス(NHS)の診療施設で初回CT検査を受けた22歳未満の者であった。NHS中央レジストリー(1985年1月1日~2008年12月31日)から、発がん、死亡、追跡不能に関するデータを抽出した。

CTによる1回のスキャンごとの赤色骨髄および脳の吸収線量(mGy)を推算し、ポワソン相対リスクモデルを用いて白血病および脳腫瘍の発症率の増加について評価した。がんの診断を目的に施行されたCT検査を除外するために、白血病のフォローアップは初回CT検査から2年経過後に、脳腫瘍のフォローアップは5年経過後に開始した。

適切な代替検査法がある場合は、そちらを考慮すべき
フォローアップ期間中に、17万8,604人中74人が白血病と診断され、17万6,587人中135人が脳腫瘍と診断された。CTスキャンによる放射線被曝線量と、白血病(1mGy当たりの過剰相対リスク[ERR]:0.036、95%信頼区間[CI]:0.005~0.120、p=0.0097)および脳腫瘍(ERR:0.023、95%CI:0.010~0.049、p<0.0001)は、いずれも有意な正の相関を示した。

1回線量が5mGy未満のコホートとの比較において、累積線量が30mGy以上(平均累積線量51.13mGy)のコホートの白血病の相対リスクは3.18(95%CI:1.46~6.94)、累積線量が50~74mGy(平均累積線量60.42mGy)のコホートの脳腫瘍の相対リスクは2.82(95%CI:1.33~6.03)だった。

著者は、「子どもに対するCT検査では、放射線の累積被曝線量が約50mGyに達すると、白血病の発生リスクが約3倍となり、約60mGyで脳腫瘍の発生リスクが約3倍になる可能性が示された。これらのがんは比較的まれなため、総絶対リスクは小さい。すなわち、10歳未満の小児では初回CT検査から10年間で、1万回の頭部CT検査当たり白血病が1例、脳腫瘍が1例増加すると推定される」とし、「CT検査の臨床的便益は、小さな絶対リスクを上回るとはいえ、CT検査時の放射線被曝は可能な限り低く抑えるべきだ。電離放射線を伴わない適切な代替検査法がある場合は、そちらを考慮すべき」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)