ロタウイルスワクチン接種、小児の胃腸炎による入院予防に効果

提供元:ケアネット

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公開日:2012/09/14

 

 ロタウイルスワクチン(商品名:ロタリックス、ロタテック)接種は、ロタウイルス胃腸炎小児の入院の予防に有効なことが、ベルギー・アントワープ大学のTessa Braeckman氏らの検討で示された。ロタウイルスは世界的に、小児の重篤な急性胃腸炎の最大の原因であり、高所得国では死亡例はまれだが、WHOはすべての国がロタウイルスワクチンを導入するよう勧告している。低・中所得国ではワクチンのルーチン接種の有効性が示されているが、高所得国におけるエビデンスは少なく、ベルギーはEUで最初のルーチン接種導入国だという。BMJ誌2012年9月1日号(オンライン版2012年8月8日号)掲載の報告。

ロタウイルスワクチンの有効性を症例対照研究で評価
研究グループは、小児のロタウイルス胃腸炎に対するロタウイルスワクチン接種の有効性を評価するために症例対照研究を実施した。

2008年2月~2010年6月までに、ベルギーの39病院に入院したロタウイルス胃腸炎の小児215人(年齢中央値11ヵ月、男児51%)と、年齢、施設をマッチさせた対照276人(同:12ヵ月、54%)について解析を行った。ロタウイルス胃腸炎の診断はPCR法で確定した。

すべての小児はロタウイルスワクチンの接種が可能な年齢(2006年10月1日以降に出生、生後14週以上)に達していた。ロタウイルス胃腸炎で入院した小児およびマッチさせた対照におけるロタウイルスワクチンの接種状況について検討した。

単価ワクチン2回接種の入院予防率は90%
1回以上のワクチン接種率は、ロタウイルス胃腸炎で入院した小児が48%(99人)と、対照群の91%(244人)に比べ有意に低かった(p<0.001)。

全ワクチン接種の92%(594回)が単価ワクチンであった。単価ワクチン2回接種の未調整入院予防率は、全体で90%(95%信頼区間[CI]:81~95)、生後3~11ヵ月の小児は91%(同:75~97)、12ヵ月以上の小児は90%(同:76~96)だった。

PCR法で確定されたロタウイルス株の52%がG2P[4]であり、G1P[8]が24%、G4P[8]が9%、G3P[8]が7%、G9P[8]が5%の順であった。G2P[4]に対するワクチン接種の入院予防効果は85%(95%CI:64~94)、G1P[8]に対しては95%(同:78~99)の予防率だった。

ロタウイルス胃腸炎小児の25%がアデノウイルス、アストロウイルス、ノロウイルスに重感染していた。重感染例に対する入院予防効果は86%(95%CI:52~96)であった。

intention-to-vaccinate解析では、1回以上のワクチン接種の入院予防効果は91%(95%CI:82~95)であった。

著者は、「ロタウイルスワクチン接種は、G2P[4]が多く重感染率が高かったにもかかわらず、ロタウイルス胃腸炎小児の入院の予防に高い効果を示した」と結論し、「これらの知見は、保健医療担当者がベルギーと同等の高所得国にロタウイルスワクチン接種を推奨する根拠として有用と考えられる」と指摘する。

(菅野守:医学ライター)