整形外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:4

「プレハビリテーション」は有効か?~メタ解析/BMJ

 運動、栄養ならびに運動を含む多要素的な手術前のリハビリテーション(プレハビリテーション)は、手術を受ける成人患者に有用で、ネットワークメタ解析およびコンポーネントネットワークメタ解析において一貫した意味のある効果推定値が得られたことを、カナダ・オタワ大学のDaniel I. McIsaac氏らが報告した。著者は、「これらプレハビリテーションを臨床ケアにおいて考慮すべきであることが示唆された。一方で、プレハビリテーションの有効性をより確実にするためには、優先度の高いアウトカムに関して適切な検出力のあるバイアスリスクが低い多施設共同試験が必要である」とまとめている。BMJ誌2025年1月22日号掲載の報告。

65歳以上の全女性に骨粗鬆症スクリーニングを推奨――USPSTF

 米国予防医学専門委員会(USPSTF)は1月14日、65歳以上の全ての女性に対して、骨折予防のための骨粗鬆症スクリーニングを推奨するという内容のステートメントを発表した。また65歳未満であってもリスク因子のある女性は、やはりスクリーニングの対象とすべきとしている。一方、男性に対するスクリーニングに関しては、まだ十分なエビデンスがないとした。これらの推奨の詳細は、USPSTFのサイトに同日掲載された。  USPSTFのEsa Davis氏は、「骨粗鬆症患者に現れる最初の症状が骨折であることが非常に多い。このことが、その後の深刻な健康障害を引き起こしている」と、未診断の骨粗鬆症患者が少なくないという問題を指摘し、スクリーニング対象基準を明確にすることの意義を強調。また、「この基準の明確化によって、65歳以上の女性だけでなく、リスクが高い場合は65歳未満の女性も、骨折を来す前にスクリーニングを受けることで骨粗鬆症を早期に発見でき、女性の健康、自立、生活の質の維持につなげられる」と話している。

見直されるガバペンチンの転倒リスク、安全性に新知見

 ガバペンチンは、オピオイド系鎮痛薬の代替薬として慢性疼痛や神経痛の緩和に広く用いられているが、高齢者に投与した場合、転倒リスクを高めるという報告もある。このような背景から高齢者へのガバペンチンの処方には慎重になるべき、という意見もある。しかし、米ミシガン大学医学部内科のAlexander Chaitoff氏らの最新の研究で、この鎮痛薬が当初考えられていたよりも高齢者にとって安全である可能性が示唆された。  研究を主導したChaitoff氏は、「ガバペンチンは、軽度の転倒による医療機関への受診回数を減少させる傾向を示したが、重症度のより高い転倒関連事象(股関節骨折や入院など)リスクとの関連は確認されなかった」と述べている。同氏らの研究結果は、「Annals of Internal Medicine」に1月7日掲載された。

最初の3歩のビデオ撮影で働き盛りの転倒リスクを機械学習で推定/京都医療センターほか

 70歳までの就業が企業の努力義務となり、生涯現役時代が到来した。その一方で、職場での転倒による労働災害は最も多い労働災害であり、厚生労働省は2015年から「STOP!転倒災害プロジェクト」を展開している。しかし、休業4日以上の死傷者数は、令和3(2021)年度で転倒が最も多く(3.4万人)、平成29(2017)年度と比べ18.9%も増加している(労働者死傷病報告)。保健・医療・福祉分野においてさまざまな転倒リスクアセスメントトツール(AIを含めた)が開発されているが、元となるデータは診療録や看護記録であるため精度に限界があることが指摘されていた。

NSAIDsとPPI併用で下部消化管出血リスク上昇か

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)使用者の上部消化管出血を予防し、消化性潰瘍や胃食道逆流症などの治療に広く使用されている。しかし複数の先行研究では、NSAIDs単独使用よりも、NSAIDsとPPIの併用のほうが下部消化管出血の発生率が高いことが指摘されていた。韓国・慶熙大学のMoonhyung Lee氏らは、実臨床での NSAIDs+PPI併用者とNSAIDs単独使用者間の下部消化管出血リスクを比較したところ、NSAIDs+PPI併用者のほうが下部消化管出血リスクが高いことが判明した。Gut and Liver誌オンライン版2025年1月3日号に掲載。

透析中の骨粗鬆症患者へのデノスマブは心血管イベントリスクを上げる可能性/京都大

 透析患者の骨粗鬆症の治療では、腎排泄に頼らないデノスマブが使用されている。しかし、その有効性、安全性を他の骨粗鬆症治療薬と比較した大規模研究はこれまでなかった。そこで、桝田 崇一郎氏(京都大学大学院医学研究科薬剤疫学分野)らの研究グループは、透析患者の骨粗鬆症に対するデノスマブは、ビスホスホネートと比較し、骨折リスクを低減させる一方で、心血管イベントのリスクを増加させる可能性があることを、電子レセプトデータを用いたコホート研究により明らかにした。本研究結果は、Annals of Internal Medicine誌2025年1月7日オンライン版に掲載された。

変形性膝関節症の新たな検査法を開発

 変形性膝関節症(OA)は、関節内の軟骨が劣化して骨同士が擦れ合うことで生じる。しかし、OAは軟骨の劣化が進行した末期段階で診断されることが多いため、それが軟骨の摩耗により生じたOA(一次性OA)なのか、あるいは炎症性疾患により生じた炎症性関節炎なのかを判断するのは難しいとされる。こうした中、関節内の潤滑液に含まれる2種類の成分を指標として用いた新たな検査法により、これら2種類の関節炎を正確に区別できる可能性のあることが明らかになった。米Zimmer Biomet社の一部門であるCD DiagnosticsのDaniel Keter氏らによるこの研究結果は、「Journal of Orthopaedic Research」に12月18日掲載された。

外科医は器用?バズワイヤーゲームで評価/BMJ

 バズワイヤーゲーム(イライラ棒ゲーム)を用いた評価の結果、外科医は他の病院スタッフと比較して、手先が器用であったが不快な言葉を発する割合も高かった。一方、看護師および非臨床スタッフは、いら立ちの声を発する割合が高かった。英国・リーズ大学のTobin Joseph氏らが、前向き観察研究「Tremor研究」の結果を報告した。著者は、「病院スタッフの職種によって多様なスキルセットがあることが浮き彫りとなった。今後のトレーニングでは、器用さとストレス管理の両方を強化するためファミリーゲームを取り入れることが有用かもしれない。また、今後の募金活動では、外科医のswear jar(不快な言葉への罰金箱)の実施を検討すべきある」とまとめている。BMJ誌オンライン版2024年12月20日号掲載の報告。

手OAに電熱手袋は有効か?/BMJ

 バッテリー駆動型電熱線が内蔵され手指全体を温められるミトンタイプの手袋(電熱グローブ)は、手の変形性関節症(OA)患者の痛みや機能の改善に効果があるのか。デンマーク・Bispebjerg and Frederiksberg HospitalのCecilie Bartholdy氏らは無作為化対照試験を行い、6週間にわたる電熱グローブ使用は対照グローブ(温熱なし)使用と比較して、身体面および機能面に好ましい変化は認められなかったことを報告した。著者は「電熱グローブは、手OAに関連した問題や握力の評価に追加のベネフィットをもたらさなかった。手の痛みについてはわずかなベネフィットが検出されたが、過大評価されている可能性があった」と述べている。手OAはありふれた疾患で痛みや機能低下を引き起こす。既治療法の効果はわずか~中程度であり、米国リウマチ学会2020ガイドラインで「温めること」が症状緩和法として推奨されているが、その効果を裏付けるエビデンスの質は低かった。BMJ誌2024年12月17日号クリスマス特集号「SEASONS OF LOVE」掲載の報告。

明晰な頭脳の維持には骨格筋量の維持が重要

 筋肉を維持することは認知症の予防に役立つ方法の一つである可能性があるようだ。新たな研究で、高齢者の側頭筋の減少はアルツハイマー病(AD)のリスク上昇と関連していることが示された。この研究を実施した米ジョンズ・ホプキンス大学医学部神経学教授のMarilyn Albert氏は、「骨格筋の少ない高齢者は、他の既知のリスク因子を考慮しても、認知症リスクが約60%高いことが明らかになった」と述べている。この研究結果は、北米放射線学会年次総会(RSNA 2024、12月1〜5日、米シカゴ)で発表された。