整形外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:6

バーミンガム股関節表面置換術で高レベルの身体活動を維持

 表面置換型人工股関節置換術の一種であるバーミンガム股関節表面置換術(BHR)を受けた患者では、人工股関節全置換術(THA)を受けた患者と同程度に、長期間にわたり高レベルの身体活動を維持できることが長期研究で明らかになった。米ワシントン大学医学部整形外科教授のRobert Barrack氏らによるこの研究結果は、「The Journal of Bone and Joint Surgery」に3月19日掲載された。  長年、熱心にスポーツを続けていると体に負担がかかり、股関節に痛みを伴う変形性関節症を発症することがある。THAはこうした症状に対する治療選択肢の一つだが、術後に高強度の運動や負荷の高い動きが制限されてしまうことが少なくない。そのため、若くて活動的な患者の間では、THAよりも、患者を競技レベルの運動に復帰させた実績のあるBHRが好まれることが多い。

術後二次治癒創の治癒期間、局所陰圧閉鎖療法vs.通常治療/Lancet

 糖尿病などの合併症があり、下肢の術後二次治癒創(SWHSI)を有する患者において、局所陰圧閉鎖療法(negative pressure wound therapy:NPWT)が標準的な被覆材(ドレッシング)と比較して創傷治癒までの期間を短縮するという明らかなエビデンスは確認されなかった。英国・ヨーク大学のCatherine Arundel氏らが、国民保健サービス(NHS)の29施設で実施したプラグマティックな無作為化非盲検並行群間比較試験「SWHSI-2試験」の結果を報告した。SWHSIは治療管理およびコスト面で大きな課題を抱えており、有効性の比較を基にしたエビデンスがないにもかかわらず、治療法としてNPWTが用いられることが増えている。著者は、「本研究の結果は、SWHSIの治癒促進のためにNPWTを使用することを支持しないものであった」と述べている。Lancet誌オンライン版2025年4月15日号掲載の報告。

NSAIDsの長期使用で認知症リスク12%低下

 新たな研究によると、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の長期使用は認知症リスクを12%低下させる関連性が認められたが、短期および中期使用では保護効果は認められなかったという。オランダ・エラスムスMC大学医療センターのIlse Vom Hofe氏らによる本研究の結果はJournal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2025年3月4日号に掲載された。  研究者は、前向きの地域ベース研究であるロッテルダム研究から、ベースライン時に認知症のない1万1,745例を分析対象とした。NSAIDs使用データは薬局調剤記録から抽出され、参加者は非使用、短期使用(1ヵ月未満)、中期使用(1~24ヵ月)、長期使用(24ヵ月超)の4グループに分類され、定期的に認知症のスクリーニングを受けた。年齢、性別、生活習慣要因、合併症、併用薬などを調整因子として解析した。

整形外科における術後せん妄、幅広い20のリスク因子が明らかに~メタ解析

 術後せん妄(POD)は、外科手術を受けた患者によくみられる術後合併症である。発症率は診療科によって異なるが、とくに整形外科患者のPOD発症率は一般病棟入院患者と比較し大幅に高い。せん妄は、患者の転帰と医療システムの両方に重大な影響を及ぼす可能性があるため、PODのリスク因子を特定し、予防することが重要である。三重大学医学部附属病院のRio Suzuki氏らは、下肢整形外科手術後におけるPODのリスク因子を特定したことを報告した。PLoS One誌2025年4月1日号掲載の報告。

膝OA患者のアウトカム改善、筋トレvs.ヨガ

 変形性膝関節症(膝OA)の運動療法として、ヨガと筋力増強トレーニングの有効性を比較検討した結果、両群ともに有意に膝関節痛を軽減し、ヨガ群では筋力増強トレーニング群よりも機能や硬直、健康関連QOLなどが良好であったことを、オーストラリア・タスマニア大学のBedru J. Abafita氏らが明らかにした。JAMA Network Open誌2025年4月8日号掲載の報告。  運動療法は、膝OAの疼痛、身体機能、日常生活機能の改善のために推奨されているが、異なる種類の運動の有用性を比較した試験は限られているため、最も効果的な運動の種類は明確ではない。また、ヨガはマインドフルネスや柔軟性、ウェルビーイングを高めることで疼痛の軽減が期待できるが、膝OAに対するヨガの有用性を示す質の高いエビデンスは少ない。そこで研究グループは、ヨガは筋力増強トレーニングよりも膝OA患者の膝関節痛を緩和し、身体機能やQOLを改善する運動として有用であるという仮説を立て、評価者盲検無作為化優越性試験を実施した。

転倒リスクの高い2型糖尿病治療薬は?/筑波大

 骨格筋量の低下によって転倒リスクが増大することが知られており、一部の2型糖尿病治療薬は体重減少作用が強く、骨格筋量の減少を引き起こすことで転倒リスクを増大させる可能性が示唆されている。この課題について筑波大学システム情報系知能機能工学域の鈴木 康裕氏らの研究グループは、筑波大学附属病院に入院中の2型糖尿病患者を対象に転倒調査を5年間行った。その結果、SGLT2阻害薬は転倒の危険因子であることが示唆された。この結果はScientific Reports誌2025年3月17日号に掲載された。

高脂血症は術後せん妄のリスク因子か~メタ解析

 術後せん妄のリスク因子としての高脂血症の潜在的役割について、中国・Zigong Fourth People's HospitalのLi-Quan Qiu氏らがメタ解析で検討した。その結果、高脂血症患者は術後せん妄リスクが有意に高く、術後せん妄患者では総コレステロール、トリグリセライド、LDLコレステロールが有意に高いことが示され、術後せん妄リスク因子としての高脂血症の潜在的役割が示唆された。Frontiers in Aging Neuroscience誌2025年3月18日号に掲載。

鼻の軟骨で膝の損傷を修復できる可能性

 ランニングやスキーなどスポーツをしているときの転倒により生じた膝の損傷は、選手が一線から退かざるを得なくするだけでなく、将来的に関節炎のリスクを高める可能性がある。しかし新たな研究で、そのような転倒で損傷することはほとんどない鼻が、膝修復の鍵になる可能性を示唆する研究結果が報告された。研究グループは、鼻の中で左右の気道を隔てる壁となっている鼻中隔軟骨から作られた人工軟骨を、最も複雑な膝の損傷の修復にも使用できるとしている。バーゼル大学(スイス)生物医学部長のIvan Martin氏らによるこの研究の詳細は、「Science Translational Medicine」に3月5日掲載された。

PADを有する2型DM、セマグルチドは歩行距離を改善/Lancet

 症候性末梢動脈疾患(PAD)を有する2型糖尿病(DM)患者において、セマグルチドはプラセボと比較して歩行距離の改善が大きかったことが示された。米国・コロラド大学のMarc P. Bonaca氏らSTRIDE Trial Investigatorsが、第IIIb相二重盲検無作為化プラセボ対照試験「STRIDE試験」の結果を報告した。PADは世界中で2億3,000万人超が罹患しており、有病率は高齢化により上昇していて、2型DMを含む心代謝性疾患の負担を増している。PAD患者に最も早期に発現し、最も多くみられ、最も支障を来す症状は機能低下と身体的障害であるが、機能や健康関連QOLを改善する治療法はほとんどなかった。Lancet誌オンライン版2025年3月29日号掲載の報告。

25年度専攻医、増えた診療科・減った診療科/専門医機構

 日本専門医機構(理事長:渡辺 毅氏)は、3月24日に2025年度の専攻医採用数を発表した。「専攻医」とは、同機構が定める「専門医制度」の下、各診療科の「専門研修プログラム」を受けている医師の総称であり、臨床研修(初期研修)を修めた後、「専門医」を取得するまでの医師のことである。以前は「後期研修医」と呼ばれていたが、2018年から名称が改められた。  2025年度に採用された専攻医は9,762人で24年度に比べ308人増員した。とくに外科、耳鼻咽喉科などが大幅な伸びを示した一方で、精神科、産婦人科、放射線科などは減少した。