腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:363

小児悪性腫瘍診断の遅れによる転帰への影響は?

 小児悪性腫瘍における診断の遅れは医療過誤訴訟の主な原因である。フランスのBrasme氏らによって、小児悪性腫瘍の診断までの時間の分類、決定要因、予後の情報を系統的にレビューし、カナダとフランスにおける医療過誤訴訟での国選の専門家の知見と比較した。その結果、診断の遅れと転帰の関係は複雑であり、おそらく保護者や医療の要因よりも腫瘍生物学的要因によることが示唆された。Lancet Oncol誌2012年10月号の報告。

乳がん患者と医療スタッフとのコミュニケーションを円滑にするための冊子

 特定非営利法人キャンサーネットジャパン、日本イーライリリー株式会社、株式会社毎日放送、アメリカンホーム保険会社は4日、乳がんに関する基礎知識や、患者が病気を理解するために医師に質問すべきことなどをまとめた冊子『もっと知ってほしい乳がんのこと』を作成したことを発表した。冊子を活用してもらうことで、乳がん患者が納得のいく治療を受けられるようになることを目的としている。

非喫煙者の非小細胞肺がんにおける予後予測因子

 非喫煙者における肺がん(LCINS)は、病因や臨床的特徴、予後の違いから、喫煙者における肺がんとは異なる疾患として認識されている。今回、LCINSにおける特異的予測マーカーの同定を目的とした米国MDアンダーソンがんセンターのXia Pu氏らの研究から、炎症関連遺伝子の変異がLCINSの臨床的転帰に影響する可能性があることが示唆された。Clinical Cancer Research誌オンライン版2012年 9月13日号に掲載された。

乳房外パジェット病の治療体制確立を目指して がん・感染症センター都立駒込病院 皮膚科・皮膚腫瘍科 吉野 公二氏

 乳房外パジェット病は、東南アジア、特に日本や韓国に多く、欧米に少ない疾患です。多くのがんの場合、欧米で確立したエビデンスをもとに日本で治験を組む、あるいはそれを基に公知申請で治療薬を導入するという方法が今の世の流れです。しかしながら、乳房外パジェット病には欧米でのエビデンスはありません。つまり、公知申請はできない状況で、日本で一から治験を組まないと新しい治療体制が生まれてこないのです。

診断時に過体重だったほうが生存率が高い?!-びまん性大細胞型B細胞リンパ腫におけるレトロスペクティブ研究

 肥満は、非ホジキンリンパ腫(NHL)を含む多くの悪性腫瘍による死亡リスクを増加させる。しかし、NHLのなかで最も多い「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」(DLBCL)において、診断時のbody mass index(BMI)と生存率との関連は不明である。  今回、ワシントン大学のKenneth R. Carson氏らは、米国退役軍人におけるレトロスペクティブ・コホート研究により、DLBCL診断時に過体重や肥満であった患者のほうが正常体重の患者より死亡率が低かったと報告した。Journal of Clinical Oncology誌2012年9月10日号に掲載。

抗がん剤Halaven、オーストラリアで承認取得

 エーザイ株式会社は7日、オーストラリアにおける医薬品販売会社「エーザイ・オーストラリア・プライベート・リミテッド」が、抗がん剤「Halaven(一般名:エリブリンメシル酸塩)」について、「アントラサイクリン系及びタキサン系抗がん剤を含む少なくとも2種のがん化学療法による前治療歴のある局所進行性・転移性乳がん」に係る効能・効果でオーストラリア保健・高齢化省(Department of Health and Aging)の承認を取得したと発表した。

細胞診で確定されない甲状腺結節、遺伝子発現分類法が評価を改善

 診断的手術によってその大半が良性と判明するものの通常の細胞診では確定されない良性の甲状腺結節について、167個の遺伝子の表現型を尺度とした新しい診断法である遺伝子発現分類法を術前検査に用いることで、診断的手術をより多く回避するよう示唆されることが、米国・ハーバードメディカルスクール/ブリガム&ウィメンズ病院のErik K. Alexander氏らによる大規模前向き検証試験の結果、明らかにされた。穿刺吸引によって評価される甲状腺結節の約15~30%は、良性なのか悪性なのかが判然とせず診断的手術となることが多い。遺伝子発現分類法は、術前リスク評価を改善することが有望視されていた。NEJM誌2012年8月23日号(オンライン版2012年6月25日号)掲載報告より。