腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:360

ピオグリタゾンと膀胱がんリスク~約15万人のコホート研究/BMJ

ピオグリタゾンの使用は膀胱がんのリスクを高め、使用期間や累積用量の増加に伴いリスクが増大することが、カナダ・ジューイッシュ総合病院のMarco Tuccori氏らの、約15万人を対象とした大規模コホート研究の結果、明らかにされた。また、同じチアゾリジン系(TZD)薬のロシグリタゾンでは関連が認められず、膀胱がんのリスク増大はピオグリタゾンに特有で、クラス効果ではないことが示唆されると結論している。ピオグリタゾンと膀胱がんとの関連については、多くの研究で矛盾する結果が報告されており、より長期間追跡する観察研究が求められていた。BMJ誌オンライン版2016年3月30日号掲載の報告。

化学放射線療法適応の頭頸部がん、PET-CT監視の効果は/NEJM

 化学放射線療法が適応の頭頸部がん患者の頸部リンパ節転移の治療において、PET-CTによる注意深い監視(PET-CT-guided surveillance:PET-CT監視)は、事前に予定された頸部郭清術(planned neck dissection:planned ND)に比べ予後は劣らないことが、英国・バーミンガム大学のHisham Mehanna氏らPET-NECK Trial Management Groupの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2016年3月23日号に掲載された。頸部リンパ節転移の管理では、前向き無作為化試験が行われていないため、種々の対処法が採られているという。planned NDは、予後の改善効果が示唆されているが、不要な手術や合併症のリスクを伴う。PET-CTは、メタ解析で良好な陰性予測値(94.5~96.0%)が報告されており、不要な手術の適応を抑制し、合併症を回避できる可能性がある。

前立腺がん骨転移治療に進展、塩化ラジウム223「ゾーフィゴ」が前立腺がんの承認取得

 2016年3月28日、バイエル薬品株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:カーステン・ブルン)は、骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌の効能・効果で、塩化ラジウム223(商品名:ゾーフィゴ静注、以下、ゾーフィゴ)の製造販売承認を取得したと発表。ゾーフィゴは、日本で初めてのアルファ線を放出する放射性医薬品。

がんの痛みは言葉で知らせて、麻薬で緩和を

 がん治療につきまとう「痛み」の問題。3月17日に都内で開かれたメディア向けセミナー(塩野義製薬株式会社主催)において、がんの疼痛治療を臨床と教育の両面から研究を進めている服部 政治氏(がん研究会有明病院 がん疼痛治療科 部長)が、疼痛治療の現状や、医療用麻薬をめぐる医療者と患者の認識のギャップをテーマにした講演を行った。このなかで服部氏は、「痛みを我慢するのは決して美学ではない。言葉で訴える必要性を患者に理解してもらい、医療用麻薬への不必要な恐怖を取り除くことが重要」と述べた。

クリゾチニブのROS1陽性転移性非小細胞肺がんへの適応拡大を承認:FDA

 米ニューヨーク州ニューヨーク発、2016年3月1日、ファイザー社は、米国食品医薬品局(FDA)がクリゾチニブ(商品名:ザーコリ)の医薬品承認事項変更申請(sNDA)を承認したと発表。これまでの適応症に加え、ROS1陽性の転移性非小細胞肺がん(非小細胞肺がんは以下、NSCLC)の適応症が新たに追加された。FDAは2015年、本追加適応症をブレークスルー・セラピーおよび優先審査対象品目に指定していた。

肺がん患者に分子標的治療を説明する工夫

 2016年3月16日都内にて、「薬剤耐性獲得後の治療を決定する遺伝子検査の重要性~医師は患者にどのように説明するか~」と題するセミナーが開かれた(主催:アストラゼネカ株式会社)。肺がん治療は、分子標的薬や免疫療法の出現で大きく進歩している。患者さんにも科学的に高度な内容を理解いただき、納得のうえで治療を受けてもらうための工夫が求められている。演者である岡本 勇氏 (九州大学病院呼吸器科 診療准教授)は、分子標的薬による治療例を中心に、患者説明における工夫の一端を紹介するとともに、次世代の薬への期待を述べた。

長期アスピリン使用によるがん予防効果~13万6千人の前向き研究

 米国での医療従事者の2つの大規模前向きコホート研究における検討で、長期のアスピリン使用が、がん全体とくに消化管腫瘍のリスク低下に、わずかではあるが有意に関連することが認められた。また、定期的なアスピリン使用が大腸がんのかなり高い割合で予防し、スクリーニング検査によるがん予防を補う可能性が示唆された。JAMA oncology誌オンライン版2016年3月3日号に掲載。