腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:285

mFOLFIRINOXが膵がん術後補助療法に有望/NEJM

 転移を有する膵がんの術後補助療法において、フルオロウラシル/ロイコボリン+イリノテカン+オキサリプラチンによる併用化学療法(修正FOLFIRINOX[mFOLFIRINOX])はゲムシタビン(GEM)療法に比べ、全生存期間が有意に延長する一方で、高い毒性発現率を伴うことが、フランス・ロレーヌ大学のThierry Conroy氏らが実施した「PRODIGE 24-ACCORD 24/CCTG PA 6試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2018年12月20日号に掲載された。膵がんの治療では、手術単独の5年生存率は約10%と低く、術後補助療法ではGEM(日本ではS-1のエビデンスもある)が標準治療とされるものの、2年以内に69~75%が再発する。転移を有する膵がんの1次治療では、従来のFOLFIRINOXはGEMに比べ、全生存期間を延長することが知られている。

ソラフェニブが進行・難治性デスモイド腫瘍に高い有効性/NEJM

 進行性、再発性または症候性のデスモイド腫瘍の患者において、ソラフェニブは無増悪生存(PFS)期間を有意に延長し、持続性の奏効をもたらすことが、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのMrinal M. Gounder氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2018年12月20日号に掲載された。デスモイド腫瘍(侵襲性線維腫症とも呼ばれる)は、あらゆる解剖学的部位に発生し、腸間膜、神経血管構造、臓器に浸潤する可能性のある結合組織腫瘍であり、標準治療は確立されていない。ソラフェニブは、複数の標的を持つ受容体チロシンキナーゼ阻害薬であり、レトロスペクティブな解析では、デスモイド腫瘍に対し安全に投与可能であり、奏効率は25%と報告されている。

ペムブロリズマブのNSCLC1次治療、3パターンが国内承認/MSD

 MSD株式会社は、2018年12月21日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)について、非小細胞肺がんにおける以下の国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得した。 ・PD-L1発現にかかわらず切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(非扁平上皮癌)に対する初回治療としてペメトレキセド+プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)との併用療法としての適応拡大 ・PD-L1発現にかかわらず切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(扁平上皮癌)に対する初回治療としてカルボプラチン+パクリタキセルまたはnab-パクリタキセルとの併用療法としての適応拡大 ・PD-L1陽性(TPS1≧1%)の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対する初回治療としての単独療法としての適応拡大

がんの静脈血栓予防は必要かな?(解説:後藤信哉氏)-982

日本では静脈血栓症が欧米に比較して圧倒的に少ない。遺伝子型として活性化プロテインC抵抗性を示す血液凝固因子のLeiden型変異がいないことが理由の1つと想定されるが、その他の生活習慣も寄与しているかもしれない。静脈血栓症の圧倒的多数には血栓性素因がある。日本の高齢者に初発の静脈血栓症を認めた場合には、悪性腫瘍が隠れている可能性が高い。静脈血栓症例に対する悪性腫瘍スクリーニングは重要である。

ペムブロリズマブのMSI-H固形がんが国内承認…臓器横断的がん治療が現実に/MSD

 MSD株式会社は、2018年2月12日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)について、「がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」の国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得した。この適応拡大は医薬品の条件付き早期承認制度の適用を受けていた。  高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)とは、傷ついたDNAを修復する機能が低下していることを示すバイオマーカー。細胞は、DNA複製時に自然に起こる複製ミスを修復する機能をもっているが、この修復機能の低下によって、DNAの繰り返し配列(マイクロサテライト)が正常な細胞と異なる状態になっていることをマイクロサテライト不安定性(MSI)と呼び、このMSIが高頻度に起きている現象を高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)と呼ぶ。

アジア人でより良好な結果、ニボルマブ+イピリムマブによる高TMB肺がん1次治療(CheckMate-227)/日本肺癌学会

 第III相CheckMate-227試験(Part 1)の結果、高腫瘍遺伝子変異量(TMB)の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療において、ニボルマブ・イピリムマブの併用療法が標準化学療法と比較して有意に無増悪生存期間(PFS)を延長したことがすでに報告されている。本試験のアジア人サブグループ解析結果を、がん研究会有明病院の西尾 誠人氏が11月29~12月1日に東京で開催された第59回日本肺癌学会学術集会で発表した。なお、本結果は、11月8~10日に中国・広州市で開催されたIASLC ASIAでのKeunchil Park氏による発表のアンコール演題。

限局性前立腺がん、前立腺全摘で生存期間延長/NEJM

 余命が長い臨床的に発見された限局性前立腺がん患者は、根治的前立腺全摘除術により平均2.9年の生存期間延長を期待できることが示された。グリーソンスコア高値および切除標本で被膜外浸潤が確認された患者は、前立腺がんによる死亡リスクが高かった。スウェーデン・Orebro University HospitalのAnna Bill-Axelson氏らが、スカンジナビア前立腺がんグループ研究4(SPCG-4)の29年間の追跡結果を報告した。根治的前立腺全摘除術により臨床的な限局性前立腺がん患者の死亡率は低下するが、長期にわたり追跡した無作為化試験のエビデンスはほとんどなかった。NEJM誌オンライン版2018年12月13日号掲載の報告。

デュルバルマブMYSTIC試験のOS結果/アストラゼネカ

 アストラゼネカとそのグローバルバイオ医薬品研究開発部門であるメディミューンは、2018年12月13日、スイスのジュネーブで開催された2018年欧州臨床腫瘍学会がん免疫療法会議において第III相MYSTIC試験の全生存期間および無増悪生存期間に関するデータを発表した。  MYSTIC試験は、未治療のステージIV非小細胞肺がん患者を対象としてデュルバルマブ単剤またはデュルバルマブと抗CTLA-4抗体tremelimumabの併用療法を、プラチナベースの標準化学療法とを比較検討した多施設共同無作為化非盲検国際第III相試験。主要評価項目は、PD-L1発現25%以上の患者における、デュルバルマブ単独療法のOS、デュルバルマブ・tremelimumab併用療法のPFSおよびOS。

複合免疫療法の時代へ、変化する腎細胞がん薬物療法

 転移した場合は有効な抗がん化学療法がなく、術後10年以上経過しても再発がみられる場合があるなど、ほかのがん種とは異なる特徴を多く持つ腎細胞がん。近年は分子標的治療薬が薬物療法の中心だったが、2016年8月に抗PD-1抗体ニボルマブの単剤療法(2次治療)、2018年8月にニボルマブと抗CTLA-4抗体イピリムマブの併用療法(1次治療)が承認され、大きな変化が訪れている。12月7日、都内で「変化する腎細胞がんに対する薬物療法」と題したメディアセミナーが開催され(共催:小野薬品工業、ブリストル・マイヤーズ スクイブ)、大家 基嗣氏(慶應義塾大学医学部泌尿器科 教授)が講演した。